JP5377990B2 - 液状の潜在性硬化剤組成物及び一液性の硬化性エポキシド組成物 - Google Patents

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本発明は硬化性エポキシド組成物用の常温で液状の潜在性硬化剤組成物、及びそれを含む一液性の硬化性エポキシド組成物に関する。本発明によれば、製造及び取り扱いが容易な液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得ることが可能で、また、良好なハンドリング性、保存安定性及び硬化性を有する一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることができる。
保存安定性が良好で、熱をかけることにより硬化する硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤は、頻繁な混合作業を省力化できることから、需要が高まっている。電気電子分野においては封止等を目的として広く使用されるようになってきたが、従来の潜在性硬化剤の多くは、固形であり、これを粉砕等により微粒子化して使用する必要があった(特許文献1及び2)。
このような固形の硬化剤は、硬化剤の微粒子化を行うことにより、コストが付随的に発生すること、微粒子化のために比較的時間を要すること、微粒子であるため嵩容積が大きく運搬効率が悪いこと、エポキシド化合物との混合の際に微粒子が飛散して取り扱いが難しいこと、及び得られた硬化性エポキシド組成物が分散液であるためエポキシド化合物と硬化剤が経時的に分離してしまうことなどの問題点がある。従って、短期間で簡単に製造することが可能であり、かつ取り扱いが容易な常温で液状の潜在性硬化剤が望まれている。
一方、潜在性硬化剤として用いられているイミダゾール化合物は、固形のものが大部分であるが、液状のものも存在する。例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールは、融点が約41℃であり、液状で用いることができる。しかしながら、2−エチル−4−メチルイミダゾールを、そのまま硬化性エポキシド組成物に用いると、保存安定性が悪く、経時的に粘度が増加してしまうという欠点を有していた。
特公平6−6620号公報 特公平6−6621号公報 特開2002−145991号公報
固形の潜在性硬化剤の問題点である、微粒子化にかかるコストを低減させること、及び微粒子化のための製造時間を短縮させることには、自ずと限界がある。
また、微粒子化による嵩容積増加に起因する輸送運搬効率も、既存の運搬車両の荷台容積を容易に拡大できないため、簡単には解決することができない。この輸送運搬効率を改善するために、風袋を圧縮して積載する方法が考えられたが、硬化剤の微粒子の凝集が起こってしまい、硬化性エポキシド組成物に混合する際にうまく分散ができないという問題が起きる場合がある。
更に、混合時における微粒子の飛散の問題では、混合作業所に局所排気設備の導入や作業者の呼吸用保護具が必要となり、使用業者や作業者にとっては負担となってしまう場合が少なくない。
また、エポキシドと硬化剤との経時的な分離を防止するために、微粒子シリカを併用する方法が実施されているが、微粒子シリカを計量混合する工程が増えてしまい、作業が煩雑になるという問題がある。
更に、現在液状の硬化剤として使用されている、2−エチル−4−メチルイミダゾールは、硬化性エポキシド組成物として、保存安定性が悪いという問題点を有している。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イミダゾール化合物と、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物を混合することにより、硬化性エポキシド組成物用の、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得ることができることを見出した。更に、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシドと、前記の潜在性硬化剤組成物とを含む一液性の硬化性エポキシド組成物が、良好な保存安定性及び硬化性を得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づくものである。
従って、本発明の課題は、簡便な方法により製造することが可能であり、取り扱いが容易である硬化性エポキシド組成物用の液状潜在性硬化剤組成物、及び一液性の硬化性エポキシド組成物を提供することである。
従って、本発明は、イミダゾール化合物と、亜リン酸、亜リン酸モノエステル、及び亜リン酸ジエステルからなる群から選択される、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上とを必須成分として含む、硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物に関する。
本発明の潜在性硬化剤組成物の好ましい態様においては、イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05〜3.3である。
また、本発明は、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド化合物、イミダゾール化合物、及び亜リン酸、亜リン酸モノエステル、及び亜リン酸ジエステルからなる群から選択される、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上を必須成分として含む、一液性の硬化性エポキシド組成物にも関する。
また、本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物用の好ましい態様においては、前記潜在性硬化剤組成物中のイミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05を超えて3.3未満である。
潜在性硬化剤とは、硬化性エポキシド化合物における主剤であるエポキシド化合物と混合されても、通常の保存状態(常温、可視光線下など)ではエポキシド化合物の官能基(エポキシ基など)と反応しないが、加熱又は光の照射により、官能基と反応してエポキシド化合物を硬化させる化合物をいう。特に、本明細書においては、加熱により硬化が開始する熱潜在性硬化剤を意味する。
本発明の液状の潜在性硬化剤組成物によれば、従来の固形の潜在性硬化剤と比較すると、微粒子化を行う必要がないため、コストと製造時間を大幅に低減でき、微粒子化した硬化剤と比較して運搬時の輸送効率も高く、硬化性エポキシド組成物への混合時の取り扱いも容易であるという利点を得ることができる。また、本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物によれば、従来のイミダゾール化合物を用いた硬化性エポキシド組成物と比較して、常温における粘度増加が少なく保存安定性が良好であり、加熱により比較的短時間で、硬化させることが可能である。
本発明の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物は、イミダゾール化合物及び水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上を必須成分として含み、具体的にはイミダゾール化合物及び亜リン酸化合物を混合することによって得ることができる。
本発明の常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物に用いることのできるイミダゾール化合物は、分子内にイミダゾール基を持つ化合物である。具体的には、例えばイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−アミノメチル−2−メチルイミダゾール等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
本発明の常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物に用いることのできる亜リン酸化合物は、具体的には、亜リン酸、亜リン酸モノエステル、又は亜リン酸ジエステルであり、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸、亜リン酸モノエステル、又は亜リン酸ジエステルであれば、そのエステル形成基は限定されるものではなく、これらの化合物を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
前記水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物(すなわち、亜リン酸、亜リン酸モノエステル、及び亜リン酸ジエステル)は、式
P(OH)(OR)3−n
で表すことができ、ここでnは1〜3の整数であり、nが1の場合、Rはそれぞれ同一又は異なることができる。前記水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物が、亜リン酸ジエステル又は亜リン酸モノエステルである場合、前記のようにエステル形成基(R)は限定されるものではないが、例えば、Rは、場合により炭素数3〜10のシクロアルキル基(特には、炭素数4〜7のシクロアルキル基)若しくは炭素数6〜10のアリール基で置換されることのある炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐状の、アルキル基若しくはアルケニル基、場合により炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されることのある炭素数3〜10のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基(特には、炭素数4〜7のシクロアルキル基)、又は場合によりハロゲン原子(特には、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子)若しくは炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されていることのある炭素数6〜18のアリール基(特には、炭素数6〜10のアリール基)を挙げることができる。
より具体的には、前記亜リン酸化合物として、亜リン酸、亜リン酸モノメチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸モノラウリル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸モノオレイル、亜リン酸ジオレイル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸モノナフチル、亜リン酸ジナフチル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸ジ−p−トリルや、亜リン酸ジ−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−ブロモフェニル、亜リン酸ジ−p−フルオロフェニル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
前記イミダゾール化合物を、前記水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物に混合することにより、常温で液体とすることが可能である。イミダゾール化合物は、常温で固体のもの、例えば2−メチルイミダゾール又は2−フェニルイミダゾール、及び常温で液体のもの、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾールが存在するが、いずれのイミダゾール化合物も、前記亜リン酸化合物と混合することにより、得られる潜在性硬化剤組成物は、常温で液状とすることができる。
一方、後述の比較例1〜5に示すように、亜リン酸化合物に代えてリン酸を用いた場合も、潜在性硬化剤組成物を得ることが可能である。しかしながら、得られた潜在性硬化剤組成物は、固体のイミダゾールを用いても及び液体のイミダゾールを用いても、固形となる。更に、後述の比較例9及び10に示すように、液体のイミダゾールである2−エチル−4−メチルイミダゾールを、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルに混合した場合は、液状の潜在性硬化剤組成物を得ることが可能であるが、これらの潜在性硬化剤組成物は、硬化性エポキシド組成物に用いた場合に、十分な硬化性を得ることができない。
本発明の潜在性硬化剤組成物におけるイミダゾール化合物と、亜リン酸化合物との重量比又はモル比は、イミダゾール化合物と、亜リン酸化合物とを混合して得られた潜在性硬化剤組成物が液状となる限り、限定されるものではないが、好ましくはイミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する亜リン酸化合物中のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が、好ましくは0.05〜3.3であり、より好ましくは0.05を超えて3.3未満であり、最も好ましくは0.075〜3.15である。イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する亜リン酸化合物中のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05未満であると、一液性の硬化性エポキシド組成物においてイミダゾール基を安定化させることが困難になり、3.3を超えると一液性の硬化性エポキシド組成物において十分な硬化性が得られ難い。また、イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する亜リン酸化合物中のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.05を超えるとイミダゾール化合物中のイミダゾール基が、亜リン酸化合物中の水酸基により安定化されやすくなり、3.3未満であると一液性の硬化性エポキシド組成物においてイミダゾール化合物中のイミダゾール基の硬化作用が発揮されやすくなる。
本発明の潜在性硬化剤組成物は、一液性の硬化性エポキシド組成物及び二液性の硬化性エポキシド組成物に用いることもできるが、エポキシドと混合した場合において、常温で安定であり長期間、硬化性エポキシド組成物の粘度を上昇させることなく保存することが可能であることから、一液性の硬化性エポキシド組成物に用いた場合に、その効果をより発揮することができる。
本発明の潜在性硬化剤組成物は、必要に応じて、他のエポキシ硬化剤、不活性な有機又は無機顔料、染料、着色剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、静電防止剤、消泡剤、流動調整剤、促進剤、遅延剤、増粘剤、光安定剤、防かび剤、抗菌剤、防腐剤、磁性体等を含むことができる。
本発明の常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物は、エポキシド化合物と混合して硬化性の一液性エポキシド組成物とすることができ、得られた硬化性エポキシド組成物は、接着剤用、塗装用、コーティング用、封止用、含浸用として用いることができる。
本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物は、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド化合物、イミダゾール化合物、及び水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上を必須成分として含み、具体的には、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド化合物、イミダゾール化合物、及び水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上を混合することによって得ることができる。
例えば、イミダゾール化合物が固体の場合は、イミダゾール化合物、及び亜リン酸化合物を混合することによって液状とし、更にエポキシド化合物と混合することにより、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることができる。また、イミダゾール化合物が液体の場合は、エポキシド化合物、イミダゾール化合物、及び亜リン酸化合物を、同時に混合することによって、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることも可能であるし、前記の3つの化合物のうち、任意の2つの化合物を混合した後に、残りの1つの化合物を混合することによって、一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることも可能である。更に、前記の潜在性硬化剤組成物をエポキシド化合物に混合させる場合は、イミダゾール化合物が固体又は液体に関係なく、潜在性硬化剤組成物が液体となるため、容易に一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることが可能である。
本発明の一液性エポキシド組成物に用いることのできるエポキシド化合物は、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つ化合物である。具体的には、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、カテコール、レゾルシン、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、ハイドロキノン、トリフェニルメタン、テトラフェニルエタン、ビキシレノールなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル;グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル;アミノフェノール、アミノアルキルフェノールから得られるグリシジルアミノグリシジルエーテル;アミノ安息香酸から得られるグリシジルアミノグリシジルエステル;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどから得られるグリシジルアミン;エポキシ化ポリオレフィン;グリシジルヒダントイン;グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート;あるいはブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイドなどに代表されるモノエポキシド等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物におけるイミダゾール化合物と、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物は、一液性の硬化性エポキシド組成物を硬化させるための成分であるが、一液性エポキシド組成物中のエポキシド化合物に対する重量比又はモル比は、一液性エポキシド組成物を任意のゲル化度まで硬化させることができる限り、特に限定されるものではない。すなわち、硬化性エポキシド組成物は、接着剤用、塗装用、コーティング用、封止用、含浸用などの様々な用途に用いるものであり、その用途により所望の硬化状態、硬化時間、使用条件等が異なるため、一液性エポキシド組成物中のエポキシド化合物に対する重量比又はモル比は、適宜選択することができる。
また、一液性の硬化性エポキシド組成物におけるイミダゾール化合物中のイミダゾール基に対する、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比は、0.05を超えて3.3未満が好ましい。0.05を超えるモル比であると、一液性の硬化性エポキシド組成物の粘度増加を抑制できる点で好ましく、3.3未満のモル比であると、一液性の硬化性エポキシド組成物の硬化性が速くなると言う点で好ましい。
本発明の一液性エポキシド組成物は、必要に応じてエポキシ硬化剤、不活性な有機又は無機顔料、染料、着色剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、静電防止剤、消泡剤、流動調整剤、促進剤、遅延剤、増粘剤、光安定剤、防かび剤、抗菌剤、防腐剤、磁性体等を添加することができる。
本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物に必要に応じて用いられるエポキシ硬化剤としては、例えば酸無水物、アミン類、フェノール類、ジヒドラジン類、ルイス酸、ブレンステッド酸塩類、ポリメルカプトン類、イソイシアネート類、ブロックイソシアネート類、ジシアンジアミド等を挙げることができる。
本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物は、熱硬化性のエポキシド組成物であり、常温(例えば、0℃〜40℃)では硬化しないが、加熱(例えば、60℃〜200℃)により急激に硬化し、接着剤用、塗装用、コーティング用、封止用、含浸用として用いることが可能である。
以下、実施例によって、本発明の常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物及び一液性の硬化性エポキシド組成物を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1〜13においては、本発明の潜在性硬化剤組成物を製造した。
《実施例1》
本実施例では、イミダゾール化合物と水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物を用いて、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、液状の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を、21部(0.05mol)混合して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
《実施例2》
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を42部(0.1mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例3》
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を209部(0.5mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例4》
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を418部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例5》
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を627部(1.5mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例6》
亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を836部(2.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例7》
水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジフェニル(DPPと略す)を234部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例1の手順を繰り返した。
《実施例8》
本実施例では、固体のイミダゾールを使用して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、粉末状の2−メチルイミダゾール(2MZと略す)を82部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例4の手順を繰り返した。2MZは、DLPに溶解し、液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
《実施例9》
イミダゾール化合物として、粉末状のイミダゾール(IMZと略す)を68部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例4の手順を繰り返した。IMZは、DLPに溶解し、液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得た。
《実施例10》
本実施例では、イミダゾール化合物を2種類、亜リン酸化合物を2種類使用して、常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を製造した。
イミダゾール化合物として、粉末状のイミダゾール(IMZと略す)を20部(0.3mol)及び粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を101部(0.7mol)と、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)を209部(0.5mol)及び亜リン酸を14部(0.17mol)とを混合して、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得た。
《実施例11》
イミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物として、亜リン酸を27部(0.33mol)混合して、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得た。
《実施例12》
亜リン酸を82部(1.0mol)用いたことを除いては、実施例11の手順を繰り返した。
《実施例13》
亜リン酸を90部(1.1mol)用いたことを除いては、実施例11の手順を繰り返した。
比較例1〜6においては、水酸基少なくとも1つを有する亜リン酸化合物以外のリン酸化合物を用いて、硬化剤を製造した。
《比較例1》
本比較例では、亜リン酸化合物の代わりに、リン酸を用いて潜在性硬化剤を製造した。
磁気攪拌機を備えた200mL平底フラスコにイミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を33部(0.3mol)とメタノールを67部入れ均一に溶解した。この溶解液に攪拌しながら、85%リン酸35部(0.3mol)を滴下し、得られた懸濁液を濾過して固形物を濾別した。濾物を減圧乾燥した後に乳鉢で微粉砕して硬化剤組成物を得た。
《比較例2》
イミダゾール化合物として、粉末状の2−メチルイミダゾール(2MZと略す)を25部(0.3mol)とメタノールを50部用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
《比較例3》
イミダゾール化合物として、粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を43部とメタノールを86部用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
《比較例4》
85%リン酸を12部(0.33mol)用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
《比較例5》
イミダゾール化合物として、粉末状の2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)を43部とメタノールを86部用、85%リン酸を12部(0.33mol)用いたことを除いては、比較例1の手順を繰り返した。
《比較例6》
本比較例では、分子内に水酸基を有しない亜リン酸トリエステルを用いて、硬化剤組成物の製造を試みた。
イミダゾール化合物として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)、分子内に水酸基を有しない亜リン酸エステルとして亜リン酸トリス(トリデシル)(TTDPと略す)を628部(1.0mol)混合した。
前記実施例1〜13で得られた本発明の潜在性硬化剤組成物、及び前記比較例1〜6で得られた硬化剤組成物について、形状及び粘度を、以下の方法により測定した。
《硬化剤形状の評価》
得られた硬化剤の形状を、液状か固形を室温にて目視で判定した。
《硬化剤の粘度》
23℃における硬化剤の粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。
表1に、実施例1〜13で得られた本発明の潜在性硬化剤組成物、及び前記比較例1〜6で得られた硬化剤組成物の、イミダゾール化合物及び水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物の種類と使用量、及びイミダゾール化合物のイミダゾール基に対する水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物の水酸基のモル比、又はリン酸の水酸基のモル比、並びに得られた硬化剤組成物の形状及び25℃での粘度を記載した。
Figure 0005377990
実施例1では、イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)と、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物として亜リン酸ジラウリル(DLP)とを、2E4MZのイミダゾール基に対してDLPの水酸基のモル比が0.05となる量で使用したが、得られた潜在性硬化剤組成物は液状となった。
実施例2から実施例6においては、2E4MZのイミダゾール基に対してDLPの水酸基のモル比を0.1から2.0まで増やしていったが、得られた潜在性硬化剤組成物はすべて液状であった。
実施例7では、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジエステルの置換基がフェニル基のものを使用したが、得られた潜在性硬化剤組成物は液状であった。
実施例8又は実施例9では、イミダゾール化合物として、室温では固形である2−メチルイミダゾール(2MZ)又はイミダゾール(IMZ)を使用し、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物として、亜リン酸ジラウリル(DLP)を使用したが、得られた潜在性硬化剤組成物は液状となった。
実施例10では、イミダゾール化合物に室温では固形であるイミダゾール(IMZ)及び2−フェニルイミダゾール(2PZ)を併用し、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物として亜リン酸ジラウリル(DLP)及び亜リン酸を併用したが、得られた潜在性硬化剤組成物は液状となった。
実施例11〜13においては、イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を使用し、2E4MZのイミダゾール基に対して亜リン酸の水酸基のモル比が1.0から3.3となる量で使用した。得られた潜在性硬化剤組成物は粘度が高くなったものの液状であった。
比較例1では、特開2002−145991の実施例に準じて、イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を使用し、リン酸を1.0モル(イミダゾール基に対してリン酸の水酸基のモル比が3.0)の量で使用して硬化剤組成物を調製したが、得られた硬化剤は固形であった。同様に、比較例2及び比較例3ではイミダゾール化合物として、室温では固形である2−メチルイミダゾール(2MZ)、又は2−フェニルイミダゾール(2PZ)を用いて硬化剤を調製したが、得られた硬化剤組成物は固形であった。
比較例4ではイミダゾール化合物として液体の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を使用し、リン酸を0.33モル(イミダゾール基に対してリン酸の水酸基のモル比が1.0)の量で使用して硬化剤を調製したが、得られた硬化剤組成物は固形であった。同様に比較例5ではイミダゾール化合物として2−フェニルイミダゾール(2PZ)を用いて硬化剤を調製したが、得られた硬化剤組成物は固形であった。
更に、比較例6では、液体の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)と分子内に水酸基を有しない亜リン酸トリエステルとして亜リン酸トリス(トリデシル)(TTDPと略す)を混合したが、均一にならず相容しなかった。
以下の実施例14〜19では、本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物を製造した。
《実施例14》
エポキシドとしてエポキシ当量190のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(BADGEと略す)を100部、潜在性硬化剤組成物として、実施例2で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.1)を2.8部混合して、一液性の硬化性エポキシド組成物を得た。
《実施例15》
潜在性硬化剤組成物として、実施例3で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.5)を5.9部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《実施例16》
潜在性硬化剤組成物として、実施例4で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.0)を9.7部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《実施例17》
潜在性硬化剤組成物として、実施例5で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.5)を13.6部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《実施例18》
潜在性硬化剤組成物として、実施例10で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で1.0)を6.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《実施例19》
潜在性硬化剤組成物として、実施例12で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で3.0)を3.5部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《比較例7》
潜在性硬化剤組成物として、実施例1で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で0.05)を2.4部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《比較例8》
潜在性硬化剤組成物として、実施例13で得られた常温で液状の潜在性硬化剤組成物(イミダゾール基に対する水酸基量がモル比で3.3)を3.7部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《比較例9》
本比較例では、イミダゾール化合物にリン酸エステルを添加して製造した潜在性硬化剤組成物を用い、硬化性エポキシド組成物を製造した。
イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)に、リン酸モノブチルとリン酸ジブチルの当量混合物(BPと略す)を121部(0.67mol)混合したものを、潜在性硬化剤組成物として4.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《比較例10》
本比較例では、イミダゾール化合物にリン酸化合物エステルを添加して製造した潜在性硬化剤組成物を用い、硬化性エポキシド組成物を製造した。
イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を110部(1.0mol)に、リン酸モノ(2−エチルヘキシル)とリン酸ジ(2−エチルヘキシル)の当量混合物(OPと略す)を177部(0.67mol)混合したものを、潜在性硬化剤組成物として5.3部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
《比較例11》
本実施例では、硬化剤として市販されている、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を用いて、硬化性エポキシド組成物を製造した。
2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)を、硬化剤として、単独で2.0部用いたことを除いては、実施例14の手順を繰り返した。
前記実施例14〜19で得られた本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物、及び前記比較例7〜11で得られた硬化性エポキシド組成物について、常温における粘度増加、及び150℃の加熱を行った場合の硬化性を、以下の方法により検討した。
《粘度増加の評価》
得られた硬化性エポキシド組成物の粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。さらに、得られた硬化性エポキシド組成物を23℃で24時間保存したものの粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。24時間保存した後の粘度を初期粘度で除して粘度増加率を評価した。
○:初期粘度からの増加率が2倍未満
×:初期粘度からの増加率が2倍以上
《硬化性の評価》
得られた硬化性エポキシド組成物のゲル化時間を安田式ゲルタイマーにて測定した。具体的には、試料として硬化性エポキシド組成物2.0gを試験管に入れ、オイルバスで150℃に保持した。試料中にガラス棒を挿入し回転することによって攪拌させ、攪拌が不可能となった時間を、ゲル化時間とした。判定は、以下の基準によって行った。
○:30分以内にゲル化
×:30分でゲル化せず
表2に、実施例14〜19で得られた本発明の一液性の硬化性エポキシド組成物、及び前記比較例7〜11で得られた硬化性エポキシド組成物に用いた硬化剤の種類、硬化性エポキシド組成物中のイミダゾール化合物のイミダゾール基に対する亜リン酸化合物、リン酸又はリン酸エステル水酸基のモル比、エポキシド化合物に対する硬化剤組成物の配合重量比、エポキシド化合物のエポキシ基に対するイミダゾール化合物のイミダゾール基のモル比、粘度増加の評価結果、及び硬化性の評価結果を記載した。
Figure 0005377990
実施例14では、実施例2で得られた潜在性硬化剤組成物、すなわち2E4MZのイミダゾール基に対する亜リン酸化合物の水酸基のモル比が0.1の潜在性硬化剤組成物を用いて、エポキシ基に対するイミダゾール基のモル比を0.035として一液性の硬化性エポキシド組成物を調製した。得られた硬化性エポキシド組成物は23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であり、150℃での硬化時間も30分以内と良好であった。
実施例15〜実施例17では、実施例2、3、及び4で得られた潜在性硬化剤組成物、すなわち、2E4MZのイミダゾール基に対する亜リン酸化合物の水酸基のモル比が0.5〜1.5の潜在性硬化剤組成物を用いて、エポキシ基に対するイミダゾール基のモル比を0.035として一液性の硬化性エポキシド組成物を調製した。いずれのエポキシド組成物も、23℃における24時間後の粘度増加率は2倍未満であり、150℃での硬化時間も30分以内と良好であった。
実施例18では、実施例10で得られた潜在性硬化剤組成物、すなわちイミダゾール(IMZと略す)及び2−フェニルイミダゾール(2PZと略す)、並びに亜リン酸ジラウリル(DLPと略す)及び亜リン酸を併用して得られた潜在性硬化剤組成物を用いて、一液性の硬化性エポキシド組成物を調製した。硬化性エポキシド組成物中のイミダゾール化合物のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物の水酸基のモル比が1.0となっているが、得られたエポキシド組成物は23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であり、150℃での硬化時間も30分以内と良好であった。
実施例19では、実施例12で得られた潜在性硬化剤組成物、すなわち2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZと略す)のイミダゾール基に対する亜リン酸の水酸基のモル比が3.0の液状の潜在性硬化剤組成物を使用し、一液性の硬化性エポキシド組成物を調製した。この硬化性エポキシド組成物も、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であり、150℃での硬化時間も30分以内と良好であった。
比較例7では、実施例1で得られた液状の潜在性硬化剤組成物を用いて、硬化性エポキシド組成物を調製した。この硬化性エポキシド組成物においては、イミダゾール化合物のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物の水酸基のモル比が0.05である。得られた硬化性エポキシド組成物は、150℃での硬化時間は30分以内であったが、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍以上となった。
比較例8では、実施例13で得られた液状の潜在性硬化剤組成物を用いて、硬化性エポキシド組成物を調製した。この硬化性エポキシド組成物においては、イミダゾール化合物のイミダゾール基に対して、亜リン化合物の水酸基のモル比が3.3である。得られた硬化性エポキシド組成物は、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であったが、150℃での硬化時間は30分以上となった。
比較例9では、亜リン酸化合物に代えて、リン酸エステル(リン酸モノブチルとリン酸ジブチルの当量混合物)により調製した液状の潜在性硬化剤組成物を使用し、硬化性エポキシド組成物を調製した。得られたエポキシド組成物は、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であったが、150℃での硬化時間は30分以上となった。また、比較例10でもリン酸モノ(2−エチルヘキシル)とリン酸ジ(2−エチルヘキシル)の当量混合物(OP)により調製した液状の潜在性硬化剤組成物を用いて、エポキシド組成物を調製した。得られたエポキシド組成物は、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍未満であったが、150℃での硬化時間は30分以上となった。
比較例11では、亜リン酸化合物を使用せず、イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を硬化剤として用いて、エポキシド組成物を調製した。得られたエポキシド組成物は、150℃での硬化時間は30分以内であったが、23℃での24時間後の粘度増加率は2倍以上となった。
以上の説明により、本発明により、イミダゾール化合物及び水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物一種以上を必須成分として含む、常温で液状の潜在性硬化剤組成物を得ることが可能であり、更に分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド、及び常温で液状の潜在性硬化剤組成物を必須成分として含む一液性の硬化性エポキシド組成物を提供し得ることは明らかである。
本発明の常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物によれば、従来は固形であった潜在性硬化剤と異なり液状であるため、製造及び取り扱いが容易な液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を得ることが可能である。また常温で液状の硬化性エポキシド組成物用の潜在性硬化剤組成物を用いてエポキシド組成物とすることで、混合が容易で且つ室温での保存安定性及び加熱時の硬化性を両立した一液性の硬化性エポキシド組成物を得ることができる。

Claims (2)

  1. イミダゾール化合物と、亜リン酸、亜リン酸モノエステル、及び亜リン酸ジエステルからなる群から選択される、水酸基1つ以上を有する亜リン酸化合物1種以上とを必須成分として含み、前記イミダゾール化合物中のイミダゾール基に対して、亜リン酸化合物のリン原子に結合した水素原子及び水酸基の合計のモル比が0.1〜3.0である、硬化性エポキシド組成物用の液状潜在性硬化剤組成物。
  2. 分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド化合物、及び請求項1に記載の液状潜在性硬化剤組成物を含む、一液性の硬化性エポキシド組成物。
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