JP5562702B2 - 電力変換システムの放電制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うことにより前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置に関する。
この種の放電制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、インバータの高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子とを同時にオン状態とすることで、インバータの入力端子に接続されるコンデンサの両電極を短絡し、コンデンサを放電させるものも提案されている。この制御装置では、コンデンサの両電極を短絡させる際に流れる電流が過度に大きくなることを回避すべく、放電制御時には通常時と比較して、スイッチング素子であるIGBTのゲートへの印加電圧を低減させている。
特開2009−232620号公報
ところで、上記放電制御時には、スイッチング素子の単位時間当たりの発熱量が非常に大きくなりやすい。ここで、この発熱量は、スイッチング素子を流れる電流量に依存するため、ゲートへの印加電圧を低減することで制限することができる。ただし、スイッチング素子の個体差や経時変化に起因した素子特性のばらつきや、スイッチング素子の駆動回路の個体差や経時変化に起因した印加電圧のばらつき等に起因して、スイッチング素子を実際に流れる電流を高精度に制御することは困難であり、ひいては発熱量を高精度に制御することは困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うことにより前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御するに際し、スイッチング素子の発熱量を好適に制御することのできる電力変換システムの放電制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
第1の発明は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を備えて且つ直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うことにより前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子は、電圧制御形のスイッチング素子であり、前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方の非飽和領域の電流がいずれか他方のものよりも小さくなるように前記いずれか一方および前記いずれか他方のそれぞれのスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、前記放電制御手段による放電制御によって流れる電流の検出値に基づき、前記いずれか一方のスイッチング素子の発熱量を制御すべく前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子への電圧の印加態様を操作する操作手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、キャパシタの放電制御に際しての高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の発熱は、上記いずれか一方のスイッチング素子の方が顕著となる。そして、この発熱量は、放電制御によって流れる電流によって把握することができる。このため、放電制御によって流れる電流に基づき、制御量としての発熱量を把握することで、双方のスイッチング素子の発熱量が過度に大きくなることを好適に回避することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記放電制御手段は、前記いずれか他方がオン状態となっている間に前記いずれか一方のスイッチング状態を切り替えるようにして、該いずれか一方のオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであることを特徴とする。
上記発明では、キャパシタの放電期間を時分割制御することができるため、スイッチング素子の単位時間当たりの発熱量を低減することができ、ひいてはスイッチング素子の温度が過度に上昇することを好適に回避することができる。また、上記発明では、いずれか他方がオン状態である間にいずれか一方のスイッチング状態を切り替えるため、いずれか一方のスイッチング状態の切り替え時においていずれか他方のスイッチング状態の切り替えがなされる場合のように貫通電流が大きくなる事態等を回避することもできる。
第3の発明は、第2の発明において、前記操作手段は、前記いずれか一方のスイッチング素子の前記オン状態および前記オフ状態の周期に対するオン状態の時間の比率である時比率を前記発熱量の制御のための操作量とすることを特徴とする。
上記発明では、上記時比率を操作量とすることで、発熱量を好適に制御することができる。
第4の発明は、第2の発明において、前記操作手段は、前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子の印加電圧の値を前記発熱量の制御のための操作量とすることを特徴とすることを特徴とする。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、前記いずれか一方のスイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を更に備え、前記操作手段は、前記温度検出手段によって検出される温度をフィードバック制御すべく前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子への電圧の印加態様を操作することを特徴とする。
上記発明では、キャパシタの放電制御に際しての高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の発熱は、上記いずれか一方のスイッチング素子の方が顕著となる。このため、この温度を制御量としてこれをフィードバック制御することで、双方のスイッチング素子の温度が過度に高くなることを好適に回避することができる。
第6の発明は、第5の発明において、前記放電制御手段は、前記いずれか他方がオン状態となっている間に前記いずれか一方のスイッチング状態を切り替えるようにして、該いずれか一方のオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、前記いずれか一方のスイッチング素子の発熱量を制御するための操作量と、前記検出される温度をフィードバック制御するための操作量とに、前記いずれか一方のスイッチング素子の前記オン・オフの周期に対するオン時間の比率である時比率と前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子の印加電圧の値とを割り振ることを特徴とする。
上記発明では、放電電流の検出値から把握される発熱量の制御のための操作量と、温度のフィードバック制御のための操作量とを互いに相違するパラメータとすることで、ハードウェア手段によって操作手段を構築する場合であっても、その構成を簡素化することが容易となる。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるドライブユニットの回路構成を示す回路図。 同実施形態にかかる異常時の放電制御を示すタイムチャート。 ゲート印加電圧と電流との関係を示す図。 第2の実施形態にかかるドライブユニットの回路構成を示す回路図。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電力変換システムの放電制御装置をハイブリッド車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態のシステム構成を示す。図示されるモータジェネレータ10は、車載主機であり、駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータIVと、リレーSMR2および抵抗体14並びにリレーSMR1の並列接続体とを介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、高電圧バッテリ12は、その端子電圧が例えば百V以上の高電圧となるものである。また、インバータIV1の入力端子のうち、リレーSMR1,SMR2よりもインバータIV側には、コンデンサ16および放電抵抗18が並列接続されている。
インバータIVは、パワー素子としての高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの直列接続体が3つ並列接続されて構成されている。そして、これら高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの接続点が、モータジェネレータ10の各相にそれぞれ接続されている。
上記高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnのそれぞれの入出力端子間(コレクタおよびエミッタ間)には、高電位側のフリーホイールダイオードFDpおよび低電位側のフリーホイールダイオードFDnのカソードおよびアノードが接続されている。なお、上記スイッチング素子Swp,Swnは、いずれも絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)にて構成されている。また、スイッチング素子Swp,Swnは、その入力端子および出力端子間に流れる電流と相関を有する微少電流を出力するセンス端子Stを備えている。
センス端子Stの出力する微少電流は、シャント抵抗19を流れ、これによる電圧降下量が、スイッチング素子Sw#(#=p,n)を駆動するためのドライブユニットDUに取り込まれる。ドライブユニットDUは、シャント抵抗19における電圧降下量に基づき、スイッチング素子Sw#の入力端子および出力端子間に流れる電流が閾値電流Ith以上となると判断される場合に、スイッチング素子Sw#を強制的にオフ状態とする機能を有する。
一方、制御装置30は、低電圧バッテリ20を電源とする電子制御装置である。制御装置30は、制御対象としてのモータジェネレータ10の制御量を制御すべく、上記インバータIVを操作する。詳しくは、制御装置30は、図示しない各種センサの検出値等に基づき、インバータIVのU相、V相、およびW相のそれぞれについてのスイッチング素子Swpを操作する操作信号gup,gvp,gwpと、スイッチング素子Swnを操作する操作信号gun,gvn,gwnとを生成し出力する。これにより、スイッチング素子Swp,Swnは、それらの導通制御端子(ゲート)に接続されるドライブユニットDUを介して制御装置30により操作される。また、制御装置30は、自身に作用する力に基づき加速度を検出する加速度検出手段(Gセンサ22)の検出値に基づき、車両の衝突を検知し、衝突が検知された場合、コンデンサ16を強制的に放電させる処理を行なうべく、U相のスイッチング素子Swp,SwnのドライブユニットDUに異常時放電指令disをそれぞれ出力する。
ちなみに、インバータIVを備える高電圧システムと、制御装置30を備える低電圧システムとは、図示しないフォトカプラ等の絶縁手段によって絶縁されており、上記操作信号g*#(*=u,v,w、#=p,n)や、異常時放電指令disは、絶縁手段を介して高電圧システムに出力される。
図2に、スイッチング素子Sw#のドライブユニットDUのうち、特にスイッチング素子Sw#をオン・オフする駆動回路部の構成を示す。詳しくは、図2(a)は、V相およびW相のドライブユニットDUの構成を示し、図2(b)は、U相の下側アームのドライブユニットDUの構成を示し、図2(c)は、U相の上側アームのドライブユニットDUの構成を示す。
図2(a)に示されるように、V相やW相のドライブユニットDUは、端子電圧VHの電源40を備え、電源40の電圧が充電用スイッチング素子42およびゲート抵抗44を介してスイッチング素子Sw#の導通制御端子(ゲート)に印加される。また、スイッチング素子Sw#のゲートは、ゲート抵抗44および放電用スイッチング素子46を介してスイッチング素子の出力端子(エミッタ)に接続され、これがゲートの放電経路となる。充電用スイッチング素子42や放電用スイッチング素子46は、操作信号gj#(j=v、w)に応じて駆動制御部48によってオン・オフ操作される。これにより、スイッチング素子Sw#は、駆動制御部48によってオン・オフ操作されることとなる。
一方、U相の下側アームのドライブユニットDUは、図2(b)に示されるように、基本的には、先の図2(a)に示したものと同一であるものの、駆動制御部48に、OR回路49による操作信号gunと異常時放電指令disとの論理和信号が入力されるようになっている。
また、U相の上側アームのドライブユニットDUは、図2(c)に示されるように、基本的には、先の図2(a)に示したものと同一であるものの、電源40の端子電圧VHを降圧するレギュレータ58と、レギュレータ58および電源40間を開閉する電源用スイッチング素子71とをさらに備えている。これにより、レギュレータ58の出力電圧VL(<VH)が、充電用スイッチング素子52およびゲート抵抗44を介してスイッチング素子Swpのゲートに印加される。また、ゲートは、ゲート抵抗44および放電用スイッチング素子54を介してスイッチング素子Swpのエミッタに接続されている。そして、充電用スイッチング素子52および放電用スイッチング素子54は、異常時放電指令disが出力される状況下、異常時用駆動制御部56によってオン・オフ操作される。なお、上記電源用スイッチング素子71は、異常時放電指令disが入力されることで閉状態となるノーマリーオープンタイプのものを想定している。
一方、放電電流を検出すべくホール素子等を備えて構成される電流センサ59の検出値は、ラッチ60を介してコンパレータ62の反転入力端子に印加される。コンパレータ62の非反転入力端子には、所定の周波数を有する信号を出力する発振器64の出力信号(キャリア)が印加される。これにより、コンパレータ62では、上記検出値の方がキャリアよりも小さくなる場合に論理「H」となる信号を出力する。ちなみに、ラッチ60は、コンパレータ62が論理「H」となることをトリガとして、入力電圧(上記電圧降下量)の値を保持する。
そして、上記コンパレータ62の出力信号は、上記異常時用駆動制御部56に入力される。これにより、高電位側のスイッチング素子Swpは、コンパレータ62の出力信号が論理「H」となる間、オン操作されることとなる。
上記高電位側のスイッチング素子Swpの付近には、その温度を検出する感温ダイオードSDが設けられている。詳しくは、感温ダイオードSDのカソード側は、スイッチング素子Swpのエミッタに接続されており、アノード側は、電源40を給電手段とする定電流回路74の出力端子に接続されている。そして、アノード側の電圧がレギュレータ58に取り込まれる。そして、レギュレータ58では、感温ダイオードSDによって検出される温度に応じて、出力電圧VL(<VH)を可変設定する。ちなみに、感温ダイオードSDの出力電圧と検出対象の温度とは負の相関を有する。
図3に、異常時放電指令disに基づく放電制御の態様を示す。詳しくは、図3(a)に、異常時放電指令disの推移を示し、図3(b)に、ラッチ60の出力信号(一点鎖線)と発振器64の出力するキャリアとの推移を示し、図3(c)に、U相の高電位側のスイッチング素子Swpの状態の推移を示し、図3(d)に、U相の低電位側のスイッチング素子Swnの状態の推移を示す。図示されるように、本実施形態では、U相の低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に維持しつつ、高電位側のスイッチング素子Swpを、オン状態およびオフ状態に周期的に切り替える。これにより、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方が同時期にオン状態となる期間が存在し、この期間においてコンデンサ16の両電極間がスイッチング素子Swp,Swnを介して短絡状態とされることで、コンデンサ16が放電される。
この際、先の図2に示したドライブユニットDUの構成の故に、図3(e)および図3(f)に示すように、高電位側のスイッチング素子Swpのゲート印加電圧の方が低電位側のスイッチング素子Swnのゲート印加電圧よりも低くなる。ここで、図3(e)は、高電位側のスイッチング素子Swpのゲート・エミッタ間電圧Vgeの推移し、図3(f)は、低電位側のスイッチング素子Swnのゲート・エミッタ間電圧Vgeの推移を示す。
こうした構成によれば、高電位側のスイッチング素子Swpは、非飽和領域において駆動されて且つ、低電位側のスイッチング素子Swnは、飽和領域において駆動されることとなる。ここで、飽和領域とは、図4に示すように、出力電流(コレクタ電流Ic)に応じてスイッチング素子の入力端子および出力端子間の電圧(コレクタエミッタ間電圧Vce)が大きくなる領域のことである。一方、非飽和領域とは、コレクタ電流が増加することなくコレクタエミッタ間電圧Vceが増大する領域のことである。非飽和領域となるコレクタ電流Icは、ゲート印加電圧(ゲート・エミッタ間電圧Vge)が大きいほど大きくなる。
このため、低電位側のスイッチング素子Swnよりも高電位側のスイッチング素子Swpのゲート印加電圧を低くすることで、高電位側のスイッチング素子Swpの方が低電位側のスイッチング素子Swnよりも非飽和領域の電流が小さくなる。これにより、放電制御によって高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを流れる電流は高電位側のスイッチング素子Swpの非飽和領域の電流に制限されることとなる。なお、高電位側のスイッチング素子Swpの非飽和領域の電流は、上記ドライブユニットDUが規定する閾値電流Ith未満となるように設定することが望ましい。ちなみに、上記端子電圧VHは、閾値電流Ithを飽和領域のものとするものである。すなわち、モータジェネレータ10の制御量の制御時においては、スイッチング素子Swp,Swnは、飽和領域で駆動される。
ところで、上記異常時放電指令disをトリガとした放電制御としては、U相の高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの発熱量が過大となりスイッチング素子Swp,Swnの信頼性が低下することが無いような設定が望まれる。ここで、スイッチング素子Swp,Swnの単位時間当たりの発熱量は、これらに流れる電流と、スイッチング素子Swpの各1回のオン時間やオフ時間に依存する。一方、スイッチング素子Swp,Swnを流れる電流は、スイッチング素子Swpのゲートに印加する電圧によって制御可能であるとはいえ、その制御性を高くすることは困難である。これは、ドライブユニットDUの個体差や経時変化に起因して印加電圧にばらつきが生じたり、また、スイッチング素子Swp自体の個体差や経時変化に起因して非飽和領域の電流にばらつきが生じたりするためである。
そこで本実施形態では、高電位側のスイッチング素子Swpの温度を制御量として、これを感温ダイオードSDによって検出し、この検出値が過度に高くならないようにフィードバック制御する。ここで、フィードバック制御量を高電位側のスイッチング素子Swpの温度としたのは、上記放電制御によって生じる発熱量の大部分が、非飽和領域で駆動される高電位側のスイッチング素子Swpによるものとなることに鑑みたものである。
なお、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方を非飽和領域で駆動することで発熱量を均等分割することは、スイッチング素子Swp,SwnやドライブユニットDUの個体差や経時変化のために非常に困難である。すなわち、上記個体差や経時変化のために、いずれか一方の非飽和領域の電流と他方のそれとを一致させることが困難なため、これらには差が生じやすい。そして差が生じる場合には、非飽和領域の電流の値が小さくなる方の発熱量が大きくなる。ちなみに、制御量を、スイッチング素子Swp,Swnの双方の温度とすることは、フィードバック制御器を非常に複雑なものとする。このため、本実施形態では、高電位側のスイッチング素子Swpのゲート印加電圧を低電位側のスイッチング素子Swnのそれよりも敢えて小さく設定することで、発熱量が大きくなる方を予め指定した。
先の図2に示したように、温度フィードバック制御の操作量として、本実施形態では、スイッチング素子Swpのゲートへの印加電圧を採用した。これにより、図3(e)に示すように、感温ダイオードSDの出力電圧が低下する場合(感温ダイオードSDによって検出される温度が高くなる場合)、印加電圧を低下させる。これにより、高電位側のスイッチング素子Swpの非飽和領域の電流を低減することができることから、放電電流を低減することができる。
本実施形態では、さらに、放電制御による放電電流から把握される発熱量を直接の制御量として、これが過度に大きくならないように制御する。これにより、上記フィードバック制御におけるマージンを低減することも可能となる。すなわち、上記フィードバック制御は、スイッチング素子Swp、Swnの信頼性を低下させないためのパラメータを直接の制御量としているため、信頼性の低下を回避することについて確実性を期するためには、マージン量を大きくすることが要求されやすい。これに対し、本実施形態では、発熱の結果としての温度ではなく、その原因としての電流に着目することで、異常時放電指令disをトリガとしてなされる基本となる制御(開ループ制御)による単位時間当たりの発熱量が想定するものからずれる場合に、これに迅速に対処する。
詳しくは、先の図3に示した態様にて放電制御を行なうことで、ラッチ60の出力信号の値が大きいほど(放電電流が大きいほど)、高電位側のスイッチング素子Swpのオン、オフの1周期に対するオン時間の時比率が小さくなるように制御する。これにより、放電電流が大きい場合に、単位時間(例えばキャリアの1周期)内における発熱量を低減する制御がなされることから、単位時間当たりの発熱量が過度に大きくなることを回避することができる。
なお、先の図3に示したように、低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に維持しつつ、高電位側のスイッチング素子Swpを複数回オン・オフ操作するのは、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnに過度に大きな電流が流れる等、電流の制御性が低下することを回避するための設定である。すなわち、高電位側のスイッチング素子Swpをオン状態に維持しつつ低電位側のスイッチング素子Swnを複数回オン・オフ操作する場合には、低電位側のスイッチング素子Swnのスイッチング状態をオフ状態からオン状態に切り替える過渡時において、高電位側のスイッチング素子Swpのゲート印加電圧が上記電圧VLを上回って上昇するなどして電流の制御性が低下する現象が生じることが発明者らによって見出された。先の図3では、異常時放電指令disの出力後、低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態にした後に高電位側のスイッチング素子Swpをオン状態にしているが、これも上記現象が生じるおそれを確実に回避するための設定である。
ちなみに、放電制御を、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの同時のオン状態および同時のオフ状態を複数回繰り返すものとする場合、オン・オフ期間の1周期に対するオン時間の時比率を操作量としてこれを可変設定することで不都合が生じやすい。すなわち、この場合、上側アームと下側アームとで独立に時比率を操作したのでは、発熱量の制御性が低下する。さらに、上側アームと下側アームとで通信しつつオン・オフ操作を行わないなら、低電位側のスイッチング素子Swnがオン状態である間に高電位側のスイッチング素子Swpのスイッチング状態を切り替えるような設定が困難ともなる。
また、放電電流から把握される発熱量の制御のための操作量と、温度フィードバック制御のための操作量とを各別の操作量としたのは、制御器を簡素化しやすいためである。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)高電位側のスイッチング素子Swpを非飽和領域で駆動して且つ低電位側のスイッチング素子Swnを飽和領域で駆動することで放電制御を行なうに際し、放電電流の検出値に基づき、高電位側のスイッチング素子Swpの発熱量を制御した。これにより、高電位側のスイッチング素子SwpやそのドライブユニットDUの個体差や経時変化にかかわらず、単位時間当たりの発熱量が過度に大きくならないようにすることができる。
(2)飽和領域で駆動される低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に維持しつつ、非飽和領域で駆動される高電位側のスイッチング素子Swpのオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行った。このように、時比率制御を行なうことで、単位時間当たりの発熱量を低減することができる。また、高電位側のスイッチング素子Swpを時比率制御することで、低電位側のスイッチング素子Swnを時比率制御する場合のように貫通電流が大きくなる事態等を回避することもできる。
(3)非飽和領域で駆動される高電位側のスイッチング素子Swpの温度をフィードバック制御すべく、そのゲート印加電圧を操作した。これにより、放電制御によって、スイッチング素子Swp,Swnの温度が過度に高くなることを好適に回避することができる。
さらに、放電電流の検出値から把握される発熱量の制御のための操作量と、温度のフィードバック制御のための操作量とを互いに相違するパラメータとすることで、ハードウェア手段によって操作手段を構築する場合であっても、その構成を簡素化することが容易となる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、放電電流の検出値から把握される発熱量の制御のための操作量と、温度のフィードバック制御のための操作量とを、上記第1の実施形態と入れ替える。
図5に、本実施形態にかかるU相の上側アームのドライブユニットDUの構成を示す。なお、図5において、先の図2に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、感温ダイオードSDの出力電圧は、コンパレータ80の非反転入力端子に印加される。コンパレータ80の反転入力端子には、発振器82の出力するキャリアが印加される。これにより、感温ダイオードSDの出力電圧が低いほど(感温ダイオードSDによって検出される温度が高いほど)、スイッチング素子Swpのオン・オフ期間の1周期に対するオン時間の時比率を小さくする。
また、放電電流は、電流センサ59によって検出され、電流センサ59によって検出される電流は、ピークホールド回路86によってそのピーク値が保持される。そして、レギュレータ58では、ピークホールド回路86の出力する電圧に応じてゲート印加電圧を可変設定する。これにより、電流センサ59によって検出される放電電流が大きいほど、印加電圧を低下させることができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<操作手段について>
操作手段としては、温度フィードバック操作量と、放電電流値から把握される発熱量の制御のための操作量とを各別のパラメータとするものに限らない。例えば、双方の操作量を印加電圧としてもよい。これは例えば、温度の検出値と印加電圧との関係と、放電電流値と印加電圧との関係とを設定しておき、これらの関係から定まる一対の印加電圧のうち非飽和領域の電流を小さくする方を採用することで行なうことができる。
また、操作手段としては、温度フィードバック制御を行なうものに限らない。
<発熱量を把握するための放電電流の検出手段について>
発熱量を把握するための放電電流の検出手段としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えば、スイッチング素子Swpの出力端子から出力される電流のシャント抵抗による電圧降下量として検出する手段であってもよい。
<放電制御手段について>
放電制御手段としては、低電位側のスイッチング素子Swnをオン状態に維持しつつ高電位側のスイッチング素子Swpのオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものに限らない。例えば、高電位側のスイッチング素子Swpをオン状態に維持しつつ低電位側のスイッチング素子Swnのオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものであってもよい。ただし、この場合であっても、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返す側のゲート印加電圧の方を低く設定し、非飽和領域で動作させる。また、例えば高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの同時のオン状態および同時のオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行なうものであってもよい。ここでも、これら高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnのいずれか一方を非飽和領域で動作させるべくゲート印加電圧を調節する。ただし、この際、飽和領域で動作させる方がオン状態である間に非飽和領域で動作させる方のスイッチング状態を切り替えることが望ましい。また、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方を、放電制御期間において一度だけオン状態とするものであってもよい。ここでも、これら高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnのいずれか一方を非飽和領域で動作させるべくゲート印加電圧を調節する。
また、モータジェネレータ10の1の相に電圧を印加する高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの組のみを用いて放電制御を行なうものに限らない。例えば、各相の高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを順次オン状態とするように切り替えるものであってもよい。
なお、制御装置30によって生成される異常時放電指令disをトリガとするものにも限らない。例えば高電圧システム内において異常時放電指令disを生成する専用の手段を備え、これをトリガとするものとしてもよい。
また、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの双方をオン状態とすることで行われる放電制御を、異常時に限らず、通常時において、リレーSMR1を開状態に切り替える都度行ってもよい。
<ドライブユニットDUについて>
U相の上側アームのドライブユニットDUとしては、通常時における充電用スイッチング素子42および放電用スイッチング素子46と、異常時における充電用スイッチング素子52および放電用スイッチング素子54とを各別に備えるものに限らない。例えば、これらを共有する代わりに、上側アームについては、充電用スイッチング素子の入力端子に電圧を印加する手段を、通常時と異常時とで異ならせてもよい。
また、閾値電流Ith以上となることでスイッチング素子Sw#を強制的にオフ状態とする機能を備えていなくてもよい。
<直流交流変換回路について>
放電制御に際して高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方がオン状態とされる直流交流変換回路(インバータIV)としては、車載主機としての回転機と高電圧バッテリ12との間の電力の授受を仲介するものに限らない。例えば、空調装置の備える回転機等、主機以外の回転機と高電圧バッテリ12との間の電力の授受を仲介するものであってもよい。
<そのほか>
・上記各実施形態では、1の放電制御期間において一旦電流値がラッチ60により保持されるとそれが固定される構成となっていたが、これに限らない。ラッチとしては、電流のピーク値(極大値)を保持して且つ、オン状態およびオフ状態の繰り返しにおける各オン操作に伴って保持値を更新するものであることが望ましい。
・放電制御に用いる高電位側のスイッチング素子Swpや低電位側のスイッチング素子Swnとしては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタであってもよい。
・インバータIVの入力端子に高電圧バッテリ12が直接接続される構成に限らない。例えば、リアクトルと、リアクトルを介してコンデンサ16に並列接続されるスイッチング素子と、フリーホイールダイオードと、スイッチング素子とフリーホイールダイオードとの直列接続体に接続されるコンデンサとを備える昇圧コンバータを、インバータIVの入力端子に接続させてもよい。この場合、昇圧コンバータの出力端子に接続されたコンデンサとコンデンサ16とが放電制御の対象となり、コンデンサ16の電圧は、昇圧コンバータのコンデンサの電圧が低下するに連れてフリーホイールダイオードを介して放電されることとなる。ちなみに、上記フリーホイールダイオードに高電位側のスイッチング素子が並列接続される場合には、昇圧コンバータの出力端子間に接続される一対のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで放電制御を行なうこともできる。
・車両としては、ハイブリッド車に限らず、例えば車載主機のために貯蔵されるエネルギ資源が電気エネルギのみとなる電気自動車等であってもよい。
・放電制御手段としては、車両に搭載されるものに限らず、例えば住宅に設けられる直流電源の電力を交流に変換する電力変換システムに適用されるものであってもよい。この場合、異常時とは、例えば地震等が検知された場合とすればよい。
10…モータジェネレータ、12…高電圧バッテリ(直流電源の一実施形態)、16…コンデンサ、30…制御装置、Swp…高電位側のスイッチング素子、Swn…低電位側のスイッチング素子Swn、DU…ドライブユニット。

Claims (4)

  1. 高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を備えて且つ直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うことにより前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置において、
    前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子は、電圧制御形のスイッチング素子であり、
    前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方の非飽和領域の電流がいずれか他方のものよりも小さくなるように前記いずれか一方および前記いずれか他方のそれぞれのスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記放電制御手段による放電制御によって流れる電流の検出値に基づき、前記いずれか一方のスイッチング素子の発熱量を制御すべく前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子への電圧の印加態様を操作する操作手段を備え
    前記放電制御手段は、前記いずれか他方がオン状態となっている間に前記いずれか一方のスイッチング状態を切り替えるようにして、該いずれか一方のオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、
    前記操作手段は、前記放電制御によって流れる電流の検出値が大きいほど、前記短絡状態を複数回生成する処理が行われる場合における前記いずれか一方のスイッチング素子の前記オン状態および前記オフ状態の周期に対するオン状態の時間の比率である時比率を小さくすることを特徴とする電力変換システムの放電制御装置。
  2. 高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を備えて且つ直流電源の電力を所定に変換する電力変換回路と、該電力変換回路および前記直流電源間に介在するキャパシタと、前記電力変換回路および前記キャパシタと前記直流電源との間の電気経路を開閉する開閉手段とを備える電力変換システムに適用され、前記開閉手段が開状態とされる状況下、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記キャパシタの両電極を短絡させる処理を行うことにより前記キャパシタの充電電圧を規定電圧以下に放電制御する放電制御手段を備える電力変換システムの放電制御装置において、
    前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子は、電圧制御形のスイッチング素子であり、
    前記放電制御手段は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方の非飽和領域の電流がいずれか他方のものよりも小さくなるように前記いずれか一方および前記いずれか他方のそれぞれのスイッチング素子の導通制御端子に印加する電圧を設定するものであり、
    前記放電制御手段による放電制御によって流れる電流の検出値に基づき、前記いずれか一方のスイッチング素子の発熱量を制御すべく前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子への電圧の印加態様を操作する操作手段を備え、
    前記放電制御手段は、前記いずれか他方がオン状態となっている間に前記いずれか一方のスイッチング状態を切り替えるようにして、該いずれか一方のオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであり、
    前記操作手段は、前記放電制御によって流れる電流の検出値が大きいほど、前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子の印加電圧の値を低下させることを特徴とする電力変換システムの放電制御装置。
  3. 前記いずれか一方のスイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を更に備え、
    前記操作手段は、前記温度検出手段によって検出される温度をフィードバック制御すべく前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子への電圧の印加態様を操作することを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換システムの放電制御装置。
  4. 記いずれか一方のスイッチング素子の発熱量を制御するための操作量と、前記検出される温度をフィードバック制御するための操作量とに、前記いずれか一方のスイッチング素子の前記オン状態および前記オフ状態の周期に対するオン状態の時間の比率である時比率と前記いずれか一方のスイッチング素子の導通制御端子の印加電圧の値とを割り振ることを特徴とする請求項記載の電力変換システムの放電制御装置。
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