JP5376817B2 - 圧電磁器およびそれを用いた圧電素子 - Google Patents

圧電磁器およびそれを用いた圧電素子 Download PDF

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Description

本発明は、圧電磁器およびそれを用いた圧電素子に関し、共振子、超音波振動子、超音波モータ、加速度センサ、ノッキングセンサ、およびAEセンサ等に適し、特に、厚み縦振動の正圧電効果を利用した圧電センサとして好適に用いられる圧電磁器およびそれを用いた圧電素子に関するものである。
圧電磁器を利用した製品としては、例えば、圧電センサ、フィルタ、圧電共振子、超音波振動子、超音波モータ等がある。
圧電センサは、ショックセンサ、加速度センサ、あるいは、車載用のノッキングセンサとして用いられる。特に近年では、自動車のエンジンの燃費向上および排気ガス(HC、NOx)の低減のために、シリンダ内の圧力を直接検出して、インジェクタからの燃料噴射タイミングの最適化を図るための、圧力センサとしての研究が進められている。
ここでシリンダ内の圧力変化を検出するメカニズムについて説明する。圧力は、例えば、エンジンのシリンダ内の突出した圧力伝達ピンと圧力伝達ピンを介して伝わるシリンダ内の圧力変化を検出する圧電センサにより構成される。この圧力伝達ピンのシリンダ内の圧力を伝えるたえに、その先端の一部はシリンダ内に突出しており、その部分はシリンダ内の燃焼時の高温にさらされるので、圧力伝達ピンに連結した圧電センサには、高い圧力変化と共に熱が伝わり、その温度は150℃に達する。
従来、圧電磁器としては、圧電性が高く、圧電定数dの大きなPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系材料やPT(チタン酸鉛)系材料が使用されていた。
しかし、PZTやPT系材料は、鉛が約60質量%含まれているため、酸性雨により鉛の溶出が起こり、環境汚染を招く危険性があることが指摘されている。
また、PZT系材料やPT系材料は、キュリー温度Tが約200〜300℃であることから、150℃程度の高温下で使用すると圧電定数dが劣化する点、室温の圧電定数dに対して150℃の圧電定数dが大きく変化する点などから、用途に大きな制約があった。そのため、PZT系材料やPT系材料からなる圧電材料を、例えば、エンジンシリンダ内の圧力を直接検出する圧力センサとして用いた場合、150℃の高温にさらされると、経時変化を起こして圧電定数dが劣化するため、同じ圧力が加わっても出力電圧が変わることになるとともに、室温の圧電定数dに対する150℃の圧電定数dの変化が大きいために、圧力と出力電圧との関係において線形性が得られず、出力電圧から正確な圧力を算出することが困難であった。
これに対して、150℃の高温下においても安定した圧力センサとしての特性を得るために、ランガサイトや水晶などの単結晶を用いる検討もなされている。しかし、単結晶の場合、圧電定数dが小さいという課題がある。また、加工時にチッピングが生じやすく、割れやすく、実際の使用時にも圧力が加わった際に割れやすい。さらに、単結晶の製造コストが極めて高いという課題があった。
そこで、鉛を含有しない圧電材料に対して高い期待が寄せられている。
鉛を含有しない圧電磁器として、ビスマス層状化合物を主成分とする材料が提案されている(例えば特許文献1。)。ビスマス層状化合物を主成分とする圧電磁器では、キュリー温度が約400℃以上のものが多く、そのようなものは、高い耐熱性を有しており、エンジンルーム内といった高い温度にさらされる環境下で使用する圧電素子として応用できる可能性がある。
特開2002−167276号公報
しかしながら、特許文献1に記載のビスマス層状化合物を主体とする圧電磁器では、荷重が加わった際に正圧電効果により生じる出力電荷のヒステリシスが大きかった。すなわち、加わる荷重が高くなっていく状態で生じる出力電荷と、加わる荷重が低くなっていく状態で生じる出力電荷との差が大きく、例えば、圧電磁器を圧力センサ用の圧電素子として用いた場合、このヒステリシスの差により、測定される荷重に誤差が生じ、その圧力検出精度が低くなるという課題があった。
したがって、本発明は、耐熱性に優れるとともに、正圧電効果により生じる電位差のヒステリシスの小さい圧電磁器および圧電素子を提供することを目的とする。
本発明の圧電磁器は、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対する、CoCoO換算の含有量が0.01〜0.7質量部であり、MnのMnO 換算の含有量が0.1質量部以下であることを特徴とする。
また、0.05≦β≦0.5であることが好ましい。
さらに、MがSrγBa(1−γ)、0.2≦γ≦0.8であることが好ましい。
またさらに、本発明の圧電素子は、前記圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えることを特徴とする。
本発明の圧電磁器によれば、主成分がビスマス層状化合物からなる圧電磁器であって、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対して、CoをCoO換算で0.01〜0.7質量部含有し、MnのMnO 換算の含有量が0.1質量部以下であることにより、動的圧電定数d33のヒステリシスを小さくすることができる。
また、0.05≦β≦0.5である場合、焼成温度が変動しても動的圧電定数d33のばらつきが少ない、安定した圧電特性の圧電磁器が得られる。
また、MがSrγBa(1−γ)、0.2≦γ≦0.8である場合、動的圧電定数d33が大きく、動的圧電定数d33の温度変化も小さくできる。
また、本発明の圧電素子によれば、前記圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えた構造を有している。本発明の圧電素子は多結晶体であることから、単結晶のように特定の面で割れやすい性質を持たず、また、チッピング等の欠けも生じにくく、それらに起因する不良が少なくなり、歩留りの良い圧電素子が得られる。
本発明の圧電磁器は、主成分がビスマス層状化合物からなる圧電磁器であって、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対して、CoをCoO換算で0.01〜0.7質量部含有するものである。
ここで、まず正圧電効果により生じる出力電荷とそのヒステリシスについて説明する。正圧電効果により生じる出力電荷は、例えば、図1に示す装置を用いて測定できる。この装置は、板状の圧電磁器1の上下面に電極2、3を形成した圧電素子5に対して荷重Flowを印加し、その後、圧電素子5に加わる荷重をFhighまで増加させた後、Flowまで戻すことを繰り返し、その間に圧電素子5に生じる出力電荷Qをチャージアンプで測定するもので、この際の荷重は、例えば、Flow=250N、Fhigh=300Nの10Hzの三角波で与える。
そのように測定した荷重と出力電荷の関係をグラフに表すと、例えば、図2のようになる。グラフ中の矢印は、その測定値が、荷重を大きくしていく際に測定されたものであるか、小さくしていく際に測定されたものであるかを示している。図2では、加わる荷重が大きくなっていく際に測定される出力電荷の方が低くなっている。荷重Flowでの出力電荷をQ、荷重が上昇していく際の荷重Fmid(=(Flow+Fhigh)/2)での出力電荷をQ、荷重Fhighでの出力電荷をQ、荷重が低くなっていく際の荷重Fmidでの出力電荷をQとする。QとQは一致せず、この差がヒステリシスである。この後、(Q−Q)/(Q−Q)の値をヒステリシスの指標とし、単にヒステリシスと呼ぶこととする。ヒステリシスの値は、1%以下が好ましく、0.5%以下が特に好ましい。なお、ヒステリシスは基本的に0以上の値となる。
続いて、動的圧電定数d33について説明する。動的圧電定数d33とは圧電素子5に直接荷重を印加したときの出力電圧の実測値を用いて、後述の式により測定された圧電定数d33である。従来、圧電定数d33は共振インピーダンス法を用いて測定されてきたが、その方法では圧電素子5に加わっている負荷が小さいため、実荷重を印加したときの動特性の評価はできない。そこで、実荷重を印加したときの荷重と出力電荷の関係から圧電定数d33(=出力電荷/荷重変化)を測定し、これを動的圧電定数d33とした。
具体的な測定装置および測定は、上述のヒステリシス測定の場合と同様である。例えば、まず、圧電素子5に250Nのオフセット荷重を印加し、そのオフセット荷重に加えて三角波形で50Nの荷重を印加する。圧電素子5に印加された三角波のピーク荷重50Nに対する出力電荷Qをチャージアンプで測定する。荷重50N印加に対する、出力電荷Qの関係から、動的圧電定数d33は、d33=Q/50N(荷重の変化量)となる。つまり、動的圧電定数d33は、単位C(クーロン)/Nであり、圧電素子に荷重を印加したときの動的な状態での圧電定数d33を意味する。
なお、250Nのオフセット荷重を印加したのは、圧電素子5へ引っ張り力が働かないようにして、安定な出力特性を得るためである。また、荷重の変化量を50Nとしたのは、例えば応用例としてエンジンのシリンダ内の圧力変化を検出するのに必要な範囲を例示したものである。
本発明の圧電磁器において、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、0.3≦α≦0.95の範囲に設定した理由は、αが0.3未満ではヒステリシスが大きくなるためである。また、αが0.3未満ではリーク電流が大きく、動的圧電定数d33も低くなる。逆に、αが0.95より大きくてもヒステリシスが大きくなり、動的圧電定数d33も低くなる。
Mは、Sr、BaおよびCaのうち少なくとも1種である。Mに占めるSrのモル比が高いと、動的圧電定数d33を大きくできるので好ましい。Mに占めるBaのモル比が高いと、ヒステリシスを小さくできるので好ましく、Mに占めるBaのモル比は20%以上、特に40%以上が好ましい。Mに占めるCaのモル比が高いと、温度に対する動的圧電定数d33の変化のリニアリティが良くなるので好ましい。また、Mに占めるBaおよびCaの合量のモル比が高いと動的圧電定数d33の温度依存性が低くなるため好ましい。
動的圧電定数d33を大きくし、動的圧電定数d33の温度依存性を低くするためには、MがSrγBa(1−γ)、0.2≦γ≦0.8であることが好ましい。さらに、ヒステリシスをより小さくするためには、0.4≦γ≦0.8であることがより好ましく、特に好ましいのは、0.4≦γ≦0.6である。
BiFeOの置換量βを、0≦β≦0.5としたのは、βが0.5より多いと動的圧電定数d33が低くなるからである。BiFeOは安定した特性の得られる焼成温度の範囲(安定焼成温度範囲)を広げる効果があり、0≦β<0.05では、安定焼成温度範囲を約10℃以内とすることができ、さらに、0.05≦β≦0.5とすることにより、焼結性が高まり動的圧電定数d33をあまり低下させることなく、安定焼成温度範囲を約15〜30℃へと広げることができる。0.1≦β≦0.3の範囲は、安定焼成温度範囲を広くでき、動的圧電定数d33の低下を非常に少なくできるので、より好ましい範囲である。
次に、上述のBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]成分100質量部に対して含有するCoの量について説明する。CoのCoO換算した含有量が0.01質量部より少ない場合は、動的圧電定数d33が低くなるとともに、ヒステリシスが大きくなる。逆にCoのCoO換算した含有量が0.7質量部より多くてもヒステリシスが大きくなる。CoOの含有量は、ヒステリシスをより小さくできる0.1〜0.3質量部が好ましく、特に0.2〜0.3質量部が好ましい。
ヒステリシスが小さくなるのは、圧電磁器に対して圧力変化を与えたとき、強誘電的ドメイン構造の変化が起こりにくくなったことや、正圧電効果によって発生した電荷が、磁器中で消費されることなく、検出装置に供給されることから、出力電荷のドリフト量が著しく小さくなることによるものと考えられる。
ビスマス層状化合物は、板状結晶であり、焼結がし難いため、焼結助剤としてMnOを加えてもよい。その場合、上述のBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]成分に100質量部に対して、Mnの量はMnO換算で0.1質量部以下であることが好ましい。MnO換算のMn量が0.1質量部より多いと、ヒステリシスが大きくなるおそれがある。
本発明の圧電磁器は、組成式がBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]で表され、主結晶相としてはビスマス層状化合物からなるものである。これは、基本的には、BiTi12・αMTiOで表されるビスマス層状化合物の疑ペロブスカイト層を構成するMの一部がBiに、Tiの一部がFeに置換されたものと考えられる。すなわち、本発明の圧電磁器は、(Bi2+(αm−1α3m+12−で書き表されるビスマス層状構造物の一般式において、αサイトとαサイトおよび酸素サイトに配位する構成元素の種類と量を調整することで、m=4の場合に生じる正方晶とm=3の場合に生じる斜方晶とが混在する組成相境界MPB(Morphotoropic Phase Boundary)を持ったビスマス層状構造物を得ることができる。その結果、PZTでも知られているようなMPB組成近傍における特徴的な圧電特性をビスマス層状化合物においても実現することができる。
また、Coは、主結晶相中に固溶し、一部Co化合物の結晶として粒界に析出する場合があり、また、その他の結晶相として、パイロクロア相、ペロブスカイト相、構造の異なるビスマス層状化合物が存在することもあるが、微量であれば特性上問題ない。
本発明の圧電磁器は、粉砕時のZrOボールからZr等が混入する場合もあるが、微量であれば特性上問題はない。
本発明の圧電磁器は、例えば、原料として、SrCO、BaCO、CaCO、Bi、TiO、Fe、CoOからなる各種酸化物あるいはその塩を用いることができる。原料はこれに限定されず、焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用いても良い。
これらの原料をBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対して、CoをCoO換算で0.01〜0.7質量部含有するように秤量する。秤量して混合した粉末を、平均粒度分布(D50)が0.5〜1μmの範囲になるように粉砕し、この混合物を800〜1050℃で仮焼し、所定の有機バインダを加え湿式混合し造粒する。このようにして得られた粉体を、公知のプレス成形等により所定形状に成形し、大気中等の酸化性雰囲気において1050〜1250℃の温度範囲で2〜5時間焼成し、本発明の圧電磁器が得られる。
本発明の圧電磁器は、図3に示すような圧力センサ用の圧電磁器として最適であるが、それ以外の圧電共振子、超音波振動子、超音波モータおよび加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサなどに使用できる。
図3に本発明の一実施形態である圧電素子5を示す。圧電素子5は、上述の圧電磁器のからなる円柱状の基体1の対向する一対の表面に電極2、3を形成して構成されている。図3では、電極2、3は、基体1の上下面である円形の面全体に形成されている。また、分極は基体1の厚み方向に施してある。このような圧電素子5は、自動車のエンジンシリンダ内の圧力を直接検出する用途に用いた場合、例えば、150℃の高温下で500Nの高荷重が印加されても、破壊されることなく安定して動作する。シミュレーションによる応力解析によれば、500Nの荷重が印加された場合でも、圧電素子5に発生する最大主応力は、基体1を構成する圧電磁器の機械的強度の約1/10以下であった。
まず、出発原料として純度99.9%のSrCO粉末、BaCO粉末、CaCO粉末、Bi粉末、TiO粉末およびFe粉末をモル比による組成式をBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、M、α、βが表1および表2に示す元素、割合となるように秤量した。
この主成分100重量部に対してCoO粉末およびMnO粉末を表1および表2に示す重量部となるように秤量し混合し、純度99.9%のジルコニアボールと、水あるいはイソプロピルアルコール(IPA)と共に500mlの樹脂製ポットに投入し、その樹脂製ポット回転台に置き16時間混合した。
混合後のスラリ−を大気中で乾燥し、#40メッシュを通し、その後、大気中950℃、3時間保持して仮焼し、この合成粉末を純度99.9%のZrOボールと水あるいはイソプロピルアルコール(IPA)と共に500mlの樹脂製ポットに投入し、その樹脂製ポット回転台に置き20時間粉砕した。
この粉末に適量の有機バインダを添加して造粒し、金型プレスで150MPaの荷重で円柱形状の成型体を作製した後、脱バインダ処理を行ない、次いで大気雰囲気中にて、1050〜1250℃の間で各試料の動的圧電定数d33がもっとも高くなるピーク温度で、3時間の条件で焼成を行ない、直径4mm、厚み2mmの円板状の圧電磁器を得た。また、前述の動的圧電定数d33がもっとも高くなる焼成ピーク温度に対して−20〜+20℃の範囲で5℃の間隔で焼成ピーク温度を変えて焼成を行なった圧電磁器も作製した。
その後、円柱状の圧電磁器の両主面に、Agの電極を焼付けし、200℃の条件下で、厚み方向に5kV/mm以上のDC電圧を印加して分極処理を施した後、300℃で24時間の熱エージング処理を行なった。
そして、図1に示す装置を用いて、室温(25℃)での動的圧電定数d33およびヒステリシスを評価した。具体的には、まず、圧電素子5に250Nのオフセット荷重を印加した。その後、圧電素子5に加える荷重を300Nまで増加させた後、再度250Nまで戻すことを繰り返し、圧電素子5から出力される電荷量の変化をチャージアンプで測定した。この際の荷重は10Hzの三角波で与えた。そして、動的圧電定数d33=出力電荷/荷重の変化量(単位pC/N)の式により動的圧電定数d33を求めた。同様にして、−40℃および150℃における動的圧電定数d33を測定し、動的圧電定数d33の温度変化率を求めた。室温からT℃までの動的圧電定数d33の温度変化率は、室温(25℃)における動的圧電定数d33およびT℃における動的圧電定数d33から、(T℃における動的圧電定数d33−室温(25℃)における動的圧電定数d33)/(室温(25℃)における動的圧電定数d33)の式より求めた。
また、体積固有抵抗をJIS−C2141に準拠して評価した。体積固有抵抗は1×10Ω・m以上を良好とし、表1、2では○、1×10Ω・m未満を不良とし、表1、2では×として示した。150℃の高温での検出感度を保つためには、圧電素子5の体積固有抵抗が1×10Ω・m以上であることが望まれるからである。体積固有抵抗がこれより高いことにより、出力された電荷が圧電素子5で消費されることが抑制され、信号処理回路に供給されることから、感度ばらつきが少なく、感度低下やノイズ源となってセンサ特性の性能劣化をもたらすことがなくなる。
各組成について、焼成のピーク温度を変えた中でもっとも動的圧電定数d33が高くなった試料の結果を表1および表2に示した。さらに、焼成のピーク温度を変更した試料の動的圧電定数d33を、もっとも動的圧電定数d33の高かった試料と比較して、動的圧電定数d33の低下が3%以内である焼成温度の範囲を調べ、その範囲を各組成の安定焼成温度範囲とした。この温度範囲が広いと、製造時に焼成温度がばらついた際に、動的圧電定数d33の変動が少なく、安定した圧電特性の圧電磁器を作製できる。
Figure 0005376817
Figure 0005376817
表1および表2から明らかなように、本発明の範囲内の圧電磁器である、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対して、CoをCoO換算で0.01〜0.7質量部含有する試料No.3〜11、13〜19、21〜25、27、30〜38、40〜51、53〜57および59は、ヒステリシスが1%以下と非常に小さく、また、動的圧電定数d33が15.1pC/N以上を有していた。
図4は、試料No.33の荷重と発生電荷の測定結果である。荷重に対する発生電荷の変化はほとんど直線的で、ヒステリシスは0.02%と非常に小さくなっていた。
特に、MがSrγBa(1−γ)、0.2≦γ≦0.8である試料No.3〜11、14〜17、21〜25、27、30〜38、41〜44、47〜50、53〜57および59は、動的圧電定数d33が16.3pC/N以上と大きく、25℃の動的圧電定数d33に対する−40および150℃の動的圧電定数d33の変化を±5%以内にできた。
また、β<0.05の試料No.1〜11、13〜19、21〜25、27および47は、安定焼成温度範囲が−5〜+5℃の10℃の範囲であったが、試料No.30〜38、40〜46、48〜50、53〜57および59は、0.05≦β≦0.5であるため、安定焼成温度範囲15℃以上を有していた。
これに対し、試料No.1、2、12、28、29および39は、αが0.3より小さいか、0.95より大きいため、ヒステリシスが1.34%以上と大きく、動的圧電定数d33も14.8pC/N以下と小さいものであった。
また、試料No.51は、βが0.6と大きいため、ヒステリシスが1.13%と大きくなった。
また、試料No.20は、CoOおよびBiFeOを含有しないため、焼結不足となり、動的圧電定数d33測定時の加圧で破壊しない試料を作製することができなかった。
また、試料No.26、52および58は、CoO換算のCo量が0.01質量部より少ないか、CoO換算のCo量が0.7質量部より多いため、ヒステリシスが1.35%以上と大きいものであった。
図5は試料No.28〜39のX線回折の結果であり、図6は図5の2θ=32〜34°の部分を拡大したものである。各試料がビスマス層状化合物を主結晶相としていることが分かり、α=0の時の結晶は斜方結晶(a軸の長さ≠b軸の長さ)、α=1の時の結晶は正方晶(a軸の長さ=b軸の長さ)となっていた。0.3≦α≦0.95の範囲においては、正方晶と斜方晶とが混在しており、特に、0.4≦α≦0.45の範囲では、組成相境界MPBとなっている。このMPBは、PZT圧電材料でよく知られており、PZの菱面体晶とPTの正方晶とがほぼ1:1の比率で構成される組成領域でMPBが形成される。このPZTのMPB近傍では圧電定数dが最大値を示し、圧電定数dの温度係数が大きく変化する。この現象と同様に、0.4≦α≦0.45の組成範囲は、2種類の結晶相の境界であるので、圧電体の特異的な現象を示す組成相境界MPBであり、動的圧電定数d33の温度変化率が約0近傍まで小さくなるとともに、大きな動的圧電定数d33が得られる。
また、作製した試料を蛍光X線分析装置で組成分析した。その結果、各試料の圧電磁器の組成は、調合した原料組成と同じ割合であった。これは、検出された元素のうち、Bi、Ti、Sr、Ba、Ca、FeおよびCoの割合を、組成式BiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO](ただし、MはSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種)に当てはめてαおよびβを算出するとともに、前記組成式の成分の量とCoOの量の比からCoOが前記組成式の成分100重量に対して何重量部に当たるかを算出して確認した。
圧電磁器の動的圧電定数d33の評価装置を示す概略図である。 発生電荷のヒステリシスを説明する図である。 本発明の圧電素子の一実施形態である圧力センサを示す斜視図である。 試料No.33の圧電磁器に対する荷重と発生電荷の関係を示す図である。 試料No.28〜39の圧電磁器のX線回折図である。 図5のX線回折図のA部を拡大した図である。
符号の説明
l・・・基体
2、3・・・電極
4・・・分極方向
5・・・圧電素子

Claims (4)

  1. 主成分がビスマス層状化合物からなる圧電磁器であって、組成式でBiTi12・α[(1−β)MTiO+βBiFeO]と表したとき、MがSr、BaおよびCaのうち少なくとも1種であるとともに0.3≦α≦0.95および0≦β≦0.5である成分100質量部に対する、CoCoO換算の含有量が0.01〜0.7質量部であり、MnのMnO 換算の含有量が0.1質量部以下であることを特徴とする圧電磁器。
  2. 0.05≦β≦0.5であることを特徴とする請求項1記載の圧電磁器。
  3. MがSrγBa(1−γ)、0.2≦γ≦0.8であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電磁器。
  4. 請求項1〜3のうちいずれかに記載の圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えることを特徴とする圧電素子。
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