JP5375690B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物結晶の製造方法に関する。
近年、GaN結晶やInGaAlN系結晶等のIII族窒化物結晶は、青色LED、緑色LEDおよび白色LEDや、高速高密度光メモリ用青紫色LDなどの半導体デバイスに用いられる材料として、その開発が盛んに行われている。また、高演色性のLEDや高速高密度光メモリ用青紫色LDを実現するためには、転移密度10cm−2以下の高品質GaN基板の開発が切に望まれている。
現在、これらのGaN系半導体デバイスに用いられるGaN系結晶は、その殆どがサファイアあるいはSiCを基板として、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等の気相法により製造されている。気相法の一例として、HVPE法(ハロゲン化気相エピタキシー法)では、サファイア基板、あるいはGaAs基板上にGaNを厚く成長させた後、基板からGaN厚膜を分離することにより、φ2インチ程度の大面積GaN結晶が得られている。
しかしながら、サファイアやSiCを基板として用いる結晶成長法は、基本的にはヘテロエピタキシャル成長であり、III族窒化物との熱膨張係数差および格子定数差に起因する欠陥発生は避けることができない。従って、HVPE法で製造されるGaN結晶の転位密度は10cm−2程度と高密度であり、さらに、GaN結晶には反りが発生する。このため、デバイス特性を向上できず、発光デバイスの長寿命化や動作電力の低減が図れないといった問題がある。
従って、低転位密度の大面積GaN系結晶を得るためには、格子定数や熱膨張係数が一致するGaN結晶を基板として用いることが最適である。
一方、液相法によるGaN系結晶の製造方法として、ナトリウムとガリウムとの混合融液中に窒素を溶解してGaN系結晶を成長させるフラックス法が研究開発されている。フラックス法は、他の液相成長に比べて低温低圧下で結晶成長させることが可能であり、得られる結晶も低転位密度であるなどの利点がある。そこで出願人は、GaN結晶を基板として用いて、フラックス法によって低転移密度の大面積GaN系結晶を得る方法の開発を行っている。
例えば特許文献1には、原料であるIII族窒化物を含む混合融液を、混合融液に対して濡れ性の良いタングステンの輸送管によって結晶成長領域に輸送し、結晶成長領域で結晶を引き上げながらIII族窒化物結晶を成長させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の結晶成長装置では、得られる結晶の面積が小さいという問題がある。従って、結晶サイズを増加させるためには、結晶の引上げ機構を大型化する必要があり、大掛かりな装置が必要となる。また、特許文献1に記載の結晶製造方法では、短時間で大面積の結晶を成長させられないという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、転位密度の少ない大面積のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で製造することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、反応容器内に、アルカリ金属と少なくともIII族元素を含む物質との混合融液を形成する工程と、前記混合融液に窒素を含む気体を接し、前記混合融液中に前記気体中の前記窒素を溶解させる工程と、前記混合融液に対して濡れ性のある部材の一部分を、前記混合融液に浸漬する工程と、前記部材の表面または表面近傍にIII族窒化物結晶を設置する工程と、前記反応容器内を、前記III族窒化物が結晶成長する温度および窒素分圧に制御する工程と、前記混合融液の濡れ現象により、前記混合融液を前記部材の表面を流動させて、前記III族窒化物結晶の表面に到達させる工程と、前記混合融液中の前記III族元素と、前記混合融液中に溶解した前記窒素とから、前記III族窒化物を結晶成長させる工程と、を含むこと特徴とする。
本発明によれば、混合融液の濡れ現象により、混合融液を部材の表面を流動させてIII族窒化物結晶の表面に到達させ、混合融液中のIII族元素と窒素とをIII族窒化物結晶の結晶成長面に供給するため、転移密度の少ない大面積のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で製造することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の一形態にかかるIII族窒化物結晶成長装置の一例を示す概略断面図である。 図2−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図2−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図3−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図3−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図4−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図4−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図4−3は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図5−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図5−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図5−3は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図6−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図6−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図7−1は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図7−2は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図7−3は、部材と種結晶の配置例を示す概略断面図である。 図8−1は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図(断面図)である。 図8−2は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図8−3は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図8−4は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図8−5は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図8−6は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図8−7は、結晶成長の様子を経時的に説明する模式図である。 図9−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図9−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図10−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図10−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図11−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図11−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図12−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図12−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図13−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図13−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図14−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図14−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図15−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図15−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。 図16−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図16−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図17−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図17−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図18−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図18−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図19−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図19−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。 図20−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図20−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図21−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図21−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。 図22−1は、結晶成長前の種結晶を示す斜視図である。 図22−2は、結晶成長後の結晶を示す斜視図である。 図23−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図23−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。 図24−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図24−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。 図25−1は、結晶成長前の種結晶を示す断面図である。 図25−2は、結晶成長後の結晶を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお以下の説明において、図には発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本発明が特に限定されるものではない。また複数の図に示される同様の構成成分については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
<結晶成長装置の構成>
図1を参照して、本発明の実施の一形態にかかるIII族窒化物結晶の結晶製造方法及び使用される結晶成長装置の構成例につき説明する。図1は、本発明の実施の一形態にかかるIII族窒化物結晶成長装置1の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、結晶成長装置1は、ステンレス製の閉じた形状の耐圧容器11を備えている。耐圧容器11内の設置台24には、反応容器12が設置される。尚、反応容器12は、設置台24に対して脱着可能となっている。
反応容器12は、アルカリ金属と少なくともIII族元素を含む物質との混合融液25と、該混合融液25に対して濡れ性のある材料からなる部材26と、該部材26上であるか、あるいは該部材26に近接するように設置された種結晶27とを容器内部に保持して、結晶成長を行うための容器である。
反応容器12の材質は特に限定するものではなく、窒化ホウ素(BN)焼結体、P−BN等の窒化物、アルミナ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等の酸化物、SiC等の炭化物等を使用することができる。より好適な実施形態としては、反応容器12の材質は、窒化ホウ素であることが好ましい。
混合融液25の原料であるアルカリ金属としては、ナトリウム、あるいはナトリウム化合物(例えば、アジ化ナトリウム)が用いられるが、その他の例として、リチウムや、カリウム等のその他のアルカリ金属や、当該アルカリ金属の化合物を用いるとしてもよい。尚、複数種類のアルカリ金属を用いるとしてもよい。
また、混合融液25の原料であるIII族元素を含む物質としては、例えばIII族元素のガリウムが用いられるが、その他の例として、ホウ素、アルミニウム、インジウム等のその他のIII族元素や、これらの混合物を用いるとしてもよい。
混合融液25の原料として反応容器12内に投入されるアルカリ金属(例えば、ナトリウム)およびIII族元素(例えば、ガリウム)の量比は、特に限定されるものではない。
好適な実施形態としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)とIII族元素(例えば、ガリウム)の総モル数に対するアルカリ金属のモル数の比率を0.6ないし0.8の範囲内とすることが好ましい。さらに好適な実施形態としては、アルカリ金属のモル比を0.6ないし0.76の範囲内とすることが好ましい。
部材26の材質としては、結晶を成長させる温度、圧力等の条件下で混合融液25に対して濡れ性がある材質であれば良い。具体的には例えば、部材26は、結晶を成長させる温度、圧力等の条件下で混合融液25が部材26上を濡れ拡がって、混合融液25が種結晶27に接触できる程度の濡れ性を有するのがよい。「濡れ性が良い」とは濡れ拡がり易いことを意味する。
好適な実施形態としては、部材26の材料として、例えば、タングステンやアルミナ、YAG、TiN、Y2O3、SiNなど、反応容器12の材料である窒化ホウ素より混合融液25との濡れ性が良い材料を部材26の材料として用いることが好ましい。
さらに好適な材料としては、結晶成長時に雑結晶の発生が少ないアルミナを用いることがより好ましい。アルミナを部材26に用いることで、種結晶の成長が阻害されることなく大面積の結晶を成長させることができる。
部材26の形状としては、特に限定されるものではない。好適な実施形態としては、板状、または角柱形状や円柱形状をしたブロック形状が好ましい。
尚、部材26の数は1つに限られるものではなく、混合融液25との濡れ性のある部材を複数用いるとしても良い。
耐圧容器11には、耐圧容器11の内部空間23に、III族窒化物結晶の原料である窒素(N2)ガスおよび希釈ガスを供給するガス供給管14が接続されている。ガス供給管14は、窒素供給管17と希釈ガス供給管20とに分岐しており、それぞれバルブ15、18で分離することが可能となっている。
希釈ガスとしては、不活性ガスのアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、その他の不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。
窒素ガスは、窒素ガスのガスボンベ等と接続された窒素供給管17から供給されて、圧力制御装置16で圧力を調整された後、バルブ15を介してガス供給管14に供給される。一方、希釈ガス(例えば、アルゴンガス)は、希釈ガスのガスボンベ等と接続された希釈ガス供給管20から供給されて、圧力制御装置19で圧力を調整された後、バルブ18を介してガス供給管14に供給される。このようにして圧力を調整された窒素ガスと希釈ガスは、ガス供給管14にそれぞれ供給されて混合される。
そして、窒素および希釈ガスの混合ガスは、ガス供給管14からバルブ21を経て耐圧容器11内に供給される。耐圧容器11は、バルブ21部分で結晶成長装置1から取り外すことが可能であり、耐圧容器11をグローブボックス内に収容して作業することができる。
また、ガス供給管14には、圧力計22が設けられており、圧力計22によって耐圧容器11内の全圧をモニターしながら耐圧容器11内の圧力を調整できるようになっている。
本実施の形態では、このように窒素ガスおよび希釈ガスの圧力をバルブ15、18と圧力制御装置16、19とによって調整することにより、窒素分圧を調整することができる。また、耐圧容器11の全圧を調整できるので、耐圧容器11内の全圧を高くして、反応容器12内のアルカリ金属(例えばナトリウム)の蒸発を抑制することができる。
混合融液25に対する部材26の濡れ性は、耐圧容器11内の全圧によって変化することがある。本実施の形態では、上述のように希釈ガスを混合することによって、窒素分圧を好適な結晶成長条件に保ったまま、耐圧容器11内の全圧を制御することができる。従って、混合融液25に対する部材26の濡れ性が好適な状態となるように、耐圧容器11内の全圧を設定することが可能である。
本実施の形態の結晶製造方法における耐圧容器11内の窒素分圧は、特に限定されるものではないが、好適な実施形態としては、最低でも0.1MPaとすることが好ましい。
また、図1に示すように、耐圧容器11の外周にはヒーター13が配置されており、耐圧容器11および反応容器12を加熱して、混合融液25の温度を調整することができる。
本実施の形態の結晶製造方法における混合融液25の結晶成長温度は、特に限定されるものではないが、好適な実施形態としては、最低でも700℃とすることが好ましい。
さらに好適な実施形態としては、結晶成長温度を900℃とし、当該温度における耐圧容器11内の窒素分圧を5MPaとすることがより好ましい。
混合融液25に対する部材26の濡れ性は、耐圧容器11内の圧力(全圧)および混合融液25の温度の少なくともいずれか一方によって変化する場合がある。そこで、好適な実施形態としては、上述した結晶成長条件において、混合融液25に対する部材26の濡れ性が最適となるように、耐圧容器11内の圧力(全圧)と、混合融液25の温度とを設定することが好ましい。尚、当該濡れ性が最適となる温度および圧力は、混合融液25と部材26との組合わせに依存するため、本実施の形態において、耐圧容器11内の圧力および混合融液25の温度は特に限定されるものではない。
一例として、ガリウムとナトリウムとを含む混合融液25と、アルミナの部材26とを用いる場合には、耐圧容器11内の圧力および混合融液25の温度のうち、一方あるいは両方が高い場合に、当該混合融液25に対するアルミナの濡れ性が向上する。従って、好適な実施形態としては、耐圧容器11内の圧力および混合融液25の温度の一方、あるいは両方を高く設定することが好ましい。より好適な実施形態としては、混合融液25の温度を800℃より高くし、当該温度における耐圧容器11内の全圧を3MPaより高くすることが好ましい。さらに好適な実施形態としては、混合融液25の温度を900℃とし、当該温度における耐圧容器11内の全圧を8MPaとすることがより好ましい。
<部材および種結晶の設置方法>
次に、III族窒化物結晶の原料と、混合融液25に対して濡れ性のある部材26と、種結晶27とを反応容器12内に設置する方法について説明する。
反応容器12に原料を投入する作業は、耐圧容器11をバルブ21で取り外して、耐圧容器11内を例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気としたグローブボックス内に収容して行う。
まず、反応容器12内には、混合融液25の原料であるアルカリ金属とIII族元素とが投入される。
例えば図2−1に示すように、部材26は、一部分が混合融液25に浸漬され、残りの部分が混合融液25の液面上に出るように、反応容器12内に設置される。
種結晶27は、部材26の表面上に接するように、あるいは部材26の表面近傍に、近接するように設置される。また、種結晶27は、その一部分が混合融液25に浸漬されるように設置されても良いし、その全部が混合融液25の液面上に出た状態で設置されても良い。すなわち、種結晶27は、混合融液25の濡れ性によって、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25が到達して接触し、混合融液25により濡れる位置に配置されていればよい。
さらに好適な実施の形態としては、種結晶27は、混合融液25の濡れ性によって、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって種結晶27の表面が被覆される位置に配置されることが好ましい。
次に、図2ないし図7を用いて、反応容器12内に部材26および種結晶27を配置する好適な実施形態について説明する。図2ないし図7は、反応容器12内における部材26と種結晶27の設置例を示す概略断面図である。
まず、板状の部材26を用いる場合の部材26および種結晶27の設置方法について、図2ないし図5を用いて説明する。
(設置例1)
板状の部材26を用いる場合には、図2−1に示すように、部材26を反応容器12内に斜めに設置して、部材26の一端を混合融液25に浸漬させて、他端を混合融液25の液面上に出るように設置する。
図2−1に示すように、種結晶27は、例えば混合融液25の液面上に出ている部材26の表面に接触させて設置される。
また、図2−2に示すように、種結晶27を、混合融液25の液面上に出ている部材26の表面には接触させずに、該表面に近接する位置に設置するとしてもよい。この場合、種結晶27は、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されていればよい。
つまり、種結晶27は部材26の表面に接触していても、接触していなくとも、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されていればよい。
(設置例2)
種結晶27は、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で設置してもよい。
即ち、図3−1に示すように、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で設置してもよい。あるいは、図3−2に示すように、種結晶27を、混合融液25の液面上に出ている部材26の表面には接触させずに、該表面に近接する位置に設置するとしてもよい。この場合、種結晶27は、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されている。
(設置例3)
また、部材26に加えて、混合融液25に対して濡れ性のある部材(第2の部材)28をさらに用いることも可能である。部材28の材質としては、部材26の材質について既に説明したように、結晶を成長させる温度、圧力等の条件下で混合融液25と濡れ性の良い材質であれば良い。なお、部材26、28の材料は、同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。
図4は、部材28をさらに用いる場合における部材26、28、種結晶27の設置例を示す概略断面図である。
図4−1の設置例では、板状の部材26と部材28とを上下に重ね合わせて、反応容器12内に斜めに設置する。部材26、28の一端側の一部分を混合融液25に浸漬させて、他端側の残りの部分は混合融液25の液面上に出るように設置する。種結晶27は、混合融液25の液面上に出ている部分の部材26および部材28で挟んで設置する。すなわち、種結晶27は部材26、28の両方の表面に接触した状態となる。
また、図4−2に示すように、種結晶27を部材26に接触させずに、部材28のみに接触させて、すなわち部材26の近傍に、近接するように設置してもよい。
あるいは、図4−3に示すように、種結晶27を部材28に接触させずに、部材26のみに接触させて、すなわち部材28の近傍に、近接するように設置してもよい。
(設置例4)
設置例3において、設置例2と同様に種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態としてもよい。図5は、この場合における種結晶27の設置例を示す図である。
図5−1に示すように、部材26、28は図4−1と同様の配置とし、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で設置してもよい。
図5−2に示すように、部材26、28は図4−2と同様の配置とし、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で設置してもよい。
図5−3に示すように、部材26、28は図4−3と同様の配置とし、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で設置してもよい。
次に、角柱形状や円筒形状をしたブロック状の部材26を用いる場合における、部材26および種結晶27の設置方法について、図6および図7を用いて説明する。
(設置例5)
ブロック状の部材26を用いる場合には、図6−1に示すように、部材26を反応容器12の内側底部に戴置し、部材26の下部を混合融液25に浸漬させて、残りの上部を混合融液25の液面上に露出するように設置する。
種結晶27は、図6−1に示すように、部材26の混合融液25から露出している表面に接触させて設置する。
また、図6−2に示すように、種結晶27を、部材26の混合融液25から露出している表面には接触させずに、該表面に近接する位置に設置するとしてもよい。この場合、種結晶27は、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されていればよい。
(設置例6)
設置例5において、上述した板状の部材28をさらに用いることも可能である。図7は、部材28をさらに用いる場合における部材26、28、種結晶27の設置例を示す概略断面図である。
図7−1の設置例において、部材26は図6−1と同様に配置され、種結晶27は、部材26の混合融液25から露出している表面に接して設置される。部材28は、部材26上に戴置された種結晶27に接触した状態で設置する。
このように、部材26、28によって種結晶27を挟むことにより、部材26と部材28の各表面を混合融液25が流動することができる。これにより、種結晶27の表面に混合融液25を効率的に到達させることができる。
また、図7−2に示すように、部材26、28は図7−1と同様の配置であるが、種結晶27を部材28には接触させず、部材26のみに接触させて設置してもよい。部材28は、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されていればよい。
さらに、図7−3に示すように、部材26、28は図7−1と同様の配置であるが、種結晶27を部材26には接触させず、部材28のみに接触させて設置してもよい。種結晶27および部材28は、混合融液25が部材26の表面を濡れ拡がるように流動する場合に、混合融液25によって濡れる位置に配置されていればよい。
尚、部材26および部材28の形状と配置は、図示例のみに限られるものではない。その他の形状の部材26または部材28を用いてもよいし、部材26、28をその他の配置により反応容器12内に設置しても良い。
<結晶成長方法>
次に、図8を参照して、III族窒化物の結晶成長方法について説明する。図8は、本実施の形態におけるIII族窒化物の結晶成長過程を説明する模式図(断面図)である。
図8−1は、温度、圧力を結晶成長条件に設定する前の反応容器12内の様子を示す図である。図8−1において、反応容器12内の部材26および種結晶27は、図2−1とともに設置例1で既に説明したように配置されている。
図8−2ないし図8−7は、温度、圧力を結晶成長条件に設定した時点以降の結晶成長の様子を経時的に順次示す図である。
図8−2および図8−3の段階において、混合融液25は、その濡れ性(すなわち表面張力)により、部材26の混合融液25に浸漬されていない領域に濡れ拡がりながら、すなわち部材26の表面に混合融液25の薄い液膜を形成しながら、種結晶27が設置された部材26の上部(図では部材26の右端側)に向かって流動する。
このとき混合融液25の液膜には、反応容器12中の気相から窒素が溶解する。部材26の表面は、混合融液25の濡れ性により、広範囲に渡って混合融液25により被覆される。
そして、本実施の形態では、混合融液25の液膜が部材26上に広い面積で形成されるので、混合融液25と気相との接触面積が増大し、液膜中への窒素溶解速度を向上させることができる。したがって、部材26上で混合融液25の液膜中の窒素濃度を短時間で、結晶成長に必要十分な濃度とすることができる。
そして、混合融液25が濡れ現象により流動して、種結晶27の結晶成長面に到達する。さらに好適な実施形態としては、図8−4に示すように、混合融液25が種結晶27の露出面全体を被覆する。
上述のように、部材26上において、混合融液25の液膜中には結晶成長に必要十分な濃度の窒素が溶解しているため、結晶成長に必要な原料(窒素およびIII族元素)を結晶成長面に効率よく供給することが可能となり、従来よりも短時間で結晶成長させることができる。
そして、種結晶27の混合融液25が到達した部分において結晶成長が進行するため、図8−5ないし図8−7に示すように、種結晶27は部材26の表面に沿って結晶成長し、III族窒化物の結晶は大面積化する。
本実施の形態では、上述した特許文献1に記載されている種結晶の引き上げ機構は不要であるため、当該引上げ機構により定められる結晶成長領域に限定されることなく、結晶成長領域を拡張することが可能となる。
従って、従来よりも大面積のIII族窒化物結晶を、フラックス法により製造することができ、高品質かつ大面積のIII族窒化物結晶を製造することができるという効果を奏する。
上述のように、本実施の形態では、混合融液25の濡れ現象によって、種結晶27の結晶成長面に結晶の原料を効率よく供給することができるとともに、混合融液25が到達した面全体を結晶成長領域とすることができる。従って、大面積のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で結晶成長させることができるという効果を奏する。
<結晶成長面の選択方法>
本実施の形態では、異なる形状の種結晶27を用いたり、種結晶27の設置方向を変えたりすることにより、結晶成長面を選択することができる。以下、結晶成長面の選択方法について、図9ないし図25を用いて説明する。図9ないし図25は、種結晶27の形状を変えた場合、あるいは種結晶27の設置方向を変えた場合の結晶成長前後の様子をそれぞれ示す図である。尚、図9ないし図25中の斜視図については、反応容器12の内部が透過的に見えるよう図示している。
(種結晶の設置例1)
図9は、柱状結晶を種結晶27として用いた場合における、結晶成長前(図9−1)と成長後(図9−2)の様子を示す模式図である。図9−1に示すように、この例は柱状結晶のc軸が液面と平行となるように種結晶27を設置した例である。即ち、図8−1に示すように、種結晶27のm面が、板状の部材26の主面Pに平行になるように設置して結晶成長を行う。この場合には、図9−2または図8−7に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例2)
また、図10−1に示すように、柱状結晶の種結晶27を、図9−1で示した方向に対して時計回りに90°回転させて設置してもよい。すなわち、柱状結晶のc軸が、混合融液25の液面に向かう方向であって、部材26の主面Pと混合融液25の液面とがなす直線に対して直交する方向に延在するように設置してもよい。この場合にも、図10−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例3)
また、図11−1に示すように、柱状結晶の種結晶27を、図10−1で示した方向に対して180°回転させて設置してもよい。すなわち、柱状結晶の−c軸が、混合融液25の液面に向かう方向であって、部材26の主面Pと混合融液25の液面とがなす直線に対して直交する方向に延在するように設置する。この場合にも、図11−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例4)
次に、c面を主面とする板状結晶を種結晶27として用いる場合について説明する。図12−1に示すように、種結晶27のc面を板状の部材26の主面Pに対して平行に設置して結晶成長を行う。この場合には、図12−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例5)
次に、柱状結晶を種結晶27として用いた場合について説明する。図13−1に示すように、柱状結晶(種結晶27)のc軸が上向きに板状の部材26の主面Pに対して垂直に、すなわち柱状結晶が主面Pに対して直立するように設置して結晶成長を行う。この場合には、図13−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
次に、種結晶27の一部を混合融液25に浸漬させる設置例について、図14ないし図17を用いて説明する。
(種結晶の設置例6)
図14−1および図15−1に示すように、柱状結晶である種結晶27の−c軸が、混合融液25の液面に向かう方向であって、部材26の主面Pと混合融液25の液面とがなす直線に対して直交する方向に延在するように種結晶27のm面(図15−1参照)を板状の部材26の主面Pに平行にして、かつ、種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で結晶成長を行う。この場合には、図14−2および図15−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例7)
図16−1に示すように、柱状結晶である種結晶27のc軸が、混合融液25の液面に向かう方向であって、部材26の主面Pと混合融液25の液面とがなす直線に対して直交する方向に延在するように、種結晶27を図14−1で示した方向から180°回転させる他は、図14−1と同様にして結晶成長を行ってもよい。この場合にも、図16−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例8)
図17−1に示すように、c面を主面とする板状結晶である種結晶27の一部分を混合融液25に浸漬させた状態で結晶成長を行う。この場合には、図17−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
次に、ブロック状の部材26を用いる場合の種結晶27の設置例について、図18ないし図25を用いて説明する。
(種結晶の設置例9)
図18−1および図19−1に示すように、角柱状のブロックからなる部材26の混合融液25からの露出面上に、柱状結晶である種結晶27を設置して結晶成長を行う。また、図19−1に示すように、種結晶27のm面は、部材26の主面Pに対して平行に設置する。この場合には、図18−2、図19−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例10)
図20−1、図21−2に示すように、種結晶27のc面が部材26の主面Pに平行になるように設置して結晶成長を行う。この場合には、図20−2、図21−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例11)
図22−1、図23−1に示すように、角柱状のブロックからなる部材26上に、柱状結晶である種結晶27を、そのc軸が部材26の主面Pに垂直になるように設置して結晶成長を行う。この場合には、図22−2、図23−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例12)
図24−1に示すように、角柱状のブロックからなる部材26上に、c面を主面とする板状の種結晶27を設置し、さらにその上に板状の部材28を設置して結晶成長を行う。また、種結晶27のc面を、部材26の主面Pに平行に設置する。この場合には、図24−2に示すように、c面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
(種結晶の設置例13)
図25−1に示すように、角柱状のブロックからなる部材26上に、柱状結晶である種結晶27をm面が部材26の主面Pに対して平行となるように設置する。さらに、板状の部材28を種結晶27の上部(上面)に接触させて設置し、結晶成長を行う。この場合には、図25−2に示すように、m面を主面とする大面積の板状結晶を成長させることができる。
上述のように、本実施の形態によれば、種結晶27の種類および設置方法を変えることにより、c面またはm面のいずれか一方を主面とする結晶面を選択的に成長させることができる。また、部材26、28上にどのように結晶成長させるか(結晶成長領域)について設定することも可能となる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す結晶成長装置1を使用して、窒化ガリウム(GaN)の結晶成長を行った。まず、耐圧容器11をバルブ21部分で結晶成長装置1から分離し、アルゴン雰囲気のグローブボックスに入れた。そして、耐圧容器11の設置台24から反応容器12を取り外して、反応容器12に原料と種結晶27と部材26とを設置する以下の作業を行った。
反応容器12としては窒化ホウ素(BN)製の容器を用いた。反応容器12に、III族元素のガリウム(Ga)と、アルカリ金属のナトリウム(Na)とを入れた。混合融液25中における、ナトリウムおよびガリウムの総モル数に対するナトリウムのモル数の比率(以下、単にナトリウムのモル比と称する。)Na/(Na+Ga)は、0.6とした。
部材26としては、アルミナ板を使用した。部材26は、図2−1に示すように、部材26の一端側の一部分を混合融液25に浸漬し、他端側の残りの部分が混合融液25の液面上に露出するように、反応容器12内に部材26の主面Pを斜めに傾けて設置した。
種結晶27には、窒化ガリウム(GaN)の柱状結晶を使用した。種結晶27は、図8−1または図9−1に示すように、m面を部材26の主面Pに対して平行にして、混合融液25の液面上に露出している部分の部材26に接触させて設置した。
そして、反応容器12を耐圧容器11内の設置台24に設置した。そして、耐圧容器11を密閉し、バルブ21を閉じて、耐圧容器11内部を外部雰囲気と遮断した。
そして、耐圧容器11をグローブボックスから出して、結晶成長装置1に設置した。すなわち、耐圧容器11をヒーター13に対して所定の位置に設置し、バルブ21部分でガス供給管14に接続した。
次に、バルブ15、21を開き、耐圧容器11内に窒素ガスを入れ、圧力制御装置16により窒素圧力を2.5MPaとして、バルブ15を閉じた。この圧力は、本実施例で使用した結晶成長装置1において、結晶成長温度(900℃)に昇温した場合に、耐圧容器11内の全圧が5MPaとなる圧力である。
次に、バルブ18を開き、耐圧容器11内にアルゴンガスを入れた。このとき、圧力制御装置19で圧力を4MPaとした。すなわち反応容器内のアルゴンガスの分圧は1.5MPaとなる。この圧力(4MPa)は、本実施例で使用した結晶成長装置1において、結晶成長温度(900℃)に昇温した場合に、耐圧容器11内の全圧が8MPaとなる圧力である。すなわち窒素とアルゴンの分圧がそれぞれ5MPaと3MPaとなる圧力である。
そして、バルブ18とバルブ21を閉じて、耐圧容器11を密閉した。その後、ヒーター13に通電し、混合融液25を室温27℃から結晶成長温度の900℃まで1時間で昇温した。
密閉された耐圧容器11内の圧力は昇温とともに上昇し、結晶成長温度900℃に達した時点で耐圧容器11内の全圧は8MPaとなった。すなわち、窒素分圧は5MPaであり、アルゴン分圧は3MPaである。
アルミナの混合融液25に対する濡れ性は、温度、圧力が低い場合(例えば、温度800℃以下、圧力3MPa以下)は良くないが、温度、圧力の一方、あるいは両方が高い場合には濡れ性が向上する。従って、本実施例では上述のように、結晶成長温度を900℃とし、また、アルゴンガスを混合することによって、窒素分圧は結晶成長条件に保ったまま耐圧容器11内の全圧を高くしている。これにより、温度、圧力の両方を高い状態にして、アルミナの混合融液25に対する濡れ性を向上させている。
この状態で200時間設置して結晶成長を行った後、ヒーター13を制御して室温まで降温した。耐圧容器11を開けると、部材26の表面に設置した種結晶27は大きく成長しており、m面を主面とし、m面の面積が400(20×20)mm程度の大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例2)
以下の実施例において、実施例1と同様の構成、方法については説明を省略する場合がある。
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.76とした。
種結晶27としては、c面を主面とする板状結晶を使用した。種結晶27は、図12−1に示すように、c面を部材26の主面Pに対して平行にして、混合融液25の液面上に露出している部分の部材26に接触させて設置した。
成長した種結晶27は、図12−2に示すように六角形をなし、対角線の長さが25mm程度であるc面を主面とする大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例3)
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.76とした。
種結晶27としては、柱状結晶を用いた。種結晶27は、図13−1に示すように、c軸を部材26の主面Pに垂直にして、混合融液25の液面上に露出している部分の部材26に接触させて設置した。その他の点は、実施例1と同様である。
その結果、六角形の板状をなし、対角線の長さが25mm程度のc面を主面とする大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例4)
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.6とした。
種結晶27としては、柱状結晶を使用した。種結晶27は、図14−1および図15−1に示すように、m面を部材26の主面Pに平行にして、部材26に接触させて設置した。また、種結晶27の一部分は混合融液25に浸漬させておいた。
その結果、種結晶27は大きく成長してm面を主面とし、m面の面積が400(20×20)mm程度の大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例5)
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.76とした。
また、部材26としては、図20−1、図21−1に示すように、アルミナの角柱状のブロックを使用した。
種結晶27としては、c面を主面とする板状結晶を使用した。種結晶27は、図20−1および図21−1に示すように、c面が部材26の上面(主面P)に平行となるように戴置した。
その結果、種結晶27は六角形状に成長し、c面を主面とし、対角線の長さが26mm程度の大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例6)
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.6とした。
また、部材26としてはアルミナの角柱状のブロックを使用し、その他の部材28としてアルミナ板を使用した。
種結晶27としては、柱状結晶を使用した。種結晶27は、図25−1に示すように、m面が部材26の表面(主面P)に平行となるように戴置した。さらに、部材28を、図25−1に示すように、種結晶27の上面に接触させて設置した。
その結果、種結晶27は大きく成長して、図25−2に示すように、m面を主面とし、m面の面積が400(20×20)mm程度の大面積の板状結晶に成長していた。
(実施例7)
混合融液25中のナトリウムのモル比Na/(Na+Ga)は0.6とした。
また、部材26、部材28として、アルミナ板を使用した。
種結晶27としては、柱状結晶を使用した。種結晶27は、図4−3に示すように、m面を部材26の主面Pに平行にして、混合融液25の液面上に出ている部分の部材26の表面に接触させて設置した。そして、部材28を種結晶27の上面に接触させないように、種結晶27に近接させて設置した。
その結果、種結晶27は大きく成長して、m面を主面とする20×20mm程度の大面積の板状結晶に成長していた。
上述のように、実施例1ないし実施例7では、混合融液25に対して濡れ性の良好な部材26、28を用いることにより、大面積の結晶を従来よりも短時間で効率的に成長させることができた。また、図2ないし図7および図9ないし図25に示した各結晶成長方法によっても、大面積の板状結晶を従来よりも短時間で成長させることができた。
1 結晶成長装置
11 耐圧容器
12 反応容器
13 ヒーター
14 ガス供給管
15、18、21 バルブ
16、19 圧力制御装置
17 窒素供給管
20 希釈ガス供給管
22 圧力計
23 耐圧容器の内部空間
24 設置台
25 混合融液
27 種結晶(III族窒化物単結晶)
特許第4094878号公報

Claims (10)

  1. 反応容器内に、アルカリ金属と少なくともIII族元素を含む物質との混合融液を形成する工程と、
    前記混合融液に窒素を含む気体を接し、前記混合融液中に前記気体中の前記窒素を溶解させる工程と、
    前記混合融液に対して濡れ性のある部材の一部分を、前記混合融液に浸漬する工程と、
    前記部材の表面または表面近傍にIII族窒化物結晶を設置する工程と、
    前記反応容器内を、前記III族窒化物が結晶成長する温度および窒素分圧に制御する工程と、
    前記混合融液の濡れ現象により、前記混合融液を前記部材の表面を流動させて、前記III族窒化物結晶の表面に到達させる工程と、
    前記混合融液中の前記III族元素と、前記混合融液中に溶解した前記窒素とから、前記III族窒化物を結晶成長させる工程と、
    を含むこと特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記混合融液を、前記III族窒化物結晶の表面に到達させる工程は、前記混合融液により前記III族窒化物結晶の露出面を被覆させる工程であること、
    を特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記III族窒化物結晶を設置する工程において、前記部材を複数用いること、
    を特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記部材は、アルミナを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記部材は、タングステンを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記部材は、YAGを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記部材は、TiNを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  8. 前記部材は、Yを含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  9. 前記部材は、SiNを含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  10. 前記III族元素はガリウムであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
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