JP5384956B2 - ミシン - Google Patents
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Description
このとき、針棒の上下動タイミングと移動機構による被縫製物の移動タイミングとを同期させるための処理として、移動機構を駆動するパルスモータが一針分に予定された駆動量の半分までの駆動を行うのに要する時間を測定し、予定された全駆動量の駆動に要する所要時間を求めて移動機構の動作の遅れを検出し、当該遅れが生じると予測される場合にミシンモータを減速することで縫い針が被縫製物に突き刺さる前に移動機構の移動動作を完了させる方法が知られている。また、パルスモータが予め定められた時間内で実際に駆動する駆動量を計測し、予定された全駆動量の駆動に要する所要時間を予測して移動機構の動作の遅れを検出し、当該遅れが生じると予測される場合にミシンモータの回転速度を減速することで移動機構の移動動作を完了させる方法が知られている(例えば特許文献1)。
例えば、上述の構成では、縫製パターン中に部分的に移動量が大きい部分が存在し、当該部分にのみ過度の負荷等が生じるような場合に、特に有効である。
また、請求項3記載の発明によれば、選択手段は、速度復帰手段が有する複数の制御をそれぞれ任意に選択可能にする。つまり、ひとつの被縫製物に対する縫製作業が終わって次の被縫製物に対する縫製作業が開始する場合や、減速条件に満たない状態が所定針数以上継続した場合や、再びミシンの電源が入れられた場合や、第2の記憶手段への制限速度の書き込みが消去された場合のいずれの条件に従ってミシンモータの回転速度を復帰させることも可能である。これによって、縫製作業の内容に応じて最も利便性の高いミシンモータの速度復帰の手順を選択可能となる。
例えば、縫製パターンを頻繁に替えて縫製を行う場合や、素材などの違いで重さの異なる被縫製物を頻繁に替えて縫製を行う場合などには、縫製作業が終了すると次の縫製作業からミシンモータの回転速度を復帰させる制御を選択する。また、縫製パターン中に部分的に移動量が大きい部分が存在し、当該部分にのみ過度の負荷等が生じるような場合には、減速条件に満たない状態が所定針数以上継続した場合にミシンモータの回転速度を復帰させる制御を選択する。また、同じ縫製パターンの縫製が連続し、時折、他の縫製パターンへの変更が生じる場合や、同じ被縫製物の縫製が連続し、時折、重さの異なる被縫製物への変更を生じる場合には、再度ミシンの電源が入った場合にミシンモータの回転速度を復帰させる制御を選択する。さらに、回転速度の復帰を任意に決定したい場合には第2の記憶手段への制限速度の書き込みと消去により回転速度を復帰させることができる。
これにより、状況に応じたミシンモータの回転速度復帰の制御を選択でき、ミシンの利便性が大幅に向上する。
また、制限速度が記憶された縫製データを同様の制御を行ういずれのミシンで使用したとしても、同じ制限速度で動作させることが可能となる。よって、縫い品質に問題をきたさない適正なミシンの縫製速度となるよう当該制限速度を設定することにより、ミシンごとにそれぞれ縫製速度を設定することなく安定した縫い品質で縫製作業を行うことが可能となる。よって、ミシンの設定作業における煩雑な作業を省略することができるので、ミシンの利便性及び縫製作業の効率が上がり、ミシンによる生産性がより一層向上する。また、縫い品質が安定するので、ミシンの生産性及び信頼性がより一層向上する。
さらに、制限速度は、縫製データごとに記憶される。これによって、異なる縫製データによる縫製作業中に設定された制限速度に基づいて縫製作業が行われることがなくなる。つまり、ミシンモータの回転速度を減速させずとも縫い品質に問題をきたさない縫いを行う縫製データによる縫製作業において、異なる縫製データの縫製作業で設定された制限速度が適用されることで必要以上に縫製速度が低下することにより生産効率が落ちることがなくなる。よって、縫製作業の効率が上がり、ミシンによる生産性がより一層向上する。
本発明によるミシン1は、ミシン1のアーム部(図示略)に設けられて縫い針を保持して上下動する針棒(図示略)と、ミシンモータ41により針棒を上下動させる針上下動機構(図示略)と、を有して針棒の上下動方向に対して垂直な水平面(ミシンを水平面上に設置した状態において水平となる面)に沿って移動可能に支持された被縫製物を保持する布保持枠(図示略)を有する移動機構(図示略)と備えている。また、移動機構には、布保持枠を前記水平面に沿った互いに直交するX軸方向とY軸方向のそれぞれに移動位置決めする「移動用モータ」としてのX軸モータ21とY軸モータ23とが個別に設けられている。また、X軸モータ21及びY軸モータ23の負荷に応じてミシンモータ41の回転速度が減速されるフィードバック制御が行われる。
図1は本発明の一実施形態であるミシン1の構成を示すブロック図である。
ミシン1は、前述したX軸モータ21及びY軸モータ23、X軸モータの回転角度A2を検出するX軸エンコーダ22と、Y軸モータの回転角度A3を検出するY軸エンコーダ24と、ミシン1の主軸(図示略)を回転させるミシンモータ41と、主軸の回転角度を検出することでミシンモータ41の回転角度を検出する主軸エンコーダ42と、ミシン1の各種処理及びミシン1の各部の動作制御を行うメイン制御コントローラ10と、ミシンモータ41の駆動速度制御を行うミシンモータ速度制御コントローラ30と、オペレータによって操作されてミシン1の動作を切り替えるスイッチとしての操作ペダル51と、ミシン1の各種の情報の入出力を行うインターフェイスとしての操作パネル52と、を備えている。なお、X軸モータ21、Y軸モータ23及びミシンモータ41はパルスモータである。
EEPROM14には、縫製パターンの総針数分の針落ち位置を定める各モータ21,23によるX軸及びY軸方向の移動量と縫製速度(縫製時に主軸の回転数)である第一の主軸回転数Zを含んだ縫製データ60(図2参照)が記憶されている。縫製データ60は複数の縫製のパターンに応じて複数記憶されており、操作パネル52を介してオペレータによって選択される。その後、オペレータによって操作ペダル51が操作されることで縫製作業が指示されると、メイン制御コントローラ10のCPU11は当該選択された縫製データ60の第一の主軸回転数Z(又は後述する第二の主軸回転数)に対応するミシンモータ41の回転速度に基づいてミシンモータ速度制御コントローラ30を介してミシンモータ41を駆動する。ミシンモータ41の駆動によって主軸が回転すると、上下動機構によって上下動運動に変換されて針棒に伝達され、針棒が上下動する。また、メイン制御コントローラ10のCPU11は、当該選択された縫製データ60の針落ち位置に基づいてX軸モータ21及びY軸モータ23を駆動して移動機構を移動させる。かようにして針棒の上下動と移動機構の動作とが行われ、周知のように縫製が行われる。よって、メイン制御コントローラ10は「制御手段」として機能する。また、縫製データ60が記憶されるEEPROM14は「第1の記憶手段」として機能する。
次に、縫製データ60について詳細に説明する。図2は縫製データ60のテーブル構造を示す説明図である。
縫製データ60は少なくとも、X軸モータ21による移動機構のX軸方向への移動量を示すX移動量と、Y軸モータ23による移動機構のY軸方向への移動量を示すY移動量と、ミシン1の主軸の回転数を示す第一の主軸回転数Zとを有するテーブルデータである。
X移動量及びY移動量はその直前のX移動量及びY移動量に対する相対移動量パラメータである。つまり、X移動量Xa及びY移動量Yaは所定の原点からの移動機構のX軸方向及びY軸方向の移動量である。また、X移動量Xb及びY移動量Ybは移動機構がX移動量Xa及びY移動量Yaの移動を行った後の位置に対するX軸方向及びY軸方向の移動量である。
第一の主軸回転数Zは対応するX移動量及びY移動量に応じて定められている。例えば被縫製物を大きく移動させなければならない場合はX移動量またはY移動量あるいはその両方の値は大きくなる。このとき、第一の主軸回転数Zを小さくすることで針棒の上下動スピードが減少するよう設定する。これによってミシン1は縫い目と縫い目との間に生ずる直前の針抜けから次の針落ちの間に行われる移動機構の動作時間を確保できるように制御される。一方、X移動量及びY移動量が小さい場合すなわち移動機構の動作量が小さい場合は第一の主軸回転数Zを大きく設定する。これによって針棒の上下動スピードが増大し、縫製速度が上がる。つまり、ミシン1は縫製データ60の第一の主軸回転数Zに基づいて縫製速度を決定する場合、移動機構の動作量が大きい場合は縫製速度を下げて針落ちごとの移動機構の動作時間を十分に設けるよう制御され、移動機構の動作量が小さい場合は縫製速度を上げて縫製作業効率を上げるよう制御される。
図3はメイン制御コントローラ10、ミシンモータ速度制御コントローラ30の構成と、X軸モータ21、Y軸モータ23、ミシンモータ41及びその周辺機器の構成との関係を示す機能ブロック図である。
メイン制御コントローラ10は、ミシンモータ41の第二の設定回転数Bを記憶する全体回転数記憶手段78と、ミシンモータ41の指令回転数V1を算出する指令回転数算出手段71と、X軸モータ21及びY軸モータ23を駆動する指令位置パターンP2,P3を算出する指令位置パターン算出手段72と、X軸モータ21の駆動においてフィードバック制御を行うX軸モータフィードバック制御手段73と、Y軸モータの駆動においてフィードバック制御を行うY軸モータフィードバック制御手段74と、X軸モータ21、Y軸モータ23に発生した負荷R2,R3を算出する負荷算出手段75と、負荷R2,R3に基づいてミシンモータ41の回転数を制限するか否かを判定する制限判定手段76と、操作パネル52により設定された制限回転数L(制限速度)を記憶する制限回転数記憶手段77と、縫製動作開始時に制限回転数Lをクリアする処理を行う速度復帰手段79と、を備えている。
また、ミシンモータ速度制御コントローラ30は、ミシンモータ41の駆動においてフィードバック制御を行うミシンモータフィードバック制御手段80を備えている。
また、Y軸モータフィードバック制御手段74はY軸モータ23の駆動制御においてY軸エンコーダ24が検出したY軸モータ23の回転角度に基づいてフィードバック制御を行う。当該フィードバック制御の仕組みは上述のX軸モータフィードバック制御手段73と同様であり、指令位置パターンP3とY軸エンコーダ24によって検出されたY軸モータ23の回転角度A3から出力トルクT3が算出され、ドライブ回路26によって出力トルクT3に応じた電力が供給されることでY軸モータ23は駆動する。
また、出力トルクT2、T3は負荷算出手段75に出力される。
つまり、移動機構の動作に伴ってX軸モータ21及びY軸モータ23に生じた負荷が移動機構の動作が遅れる可能性が生じるほどまでに高まったか否かを制限判定手段76は各負荷R2,R3が所定の閾値を超えるか否かにより判定し、いずれか一方の負荷R2又はR3でも閾値を超えた場合には、減速指令を令回転数算出手段71に出力するようになっている。
また、この指令回転数算出手段71は、X軸モータ21又はY軸モータ23の負荷R2,R3のいずれか一方でも所定の閾値を超えていると判定された場合には、制限回転数記憶手段77に記憶された制限回転数Lの値を選択し、指令回転数V1として出力するようになっている。また、指令回転数算出手段71は、この制限回転数Lを選択した場合、選択が行われている設定状態が不揮発性のEEPROM14内に記録するようになっている。これにより、一度、制限回転数Lの選択が記録されると、後述する速度復帰手段79による設定のクリア処理が行われるまで、ミシンの主電源を切ったとしても、制限回転数Lの選択設定状態が継続するようになっている。
また、制限速度記憶手段77及び全体回転数記憶手段78はメイン制御コントローラ10のEEPROM14に制限回転数L及び第二の主軸回転数Bが記憶されることで機能する。よって、制限速度記憶手段77として機能するEEPROM14は「第2の記憶手段」として機能する。また、制限速度記憶手段77に制限回転数Lを入力する操作パネル52は「設定手段」として機能する。
また、ミシンモータフィードバック制御手段80は、当該機能に対応したプログラム及びデータがミシンモータ速度制御コントローラ30のROM33に記憶されており、CPU31が当該プログラムを実行することで機能する。
次に、制限速度すなわち制限回転数Lに基づいて回転駆動するミシンモータ41の回転速度を、通常の回転速度すなわち縫製データ60の第一の主軸回転数又は第二の主軸回転数Bによる回転速度に復帰させる所定条件として、次の(1)第一の処理〜(4)第四の処理について詳細に説明する。
速度復帰手段79は、(1)縫製データに基づく一回の縫製動作終了時に制限回転数Lをクリアする第一の処理と、(2)縫製中のミシンモータ41の減速制御が開始されてからX軸及びY軸モータ21,23の負荷R2,R3のいずれかもが所定の閾値以下となる状態が予め設定された復帰針数に達した場合に制限回転数Lをクリアする第二の処理と、(3)減速制御の後にミシンの主電源が切られて再びミシンの主電源が入れられた場合に制限回転数Lをクリアする第三の処理と、(4)制限回転数記憶手段77に記憶された制限回転数Lが操作パネル52からオペレータにより消去操作された場合に制限回転数Lをクリアする第四の処理のいずれかを選択的に実行する。
なお、速度復帰手段79は当該機能に対応したプログラム及びデータがメイン制御コントローラ10のROM13又はEEPROM14に記憶されており、CPU11が当該プログラムを実行することで機能する。
次に、ミシン1の縫製動作に伴うミシンモータ41の回転速度の制御の仕組みについて詳細に説明する。図4は速度復帰手段79が第一の処理を実行するように選択設定されている場合のミシン1の動作の手順を示すフロー図である。
ミシン1の主電源が投入されると、メイン制御コントローラ10はまず設定入力モードに入る。設定入力モードでは、操作パネル52を介してオペレータによって第二の主軸回転数Bが設定され、全体回転数記憶手段78に記憶される(ステップS10)。その後、操作パネル52を介してオペレータによって縫製作業を行う縫製データ60が選択される(ステップS20)。その後、操作パネル52の設定完了スイッチ(図示略)が押されると、ミシン1は縫製作業が可能な状態となる。当該状態でオペレータにより被縫製物が布保持枠にセットされ(ステップS30)、縫製開始待ちの状態となる(ステップS40)。そして、操作ペダル51が操作されると(ステップS40:YES)、ミシン1による縫製動作が開始する。
そして、指令回転数算出手段71により制限回転数Lに基づく指令回転数V1がミシンモータ速度制御コントローラ30に入力される。これにより、コントローラ30のミシンモータフィードバック制御手段80により制限回転数Lとなるようにミシンモータ41が制御される(ステップS80)。
そして、縫製を終了する。
このとき、縫製終了時に、制限回転数Lの選択がクリアされたので、次の縫製を開始すると、指令回転数算出手段71は、縫製データ60の第一の主軸回転数Zと全体回転数記憶手段78の第二の主軸回転数Bの内のいずれか遅い方の回転数に基づく指令回転数V1をミシンモータ速度制御コントローラ30に入力する。つまり、通常の設定回転数でミシンモータ41が駆動して縫製が実行されることとなる。
この処理では、前述した図4のフロー図と同じ処理が行われる工程については同じステップ番号を付して重複する説明は省略するものとする。
ステップS10〜S70までは同じ処理が行われる。
そして、ステップS70において、X軸、Y軸モータ21,23の負荷R2,R3のいずれかが、制限判定手段76により閾値と超えると判定された場合には、制限回転数Lが指令回転数算出手段71に読み込まれ、当該制限回転数Lとなるようにミシンモータ41が制御される(ステップS80)。
さらに、制限回転数Lに基づくミシンモータ41の減速駆動が開始されると同時に、減速開始からの針数のカウント開始され、減速針数=0に設定が行われる(ステップS81)。次いで、縫製データ60の全針数の縫製が終了したか判定が行われ(ステップS90)、終了していない場合には、ステップS60に処理が戻される。
また、減速中の場合には、減速針数カウントのアップ後に主軸が1回転を行ったか(主軸が0°となったか)を判定し(ステップS83)、まだ、一回転を行っていない場合には(ステップS83:NO)、ステップS90に処理が進められる。
そして、減速針数カウントのアップ後に主軸が1回転を行った場合には(ステップS83:YES)、さらに針数カウントを1アップする(ステップS84)。
次いで、現在の減速針数が速度復帰を行うための復帰針数に達したか否かの判定が行われ(ステップS85)、まだ達していない場合には(ステップS85:NO)、ステップS90に処理が進められる。
一方、現在の減速針数が復帰針数に達した場合には(ステップS85:YES)、速度復帰手段79が指令回転数算出手段71に対して、通常の主軸回転数に戻すように復帰指令を入力する。これにより、指令回転数算出手段71は、制限回転数Lの選択をクリアする(ステップS86)。
従って、指令回転数算出手段71は、縫製データ60の第一の主軸回転数Zと全体回転数記憶手段78の第二の主軸回転数Bの内のいずれか遅い方の回転数を選択し、当該回転数に基づく指令回転数V1をミシンモータ速度制御コントローラ30に入力する。これにより、ミシンモータ41が通常の縫製速度まで加速される(ステップS87)。その後、処理がステップS90に進められる。
この処理では、前述した図4のフロー図と同じ処理が行われる工程については同じステップ番号を付して重複する説明は省略するものとする。
この第三の処理では、主電源が投入されると、まず最初に制限回転数Lの選択がクリアされる(ステップS1)。これにより、最後に行われた直前の縫製で制限回転数Lの選択が行われて縫製を終了していた場合に、その設定が解除されることとなる。
その後は、第一の処理と同様に、ステップS10〜S90まで同じ処理が行われる。なお、この第三の処理では、ステップS90の次に行われる制限回転数Lの選択のクリア処理は行われることなく縫製が終了される。
この第四の処理は、縫製の動作制御とは独立して、周期的に行われる割り込み処理である。また、この第四の処理は、縫製の動作制御の過程で、制限回転数Lの選択設定が行われた場合にのみ実行される処理である。つまり、縫製処理は、第一の処理と同様に、ステップS10〜S90まで同じ処理が行われる。但し、第四の処理が選択されている場合には、ステップS91の制限速度クリアの処理は行われない。
そして、この第四の処理では、周期的に、速度復帰手段79が、制限回転数記憶手段77に記憶された制限回転数Lの記録データがオペレータによる操作パネル52からの消去操作により消去されたか否かの判定を実行する(ステップS92)。
そして、消去が行われていた場合には(ステップS92:YES)、速度復帰手段79が指令回転数算出手段71に対して、通常の主軸回転数に戻すように復帰指令を入力する。これにより、指令回転数算出手段71は、制限回転数Lの選択をクリアする(ステップS93)。
上記ミシン1では、メイン制御コントローラ10によって、制限速度まで減速したミシンモータ41の回転速度について、速度復帰手段79が所定条件に従い通常の回転速度に復帰させる。これによって、ミシンモータ41の回転速度を減速させる必要がなくなった場合にはミシンモータ41の回転速度を通常の回転速度に戻すことが可能となる。つまり、移動機構の遅れを生じないようにミシンモータ41を減速した後でも、自在にミシンモータ41を通常の回転速度に戻すことが可能となり、縫い速度の迅速化及び設定作業の解消による効率化を図ることができ、ミシンによる生産性が大幅に向上する。
例えば、上述の構成では、縫製パターンを頻繁に替えて縫製を行う場合や、素材などの違いで重さの異なる被縫製物を頻繁に替えて縫製を行う場合などにより有効である。
例えば、上述の構成では、縫製パターン中に部分的に移動量が大きい部分が存在し、当該部分にのみ過度の負荷が生じるような場合に、特に有効である。
なお、制限判定手段76によるミシンモータ41の回転速度の制限の実行の有無は、X軸、Y軸モータの負荷から判断しているが、これに限られるものではない。例えば、各エンコーダ22,24の出力を監視して、移動用モータの軸角度、回転速度、被縫製物の位置を検出する手段を設けて位置ずれを検出しても良いし、又は移動速度を検出する手段を設けて、動作指令に対する動作遅れを検出してその大きさ(偏差)により判断しても良いし、各モータ21,23の出力軸に設けたトルク検出手段によりトルク出力を検出しても良いし、各モータ21,23の通電を制御する回路において通電電流値を監視することで負荷(トルク)を検出しても良い。
この場合、制限回転数Lは当該外部の記憶媒体に記憶された縫製データ60と対応付けられて記憶されるが、それぞれの縫製データ60と対応付けられた制限回転数Lがメイン制御コントローラ10のEEPROM14に記憶されるようにしてもよいし、縫製データ60のデータの一部として当該外部の記憶媒体に記憶するようにしてもよい。
前者の場合、異なる縫製データによる縫製作業中に記憶された制限回転数Lに基づいて縫製作業が行われることがなくなる。つまり、ミシンモータ41の回転速度を減速させずとも縫い品質に問題をきたさない縫いを行う縫製データ60による縫製作業において、異なる縫製データの縫製作業で算出、記憶された制限回転数Lが適用されることで必要以上に縫製速度が低下することにより生産効率が落ちることがなくなる。よって、縫製作業の効率が上がり、ミシンによる生産性がより一層向上する。
後者の場合、前者の効果に加えて、制限回転数Lは縫製データ60ごとに設けられ、当該縫製データの一部として記憶される。これによって、制限回転数Lを記憶するためのEEPROM14の記憶容量を占有することなく、縫製データ60による縫製作業において制限回転数Lによる縫製作業を行うことが可能となる。よって、外部の記憶媒体と比較して記憶容量あたりの単価が高いメイン制御コントローラ10のEEPROM14に対する性能要求(記憶容量)を下げることが可能となるので、ミシン1の製造コストを削減することができ、より安価にミシンを提供できる。
また、制限回転数Lが記憶された縫製データ60を複数のミシン1で共通して用いることにより、複数のミシン1を同じ制限回転数Lで動作させることが可能となる。よって、縫い品質に問題をきたさない適正なミシン1の縫製速度となるよう制限回転数Lを縫製データ60が記憶することにより、複数のミシン1にそれぞれ縫製速度を設定することなく安定した縫い品質で縫製作業を行うことが可能となる。よって、複数のミシン1のそれぞれで制限回転数Lが算出、記憶される処理を省略することができるので、ミシンの利便性及び縫製作業の効率が上がり、ミシンによる生産性がより一層向上する。また、縫い品質が安定するので、ミシンの生産性及び信頼性がより一層向上する。
これにより、縫製データごとに適切な減速制御が行われ、縫い品質及び縫製作業の効率が上がり、ミシンによる生産性がより一層向上する。
14 EEPROM(第1の記憶手段、第2の記憶手段)
21 X軸モータ(移動用モータ)
23 Y軸モータ(移動用モータ)
30 ミシンモータ速度制御コントローラ
41 ミシンモータ
52 操作パネル(選択手段、設定手段)
60 縫製データ
71 指令速度算出手段
75 負荷算出手段
76 制限回転数算出手段
77 制限回転数記憶手段
78 全体回転数記憶手段
79 速度復帰手段
Claims (5)
- 縫い針を保持して上下動可能に設けられた針棒と、
前記針棒とミシンの主軸とを連結して回転運動を上下動運動に変換する上下動機構と、
前記主軸を回転させるミシンモータと、
被縫製物を保持して前記針棒の上下動に直交した水平面に沿って被縫製物を移動させる移動機構と、
前記移動機構を駆動する移動用モータと、
あらかじめ設定された縫製パターンに従って前記被縫製物に縫いを施すための運針手順を含む縫製データを記憶可能な第1の記憶手段と、
前記縫製データに従って毎針ごとに前記縫製パターンの運針手順に定められた針落ち位置となるように前記ミシンモータ及び前記移動用モータを駆動する制御手段と、
前記移動用モータの負荷または位置ずれまたは動作遅れ(以下、「負荷等」という)の検出が行われ、当該検出負荷等が予め定めた減速条件を満たす過度の負荷等の場合に、前記ミシンモータの回転速度を通常の回転速度から制限速度まで減速させる減速手段と、を備えたミシンにおいて、
前記制限速度まで減速した前記ミシンモータの回転速度を所定条件に従い前記通常の回転速度に復帰させる速度復帰手段を備え、
前記速度復帰手段は、前記移動用モータの検出負荷等が前記減速条件に満たない状態が所定針数以上継続した場合に前記ミシンモータの回転速度を復帰させることを特徴とするミシン。 - 縫い針を保持して上下動可能に設けられた針棒と、
前記針棒とミシンの主軸とを連結して回転運動を上下動運動に変換する上下動機構と、
前記主軸を回転させるミシンモータと、
被縫製物を保持して前記針棒の上下動に直交した水平面に沿って被縫製物を移動させる移動機構と、
前記移動機構を駆動する移動用モータと、
あらかじめ設定された縫製パターンに従って前記被縫製物に縫いを施すための運針手順を含む縫製データを記憶可能な第1の記憶手段と、
前記縫製データに従って毎針ごとに前記縫製パターンの運針手順に定められた針落ち位置となるように前記ミシンモータ及び前記移動用モータを駆動する制御手段と、
前記移動用モータの負荷または位置ずれまたは動作遅れ(以下、「負荷等」という)の検出が行われ、当該検出負荷等が予め定めた減速条件を満たす過度の負荷等の場合に、前記ミシンモータの回転速度を通常の回転速度から制限速度まで減速させる減速手段と、を備えたミシンにおいて、
前記制限速度まで減速した前記ミシンモータの回転速度を所定条件に従い前記通常の回転速度に復帰させる速度復帰手段と、
前記制限速度を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段への制限速度の記憶と消去の設定入力を行う設定手段とを備え、
前記速度復帰手段は、前記第2の記憶手段の制限速度が消去された場合に通常の回転速度に復帰させることを特徴とするミシン。 - 縫い針を保持して上下動可能に設けられた針棒と、
前記針棒とミシンの主軸とを連結して回転運動を上下動運動に変換する上下動機構と、
前記主軸を回転させるミシンモータと、
被縫製物を保持して前記針棒の上下動に直交した水平面に沿って被縫製物を移動させる移動機構と、
前記移動機構を駆動する移動用モータと、
あらかじめ設定された縫製パターンに従って前記被縫製物に縫いを施すための運針手順を含む縫製データを記憶可能な第1の記憶手段と、
前記縫製データに従って毎針ごとに前記縫製パターンの運針手順に定められた針落ち位置となるように前記ミシンモータ及び前記移動用モータを駆動する制御手段と、
前記移動用モータの負荷または位置ずれまたは動作遅れ(以下、「負荷等」という)の検出が行われ、当該検出負荷等が予め定めた減速条件を満たす過度の負荷等の場合に、前記ミシンモータの回転速度を通常の回転速度から制限速度まで減速させる減速手段と、を備えたミシンにおいて、
前記制限速度まで減速した前記ミシンモータの回転速度を所定条件に従い前記通常の回転速度に復帰させる速度復帰手段と、
前記制限速度を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段への制限速度の記憶と消去の設定入力を行う設定手段とを備え、
前記速度復帰手段は、前記縫製データによる縫製作業が終了すると次の縫製作業から前記ミシンモータの回転速度を復帰させる制御と、前記移動用モータの検出負荷等が前記減速条件に満たない状態が所定針数以上継続した場合に前記ミシンモータの回転速度を復帰させる制御と、ミシンの電源が切られた後に再度ミシンの電源が入った場合に前記ミシンモータの回転速度を復帰させる制御と、前記第2の記憶手段の制限速度が消去された場合に通常の回転速度に復帰させる制御とを選択的に行い、
前記速度復帰手段が有する複数の制御のいずれかひとつを選択可能な選択手段を備えることを特徴とするミシン。 - 前記第2の記憶手段は、前記縫製データごとにそれぞれ対応付けられた前記制限速度を記憶することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
- 前記縫製データが当該縫製データの一部として当該縫製データの前記制限速度を含むことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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