JP5381826B2 - 電力変換システムの放電制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記電力変換回路を操作することで前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置に関する。
この種の放電制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、インバータの高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子とを同時にオン状態とすることで、インバータの入力端子に接続されるコンデンサの両電極を短絡し、コンデンサを放電させるものも提案されている。この制御装置では、コンデンサの両電極を短絡させる際に流れる電流が過度に大きくなることを回避すべく、放電制御時には通常時と比較して、スイッチング素子であるIGBTのゲートの電圧を低減させている。
特開2009−232620号公報
ところで、上記のように放電制御時に通常時とは相違する態様にてスイッチング素子を操作する場合、放電制御を行なう機能は、通常時には利用されない。このため、通常時においてインバータを駆動することができることは、放電制御を正常に行なうことができることを意味しない。このため、放電制御を行なう要求が生じた場合に、放電制御を実際には行なうことができないおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電力変換回路を操作することでキャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段による放電制御の異常の有無を適切に診断することのできる電力変換システムの放電制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
構成1は、直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記電力変換回路を操作することで前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置において、前記電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体であって且つ前記キャパシタに並列接続される直列接続体を備え、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うものであり、前記放電制御手段による前記スイッチング素子の操作を模擬する模擬手段と、該模擬手段によって模擬する処理がなされるときにおける該模擬する処理の対象とされるスイッチング素子の動作に基づき、前記放電制御手段による放電制御の異常の有無を診断する異常診断手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、模擬手段および異常診断手段を備えることで、キャパシタが実際に放電しているか否かの検出に頼ることなく、放電制御の異常の有無を診断することができる。
構成2は、構成1において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子は、電圧制御形のスイッチング素子であり、前記異常診断手段は、前記模擬する処理の対象とされるスイッチング素子の導通制御端子の電圧を入力として、前記スイッチング素子の動作を把握することを特徴とする。
上記発明では、スイッチング素子の導通制御端子の印加電圧に応じてスイッチング素子の動作が定まることに鑑み、導通制御端子の電圧を用いてスイッチング素子の動作を把握する。
構成3は、構成2において、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、前記異常診断手段は、前記模擬する処理によって前記少なくとも一方のスイッチング素子のオン操作が模擬される際の前記導通制御端子の電圧の検出値に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
上記発明では、放電制御時に導通制御端子に印加する電圧が上記本来の目的での使用時とは相違するため、本来の目的での使用に際して異常が生じていない場合であっても放電制御を確実に実行することができるか保証されない。この点、上記発明では、模擬する処理によって上記少なくとも一方のスイッチング素子をオン操作する際の導通制御端子の電圧の検出値を用いることで、放電制御時の動作を実現可能か否かを確かめることができる。
構成4は、構成2において、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、前記スイッチング素子は、出力端子に対する前記導通制御端子の電圧が高くなることでオン状態となるものであり、前記異常診断手段は、前記模擬する処理がなされている期間における前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子の電圧のピーク値に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
上記発明では、放電制御時に導通制御端子に印加する電圧が上記本来の目的での使用時とは相違するため、本来の目的での使用に際して異常が生じていない場合であっても放電制御を確実に実行することができるか保証されない。この点、上記発明では、模擬する処理がなされている期間における導通制御端子の電圧のピーク値を用いることで、放電制御時の動作を実現可能か否かを確かめることができる。
構成5は、構成2において、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン期間およびオフ期間の少なくとも一方の時間間隔に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
上記発明では、上記時間間隔に基づき、放電制御手段によってオン状態およびオフ状態を複数回繰り返す処理が確実になされるか否かを確かめることができる。
構成6は、構成5において、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン期間の長さに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
放電制御期間における上記オン期間は、スイッチング素子の発熱量が過度に大きくなることがないような時間間隔に設定されることとなる。上記発明では、この設定どおりの動作がなされるか否かを確かめることができる。
構成7は、構成5において、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオフ期間の長さに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
放電制御期間における上記オフ期間は、スイッチング素子の温度上昇速度が過度に大きくならないように設定されることとなる。この点、上記発明では、オフ期間の長さに基づき、放電制御によってスイッチング素子の温度の上昇速度が過度に大きくならないか否かを把握することができる。
構成8は、構成5において、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン状態およびオフ状態の1周期における前記オン状態となる時間の時比率に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
構成9は、構成2において、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、前記放電制御手段は、前記少なくとも一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子の導通制御端子の平均電圧に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
オン状態およびオフ状態を複数回繰り返す処理の態様と導通制御端子の印加電圧とによって、導通制御端子の平均電圧が定まる。上記発明では、この点に着目し、上記平均電圧に基づき、放電制御手段によってオン状態およびオフ状態を複数回繰り返す処理や導通制御端子の印加電圧が適切か否かを確かめることができる。
構成10は、構成3〜9のいずれか1つにおいて、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、前記放電制御手段は、前記いずれか一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記いずれか他方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子の導通制御端子に印加される電圧が、該スイッチング素子の非飽和領域の電流を前記いずれか一方のスイッチング素子の前記放電制御時の非飽和領域の電流よりも大きくするものか否かに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする。
上記発明では、放電制御手段によっていずれか一方のスイッチング素子が非飽和領域で駆動されて且つ他方が飽和領域で駆動されるか否かを診断することができる。
構成11は、構成1〜10のいずれか1つにおいて、前記模擬手段は、前記キャパシタが充電されていないと想定される状況下、前記模擬する処理を行なうことを特徴とする。
構成12は、構成1〜11のいずれか1つにおいて、前記電力変換システムは、車両に搭載されるものであり、前記開閉手段は、前記車両の起動スイッチがオン操作されることで閉状態に切り替えられるものであり、前記模擬手段は、前記起動スイッチがオン操作された後、前記開閉手段が閉状態に切り替えられるに先立って前記模擬する処理を行なうことを特徴とする。
上記発明では、起動スイッチのオン操作後に診断を行なうことで、このオン操作の後の車両の発進以降において放電制御手段による放電制御が確実になされるか否かを確認することができる。
構成13は、構成1〜11のいずれか1つにおいて、前記電力変換システムは、車両に搭載されるものであり、前記開閉手段は、前記車両の起動スイッチがオフ操作されることで開状態に切り替えられるものであり、当該放電制御装置は、起動スイッチがオフ操作されることでオフとされるものであり、前記模擬手段は、前記起動スイッチがオフ操作されることで前記開閉手段が開状態に切り替えられた後であって且つ当該放電制御装置がオフとされるに先立って前記模擬する処理を行なうことを特徴とする。
構成14は、構成13において、当該放電制御装置がオフ状態であってもデータが保持される記憶手段を更に備え、前記異常診断手段は、前記異常がある旨の診断結果を記憶手段に記憶保持するものであり、当該放電制御装置は、前記起動スイッチがオン操作されることでオンとされるものであって且つ、オンとされることで、前記記憶手段にアクセスし、前記異常がある旨の診断結果が記憶保持されている場合、その旨を外部に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする。
起動スイッチがオフされることで異常診断を行なう場合、診断の終了時には、ユーザが車両から離れているおそれがある。この点、上記発明では、起動スイッチがオン操作されユーザが車両内にいると考えられるときにその旨を通知することで、異常がある旨をユーザに確実に通知することができる。
構成15は、構成1〜11のいずれか1つにおいて、前記模擬手段は、前記開閉手段が閉状態であるときに前記模擬する処理を行なうものであって且つ前記高電位側のスイッチング素子の操作を模擬する処理と前記低電位側のスイッチング素子の操作を模擬する処理とが同時になされることを禁止する禁止手段を備えることを特徴とする。
開閉手段が閉状態である場合に前記高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方がオン状態となる場合には、これに大電流が流れ、診断処理のためにスイッチング素子の発熱量が増大することが懸念される。この点、上記発明では、禁止手段を備えることでこうした事態を確実に回避することができる。
構成16は、構成1〜15のいずれか1つにおいて、前記電力変換システムの搭載される部材に異常が生じたか否かを判断する判断手段を備え、前記放電制御手段は、前記判断手段によって異常が生じたと判断される場合に前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行う異常時放電制御手段であり、前記開閉手段が開状態とされて且つ前記異常が生じた旨の判断がなされていない場合に前記短絡させる処理を行なうことなく前記キャパシタを放電する通常時放電手段を更に備えることを特徴とする。
上記発明では、異常が生じたと判断されるまで異常時放電制御手段が用いられないため、これが異常時に実際に動作するか否かを確かめることが特に望まれる。このため、模擬手段および異常診断手段の利用価値が特に大きい。
構成17は、構成1〜16のいずれか1つにおいて、前記電力変換システムは、車載低電圧システムから絶縁された車載高電圧システムに搭載されるものであり、前記異常診断手段は、前記車載高電圧システム内に設けられて且つ、その診断結果が、低電圧システム内に送信されることを特徴とする。
構成18は、構成1〜17のいずれか1つにおいて、前記放電制御手段が前記スイッチング素子を操作する場合に利用する放電制御用駆動回路と前記電力変換回路が本来の目的で使用される際のスイッチング素子の操作のために利用される通常時用駆動回路とが互いに相違することを特徴とする。
上記発明では、放電制御用駆動回路と通常時用駆動回路とが相違するため、電力変換回路が本来の目的で使用されている際にスイッチング素子が正常に動作したとしても、放電制御手段によるスイッチング素子の操作が正常になされるとは限らない。このため、模擬手段および異常診断手段の利用価値が特に大きい。
構成19は、構成18において、前記放電制御用駆動回路と前記通常時用駆動回路とが同一の集積回路内に形成されて且つ、前記放電制御用駆動回路および前記スイッチング素子の導通制御端子間の電気経路と前記通常時用駆動回路および前記導通制御端子間の電気経路とが前記集積回路のコネクタを共有して且つ、前記異常診断手段の入力パラメータが前記集積回路内の電気経路の電圧であることを特徴とする。
上記発明では、電力変換回路が本来の目的で使用されている場合に正常な動作がなされているなら、コネクタおよび導通制御端子間の電気経路は正常であるものと考えることができる。このため、異常診断手段の入力信号を集積回路内から入手することで、高精度の診断を行なうことができる。
構成20は、構成3、4,9、または18において、前記電力変換回路は、前記直流電源の電力を交流に変換して回転機に出力する直流交流変換回路を備え、前記電力変換回路の本来の目的とは、前記回転機を稼動させるために前記回転機と前記直流電源との間の電力の授受を仲介することであることを特徴とする。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるドライブユニットDUの構成を示す回路図。 同実施形態にかかる異常時の放電制御を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる異常時におけるゲート電圧の印加手法を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる通常時の放電制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる異常時の放電制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる診断部の構成を示す図。 同実施形態にかかる異常診断処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる診断部の構成を示す図。 第3の実施形態にかかる診断部の構成を示す図。 第4の実施形態にかかる診断部の構成を示す図。 第5の実施形態にかかる診断部の構成を示す図。 第6の実施形態にかかる異常診断処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる異常診断結果の通知処理の手順を示す流れ図。 第7の実施形態にかかるU相下側アームのドライブユニットの構成を示す図。 第8の実施形態にかかる異常診断処理の手順を示す流れ図。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電力変換システムの放電制御装置をハイブリッド車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態のシステム構成を示す。図示されるモータジェネレータ10は、車載主機であり、駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータIVと、リレーSMR2および抵抗体14並びにリレーSMR1の並列接続体とを介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、高電圧バッテリ12は、その端子電圧が例えば百V以上の高電圧となるものである。また、インバータIV1の入力端子のうち、リレーSMR1,SMR2よりもインバータIV側には、コンデンサ16および放電抵抗18が並列接続されている。
インバータIVは、パワー素子としての高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの直列接続体が3つ並列接続されて構成されている。そして、これら高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの接続点が、モータジェネレータ10の各相にそれぞれ接続されている。
上記高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnのそれぞれの入出力端子間(コレクタおよびエミッタ間)には、高電位側のフリーホイールダイオードFDpおよび低電位側のフリーホイールダイオードFDnのカソードおよびアノードが接続されている。なお、上記スイッチング素子Swp,Swnは、いずれも絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)にて構成されている。また、スイッチング素子Swp,Swnは、その入力端子および出力端子間に流れる電流と相関を有する微少電流を出力するセンス端子Stを備えている。
センス端子Stの出力する微少電流は、シャント抵抗19を流れ、これによる電圧降下量が、スイッチング素子Sw#(#=p,n)を駆動するためのドライブユニットDUに取り込まれる。ドライブユニットDUは、シャント抵抗19における電圧降下量に基づき、スイッチング素子Sw#の入力端子および出力端子間に流れる電流が閾値電流Ith以上となると判断される場合に、スイッチング素子Sw#を強制的にオフ状態とする機能を有する。
一方、制御装置30は、低電圧バッテリ20を電源とする電子制御装置である。制御装置30は、制御対象としてのモータジェネレータ10の制御量を制御すべく、上記インバータIVを操作する。詳しくは、制御装置30は、図示しない各種センサの検出値等に基づき、インバータIVのU相、V相、およびW相のそれぞれについてのスイッチング素子Swpを操作する操作信号gup,gvp,gwpと、スイッチング素子Swnを操作する操作信号gun,gvn,gwnとを生成し出力する。これにより、スイッチング素子Swp,Swnは、それらの導通制御端子(ゲート)に接続されるドライブユニットDUを介して制御装置30により操作される。また、制御装置30は、自身に作用する力に基づき加速度を検出する加速度検出手段(Gセンサ22)の検出値に基づき、車両の衝突を検知し、衝突が検知された場合、コンデンサ16を強制的に放電させる処理を行なうべく、U相のスイッチング素子Swp,SwnのそれぞれのドライブユニットDUに異常時放電指令dis1,dis2のそれぞれを出力する。
ちなみに、インバータIVを備える高電圧システムと、制御装置30を備える低電圧システムとは、図示しないフォトカプラ等の絶縁手段によって絶縁されており、上記操作信号g*#(*=u,v,w、#=p,n)や、異常時放電指令dis1,2は、絶縁手段を介して高電圧システムに出力される。なお、操作信号g*p(*=u,v,w)と操作信号g*nとは、交互にオン操作指令となる相補信号である。
図2に、スイッチング素子Sw#のドライブユニットDUのうち、特にスイッチング素子Sw#をオン・オフする駆動回路部の構成を示す。詳しくは、図2(a)は、V相およびW相のドライブユニットDUの構成を示し、図2(b)は、U相の下側アームのドライブユニットDUの構成を示し、図2(c)は、U相の上側アームのドライブユニットDUの構成を示す。
図2(a)に示されるように、V相やW相のドライブユニットDUは、端子電圧VHの電源40を備え、電源40の電圧が充電用スイッチング素子42およびゲート抵抗44を介してスイッチング素子Sw#の導通制御端子(ゲート)に印加される。また、スイッチング素子Sw#のゲートは、ゲート抵抗44および放電用スイッチング素子46を介してスイッチング素子の出力端子(エミッタ)に接続され、これがゲートの放電経路となる。充電用スイッチング素子42や放電用スイッチング素子46は、操作信号gj#(j=v、w)に応じて通常時用駆動制御部48によってオン・オフ操作される。これにより、スイッチング素子Sw#は、通常時用駆動制御部48によってオン・オフ操作されることとなる。
一方、U相の下側アームのドライブユニットDUは、図2(b)に示されるように、基本的には、先の図2(a)に示したものと同一であるものの、通常時用駆動制御部48に、OR回路49による操作信号gunと異常時放電指令dis2との論理和信号が入力されるようになっている。
また、U相の上側アームのドライブユニットDUは、図2(c)に示されるように、先の図2(a)に示す構成に加えて、異常時放電指令dis1に応じてスイッチング素子Swpをオン・オフ操作するための専用の回路を備えている。この回路においては、端子電圧VHよりも低い端子電圧VLを有する電源50の電圧が、充電用スイッチング素子52およびゲート抵抗44を介してスイッチング素子Swpのゲートに印加される。また、ゲートは、ゲート抵抗44および放電用スイッチング素子54を介してスイッチング素子Swpのエミッタに接続されている。そして、充電用スイッチング素子52および放電用スイッチング素子54は、異常時放電指令dis1に応じて異常時用駆動制御部56によってオン・オフ操作される。これにより、スイッチング素子Swpは、異常時放電指令dis1に応じてオン・オフ操作される。ここで、図中、破線にて囲って示す部分は、単一の集積回路内に形成されるものである。すなわち、充電用スイッチング素子42,52や、放電用スイッチング素子46,56等は、同一の集積回路内に形成されている。さらに、充電用スイッチング素子42および放電用スイッチング素子46とスイッチング素子Swpのゲートとの間の電気経路と、充電用スイッチング素子52および放電用スイッチング素子54とスイッチング素子Swpのゲートとの間の電気経路とは、コネクタCを共有している。
図3に、異常時放電指令dis1,2に基づく放電制御の態様を示す。詳しくは、図3(a)に、U相の高電位側のスイッチング素子Swpの状態の推移を示し、図3(b)に、U相の低電位側のスイッチング素子Swnの状態の推移を示し、図3(c)に、コンデンサ16の充電電圧の推移を示す。図示されるように、本実施形態では、U相の低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に維持した状態で、高電位側のスイッチング素子Swnを、オン状態およびオフ状態に周期的に切り替える。これにより、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方が同時期にオン状態となる期間が存在し、この期間においてコンデンサ16の両電極間がスイッチング素子Swp,Swnを介して短絡状態とされることで、コンデンサ16が放電される。ここで、スイッチング素子Swpの1回のオン時間は、スイッチング素子Swp、Swnの発熱量を定めるパラメータとなる。このため、1回のオン時間は、スイッチング素子Swp,Swnの発熱による温度上昇が過度に大きくならないように設定される。また、オフ時間は、スイッチング素子Swp,Swnの温度の上昇速度を定めるパラメータとなる。このため、1回のオン時間は、温度の上昇速度が過度に大きくならないように設定されている。
この際、先の図2に示したドライブユニットDUの構成の故に、図4に示すように高電位側のスイッチング素子Swpのゲート印加電圧の方が低電位側のスイッチング素子Swnのゲート印加電圧よりも低くなる。ここで、図4(a)は、U相の高電位側のスイッチング素子Swpに対する異常時放電指令dis1の推移を示し、図4(b)は、高電位側のスイッチング素子Swpのゲート・エミッタ間電圧Vgeの推移を示す。また、図4(c)は、U相の低電位側のスイッチング素子Swnに対する異常時放電指令dis2の推移を示し、図4(d)は、低電位側のスイッチング素子Swnのゲート・エミッタ間電圧Vgeの推移を示す。
こうした構成によれば、高電位側のスイッチング素子Swpは、非飽和領域において駆動されて且つ、低電位側のスイッチング素子Swnは、飽和領域において駆動されることとなる。これは、高電位側のスイッチング素子Swpよりも低電位側のスイッチング素子Swnのゲート印加電圧を低くしたために、高電位側のスイッチング素子Swpの方が低電位側のスイッチング素子Swnよりも非飽和領域の電流が小さくなるためである。これにより、放電制御によって高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを流れる電流は高電位側のスイッチング素子Swpの非飽和領域の電流に制限されることとなる。また、高電位側のスイッチング素子Swpを複数回オン・オフすることで高電位側のスイッチング素子Swpの1回のオン時間が制限されることによっても、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを流れる電流は制限され得る。なお、高電位側のスイッチング素子Swpの非飽和領域の電流は、上記ドライブユニットDUが規定する閾値電流Ith未満となるように設定することが望ましい。ちなみに、上記端子電圧VHは、閾値電流Ithを飽和領域のものとするものである。すなわち、モータジェネレータ10の制御量の制御時においては、スイッチング素子Swp,Swnは、飽和領域で駆動される。
上記放電制御は、車両の衝突時等に行われるものであるが、本実施形態では、車両が通常時において停止し、リレーSMR1が開状態に切り替えられた際にもインバータIVを操作することで放電制御を行なう。ただし、この際の放電制御は、モータジェネレータ10に無効電流を流すことで実行される。これにより、放電抵抗18によるコンデンサ16の放電よりも迅速にコンデンサ16を放電させることができる。ちなみに、放電抵抗18は、例えば車両の牽引等によってモータジェネレータ10が発電状態となりコンデンサ16が充電される等の不測の事態に備えたものである。
図5に、本実施形態における通常時の放電制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、車両の起動スイッチがオフ操作されることでリレーSMR1が閉状態から開状態に切り替えられたか否かを判断する。ここで、車両の起動スイッチとは、ユーザが車両の起動を許可するための手段である。なお、起動スイッチは、必ずしも機械的な操作を要するものに限らず、例えば、ユーザが携帯する無線機器であって車両に近接することで起動許可信号が車両側によって受信可能なものであってもよい。ステップS10において肯定判断される場合、ステップS12において、無効電流を流すように操作信号g*#を設定して各スイッチング素子Sw#に出力する。ここでは、例えばモータジェネレータ10がIPMSMやSPMである場合、q軸電流をゼロとして且つd軸電流の絶対値をゼロよりも大きくするように操作信号g*#を設定すればよい。
なお、ステップS12の処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図6に、本実施形態における異常時放電制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS20において、Gセンサ22の検出値を入力する。続くステップS22では、入力される検出値に基づき車両が衝突したか否かを判断する。ここでは、検出される加速度が所定値以上である場合、衝突した旨判断すればよい。そして、車両が衝突したと判断される場合、ステップS24においてリレーSMR1、SMR2を開状態とする。さらに、ステップS26において、異常時放電指令dis1、dis2を出力する。なお、ステップS26の処理が完了する場合や、ステップS22において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
ところで、上記異常時放電制御は、車両の衝突という異常事態が生じない限り利用されないものである。そして、異常時において確実に異常時放電制御がなされるか否かは、モータジェネレータ10を通常に制御しうるか否かによっては判断できない。これは、異常時放電指令dis1,2が操作信号gup,gunとは別の信号であることや、異常時放電制御に際して利用される駆動回路がモータジェネレータ10の制御量の制御時におけるものとは相違することなどのためである。
そこで本実施形態では、コンデンサ16に充電電荷がないと想定される状況下、異常時放電制御を模擬することで先の図2(c)に示す診断部58を用いて異常時放電制御が実際に実行可能であるか否かを確かめる。
図7に、診断部58の構成を示す。図示されるように、診断部58は、スイッチング素子Swpのゲート電圧の立ち上がりを検出する立ち上がりエッジ検出部60と、ゲート電圧の立ち下りを検出する立ち下がりエッジ検出部62とを備えている。また、立ち上がりエッジ検出部60によって立ち上がりエッジが検出されるタイミングから立ち下がりエッジ検出部62によって立ち下がりエッジが検出されるタイミングまでの時間を計時するタイマ64を備えている。さらに、タイマ64によって計時されたオン時間(ゲート電圧がスイッチング素子Swpをオン状態とする時間)が許容範囲内(異常時放電指令dis1のオン指令期間との誤差が閾値以下)であるか否かを判断するパルス幅比較部66を備えている。また、立ち上がりエッジ検出部60の出力信号を所定時間遅延させることで、立ち上がりエッジが検出されるタイミングから所定時間遅延したタイミングでトリガ信号を出力する遅延回路68と、遅延回路68からトリガ信号が出力されるタイミングでゲート電圧の検出値をホールドするサンプルホールド回路70とを備えている。ここで、遅延回路68の遅延時間は、ゲート電圧がピーク値となると想定される時間に設定されている。そして、電圧比較部72では、サンプルホールド回路70によってホールドされた電圧が許容範囲内(端子電圧VLとの誤差が閾値以下)であるか否かを判断する。
そして、OR回路74において、電圧比較部72の比較結果と、パルス幅比較部66の比較結果との論理和信号が診断信号digとして算出され、出力される。なお、電圧比較部72では、上記ホールドされた電圧が許容範囲である場合に論理「L」の電圧を出力し、パルス幅比較部66では、上記オン時間が許容範囲である場合に論理「L」の電圧を出力する。このため、診断信号digは、オン時間および電圧の少なくとも一方に異常がある場合に論理「H」となる。
図8に、本実施形態にかかる異常時放電制御の異常の有無を診断する処理の手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、起動スイッチがオン状態に切り替えられたか否かを判断する。この処理は、診断実行条件が成立したか否かを判断するためのものである。そして、起動スイッチがオン状態に切り替えられたと判断される場合、診断条件が成立したとして、ステップS32において、異常時放電指令dis1を出力する。続くステップS34では、異常時放電指令dis1の出力継続時間を計時するタイマ計時動作を開始する。そして、タイマが閾値時間Tth以上となるまで正常が検出されない場合(ステップS36でNO且つステップS44でYES)、ステップS46において、異常がある旨外部に通知しユーザに認知させる。
これに対し、閾値時間Tthが経過する前に正常が検出される場合(ステップS36:YES)、ステップS38においてリレーSMR2を閉操作することで、高抵抗電気経路を介して高電圧バッテリ12の電荷をコンデンサ16に充電する。そして、所定時間が経過すると(ステップS40:YES)、リレーSMR2を開状態に切り替えて且つリレーSMR1を閉状態に切り替える。これにより、高電圧バッテリ12とコンデンサ16とが低抵抗電気経路によって接続されることとなる。なお、上記所定時間は、高電圧バッテリ12およびコンデンサ16を低抵抗電気経路で接続してもコンデンサ16に過度に大きな電流が流れなくなると想定される充電電圧までコンデンサ16が充電されると想定される時間に設定される。
なお、上記ステップS42,S46の処理が完了する場合や、ステップS30において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
ちなみに、先の図2(c)に示すように、診断部58の入力信号としてのゲート電圧は、集積回路内においてゲートと同電位と想定される電気経路の電圧となっている。このため、一般に集積回路内の断線が生じる確率は極めて小さいことから、診断部58によって正常検出される場合には、異常時放電制御を確実に実行できると考えることができる。これは、先の図2(c)に示したコネクタCとゲートとの間の電気経路が断線する場合には、操作信号gupが通常時用駆動制御部48に入力される場合であってもスイッチング素子Swpを駆動することができないため、この断線による異常時放電制御の異常については通常のインバータIVの駆動時に把握することができるためである。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)異常時放電指令dis1を出力して異常時放電制御によるスイッチング素子Swpの操作を模擬した際のスイッチング素子Swpの動作に基づき、異常時放電制御の異常の有無を診断した。これにより、コンデンサ16が実際に放電しているか否かの検出に頼ることなく、放電制御の異常の有無を診断することができる。
(2)スイッチング素子Swpのゲートの電圧を入力として、スイッチング素子Swpの動作を把握した。これにより、診断を適切に行なうことができる。
(3)異常時放電指令dis1の出力に伴うスイッチング素子Swpのオン期間のゲートの電圧の検出値に基づき異常の有無を診断した。これにより、異常時放電制御時において、スイッチング素子Swpのゲートに通常時よりも低い電圧を実際に印加することができるか否かを確かめることができる。
(4)異常時放電指令dis1の出力に伴うスイッチング素子Swpのオン期間の長さに基づき異常の有無を診断した。これにより、異常時放電制御時においてスイッチング素子Swp,Swnの短絡状態が継続される時間が過度に長くなってこれらの発熱量が過大となる事態が生じないか否かを確かめることができる。
(5)起動スイッチがオン操作された後、リレーSMR2が閉状態に切り替えられるに先立って異常時放電指令dis1を出力して診断を行った。これにより、起動スイッチのオン操作に伴う車両の発進以降において異常時放電制御が確実になされるか否かを確認することができる。
(6)異常時放電制御を行なうための駆動回路と通常時の駆動回路とを同一の集積回路内に形成して、これらとゲートとの電気経路中のコネクタCを共有した。そして、診断部58の入力パラメータを集積回路内の電気経路の電圧とすることで、高精度の診断を行なうことができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかる診断部58を示す。なお、図9において、先の図7に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、タイマ64aによって立ち下りエッジの検出タイミングから立ち上がりエッジの検出タイミングまでの時間を計時することで、オフ時間を計測する。そして、パルス幅比較部66では、オフ時間が許容範囲(異常時放電指令dis1のオフ指令期間との誤差が閾値以下)内であるか否かを判断する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(5)、(6)の各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(7)異常時放電指令dis1の出力に伴うスイッチング素子Swpのオフ期間の長さに基づき異常の有無を診断した。これにより、異常時放電制御時においてスイッチング素子Swp,Swnが短絡状態とされる隣接する一対の期間の間の時間間隔が過度に長くなってスイッチング素子Swp,Swnの温度上昇速度が過大となる事態が生じないか否かを確かめることができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施形態にかかる診断部58を示す。なお、図10において、先の図7に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、Duty算出部64bによって、立ち下りエッジの検出タイミングと立ち上がりエッジの検出タイミングとの時間間隔に基づき、スイッチング素子Swpのオン・オフの1周期に対するオン時間の時比率(Duty)を算出する。一方、Duty比較部66bでは、Dutyが許容範囲(異常時放電指令dis1の規定するDutyとの誤差が閾値以下)内であるか否かを判断する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(5)、(6)の各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(8)異常時放電指令dis1の出力に伴うスイッチング素子Swpのオン・オフの1周期に対するオン時間の時比率に基づき異常の有無を診断した。これにより、異常時放電制御時においてスイッチング素子Swp,Swnが短絡状態とされる期間や、これら隣接する一対の期間の間の時間間隔が異常時放電指令dis1によって規定されるものから大きくずれることで温度上昇速度等が過大となる事態が生じないか否かを確かめることができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図11に、本実施形態にかかる診断部58を示す。なお、図11において、先の図7に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、ゲート電圧が、ピークホールド70aに取り込まれることで、ゲート電圧のピーク値が検出される。そして、電圧比較部72では、ピーク値が許容範囲(電源50の電圧VLとの誤差が閾値以下)内であるか否かを判断する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(4)〜(6)の各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(9)異常時放電指令dis1の出力に伴うゲート電圧のピーク値に基づき異常時放電制御の異常の有無を診断した。これにより、異常時放電制御時において通常時とは相違する電圧をゲートに印加することができるか否かを確かめることができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施形態にかかる診断部58を示す。なお、図12において、先の図7に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、オン時間やオフ時間等の検出は行わない。一方、ゲート電圧に関するパラメータとして、フィルタ79によるゲート電圧の平均値を用いる。すなわち、電圧比較部72において、平均値が許容範囲(異常時放電指令dis1の規定するDutyや電源50の端子電圧VLから想定される平均値との誤差が閾値以下)内であるか否かを判断する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(5)、(6)の各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(10)異常時放電指令dis1の出力に伴うゲートの平均電圧に基づき異常時放電制御の異常の有無を診断した。これにより、異常時放電指令dis1の規定するDutyから大きくずれることがないか否かや、電源50の端子電圧VLが正常であるか否かを確かめることができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、起動スイッチがオフ操作された後に異常時放電制御の異常の有無を診断する。図13に、本実施形態にかかる診断処理の手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS50において、起動スイッチがオフ状態に切り替えられたか否かを判断する。そして切り替えられたと判断される場合、ステップS52において、リレーSMR1を開状態に切り替える。続くステップS54では、異常時放電指令dis1を出力する。続くステップS56では、異常時放電指令dis1の出力継続時間を計時するタイマ計時動作を開始する。そして、タイマが閾値時間Tth以上となるまで正常が検出されない場合(ステップS58でNO且つステップS62でYES)、ステップS64において、電気的書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)に異常である旨記憶保持させる。これに対し、閾値時間Tthが経過する前に正常が検出される場合(ステップS58;YES)、ステップS60において、EEPROMに正常である旨記憶保持させる。
なお、ステップS60、S64の処理が完了する場合や、ステップS50において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図14に、異常診断処理の一環として、先の図13の処理とともに行われる処理の手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS70において、起動スイッチがオン状態に切り替えられたか否かを判断する。そして、起動スイッチがオン状態に切り替えられたと判断される場合、ステップS72において、EEPROMにアクセスすることで、前回の起動スイッチのオフ操作に伴う診断結果を取り込む。そして、ステップS74において、この診断結果が異常である旨を示す場合、ステップS82において、外部に対して異常である旨通知することでユーザにその旨を知らせる処理を行なう。これに対し、この診断結果が正常である旨を示す場合、ステップS76において、リレーSMR2を閉操作することで高電圧バッテリ12とコンデンサ16とを高抵抗電気経路によって接続し、所定時間待機する(ステップS78)。そして所定時間が経過すると、ステップS80において、リレーSMR2を開状態として且つリレーSMR1を閉状態とすることで、高電圧バッテリ12とコンデンサ16とを低抵抗電気経路によって接続する。
なお、ステップS82、S80の処理が完了する場合や、ステップS70において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)、(6)の各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(11)起動スイッチがオフ操作されることでリレーSMR1が開状態に切り替えられた後であって且つ制御装置30がオフとされるに先立って異常時放電指令dis1を出力して診断を行った。そして、異常の有無をEEPROMに記憶し、起動スイッチがオンとされることで、EEPROMにアクセスし、異常がある旨の診断結果が記憶保持されている場合、その旨を外部に通知した。これにより、起動スイッチがオン操作されユーザが車両内にいると考えられるときにその旨を通知することで、異常がある旨をユーザに確実に通知することができる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図15に、本実施形態にかかるU相下側アームのドライブユニットDUの構成を示す。なお、図15において、先の図2(b)に示した部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、U相の下側アームのドライブユニットDUは、先の図2(b)に示す構成に加えて、異常時放電指令dis2に応じてスイッチング素子Swnをオン・オフ操作するための専用の回路を備えている。この回路においては、端子電圧VHを有する電源80の電圧が、充電用スイッチング素子82およびゲート抵抗44を介してスイッチング素子Swnのゲートに印加される。また、ゲートは、ゲート抵抗44および放電用スイッチング素子84を介してスイッチング素子Swnのエミッタに接続されている。そして、充電用スイッチング素子82および放電用スイッチング素子84は、異常時放電指令dis2に応じて異常時用駆動制御部86によってオン・オフ操作される。これにより、スイッチング素子Swnは、異常時放電指令dis2に応じてオン・オフ操作される。ここで、図中、破線にて囲って示す部分は、単一の集積回路内に形成されるものである。すなわち、充電用スイッチング素子42,82や、放電用スイッチング素子46,84等は、同一の集積回路内に形成されている。さらに、充電用スイッチング素子42および放電用スイッチング素子46の接続点とスイッチング素子Swnのゲートとの間の電気経路と、充電用スイッチング素子82および放電用スイッチング素子84の接続点とスイッチング素子Swnのゲートとの間の電気経路とは、コネクタCを共有している。
上記ドライブユニットDUは、さらに、上記集積回路内に診断部88を備えている。診断部88は、集積回路内においてゲート電圧と同電位となると想定される電気経路の電圧を取り込み、これが許容範囲(電源80の端子電圧VHとの誤差が閾値以下)内となるか否かを判断し、その結果を診断信号digとして制御装置30に出力する。
このように、本実施形態では、U相の下側アームについても、異常時放電制御時の駆動回路が通常時のものと相違するのであるが、異常時放電制御時の駆動回路が確実に動作するか否かを確かめることができる。特に、異常時放電制御時において、U相の低電位側のスイッチング素子Swnのゲートに印加される電圧が、高電位側のスイッチング素子Swpのゲートに印加される電圧よりも高くなるか否かについても確かめることができる。
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について、先の第7の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、本実施形態にかかる異常診断処理の手順を示す。この処理は、制御装置30によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図16において、先の図13に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、まずステップS50において、起動スイッチがオフ状態に切り替えられたか否かを判断する。そして切り替えられたと判断される場合、ステップS54において、リレーSMR1の切り替えに先立ち、異常時放電指令dis1を出力する。続くステップS56では、異常時放電指令dis1の出力継続時間を計時するタイマ計時動作を開始する。そして、タイマが閾値時間Tth以上となるまで正常が検出されない場合(ステップS58でNO且つステップS62でYES)、ステップS64aにおいて、EEPROMに上側アームに異常がある旨記憶保持させる。これに対し、閾値時間Tthが経過する前に正常が検出される場合(ステップS58;YES)、ステップS60aにおいて、EEPROMに上側アームが正常である旨記憶保持させる。
上記ステップS60a,64aの処理が完了する場合、ステップS90において、異常時放電指令dis2を出力する。続くステップS92では、異常時放電指令dis2の出力継続時間を計時するタイマ計時動作を開始する。そして、タイマが閾値時間Tth以上となるまで正常が検出されない場合(ステップS94でNO且つステップS98でYES)、ステップS100において、EEPROMに下側アームに異常がある旨記憶保持させる。これに対し、閾値時間Tthが経過する前に正常が検出される場合(ステップS94;YES)、ステップS96において、EEPROMに下側アームが正常である旨記憶保持させる。
なお、上記ステップS96、S100の処理が完了する場合や、ステップS50において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第7の実施形態の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(12)リレーSMR1が閉状態であるときに異常の有無を診断するに際し、高電位側のスイッチング素子Swpの操作を模擬する処理(異常時放電指令dis1の出力)と低電位側のスイッチング素子Swnの操作を模擬する処理(異常時放電指令dis2)とが同時になされることを禁止した。これにより、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方がオン状態となることに起因してこれらに大電流が流れ、診断処理のためにスイッチング素子Swp,Swnの発熱量が増大する事態を回避することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<判断手段について>
電力変換システムの搭載される部材に異常が生じたか否かを判断する判断手段としては、低電圧システム内に搭載されて操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを生成する制御装置30に限らない。例えば、高電圧システム内に搭載されて且つ異常時放電指令dis1,2を生成する専用の手段としてもよい。ただし、この場合であっても制御装置30も異常時放電指令dis1,2を診断用に出力可能とすることが望ましい。これは、例えば、ドライブユニットDUの入力信号を、専用の手段の信号と制御装置30からの信号との論理和とすることで実現することができる。もっとも、制御装置30が異常時放電指令dis1,2を生成する機能を備えなくても、上記専用の手段を操作することで同手段に異常時放電指令dis1,2を出力させるなら、診断を実行することができる。
また、判断手段としては、Gセンサ22の検出値に基づき異常が生じたと判断するものに限らない。例えばモータジェネレータやインバータIV、昇圧コンバータCV等を備える電力変換システムの異常の有無の診断手段の診断結果に基づくものであってもよい。
<ドライブユニットDUについて>
U相の上側アームのドライブユニットDUとしては、通常時における充電用スイッチング素子42および放電用スイッチング素子46と、異常時における充電用スイッチング素子52および放電用スイッチング素子54とを各別に備えるものに限らない。例えば、これらを共有する代わりに、充電用スイッチング素子の入力端子に電圧を印加する手段を、通常時と異常時とで異ならせてもよい。
<通常時放電手段について>
通常時放電手段としては、モータジェネレータ10に無効電流を流す処理を行なうものに限らない。例えば放電抵抗18によってコンデンサ16を放電させる手段であってもよい。また例えば、インバータIVの正極側入力端子と負極側入力端子との間にリレーおよび抵抗体を備える放電回路を設け、リレーを操作する手段であってもよい。
さらに、放電制御に際して高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることによる放電制御を行なう手段であってもよい。
くわえて、上記各実施形態における異常時放電制御を行なう手段を、通常時放電手段としてもよい。
<異常時放電制御手段について>
異常時放電制御手段としては、低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に保った状態で高電位側のスイッチング素子Swpのオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものに限らない。例えば、高電位側のスイッチング素子Swpをオン状態に保った状態で低電位側のスイッチング素子Swnのオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものであってもよい。ただし、この場合であっても、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返す側のゲート印加電圧の方を低く設定し、非飽和領域で動作させることが望ましい。また、例えば高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの同時のオン状態および同時のオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものであってもよい。ここで、これら高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの少なくとも一方を非飽和領域で動作させるべくゲート印加電圧を調節してもよいが、双方を飽和領域で動作するようにしてもよい。また、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方を、放電制御期間において一度だけオン状態とするものであってもよい。
また、モータジェネレータ10の1の相に電圧を印加する高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの組のみを用いて放電制御を行なうものに限らない。例えば全相の高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを同時にオン状態とするものであってもよい。また例えば、各相の高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを順次オン状態とするように切り替えるものであってもよい。
さらに、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを同時にオン状態とすることでコンデンサ16の両電極を短絡させるものに限らない。例えばモータジェネレータ10に無効電流を流す手段であってもよい。この場合、たとえば通常時放電手段を、放電抵抗18によって放電させる手段とすればよい。
<異常診断手段について>
異常診断手段としては、スイッチング素子の導通制御端子の電圧を入力としてスイッチング素子の動作を把握するものに限らない。例えば先の図2に例示したドライブユニットDUに代えて、モータジェネレータ10の制御量の制御時と異常時放電制御時とで充電用スイッチング素子42および放電用スイッチング素子46を共有し、充電用スイッチング素子42の入力端子に接続する電源をモータジェネレータ10の制御量の制御時と異常時放電制御時とで切り替える構成として且つ、その切り替えが正常になされたか否かに基づきスイッチング素子の動作を把握するものであってよい。
さらに、異常診断装置としては、このスイッチング素子の動作を確認するものに限らず、例えば高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの双方が同時にオン状態とされるか否かを確認することで、異常の有無を判断するものであってもよい。
<直流交流変換回路について>
放電制御に際して高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方がオン状態とされる直流交流変換回路(インバータIV)としては、車載主機としての回転機と高電圧バッテリ12との間の電力の授受を仲介するものに限らない。例えば、空調装置の備える回転機等、主機以外の回転機と高電圧バッテリ12との間の電力の授受を仲介するものであってもよい。
<電力変換回路について>
電力変換回路としては、インバータIVのみからなるものに限らない。例えば、リアクトルと、リアクトルを介してコンデンサ16に並列接続されるスイッチング素子と、フリーホイールダイオードと、スイッチング素子とフリーホイールダイオードとの直列接続体に接続されるコンデンサとを備える昇圧コンバータを、インバータIVの入力端子に接続させてもよい。この場合、昇圧コンバータの出力端子に接続されたコンデンサとコンデンサ16とが放電制御の対象となり、コンデンサ16の電圧は、昇圧コンバータのコンデンサの電圧が低下するに連れてフリーホイールダイオードを介して放電されることとなる。
なお、上記フリーホイールダイオードにスイッチング素子を並列接続させるなら、昇圧コンバータCVの一対のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで放電制御を行なうことも可能である。
<そのほか>
・診断部58を低電圧システムに設けてもよい。
・放電制御に用いる高電位側のスイッチング素子Swpや低電位側のスイッチング素子Swnとしては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタであってもよい。
・車両としては、ハイブリッド車に限らず、例えば車載主機として回転機のみを備える電気自動車等であってもよい。
・放電制御装置としては、車両に搭載されるものに限らず、例えば住宅に設けられる直流電源の電力を交流に変換する電力変換システムに適用されるものであってもよい。この場合、異常時とは、例えば地震等が検地された場合とすればよい。
10…モータジェネレータ、12…高電圧バッテリ(直流電源の一実施形態)、16…コンデンサ、30…制御装置、58…診断部、Swp…高電位側のスイッチング素子、Swn…低電位側のスイッチング素子Swn。

Claims (19)

  1. 直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記電力変換回路を操作することで前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置において、
    前記電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体であって且つ前記キャパシタに並列接続される直列接続体を備え、
    前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子は、電圧制御形のスイッチング素子であり、
    前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うものであり、
    前記放電制御手段による前記スイッチング素子の操作を模擬する模擬手段と、
    該模擬手段によって模擬する処理がなされるときにおける該模擬する処理の対象とされるスイッチング素子の導通制御端子の電圧の検出値に基づき、前記放電制御手段による放電制御の異常の有無を診断する異常診断手段を備えることを特徴とする電力変換システムの放電制御装置。
  2. 前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記異常診断手段は、前記模擬する処理によって前記少なくとも一方のスイッチング素子のオン操作が模擬される際の前記導通制御端子の電圧の検出値に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  3. 前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記スイッチング素子は、出力端子に対する前記導通制御端子の電圧が高くなることでオン状態となるものであり、
    前記異常診断手段は、前記模擬する処理がなされている期間における前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子の電圧のピーク値に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  4. 前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、
    前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン期間およびオフ期間の少なくとも一方の時間間隔に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  5. 前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン期間の長さに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  6. 前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオフ期間の長さに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  7. 前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子のオン状態およびオフ状態の1周期における前記オン状態となる時間の時比率に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  8. 前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記放電制御手段は、前記少なくとも一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、
    前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記少なくとも一方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子の導通制御端子の平均電圧に基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
  9. 前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方の非飽和領域の電流が前記電力変換回路が本来の目的で使用される場合よりも小さくなるように前記少なくとも一方のスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記放電制御手段は、前記いずれか一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、
    前記異常診断手段は、前記模擬手段によって前記いずれか他方のスイッチング素子の操作が模擬されるときにおける該スイッチング素子の導通制御端子に印加される電圧が、該スイッチング素子の非飽和領域の電流を前記いずれか一方のスイッチング素子の前記放電制御時の非飽和領域の電流よりも大きくするものか否かに基づき前記放電制御の異常の有無を診断することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  10. 前記模擬手段は、前記キャパシタが充電されていないと想定される状況下、前記模擬する処理を行なうことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  11. 前記電力変換システムは、車両に搭載されるものであり、
    前記開閉手段は、前記車両の起動スイッチがオン操作されることで閉状態に切り替えられるものであり、
    前記模擬手段は、前記起動スイッチがオン操作された後、前記開閉手段が閉状態に切り替えられるに先立って前記模擬する処理を行なうことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  12. 前記電力変換システムは、車両に搭載されるものであり、
    前記開閉手段は、前記車両の起動スイッチがオフ操作されることで開状態に切り替えられるものであり、
    当該放電制御装置は、起動スイッチがオフ操作されることでオフとされるものであり、
    前記模擬手段は、前記起動スイッチがオフ操作されることで前記開閉手段が開状態に切り替えられた後であって且つ当該放電制御装置がオフとされるに先立って前記模擬する処理を行なうことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  13. 当該放電制御装置がオフ状態であってもデータが保持される記憶手段を更に備え、
    前記異常診断手段は、前記異常がある旨の診断結果を記憶手段に記憶保持するものであり、
    当該放電制御装置は、前記起動スイッチがオン操作されることでオンとされるものであって且つ、オンとされることで、前記記憶手段にアクセスし、前記異常がある旨の診断結果が記憶保持されている場合、その旨を外部に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項12記載の電力変換システムの放電制御装置。
  14. 前記模擬手段は、前記開閉手段が閉状態であるときに前記模擬する処理を行なうものであって且つ前記高電位側のスイッチング素子の操作を模擬する処理と前記低電位側のスイッチング素子の操作を模擬する処理とが同時になされることを禁止する禁止手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  15. 前記電力変換システムの搭載される部材に異常が生じたか否かを判断する判断手段を備え、
    前記放電制御手段は、前記判断手段によって異常が生じたと判断される場合に前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行う異常時放電制御手段であり、
    前記開閉手段が開状態とされて且つ前記異常が生じた旨の判断がなされていない場合に前記短絡させる処理を行なうことなく前記キャパシタを放電する通常時放電手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  16. 前記電力変換システムは、車載低電圧システムから絶縁された車載高電圧システムに搭載されるものであり、
    前記異常診断手段は、前記車載高電圧システム内に設けられて且つ、その診断結果が、低電圧システム内に送信されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  17. 前記放電制御手段が前記スイッチング素子を操作する場合に利用する放電制御用駆動回路と前記電力変換回路が本来の目的で使用される際のスイッチング素子の操作のために利用される通常時用駆動回路とが互いに相違することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の電力変換システムの放電制御装置。
  18. 前記放電制御用駆動回路と前記通常時用駆動回路とが同一の集積回路内に形成されて且つ、前記放電制御用駆動回路および前記スイッチング素子の導通制御端子間の電気経路と前記通常時用駆動回路および前記導通制御端子間の電気経路とが前記集積回路のコネクタを共有して且つ、前記異常診断手段の入力パラメータが前記集積回路内の電気経路の電圧であることを特徴とする請求項17記載の電力変換システムの放電制御装置。
  19. 前記電力変換回路は、前記直流電源の電力を交流に変換して回転機に出力する直流交流変換回路を備え、
    前記電力変換回路の本来の目的とは、前記回転機を稼動させるために前記回転機と前記直流電源との間の電力の授受を仲介することであることを特徴とする請求項2、3、8、または17記載の電力変換システムの放電制御装置。
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