JPH08133897A - ZnSe単結晶の製造方法 - Google Patents

ZnSe単結晶の製造方法

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JPH08133897A
JPH08133897A JP26893394A JP26893394A JPH08133897A JP H08133897 A JPH08133897 A JP H08133897A JP 26893394 A JP26893394 A JP 26893394A JP 26893394 A JP26893394 A JP 26893394A JP H08133897 A JPH08133897 A JP H08133897A
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znse
melt
temperature
crystal
pressure
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JP26893394A
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Inventor
Hiroshi Okada
広 岡田
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
Takeo Kawanaka
岳穂 川中
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 融液の温度制御が容易で、引いては生産性に
優れ、双晶欠陥のない高品質のZnSe単結晶を容易に
製造することができる方法を提供する。 【構成】 ZnSe融液52に種結晶51を接触させて
ZnSe単結晶53を成長させるZnSe単結晶の製造
方法であり、過冷却状態のZnSe融液52から準安定
相のZnSe立方晶を成長させる。ZnSe融液52の
組成は、原子数の比Zn/Seで0.96〜1.04の
ものがよい。また、過冷却状態のZnSe融液52の温
度は1460〜1510℃にするのがよい。特に、14
86〜1506℃が好ましい。ZnSe融液52のZn
の解離圧にほぼ平衡する蒸気圧を有するZn蒸気を含ん
だ高圧不活性ガス雰囲気中でZnSe立方晶53を成長
させることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、青色半導体レーザ素
子、青色発光ダイオード素子などの単結晶成長用基板材
料として利用される、双晶欠陥のない高品質のZnSe
単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】青色半導体レーザは、現有の赤色半導体
レーザの約1/2の波長であるため、コンパクトディス
クなどに代表される光記録の密度を4倍にできるといわ
れており、かつ他の光源に比較して、コンパクト、低消
費電力などの利点があるため、その開発が要望されてい
る。
【0003】また、青色半導体ダイオードが実現されれ
ば、現有の赤色、緑色の発光ダイオードと合わせて、光
の3原色が得られ、大型の高輝度カラーディスプレイな
どへの応用が考えられている。これらの発光素子の製造
には、青色光のエネルギーに対応したバンドギャップを
持つ、いわゆるワイドギャップ半導体材料が使用されて
いる。ワイドギャップ半導体材料の中では、ZnSe系
のII−VI族化合物半導体が最も有望とされている。しか
し、デバイス作製に必要なエピタキシャル成長用基板と
してのZnSe単結晶基板は、工業的に安価に製造でき
る製法が確立されていないため、一般的には、格子定数
の近い、GaAsをエピタキシャル成長用基板として使
用している。
【0004】しかしながら、GaAs基板(格子定数:
5.654Å)とZnSe(格子定数:5.668Å)
は格子定数が近いとはいえ、なお0.25%の不整合が
あり、また熱膨張係数の違いもあるため、エピタキシャ
ル成長層に歪が残り、転位などの欠陥が発生し、引いて
はデバイス特性の劣化を引き起こすという欠陥が避けら
れない。そのため、青色発光素子の実用化のためには、
良質のZnSe単結晶基板が望まれる。
【0005】単結晶を工業的に成長する方法としては、
チョクラルスキー法(回転引き上げ法)、ブリッジマン
法、温度勾配付固化法など、融液から結晶の成長を行う
融液成長法が適用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ZnSe単結晶を融液
成長法により製造した場合、ZnSeは1526℃に融
点を持ち、1420℃付近で高温安定相の六方晶から低
温安定相の立方晶への相転移が起こるため、相転移に起
因する双晶欠陥が導入され、良質の単結晶が得られない
という欠点がある(Journal of Crystal Growth,vol.8
6, 1988,132〜137頁参照)。
【0007】相転移に伴う双晶欠陥を回避するために、
1420℃以下の温度で立方晶を直接成長させればよ
く、このような方法として、原料融液のSe濃度を高く
して、冷却に伴う溶解度の低下により、安定相のZnS
e立方晶を晶出、成長させる方法が特開平1−2649
90号公報において提案されている。しかし、かかる方
法によると、ZnSeの晶出に伴い、融液の組成が変化
し、これにより結晶晶出温度も変化する。従って、結晶
の成長を維持するためには、融液の温度を組成変化に応
じて結晶晶出温度に合わせるように刻々と調整する必要
があり、温度制御が極めて困難である。また、結晶中に
結晶組成と異なる融液の巻き込みが起こり、マクロ欠陥
が発生し易い。更に、低温で結晶を晶出さるため、結晶
化が急激に生じやすく、多結晶化し易い、という問題が
ある。
【0008】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、温度制御が容易で、引いては生産性に優れ、双晶欠
陥のない高品質のZnSe単結晶を容易に製造すること
ができる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のZnSe単結晶
の製造方法は、ZnSe融液に種結晶を接触させてZn
Se単結晶を成長させるZnSe単結晶の製造方法にお
いて、過冷却状態のZnSe融液から準安定相のZnS
e立方晶を成長させる。ZnSe融液の組成は、原子数
の比Zn/Seで0.96〜1.04のものがよい。ま
た、過冷却状態のZnSe融液の温度は1460〜15
10℃にするのがよい。特に、1486〜1506℃が
好ましい。結晶の成長に際しては、ZnSe融液のZn
の解離圧にほぼ平衡する蒸気圧を有するZn蒸気雰囲気
中でZnSe立方晶を成長させるのがよい。更に、前記
Zn蒸気を含む高圧不活性ガス雰囲気中で準安定相であ
るZnSe立方晶を成長させることが好ましい。成長法
としては、回転引き上げ法、ブリッジマン法又は温度勾
配付固化法を適用することができる。
【0010】
【作用】原料のZnSeを溶融後、原料融液を種結晶に
接触させることなく、ゆっくりと徐冷することにより、
融液は融点1526℃以下の温度でも凝固せず、過冷却
状態となる。過冷却状態の融液に種結晶を接触させるこ
とにより、種結晶の界面からZnSeの低温安定相であ
る立方晶が非平衡状態の下で準安定的に晶出し、結晶が
成長する。
【0011】この場合、原料融液としてストイキオメト
リ(原子数比でZn/Se=1)、あるいはこれに近い
組成のものを用いることにより、結晶の成長過程では、
Znの解離による組成変化を抑制するだけで、融液の組
成変化はほとんど生じないため、融液の温度をほぼ一定
に維持することにより結晶の晶出、成長を行うことがで
きる。Znの解離による組成変化を防止するには、融液
のZnの解離圧にほぼ平衡する蒸気圧を有するZn蒸気
雰囲気中で結晶の成長を行えばよい。
【0012】原料融液のZnSeの濃度は、各元素の原
子数(すなわち原子%)の比、Zn/Seを0.96〜
1.04の範囲にするとよい。Zn/Seの値が0.9
6未満あるいは1.04を越えると、過冷却融液からの
ZnSe立方晶の晶出が遅くなり、晶出を促進するため
に温度を下げると急激に晶出が起こり、引いては結晶中
にボイドなどのマクロ欠陥が生じ易くなる。尚、前記組
成範囲では、SeあるいはZnが過剰な場合でも、晶出
する結晶はZnSeであり、結晶の組成はほぼZnSe
の化学量論組成となっている。
【0013】前記ZnSeの濃度範囲にした場合、過冷
却状態のZnSe融液の温度は、1510〜1460℃
にするのがよい。1510℃を越えるとZnSe立方晶
の準安定的な晶出が生じない。一方、立方晶の晶出は1
420℃まで観察されたが、1460℃未満では過冷却
度(融点−融液温度)が過大であり、融液が不安定とな
り、時として結晶化が急激に起こったり、融液を収容す
る容器(るつぼ)の壁面など種結晶以外の場所から核が
発生し、多結晶化するおそれがある。もっとも、融液の
濃度がストイキオメトリないしその近傍、すなわちZn
/Se=0.995〜1.005の場合は、融液の不安
定傾向が大きくなるので、1510〜1480℃程度が
よい。十分に安定した状態でのシーディング(種付
け)、結晶の成長を行うには、過冷却度が20〜40度
の1506〜1486℃が好適である。前記1506℃
は、ZnSe立方晶が過冷却融液から安定的に晶出する
という意味で仮想的融点と考えることができる。尚、過
冷却状態の融液から準安定状態の相が晶出する現象は、
他の物質においても幾つか見出されており、いわゆるオ
ストワルドの段階則などにより説明されるが、本発明に
おけるZnSe立方晶の準安定的晶出の機構がこれらと
同一のものかは明確でない。
【0014】叙上の通り、融液のZnの解離圧にほぼ平
衡する蒸気圧を有するZn蒸気雰囲気中で結晶の成長を
行うことにより、Znの解離による組成変化を防止する
ことができる。しかし、現実には結晶成長中に融液の温
度は多少変動するため、組成変化を確実に防止するに
は、変動後の温度におけるZnの解離圧と平衡するZn
蒸気圧を発生させるようにZnを加熱する必要がある
が、かかる温度制御は定値制御に比して比較的困難であ
る。ところが、高圧不活性ガス雰囲気下中で種付け、結
晶の成長を行うことにより、ZnSe融液からのZnの
蒸発速度を遅くする作用(速度論的作用)を期待するこ
とができ、融液の融点付近におけるZn解離圧と平衡す
るZn蒸気圧を与えるだけで、実質的に融液の組成変動
を最少に抑えるこができ、Zn蒸気供給のためのZnの
加熱温度制御が容易になる。
【0015】
【実施例】図1は本発明を実施するための高圧回転引き
上げ装置を示しており、高圧容器4と、該高圧容器4内
に配設された上部閉塞状の断熱構造体5と、該断熱構造
体5の内部に配置された集合ヒータ6と、前記集合ヒー
タ6の内部に配置された蒸気圧制御チャンバー7を備え
ている。前記高圧容器4は円筒状本体1とその上部及び
下部開口に着脱自在に装着された上蓋2及び下蓋3から
構成され、上蓋2及び下蓋3からの上下方向の外力を担
持するためのフレーム(図示省略)に収容される。前記
上蓋2にはアルゴンガス等の不活性ガスを高圧容器4内
に加圧注入し、また排出するためのガス供給排出孔8が
開設されている。前記集合ヒータ6は、円筒状のヒータ
エレメント9が上下方向に複数段並設されたものであ
り、各ヒータエレメント9は、各段部に設けられた温度
検出器により温度制御される。
【0016】前記蒸気圧制御チャンバー7の内部にはP
−BN、パイロリティックグラファイト等の耐熱材で形
成されたルツボ11が配設されている。下蓋4には高圧
シール部材18を介して気密かつ回転自在にルツボ支持
軸12が立設されており、前記ルツボ11は該支持軸1
2の上部に設けられたルツボ台13の上に載置されてい
る。一方、上蓋2には高圧シール部材19を介して、図
示省略した冷却水流路を備えた回転引き上げ軸15が設
けられており、該回転引き上げ軸15は回転引き上げ機
構16により回転かつ上下方向に昇降自在とされてお
り、蒸気圧制御チャンバー7の上壁部を貫通し、液体シ
ール部20を介してルツボ11付近まで下降可能であ
り、その下端には種結晶51が取付けられる。
【0017】また、蒸気圧制御チャンバー7の下部に
は、下蓋3に取付けられた支持台22にZn蒸気を発生
させるためのリザーバ23が設置されており、該リザー
バ23の内部にはZnが収容され、集合ヒータ6の最下
段のヒータエレメント9により所定の温度に加熱され、
ルツボ11内の原料融液52のZnの解離圧にほぼ平衡
する蒸気圧を発生させる。25はチャンバー内外の圧力
を均等にするための均圧通路であり、該均圧通路25は
図例のようなチャンバー下部側壁に細孔を開設してもよ
く、また下蓋3との間に小さな間隙を設けてもよい。
尚、リザーバ23を加熱するためのヒータや温度検出器
は、集合ヒータ6のヒータエレメント9とは別のものを
チャンバー7内に設けてもよい。
【0018】上記引き上げ装置により、本発明を実施す
るには、まずルツボ11に収容したZnSe原料を、チ
ャンバー7を介して、ルツボ11に対応する集合ヒータ
6のヒータエレメント9により、高圧不活性ガス雰囲気
下で加熱、溶融する。不活性ガスとしては通常Arが使
用され、高圧容器内の不活性ガスの圧力は、原料融液の
加熱温度における化合物原料の高解離圧成分の解離圧よ
り十分高い圧力(通常、4.9MPa程度)の圧力に設
定される。かかる圧力に設定することにより、高解離圧
成分の蒸気はチャンバー内では拡散的に挙動するに止ま
る。更に、後述するように、原料融液52のZnの解離
圧にほぼ平衡するZn蒸気圧をリザーバ23より発生さ
せることにより、原料融液組成の経時変化をほぼ完全に
抑制することができる。
【0019】原料が溶融した後、ヒータ電力を漸次減じ
て、原料融液を遅い冷却速度により冷却して、過冷却状
態にする。既述の通り、原料の組成は、ZnSeの各原
子数の比、Zn/Seが0.96〜1.04になるよう
にするのがよく、また過冷却融液の温度は1460〜1
510℃、好ましくは1486〜1506℃となるよう
に調整する。
【0020】原料融液が所定の温度になった時点で、回
転引き上げ軸15を下降させて、その下端に取付けた種
結晶51を融液52に接触させて種付けを行い、回転さ
せながら引き上げて種結晶にZnSe単結晶53を成長
させる。過冷却度が20〜40℃、すなわち融液温度が
1506〜1486℃の範囲で実用上、安定な種付け操
作(シーディング)が可能である。もっとも、この範囲
内においても、過冷却度が大きくなるほど、結晶の成長
が急激で結晶径が変動(増大)するようになり、シーデ
ィング時の結晶晶出条件で成長を行うと、結晶の晶出が
不安定で、多結晶化するようになる。このため、過冷却
度が比較的大きい場合、シーディング後に融液の温度を
1495〜1506℃の範囲に戻し、回転引き上げ法に
おいて通常行われるように、引き上げられる単結晶の直
径が一定になるように、結晶を目視観察しながら、±3
〜5℃程度の範囲で融液の温度制御が行われる。尚、Z
nの蒸気圧制御を行い、融液組成の変動を生じないよう
にしても、結晶長さの増大に伴う結晶への抜熱の増大な
どに起因して結晶直径が緩慢に変化するので、前記の通
り±3〜5℃程度の範囲で融液温度が微調節される。
【0021】前記種結晶51は、種付け時の温度下で相
転移し、双晶欠陥を発生するおそれがあるが、結晶径を
1〜3mm程度に細くしておけば高温環境下でアニールさ
れ、結晶中に欠陥を引き継ぐことはまれである。また、
種結晶は過冷却融液から結晶相を晶出させるために不可
欠であるが、種結晶自体の構造が低温相(立方晶)であ
るか、高温相(六方晶)であるかは、晶出する結晶相に
影響を与えないことが分かった。その理由は、両結晶相
の構造が類似性を有するためと思われる。すなわち、立
方晶ZnSeの(111)面と六方晶ZnSeの(00
01)面では、面内の原子配列はほぼ同じとみなせるか
らである。
【0022】一方、原料融液の組成変動を防止するた
め、リザーバ23を所定の温度で加熱することにより、
融液のZnの解離圧にほぼ平衡するZn蒸気を発生させ
る。融液のZn蒸気圧と平衡するZn蒸気圧を有するZ
n蒸気をリザーバから発生させるには、各組成において
Zn−Se2元系融液の各温度についてZn蒸気圧と、
それと平衡するZn蒸気圧を発生するZn単体の温度と
の関係を予め実験によりデータ化しておき、各時間にお
ける融液温度の実測値を基にZnリザーバの温度を制御
すればよい。
【0023】Znリザーバの温度制御を簡略化するに
は、融液の組成がストイキオメトリの場合、ZnSeの
融点(1526℃)におけるZn蒸気圧(2.2気圧)
を与えるようにリザーバ23を991℃に定値温度制御
すればよい。厳密には、過冷却融液を形成した時の融液
温度における平衡Zn蒸気圧は、過冷却のない1526
℃での平衡Zn蒸気圧(2.2気圧)とわずかに異なる
が、その差異は小さいので、成長時間内における組成変
動はほぼ抑制される。特に、高圧の不活性ガス雰囲気で
結晶の成長を行うと、液相と気相との成分の出入りが抑
制されるため、組成変動は無視し得る。
【0024】また、Zn/Seが0.96及び1.04
の組成の融液では、融点での平衡蒸気圧は各々1.2気
圧及び4.5気圧と見積もられ、このZn蒸気圧を与え
るためにリザーバ23の温度を936℃及び1082℃
に制御するとよい。尚、既述の通り、過冷却状態の平衡
蒸気圧は、過冷却なしの融点での蒸気圧と若干異なる
が、成長時間内における組成変動は無視し得る。
【0025】次に、本発明を垂直ブリッジマン法(VB
法)及び垂直温度勾配付固化法(VGF法)により実施
する場合について説明する。図2は高圧VB法及び高圧
VGF法を実施するための装置を示しており、前記高圧
回転引き上げ装置と同部材は同符号で示している。本装
置では、図1における回転引き上げ軸15は設けられて
おらず、一方ルツボ支持軸12Aは高圧シール部材18
を介して下蓋3を貫通して昇降自在に設けられており、
該支持軸12Aの内部には押し上げ軸31がシールリン
グ32を介して気密かつ上下方向摺動自在に付設されて
いる。前記支持軸12Aの上端部には上部がテーパ孔と
された筒状のルツボ台13Aが取付けられており、該ル
ツボ13Aにルツボ11Aが載置されている。前記ルツ
ボ11Aの下端部にはルツボの内外に貫通する細管部3
4が形成されており、該細管部34には種結晶51が装
着され、その上に閉塞部材35が液密に装着されてい
る。一方、前記押し上げ軸31の上端部は前記種結晶5
1の下端ないしその近傍に位置しており、押し上げ軸3
1を上昇させることにより種結晶51を介して閉塞部材
35が細管部34から抜け出て種結晶51がルツボ11
A内の原料融液52に接触する。尚、前記閉塞部材35
としては、原料融液52と反応しない適宜の耐熱材、例
えば既述のP−BN、パイロリティックグラファイト等
の耐熱材が使用される。
【0026】本装置によりVB法を実施する場合、集合
ヒータ6により上方から下方にかけて溶融温度域から所
定の過冷却度を有する温度域を介して低温域に移行する
温度分布を形成し、ルツボ支持軸12Aを下降して、ル
ツボ11Aの底部を高温側から過冷却温度域に移行し、
ここで閉塞部材35を抜いて種結晶51を融液52に接
触させてシーディングを行い、前記過冷却温度域を相対
的に移動してルツボ11Aの下部から準安定相の立方晶
を晶出成長させ、融液の結晶化が終了した後、ルツボ全
体を降温する。一方、VGF法を実施する場合、ルツボ
支持軸12Aを固定し、ルツボ11Aを集合ヒータ6の
上部域ないし中間域に保持した状態で、集合ヒータ6の
各ヒータエレメント9を制御して、前記温度分布を下方
へ移動させることにより、準安定相の立方晶を晶出させ
る。勿論、融液の成分変動を防止するために、Zn蒸気
圧の制御を前記回転引き上げ法の場合と同様に行う。
【0027】本発明における結晶の成長法としては、叙
上の高圧不活性ガス雰囲気下で行う高圧回転引き上げ
法、高圧VB法、高圧VGF法の限らず、例えば特開平
5−70276号公報に開示されているように、原料が
収容されたルツボ及び解離圧と平衡するZn蒸気を発生
させるための金属Znを密閉容器に真空封入して、回転
引き上げ法等を適用してもよく、また、結晶の成長方向
も垂直方向に限らず、水平方向に設定してもよい。次
に、本発明によるZnSe単結晶の具体的製造実施例に
ついて説明する。
【0028】実施例A 図1に示したZn蒸気圧制御機構を持つ高圧回転引き上
げ装置を用いてZnSe単結晶を製造した。まず、P−
BN製のルツボに6NグレードのZnSe多結晶、又は
これに増量分のSeあるいはZnを充填し、表1〜3に
示した所定のZn/Se比の原料を調製し、Ar圧4.
9MPaの下で1550℃に加熱溶融した後、降温して
同表に示す温度の過冷却融液を得た。この際、実施例で
は原料融液の組成に変化が生じないように、Znリザー
バの温度が同表の値に制御された。尚、融液の温度はル
ツボ底で測温した。また、内部モニタでの観察から過冷
却融液は凝固していないことが確認された。
【0029】次に、水冷シャフトに固定された直径2mm
の種結晶をゆっくり下降させ、融液界面手前で5分間保
持した後、更に10RPMで回転しつつ下降させて融液
に接触させた。この際、種結晶先端部において結晶が晶
出成長するが、過冷却度が比較的大きいため、結晶の直
径が変化傾向を示す場合あるいは成長が不安定な場合に
は、引き上げを一旦止め、融液の温度を1500℃付近
に昇降させ、通常の回転引き上げ法と同様、目視での結
晶観察を併用して、一定の直径となるように融液の温度
を調整しつつ、3mm/hrの上昇速度で結晶の成長を行
った。安定成長時における融液の温度及び得られた結晶
の状態を同表に併せて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】実施例B 図2に示したZn蒸気圧制御機構を持つ高圧VB・VG
F装置を用いて高圧VB法又は高圧VGF法により単結
晶を製造した。使用したルツボは、直径25mmの円筒状
のP−BN製ルツボであり、ルツボの底部には直径2m
m、長さ40mmの細管部が形成されており、該細管部に
は長さ30mmのZnSe種結晶が挿入され、その上にP
−BN製の閉塞部材を擦り合わせ状態で設置し、融液の
溶製時における融液と種結晶との接触を防止した。
【0034】まず、ルツボに6NグレードのZnSe多
結晶原料を充填し、Ar圧4.9MPaの下で1550
℃に加熱溶融した後、降温して1506℃の過冷却融液
を得た。この際、実施例では原料融液の組成に変化が生
じないように、Znリザーバの温度が同表の値に制御さ
れた。また、細管部の温度勾配は25℃/cmとした。次
に、種結晶を押し上げ、閉塞部材が細管部を抜け、種結
晶の先端が過冷却融液に接触したところで種結晶の移動
を止めた。そして、VB法を実施する場合、5mm/hr
の速度でルツボを下降し、原料の結晶化が終了したとこ
ろで、ルツボ全体を200℃/hrで降温した。一方、
VGF法を実施する場合、ルツボの位置を固定し、ルツ
ボを下降させる代わりに、集合ヒータの各ヒータエレメ
ントを温度制御することにより、ルツボ底部から150
6℃の等温線を下方から上方に移動させることにより結
晶を成長させた。結晶化が終了したところで、ルツボ全
体を200℃/hrで降温した。以上の方法で得られた
結晶の状態を同表に併せて示す。
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の製造方法に
よれば、過冷却状態の原料融液から直接ZnSe立方晶
を準安定的に晶出、成長させるので、原料融液としてス
トイキオメトリあるいはその近傍組成のものを用いるこ
とにより、Znの解離による組成変化を抑制するだけ
で、結晶の成長過程における融液の組成変化をほぼ抑制
することができ、融液の温度をほぼ一定に維持すること
により、立方晶ZnSe単結晶の晶出、成長を行うこと
ができ、製造が容易であり、双晶欠陥を含まない高品質
のZnSe単結晶を得ることができる。この際、原料融
液の組成をZn/Se比を0.96〜1.04とするこ
とで、ZnSe立方晶を非平衡状態の下での安定的に晶
出、成長させることができ、更に過冷却融液の温度を1
510〜1460℃、好ましくは1506〜1486℃
とすることで過冷却融液が安定的になるため、ZnSe
立方晶の晶出、成長がより安定化し、製造容易となる。
また、融液のZn解離圧にほぼ平衡する蒸気圧を有する
Zn蒸気を含む高圧不活性ガス雰囲気中で結晶の晶出、
成長を行うことにより、融液からのZnの蒸発を抑制す
ることができ、Znの温度制御が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための高圧回転引き上げ装置
の断面説明図である。
【図2】本発明を実施するための高圧VB・VGF装置
の断面説明図である。
【符号の説明】
4 高圧容器 6 集合ヒータ 7 蒸気圧制御チャンバー 9 ヒータエレメント 11、11A ルツボ 15 回転引き上げ軸 23 リザーバ 31 押し上げ軸 34 細管部 35 閉塞部材 51 種結晶 52 融液 53 単結晶

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZnSe融液に種結晶を接触させてZn
    Se単結晶を成長させるZnSe単結晶の製造方法にお
    いて、 過冷却状態のZnSe融液から準安定相のZnSe立方
    晶を成長させるZnSe単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 ZnSe融液の原子数の比Zn/Seが
    0.96〜1.04である請求項1に記載した製造方
    法。
  3. 【請求項3】 過冷却状態のZnSe融液の温度が14
    60〜1510℃である請求項2に記載した製造方法。
  4. 【請求項4】 過冷却状態のZnSe融液の温度が14
    86〜1506℃である請求項2に記載した製造方法。
  5. 【請求項5】 ZnSe融液のZnの解離圧にほぼ平衡
    する蒸気圧を有するZn蒸気雰囲気中でZnSe立方晶
    を成長させる請求項1から4のいずれかに記載した製造
    方法。
  6. 【請求項6】 Zn蒸気を含む高圧不活性ガス雰囲気中
    で準安定相であるZnSe立方晶を成長させる請求項5
    に記載した製造方法。
  7. 【請求項7】 回転引き上げ法、ブリッジマン法又は温
    度勾配付固化法により結晶を成長させる請求項1から6
    のいずれかに記載した製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006188403A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Sumitomo Electric Ind Ltd 化合物半導体単結晶とその製造方法および製造装置
JP2006232574A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Sumitomo Electric Ind Ltd 化合物半導体単結晶とその製造方法

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