JP5381222B2 - フィルムの裁断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、フレキシブル回路基板に用いられるポリイミドフィルム等のフィルムを裁断するための、フィルムの裁断方法に関する。
ポリイミドは耐熱性や電気絶縁性等に優れ、薄肉のフィルムであっても十分な剛性を有している。そのため、ポリイミドフィルムは、電気絶縁フィルム、断熱性フィルム、フレキシブル回路基板のベースフィルム等、産業分野において幅広く使用されている。なかでも、フレキシブル回路基板は、携帯電話や液晶テレビ等の需要拡大に伴って需要が増大しており、また、配線高密度化が進展している。これに伴いポリイミドフィルムにおいても、電気絶縁支持体としての性能及び加工性の向上の要求が高まっている。
上記ポリイミドフィルムに限らず、産業分野において薄肉シート状のフィルムを取り扱う際には、原材料から形成された幅広シート状のフィルムを適当な幅で裁断して、ロール状に巻き取ることが一般的である。
上記のようにフィルムの裁断に際しては、以前からスリッターと呼ばれる裁断装置が広く用いられている。このスリッターとしては、ゲーベル刃式スリッターと、ギャング式スリッターとが広く用いられている。
前者のゲーベル刃式スリッターとしては、図9に示す構造が一般的である。同図9に示すように、このスリッターは、互いの刃先35,45の一側面どうしを摺接させて、それぞれ回転する上刃31と下刃41とを備え、上刃31と下刃41との間に挿入されたフィルムFを所定幅で裁断するように構成されている。なお、図9では、上刃31と下刃41との摺接部分よりも、手前側の状態を示している。
また、ゲーベル式スリッターとして、下記特許文献1には、金属箔が接する受けローラの側面の環状溝に沿って形成された受け刃と、円盤形状であってその外周縁部に、外側に向けて先鋭になっている刃付け部を有するスリット刃とを備え、スリット刃の刃付け部の刃先を受けローラの環状溝に入り込ませ、両刃の刃先の一部を相互に重ね合わせた状態で、両刃を回転させながら長尺の金属箔を連続的に切断する金属箔のスリッターが開示されている。また、特許文献1には、前記スリット刃の刃付け部の刃先角を45°とすることが併せて記載されている。
一方、ギャング式スリッターは、所定間隔で配置された一対の上刃と、同じく所定間隔で配置された一対の下刃とを備え、一対の上刃の各外側面に、一対の下刃をそれぞれ噛み合わせて、フィルムFを裁断するものである。
上記ギャング式スリッターに類似する構造として、下記特許文献2には、一対の回転軸と、一方の回転軸に所定間隔で固定された複数の環状の上刃と、他方の回転軸に所定間隔を置き、かつ、その軸方向に移動自在に配置された複数の環状の下刃とを備え、この複数の環状の下刃は、前記複数の上刃のそれぞれを、その両側面から挟持するようにした、スリッターが開示されている。このスリッターでは、上刃と、この上刃の両側面を挟持する一対に下刃との間に、フィルムが挿入されて裁断されるようになっている。また、特許文献2には、上刃に対する下刃の傾斜角度は、0.05〜0.3°に設定されていることが併せて記載されている。
特開2003−117886号公報 実開平7−15291号公報
図9や特許文献1に示すスリッターは、次のような問題がある。すなわち、図9に示すように、上刃31の刃先角θ1が比較的鋭利な角度となっているので、その刃先35が、フィルム上面にくさびのように斜めに深く入り込んで、刃先35の外側周縁に盛り上がりが生じ、フィルム端面の膨れSの原因となっていた。フィルム端面の膨れSが大きいと、フィルムFを巻き取ってロールを形成したときに、ロール端面のハイエッジ量(ロール端面の突出高さ)が増大してしまう結果となる。
上記のように、ロール端面のハイエッジ量が増大すると、ロール端面とロール中間との高低差が増加するので、ロールの端部周縁に過大な応力が作用して、フィルムが無理に引っ張られた状態となり、シワが発生することがあった。このシワが発生した部分は、製品として使用不可能となるので、製品の歩留まりが低下し、更にシワの発生により、ロールからフィルムを引き出しにくくなるので、製造効率が低下するという問題も生じる。
また、上記特許文献2のスリッターの場合、上刃の両側面が一対の下刃に挟持されていて、一対の下刃の間に一枚の上刃が挿入された構造となっている。そのため、一対の下刃と一枚の上刃とでフィルムを裁断した場合、上刃の厚み分だけフィルムの切断屑が生成されるので、歩留まりが低下するというデメリットがある。
したがって、本発明の目的は、フィルム端面の膨れを抑制して、このフィルムを巻き取って得られるロール端面のハイエッジ量を低減し、製品の歩留まりを向上させることができるフィルムの裁断方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のフィルムの裁断方法は、連続的に走行されるフィルムを、互いの刃先の一側面を摺接させるようにして回転する上刃と下刃との間に挿入し、走行方向に沿ってかつ幅方向に分割するように裁断するフィルムの裁断方法であって、
前記上刃として、前記下刃に摺接する刃先角が80〜90°であるものを用い、前記下刃として、前記上刃に摺接する刃先角が80〜90°であるものを用いる、ことを特徴とする。
上記発明によれば、上刃の刃先角及び下刃の刃先角が共に80〜90°をなすので、フィルムの裁断部周縁の広い範囲に上下両刃の刃先面が当接し、フィルムが上下両刃の刃先に挟持されつつ裁断される。その結果、上下両刃の各刃先の外側周縁に生じやすいフィルムの盛り上がりを効果的に抑制して、フィルム端面の膨れを最小限にすることができ、フィルムを巻き取ってロールを形成したときに、ロール端面のハイエッジ量を低く抑えることができる。
このように、この裁断方法では、上記のようにロール端面のハイエッジ量を低く抑えることができるので、シワの発生を抑制することができ、製品として使用可能な部分を大きくとることができる。また、フィルム端面の膨れを最小限にすることができるので、フィルム端面の毛羽立ち(フィルム端面に細かい毛のようなものが立設すること)を抑制して、それによる塵の発生を防止することができる。その結果、製品の歩留まりを向上させることができる。
また、ロール端面のハイエッジ量低減によってシワの発生が抑制されるので、上記のようにフィルムを巻き取ってロールを形成した後、再度フィルムを引き出して巻き替えるときや、引き出したフィルムにスパッタリング等を施すときに、フィルムをスムーズに引き出して製造効率を向上させることができる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記上刃として、前記下刃に近接する刃先角部のRが50μm以下で、前記下刃と対向する面の面粗さRzが0.2Z以下であるものを用い、前記下刃として、前記上刃に近接する刃先角部のRが50μm以下で、前記上刃と対向する面の面粗さRzが0.2Z以下であるものを用いることが好ましい。この態様によれば、上下両刃の刃先角部の半径寸法Rが50μm以下で、かつ、他方の刃に対向する一側面の面粗さRzが0.2Z以下とされているので、フィルムの裁断面がシャープに裁断されて、フィルム端面の膨れをより効果的に抑制することができる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記下刃に対する前記上刃の侵入深さが0.4〜0.6mmとなるように、前記上刃と前記下刃とを摺接させることが好ましい。この態様によれば、所定厚さのフィルムを確実に裁断できると共に、上下両刃の摩耗を最小限に抑えることができる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記フィルムの引張強さが50〜100kgf/mmとされていることが好ましい。この態様によれば、フィルムが適度な引張り強さを有しているので、フィルムを適当な張力で引き伸ばしつつ、フィルムを裁断することができ、フィルムを裁断しやすくなる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記フィルムの弾性率が500〜1500kgf/mmとされていることが好ましい。この態様によれば、フィルムが適度な弾性率を有しているので、フィルムを裁断するときに、フィルムを裁断する上刃及び下刃でしっかりと挟持することができ(刃がフィルムに食いつきやすく、逃げがない)、フィルムを裁断しやすくなる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記フィルムの平均厚みが5〜40μmとされていることが好ましい。この態様によれば、フィルムが適度な厚みを有しているので、フィルム端面の膨れを最小限に抑えつつ、フィルムを確実に裁断することができる。
本発明のフィルムの裁断方法は、前記フィルムがポリイミドフィルムであることが好ましい。この態様によれば、フレキシブル回路基板のベースフィルム等として好適に用いることができる。
本発明によれば、上刃の刃先角及び下刃の刃先角が共に80〜90°をなすので、フィルムの裁断部周縁の広い範囲に上下両刃の刃先面が当接して、上下の各刃先の外側周縁に生じやすいフィルムの盛り上がりが効果的に抑制され、フィルム端面の膨れを最小限にして、ロール端面のハイエッジ量を低く抑えることができ、製品の歩留まりを向上させることができる。
本発明のフィルムの裁断方法に用いられるスリッターの概略構成を示す斜視図である。 同スリッターを構成するカッター装置の側面図である。 同カッター装置の要部拡大正面図である。 同カッター装置の要部拡大平面図である。 同カッター装置によるフィルムの裁断状態を示しており、(a)は図3のa−a矢示線でのフィルムの裁断状態を示す説明図、(b)は図3のb−b矢示線でのフィルムの裁断状態を示す説明図、(c)は図3のc−c矢示線におけるフィルムの裁断状態を示す説明図、(d)は図3のd−d矢示線におけるフィルムの裁断状態を示す説明図である。 分割フィルムロールから更にフィルムを引き出して、同フィルムを巻き替えてなる、巻き替えフィルムロールの製造方法を示す斜視図である。 (a)は分割フィルムロールの正面図、(b)は巻き替えフィルムロールの正面図である。 ロール及びロールから引き出したフィルムを示す説明図である。 従来の上刃及び下刃によるフィルムの裁断状態を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明のフィルムの裁断方法について説明する。
一般にフィルムは、原材料から形成された幅広シートを所定幅に裁断し、ロール状に巻き取られた形態で、次の工程に搬送されるようになっている。
すなわち、フィルムの原材料から形成された幅広のフィルムを、ロール状に巻き取ることにより、原反フィルムロールが形成される。この幅広の原反フィルムロールからフィルムを引き出し、幅方向に所定幅で裁断して複数のフィルムに分割し、各フィルムをそれぞれ巻き取ることにより、複数の分割フィルムロールが形成される。
上記のように、原反フィルムロールからフィルムを引き出し、裁断して複数に分割する際には、スリッターと呼ばれる裁断装置が用いられている。以下、スリッターについて説明する。
図1に示すように、このスリッター10は、フィルムFが巻き取られた原反フィルムロール21(以下、「原反ロール21」という)が回転支持される巻出部20と、原反ロール21から引き出されたフィルムFを、所定幅に裁断し分割するカッター装置30と、カッター装置30により分割された各フィルムFを再度巻き取って、複数の分割フィルムロール51を形成する巻取部50とを備えている。
前記巻出部20は、図示しないフィルム送り装置を有しており、その回転軸に前記原反ロール21がセットされ、原反ロール21から所定速度でフィルムFが引き出されるようになっている。また、フィルム送り方向(矢印参照)の上流側の所定位置には、フィルムFに張力を付与するためのテンションローラ23が配置されている。
また、前記巻取部50は、図示しない巻取り装置を複数備えており、その回転軸に前記カッター装置30で分割されたフィルムFがそれぞれ巻き取られて、複数の分割ロール51が形成されるようになっている。また、巻取部50のカッター装置30近傍には、振分けローラ53が回動可能に配置され、カッター装置30で分割されたフィルムFを、複数の巻取り装置に振分けて送り出すように構成されている(この実施形態では、上下2つずつ、合計4つの巻取り装置にフィルムFを振分けるようになっている)。
次に、図2〜4を参照して、前記カッター装置30について説明する。図2には、カッター装置30の側面図が示されており、図3には、カッター装置30の要部拡大正面図が示されており、図4には、カッター装置30の要部拡大平面図が示されている。
このカッター装置30は、原反ロール21から引き出されたフィルムFを、幅方向に複数に裁断して分割するために、上下一組の上刃31及び下刃41を有している。この上下一組の上刃31及び下刃41は、フィルムFの幅方向に沿って所定間隔を設けて複数配置されている(図1参照)。
また、カッター装置30は、互いに平行に配置された回転軸33,43を有している。そして、各回転軸33,43に、円形状をなした上刃31及び下刃41がそれぞれ固設されていると共に、各刃31,41の対向する一側面35a,45aどうしが互いに摺接した状態で配置されている。すなわち、このスリッター10は、上刃31及び下刃41の互いの刃先35,45の一側面どうしが摺接しつつフィルムFを裁断する、いわゆるゲーベル刃式スリッターとなっている。また、各回転軸33,43は、図示しない駆動機構で所定方向に回転するように構成され、上刃31及び下刃41がそれぞれ回転するようになっている。
そして、連続的に走行されるフィルムFを、互いの刃先35,45の一側面35a,45aを摺接させるようにして回転する上刃31と下刃41との間に挿入し、走行方向に沿ってかつ幅方向に分割するように、フィルムFが裁断されるようになっている。また、図1に示すように、フィルムFは、山形に屈曲した状態でカッター装置30に導入されており、フィルムを屈曲させた状態で裁断する、いわゆるシャーカットと呼ばれる裁断方法によって、裁断されるようになっている。
図3に示すように、上刃31の外周は、フィルムFを裁断するための刃先35をなしている。そして、この実施形態における刃先35の刃先角は、刃先角が鋭利な場合に発生しやすいフィルムFの膨れS(図9参照)を防止するために、次のように設定されている。
すなわち、回転軸33の軸心に直交すると共に下刃41に対向する一側面35aに対して、フィルム上面に接触する刃先面35bの角度を、刃先35の刃先角θ1とし、この刃先角θ1が80〜90°で形成されており、好ましくは85〜90°で形成されている。
刃先角θ1が、80°未満である場合には、フィルムFに急角度で鋭く突き刺さるので、図9に示すように、上刃31の刃先35の外側周縁部が盛り上がって、フィルム端面の膨れSの原因となることがあり好ましくない。
また、この実施形態では、刃先35の下刃41から離反する側の他側面35cは、上刃周縁に向かって、刃先35を次第に肉薄にするテーパ状をなしている。
一方、下刃41の外周も、フィルムFを裁断するための刃先45をなしている。この刃先45の刃先角θ2、すなわち、回転軸43の軸心に平行でフィルム下面を支持する刃先面45bに対して、上刃31に対向する一側面45aの角度が80〜90°で形成されており、好ましくは85〜90°で形成されている。なお、刃先角θ2が80°未満だと、刃先45の外側周縁部が盛り上がり、フィルム端面の膨れSの原因となり好ましくない。
上記上刃31及び下刃41の材質は、例えば、高速度工具鋼(SKH)や、合金工具鋼(例えば、SKD)、超硬合金等で形成されており、フィルムFの厚さや裁断条件等により適宜設定される。また、図3に示す上刃31の厚さt1及び下刃41の厚さt2も、フィルムFの厚さ等により適宜設定されるようになっている。
また、この実施形態では、図3の部分拡大図に示すように、上刃31としては、下刃41に近接する刃先角部36の半径寸法Rが50μm以下で、下刃41と対向する一側面35aの面粗さRzが0.2Z以下のものを用いることが好ましい。同様に、下刃41の上刃31に近接する刃先角部46の半径寸法Rは50μm以下で、上刃31と対向する一側面45aの面粗さRzが0.2Z以下のものを用いることが好ましい。
各刃先角部36の半径寸法Rが50μmを超えると、刃先角部36のエッジが丸みを帯びてしまって、両刃31,41によりフィルムFが裁断されたときに、鋭利な裁断面を得にくく、その結果、フィルム端面の膨れSが大きくなるので好ましくない。また、各刃31,41の一側面35a,45aの面粗さRzが、0.2Zを超えると、一側面35a,45aの面粗さが悪くなり(面粗さが粗くなる)、この場合もフィルムFが裁断されたときに鋭利な裁断面とならず、フィルム端面の膨れSが大きくなるので好ましくない。
また、図3に示すように、下刃41の刃先45に対する上刃31の刃先35の重なり量、すなわち、下刃41に対する上刃31の侵入深さDは、0.4〜0.6mmとなるように設定されることが好ましい。前記侵入深さDが、0.4mm未満の場合は、厚いフィルムを裁断するときに裁断しにくくなり、0.6mmを超えると、上下両刃31,41の摺接量が大きくなって各刃の磨耗量が増えるので好ましくない。
更に、上下両刃31,41は、図4に示すようにトーイン角θ3が設定されている。すなわち、図4中の矢印で示すフィルムFの送り方向(下刃41の回転軸43に直交する方向)に対する上刃31の角度を、上刃31のトーイン角θ3とし、この上刃31のトーイン角θ3は、0〜0.1°に設定されている。その結果、上刃31のフィルム受け入れ側の刃先35の一側面35aが、下刃41の刃先45の一側面45aに所定圧力で接触すると共に、上刃31のフィルム送り出し側の刃先35は、下刃41から離れた状態となっている。なお、上刃31のトーイン角θ3が0.1°よりも大きいと、フィルムFの裁断面の歪み(ダレやバリ)が目立ち、品質が低下すると共に、フィルム端面の膨れの原因ともなり、更に上刃31の摩耗を早めるので好ましくない。
次に、上記構造のカッター装置30による、本発明におけるフィルムの裁断方法について説明する。
巻出部20にセットされた原反ロール21から、図示しないフィルム送り装置により所定速度で引き出されたフィルムFは、テンションローラ23を介してカッター装置30に送られる。
そして、フィルムFの幅方向に沿って複数配置されると共に、互いの刃先35,45の一側面35a,45aどうしを摺接させるようにして回転する上刃31と下刃41との間に、フィルムFが導入される(図1,2参照)。その結果、上下一対の上刃31及び下刃41によって、フィルムFの走行方向(送り方向)に沿ってかつ幅方向に分割するように、フィルムFが複数のシート状に裁断されるようになっている。
図8には、フィルムFを巻き取られてなる分割ロール51若しくは巻き替えロール61の斜視図が示されている。このロールに巻回されたフィルムF(図8中想像線で示す)は、その幅方向(フィルムの長さ方向に直交する方向)の端縁に向かって山型に盛り上がって、フィルム端面に膨れSが生じている。
このように、端面に膨れSが生じたフィルムFを巻き取ってロールを形成すると、ロール端面にハイエッジEと呼ばれる盛り上がりが生じる。このハイエッジEの量は、ロール端面の突出高さで定義され(ロール最外周のフィルム端面からハイエッジEの最大突出部までの高さ)、ここでは便宜上、分割ロール51のハイエッジ量をE1とする(図7(a)参照)。なお、図7(b)には、後述する巻き替えポリイミドフィルムロール61及びそのハイエッジ量E2が示されている。
そして、本発明におけるフィルムの裁断方法においては、上記フィルムFの裁断時における、フィルム端面の膨れSを抑制して、ロール端面のハイエッジ量E1を低減できるようになっている。
これについて、図5を参照して説明する。図5(a)は、図2のa−a矢示線でのフィルムFの裁断状態を示す説明図、図5(b)は、図2のb−b矢示線でのフィルムFの裁断状態を示す説明図、図5(c)は、図2のc−c矢示線におけるフィルムFの裁断状態を示す説明図、図5(d)は、図2のd−d矢示線におけるフィルムFの裁断状態を示す説明図である。
図5(a)に示す、上下両刃31,41の間にフィルムFが挿入され始めた状態では、下刃41の刃先45の刃先面45bにフィルム下面が支持されると共に、上刃31の刃先35の刃先面35bにフィルム上面が押圧され、上下両刃31,41の間にフィルムFが挟持されている。
図9に示す従来形状の上刃31では、鋭利な刃先35がフィルムに深く突き刺さることにより、刃先35の外側周縁が大きく盛り上がって、高さの高い膨れSが形成されていた。これに対し、この裁断方法においては、上刃31の刃先角θ1及び下刃41の刃先角θ2が共に80〜90°をなすので、フィルムFの裁断部周縁の広い範囲に、上下両刃31,41の刃先面35b,45bが当接し、刃先35,45の外側周縁に生じるフィルムFの盛り上がりが抑制されて、膨れSを小さくすることが可能となる。
上記状態でフィルムFが送られると、図5(b)に示すように、上下両刃31,41の刃先面35b,45bによって、フィルムFの裁断部周縁が押えられて、フィルムFの盛り上がりが抑制されつつ、回転する下刃41及び上刃31によって、フィルムFが徐々に裁断される。この状態では、フィルムFの下刃41に支持された部分(図中左側)に対して、フィルムFの図中右側部分が、上刃31に押圧されて下方にやや湾曲している。
そして、フィルムFが更に送られると、図5(c)に示すように、下刃41、及び、該下刃41に対して所定の侵入深さDで重なった上刃31によって、フィルムFが完全に裁断されて複数のフィルムFに分割される。このとき、図中右側のフィルムFは、上刃31の刃先35の他側面35cに押圧されて、その端面が下方に屈曲付勢されている。
その後、フィルムFが送られると、図5(d)に示すように、図中右側のフィルムFの端面が、その弾性により元の形状に戻って、複数に分割されたフィルムFが形成される。その後、これら複数のフィルムFが巻取部50へと送られて、複数の分割ロール51が形成される。
以上説明したように、このフィルムの裁断方法によれば、上刃31の刃先角θ1及び下刃41の刃先角θ2が共に80〜90°をなすので、フィルムFの裁断部周縁の広い範囲が上下両刃31,41の刃先面35b,45bに当接し、フィルムFが上下両刃31,41に挟持されつつ裁断される。その結果、上下両刃31,41の各刃先35,45の外側周縁に生じやすいフィルムFの盛り上がりを効果的に抑制して、フィルム端面の膨れSを最小限にすることができ、ロール状に巻いて分割ロール51を形成したときに、同分割ロール51のロール端面のハイエッジ量E1(図7(a)参照)を低く抑えることができる。
このように、このフィルムの裁断方法においては、上記のようにロール端面のハイエッジ量E1を低く抑えることができるので、ロール端面に生成されやすいシワの発生を抑制することができ、製品として使用可能な部分を大きくとることができる。また、フィルム端面の膨れを最小限にすることができるので、フィルム端面の毛羽立ち(フィルム端面に細かい毛のようなものが立設すること)を抑制して、それによる塵の発生を防止することができる。その結果、製品の歩留まりを向上させることができる。
また、ロール端面のハイエッジ量E1の低減によってシワの発生が抑制されるので、上記のように分割ロール51を形成した後、再度フィルムFを引き出して、後述するように、巻き替えポリイミドフィルムロール61に巻き替えるときや、この巻き替えポリイミドフィルムロール61からフィルムFを引き出してスパッタリング等を施すときに、フィルムFをスムーズに引き出すことができ、製造効率を向上させる。
また、この実施形態におけるフィルムの裁断方法においては、前記上刃31として、前記下刃41に近接する刃先角部36のRが50μm以下で、前記下刃41と対向する一側面35aの面粗さRzが0.2Z以下であるものを用い、前記下刃41として、前記上刃31に近接する刃先角部46のRが50μm以下で、前記上刃31と対向する一側面45aの面粗さRzが0.2Z以下であるものを用いるものとされている。これによれば、上下両刃31,41の刃先角部36,46の半径寸法Rが50μm以下で、かつ、他方の刃に対向する一側面35a,45aの面粗さRzが0.2Z以下とされているので、フィルムFの裁断面がシャープに裁断されて、フィルム端面の膨れSをより効果的に抑制することができる。
更に、この実施形態におけるフィルムの裁断方法においては、前記下刃41に対する前記上刃31の侵入深さD(図3参照)が0.4〜0.6mmとなるように、前記上刃31と前記下刃41とを摺接させるように構成されている。これによれば、所定厚さのフィルムFを確実に裁断できると共に、両刃31,41の摩耗を最小限に抑えることができる。
更にまた、この実施形態におけるフィルムの裁断方法においては、上刃31のトーイン角θ3(フィルムFの送り方向に対する上刃31の角度)が、0〜0.1°に設定されている。これによれば、上刃31のフィルム受け入れ側の刃先35が、適度な角度で下刃1の刃先45の一側面45aに圧接されるので、フィルムFの裁断面の歪みを抑制した状態で、フィルムFを裁断することができ、フィルムFの品質を向上させると共に、フィルム端面の膨れSをより小さくでき、更に上刃31の摩耗を最小限にすることができる。
上記構造をなすスリッター10を介して形成された複数の分割ロール51は、次の製造工程に搬送され、同分割ロール51からフィルムFを引き出されて、同フィルムFの一部にスパッタリング等に金属層を形成されて、フレキシブル回路基板等のベース基板とされる。
上記スパッタリング等は、内部雰囲気を所定の真空度とした真空チャンバー内で処理されるが、このとき、ロール状に巻き取られたフィルムの間に介在した空気や水分等によって、上記スパッタリング処理に際して悪影響が生じることがあった。
そこで、この実施形態では、複数の分割ロール51から再度フィルムFを引き出して、真空環境下又は減圧環境下で巻き取り、巻き替えポリイミドフィルムロール61(以下、「巻き替えロール61」という)を製造し、この巻き替えロール61を上記スパッタリング処理等に用いることにより、上記問題に対応している。
すなわち、この実施形態における巻き替えポリイミドフィルムロールの製造方法は、原反ロール21からフィルムFを引出して、幅方向に分割して裁断し、巻取って得られる分割ロール51から、再度フィルムFを引き出して、真空環境下又は減圧環境下で巻き取るものである。
図6を併せて説明すると、この製造方法では、巻き替え処理を施すべきフィルムFの寸法や形状等に対応して、所定の真空チャンバー60が用いられる。真空チャンバー60は周知であるので、その詳しい構造については省略するが、内部雰囲気を減圧するための図示しない真空ポンプや、前記分割ロール51を回動可能に支持するための図示しない軸受け、更にセットされた分割ロール51から所定速度でフィルムFを引き出すための図示しないフィルム引出し装置を有している。
そして、図示しないフィルム引出し装置により、所定速度でフィルムFを引き出しつつ、真空環境下又は減圧環境下で、フィルムFを巻き替えて、巻き替えロール61が製造されるようになっている。なお、フィルムFの送り方向上流側には、フィルムFに張力を付与するためのテンションローラ63が配置されている。また、真空チャンバー60内の減圧雰囲気の圧力としては、例えば、1〜10×10−3Torrであることが好ましく、2〜6×10−3Torrであることがより好ましい。
このように、この製造方法においては、真空環境下又は減圧環境下で、分割ロール551から、再度フィルムFを引出して巻き取るので、フィルムF間の空気や水分等が排除されて、フィルムF同士を密着させた状態で、巻き替えロール61を製造することができる。
そして、フレキシブル回路基板等の製造にあたっては、上記のように製造された巻き替えロール61から更にフィルムFが引き出されて、このフィルムFの表面の少なくとも一部に、スパッタリングにより金属層が形成されたり、或いは、プラズマ処理により表面改質が施されたりするようになっている。
このとき、この製造方法によって製造された巻き替えロール61は、フィルムF間に空気や水分等が排除されて巻き付けられた状態となっているので、空気や水分等の影響を受けることなく、上記のスパッタリングやプラズマ処理等を、確実かつ効率的にフィルムFに施すことができる。
また、この巻き替えロール61は、フィルムF間に空気がなく、フィルムF同士が密着した状態で巻回されているので、フィルムF間に空気が残存する場合に比べて、フィルムFを長く巻き取ることができる。その結果、フィルムFの引き出し長さを長くすることができるので、製造工程時のロール取り替えの回数が減り、効率化を図ることができる。
次に、本発明のフィルムの裁断方法に用いられるフィルムや、それを巻き取って形成される分割ロール、及び、上記巻き替えロールの材質、物性等について説明する。
本発明に用いられるフィルムとしては、特に限定はなく、合成樹脂からなる薄膜状のものや、紙や布などの繊維からなるシート状のもの、更には金属からなる金属箔等を含む。この中でも、フレキシブル回路基板のベースフィルム等として用いることが可能な、ポリイミドフィルムが好ましく採用される。このポリイミドフィルムとしては、特に限定はなく、公知の方法で製造したものを用いることができる。例えば、(1)ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を支持体に流延又は塗布し、イミド化して得られたポリイミドフィルム、(2)ポリイミド溶液を支持体に流延、塗布し、必要に応じて加熱して得られたポリイミドフィルム、などが挙げられる。
フィルムFは、その平均厚みが5〜40μmであることが好ましい。これによれば、フィルムFが適度な厚みを有しているので、フィルム端面の膨れSを最小限に抑えつつ、フィルムFを確実に裁断することができる。
また、フィルムFがポリイミドフィルムの場合には、その平均厚みが7.5〜35μmであることが好ましく、12.5〜35μmであることがより好ましい。ポリイミドフィルムの平均厚みが7.5〜35μmの場合、ポリイミドフィルムが極めて薄いので、厚いポリイミドフィルムと比較して長く巻き取ることができ、分割ロール51や巻き替えロール61の長尺化を図ることができる。
上記のようにフィルムFがポリイミドフィルムの場合、これを巻き取って得られる巻き替えロール61は、引出されたポリイミドフィルムの表面の少なくとも一部に、スパッタリングによる金属層の形成又はプラズマ処理による表面改質が施されて用いられるものであることが好ましい。この巻き替えロールは、上述したようにフィルム間の空気や水分等が排除されて、ポリイミドフィルム同士が密着した状態で巻き替えられているので、その表面の一部にスパッタリングやプラズマ処理を施すことが求められるフレキシブルプリント基板等の、製造用ポリイミドフィルムとして好適に利用することができる。
更に、フィルムFの引張り強さは、50〜100kgf/mmであることが好ましく、50〜70kgf/mmであることがより好ましい。これによれば、フィルムFが適度な引張り強さを有しているので、フィルムを適当な張力で引き伸ばしつつ、後述するカッター装置30の上刃31及び下刃41でフィルムFを裁断することができ、フィルムFを裁断しやすくなる。なお、フィルムFの引張り強さが50kgf/mm未満だと、裁断時にあたってフィルムFを所定張力で引き伸ばすことができず、裁断しにくくなるので好ましくない。フィルムFの引張り強さが100kgf/mmを超えると、フィルム自身の剛性により裁断しにくくなるので好ましくない。
また、フィルムFの弾性率は、500〜1500kgf/mmであることが好ましく、800〜1000kgf/mmであることがより好ましい。これによれば、フィルムFが適度な弾性率を有しているので、上述したカッター装置30の上刃31及び下刃41でフィルムFを裁断するときに、上刃31及び下刃41でしっかりと挟持することができ(刃がフィルムに食いつきやすく、逃げがない)、フィルムFを裁断しやすくなる。なお、フィルムFの弾性率が500kgf/mm未満だと、切断時の変形によりバリが生じやすくなるので好ましくなく、フィルムFの弾性率が1500kgf/mmを超えると、刃の磨耗による端面の浪打(フレア)が生じやすくなるので好ましくない。なお、弾性率の値は、ASTM・882に基づいて測定した値を意味する。
更に、この実施形態においては、上記のフィルム端面の膨れSが1.5μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。これによれば、フィルムFの端面の膨れSが1.5μm以下と極めて小さいので、巻き取ったときのロール端面のハイエッジ量E1、E2(図7(a),(b)参照)を低く抑えることができる。
ここで、図7(a),(b)に示すように、分割ロール51のハイエッジ量E1に対して、巻き替えロール61のハイエッジ量E2の方が大きい。すなわち、この実施形態のように、真空環境下又は減圧環境下でフィルムFを巻き取ると、フィルムF同士が密着するので、フィルムFの凹凸やフィルム端面の膨れSがはっきりとあらわれて、分割ロール51のハイエッジ量E1よりも、巻き替えロール61のハイエッジ量E2が相対的に高くなる。
これに関連して、この実施形態においては、分割ロール51として、巻き取り長さが500m以上であり、ロール端面の突出高さであるハイエッジ量E1が100μm以下であるものを用いて、巻き替えロール61のハイエッジ量E2が0.5mm以下となるようにすることが好ましい。
これによれば、巻き替えロール61のハイエッジ量E2が0.5mm以下と十分に小さいので、フィルム平面性が良好に保たれると共に、フィルムFより一層長く巻き取ることができる。また、図7(a),(b)に示すような、分割ロール51と巻き替えロール61とのハイエッジ量の差を十分に小さくすることができる。
また、この実施形態においては、分割ロール51として、最大巻き硬度が200×9.8m/sec以上であるものを用いることが好ましい。これによれば、分割ロール51の最大巻き硬度が200×9.8m/sec以上と硬く巻かれているので、巻き取り時や搬送時における巻きズレを抑制することができる。巻き硬度が200×9.8m/sec未満であると、保形性が悪く、経時的に型崩れが生じる傾向となるので、好ましくない。なお、本発明において、巻き硬度の値は、ロール硬度計(TAPIO Technologies社製 RQP)を用いてロール表面を一定加重(5N)で押し込んだときの減加速度を測定した値を意味する。
(実施例1)
原材料から35μmのポリイミドフィルムを形成し、これを巻き取って、幅1570mmで、巻き取り長さが3000mの原反ポリイミドフィルムロールを製造した。
この原反ポリイミドフィルムロールを、図1に示すスリッター10で、幅500mmで、巻き取り長さが1500mの分割ポリイミドフィルムローラを製造した。
スリッター10の上刃31は、材質がSKH2、厚さt1が1mm、刃先角θ1が90°、刃先35の一側面35aの面粗さRzが0.2Z、刃先角部36の半径寸法Rが5μm以下のものを用いた。
一方、下刃41は、材質がSKD11、厚さt2が8mm、刃先角θ2が85°、刃先45の一側面45aの面粗さRzが0.2Z、刃先角部46の半径寸法Rが5μm以下のものを用いた。
また、下刃41の刃先45の一側面45aに対して、上刃31の刃先35の一側面35aを、25Nの圧力で接触させた。
そして、上刃31及び下刃41で裁断したポリイミドフィルムを、70Nの張力を付与しつつ引張って、巻取部50で6インチの芯材に巻き付けて、分割ポリイミドフィルムロールを製造した。
その後、所定の減圧環境下で、分割ポリイミドフィルムロールを巻き替えて、巻き替えポリイミドフィルムロールを製造した。
(実施例2)
原材料から12.5μmのポリイミドフィルムを形成し、幅1570mm、巻き取り長さが3000mの原反ポリイミドフィルムロールを製造し、スリッター10で、幅500mmで、巻き取り長さが1000mの分割ポリイミドフィルムローラを製造した。
フィルム裁断にあたっては、スリッター10の上刃31の刃先角θ1を85°とした以外は、前記実施例1と同じ条件のものを用いた。
また、下刃41の刃先45の一側面45aに対して、上刃31の刃先35の一側面35aを、25Nの圧力で接触させた。
そして、裁断されたポリイミドフィルムを、30Nの張力を付与しつつ引張って、巻取部50で3インチの芯材に巻き付けて、分割ポリイミドフィルムロールを製造した。
その後、所定の減圧環境下で、分割ポリイミドフィルムロールを巻き替えて、巻き替えポリイミドフィルムロールを製造した。
(比較例1)
上刃31の刃先角θ1を45°とした以外は、実施例1と同様の条件で、分割ポリイミドフィルムロールを製造した。
その後、所定の減圧環境下で、分割ポリイミドフィルムロールを巻き替えて、巻き替えポリイミドフィルムロールを製造した。
(比較例2)
上刃31の一側面35aの面粗さRzを1.6Z以下とし、下刃41の一側面45aの面粗さRzを1.6Z以下とした以外は、実施例1と同様の条件で、分割ポリイミドフィルムロールを製造した。
その後、所定の減圧環境下で、分割ポリイミドフィルムロールを巻き替えて、巻き替えポリイミドフィルムロールを製造した。
(比較例3)
上刃31の刃先角部36の半径寸法Rを50μm以下とし、下刃41の刃先角部46の半径寸法Rを50μm以下とした以外は、実施例1と同様の条件で、分割ポリイミドフィルムロールを製造した。
その後、所定の減圧環境下で、分割ポリイミドフィルムロールを巻き替えて、巻き替えポリイミドフィルムロールを製造した。
(分割ポリイミドフィルムロールに巻回されたポリイミドフィルムの端面観察)
分割ポリイミドフィルムロールに巻き取られたポリイミドフィルムの端面を観察した。
フィルム端面の膨れSは、ロールから所定長さのフィルムを切出して、裁断面周縁が観察できるように所定の治具で固定し、CCDカメラ(キーエンス社製、VHX−900)を用い、1000倍の視野でフィルムの端部幅a(図8参照)を5箇所で撮像し、その平均値を算出した。また、非接触厚み計(ミツトヨ社製、リニヤゲージ:表示量0.1μmのもの)を用いて、フィルム一端面から1mm内側のフィルム厚みb(図8参照)を測定した。そして、フィルム端面の膨れSを以下の式(i)で算出した。
フィルム端面の膨れS=a−b・・・(i)
(ロール端面のハイエッジ量の測定)
分割ポリイミドフィルムロールの端面のハイエッジ量E1、及び、巻き替えポリイミドフィルムロールの端面のハイエッジ量E2を測定した。
2次元変位センサー(キーエンス社製、LJ−G030)を用い、ロール端面の外周に沿って120ずつ3箇所で測定して、その平均値を算出した。
(分割ポリイミドフィルムロールの最大巻き硬度の測定)
分割ポリイミドフィルムロールの最大巻き硬度を測定した。
ロール表面に厚さ40μmのポリエチレンシートを2枚被覆させて、ロール硬度計(TAPIO Technologies社製、TapioRQP)で3回測定して、その平均値を算出した。
(まとめ)
上記実施例1,2及び比較例1〜3の観察・測定結果を、下記表1にまとめて示す。
上記表1によれば、フィルム端面の膨れS、分割ポリイミドフィルムロールのハイエッジ量E1、及び巻き替えポリイミドフィルムロールのハイエッジ量E2は、比較例1〜3と比べて、実施例1,2の方が小さいことが分かる。
10 スリッター
20 巻出部
21 原反ポリイミドフィルムロール(原反ロール)
23 テンションローラ
30 カッター装置
31 上刃
33 回転軸
35 刃先
35a 一側面
35b 刃先面
35c 他側面
36 刃先角部
41 下刃
43 回転軸
45 刃先
45a 一側面
45b 刃先面
46 刃先角部
50 巻取部
51 分割ポリイミドフィルムロール(分割ロール)
53 振り分けローラ
60 真空チャンバー
61 巻き替えポリイミドフィルムロール(巻き替えロール)
63 テンションローラ
E ハイエッジ
E1 ハイエッジ量(分割ロールのハイエッジ量)
E2 ハイエッジ量(巻き替えロールのハイエッジ量)
F ポリイミドフィルム(フィルム)
θ1 刃先角(上刃31の刃先35の刃先角度)
θ2 刃先角(下刃41の刃先45の刃先角度)
θ3 トーイン角

Claims (2)

  1. 連続的に走行されるポリイミドフィルムを、裁断装置によって、走行方向に沿ってかつ幅方向に分割するように裁断するフィルムの裁断方法であって、
    前記ポリイミドフィルムは、引張強さが50〜100kgf/mm 、弾性率が500〜1500kgf/mm 、平均厚みが7.5〜35μmとされており、
    前記裁断装置は、前記ポリイミドフィルムが巻き取られた原反フィルムロールが回転支持される巻出部と、前記原反フィルムロールから引き出された前記ポリイミドフィルムを、所定幅に裁断し分割するカッター装置と、該カッター装置により分割された各ポリイミドフィルムを再度巻き取って、複数の分割フィルムロールを形成する巻取部とを備え、
    前記カッター装置は、互いに平行に配置された回転軸を有しており、各回転軸に、円形状をなした上刃及び下刃がそれぞれ固設されていると共に、各刃の対向する一側面どうしが互いに摺接した状態で配置され、各回転軸により上刃及び下刃がそれぞれ回転するようになっており、
    前記上刃の前記下刃に対向する一側面は、前記回転軸の軸心に対して直交しており、前記上刃の前記一側面と前記ポリイミドフィルム上面に接触する刃先面とがなす刃先角θ1が80〜90°であり、
    前記下刃の刃先面は前記回転軸と平行で、前記下刃の刃先面と前記上刃に対向する一側面とがなす刃先角θ2が80〜90°であり、
    前記上刃として、前記下刃に近接する刃先角部の半径寸法Rが5μm以下で、前記下刃と対向する面の面粗さRzが0.2Z以下であるものを用い、前記下刃として、前記上刃に近接する刃先角部の半径寸法Rが5μm以下で、前記上刃と対向する面の面粗さRzが0.2Z以下であるものを用い、
    前記下刃に対する前記上刃の侵入深さが0.4〜0.6mmとなるように、前記上刃と前記下刃とを摺接させる、ことを特徴とするフィルムの裁断方法。
  2. 前記上刃の刃先の刃先角θ1が85〜90°で形成され、前記下刃の刃先の刃先角θ2が85〜90°で形成されている請求項1記載のフィルムの裁断方法。
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