JP2005132663A - Iii族窒化物の結晶成長方法及びiii族窒化物結晶及び結晶成長装置 - Google Patents

Iii族窒化物の結晶成長方法及びiii族窒化物結晶及び結晶成長装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来よりも結晶成長速度を増大させ、大型のIII族窒化物結晶を短時間で作製する。
【解決手段】 アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液16を保持する融液保持容器12と、融液の加熱機構13,14とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器12の融液16に接する部分がタンタルであることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、III族窒化物の結晶成長方法及びIII族窒化物結晶及び結晶成長装置に関する。
現在、白色、紫外、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、その殆どがサファイアあるいはSiC基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いた場合の問題点としては、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなることが挙げられる。結晶欠陥は、デバイス特性に悪影響を及ぼす。例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという欠点につながっている。
これらの問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長することで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。この手法では、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比較して、結晶欠陥を低減させることが可能となっているが、高出力レーザーの実用化には十分ではなく、さらなる欠陥の低減が必要とされる。さらには、製造工程が複雑化すること、及びサファイア基板とGaN薄膜という異種材料の組み合わせに伴う基板の反りという問題が生じる。これらは高コスト化につながっている。
こうした問題を解決するためには、基板として、基板上に結晶成長する材料と同一であるGaN基板が最も適切である。そのため、気相成長,融液成長等によりバルクGaNの結晶成長の研究がなされている。しかし、未だ高品質で且つ実用的な大きさを有するGaN基板は実現されていない。
GaN基板を実現する一つの手法として、非特許文献1(第1の従来技術)では、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。この第1の従来技術の方法は、アジ化ナトリウム(NaN)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶を成長させるものである。
この第1の従来技術の場合には、600〜800℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm程度と比較的低く、実用的な成長条件であることが特徴である。しかし、この方法の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。
これまで本願の発明者らは、第1の従来技術を改善するために、例えば、特許文献1(第2の従来技術),特許文献2(第3の従来技術)に示されているような発明を案出している。
特許文献1には、III族金属とアルカリ金属(フラックス)を含む混合融液に気相から窒素を溶解し、III族窒化物を結晶成長する方法が開示されている(図5を参照)。
特許文献1の方法は、混合融液からのアルカリ金属の蒸発を抑制しつつ、反応容器外部から窒素原料ガスを供給し、結晶成長を継続させ、大型結晶を成長させる方法である。
また、特許文献2には、III族金属を反応容器の外部から融液中に供給してIII族窒化物を結晶成長する方法が開示されている(図6を参照)。特許文献2の方法では、III族金属とフラックスとの混合融液203中に窒素を溶解し、融液中でIII族窒化物結晶211を成長する。そして、結晶成長を継続させるため、反応容器201内に保持されたIII族金属とフラックス(アルカリ金属)の混合融液203の液面と反応容器の外部に保持されたIII族金属融液に液面の相対高さΔhを用いてIII族金属210を融液保持容器202内の融液203へ供給し、結晶成長で消費された分のIII族金属を補充する。
Chemistry of Materials Vol.9 (1997) 413−416 特開2002−128586号公報 特開2003−160398号公報
しかしながら、第1の従来技術では、反応容器が完全に閉じた系であり、外部から原料を補充する事ができない。そのため、結晶成長中に原料が枯渇し、結晶成長が停止するので、得られる結晶の大きさは1mm程度と小さい。この程度の大きさではデバイスを実用化するには小さすぎる。
また、第2の従来技術では、窒素原料を反応容器の外部から供給する事が可能であるので、結晶成長を継続させ、高品質,大型の結晶を作製することが可能であるが、窒素を気相から融液中に溶け込ませる必要があるため、窒素の溶解が律速となり成長速度が遅く、その結果、大型の結晶を成長するには長時間を要した。
また、第3の従来技術では、III族金属原料を反応容器の外部から供給する事が可能であるので、結晶成長を継続させ、高品質,大型の結晶を作製することが可能であるが、第2の従来技術と同様に窒素を気相から融液中に溶け込ませる必要があるため、窒素の溶解が律速となり成長速度が遅く、その結果、大型の結晶を成長するには長時間を要した。
本発明は、従来よりも結晶成長速度を増大させ、大型のIII族窒化物結晶を短時間で作製することの可能なIII族窒化物の結晶成長方法及びIII族窒化物結晶及び結晶成長装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中でIII族窒化物を溶解し、溶解されたIII族窒化物を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中にIII族窒化物とIII族金属を溶解し、溶解されたIII族窒化物とIII族金属を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液を該融液と接する部分がタンタルである融液保持容器内に保持してIII族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のIII族窒化物の結晶成長方法において、種結晶にIII族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を種結晶に成長させる結晶成長方法であって、前記融液中には、アルカリ金属としてリチウムが含まれており、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に種結晶を保持し、III族窒化物を種結晶に結晶成長させることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の結晶成長方法で作製されたIII族窒化物結晶である。
また、請求項7記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器の融液に接する部分がタンタルであることを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中に種結晶を保持して結晶成長を行なう結晶成長装置であって、融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構と、融液中に種結晶を保持するための種結晶保持機構とを具備し、前記種結晶保持機構は、該種結晶保持機構の融液と接する部分の材質がタンタルであることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中でIII族窒化物を溶解し、溶解されたIII族窒化物を原料としてIII族窒化物を結晶成長するので、融液中にリチウムが含まれていない場合に比較して、III族窒化物の溶解度が増加する。その結果、III族金属と窒素は融液中に高濃度に溶解しており、気相から窒素を溶解する従来の方法のように結晶成長が窒素の溶解律速にならないので、成長速度が速く、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中にIII族窒化物とIII族金属を溶解し、溶解されたIII族窒化物とIII族金属を原料としてIII族窒化物を結晶成長するので、再結晶化する際にIII族金属と窒素の反応が促進され成長速度が増加する。その結果、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液を該融液と接する部分がタンタルである融液保持容器内に保持してIII族窒化物結晶を成長させるので、融液中のリチウム濃度が高い場合においても、融液保持容器が破損することがない。従って、安定して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のIII族窒化物の結晶成長方法において、種結晶にIII族窒化物結晶を成長させるので、種結晶に選択的に結晶成長させることができ、所望の位置に実用的な大きさの高品質の結晶を従来よりも短時間で成長させることができる。
また、種結晶を使用するので、結晶面の方位制御ができ、所望の結晶面の面積を大きくして結晶成長することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を種結晶に成長させる結晶成長方法であって、前記融液中には、アルカリ金属としてリチウムが含まれており、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に種結晶を保持し、III族窒化物を種結晶に結晶成長させるので、融液中のリチウム濃度が高い場合においても、種結晶保持機構が破損することがない。従って、安定して種結晶を保持して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、種結晶を用いることで、III族窒化物結晶を種結晶に選択的に結晶成長することができ、所望の位置に実用的な大きさの高品質のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
また、種結晶を使用することで、結晶面の方位制御ができるので、所望の結晶面の面積を大きくしてIII族窒化物結晶を結晶成長させることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の結晶成長方法で作製されたIII族窒化物結晶であるので、高品質で大型のIII族窒化物結晶、及び、大面積のIII族窒化物基板結晶を提供することができる。
また、請求項7記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器の融液に接する部分がタンタルであるので、高濃度のリチウムを含む融液を保持しても融液保持容器が破損することがない。従って、安定して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、請求項8記載の発明によれば、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中に種結晶を保持して結晶成長を行なう結晶成長装置であって、融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構と、融液中に種結晶を保持するための種結晶保持機構とを具備し、前記種結晶保持機構は、該種結晶保持機構の融液と接する部分の材質がタンタルであるので、高濃度のリチウムを含む融液を保持しても、種結晶保持機構が破損することがない。従って、安定して種結晶を保持して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
なお、以下の各形態において、III族窒化物とは、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、B(ボロン)から選ばれる一種類あるいは複数の種類のIII族金属と窒素との化合物を意味するものとする。
また、アルカリ金属としては、通常、Na(ナトリウム)とリチウムの組み合わせが使用されるが、その他のアルカリ金属とリチウムの組み合わせ、あるいはリチウムのみとする事もできる。
また、融液中には、アルカリ金属やIII族金属や窒素以外の元素を溶融させておく事もできる。例えばn型不純物やp型不純物を溶融させドーピングしてもよい。
また、本発明の結晶成長方法では、リチウムとIII族金属と窒素が含まれる融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶が成長する方法であれば、原料の形態や、成長方法は特に限定するものではない。例えば、III族金属とアルカリ金属としてリチウムが含まれている混合融液に、窒素を溶解して融液中でIII族金属と窒素を反応させ、結晶成長させる方法であっても良いし、後述のように、徐冷法や温度差法や蒸発法のようにIII族窒化物を原料として融液中に溶解し、再析出させ結晶成長する方法であっても良いし、その他の方法であっても良い。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中でIII族窒化物を溶解し、溶解されたIII族窒化物を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴としている。
III族窒化物を所定の温度のアルカリ金属融液中に保持すると、III族窒化物はある溶解度をもって融液中に溶解する。溶解したIII族窒化物は、その濃度が過飽和となると析出する。
本発明では、III族窒化物をリチウムを含む融液中に溶解する。融液中にリチウムが含まれていると、III族窒化物の溶解度は、リチウムが含まれていない場合に比べて増加する。本発明では、リチウムを含む融液にIII族窒化物を溶解し、III族窒化物の濃度を過飽和にして、再析出させ結晶成長を行なう。
III族窒化物の濃度を過飽和にして再析出させる方法としては、融液に温度差を設け、高温部でIII族窒化物を溶解し、低温部に再析出する方法(温度差法)や、III族窒化物が飽和濃度以上に溶解した融液の温度を下げることで再析出させる方法(徐冷法)、溶媒を蒸発することにより、溶液濃度を過飽和にして再析出させる方法(蒸発法)、その他の方法等が使用できる。
結晶成長するIII族窒化物の原料は、溶解するIII族窒化物であるが、III族窒化物の溶解で得られる窒素とは別に、他の窒素原料を用いて、融液中に窒素を供給しても良い。これは、アジ化ナトリウムやLiN(窒化リチウム)等の窒素化合物を融液中に溶解させてもよいし、アンモニアや窒素ガス等の気体を気相から融液中に溶解させても良い。
本発明の第1の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中でIII族窒化物を溶解し、溶解されたIII族窒化物を原料としてIII族窒化物を結晶成長するので、融液中にリチウムが含まれていない場合に比較して、III族窒化物の溶解度が増加する。その結果、III族金属と窒素は融液中に高濃度に溶解しており、気相から窒素を溶解する従来の方法のように結晶成長が窒素の溶解律速にならないので、成長速度が速く、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
(第2の形態)
本願の発明者は、実験により、原料としてIII族金属を溶解すると、III族窒化物のみを原料とした場合よりも成長速度が増加する事を見出し、第2の形態を完成するに至った。
本発明の第2の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中にIII族窒化物とIII族金属を溶解し、溶解されたIII族窒化物とIII族金属を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴としている。
第2の形態の結晶成長方法は、第1の形態の結晶成長方法とほぼ同等であるが、第2の形態では、原料としてIII族窒化物とIII族金属を融液中に溶解する点が、第1の形態と異なっている。
本発明の第2の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中にIII族窒化物とIII族金属を溶解し、溶解されたIII族窒化物とIII族金属を原料としてIII族窒化物を結晶成長するので、再結晶化する際にIII族金属と窒素の反応が促進され成長速度が増加する。その結果、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
(第3の形態)
本願の発明者の実験では、融液中のリチウムの濃度が高くなると、窒素の溶解度が増加し、成長速度が速くなるが、一般的に使用されるBN製の融液保持容器が破損する場合があった。
この問題を解決するため、本願の発明者は、実験を重ね、融液と接する部分をタンタルで構成することによって、高濃度にリチウムが含まれている融液においても融液保持容器が破損することなく安定して結晶成長が行なわれることを見出し、第3の形態を完成するに至った。
本発明の第3の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液を該融液と接する部分がタンタルである融液保持容器内に保持してIII族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
本発明の第3の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液を該融液と接する部分がタンタルである融液保持容器内に保持してIII族窒化物結晶を成長させるので、融液中のリチウム濃度が高い場合においても、融液保持容器が破損することがない。従って、安定して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、第1乃至第3のいずれかの形態のIII族窒化物の結晶成長方法において、種結晶にIII族窒化物結晶を結晶成長させることを特徴としている。
種結晶は、望ましくはIII族窒化物結晶が良いが、結晶成長が可能なものであれば、III族窒化物以外の結晶であっても良い。また、その形状は特に限定するものではなく、任意の形状で良い。
本発明の第4の形態では、第1乃至第3のいずれかの形態のIII族窒化物の結晶成長方法において、種結晶にIII族窒化物結晶を成長させるので、種結晶に選択的に結晶成長させることができ、所望の位置に実用的な大きさの高品質の結晶を従来よりも短時間で成長させることができる。
また、種結晶を使用するので、結晶面の方位制御ができ、所望の結晶面の面積を大きくして結晶成長することができる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を種結晶に成長させる結晶成長方法であって、前記融液中には、アルカリ金属としてリチウムが含まれており、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に種結晶を保持し、III族窒化物を種結晶に結晶成長させることを特徴としている。
第5の形態では、種結晶は、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に保持されており、III族窒化物が種結晶に結晶成長する。種結晶は、望ましくはIII族窒化物結晶が良いが、結晶成長が可能なものであれば、III族窒化物以外の結晶であっても良い。また、その形状は特に限定するものではなく、任意の形状で良い。
本発明の第5の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を種結晶に成長させる結晶成長方法であって、前記融液中には、アルカリ金属としてリチウムが含まれており、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に種結晶を保持し、III族窒化物を種結晶に結晶成長させるので、融液中のリチウム濃度が高い場合においても、種結晶保持機構が破損することがない。従って、安定して種結晶を保持して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
また、種結晶を用いることで、III族窒化物結晶を種結晶に選択的に結晶成長することができ、所望の位置に実用的な大きさの高品質のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
また、種結晶を使用することで、結晶面の方位制御ができるので、所望の結晶面の面積を大きくしてIII族窒化物結晶を結晶成長させることができる。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、第1乃至第5のいずれかの形態の結晶成長方法で作製されたIII族窒化物結晶である。
本発明の第6の形態は、第1乃至第5のいずれかの形態の結晶成長方法で作製されたIII族窒化物結晶であるので、高品質で大型のIII族窒化物結晶、及び、大面積のIII族窒化物基板結晶を提供することができる。
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器の融液に接する部分がタンタルであることを特徴としている。
本発明の第7の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器の融液に接する部分がタンタルであるので、高濃度のリチウムを含む融液を保持しても融液保持容器が破損することがない。従って、安定して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
(第8の形態)
本発明の第8の形態は、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中に種結晶を保持して結晶成長を行なう結晶成長装置であって、融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構と、融液中に種結晶を保持するための種結晶保持機構とを具備し、前記種結晶保持機構は、該種結晶保持機構の融液と接する部分の材質がタンタルであることを特徴としている。
本発明の第8の形態では、アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中に種結晶を保持して結晶成長を行なう結晶成長装置であって、融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構と、融液中に種結晶を保持するための種結晶保持機構とを具備し、前記種結晶保持機構は、該種結晶保持機構の融液と接する部分の材質がタンタルであるので、高濃度のリチウムを含む融液を保持しても、種結晶保持機構が破損することがない。従って、安定して種結晶を保持して結晶成長を継続することができ、大型のIII族窒化物結晶を従来よりも短時間で作製することができる。
実施例1は、本発明の第1,第6の形態に対応した実施例である。
実施例1では、原料としてGaNを粉末にしたものを使用している。また、アルカリ金属として、リチウムとナトリウムを使用している。Li(リチウム)はLiNとして、Na(ナトリウム)は金属ナトリウムとして仕込んだ。そして、温度差を設けた融液の、高温部で原料GaN粉末を溶解し、低温部でGaNを結晶成長する。
図1は実施例1に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。
図1の結晶成長装置は、ステンレス製の閉じた形状の反応容器11内に、アルカリ金属を含む融液16を保持し、結晶成長を行なうための融液保持容器12が設けられている。
ここで、融液保持容器12は反応容器11から取り外すことができる。なお、融液保持容器12の材質はBNである。
また、反応容器11の外側には、上部ヒーター13と下部ヒーター14が設置されており、上部ヒーター13と下部ヒーター14は任意の温度に制御することが可能となっている。
また、融液保持容器12内には、融液の対流を抑制し,温度勾配をつけるためのバッファー19が設けられている。
なお、反応容器11の部分のみをグローブボックスに入れて作業することができる。
以下に、図1の結晶成長装置を使用したGaNの成長方法を説明する。
まず、反応容器11をAr雰囲気のグローブボックスに入れる。次いで、BN製の融液保持容器12に、III族窒化物原料としてGaN粉末を入れ、また、アルカリ金属として、Li(リチウム)とNa(ナトリウム)を、それぞれ、LiNと金属Naの形で入れる。
次いで、融液保持容器12を反応容器11内に設置する。次いで、反応容器11を密閉し、反応容器11内部を外部雰囲気と遮断する。
一連の作業は高純度のArガス雰囲気のグローブボックス内で行うので、反応容器11内部はArガスが充填されている。
次いで、反応容器11をグローブボックスから出し、結晶成長装置に組み込む。すなわち、反応容器11をヒーター13,14がある所定の位置に設置する。次いで、上部ヒーター13と下部ヒーター14に通電し、所定の結晶成長温度まで昇温する。具体的に、下部ヒーター14は原料GaN17が溶融する温度とし、上部ヒーター13は原料GaN17がある部分よりも温度を下げ、GaNが再析出して結晶成長する温度とする。この実施例1では、原料GaN17のある部分を850℃とし、結晶成長する領域を775℃とした。
この状態で200時間保持した後、室温まで降温する。
反応容器11内のガスの圧力を下げた後、反応容器11を開けると、融液保持容器12内の再析出温度領域には、約3mm前後の無色透明なGaNの単結晶18が複数個、結晶成長していた。成長した結晶は、抵抗が数MΩ以上と高抵抗であった。
実施例2は、本発明の第2,第6の形態に対応した実施例である。
実施例2の結晶成長装置は、図1に示した実施例1の装置と同様のものである。
実施例2では、原料として、GaNを粉末にしたものと金属Gaを使用している。また、アルカリ金属として、リチウムとナトリウムを使用している。リチウムはLiNとして、ナトリウムは金属ナトリウムとして仕込んだ。そして、温度差を設けた融液の、高温部で原料GaN粉末を溶解し、低温部でGaNを結晶成長する。
以下に、この結晶成長装置を使用したGaNの成長方法を説明する。
まず、反応容器11をAr雰囲気のグローブボックスに入れる。次いで、BN製の融液保持容器12に、原料としてGaN粉末と金属Gaを入れ、また、アルカリ金属として、リチウムとナトリウムを、それぞれ、LiNと金属Naの形で入れる。次いで、融液保持容器12を反応容器11内に設置する。次いで、反応容器11を密閉し、反応容器11内部を外部雰囲気と遮断する。
一連の作業は高純度のArガス雰囲気のグローブボックス内で行うので、反応容器11内部はArガスが充填されている。
次いで、反応容器11をグローブボックスから出し、結晶成長装置に組み込む。すなわち、反応容器11をヒーター13,14がある所定の位置に設置する。次いで、上部ヒーター13と下部ヒーター14に通電し、所定の結晶成長温度まで昇温する。具体的に、下部ヒーターは原料GaN17が溶融する温度とし、上部ヒーターは原料GaN17がある部分よりも温度を下げ、GaNが再析出して結晶成長する温度とする。この実施例2では、原料GaN17のある部分を850℃とし、結晶成長する領域を775℃とした。
この状態で200時間保持した後、室温まで降温する。
反応容器11内のガスの圧力を下げた後、反応容器11を開けると、融液保持容器12内の再析出温度領域には、約5mm前後の無色透明なGaNの単結晶18が複数個、結晶成長していた。成長した結晶は、抵抗が数MΩ以上と高抵抗であった。
実施例3は、本発明の第3,第4,第5,第6,第7の形態に対応した実施例である。
実施例3では、アルカリ金属としてLi(リチウム)とNa(ナトリウム)を用い、また、III族元素の原料として金属Ga(ガリウム)を用い、また、窒素原料として窒素ガスを使用し、種結晶GaNを用いて、III族窒化物としてGaNを結晶成長する。ここで、Na,Ga,Liはあらかじめ混合融液として融液保持容器中に保持し、窒素は結晶成長中に気相から融液中に溶解して供給し、GaNを結晶成長する。リチウムはLiNとして入れた。
図2は実施例3に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。
図2の結晶成長装置は、ステンレス製の閉じた形状の反応容器21に、アルカリ金属とIII族金属を含む融液35を保持し、結晶成長を行なうための融液保持容器22が設けられている。
ここで、融液保持容器22は反応容器21から取り外すことができる。なお、融液保持容器22の材質はTa(タンタル)である。
また、図2の装置では、反応容器21の内部空間33に窒素原料となる窒素(N)ガスを充満させ、かつ反応容器21内の窒素(N)圧力を調整することを可能にするガス供給管24が反応容器21を貫通して装着されている。
ここで、窒素ガスの圧力は圧力制御装置26で調整する事ができる。
また、ガス供給管24はバルブ28で分岐し、Arガスを導入することができる。Arガスの圧力は圧力制御装置29で調整する事ができる。
また、反応容器21内の全圧力は圧力計32でモニターされるようになっている。
また、反応容器21の外側にはヒーター23が設置されている。
反応容器21は、バルブ31の部分で結晶成長装置から取り外すことが可能であり、反応容器21の部分のみをグローブボックスに入れて作業することができる。
以下に、図2の結晶成長装置を使用した実施例3でのGaNの成長方法を説明する。
まず、反応容器21をバルブ31の部分で結晶成長装置から分離し、Ar雰囲気のグローブボックスに入れる。次いで、Ta製の融液保持容器22に、種結晶としてGaN34とIII族金属原料としてGaを入れ、また、アルカリ金属としてナトリウムとリチウムを入れる。Li(リチウム)原料としてはLiNを使用した。
次いで、融液保持容器22を融液保持容器保持台36に置き、反応容器21内に設置する。次いで、反応容器21を密閉し、バルブ31を閉じ、反応容器21内部を外部雰囲気と遮断する。
次いで、反応容器21をグローブボックスから出し、結晶成長装置に組み込む。すなわち、反応容器21をヒーター23がある所定の位置に設置し、バルブ31の部分で窒素とアルゴンのガス供給ライン24に接続する。
次いで、バルブ25,31を開け、反応容器21内に窒素ガスを入れる。このとき、圧力制御装置26で窒素圧力を3.3MPaにした。この圧力は、この実施例3で使用した装置において、結晶成長温度(775℃)に昇温したときに、反応容器21内の全圧が4MPaになる圧力である。
次いで、バルブ25を閉じる。
次いで、バルブ28を開け、反応容器21内にArガスを入れる。このとき、圧力制御装置29で圧力を6.6MPaにした。すなわち、反応容器21内のArの分圧は3.3MPaとなる。この圧力(6.6MPa)は、実施例3で使用した装置において、結晶成長温度(775℃)に昇温したときに、反応容器21内の全圧が8MPaになる圧力である。すなわち、窒素とArの分圧がそれぞれ4MPaとなる圧力である。
次いで、バルブ28とバルブ31を閉じる。これにより、反応容器21は密閉される。
次いで、ヒーター23に通電し、融液を室温(27℃)から結晶成長温度まで1時間で昇温する。結晶成長温度は775℃とした。
昇温に追随して密閉された反応容器21内の圧力は上昇し、結晶成長温度775℃に達した時の反応容器21内の全圧は8MPaになった。すなわち、窒素とArの分圧はそれぞれ4MPaとなった。
この状態で200時間保持した後、室温まで降温する。
結晶成長終了後、反応容器21を開けると、ほとんどのGaが窒素と反応し、反応容器21の内壁に小さな無色透明のGaN38が多数成長していた。また、種結晶GaN34にGaN37が成長しており、約5mmの結晶になっていた。成長した結晶は、抵抗が数MΩ以上と高抵抗であった。
実施例4は、本発明の第3,第4,第5,第6,第7,第8の形態に対応した実施例である。
実施例4では、アルカリ金属としてLi(リチウム)とNa(ナトリウム)を使用し、III族窒化物の原料としてGaN(窒化ガリウム)粉末を使用し、原料GaNをナトリウムとリチウムの混合融液中に溶解し、融液温度を徐冷することで飽和溶液を形成し、過飽和分のGaNを種結晶に析出してGaNを結晶成長する。
図3は実施例4に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。
図3の装置は、種結晶を保持する機構が設けられている点の他は、図2に示した装置と同様である。
融液保持容器22はタンタル(Ta)製であり、種結晶40の保持は、種結晶40をTa(タンタル)製のワイヤー39で結び、融液保持容器22の上部から吊るして行なっている。
以下に、実施例4でのGaNの成長方法を説明する。
実施例4では、タンタル(Ta)製の融液保持容器22に、原料GaN粉末と、ナトリウムと、リチウム(Li)原料としてのLiNとを入れ、800℃に50時間保持し、原料GaNを溶解し、飽和溶液を形成した。
そして、800℃から700℃まで1℃/hの冷却速度で徐冷し、結晶成長を行なう。
融液温度の低下とともに、融液35は過飽和状態になり、過飽和分のGaNが析出し、結晶が成長する。種結晶40の表面では融液35中に溶解したGaN原料の引き込みが起こり、結晶成長は種結晶40に優先的に起こる。
その後、反応容器21を開けると、種結晶40に長さ約5mmの無色透明なGaN結晶41が成長していた。成長した結晶は、抵抗が数MΩ以上と高抵抗であった。
実施例5は、本発明の第3,第4,第5,第6,第7,第8の形態に対応した実施例である。
実施例5では、アルカリ金属としてLi(リチウム)とNa(ナトリウム)を使用し、III族窒化物の原料としてGaN(窒化ガリウム)粉末を使用し、原料GaNをナトリウムとリチウムの混合融液中に溶解し、融液に温度差を設け、高温部で原料GaNを融液中に溶解し、低温部に設置した種結晶にGaNを析出して結晶成長する。
図4は実施例5に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。
図4の結晶成長装置は、ステンレス製の閉じた形状の反応容器61内に、アルカリ金属を含む融液59を保持し、結晶成長を行うための融液保持容器42が設けられている。
ここで、融液保持容器42はタンタル(Ta)製である。
また、反応容器61の内部空間45に窒素(N)ガスとアルカリ金属の蒸発を抑制する為のアルゴン(Ar)ガスを充満させ、かつ、反応容器61内の窒素(N)圧力とアルゴン(Ar)ガス圧力を制御することを可能にするガス供給管49が、反応容器61を貫通して装着されている。
ガス供給管49は、窒素供給管54とアルゴン供給管57とに分岐しており、それぞれバルブ52,55で分離することが可能となっている。また、それぞれの圧力を圧力制御装置53,56で調整する事ができる。
また、図4の装置には、反応容器61内の全圧力をモニターする為の圧力計51が設置されている。
なお、不活性気体としてのアルゴンを混合するのは、アルカリ金属の蒸発を抑制しつつ、窒素ガスの圧力を独立して制御するためである。これにより、制御性の高い結晶成長が可能となる。
また、図4の装置において、融液保持容器42は反応容器61から取り外すことができる。また、反応容器61の外側には、上部ヒーター43と下部ヒーター44とが設置されており、上部ヒーター43と下部ヒーター44は任意の温度に制御することが可能となっている。
また、融液保持容器42内には、融液59の対流を抑制し、温度勾配をつけるためのバッファー46が設置されている。
なお、反応容器61の部分のみをグローブボックスに入れて作業することができる。
以下に、図4の結晶成長装置を使用した実施例5でのGaNの成長方法を説明する。
まず、反応容器61をバルブ50の部分で結晶成長装置から分離し、Ar雰囲気のグローブボックスに入れる。
次いで、Ta製の融液保持容器42に、III族窒化物原料47としてGaN粉末を入れ、アルカリ金属として金属ナトリウムとLiN(窒化リチウム)を入れる。
次いで、融液保持容器42内のナトリウムを融解し、Ta製ワイヤー60で結び付けられ融液保持容器42上部から吊るされたGaN種結晶48を融液59内の所定の位置に保持する。
次いで、融液保持容器42を反応容器61内に設置する。次いで、反応容器61を密閉し、バルブ50を閉じ、反応容器61の内部を外部雰囲気と遮断する。
一連の作業は高純度のArガス雰囲気のグローブボックス内で行うので、反応容器61内部はArガスが充填されている。
次いで、反応容器61をグローブボックスから出し、結晶成長装置に組み込む。すなわち、反応容器61をヒーター43,44がある所定の位置に設置し、バルブ50の部分で窒素ガス供給ライン49に接続する。次いで、上部ヒーター43と下部ヒーター44に通電し、所定の結晶成長温度まで昇温する。具体的に、下部ヒーター44は原料GaN47が溶融する温度とし、上部ヒーター43は原料GaN47がある部分よりも温度を下げ、種結晶GaN48が結晶成長する温度とする。この実施例5では、原料GaN47のある部分を850℃とし、種結晶GaN48が結晶成長する領域を775℃とした。
次いで、バルブ50とバルブ55を開け、Arガス供給管57からArガスを入れ、圧力制御装置56で圧力を調整して反応容器61内の全圧を4MPaにしてバルブ55を閉じる。
次いで、窒素ガス供給管54から窒素(N)ガスを入れ、圧力制御装置53で圧力を調整してバルブ52を開け、反応容器61内の全圧を8MPaにする。すなわち、反応容器61の内部空間45の窒素の分圧は、4MPaである。
この状態で400時間保持して結晶成長を行い、その後、室温まで降温する。
反応容器61内のガスの圧力を下げた後、反応容器61を開けると、種結晶48は、約10mmの無色透明なGaNの単結晶58に結晶成長していた。成長した結晶は、抵抗が数MΩ以上と高抵抗であった。
本発明は、光ディスク用ピックアップ光源、白色光源(LED)、可視光源(LD、LED)、紫外光源(LD、LED)、電子写真用青紫色光源、III族窒化物電子デバイス、照明装置、受光デバイスなどに利用可能である。
実施例1に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。 実施例3に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。 実施例4に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。 実施例5に係る結晶成長装置の構成例を示す図(断面図)である。 特許文献1に示されている結晶成長装置の構成例を示す図である。 特許文献2に示されている結晶成長装置の構成例を示す図である。
符号の説明
11,21,61 反応容器
12,22,42 融液保持容器
13,43 上部ヒーター
14,44 下部ヒーター
15,33,45 内部空間
16,35,59 融液
17,47 原料GaN
18 GaN結晶
19,46 バッファー
20 蓋
23 ヒーター
24,49 ガス供給管
25,28,31,50,52,55 バルブ
26,29,53,56 圧力調整器
27,54 窒素供給管
30,57 アルゴン供給管
32,51 圧力計
34,40,48 種結晶
36 融液保持容器保持台
37,41,58 種結晶に成長したGaN
38 GaN微結晶
39,60 Taワイヤー
101 第1の反応容器
102 混合融液
103 窒素ガス
104 窒素供給間
105 圧力調整機構
108 混合融液中の結晶
109 混合融液表面の結晶
111 第2の反応容器
112 蓋
116 加熱装置
201 反応容器
202 混合融液保持容器
203 混合融液
204 窒素供給管
205 圧力調整機構
206 第一の加熱装置
207 Ga供給管
208 反応容器内の空間
209 Ga容器
210 Ga
211 III族窒化物(GaN)結晶
212 高さ調整ユニット
213 支柱
214 第2の加熱装置
215 Ga供給管の先端部
216 圧力調整管

Claims (8)

  1. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中でIII族窒化物を溶解し、溶解されたIII族窒化物を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴とするIII族窒化物の結晶成長方法。
  2. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液中にIII族窒化物とIII族金属を溶解し、溶解されたIII族窒化物とIII族金属を原料としてIII族窒化物を結晶成長することを特徴とするIII族窒化物の結晶成長方法。
  3. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長方法において、前記融液には、アルカリ金属として少なくともリチウムが含まれており、該融液を該融液と接する部分がタンタルである融液保持容器内に保持してIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とするIII族窒化物の結晶成長方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のIII族窒化物の結晶成長方法において、種結晶にIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とするIII族窒化物の結晶成長方法。
  5. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中で、III族金属と窒素とからなるIII族窒化物結晶を種結晶に成長させる結晶成長方法であって、前記融液中には、アルカリ金属としてリチウムが含まれており、融液と接する部分の材質がタンタルである種結晶保持機構に種結晶を保持し、III族窒化物を種結晶に結晶成長させることを特徴とするIII族窒化物の結晶成長方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の結晶成長方法で作製されたIII族窒化物結晶。
  7. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構とを具備し、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置であって、前記融液保持容器の融液に接する部分がタンタルであることを特徴とする結晶成長装置。
  8. アルカリ金属とIII族金属原料と窒素を含む融液中に種結晶を保持して結晶成長を行なう結晶成長装置であって、融液を保持する融液保持容器と、融液の加熱機構と、融液中に種結晶を保持するための種結晶保持機構とを具備し、前記種結晶保持機構は、該種結晶保持機構の融液と接する部分の材質がタンタルであることを特徴とする結晶成長装置。
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