JP5377990B2 - 液状の潜在性硬化剤組成物及び一液性の硬化性エポキシド組成物 - Google Patents
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また、微粒子化による嵩容積増加に起因する輸送運搬効率も、既存の運搬車両の荷台容積を容易に拡大できないため、簡単には解決することができない。この輸送運搬効率を改善するために、風袋を圧縮して積載する方法が考えられたが、硬化剤の微粒子の凝集が起こってしまい、硬化性エポキシド組成物に混合する際にうまく分散ができないという問題が起きる場合がある。
更に、混合時における微粒子の飛散の問題では、混合作業所に局所排気設備の導入や作業者の呼吸用保護具が必要となり、使用業者や作業者にとっては負担となってしまう場合が少なくない。
また、エポキシドと硬化剤との経時的な分離を防止するために、微粒子シリカを併用する方法が実施されているが、微粒子シリカを計量混合する工程が増えてしまい、作業が煩雑になるという問題がある。
更に、現在液状の硬化剤として使用されている、2−エチル−4−メチルイミダゾールは、硬化性エポキシド組成物として、保存安定性が悪いという問題点を有している。
本発明は、このような知見に基づくものである。
本発明の潜在性硬化剤組成物の好ましい態様においては、イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05〜3.3である。
また、本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物用の好ましい態様においては、前記潜在性硬化剤組成物中のイミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05を超えて3.3未満である。
P(OH)n(OR)3−n
で表すことができ、ここでnは1〜3の整数であり、nが1の場合、Rはそれぞれ同一又は異なることができる。前記水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物が、亜リン酸ジエステル又は亜リン酸モノエステルである場合、前記のようにエステル形成基(R)は限定されるものではないが、例えば、Rは、場合により炭素数3〜10のシクロアルキル基(特には、炭素数4〜7のシクロアルキル基)若しくは炭素数6〜10のアリール基で置換されることのある炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐状の、アルキル基若しくはアルケニル基、場合により炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されることのある炭素数3〜10のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基(特には、炭素数4〜7のシクロアルキル基)、又は場合によりハロゲン原子(特には、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子)若しくは炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されていることのある炭素数6〜18のアリール基(特には、炭素数6〜10のアリール基)を挙げることができる。
一方、後述の比較例1〜5に示すように、亜リン酸化合物に代えてリン酸を用いた場合も、潜在性硬化剤組成物を得ることが可能である。しかしながら、得られた潜在性硬化剤組成物は、固体のイミダゾールを用いても及び液体のイミダゾールを用いても、固形となる。更に、後述の比較例9及び10に示すように、液体のイミダゾールである2−エチル−4−メチルイミダゾールを、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルに混合した場合は、液状の潜在性硬化剤組成物を得ることが可能であるが、これらの潜在性硬化剤組成物は、硬化性エポキシド組成物に用いた場合に、十分な硬化性を得ることができない。
例えば、イミダゾール化合物が固体の場合は、イミダゾール化合物、及び亜リン酸化合物を混合することによって液状とし、更にエポキシド化合物と混合することにより、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることができる。また、イミダゾール化合物が液体の場合は、エポキシド化合物、イミダゾール化合物、及び亜リン酸化合物を、同時に混合することによって、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることも可能であるし、前記の3つの化合物のうち、任意の2つの化合物を混合した後に、残りの1つの化合物を混合することによって、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることも可能である。更に、前記の潜在性硬化剤組成物をエポキシド化合物に混合させる場合は、イミダゾール化合物が固体又は液体に関係なく、潜在性硬化剤組成物が液体となるため、容易に一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることが可能である。
《実施例1》
本実施例では、イミダゾール化合物と水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物を用いて、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、液状の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を、21部(0.05mol)混合して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を42部(0.1mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を209部(0.5mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を418部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を627部(1.5mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を836部(2.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジフェニル(DPPと略す)を234部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
本実施例では、固体のイミダゾールを使用して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、粉末状の2−メチルイミダゾール(2MZと略す)を82部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例4の手順を繰り返した。2MZは、DLPに溶解し、液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
イミダゾール化合物として、粉末状のイミダゾール(IMZと略す)を68部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例4の手順を繰り返した。IMZは、DLPに溶解し、液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
本実施例では、イミダゾール化合物を2種類、亜リン酸化合物を2種類使用して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、粉末状のイミダゾール(IMZと略す)を20部(0.3mol)及び粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を101部(0.7mol)と、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を209部(0.5mol)及び亜リン酸を14部(0.17mol)とを混合して、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得た。
イミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸を27部(0.33mol)混合して、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得た。
亜リン酸を82部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例11の手順を繰り返した。
亜リン酸を90部(1.1mol)用いたことを除いては、実施例11の手順を繰り返した。
《比較例1》
本比較例では、亜リン酸化合物の代わりに、リン酸を用いて潜在性硬化剤を製造した。
磁気攪拌機を備えた200mL平底フラスコにイミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を33部(0.3mol)とメタノールを67部入れ均一に溶解した。この溶解液に攪拌しながら、85%リン酸35部(0.3mol)を滴下し、得られた懸濁液を濾過して固形物を濾別した。濾物を減圧乾燥した後に乳鉢で微粉砕して硬化剤組成物を得た。
イミダゾール化合物として、粉末状の2−メチルイミダゾール(2MZと略す)を25部(0.3mol)とメタノールを50部用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
イミダゾール化合物として、粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を43部とメタノールを86部用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
85%リン酸を12部(0.33mol)用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
イミダゾール化合物として、粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を43部とメタノールを86部用、85%リン酸を12部(0.33mol)用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
本比較例では、分子内に水酸基を有しない亜リン酸トリエステルを用いて、硬化剤組成物の製造を試みた。
イミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、分子内に水酸基を有しない亜リン酸エステルとして亜リン酸トリス(トリデシル)(TTDPと略す)を628部(1.0mol)混合した。
《硬化剤形状の評価》
得られた硬化剤の形状を、液状か固形を室温にて目視で判定した。
23℃における硬化剤の粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。
《実施例14》
エポキシドとしてエポキシ当量190のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(BADGEと略す)を100部、潜在性硬化剤組成物として、実施例2で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.1)を2.8部混合して、一液性の硬化性エポキシド組成物を得た。
潜在性硬化剤組成物として、実施例3で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.5)を5.9部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例4で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.0)を9.7部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例5で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.5)を13.6部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例10で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.0)を6.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例12で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で3.0)を3.5部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例1で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.05)を2.4部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
潜在性硬化剤組成物として、実施例13で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で3.3)を3.7部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
本比較例では、イミダゾール化合物にリン酸エステルを添加して製造した潜在性硬化剤組成物を用い、硬化性エポキシド組成物を製造した。
イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)に、リン酸モノブチルとリン酸ジブチルの当量混合物(BPと略す)を121部(0.67mol)混合したものを、潜在性硬化剤組成物として4.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
本比較例では、イミダゾール化合物にリン酸化合物エステルを添加して製造した潜在性硬化剤組成物を用い、硬化性エポキシド組成物を製造した。
イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)に、リン酸モノ(2−エチルヘキシル)とリン酸ジ(2−エチルヘキシル)の当量混合物(OPと略す)を177部(0.67mol)混合したものを、潜在性硬化剤組成物として5.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
本実施例では、硬化剤として市販されている、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を用いて、硬化性エポキシド組成物を製造した。
2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を、硬化剤として、単独で2.0部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
得られた硬化性エポキシド組成物の粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。さらに、得られた硬化性エポキシド組成物を23℃で24時間保存したものの粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。24時間保存した後の粘度を初期粘度で除して粘度増加率を評価した。
○:初期粘度からの増加率が2倍未満
×:初期粘度からの増加率が2倍以上
得られた硬化性エポキシド組成物のゲル化時間を安田式ゲルタイマーにて測定した。具体的には、試料として硬化性エポキシド組成物2.0gを試験管に入れ、オイルバスで150℃に保持した。試料中にガラス棒を挿入し回転することによって攪拌させ、攪拌が不可能となった時間を、ゲル化時間とした。判定は、以下の基準によって行った。
○:30分以内にゲル化
×:30分でゲル化せず
Claims (2)
- イミダゾール化合物と、亜リン酸、亜リン酸モノエステル、及び亜リン酸ジエステルからなる群から選択される、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上とを必須成分として含み、前記イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.1〜3.0である、硬化性エポキシド組成物用の液状潜在性硬化剤組成物。
- 分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド化合物、及び請求項1に記載の液状潜在性硬化剤組成物を含む、一液性の硬化性エポキシド組成物。
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