JP2006188403A - 化合物半導体単結晶とその製造方法および製造装置 - Google Patents

化合物半導体単結晶とその製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 大口径で低転位密度の化合物半導体単結晶を高い生産性と高い歩留で提供する。
【解決手段】 縦型の単結晶成長用容器14内に化合物半導体の種結晶15と原料を収容し、原料と種結晶の一部を加熱融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液18を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液側に向かって結晶成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって結晶成長を進行させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などの光電子分野やトランジスタなどの電子分野に利用されるGaAs、InP、GaP、InAs、GaSb、InSbなどのIII−V族化合物半導体単結晶、またはCdTeやZnSeなどのII−VI族化合物半導体単結晶の製造方法に関するものである。
化合物半導体単結晶としては、たとえば、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)などのIII−V族化合物半導体単結晶、さらにテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体単結晶があげられる。
これらの化合物半導体単結晶は、従来、水平ブリッジマン法(HB法)、液体封止引上げ法(LEC法)、垂直ブリッジマン法(VB法)、垂直温度勾配凝固法(VGF法)、VB法とVGF法を併用する方法などのさまざまな工業的方法により製造されている。これらのうちでVB法とVGF法(それらを併用する方法を含む)は、他の製法では製造することができない低転位密度の結晶を製造できるので、近年特に注目を集めている。
VB法は、たとえば非特許文献1に記載されているように、化合物半導体原料を収容した坩堝をヒータなどの加熱手段を有する炉内に設置して原料を融解したのち、加熱手段を上昇させるか坩堝を下降させることによって、坩堝の下端に設置した種結晶側から融液を固化させることによって単結晶を成長させる方法である。坩堝には、一般に熱分解窒化ホウ素(pBN)や石英などの材料が使用される。これに対して、VGF法は、たとえば特許文献1に記載されているように、加熱手段と坩堝の位置関係を固定し、加熱手段の温度プロファイルを変化させることによって、種結晶側から温度を降下させて単結晶を成長させる方法である。
ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)などのIII−V族化合物半導体やテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体のVB法やVGF法による単結晶成長では、高蒸気圧成分の解離蒸発を防ぐ必要がある。そこで、原料の入った坩堝を石英アンプルに封入密閉してアンプル内の蒸気圧をコントロールする方法や、高耐圧のステンレス製チャンバ内で原料融液表面を酸化ホウ素(B23)などの液体封止剤で覆って、さらにアルゴンガスや窒素ガスで加圧封止することによって高蒸気圧成分が原料融液から解離蒸発するのを抑制する方法などが行われている。
特表2002−540051号公報 特開平5−124887号公報 干川圭吾、半導体研究35、化合物半導体の結晶育成と評価その6(工業調査会、1991年発行) T. Kawase, M. Tatsumi and T. Nishida, Crystal Growth Technology, Edited by H. J. Scheel and T. Fukuda, 2003 John Wiley & Sons, Ltd., p364-365.
VB法やVGF法などのように、縦型の単結晶成長用容器に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、加熱手段によって原料と種結晶の一部を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、そして種結晶の未融解部分から原料融液側に向けて結晶成長させる単結晶の製造方法では、原料融液を融点より高温にして、融点温度位置に沿って形成される固液界面から種結晶側に向かって温度が低くなるように温度勾配が形成される。
非特許文献2では、固液界面で発生する凝固潜熱をQL、固液界面から結晶側へ流出する熱流束をQOUT、融液側から固液界面へ流入する熱流束をQIN、固液界面近傍において結晶側面から結晶に流入する熱流束をQRで表す時、固液界面の形状は下記(1)式の熱流束バランスに依存し、固液界面の形状はQR>0の時に融液側に向かって凸形状になってQR<0の時に凹形状になると記載されている。化合物半導体の結晶成長においては、固液界面の形状が凹になればリニエジ(転位列)などの結晶欠陥が発生することが知られている。非特許文献2においては、固液界面の形状はできるだけ平坦にすることが好ましいとされ、下記式(2)の関係を満足させることによって固液界面が融液側へ凸になるように(凹化しないように)、QL、QIN、およびQOUTを調整する必要があると記載されている。また、「成長速度を小さくすることによって固化潜熱QLを減少させることは、凸形状の固液界面の実現に有効であるが、結晶の生産性を低下させるという欠点がある。したがって、QINとQOUTを調整することによって、凸形状の固液界面を実現するのが好ましい。」と記載されている。具体的には、QINを小さくするかQOUTを大きくする必要がある。
R = QOUT −(QL + QIN) (1)
R = QOUT −(QL + QIN) > 0 (2)
融液の温度を融点より高温に保ったまま結晶成長を行う従来の方法では、QINを小さくすることには限界があるので、結晶側の温度勾配大きくすることによってQOUTを大きくして、(2)式の関係を満足させる必要がある。非特許文献2ではLEC法における熱流束バランスが示されているが、VB法やVGF法においては固体と液体の配置が上下反対になっているだけで、熱流束バランスに関する考え方は同じである。
化合物半導体結晶の低転位密度化は、結晶品質上の重要な課題である。また、結晶の成長速度が速いほど製造コストを低くできるので、成長速度の増加も結晶製造における重要な課題である。ところが従来の製法では、低転位密度化と成長速度の増加という2つの条件を同時に満足させることは不可能であった。その理由は、以下のように考えられる。
すなわち、結晶成長速度を大きくするほど固化潜熱QLの単位時間あたりの発生量が大きくなるので、適正な固液界面形状を維持しながら結晶成長させるためにはQOUTを大きくすることが必要になる。QOUTを大きくするためには結晶の縦方向の温度勾配を大きくする必要があるが、このことは結晶内部に大きな熱応力を生じさせる。結晶内部に生じた熱応力は転位を発生または増殖させて、結晶の転位密度を増加させるので、転位密度を低減させることは不可能である。また、QOUTの増加には限界があるので、適正な固液界面形状を維持しながら結晶成長速度を大きくすることは不可能である。さらに、単位時間当たりの固化潜熱発生量が大きい大口径の結晶成長では、このような転位密度や成長速度の制約が特に顕著になると考えられる。直径100mmのGaAs結晶の成長速度と転位密度の関係では、たとえば成長速度4mm/hの場合の転位密度は2,000〜5,000cm-2であるが、成長速度8mm/hの場合の転位密度は20,000〜50,000cm-2である。また、直径150mmのGaAs結晶の成長速度と転位密度の関係では、たとえば成長速度3mm/hの場合の転位密度は3,000〜10,000cm-2であるが、成長速度6mm/hの場合の転位密度は30,000〜100,000cm-2である。
本発明者は、VB法やVGF法などによって、縦型の単結晶成長用容器に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、加熱手段によって原料と種結晶の一部を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液側に向かって結晶成長させる単結晶の製造方法において、原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にしてもその融液内に新たな固化相が発生しないことを見出した。さらに、原料融液の一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして種結晶の未融解部分から融液側に向かって結晶成長を進行させたところ、融液内に新たな孤立した固化相を発生させることなく種結晶から融液の最上部まで一方向に結晶成長が進行して、結晶粒界のない完全な単結晶を成長させ得ることを見出した。
本発明者はまた、このように原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にすることによって、結晶成長軸方向の温度勾配を従来以上に小さくして結晶成長させ得ることを見出し、さらにその結果として、従来の製法では実現不可能であった非常に転位密度の低い結晶を成長させ得ることを見出した。また、このように温度勾配を小さくした場合においても、なお従来以上に速い速度で単結晶を成長させ得ることを見出した。すなわち、結晶側の温度勾配を小さくして結晶側への放熱量を減らしても固液界面形状を適正な形状に維持することができ、リニエジなどの結晶欠陥を発生させることなく大きな成長速度で単結晶を育成し得ることを見出したのである。
実質的に化学量論組成に調整した原料融液の少なくとも一部を融点以下の温度にすれば、融点以下の温度の部分は固化すると考えるのが一般的である。融液が融点よりも低温の状態になることを“過冷却状態”という。過冷却状態にある融液の温度と融点との差を“過冷却度”と呼ぶ。通常、過冷却度はゼロに近く、固体と液体の界面はほぼ融点温度に等しいと考えてよい。しかし、本願発明者は、化合物半導体、たとえばヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)などのIII−V族化合物半導体、さらにはテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体の単結晶成長においては、原料融液部分を過冷却状態にしても固化相が容易には発生しないことを見出した。このように、融液の状態を保ったままで融点より低温にしても、融液内に新たな固化相が発生しない理由は、以下のように考えられる。
融液内に固化相を出現させるためには、融液内に結晶核を発生させるために必要な条件を満足させる必要がある。その条件の一つが融液の温度であり、融液温度が低いほど結晶核が発生し易い。しかし、偶然に結晶核の前段階であるエンブリオ(萌芽)が発生しても、その大きな表面エネルギーのために大部分は消失してしまう。原料融液を過冷却状態にしても、容易には融液内に新たな固化相が発生しないのは、このような結晶核発生のメカニズムと密接な関係があると考えられる。既に固相が存在する場合、たとえば種結晶を用いて単結晶を成長させるような場合には、新たな結晶核を発生させる必要がないので大きな過冷却状態は生じないと考えられる。
融液中において、結晶核は、通常はその融液を収容している容器の内壁上に発生し易い。これは融液内部に結晶核が3次元的に発生する場合に比べて、容器壁に付着するように2次元的に発生する方が結晶核の表面エネルギーが小さくなり、核が安定成長し易いからである。したがって容器壁に結晶核が発生する場合の過冷却度の大きさは、容器壁の状態に大きく依存すると考えられる。本発明者は、縦型の単結晶成長用容器として熱分解窒化ホウ素(pBN)製容器を用いた場合に、容器壁に結晶核が発生しにくくて大きな過冷却度を実現し易いこと、またその容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されている場合に、さらに大きな過冷却度が実現できることを見出した。本発明者が行った実験では、pBN製の容器を用いた場合、融液の温度を融点よりも50℃以上低下させても融液中に新たな固化相が発生しなかった。また、pBN製容器と原料融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されている場合には、融液の温度を融点よりも100℃以上低下させても融液中に新たな固化相が発生しなかった。このように、本発明者は、化合物半導体の原料融液を過冷却状態にしても固化相が発生しない条件を見出して本発明に至ったのである。
非特許文献2と同様に本発明における固液界面近傍の熱流束バランスを考えれば、以下のように理解することができる。上述したように、従来の方法では固液界面の形状は(1)式の熱流束バランスに依存し、(2)式または(2)式を変形して得られる下記(2a)式の関係を満足するようにQL、QOUT、およびQINをコントロールする必要がある。
OUT > QL + QIN (2a)
ここで、従来では融液の温度が融点よりも高く、熱は融液側から固液界面に向かって流れるのでQIN>0である。結晶成長速度を大きくすれば、単位時間あたりに生じる固化潜熱QLの値が大きくなるので、QOUTの値を大きくする必要がある。QOUT値を大きくするためには結晶の縦方向の温度勾配を大きくする必要があるので、結晶内部に大きな熱応力が生じて転位密度が増大する。
本発明では、融液の少なくとも一部を過冷却状態にする。このような過冷却融液の温度は融点よりも低いので、固液界面近傍から熱を取り去るように作用する。すなわち、本発明の方法においては、固液界面から流出する熱流束として、結晶側へ流出する熱流束QOUT(SOLID)>0の他に、融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)>0が存在する。固液界面では固化潜熱QLが発生するから、固液界面近傍では、下記式(3)のような熱バランスが成り立つ。
R = QOUT(SOLID) + QOUT(LIQUID)− QL (3)
安定した固液界面形状を実現するための条件は、下記(4)式のようになる。
R = QOUT(SOLID) + QOUT(LIQUID)− QL > 0 (4)
式(4)を変形して得られる下記(4a)式が、適正な固液界面形状を維持するための必要条件である。
OUT(SOLID) + QOUT(LIQUID) > QL (4a)
式(2a)と式(4a)の比較から明らかなように、従来の方法では固化潜熱を結晶側へ奪うだけであったが、本発明の方法では固化潜熱を結晶側のみならず融液側にも奪うことができる。融液の熱伝導率は結晶の熱伝導率より数倍大きいうえ、自然対流や強制対流によって熱が効率良く低温部へ運ばれ得るので、結晶側よりもはるかに大きな放熱効果が得られる。本発明では、このような融液側への効果的な放熱効果を利用することによって、結晶側への熱流束QOUT(SOLID)を小さく抑えることができるので、従来の方法よりもはるかに小さな温度勾配の下で結晶成長させ得ると考えられる。実際の熱流束バランスはもっと複雑であり、式(1)、(2)、(2a)、(3)、(4)、および(4a)のような簡易な式で表現することはできなが、定性的には以上のように説明することができる。
また、このような融液側への大きな放熱効果を利用することによって、従来の常識では考えられなかった大きな結晶成長速度においても、適正な固液界面形状を維持しながら高品質の結晶を成長させることが可能になった。さらに、従来法では不可能と考えられていた直径200mmの超大型の化合物半導体結晶に関しても、低転位密度化や成長速度の高速化が可能なことが明らかになった。
ところで、特許文献2には融液内の対流を抑制する方法が提案されており、その段落[0011]内の第13行から第17行には「固液界面位置制御用ヒータ1と融液形成用ヒータ2との間には、寸法l=約20mmの隙間14が設けてあり、温度分布の谷TL(=約1233〜1237℃)を形成している。」と記載されており、その図1にはその概念図が示されている。このように、特許文献2にはあたかもGaAs融液の温度を融点(m.p.=1238℃)以下にしているかのような記載があるが、これはそのような意味ではない。特許文献2の一部の記載を以下に引用する。
「[0003][発明が解決しようとする課題]前述したように従来の垂直ブリッジマン法は、固液界面部10より上部の高温域21の温度分布は固液界面10より除々に温度が高くなる分布を使用しているため、融液6の対流(矢印で示す)が固液界面10位置まで影響を及ぼす。従って、図3(B)に示すように固液界面形状9は、種結晶8の反対の融液方向(矢印a)に対し凹面になりがちであった。その結果、(1)坩堝壁から欠陥を取込みやすく単結晶収率が悪い、(2)成長速度を遅くさせざるをえない(たとえば1〜3mm/h)、という欠点があった。」、「[0004]本発明の目的は、融液の対流が固液界面に影響を及ぼすのを防ぐバッファゾーンを設けることによって、前記した従来技術の欠点を解消し、・・・」、「[0009][作用]界面加熱部と高温加熱部との間を広げるなどして、これらの間に温度分布の谷を形成する隙間や冷却手段を設けると、融液内の対流が上下で遮断され、しかも温度勾配が0℃/cmとなることにより、固液界面形状が融液方向に凸になり、単結晶収率が向上する。これは、従来は凸にするために成長速度を抑えていたことから、実質的には成長速度が速くなることを意味する。[0010]温度分布の谷部と固液界面との距離LをL≧0.5dとしたのは、L<0.5dの場合は温度分布の谷部を設けても、融液の対流が固液界面まで達してしまうため、有効ではないからである。また、L≦2dとしたのは、L>2dの場合は、融液の高さが高すぎるため、その間の融液の軸方向の温度匂配を0℃/cmに保つのは難しくなり、温度の谷部と固液界面の中間部で新たな対流を形成したり、温度の谷部の温度を下げすぎて、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなるからである。好ましくは、実用的に安定しているL=約dとするのがよい。・・・」
以上の記載から明らかなように、特許文献2では、融液を過冷却にすることが提案されているわけではない。特許文献2、段落[0010]、第8行から第10行の「・・・温度の谷部の温度を下げすぎて、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなるからである。・・・」という記載は明らかに、「融液の温度を下げすぎると、融液の温度が融点よりも低くなって、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなる。」と述べているのである。
さらに、特許文献2におけるTLがヒータの温度であることは、その図1において炉内温度分布18(図1(B))がヒータの長さ分だけ示されていること、すなわち種結晶8よりも下側の空間部分にも温度分布が示されていることからも明らかである。このように、ヒータの温度を部分的に融点以下にしても、融液の温度は融点以下になるわけではない。坩堝4の設置された部分の温度は、温度の高い部分からの強い輻射熱を受けるので、融点よりも高い温度になるのが一般的である。
特許文献2のTLの温度ついて、その段落[0011]の実施例1において「L=約d」(段落[0011]中の最終行)の場合に、段落[0011]中の第16行に「谷TL(=約1233〜1237℃)」と記載されているものの、段落[0014]の実施例3では「L=約2dにした以外は、実施例1と同一条件で成長を行った。その結果、TLの温度を1237℃近辺にしないと、その付近の融液が固化しやすく、成長の継続が困難になることが多かった。そのため、TLを1238〜1239℃に上げて成長を行ったところ、今度は融液の対流が大きくなり、成長条件が不安定になることがわかった。但し、TL=約1237℃で融液が固化しなかった場合は単結晶が得られた。・・・」と記載され、TL=約1237℃でも融液の固化が起こることが述べられている。特許文献2、段落[0011]、第11行に「融点(m.p.=1238℃)」と記載されているので、「TL=約1237℃」は融点よりも1℃低いだけである。図1(B)のヒータの温度分布の谷部を1237℃近辺に設定した場合、融液の温度が1238℃以上になるというのは、当業者の常識である。このような事実と、特許文献2、段落[0014]、第2行から第3行における「その結果、TLの温度を1237℃近辺にしないと、その付近の融液が固化しやすく、成長の継続が困難になることが多かった。」という記載を考慮すれば、特許文献2は、融液を融点以下の温度にすれば融液が固化して単結晶が得られなくなるので「融液を融点以下の温度にしてはならない。」と考えていることが明白である。
他方、本発明では、縦型の単結晶成長用容器に種結晶と原料を収容し、加熱手段によって原料と種結晶の一部を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液側に向けて結晶成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって結晶成長を進行させる。また本発明では、原料融液の最上部を融点より低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって結晶成長を進行させることができる。このように融液の最上部で冷却された温度の低い融液は対流によって運ばれて融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)を増加させ、固化潜熱QLを効果的に奪う。ただし、融液の深さが非常に大きい場合には、融液対流が乱れて結晶成長が不安定になる場合が考えられる。そこで、本発明では、原料融液の温度がほぼ均一になるような温度分布を形成して、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させる。このように、融液の温度をほぼ均一にすることによって、深い融液においても、安定した結晶成長を実現することができる。
本発明の方法では、融液の温度の融点からの降下量が大きいほど、すなわち過冷却度が大きいほど、融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)を大きくすることができるので、より大きな効果が得られる。好ましくは原料融液の少なくとも一部を融点より10℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させる。
このように、原料融液を過冷却状態にする一方で、固体と液体の界面近傍をヒータなどで加熱することによって、固体に接触する融液の温度を融点よりも高温に保持し、それよりも上部に位置する融液の温度を融点よりも低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させるのが好ましい。融液が固化する際に潜熱が発生するが、結晶側へ流出する熱流束QOUT(SOLID)と融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)との和QOUT(SOLID)+QOUT(LIQUID)があまりにも大きければ、固化速度が大きくなり過ぎて短時間に過剰に大きな固化潜熱が発生し、融液内の温度分布が不均一になって結晶成長を不安定にすることが考えられる。そこで、固体と液体の界面近傍をヒータで加熱して固体に接触する融液の温度を融点よりも高温に保持することによって、固液界面近傍の温度分布を適正に保って安定した固液界面形状と成長速度を維持しながら結晶成長させることが可能になる。
ヒータによって加熱される坩堝外壁面の温度が融点温度以下であっても、固化潜熱が発生するので、固体に接触する融液の温度を融点よりも高温に保持しすることが可能である。しかし、このような温度分布を安定して実現するためには、坩堝外壁面を融点以上の温度に加熱するのが好ましい。一方、融点よりも温度の低い融液の体積が大きいほど大きな過冷却効果が得られるので、坩堝外壁面を融点以上の温度に加熱する領域は必要最小限にすることが好ましい。その領域は、具体的には縦型結晶成長用容器の上下方向に120mm以下にすることが好ましく、60mm以下にすることがより好ましい。
また、種結晶と原料を収容した縦型の単結晶成長用容器を加熱手段に対して相対的に下方に移動させることによって、下方から上方に向かって固化を進行させることが好ましい。このようにすれば、固液界面近傍の温度分布を安定に維持することができるので、安定した固液界面形状と成長速度を維持しながら結晶を育成することができる。
本発明の方法は、直径50mmよりも大きな胴部を有する単結晶の成長において特に有効である。すなわち、単結晶の胴部の直径が大きいほど成長中の単位時間当たりに発生する固化潜熱量が大きくなるので、融液側にも放熱させることによって全体として大きな放熱量が得られる本発明の方法が従来法に比べて特に効果的となる。また、本発明を適用することにより、従来法では不可能と考えられていた5mm/hよりも大きな結晶成長速度(すなわち、固液界面の移動速度)で結晶胴部の成長を行わせることができる。さらに、本発明では、10mm/hよりも大きな速度で結晶胴部を成長させる場合にも、良好な特性を有する単結晶が得られる。
通常では、種結晶の断面積は、育成予定の単結晶の胴部断面積の0.5〜5%程度である。このように断面積の小さな種結晶を用いる理由は、種結晶にかかるコストをできるだけ少なくするためである。種結晶は、通常では単結晶の胴部から切断して採取される。直径の小さい種結晶の方が直径の大きな種結晶よりも多数本採取できるので、種結晶1本当たりのコストが少なくて済む。しかし、このように小さな種結晶から増径させて太い胴部を有する結晶を育成する場合、増径部では結晶成長が進むにしたがって単位時間当たりに発生する固化潜熱の量が増加していく。このとき、安定した固液界面形状や成長速度を維持しながら結晶を育成するためには、固化潜熱発生量の増加に合わせて放熱量を増加させる必要がある。このような複雑な放熱量の制御は再現性に乏しいので、結晶を製造する際に大きな問題となる。5mm/hよりも大きな速度、特に10mm/hよりも大きな速度で結晶成長させようとすれば、固化潜熱の時間変化量は非常に大きなものになる。したがって、本発明の方法では、種結晶が育成単結晶胴部の25%以上の断面積を有することが好ましく、50%以上の断面積を有することがより好ましく、75%以上の断面積を有することがさらに好ましい。
また、種結晶から育成単結晶胴部に至る増径部の結晶中心軸に対する傾斜角は30°以下が好ましく、22.5°以下がより好ましく、15°以下がさらに好ましい。このように増径部の傾斜角を小さくすれば、ウエハ製品を採取できる単結晶胴部に至るまでの成長時間が長くなるうえに、ウエハ製品径に満たない部分の割合が大きくなり、ウエハ製品の収率が低下する。そこで、断面積の大きな種結晶を用いれば、増径部の傾斜角を小さくした場合でも単結晶胴部に至るまでの成長時間を短くでき、ウエハ製品径に満たない部分の割合も小さくできる。このように、種結晶から育成結晶胴部にかけての直径変化を緩やかにすることによって、固化潜熱の変化量を小さく抑えることが可能になり、5mm/hまたは10mm/hよりも大きな成長速度においても、安定した固液界面形状や成長速度を維持しながら結晶を育成することが可能になる。
また本発明の方法では、結晶側への熱流束QOUT(SOLID)を小さく抑えることができるので、従来法よりもはるかに小さな温度勾配下で結晶を成長させることができる。より具体的には、坩堝外壁面における結晶成長軸方向、すなわち縦方向の温度勾配を、好ましくは5℃/cm未満、より好ましくは3.5℃/cm未満、さらに好ましくは2℃/cm未満にして育成単結晶胴部の固化を進行させる。また、結晶成長の開始から終了まで、育成した単結晶の温度を絶対温度における融点温度の0.84倍、より好ましくは0.89倍、さらに好ましくは0.94倍よりも高温に維持することが好ましい。このように、単結晶胴部成長時の坩堝外壁面における成長軸方向の温度勾配を小さくすることによって、また、結晶成長の開始から終了まで、育成した単結晶の温度を所定の温度以上に保持することによって、結晶成長中の熱応力の発生を抑制することができ、特にウエハ製品採取部分に相当する単結晶胴部の転位密度を低減させることが可能になる。
また、縦型の単結晶成長用容器は熱分解窒化ホウ素(pBN)製であることが好ましく、その容器と融液との間に酸化ホウ素の被膜が介挿されていることが好ましい。前述のように、熱分解窒化ホウ素(pBN)製容器の壁面には結晶核が発生し難く、またその容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されていればその容器壁面にさらに結晶核が発生しにくくなる。そして、融液を過冷却にした際に新たな結晶核が発生することを確実に防ぐことができるので、本発明の方法を確実に行うことができるようになる。単結晶成長用容器と融液との間に酸化ホウ素の被膜を介挿させるためには、その容器に種結晶と原料と共に固形の酸化ホウ素を収容してもよいが、種結晶と原料を収容するに先だって、容器内壁のうちで少なくとも融液と接触すると予定される部分に酸化ホウ素の被膜を形成しておけばより効果的である。
本発明の方法は、ヒ化ガリウム(GaAs)やリン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)などの化合物半導体単結晶の育成に適用する場合に特に効果的である。一般に、これらの化合物半導体の結晶は熱伝導率が小さいので、結晶側への放熱量を大きくすることができない。また、比較的容易に無転位結晶が得られるシリコン(Si)に比べて、化合物半導体結晶は塑性変形し易い。したがって、従来の方法では化合物半導体単結晶の成長速度の増加や低転位密度化を実現することが著しく困難であり、本発明の方法が有効となる。また、これらの化合物半導体の融液は過冷却度を大きくしても固化相が生じにくいので、本発明の方法を実施する対象として適している。
また本発明では、化合物半導体の種結晶と原料を収容するための縦型の単結晶成長用容器と、原料と種結晶の一部を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製するための加熱手段とを備えていて、種結晶の未融解部分から原料融液側に向けて結晶成長させる化合物半導体単結晶の製造装置において、相対的に上方に配置された第一のヒータと相対的に下方に配置された第二のヒータを少なくとも含み、第一のヒータの温度を第二のヒータの温度よりも低くすることによって、原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして、下方から上方に向かって結晶成長を進行させ得る化合物半導体単結晶の製造装置を提案する。このような装置によって、原料融液を過冷却状態にすることが容易になる。
このような装置においては、下方に配置された温度の高いヒータによって加熱された炉内の高温ガスが上昇気流となって、上方に配置された温度の低いヒータ近傍の温度を上昇させたり、温度の揺らぎを生じさせる場合がある。反対に、上方に配置されたヒータ近傍の温度の低いガスが下降気流となって、温度の高いヒータ近傍の温度を低下させて、大きな温度の揺らぎを生じさせる場合がある。このように、下方に温度の高いヒータを配置して上方に温度の低いヒータを配置する場合、所望の温度分布を実現することがむずかしい場合がある。また、強いガス対流によって大きな温度揺らぎが生じるので、結晶や融液の温度を安定させることがむずかしい場合がある。さらに、上方の過冷却領域が下方の高温領域からの輻射によって加熱されるので、過冷却を実現することがむずかしい場合がある。
そこで、下方に配置されて温度を高く設定された第二のヒータと、上方に配置されていてその第二のヒータよりも温度を低くされた第一のヒータとの間に、少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板を配置することが好ましい。このように、第一のヒータと第二のヒータとの間に熱遮蔽板または断熱板を設けることによって、輻射による高温部と低温部の熱的な干渉を抑制することができる。また、ガス対流も抑制されるので温度揺らぎが小さくなり、過冷却状態を再現性よく実現できるようになる。第一のヒータのさらに上方に、少なくとも1つのヒータを配置することにより、融液温度をさらに精密に制御することが可能になる。その結果、過冷却状態をさらに再現性良く実現することができるだけでなく、その温度分布を制御することによって、過冷却融液の対流を抑制することができる。
また、第二のヒータの下方にその第二のヒータよりも温度を低く設定した第三のヒータを配置することが好ましく、第二のヒータと第三のヒータとの間に少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板を配置することがより好ましい。さらに、第三のヒータのさらに下方に、少なくとも1つのヒータを配置することがさらに好ましい。このように、結晶側に第二のヒータよりも温度を低く設定した第三のヒータとさらにその下方に少なくとも1つのヒータを配置し、第二のヒータと第三のヒータとの間に少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板を配置することによって、結晶側の温度分布を精密に制御することができる。その結果、結晶に発生する熱応力を低減して、低転位密度の結晶を育成することが容易になる。
高温部を形成する第二のヒータは複数のサブヒータによって構成されるのが好ましく、各サブヒータ間に少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板を配置することがより好ましい。第二のヒータによって形成される高温部の温度分布は、結晶の品質を左右する固液界面形状に大きく影響する。このように、高温部を形成する第二のヒータを複数のサブヒータによって構成し、さらに各サブヒータ間に少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板を配置することによって、高温部の温度分布を精密に制御することが容易になる。その結果、固液界面の形状を精密に制御することが可能になり、成長速度の増加や低転位密度化に対してより大きな効果が得られる。
本発明では、100cm-2未満の平均転位密度と、5×1016cm-3以上で5×1017cm-3未満のシリコン濃度とを有するn型ヒ化ガリウム基板を提供する。n型の電気伝導性を有するヒ化ガリウム基板には、所望の電気特性に制御するためのドーパントとしてシリコンが添加される。n型ヒ化ガリウム基板は、主にLEDやLDなどの光デバイスに用いられる。光デバイスでは転位がデバイスの特性に悪影響を及ぼすので、低転位密度であることが必要とされている。ヒ化ガリウム結晶にシリコンを添加すれば、その固溶強化作用によってヒ化ガリウム結晶の転位密度が減少する。しかし、5×1017cm-3未満の低いシリコン濃度の場合には固溶強化の効果が充分に得られず、従来では平均転位密度が100cm-2未満の低転位密度のヒ化ガリウム結晶を育成することは困難であった。
本発明では、融液を過冷却状態にしてヒ化ガリウム結晶を育成することにより、5×1017cm-3未満の低シリコン濃度においても、平均転位密度が100cm-2未満、より精密に制御された条件では50cm-2未満の低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。低転位密度化がより困難な直径100mm以上さらには直径125mm以上の大口径基板においても、5×1017cm-3未満の低シリコン濃度で、平均転位密度が100cm-2未満、さらに良好なものでは50cm-2未満、最も良好なものでは10cm-2未満の非常に転位密度の低いn型ヒ化ガリウム基板が得られる。
融液を過冷却状態にしてリン化インジウム結晶を育成する場合、3×1018cm-3未満の低硫黄濃度においても、平均転位密度が100cm-2未満、より精密に制御された条件では50cm-2未満の低転位密度のn型リン化インジウム基板が得られる。低転位密度化がより困難な直径100mm以上さらには直径125mm以上の大口径基板においても、3×1018cm-3未満の低硫黄濃度で、平均転位密度が100cm-2未満、さらに良好なものでは50cm-2未満、最も良好なものでは10cm-2未満の非常に転位密度の低いn型リン化インジウム基板が得られる。
本発明者は、このようにして得られる低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板やn型リン化インジウム基板を光デバイス用基板として用いることにより、従来法で得られた結晶では予想し得なかった良好なデバイス特性が得られるだけでなく、高い歩留りが安定して得られることを見出した。これは、低転位密度化によるデバイス特性への直接的な影響だけでなく、融液を過冷却状態にして育成した結晶固有の特性、特にミクロな特性の変化が寄与するためと考えられる。
本発明はさらに、1000cm-2未満の平均転位密度と、5×1016cm-3未満のシリコン濃度と、1×103Ωcm以上の比抵抗とを有する半絶縁性ヒ化ガリウム基板を提供する。比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性ヒ化ガリウム基板には、電気特性を制御するためのドーパントとして一般にクロムまたはカーボンが極微量添加される。これらのドーパントをヒ化ガリウム結晶に添加しても、シリコン添加の場合のように固溶強化作用によってヒ化ガリウム結晶の転位密度が顕著に減少することはない。したがって、従来では、基板面内での平均転位密度が1000cm-2未満の低転位密度結晶を育成することは困難であった。
本発明では、融液を過冷却状態にしてヒ化ガリウム結晶を育成することにより、平均転位密度が1000cm-2未満、さらに良好なものでは500cm-2未満、最も良好なものでは300cm-2未満の低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板を得ることができる。さらに、低転位密度化が困難な直径150mm以上さらには直径200mm以上の大口径基板においても、平均転位密度が1000cm-2未満、さらに良好なものでは500cm-2未満、最も良好なものでは300cm-2未満の低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板を得ることができる。
本発明はさらに、1000cm-2未満の平均転位密度と、1×103Ωcm以上の比抵抗を有する半絶縁性リン化インジウム基板を提供する。比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性リン化インジウム基板には、電気特性を制御するためのドーパントとして鉄が極微量添加される。しかし、リン化インジウム結晶に鉄を添加しても、硫黄添加の場合のように固溶強化作用によってリン化インジウム結晶の転位密度を顕著に減少させることはない。したがって、従来では平均転位密度が1000cm-2未満の低転位密度結晶を育成することは困難であった。
本発明では、融液を過冷却状態にしてリン化インジウム結晶を育成することにより、平均転位密度が1000cm-2未満、さらに良好なものでは500cm-2未満、最も良好なものでは300cm-2未満の低転位密度で比抵抗が1×103Ωcm以上の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。さらに、低転位密度化が困難な直径150mm以上さらには直径200mm以上の大口径基板においても、平均転位密度が1000cm-2未満、さらに良好なものでは500cm-2未満、最も良好なものでは300cm-2未満の低転位密度で比抵抗が1×103Ωcm以上の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。
本発明者は、このようにして得られた低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板や半絶縁性リン化インジウム基板を、特にOEIC(光電子集積回路)などの光電子デバイス用基板用として用いることにより、従来法で得られた結晶からは予想し得なかった良好なデバイス特性が得られるだけでなく、高い歩留りが安定して得られることを見出した。OEICは、光デバイスと電子デバイスを一つのチップ上に作製したデバイスである。前述したように、転位は光デバイスの特性に悪影響を及ぼす。本発明の基板によって良好なデバイス特性と高い歩留りが得られる理由は、低転位密度化によるデバイス特性への直接的な影響だけでなく、融液を過冷却状態にして育成した結晶固有の特性、特にミクロな特性の変化が寄与するためと考えられる。このように良好なデバイス特性と高い歩留りは、カーボンを1×1014cm-3以上添加した基板で顕著に見られた。融液を過冷却状態にして結晶を育成した結果、あるいは低転位密度化した結果、あるいはその複合的効果によって発現した結晶の特性の変化が、このように良好なデバイス特性と高い歩留りに寄与すると考えられる。
(実施例1)
本発明の方法を、n型ヒ化ガリウム(GaAs)の単結晶育成に適用する。図1(A)と(B)において、本発明に用いる単結晶製造装置の模式的断面図とその装置の温度分布のグラフの一例がそれぞれ示されている。結晶育成のために、上部過冷却領域を形成するためのヒータ3,4、固液界面近傍を加熱するためのヒータ5,6、および成長した結晶の温度分布をコントロールするためのヒータ7,8が設けられている。また、ヒータ4,5の間に設けられた断熱板9と、ヒータ6,7の間に設けられた断熱板10とによって、それぞれの領域間が熱的に遮断されるよう配慮されている。さらに、固液界面近傍の温度分布を精密にコントロールするために、ヒータ5,6間に熱遮蔽板11が設けられている。なお、ヒータ3〜8とステンレス製チャンバ1との間は断熱材2によって断熱されている。
図2の模式的な断面図に示すように、予め酸化処理によって内表面が酸化ホウ素膜17aで被覆された内径約105mmのpBN製坩堝14が、ステンレス製チャンバ1内で下軸12の上部に設けた坩堝台13上に設置される。坩堝14の下端の種結晶収容部に直径95mmの種結晶15を収容し、さらにその上に予備合成したヒ化ガリウム多結晶原料16の約15kgと、酸化ホウ素(B23)17の約700gと、さらにドーパントとしての固体シリコン20を収容する。この固体シリコンは高純度シリコンウエハを破砕したもので、育成されたヒ化ガリウム結晶の肩部(増径部と胴部の境界)におけるシリコンの濃度が5×1016cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバ1を密閉し、チャンバ内部を真空ポンプで排気する。その後、結晶育成時の圧力がゲージ圧で0.5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行う。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素17が軟化融解し、ヒ化ガリウム多結晶原料16と種結晶15を完全に封止する。その後さらに昇温を続け、ヒータ3〜8の温度を調整しながら、種結晶15の下部をその融点以下の温度に保持する一方で、多結晶原料16と種結晶15の上部を融点よりも高温に加熱して、原料融液18を形成させる(図1(A)参照)。この状態に一定時間保持することによって、原料融液の組成と温度を安定化させ、その後にヒータ3と4の温度をゆっくり降下させて、坩堝14の外壁面を融点以上の温度に加熱した領域が上下方向に約60mmの領域となるように(図1(B)参照)、また、融液の温度が約30℃だけ融点よりも低温になるように温度分布を調整して過冷却融液を形成させる。その後、下軸12を3rpmで回転させながら5.5mm/hの速度で下降させることによって、直径約105mmのシリコンドープヒ化ガリウム単結晶19を成長させる(図1(A)参照)。この時の坩堝14の外壁面における結晶成長軸方向の温度勾配は1.5℃/cmである。
図3において、このようにして育成された単結晶の外観と、各部の名称が示されている。単結晶の肩部から、シリコン濃度が5×1016cm-3で平均転位密度が約90cm-2のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。また、同じ結晶の尾部から、シリコン濃度が1×1017cm-3で平均転位密度が約40cm-2のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。
(実施例2)
実施例2においては、図4に示すように実施例1と同様の装置を用いて、半絶縁性ヒ化ガリウム(GaAs)の単結晶を育成する。予め酸化処理によって内表面が酸化ホウ素膜17aで被覆された内径約155mmのpBN製坩堝34をステンレス製チャンバ21内で下軸32の上部に設けられた坩堝台33上に設置する。坩堝34の下端の種結晶収容部に直径145mmの種結晶35を収容し、さらにその上に予備合成したヒ化ガリウム多結晶原料の約30kgと、酸化ホウ素(B23)37の約1500gと、ドーパントとしての固体カーボン(図示せず)とを収容する。この固体カーボンは、育成されたヒ化ガリウム結晶の肩部におけるカーボンの濃度が5×1015cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバ21を密閉し、チャンバ内部を真空ポンプで排気する。その後、結晶育成時の圧力がゲージ圧で0.5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行う。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素37が軟化融解し、ヒ化ガリウム多結晶原料と種結晶35を完全に封止する。その後さらに昇温を続け、ヒータ23〜28の温度を調整しながら、種結晶35の下部を融点以下の温度に保持する一方で、多結晶原料と種結晶35の上部を融点よりも高温に加熱して、原料融液38を形成させる。さらにこの状態に一定時間保持することによって、原料融液38の組成と温度を安定化させ、その後ヒータ23と24の温度をゆっくり降下させて、坩堝34の外壁面を融点以上の温度に加熱した領域が上下方向に約60mmの領域となるように、また融液の温度が約10℃だけ融点よりも低温になるように温度分布を調整して、過冷却融液を形成させる。その後、下軸32を3rpmで回転しながら8mm/hの速度で下降させることによって、直径約155mmの半絶縁性ヒ化ガリウム単結晶39を成長させる。この場合の坩堝外壁面における結晶成長軸方向の温度勾配は、4.5℃/cmである。
このようにして得られるヒ化ガリウム単結晶から、カーボン濃度が5×1015cm-3で、平均転位密度が約900cm-2の低転位密度基板が得られる。なお、この結晶の不純物シリコンの濃度は5×1015cm-3未満であり、低転位密度化には寄与していない。
(実施例3)
実施例3においては、図5に示すように実施例1と同様の装置を用いて、n型リン化インジウム(InP)の単結晶を成長させる。予め酸化処理によって内表面が酸化ホウ素膜17aで被覆された内径約105mmのpBN製坩堝54をステンレス製のチャンバ41内で下軸52の上部に設けられた坩堝台53上に設置する。坩堝54の下端の種結晶収容部に直径70mmの種結晶55を収容し、さらにその上に予備合成したリン化インジウム多結晶原料の約10kgと、酸化ホウ素(B23)57の約700gと、ドーパントとしての硫化インジウム(図示せず)とを収容する。この硫化インジウムは、育成されたリン化インジウム結晶の肩部における硫黄の濃度が1×1018cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバ41を密閉し、チャンバ内部を真空ポンプで排気する。その後、結晶育成時の圧力がゲージ圧で5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行う。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素57が軟化融解し、リン化インジウム多結晶原料と種結晶55を完全に封止する。その後さらに昇温を続け、ヒータ43〜48の温度を調整しながら、種結晶の下部を融点以下の温度に保持する一方で、多結晶原料と種結晶55の上部を融点よりも高温に加熱し、原料融液58を形成させる。さらに、この状態に一定時間保持することによって原料融液58の組成と温度を安定化させ、その後にヒータ43と44の温度をゆっくり降下させて、坩堝外壁面を融点以上の温度に加熱した領域が上下方向に約120mmの領域となるように、また融液の温度が約40℃だけ融点よりも低温になるように温度分布を調整して、過冷却融液を形成させる。その後、下軸52を10.5mm/hの速度で下降させることによって、直径約105mmのn型リン化インジウム単結晶59を成長させる。この場合に、坩堝54の外壁面における結晶成長軸方向の温度勾配は、2.0℃/cmである。
このようにして得られるリン化インジウム単結晶の肩部から、硫黄濃度が1×1018cm-3で平均転位密度が約80cm-2の低転位密度基板が得られる。
(実施例4)
実施例4では、図6に示すように実施例1と同様の装置を用いて、半絶縁性リン化インジウム(InP)の単結晶を育成する。予め酸化処理によって内表面が酸化ホウ素膜17aで被覆された内径約155mmのpBN製坩堝74をステンレス製のチャンバ61内で下軸72の上部に設けられた坩堝台73上に設置する。坩堝74の下端の種結晶収容部に直径110mmの種結晶75を収容し、さらにその上に予備合成したリン化インジウム多結晶原料の約20kgと、酸化ホウ素(B23)77の約1500gと、ドーパントとしての高純度鉄(図示せず)とを収容する。この高純度鉄は、育成されたリン化インジウム結晶の肩部における鉄の濃度が1×1016cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバ61を密閉し、チャンバ内部を真空ポンプで排気する。その後、結晶成長時の圧力がゲージ圧で5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行う。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素77が軟化融解し、リン化インジウム多結晶原料と種結晶75を完全に封止する。その後さらに昇温を続け、ヒータ63〜68の温度を調整しながら、種結晶の下部を融点以下の温度に保持する一方で、多結晶原料と種結晶77の上部を融点よりも高温に加熱して原料融液78を形成させる。さらに、この状態に一定時間保持することによって原料融液78の組成と温度を安定化させ、その後にヒータ63と64の温度をゆっくり降下させて、坩堝外壁面を融点以上の温度に加熱した領域が、上下方向に約120mmの領域となるように、また融液の温度が約50℃だけ融点よりも低温になるように温度分布を調整して過冷却融液を形成させる。その後、下軸72を10.5mm/hの速度で下降させることによって、直径約155mmの半絶縁性リン化インジウム単結晶79を成長させる。この場合に、坩堝74の外壁面における結晶成長軸方向の温度勾配は、3.0℃/cmである。
このようにして得られるリン化インジウム単結晶の肩部から、鉄濃度が1×1016cm-3で、平均転位密度が約600cm-2の低転位密度基板が得られる。
(A)は本発明におけるn型ヒ化ガリウム単結晶を製造する装置一例の模式的な断面図であり、(B)はその装置の坩堝外壁における温度分布の一例を示すグラフである。 実施例1の方法において、ヒ化ガリウム多結晶原料、酸化ホウ素、及びドーパント(固体シリコン)をpBN製坩堝に収容する方法の一例を示す模式的な断面図である。 実施例1の方法で育成した単結晶の外観と各部の名称を示す模式的な正面図である。 実施例2において、半絶縁性ヒ化ガリウム単結晶を製造する装置の一例を示す模式的断面図である。 実施例3において、n型リン化インジウム単結晶を製造する装置の一例を示す模式的断面図である。 実施例4において、半絶縁性リン化インジウム単結晶を製造する装置のの一例を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 ステンレス製チャンバ、2 断熱材、3、4、5、6、7、8 ヒータ、9、10 断熱板、11 熱遮蔽板、12 下軸、13 坩堝台、14 pBN製坩堝、15 種結晶、16 ヒ化ガリウム多結晶原料、17 酸化ホウ素(B23)、17a 酸化ホウ素膜、18 原料融液、19 ヒ化ガリウム単結晶、20 固体シリコン、21 ステンレス製チャンバ、22 断熱材、23、24、25、26、27、28 ヒータ、29、30 断熱板、31 熱遮蔽板、32 下軸、33 坩堝台、34 pBN製坩堝、35 種結晶、37 酸化ホウ素(B23)、38 原料融液、39 ヒ化ガリウム単結晶、41 ステンレス製チャンバ、42 断熱材、43、44、45、46、47、48 ヒータ、49、50 断熱板、51 熱遮蔽板、52 下軸、53 坩堝台、54 pBN製坩堝、55 種結晶、57 酸化ホウ素(B23)、58 原料融液、59 リン化インジウム単結晶、61 ステンレス製チャンバ、62 断熱材、63、64、65、66、67、68 ヒータ、69、70 断熱板、71 熱遮蔽板、72 下軸、73 坩堝台、74 pBN製坩堝、75 種結晶、77 酸化ホウ素(B23)、78 原料融液、79 リン化インジウム単結晶。

Claims (55)

  1. 縦型の単結晶成長用容器内に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、前記原料と前記種結晶の一部を加熱融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、前記種結晶の未融解部分から前記原料融液側に向かって結晶成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、前記原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
  2. 前記原料融液の少なくとも一部を融点より10℃以上低温にして、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  3. 前記原料融液の少なくとも一部を融点より30℃以上低温にして、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  4. 前記原料融液の少なくとも一部を融点より50℃以上低温にして、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶と前記融液との間の固液界面近傍をヒータで加熱することによって、前記種結晶に接触する前記融液の温度を融点よりも高温に保持し、それよりも上方に位置する前記融液の温度を融点よりも低温にして、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  6. 前記容器の外壁面を融点以上の温度に加熱することを特徴とする請求項5に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  7. 融点以上の温度に加熱する領域を前記容器の縦方向に120mm以下の領域とすることを特徴とする請求項6に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  8. 融点以上の温度に加熱する領域を前記容器の縦方向に60mm以下の領域とすることを特徴とする請求項7に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  9. 前記原料融液の最上部の温度が最も低くなるような温度分布を形成して、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  10. 前記原料融液の温度がほぼ均一になるような温度分布を形成して、前記種結晶の未融解部分から前記融液側に向かって結晶成長を進行させるステップを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  11. 前記縦型の単結晶成長用容器を加熱手段に対して相対的に下方に移動させることによって、下方から上方に向かって結晶成長を進行させることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  12. 前記容器内で前記原料を収容するための容器胴部の内径が50mmよりも大きいことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  13. 前記結晶成長の速度は5mm/hよりも大きくされることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  14. 前記結晶成長の速度は10mm/hよりも大きくされるとを特徴とする請求項13に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  15. 前記種結晶は前記容器内で前記原料を収容するための容器胴部の内側断面積の50%以上の断面積を有することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  16. 前記種結晶は前記容器胴部の内側断面積の75%以上の断面積を有することを特徴とする請求項15に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  17. 前記容器は前記種結晶を収容するための種結晶収容部と前記原料を収容するための容器胴部を有し、前記種結晶収容部から前記容器胴部に至る増径部の傾斜角が前記容器の中心軸に対して30°以下であることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  18. 前記増径部の傾斜角が前記容器の中心軸に対して15°以下であることを特徴とする請求項17に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  19. 前記容器の外壁面における結晶成長軸方向の温度勾配を5℃/cm未満にして結晶成長を進行させることを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  20. 前記温度勾配を2℃/cm未満にすることを特徴とする請求項19に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  21. 前記結晶成長の開始から終了まで、その成長した単結晶の温度を絶対温度において融点の0.84倍以上に維持することを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  22. 前記結晶成長の開始から終了まで、その成長した単結晶の温度を絶対温度において融点の0.94倍以上に維持することを特徴とする請求項21に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  23. 前記容器が熱分解窒化ホウ素製であることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  24. 前記容器と前記融液との間に酸化ホウ素の被膜が介挿されていることを特徴とする請求項1から23のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  25. 前記容器内に前記種結晶と前記原料と共に酸化ホウ素をも収容することを特徴とする請求項1から24のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  26. 前記容器に前記種結晶と前記原料を収容するに先だって、その容器において少なくとも前記融液と接触すると予定される部分に酸化ホウ素の被膜が形成されていることを特徴とする請求項1から25のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  27. 前記化合物半導体がヒ化ガリウム、リン化インジウム、またはリン化ガリウムであることを特徴とする請求項1から26のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  28. 化合物半導体の種結晶と原料を収容するための縦型の単結晶成長用容器と、前記原料と前記種結晶の一部を加熱融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製するための加熱手段とを備えていて、前記種結晶の未融解部分から前記原料融液側へ結晶成長させる化合物半導体単結晶の製造装置において、相対的に上方に配置された第一のヒータと相対的に下方に配置された第二のヒータを少なくとも含み、前記第一のヒータの温度を前記第二のヒータの温度よりも低くすることによって、前記原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温にして、下方から上方に向かって結晶成長を進行させ得ることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造装置。
  29. 前記第一のヒータと前記第二のヒータとの間に、少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板が配置されていることを特徴とする請求項28に記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  30. 前記第一のヒータのさらに上方に少なくとも1つのヒータが配置されていることを特徴とする請求項28または29に記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  31. 前記第二のヒータのさらに下方にその第二のヒータよりも温度を低く設定された第三のヒータが配置されていることを特徴とする請求項28から30のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  32. 前記第二のヒータと前記第三のヒータとの間に、少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板が配置されていることを特徴とする請求項31に記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  33. 前記第三のヒータのさらに下方に少なくとも1つのヒータが配置されていることを特徴とする請求項31または32に記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  34. 前記第二のヒータが複数のサブヒータによって構成されていることを特徴とする請求項28から33のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  35. 前記複数のサブヒータの間に少なくとも1つの熱遮蔽板または断熱板が配置されていることを特徴とする請求項34に記載の化合物半導体単結晶の製造装置。
  36. 100cm-2未満の平均転位密度と、5×1016cm-3以上で5×1017cm-3未満のシリコン濃度を有することを特徴とするn型ヒ化ガリウム基板。
  37. 50cm-2未満の平均転位密度を有することを特徴とする請求項36に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  38. 100mm以上の直径を有することを特徴とする請求項36または37に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  39. 125mm以上の直径を有することを特徴とする請求項38に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  40. 1000cm-2未満の平均転位密度と、5×1015cm-3未満のシリコン濃度と、1×103Ωcm以上の比抵抗を有することを特徴とする半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  41. 500cm-2未満の平均転位密度を有することを特徴とする請求項40に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  42. 1×1014cm-3以上のカーボンが添加されていることを特徴とする請求項40または41に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  43. 150mm以上の直径を有することを特徴とする請求項40から42のいずれかに記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  44. 200mm以上の直径を有することを特徴とする請求項43に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  45. 100cm-2未満の平均転位密度と、1×1017cm-3以上で3×1018cm-3未満の硫黄濃度を有することを特徴とするn型リン化インジウム基板。
  46. 50cm-2未満の平均転位密度を有することを特徴とする請求項45に記載のn型リン化インジウム基板。
  47. 1000cm-2未満の平均転位密度と、1×1017cm-3以上で5×1018cm-3未満の錫濃度を有することを特徴とするn型リン化インジウム基板。
  48. 500cm-2未満の平均転位密度を有することを特徴とする請求項47に記載のn型リン化インジウム基板。
  49. 100mm以上の直径を有することを特徴とする請求項45から48のいずれかに記載のn型リン化インジウム基板。
  50. 125mm以上の直径を有することを特徴とする請求項49に記載のn型リン化インジウム基板。
  51. 1000cm-2未満の転位密度と1×103Ωcm以上の比抵抗を有し、鉄がドープされていることを特徴とする半絶縁性リン化インジウム基板。
  52. 500cm-2未満の転位密度を有することを特徴とする請求項51に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  53. 鉄が1×1015cm-3以上添加されていることを特徴とする請求項51または52に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  54. 100mm以上の直径を有することを特徴とする請求項51から53のいずれかに記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  55. 150mm以上の直径を有することを特徴とする請求項54に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
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