JPH09286700A - 単結晶の製造方法および単結晶製造装置並びにそれに用いる原料収納容器 - Google Patents

単結晶の製造方法および単結晶製造装置並びにそれに用いる原料収納容器

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JPH09286700A
JPH09286700A JP8059367A JP5936796A JPH09286700A JP H09286700 A JPH09286700 A JP H09286700A JP 8059367 A JP8059367 A JP 8059367A JP 5936796 A JP5936796 A JP 5936796A JP H09286700 A JPH09286700 A JP H09286700A
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crucible
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storage container
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Application number
JP8059367A
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English (en)
Inventor
Takeo Kawanaka
岳穂 川中
Hiroshi Okada
広 岡田
Yoshihiko Sakashita
由彦 坂下
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
Seiichiro Omoto
誠一郎 大元
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ZnSe単結晶等をルツボ内の原料融液から成長
させる場合、冷却中の相転移に起因する双晶欠陥が発生
して良質の単結晶が得られない。 【解決手段】 ルツボ20内でZnSe原料を溶解した融液
から単結晶を成長させた後、成長結晶25をルツボ20
の壁面との接触がない状態として、成長結晶25の下端
側から上端側に温度勾配を設けて1409℃±5℃の相転移
温度領域を通過させ冷却する。これにより、相転移温度
領域通過時におけるルツボ20内面との接触部で生じる
不均一核発生が抑制され、かつ、相転移領域が一定方向
に拡大し、この結果、双晶欠陥が低減された良質の単結
晶を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、融液から成長させ
た単結晶を冷却させる際に相転移を生じるZnSe等の単結
晶の製造方法および単結晶製造装置並びにそれに用いる
原料収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】青色半導体レーザは、現有の赤色半導体
レーザの約1/2の波長であるため、コンパクトディス
クなどに代表される光記録の密度を4倍にできるといわ
れている。また、他の光源に比較して、コンパクト・低
消費電力などの利点があり、さらに、青色発光ダイオー
ドが実現すれば、現有の赤・緑色の発光ダイオードと合
わせて光の三原色が得られ、大型の高輝度カラーディス
プレイなどへの応用が考えられるため、その開発が切望
されている。
【0003】このような青色の発光素子の製造には、青
色光のエネルギーに対応したバンドギャップを持つ半導
体材料、いわゆるワイドギャップ半導体材料が使用され
る。ワイドギャップ半導体材料の中では、ZnSe系II−VI
族化合物半導体が最も有望視されている。ところで、デ
バイス作製には高品質なエピタキシャル成長基板が必要
である。しかしながら、このような高品質なZnSe単結晶
基板を工業的に安価に製造できる製法はこれまで確立さ
れておらず、一般には、格子定数の近いGaAsがエピタキ
シャル成長用基板として使用されている。
【0004】ところが、GaAs基板(格子定数:5.654Å)
とZnSe(格子定数:5.668Å)とは格子定数が近いとはい
え、なお0.25%の不整合がある。さらに、熱膨張係数の
違いもあるためにエピタキシャル成長層に歪が残り、転
位などの欠陥の発生、ひいてはデバイス特性の劣化を引
起こすという欠点が避けられない。そのため、青色発光
素子の実用化のためには、良質のZnSe基板の製造が望ま
れている。
【0005】上記のZnSeは1526℃に融点を持ち、また、
1420℃に、高温安定相の六方晶ZnSeと、低温安定相の立
方晶ZnSeとの両相間の相転移点があることが知られてい
る。このためZnSeの単結晶成長においては、通常の融液
成長法であるチョクラルスキー法(回転引き上げ法)や
ブリッジマン法などにより融液から結晶成長を行なった
場合、1420℃付近で高温相の六方晶から低温相の立方晶
への相転移が起こり、このため、この相転移に起因する
双晶欠陥が導入されて低欠陥の単結晶が得られない(Mic
hael S. et al.,Journal of Crystal Growth,vol.86,19
88,pp.132-137など参照)。
【0006】なお、特開昭63-310786 号公報にブリッジ
マン法によるZnSe単結晶製造法が開示されている。同公
報中には双晶に関する記載はないものの、同公報の発明
者等が上記公報での記載内容を詳細に説明した技術論文
(J.Cryst.Growth,117(1992)p.80-84)に、双晶が発生す
ることが説明されている。ところで、上記のような相転
移に伴う双晶欠陥を回避する方法として、化学気相成長
法(特開平1-264990号公報)、物理気相成長法などの低
温成長法により、相転移点温度1420℃以下の温度で結晶
成長を行い、これによって立方晶の結晶相を成長させる
方法が提案されている。しかしながら、これらの成長法
では成長速度が遅く、生産性が非常に悪い。
【0007】また、特公平5-35720 号公報に、相転移点
1420℃以下で成長を行う方法として、100 〜2000気圧の
不活性ガス雰囲気下で、Seが57.5〜92.5 mol%, 残部Zn
からなる融液を徐冷する方法が開示されている。しかし
ながら、このように化学量論比(Zn/Se =1/1)からずれ
たSeリッチ組成の融液を用いてZnSeを晶出させた場合に
は、融液組成が晶出に伴って初期のSe濃度よりさらにSe
リッチ側にずれていき、これに伴って液相温度(ZnSe固
体と融液との平衡温度)が低下するため、一定の速度で
結晶成長させるためには、極めて複雑な温度制御が必要
となる。
【0008】また、上記公報記載の方法では、融液組成
が大きくSeリッチ側にずれるに伴い、いわゆる組成的過
冷却が生じやすく、急激な結晶化によって多結晶化が起
こったり、融液を結晶中に巻き込んで固化するといった
マクロな結晶欠陥を多く含んだものともなり易い。これ
を防止するために、数mm/日程度の極めて低速の成長を
行うことが必要とされ、このような条件で成長を行って
も、結果的には結晶性は劣り、したがって、半導体結晶
のように低欠陥性が求められる用途には、適性な結晶成
長法とはなり難い。
【0009】なお、前記した不活性ガスの印加は、融液
組成の変動を遅くする効果はあるが、ZnSeとの化学平衡
に直接関与するものではない。したがって、Se,Zn の蒸
発による融液組成の変動は結晶成長を行わない場合でも
常に起こり、また、このような融液組成の変動を正確に
把握する手段がないため、安定した結晶成長は現実には
極めて困難である。
【0010】結局、基板に加工するためのバルク結晶を
工業的に成長させる方法としては、生産性の点で融液成
長法が有利であり、このため、ブリッジマン法など融液
から結晶成長を行うことを前提に、1420℃付近における
六方晶から立方晶への相転移に起因する双晶欠陥を回避
する方法の開発が活発に進められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
で融液から結晶成長を行う場合の前記した1420℃付近で
の相転移に起因する双晶欠陥を充分に抑制し得る方法は
開発されておらず、このため、従来は良質の単結晶が得
られず、未だ実用に耐えうるサイズの結晶は得られてい
ない。
【0012】本発明は、上記した実情に鑑みなされたも
ので、その目的は、融液から成長させて結晶を冷却する
際に相転移を生じるZnSe等において、双晶欠陥が低減さ
れた良質の単結晶の成長方法を提供することにあり、ま
た、そのための装置構成をより簡素になし得る単結晶製
造装置と、欠陥の低減に好適な原料収納容器とを提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1記載の単結晶の製造方法は、原
料収納容器内で単結晶を成長させた後、成長結晶を上記
原料収納容器の壁面との接触がない状態として、成長結
晶の一端側から他端側に温度勾配を設けて相転移温度領
域を通過させ冷却することを特徴とするものであり、上
記の原料として、例えば請求項2記載のようにZnSeを使
用し、このとき、請求項3記載のように、通過させるべ
き相転移温度領域を1409±5℃の温度範囲とすることに
よって、双晶欠陥が低減された良質のZnSe単結晶を製造
することができる。
【0014】すなわち本発明では、融液からの成長後に
おける冷却中に相転移を起こす単結晶を、冷却過程で、
成長結晶の外周部を拘束することなく、かつ、温度勾配
を設けた状態で、相転移温度領域を通過させる。このよ
うに、相転移時にルツボ等の原料収納容器の壁面との接
触を避けることによって、双晶欠陥導入密度を減少させ
ることができる。その理由について、以下に説明する。
【0015】図3は、結晶成長後の冷却中に相転移を生
じるZnSeについて、その相転移をいわゆる示差熱分析に
より検出したものである。なお本測定には、ZnSeの熱分
解による組成変動を防止するため、モリブデンの容器中
にZnSe原料を充填し、溶接により密閉したサンプルを使
用した。ZnSeは、同図に示されているように、昇温時に
は1412.5℃で立方晶(3C)から六方晶(2H)へ、また、降温
時には1408.5℃で六方晶から立方晶への相転移を起こす
ことを見出した。このように昇温時および降温時に温度
ヒステリシスが観測されることにより、降温時には結晶
が過冷却となっていることがわかる。
【0016】結晶成長後の降温時においても、相転移時
には同様な過冷却が起こっていると考えられ、原料収納
容器としてのルツボ等の内壁面と成長結晶との接触点な
どで、低温相である立方晶ZnSeの不均一核発生が生じて
相転移が開始するものと思われる。なお、上記の温度ヒ
ステリシスは、結晶のサイズや結晶内部の欠陥濃度など
により異なるが、相転移温度としては概ね1409±5 ℃を
示す。
【0017】ところで、ZnSeにおける2H→3C相転移は、
Zn原子とSe原子とを一組とした場合、2H相の(000
1)面の積層:ABABAB・・・が3C相における(1
11)面の積層:ABCABC・・・に変化するもので
あり、2H相の(0001)面内でのショックレー部分転
位の移動が1層毎に起こることと等価である。しかる
に、上記のように結晶各部でのランダムな核発生が起こ
り、その転移領域が2H相の〔0001〕方向に拡大して
いく場合、隣合う転移領域の境界が、確率的に転移後の
3C相の双晶境界となることが結晶学的に説明される。
【0018】また、例えば2H相の結晶成長方位が〔00
01〕であった場合、(0001)面内での 1/6〔11
2〕だけの原子移動が(0001)面と平行な方向に起
こったとすると、結晶の外形は〔0001〕方向より約
19.5度ずらした形となる。ところが、ブリッジマン法な
ど、ルツボ中で結晶を固化させる結晶成長法では、上記
の結晶変形はルツボに拘束されて起こり得ない。この場
合、結晶には大きなせん断応力が作用することが容易に
想像され、このため、結晶にすべり変形を起こさせるこ
とになるが、この場合、3C相のすべり面である(11
1)面内でのすべり変形に伴い、転移や変形双晶などの
欠陥が導入される。
【0019】以上が、ZnSeにおける2H→3C相転移に伴う
双晶化機構であると結論される。そこで、本発明のよう
に、成長後の結晶を原料収納容器の壁面との接触から開
放することにより、原料収納容器壁面からの不均一核発
生を抑制し、かつ、結晶の一部分から核発生による一定
の方向への相転移領域が拡大するように、成長結晶の一
端側から他端側に温度勾配を設けて相転移温度領域を通
過させる冷却操作を行うことによって、双晶欠陥が低減
された良質の単結晶を得ることが可能となる。
【0020】なお、成長結晶を原料収納容器壁面との接
触がない状態とするには、垂直ブリッジマン法や垂直温
度勾配法などで単結晶の成長を行う場合には、例えば請
求項4記載のように、原料収納容器内で単結晶を成長さ
せた後、成長結晶を原料収納容器に対して相対的に押し
上げる押し上げ操作を行って原料収納容器の壁面から離
間させ、その後、相転移温度領域を通過させ冷却する方
法を採用することができる。
【0021】この場合、請求項5記載のように、相転移
温度領域を超える温度で液体でかつ成長結晶に対して非
反応性の物質から成る離間材を原料収納容器の内面に沿
って介在させた状態で、結晶成長操作と成長結晶の押し
上げ操作とを行うことによって、結晶欠陥がより低減さ
れた良質の単結晶を得ることができる。すなわち、成長
結晶と原料収納容器の壁面との間に部分的な固着箇所が
あったり、また押し上げ時に成長結晶の表面が原料収納
容器の壁面と擦れてダメージを受けた箇所が存在する
と、結晶表面に微小なクラックが生じることや、応力に
よる転移の集中からポリゴン化を起こすことなどによっ
て、これらが、結晶方位のずれを生じる境界の起点とな
ったり、双晶の核発生の起点となる。
【0022】そこで、上記のように原料収納容器の内面
に液体状の離間材を介在させて結晶成長を行うことによ
り、上記した固着の発生が低減され、また、押し上げ時
には離間材が潤滑材としても機能することで無用な応力
の発生が抑制される。この結果、結晶欠陥がより低減さ
れた単結晶を得ることができる。上記の離間材として
は、請求項6記載のように、原料がZnSeのとき、酸化ホ
ウ素や酸化珪素、或いはこれらの混合物ガラスが好適で
ある。
【0023】一方、前記のように原料収納容器の壁面と
の接触で生じた成長結晶表面のダメージを除くために、
請求項7記載のように、結晶成長終了後、成長結晶の表
面を再度融点近傍温度まで加熱して表面層を融解させた
状態で、成長結晶の押し上げ操作を行う方法や、請求項
8記載のように、成長結晶の押し上げ操作を行った後、
成長結晶の表面を再度融点近傍温度まで加熱して表面層
を融解させ、次いで、相転移温度領域を通過させ冷却す
る方法を採用することができる。このような方法で成長
結晶表面のダメージを受けた箇所を除き、その後、相転
移温度領域を通過させ冷却することにより、低欠陥の良
質の単結晶を得ることができる。
【0024】上記のような成長結晶の押し上げ操作を行
う方法を好適に実施するための単結晶製造装置は、請求
項9記載のように、原料収納容器としてのルツボが内部
に配置される炉体内に、結晶成長のための所定の温度分
布を形成する加熱手段を設け、上記ルツボ内で原料を融
解させてルツボ内における下部側に保持した融液を上下
方向一端側から凝固させて単結晶を成長させる縦型の単
結晶製造装置において、上記ルツボの下端部に貫通開口
を形成すると共に、この貫通開口を通して下側から挿入
されることによりルツボ内の成長結晶を押し上げる押し
上げ部材を設け、かつ、上記ルツボを、結晶成長前の融
液を保持する融液保持部よりも上方壁面の内径を融液保
持部よりも径大に形成して構成される。
【0025】上記のルツボは、請求項10記載のように、
上方ほど径大なテーパ状に形成することによって構成す
ることができる。さらに、請求項11記載のように、上記
ルツボにおける融液保持部が上方ほど径大なテーパ状に
形成されると共に、この融液保持部の上方に、融液保持
部よりも径大な上部側壁面が段差状の拡径部を介して連
設されている構成であれば、例えば押し上げに伴って成
長結晶が押し上げ方向に対し左右に振れるような場合で
も、押し上げられた成長結晶とルツボ内面との離間状態
をより確実に得ることができる。
【0026】一方、請求項12記載のように、炉体内に、
加熱手段により形成された所定の温度分布領域を通過さ
せてこのルツボ内に単結晶を成長させるべくルツボを移
動させるルツボ移動手段が設けられ、かつ、結晶成長終
了後のルツボの位置に対応させて、このルツボ内の成長
結晶の表面を融解させるための局所加熱手段が設けられ
ている装置により、前記請求項7又は8記載の成長結晶
表面を融解してダメージを除く方法を好適に実施するこ
とができる。
【0027】また、上記の方法は、請求項13記載のよう
に、成長結晶の表面融解のための加熱時に結晶中心下部
に接する押し上げ部材の下端側を冷却する冷却手段が設
けられている装置によっても、好適に実施することがで
きる。なお、成長結晶に近接して位置するルツボや押し
上げ部材は、原料融液や成長結晶との非反応性また汚染
の観点から、請求項14記載のように、パイロリティック
・ボロンナイトライドから成ることが好ましい。
【0028】一方、成長結晶を原料収納容器壁面との接
触がない状態で冷却する他の方法として、請求項15記載
のように、分割可能な原料収納容器を設け、この原料収
納容器内で原料融液から単結晶を成長させた後、原料収
納容器を分割することにより原料収納容器の壁面から成
長結晶を離間させ、その後、相転移温度領域を通過させ
冷却する方法を採用することが可能である。
【0029】このような方法を好適に実施するための単
結晶製造装置は、請求項16記載のように、原料収納容器
内に形成された上下方向に延びる原料収納空間内で、原
料融液を上下方向の一端側から凝固させ単結晶を成長さ
せる縦型の単結晶製造装置において、上記原料収納空間
を囲う複数の分割部品で原料収納容器を構成すると共
に、結晶成長後にこれら分割部品を相互組み付け状態か
ら略水平方向外側に各々変位させて成長結晶の外周面か
ら離間させる分割手段を設けて構成される。
【0030】この場合、上記原料収納容器が、請求項17
記載のように、断面略円形の原料収納空間の中心を上下
に貫通する分割面で二分割された分割部品で構成される
ものであれば、部品点数も極力少なくなって構造が簡単
になると共に、組立時の操作も向上する。また、成長結
晶を原料収納容器壁面との接触がない状態で冷却するさ
らに他の方法として、請求項18記載のように、原料収納
容器内で単結晶を成長させた後、成長結晶の相転移温度
領域で液体でかつ成長結晶に対して非反応性の物質から
成る離間材を、相転移温度領域の通過時に原料収納容器
の壁面と成長結晶との間に介在させた状態で、成長結晶
の冷却を行う方法を採用することも可能である。
【0031】この場合も、上記の離間材としては、請求
項19記載のように、原料がZnSeのとき、酸化ホウ素など
が好適である。このような離間材を、例えば請求項20記
載のように、原料収納容器への原料充填時に添加してお
くと、これは原料の加熱溶解の過程で液体になり、この
液体物質が、単結晶成長後の冷却過程で原料収納容器の
壁面と成長結晶との間に介在することで、成長結晶に対
し、原料収納容器壁面との接触から開放された状態での
冷却を行うことが可能になって結晶欠陥を低減すること
ができる。
【0032】一方、請求項21記載のように、液体状にな
った上記離間材が壁面から滲み出るように形成した原料
収納容器を用いて、単結晶の成長と成長結晶の冷却とを
行う場合には、成長結晶の周囲に万遍なく液体状の物質
が介在する状態がより確実に得られ、この状態で成長結
晶の冷却を行うことにより、さらに結晶欠陥の低減され
た単結晶を製造することができる。
【0033】上記のように壁面から液体状の離間材が滲
み出るような原料収納容器としては、請求項22記載のよ
うに、原料および融液を保持すると共に成長結晶を囲う
壁面に、上記の離間材を含浸させ得る多数の凹部を設け
て構成することができる。特に、請求項23記載のよう
に、多数の空孔を凹部として内部に有する多孔質体から
成る構成では、例えば、この多孔質体の原料粉粒体から
焼結にて所定の容器に形成する際に壁面に凹部が自然発
生的に形成され、凹部を設けるための加工を別途必要と
しないので、より安価に作製することができる。なお、
このような多孔質体は、半導体結晶などの製造では、請
求項24記載のように黒鉛材料を用いて作製するのが純度
等の点で好適である。
【0034】また、上記のような多孔質体で原料収納容
器を構成する場合には、請求項25記載のように、壁面に
おける外方の面に、液体状になった離間材の流出を阻止
する被覆層を設けることによって、壁面の内外を貫通す
るような空孔に含浸させた離間材が外方へと流出するこ
とが阻止されて、内面側に滲み出る量が確保される。こ
れによって、成長結晶の外周面を液体状の離間材でより
確実に覆った状態として冷却することができるので、さ
らに結晶欠陥の発生が低減される。
【0035】上記の被覆層は、例えば請求項26記載のよ
うに、熱分解黒鉛及びパイロリティック・ボロンナイト
ライドの少なくとも一種を用いて形成することができ
る。なお、成長結晶を原料収納容器壁面との接触がない
状態で冷却するさらに他の方法として、回転引き上げ法
により単結晶を成長させ、その後、成長結晶の一端側か
ら他端側に温度勾配を設けて冷却する方法を採用するこ
とも可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕次に、本発明の一実施形態について図1
〜図3を参照して説明する。図2は垂直ブリッジマン法
に基づく単結晶製造装置の構成図で、この装置は、炉体
としての高圧容器1と、この高圧容器1内に配設された
上部閉塞状の断熱構造体2と、この断熱構造体2の内部
に配置された集合ヒータ(加熱手段)3と、この集合ヒ
ータ3の内部に配置されたチャンバー4とを備えてい
る。
【0037】高圧容器1は、円筒状本体5とその上部及
び下部開口に各々着脱自在に装着された上蓋6及び下蓋
7とから構成されている。上蓋6には、アルゴンガス等
の不活性ガスを高圧容器1内に加圧注入し、また排出す
るためのガス供給排出路8が設けられている。前記集合
ヒータ3は、円筒状の複数のヒータエレメント9…が上
下方向に並設されたもので、各ヒータエレメント9…
は、各段部に設けられた温度検出器(図示せず)での検
出温度が各々の設定温度に維持されるように通電電力が
制御される。
【0038】前記の下蓋7には、その中心箇所に、高圧
シール部材11を介して気密かつ回転自在に、ルツボ移動
手段としてのルツボ支持軸12が立設されている。このル
ツボ支持軸12上に、この支持軸12と一体的に回転および
昇降するルツボ支持台13が載置され、このルツボ支持台
13上に、後述するルツボ20が載置されている。上記のル
ツボ支持軸12内には、このルツボ支持軸12を貫通してル
ツボ支持台13内に延びる押し上げ軸(押し上げ部材)14
が、シールリング15を介して気密かつ上下方向摺動自在
に付設されている。
【0039】一方、前記チャンバー4内における下部側
には、下蓋7上に取付けられたリザーバ支持台16上に、
Zn蒸気を発生させるためのリザーバ17が設置されてい
る。リザーバ17内にはZnが収容されている。このZnを集
合ヒータ3の最下段のヒータエレメント9により所定の
温度に加熱することによって、その加熱温度での平衡蒸
気圧に等しいZn蒸気が発生される。
【0040】チャンバー4の下端側には、このチャンバ
ー4の内外圧力を均等にするための均圧通路18が形成さ
れている。このような均圧通路18は図示のようにチャン
バー4の下部側壁に細孔を開設してもよく、また、下蓋
7との間に小さな間隙を設けることによって構成するこ
ともできる。原料収納容器としての前記ルツボ20は、P-
BN等の高純度耐熱材で形成されている。このルツボ20
は、図1(a) に示すように、ルツボ支持台13のテーパ孔
に嵌合する逆円錐台形状のコーン部20aより上側の原料
収納部20bも、全体が上方ほど径大となるテーパ状に形
成されている。また、コーン部20aの下側に種結晶21が
挿入される細管部20cが形成され、この細管部20cは上
記同様のテーパ状で、かつ、下端開口状に形成されてい
る。そして、この細管部20c内に、前記の押し上げ軸14
の上端側をやや挿入させた状態で、ルツボ20がルツボ支
持台13上に載置されるようになっている。
【0041】なお、上記の細管部20c内に挿入される種
結晶21には、その下端部にP-BNよりなる種結晶ホルダー
22が取付けられる。この種結晶ホルダー22を細管部20c
の内面に密着するようにすり合わせ状態で装着すること
で、細管部20cの下端開口が塞がれるようになってい
る。一方、ルツボ20の上方にはルツボ固定具23が設けら
れている。後述するように、ルツボ20内で単結晶の成長
を終えた後に押し上げ軸14を上昇させる操作が行われる
が、このとき、ルツボ20はルツボ固定具23により上昇移
動が阻止され、これにより、種結晶ホルダー22と種結晶
21、およびその上に成長した結晶25とがルツボ20内で上
方に移動し、これらがルツボ20の内壁面から離間するよ
うになっている。
【0042】次に、上記装置を用いて行ったZnSe単結晶
製造時の具体的な操作手順とその結果の一例について説
明する。まず、ルツボ20の細管部20c内に、前記した種
結晶ホルダー22を取付けた種結晶21を挿入し、次いで、
ルツボ20内に6NグレードZnSe多結晶を175g充填して、図
2に示すように装置内にセットした。なお、ルツボ20の
具体的な数値を例示すれば、原料収納部20bにおける上
部直径35mm、下部直径25mm、長さ100mm であり、また、
細管部20cの直径約2mm、長さ40mmであって、この細管
部20cに長さ30mmの種結晶21を挿入した。
【0043】その後、高圧不活性ガス雰囲気下で、集合
ヒータ3のヒータエレメント9…により、細管部20cの
温度勾配を10℃/cmとして、ルツボ20内の原料を約1530
℃に加熱すると同時に、Znリザーバ17を1000℃まで昇温
し、ルツボ20内にZnSe原料の融液24を形成した。不活性
ガスとしてはアルゴンガスを使用した。ZnSe融液の解離
防止には、ZnSe融液と平衡するZn圧を前記リザーバ17か
ら発生・印加することで充分効果があり、不活性ガス圧
は、ZnSe融液の解離防止に直接関与するものではない。
したがって、この不活性ガスの圧力は、原料融液の加熱
温度における高解離圧成分の解離圧よりも若干高い圧力
に設定される。かかる圧力に設定することにより、高解
離圧成分の蒸気は、細径の均圧通路18を介して拡散的に
挙動するに止まる。原料融液24における平衡蒸気圧に等
しいZn圧をリザーバ17で発生させることにより、本質的
に原料融液組成の経時変化が抑制される。
【0044】その後、ルツボ支持軸12を下降させること
によって、2mm/hの速度でルツボ20の全体を下降し、原
料の結晶化が終了したところで、押し上げ軸14を5mm上
昇させた。これにより、種結晶21とその上に成長した結
晶25とは、図1(a) に示すルツボ20の内面に密着した状
態から押し上げられ、同図(b) に示すように、種結晶21
および結晶25はルツボ20内面から離れた状態となって、
押し上げ軸14上に保持される。
【0045】この状態で保持したまま、ルツボ支持軸12
を再度下降させることにより、ルツボ20全体を5mm/hで
下降させて相転移温度領域を通過させた。相転移温度領
域は、図3に示すZnSeの昇降温時の示差熱の測定結果か
ら、1409℃±5℃としている。このときの温度勾配は10
℃/cmである。得られた成長結晶25は、ルツボ20のコー
ン部20aに対応する部分に双晶境界を3箇所含んでいた
が、残部は単結晶であり、(400)回折の半値幅が24
arcsecと高品質のものであった。また、比抵抗は0.2 Ω
・cmと低抵抗であり、発光素子用エピタキシャル成長基
板として好適なものであった。
【0046】〔比較例1〕図2に示した製造装置を用
い、原料の結晶化が終了した後の押し上げ軸14を上昇さ
せる操作を除いて、実施形態1と同様の操作手順にて結
晶成長を行った。したがって、本比較例では、成長結晶
がルツボ20の内面に密着した状態で、相転移温度領域を
通過し冷却されたことになる。
【0047】この比較例で得られた結晶は、結晶全長に
わたりラメラ状の密な双晶を含むZnSe単結晶であり、デ
バイス作製用基板としては使用に耐えないものであっ
た。 〔実施形態2〕次に、垂直温度勾配法により単結晶成長
を行ったときの実施形態について説明する。
【0048】これは、前記実施形態1の装置を用い、こ
の実施形態1で説明した操作の中で、ルツボ20をルツボ
支持軸12の操作で下降させ降温させた操作に代えて、集
合ヒータ3における分割された各ヒータエレメント9…
の制御により昇降温操作を行ったものである。すなわ
ち、実施形態1と同様の原料を溶融させた後、ヒータエ
レメント9…への供給電力を制御して、ルツボ20底部か
ら上部に向かって3mm/hの速度で1520℃の融点等温線を
移動させて、ZnSe結晶を成長させた。
【0049】原料の結晶化が終了したところで、前記実
施形態1と同様に、押し上げ軸14を5mm上昇させ、結晶
25がルツボ20から離れて保持された状態とした。その
後、さらにヒータエレメント9への供給電力を制御し
て、ルツボ20底部から上部に向かって5mm/hの速度で相
転移温度領域を通過させた。このときの温度勾配は10℃
/cmであった。
【0050】得られた結晶25は、ルツボ20のコーン部20
aに対応する部分に双晶境界を3箇所含んでいたが、残
部は単結晶であり、(400)回折の半値幅が22arcsec
と高品質のものであった。また、比抵抗は0.2 Ω・cmと
低抵抗であり、発光素子用エピタキシャル成長基板とし
て好適なものであった。
【0051】〔実施形態3〕次に、結晶成長操作は実施
形態1と同様であるが、結晶成長中にルツボ内壁面に液
体を介在させ、結晶押し上げ時にこれを潤滑材として利
用する実施形態について、図4を参照して説明する。な
お、前記実施形態1で説明した図面と同一の機能を有す
る部材には同一の番号を付記して、詳細な説明を省略す
る。後述するさらに他の実施形態においても同様とす
る。
【0052】この実施形態では、図4(a) に示す形状の
ルツボ20を使用した。このルツボ20におけるコーン部20
aより下側には、前記実施形態1と同様に、種結晶21が
挿入される細管部20cが形成され、この細管部20cは、
押し上げ軸14が下側から挿入されるように、下端開口状
に形成されている。そして、コーン部20aより上側の原
料収納部20bは、下側から順次、融液保持部20d、拡径
部20e、径大部20fとして互いに径を異ならせて形成さ
れている。
【0053】このルツボ20の使用に当たっては、原料融
解時における融液の液面高さが、融液保持部20dと拡径
部20eとの境目のやや下側に位置するように、原料充填
量が設定される。したがって、原料融液からの単結晶25
の形成は、同図に示すように、上記融液保持部20d内で
生じることになる。この融液保持部20dは、前記同様
に、上方ほど径大となるテーパ状に形成されている。そ
して、この融液保持部20dの上方に、テーパ角を大きく
した形状の前記拡径部20eが設けられ、この拡径部20e
の上端に、融液保持部20dに対し段差状に径を大きくし
た径大部20fが連設されている。なお、具体的な寸法を
例示すれば、融液保持部20dにおける下部直径26mm、上
部直径30mm、長さ50mmであり、また、径大部20fの径は
36mm、長さ70mmである。
【0054】上記形状のルツボ20に、実施形態1と同様
に種結晶21の装着を行った後、ルツボ20内に6NのZnSe原
料175gと、後述する離間材26として機能する酸化ホウ素
2gとを充填した。そして、実施形態1で用いた成長装置
内に上記のルツボ20をセットし、実施形態1と同様に細
管部20cの温度勾配を10℃/cmとして原料収納部20bを
1530℃まで加熱し、原料を融解した。またこのとき、前
記Znのリザーバ17を1000℃まで同時に昇温した。
【0055】その後、前記ルツボ支持軸12を操作して2
mm/hrの速度でルツボ20を下降し、原料融液を種結晶21
に接する下側から固化させ結晶化させた。このとき、原
料と共に充填していた酸化ホウ素も加熱昇温の過程で液
体状になり、離間材26として機能する。すなわち、この
液体状の離間材26はルツボ20の内面に沿って介在し、し
たがって、ルツボ20内面との接触が断たれた状態で原料
融液から単結晶が成長する。この結果、結晶成長終了時
にも、図4(a) に示すように、成長結晶25全体が液体状
の離間材26で覆われ、ルツボ20との接触が断たれた状態
で融液保持部20d内に保持される。
【0056】上記のように原料融液からの結晶化を終了
した後、押し上げ軸14を50mm上昇させた。これにより、
成長結晶25は、同図(b) に示すように、ルツボ20内で融
液保持部20dから径大部20fへと押し上げられ、この結
果、成長結晶25はルツボ20の壁面から完全に離れた状態
となって押し上げ軸14上に保持される。この状態で、前
記実施形態1と同様に、ルツボ支持軸12を再度下降させ
ることにより、ルツボ20全体を5mm/hで下降させて相転
移温度領域を通過させ、室温付近まで降温させて、成長
結晶25を取り出した。
【0057】得られた結晶は全く双晶を含まず、(40
0)回折の半値幅が41arcsecと高品質のものであった。
また、比抵抗は0.8Ω・cmと低抵抗であり、発光素子用
エピタキシャル成長基板として好適なものであった。以
上のように、本実施形態では、上部側を成長結晶25の径
より充分に径大としたルツボ20を使用し、かつ、液体状
の離間材26をルツボ20の内面に沿って介在させた状態で
結晶成長を行い、続いて、成長結晶25の押し上げ操作を
行う。これにより、前記実施形態1に比べ、さらに高品
質の単結晶を得ることが可能となっている。
【0058】つまり、ルツボ材質によっては、結晶成長
時に成長結晶とルツボとが部分的に固着した状態となり
易く、特にZnSeの場合には融液の固化時に結晶が膨張す
るため、成長結晶はルツボ内面に押し付けられた状態と
なって、上記のような固着が生じ易い。この状態で成長
結晶の押し上げ操作を行うと、固着箇所で結晶表面に微
小なクラックが生じること、また、応力による転移の集
中からポリゴン化を起こすことなどによって、結晶方位
のずれを生じる境界の起点となり、また、双晶の核発生
の起点となる。この結果、前記のような離間材26を介在
させずに結晶成長を行い、続けて成長結晶を押し上げる
だけでは、結晶を貫く双晶や多結晶の境界を一部に含む
結晶が生じる場合も認められた。
【0059】そこで、本実施形態では、成長結晶25がル
ツボ20と固着したり、押し上げの際に成長結晶25がルツ
ボ壁から応力を受けるのを抑制するために、まず、押し
上げ状態で成長結晶が完全に離れた状態となるようなル
ツボ形状を採用し、さらに、ルツボや原料融液と非反応
性で、かつ加熱により液体状になる物質(酸化ホウ素)
を離間材26としてルツボ20内に介在させる。
【0060】このように離間材26が介在することでルツ
ボ20の内径よりも径がわずかに小さい結晶が成長し、固
着の発生が抑制される。さらに、成長結晶25を押し上げ
る際には、上記の離間材26がルツボ壁と結晶との間の潤
滑材としても機能し、結晶はルツボ壁から応力を受ける
ことなく押し上げられる。この結果、結晶欠陥がさらに
低減された高品質の単結晶を得ることが可能となってい
る。
【0061】また、半導体材料であるZnSeなどの結晶に
おいては1×1017/cm3 程度の不純物がその電気的特性
を支配する。このため、ルツボや雰囲気を介しての不純
物の混入を抑制して結晶を極めて高純度にするととも
に、目的とするドーパント濃度を精密に制御する必要が
ある。このときに、焼結助材を用いたセラミック系の材
料をルツボとして用いた場合、助材が不純物として結晶
に取り込まれる場合がある。このような観点でも、前記
のように結晶成長中は全体を液体状の離間材26で覆い、
その後もルツボ20との接触を断った状態で成長結晶の降
温操作を行うことで、電気的特性に優れ、高歩留りの単
結晶を得ることが可能ともなっている。
【0062】上記の離間材26としては、前述の酸化ホウ
素の他、例えば酸化珪素、或いは酸化ホウ素と酸化珪素
との混合物ガラスを使用することができる。なお、上記
の液体状の離間材26は、成長結晶25の押し上げ操作が行
われるときに、ルツボ20の下端開口を通して流下する。
そこで、本実施形態では、図4(b)に示すように、押し
上げ軸14に回収容器61をさらに取付けている。この回収
容器61内に、押し上げ軸14に沿って流下した離間材26が
回収される。
【0063】したがって、上記押し上げ軸14も、離間材
26との非反応性の点、さらに、成長結晶に対する汚染の
点から、ルツボ20や前記種結晶ホルダー22と同様に、P-
BNで作製されていることが望ましい。このように、成長
結晶25の押し上げ後は、ルツボ20内に離間材26は残ら
ず、このため、この離間材26が降温過程で固化してもこ
れはルツボ20内で生じる訳ではないので、熱膨張係数の
差からルツボ内面が剥離するなどの不具合が発生するこ
ともない。同様に、押し上げられた成長結晶25の表面に
も離間材26は残らないので、この成長結晶25において
も、冷却の過程で上記のような熱膨張係数の差に起因す
るクラック等が発生することはない。したがって、これ
によっても、より欠陥の低減された単結晶を製造するこ
とが可能となっている。
【0064】〔実施形態4〕次に、結晶成長終了後に結
晶の表面層を局部的に融解させ、その後、結晶を押し上
げて冷却させる実施形態について図5を参照して説明す
る。この実施形態では、同図に示すように、ルツボ支持
軸12上に載置されるルツボ支持台13が、前記実施形態3
で用いたものと同様のルツボ20の全体を内部に収容し得
るように、ルツボ20の長さよりも長い筒状に形成されて
いる。このルツボ支持台13はカーボン製であり、その上
端開口には、前記ルツボ固定具として機能する着脱可能
な蓋体23が取付けられている。
【0065】そして、前記高圧容器1内における下部側
に、前述した集合ヒータ3とは別に、第1副加熱ヒータ
(局所加熱手段)62が配置されている。本実施形態にお
いても、上記のルツボ20を下降させることによって結晶
成長が行われるが、この結晶成長終了時におけるルツボ
20の高さ位置に対応する箇所に、上記の第1副加熱ヒー
タ62が設けられている。このヒータ62は、ルツボ20にお
ける融液保持部20d内で成長した成長結晶25に対し、そ
の高さ方向のほぼ全体にわたって表面側から均一に加熱
し得る高さ寸法で形成されている。
【0066】本実施形態におけるZnSe単結晶製造時の具
体的な操作手順とその結果の一例について説明すると、
まず、上記のルツボ20の細管部20cに、実施形態1と同
様に種結晶21の装着を行った後、ルツボ20内に6NのZnSe
原料175gと酸化ホウ素2gとを充填し、実施形態1で用い
た成長装置内に上記のルツボ20をセットした。その後、
実施形態1と同様に細管部20cの温度勾配を10℃/cmと
して原料を1530℃まで加熱し融解した。またこのとき、
前記Znのリザーバ17を1000℃まで同時に昇温した。
【0067】次いで、2mm/hrの速度でルツボ20を下降
し、原料融液からの結晶成長を行った。この操作によっ
て、原料融液全体の結晶化を終了させた後、図5に示す
ように、ルツボ20内の成長結晶25が第1副加熱ヒータ62
とほぼ同一高さとなるようにルツボ20を位置させ、この
状態で、第1副加熱ヒータ62に通電して成長結晶25の表
面をおよそ1530℃で1分間加熱し、この結晶25の表面を
融解させた。
【0068】次いで、上記の加熱終了とほぼ同時に押し
上げ軸14を50mm上昇させ、成長結晶25を融液保持部20d
内からその上方の径大部20fへと押し上げて保持した。
この状態で、前記実施形態1と同様に、ルツボ支持軸12
を再度操作してルツボ20全体を5mm/hで下降させ、相転
移温度領域を通過させて室温付近まで降温させた。
【0069】得られた結晶は全く双晶を含まず、(40
0)回折の半値幅が46arcsecと高品質のものであった。
また、比抵抗は2.0Ω・cmと低抵抗であり、発光素子用
エピタキシャル成長基板として好適なものであった。以
上のように、本実施形態においては、結晶成長終了後、
成長結晶を押し上げる前に、成長結晶25の表面層のみを
再度融解させる操作を行う。これにより、結晶25の径は
やや小さくなり、また、融液が結晶とルツボ20との間に
介在することによって、これが潤滑材としての役割を果
たすことになる。この結果、結晶25は、ルツボ壁から応
力を受けることなく押し上げられるので、結晶欠陥の低
減された高品質の単結晶を得ることが可能になる。
【0070】このように、成長結晶25の表面層のみを融
解させる場合、上記実施形態のように、この加熱のため
の専用のヒータ62を設け、これによって結晶表面を融点
(1520℃)以上に加熱し、それ以外の前述した集合ヒー
タ3の各ヒータエレメント9…は融点以下の加熱温度と
しておくことで、成長結晶25を融解させ過ぎることが抑
制され、成長結晶25の表面層のみの融解をより確実に行
うことができる。
【0071】なお、表面で融解した融液は押し上げ軸14
付近に垂れ込んでいき、軸を取り巻くように直ちに固化
するが、その量は微量であるため、押し上げは問題なく
完了する。また、下方に垂れて固化する融液は押し上げ
られる結晶25とは離れてしまうために、結晶の品質に影
響を及ぼすこともない。 〔実施形態5〕次に、成長結晶をルツボ内で押し上げた
後に結晶表面を局部的に融解させ、その後、冷却する実
施形態について図6を参照して説明する。
【0072】この実施形態では、同図に示すように、前
記実施形態4で用いたのと同様のルツボ20およびルツボ
支持台13を使用し、また、結晶成長終了時におけるルツ
ボ20の高さ位置に対応する箇所、さらに詳細には、ルツ
ボ20における融液保持部20dに対応する箇所に、前記同
様の第1副加熱ヒータ62が設けられている。そして、本
実施形態では、このヒータ62の上方に隣接させて、さら
に局所加熱手段としての第2副加熱ヒータ63が設けら
れ、このヒータ63によって、ルツボ20における前記した
径大部20eの領域を加熱し得るように構成されている。
【0073】一方、ルツボ支持軸12内には、この支持軸
12内で上下動可能な水冷シャフト64が冷却手段としてさ
らに設けられ、この水冷シャフト64の中心穴に、前記押
し上げ軸14の下端側が上方から嵌挿され支持されてい
る。水冷シャフト64には、嵌挿された押し上げ軸14の下
端側を囲う形状で冷却水流路65が内部に形成され、この
流路65に冷却水を循環させることによって、押し上げ軸
14の下端側を強制的に冷却し得るようになっている。
【0074】本実施形態でのZnSe単結晶製造時の具体的
な操作手順とその結果の一例について説明する。まず、
上記のルツボ20に、実施形態1と同様に種結晶21の装着
を行った後、ルツボ20内に6NのZnSe原料175gと酸化ホウ
素2gとを充填し、実施形態1で用いた成長装置内に上記
のルツボ20をセットし、実施形態1と同様に細管部20c
の温度勾配を10℃/cmとして原料を1530℃まで加熱し融
解すると共に、前記Znのリザーバ17を1000℃まで同時に
昇温した。
【0075】その後、2mm/hrの速度でルツボ20を下降
し、原料融液からの結晶成長を行った。そして、原料融
液の結晶化が終了した時点で、図6に示すように、ルツ
ボ20を第1・第2副加熱ヒータ62・63とほぼ同一の高さ
位置に位置させ、この状態で、まず押し上げ軸を50mm上
昇させ、成長結晶25をルツボ20内における融液保持部20
dからその上方の径大部20fへと押し上げて保持した。
【0076】次いで、第2副加熱ヒータ63に通電してお
よそ1530℃で1分間加熱し、成長結晶25の表面を融解さ
せた。このとき同時に、前記水冷シャフト64の冷却水流
路65に100cc/min で冷却水を循環させ、押し上げ軸14の
下端側を冷却する操作を行った。その後、前記実施形態
1と同様に、ルツボ20全体を5mm/hで下降させて相転移
温度領域を通過させ、室温付近まで降温させて、成長結
晶25を取り出した。
【0077】得られた結晶は全く双晶を含まず、(40
0)回折の半値幅が30arcsecと高品質のものであった。
また、比抵抗は2.0Ω・cmと低抵抗であり、発光素子用
エピタキシャル成長基板として好適なものであった。以
上のように、本実施形態においては、成長結晶25の押し
上げ操作を行った後、この成長結晶25の表面層を融解さ
せ、その後、相転移温度領域を通過させ室温付近まで降
温させる。このような操作によれば、成長結晶25の押し
上げ操作前、或いは押し上げ中にルツボ20との接触で結
晶表面にダメージを受けた箇所が発生しても、これが融
解されて除去されるので核発生等が抑制され、結晶欠陥
の低減された良質の単結晶を得ることができる。なお、
この場合も、融解した結晶の一部は下方に垂れて固化す
るものの、成長した結晶とは離れてしまうために、結晶
の品質に影響を及ぼすことはない。
【0078】上記のように成長結晶25の表面層のみを融
解させる場合、結晶の外周部ほど温度が高くなるように
結晶径方向の温度分布が必要とされる。このような温度
分布は、ルツボ20を収納するルツボ支持台13などの形状
や材質を上記温度分布に合わせて設計する他、ルツボ20
の外周側から加熱するヒータ63と共に、成長結晶25の中
心部より強制的に抜熱する構成とすることで、より確実
に実現することができる。
【0079】すなわち上記では、成長結晶25と一体化し
た種結晶21の下端部に接する押し上げ軸14を、水冷シャ
フト64により強制的に冷却する。これにより、成長結晶
25はその表面側から加熱され、しかも、中心軸付近から
は抜熱される状態となっているので、上記した温度分布
をより正確に形成することが可能となる。したがって、
結晶の表面層のみの融解をより確実に行うことができ
る。
【0080】なお、上記では、結晶の押し上げ操作後に
加熱する例を説明したが、さらに押し上げ前に第1副加
熱ヒータ62へ通電し、この時点でも前記実施形態4と同
様に成長結晶25の表面層を融解させる操作を併用するこ
とも可能である。これによって、結晶欠陥の発生をさら
に確実に低減することができる。一方、前記した成長結
晶の中心部下端からの抜熱と、前記集合ヒータ3におけ
る下部側のヒータエレメント9への通電による加熱とを
組み合わせて、成長結晶の表面層を融解させる操作を行
うようにすることも可能である。
【0081】〔実施形態6〕次に、本発明のさらに他の
実施形態について図7〜図10を参照して説明する。前記
の各実施形態では、厚さ寸法が上下にわたってほぼ一様
なルツボ20を原料収納容器として用いたが、本実施形態
では、図7に示すように、外周形状を特殊に加工した原
料収納容器40を用いた。
【0082】この原料収納容器40もp-BNなどの高純度耐
熱材料で作製され、内部には、上端面に開口して下方に
テーパ状に延びる原料収納空間としての原料収納部40a
と、逆円錐台形状のコーン部40bと、細管部40cとが上
方から順次形成されている。これらは、前記実施形態1
でのルツボ20とほぼ同一形状で形成されているもので、
例えば、原料収納部40aは上部直径が35mm・下部直径が
25mm・長さが100mm であり、また、細管部40cの直径は
約2.5mm ・長さ40mmである。なお、細管部40cの下側に
は、この細管部40cよりも径大な締結穴40dが形成さ
れ、この締結穴40dの内面には雌ネジが形成されてい
る。
【0083】一方、原料収納容器40における外周形状
は、上下方向の中間部分が断面円形の径大部40eとして
形成される一方、上部側にこの径大部40eよりも小径の
径小部40fが設けられて段差状に形成されている。な
お、径大部40eの下側は、下方ほど径小となるテーパ状
に形成されている。そして、上記の原料収納容器40は、
略中心位置を上下に貫通する分割面Cで左右に分離可能
な分割容器(分割部品)40L・40Rを相互に組み付ける
ことによって構成されている。
【0084】上記形状の原料収納容器40は、図8に示す
ように、前記実施形態1とほぼ同様の構成を有する単結
晶製造装置内にセットされる。但し、この装置において
は、実施形態1の装置で押上げ軸14が内部に嵌挿された
ルツボ支持軸12(図2参照)に替えて、下蓋7を貫通し
て上下駆動される容器支持軸41が設けられている。この
容器支持軸41上に原料収納容器40が載置される。さら
に、下蓋7上に、容器支持軸41を囲繞して上方に延びる
筒状の容器支持部材42が設けられている。
【0085】容器支持軸41の上端面には、図9に示すよ
うに、ネジ状の固定具43が植設され、この固定具43が原
料収納容器40の前記締結穴40dに螺合される。これによ
って、容器支持軸41が図の位置から下降される場合で
も、原料収納容器40は容器支持軸41から離れずに一体的
に下降する。一方、前記の容器支持部材42の上端部に
は、内方突出形状の支持部42aが所定の厚さ寸法で設け
られ、この支持部42aに、原料収納容器40における前記
径大部40eの径とほぼ同等の貫通穴が形成されている。
この貫通穴を通して上記径大部40eが位置する組立状態
とすることにより、分割容器40L・40Rは、相互に離間
する左右方向への移動阻止され、相互組み付け状態で保
持されるようになっている(以下、この状態を容器セッ
ト状態という)。
【0086】なお、前記の容器支持軸41における上端面
は、固定具43回りの中心部領域のみで原料収納容器40下
面に当接してこの容器40を支持するように、外周に向か
って下り傾斜するテーパ状に形成されている。これによ
り、各分割容器40L・40Rの重心位置が、上記の当接領
域よりも外側に位置するように構成されている。このた
め、後述するように、容器支持部材42の支持部42aによ
る分割容器40L・40Rの拘束状態がなくなると、これら
各分割容器40L・40Rは左右に開く方向に倒れることに
なる。すなわち、水平方向外側への変位が下方への変位
を伴いながら生じるようになっている。
【0087】次に、上記構成の原料収納容器40を用い
て、ZnSe単結晶の製造を行ったときの具体的な操作手順
とその結果の一例について説明する。まず、図8に示し
た製造装置における下蓋7を容器支持軸41と共に下降さ
せ、高圧容器1の下側で、容器支持軸41上に原料収納容
器40を前記の容器セット状態として組立て、その後、細
管部40cに種結晶を挿入し、次いで、6NグレードのZnSe
多結晶を170g充填した。次いで、下蓋7を上昇させ、高
圧容器1を密閉状とした。
【0088】その後、前記実施形態1と同様に、高圧不
活性ガス雰囲気下で、集合ヒータ3により、細管部40c
の温度勾配を10℃/cmとして原料収納容器40内の原料を
約1530℃に加熱すると同時に、Znリザーバ17を1000℃ま
で昇温し、原料収納容器40内にZnSe原料融液を形成し
た。次いで、容器支持軸41を下降させることによって、
2mm/hの速度で原料収納容器40の全体を下降し、原料融
液から単結晶を成長させた。なお、この間、容器支持部
材42の支持部42aは、原料収納容器40の径大部40eにお
ける下部側から上部側へと相対的に移動するものの、径
大部40eが支持部42aに嵌合した状態で維持され、これ
により、原料収納容器40は前記容器セット状態で保持さ
れている。
【0089】そして、原料融液からの結晶化終了後、さ
らに容器支持軸41の下降を継続すると、図10に示すよう
に、容器支持部材42の支持部42aは、原料収納容器40の
径大部40eから径小部40fへと相対的に移動する。この
移動の途中で支持部42aが径小部40fにさしかかると、
分割容器40L・40Rは外周側の支えを失い、それぞれ、
径小部40fの外周面が支持部42a内面に当接するまで左
右方向に倒れて、これら分割容器40L・40Rは相互組み
付け状態から、お互いに離間した分割状態に変化する。
【0090】この結果、成長結晶25は原料収納容器40内
面との非接触状態となり、成長結晶25は固定具43上に種
結晶21と共に直立状態で保持される。この状態で、容器
支持軸41をさらに5mm/hで下降させ、前記の相転移温度
領域1409±5℃を通過させた。このときの温度勾配は10
℃/cmである。得られた成長結晶は、コーン部40bにあ
たる箇所に双晶境界を3箇所程度含んでいたが、残部は
単結晶であり、(400)回折の半値幅が24arcsecと高
品質のものであった。また、比抵抗は0.2 Ω・cmと低抵
抗であり、発光素子用エピタキシャル成長基板として好
適なものであった。
【0091】以上の説明のように、本実施形態において
は、分割容器40L・40Rを相互に組み付けて構成される
原料収納容器40を用い、結晶成長後に分割容器40L・40
Rを分割して成長結晶25と原料収納容器40とを非接触状
態とし、相転移点温度領域を通過させる冷却を行う。こ
れによって、双晶欠陥の低減された良質の単結晶を得る
ことが可能となっている。
【0092】また、上記では、結晶成長完了後、分割容
器40L・40Rに相互組み付け状態から分割状態へと略水
平方向の変位を生じさせる分割手段の機能を、原料収納
容器40を上下動するための容器支持軸41に兼用させた構
成となっている。このため、分割容器40L・40Rを略水
平方向に変位させて分割するための専用の駆動機構や駆
動源を別途必要としないので、全体の構造がより簡素な
ものとなっている。
【0093】なお、上記の実施形態では、炉内で原料収
納容器40を下降させ、原料融液の温度を下側から降温さ
せることによって単結晶の成長を行う垂直ブリッジマン
法に基づく単結晶成長例を挙げたが、実施形態2と同様
に、垂直温度勾配法に基づく操作で結晶成長を行うよう
にすることも可能である。すなわち、結晶成長の間は原
料収納容器40を静止状態で保持すると共に、炉内温度分
布を徐々に降温させる制御操作で、原料融液から単結晶
を成長させる。その後、容器支持軸41を下降させて分割
容器40L・40Rを分割し、この状態で相転移温度領域を
通過させる冷却を行うことによって、この場合も、双晶
欠陥の低減された良質の単結晶を得ることができる。
【0094】一方、図11(a) には、上記した原料収納容
器40の変形例を示している。この原料収納容器40におけ
る上部外周面40hは、前記の径小部40fに替えて、上方
ほど径小となるテーパ状に加工されている。このような
形状により、同図(b) に示すように、結晶成長後の原料
収納容器40の下降動作に伴い、分割容器40L・40Rの倒
れは徐々に生じることになる。この結果、分割容器40L
・40Rの倒れによるショックなどで成長結晶25に損傷を
与えることが防止される。
【0095】図12(a) には、原料収納容器40のさらに他
の変形例を示している。この原料収納容器40は、原料収
納部40a・コーン部40bの形成領域を左右の分割容器40
L・40Rとして前記同様に構成する一方、細管部40cと
締結穴40dとが設けられる底部側を上記の左右の分割容
器40L・40Rからさらに分割して底部容器40Bとしたも
のである。
【0096】このような構成によれば、同図(b) に示す
ように、結晶成長後の原料収納容器40の下降動作に伴っ
て分割容器40L・40Rに倒れが生じるときも、種結晶21
は底部容器40Bにおける細管部40cへの嵌入状態で保持
される。このため、この種結晶21の部分は底部容器40B
の内壁に接触した状態のままになるが、このように種結
晶21が支持されていることによって、その上の成長結晶
25は、左右の分割容器40L・40Rと一緒に倒れることが
防止され、直立状態で確実に保持される。
【0097】なお、前記の実施形態6では、原料収納容
器40における特に原料収納部40aを囲う部分を左右に二
分割し、これによって全体的な構造をより簡素なものと
なし得る例を示したが、三分割、四分割などのさらに多
分割構成とすることも可能である。もっとも、分割数が
増すほど、加工の難しさ、加工にかかるコストの増加な
どが考えられ、また、内面の加工精度も結晶成長に適し
たものを得ることが難しくなる。
【0098】また、上記の実施形態では、原料収納容器
40を容器支持軸41上に固定するためにネジ状の固定具43
を設けたが、容器支持軸41上との原料収納容器40の一体
的な下降動作が自重により確保できる場合には、上記の
ような固定具43を設けずに構成することも可能である。
さらに上記では、容器支持軸41の下降中に伴って分割容
器40L・40Rに自重による倒れが生じ、これによって、
分割容器40L・40Rに略水平方向外側に変位する動作が
生じるように構成したが、例えば、各分割容器40L・40
Rを水平方向外側へと変位させるための専用の機構を装
置に内蔵させる等のその他の構成とすることも可能であ
る。
【0099】〔実施形態7〕次に、垂直ブリッジマン法
による結晶成長操作は前記実施形態1と同様であるが、
結晶成長後の降温をルツボ内壁面に非反応性の液体物質
を介在させた状態で行う実施形態について、図13を参照
して説明する。この実施形態では、同図に示すように、
細管部20cの下端部が閉じた形状となっている以外は、
前記実施形態1で用いたものとほぼ同様のルツボ20を原
料収納容器として使用し、このルツボ20内への種結晶21
の装着を実施形態1と同様に行った後、ルツボ20内に、
6NのZnSe原料175gと共に、酸化ホウ素2gを充填した。
【0100】その後、実施形態1で用いた成長装置(図
2参照)内に上記のルツボ20をセットし、前記の押し上
げ軸14の操作を行わないこと以外は、実施形態1と同様
の操作で、垂直ブリッジマン法による結晶成長を行っ
た。すなわち、まず、細管部20cの温度勾配を10℃/cm
として、原料部を約1530℃まで、Znリザーバ17を1000℃
まで同時に昇温し、原料を融解した後、2mm/hの速度で
ルツボ20を下降し、原料の結晶化が終了したところで、
さらに、ルツボ20を5mm/hで下降させた。
【0101】このとき、図10に示すように、成長結晶25
とルツボ20との間には液体状になった酸化ホウ素が離間
材26として介在し、これによって、結晶25の外周面とル
ツボ20の内面との固体接触状態が断たれている。この状
態で相転移温度領域を通過させた。このときの温度勾配
は10℃/cmであった。得られた結晶25は、ルツボ20のコ
ーン部20aに対応する部分に双晶境界を3箇所含んでい
たが、残部は単結晶であり、(400)回折の半値幅が
31arcsecと高品質のものであった。また、比抵抗は0.08
Ω・cmと低抵抗であり、発光素子用エピタキシャル成長
基板として好適なものであった。
【0102】以上のように、本実施形態においては、前
述の実施形態4と同様に、成長結晶25の相転移温度領域
で液体で、かつ、成長結晶25およびルツボ20に対して非
反応性の物質から成る離間材26を、成長結晶25とルツボ
20との間に介在させて結晶成長が行われる。そして本実
施形態では、さらに、上記の離間材26が成長結晶25とル
ツボ20内面との間に介在した状態で、相転移温度領域を
通過させ冷却させる。このようにルツボ20との接触から
開放された状態で相転移温度領域を通過させることによ
っても、前記の各実施形態と同様に、双晶欠陥等の発生
が抑制され、良質の単結晶を得ることが可能である。
【0103】なお、この場合も、結晶および原料収納容
器に対して非反応性の物質から成る離間材26としては、
上記のように化合物単結晶であるZnSe結晶を製造すると
き、ZnSeの相転移温度1409±5℃で充分粘度の小さいガ
ラスである酸化ホウ素(B2O3)が好適である。 〔実施形態8〕次に、離間材26を介在させて成長結晶を
降温させる点は前記実施形態7と同様であるものの、こ
のような離間材26の使用に好適な原料収納容器を用いて
行った実施形態について説明する。
【0104】図14に、本実施形態で使用した原料収納容
器としてのルツボ50を示している。このルツボ50は、下
端側の細管部50c、およびその上方のコーン部50a・原
料収納部50bの壁面全体が、内部に多数の微細な空孔51
…を有する多孔質体で形成されている。ZnSeの単結晶を
製造する場合には、ZnSeの融点1520℃でも安定な黒鉛材
料を用いて、例えばカサ密度1.77、気孔率(空孔の割
合)18%程度の多孔質体として形成されている。
【0105】このルツボ50に、前述した酸化ホウ素から
成る離間材を含浸させる処理を、含浸用HIP装置(図
示せず)を用いて行った。上記の空孔51…には、内外面
に開口せずに壁面内で閉塞した閉空孔51a…と、内外面
に開口した開空孔51b…とが混在する。HIP装置は、
一般にはガス圧力と温度とによって欠陥の除去や粉末焼
結等に用いられる装置であるが、このHIP装置を用い
てガス圧力により液体状となった酸化ホウ素を含浸させ
た。すなわち、図15に示すように、壁面の内外面に開口
する凹部としての開空孔51b…に離間材26としての酸化
ホウ素を侵入させ保持させた。なお、このような処理で
含浸ができたかどうかは処理前後の重量変化で求め、本
例では12%程度の重量増加が認められた。
【0106】その後、CVD装置を用いて、図16に示す
ように、ルツボ50の外面にパイロリティック・ボロンナ
イトライド(p-BN)を約20μmコーティングし、被覆層52
を形成した。上記のように作製したルツボ50内に、種結
晶およびZnSe原料(6Nグレード多結晶)約180gを充填し
た。なお、本実施形態では、前記のように壁面に含浸さ
せた離間材26とは別に、さらにルツボ50内にも酸化ホウ
素(B2O3)を約5g添加し、このルツボ50を、図17(a) に示
す単結晶製造装置のルツボ支持軸12上に直立状態で保持
させた。
【0107】上記の単結晶製造装置は、前記実施形態1
で使用した装置(図2参照)とほぼ同様に、高圧垂直ブ
リッジマン炉として構成されているものであるが、各ヒ
ータエレメント9…間、および各ヒータエレメント9…
の外側に、それぞれ断熱材53…がさらに付設されてい
る。これにより、炉内での熱対流や熱輻射による各ヒー
タエレメント9…間の相互干渉が抑えられ、個々のヒー
タエレメント9…による独立した温度制御性が向上し
て、炉内に同図(b) に示すような温度分布を精度良く形
成し得るようになっている。
【0108】上記装置内を高圧不活性ガス雰囲気とした
状態で、種結晶21の部分の温度勾配を10℃/cmとし、ル
ツボ50内のZnSe原料を約1530℃に加熱してZnSe原料融液
24を形成した。このとき、Znリザーバ17の部分は、前記
同様に約1000℃に加熱し、強制的にZn蒸気を発生させ
た。
【0109】その後、ルツボ50を2mm/hで下降させて結
晶を成長させ、全ての原料融液24の結晶化を終了した
後、ルツボ50を5mm/hでさらに下降させて、相転移点温
度領域(1409±5℃)を通過させた。得られた結晶は、
ルツボ50のコーン部50aに対応する部分に双晶境界を2
箇所含んでいたものの、残部は単結晶であり、(40
0)回折の半値幅が24arcsecと高品質なものであった。
【0110】以上のように本実施形態においては、離間
材26を予め含浸させたルツボ50を用いて単結晶の成長操
作を行う。この場合、ルツボ50の壁面に含浸されていた
離間材26は、原料の加熱溶解時における昇温の過程で液
体状態となり、壁面から滲み出ることになる。これによ
って、結晶成長後の冷却時には、図18に示すように、離
間材26が成長結晶25とルツボ50との間に充分に回り込ん
だ状態が得られ、この状態で成長結晶25が冷却されるの
で、品質がより優れた単結晶を製造することが可能とな
る。
【0111】つまり、前記実施形態7では、ルツボ20へ
のZnSe原料の充填時にこのルツボ20に添加した酸化ホウ
素のみで、成長結晶25をルツボ20の壁面から離間させる
もので、この場合、昇温の過程で酸化ホウ素(融点約 5
80℃)が液体状になり、その後にZnSe原料が溶解する
が、この時点では、酸化ホウ素の大半は、比重差によっ
て原料融液の液面上に浮いた状態となる。したがって、
原料融液から成長させた結晶25とルツボ20内面との間に
介在する離間材26は、原料が溶解するまでの間ににルツ
ボ20内面に接し、その後もルツボ20との濡れ性によって
壁面への付着状態で保持されている酸化ホウ素である。
【0112】しかしながら、このようにルツボ20との濡
れ性による保持力だけでは、壁面に沿う離間材26の層は
結晶成長後の冷却時までに局部的に介在しなくなる状態
も生じ易い。このため、この方法で得られた成長結晶に
は、コーン部20aに対応する肩部の他に、その上方の胴
部にも双晶領域が認められるケースもあり、この場合
に、この双晶領域が見られる箇所には、酸化ホウ素が回
り込んでいないと思われるような表面性状が認められ
た。
【0113】そこで、本実施形態では、壁面全体にわた
って多数の微細な凹部を有するルツボ50を使用し、この
ルツボ50に離間材26を予め含浸させておくことにより、
加熱によって液体状になった離間材26を凹部内に保持
し、そして、徐々に滲み出るような構造としている。こ
れにより、成長結晶25の周囲を液体状の離間材26で万遍
なく覆った状態を冷却時までより確実に維持することが
可能となり、この結果、成長結晶25の全体をルツボ50の
壁面から離間させた状態として相転移温度領域を通過さ
せ冷却することができるので、双晶欠陥導入密度がさら
に低減された高品質な結晶を得ることが可能となってい
る。
【0114】なお上記のようなルツボ50は、内面に微細
な溝加工を施すこと等によっても構成できるが、本実施
形態のように、例えば黒鉛粉粒体を所定の容器形状に焼
結にて形成した多孔質体を用いれば、壁面に凹部が自然
発生的に形成され、凹部を設けるための加工を別途必要
としないので、より安価に作製することができる。この
場合の多孔質体は、上記実施形態で例示した黒鉛材料の
他、成長させる単結晶材料に応じて、例えばセラミック
スの焼結体、金属鋳造品、セラミックスファイバ成形体
などによっても作製することが可能である。
【0115】一方、上記のような多孔質体から成るルツ
ボ50を用いる場合に、本実施形態では、その外表面に被
覆層52を設けていることにより、壁面の内外を貫通する
ような開空孔51b…に含浸された離間材26がルツボ50外
へと流出することが防止される。この結果、ルツボ50の
内面側へと滲み出る離間材26の量の低下が抑えられ、成
長結晶25全体を液体状の離間材26で覆う状態をさらに確
実に得ることができる。このような被覆層52を形成する
材料としては、上記実施形態で例示したパイロリティッ
ク・ボロンナイトライド(p-BN)の他、例えば熱分解黒鉛
や、両者の混合物等を用いることが可能であり、成長結
晶25やルツボ50、離間材26との反応性や、コーティング
にかかる費用等から判断してその材質を選定すれば良
い。
【0116】なお本実施形態では、ルツボ50に含浸させ
た離間材26の他に、ルツボ50内にも原料充填時に酸化ホ
ウ素を添加して結晶成長操作を行ったが、これは必ずし
も必要ではない。もっとも、このように両者を併用する
ことにより、ルツボ50内面からの成長結晶25の離間状態
をさらに確実なものとすることができる。また上記で
は、酸化ホウ素の含浸を、含浸効率、温度、形状の制限
などの点からHIP装置によるガス圧含浸法にて行った
例を示したが、その他、例えば真空含浸、加圧含浸、CV
D などの方法で行うことも可能である。
【0117】〔実施形態9〕次に、回転引上げ法で単結
晶の製造を行った実施形態について図19を参照して説明
する。まず、本実施形態で用いた装置構成について説明
すると、この装置では、上蓋6上に回転引上げ機構31が
設けられ、この回転引上げ機構31には、図示しない冷却
水流路を備えた回転引上げ軸32が垂下状に取付けられて
いる。この回転引上げ軸32は、上蓋6の貫通部位で高圧
シール部材33により回転かつ昇降自在に支持され、さら
に断熱構造体2とチャンバー4とを順次貫通する長さ寸
法で形成されている。この回転引上げ軸32の下端部に種
結晶21が取付けられる。
【0118】なお、チャンバー4における回転引上げ軸
32の貫通部には、液体シール部34が設けられている。一
方、本装置では、ルツボ支持軸12を貫通する押し上げ軸
14(図2参照)は設けられておらず、また、ルツボ支持
台13上に載置されるルツボ20としては、前記実施形態1
で説明した細管部20cのないカップ状のものが使用され
る。
【0119】上記の高圧式回転引上げ装置を用いて行っ
た単結晶製造の具体的な操作手順とその結果について説
明する。まず、ルツボ20中に6NグレードZnSe多結晶を50
0g充填し、高圧不活性ガス雰囲気下で、集合ヒータ3の
ヒータエレメント9…により、ルツボ20内の原料を約15
30℃に加熱すると同時に、Znリザーバ17を1000℃まで昇
温し、ZnSe原料融液24を形成した。
【0120】次に、回転引上げ軸32の下端に固定された
直径2mmの立方晶<111>種結晶21をゆっくり下降さ
せ、融液界面手前で5分間保持したのち、さらに10RPM
で回転しつつ下降し、融液24に接触させた。次いで、通
常の回転引き上げ法と同様に、結晶25の直径を制御する
ため、ルツボ20の温度を1520±3 ℃の範囲で調整しなが
ら、1mm/hで結晶成長を行った。このとき、融液上部の
温度勾配は10℃/cmであり、成長後の結晶は前記の相転
移温度領域以上の温度に保たれている。
【0121】その後、結晶25を融液24から切離して成長
を終了したのに引き続き、温度勾配10℃/cmを保って、
結晶25を5mm/hの速度で引上げることにより、相転移温
度領域を通過させ冷却した。得られたZnSe結晶は、直胴
部直径30mm、長さ55mmのサイズであり、透明淡黄色の外
観であった。結晶の成長方位は<111>で、種結晶と
一致しており、また、結晶外周部をNaOH溶液エッチング
して外観を観察したが、双晶境界は結晶肩部の極く一部
を除き見られなかった。
【0122】さらに、インゴットを切断、研磨加工した
(100)面のウエハ試料のX線ロッキングカーブを測
定したところ、(400)回折での半値幅は、30arcsec
であり、良好な結晶性を持つことが判明した。また、固
化率10%、50%、90%の部分の結晶の電気特性を評価し
たところ、比抵抗が10-1Ω・cm台の低抵抗結晶であり、
抵抗率のばらつきは±10%以内と高い均質性を有するこ
とが判明した。
【0123】種結晶として用いた立方晶<111>結晶
は、種付け時には高温相の六方晶に相転移しているはず
であるが、立方晶(111)面は、六方晶(0001)
面に対応し、その面内での原子配列が等しいため、成長
結晶も種結晶の結晶方位を反映したものになるものと考
えられる。 〔比較例2〕図19に示した成長装置を用い、結晶成長後
の降温操作のみを実施形態9とは異ならせ、他の操作は
実施形態9と同様にして結晶成長を行った。
【0124】すなわち、この比較例では、結晶を成長さ
せて融液から切離した後、引き上げ後の結晶の全体を均
熱部に置き、1450℃から、成長結晶の全体をほぼ一様な
温度状態として、相転移温度領域を通過させ、1380℃と
なるまで100 ℃/時間の速度で降温させた。得られた結
晶は、ラメラ状の密な双晶を含むZnSe単結晶であり、デ
バイス作製用基板としては使用に耐えないものであっ
た。
【0125】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、成長
結晶を原料収納容器の壁面との接触がない状態として、
成長結晶の一端側から他端側に温度勾配を設けて相転移
温度を通過させ冷却するので、原料収納容器との接触点
で生じる不均一核発生が抑制され、かつ、相転移領域が
一定方向に拡大し、これによって、双晶欠陥が低減され
た良質の単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施形態での単結晶製造時の
操作を説明するもので、同図(a) は結晶成長終了直後の
状態を示す要部断面模式図、同図(b) はその後の冷却過
程での操作を示す要部断面模式図である。
【図2】上記実施形態で用いた単結晶製造装置の構成を
示す縦断面模式図である。
【図3】ZnSeにおける昇降温時の示差熱の測定結果を示
すグラフである。
【図4】本発明の他の実施形態での単結晶製造時の操作
を説明するもので、同図(a) は結晶成長終了直後の状態
を示す要部断面模式図、同図(b) はその後の冷却過程で
の操作を示す要部断面模式図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態における結晶成長
後の再加熱時の構成を示す要部縦断面模式図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態における結晶成長
後の再加熱時の構成を示す要部縦断面模式図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態における分割型の
原料収納容器を示す斜視図である。
【図8】上記分割型の原料収納容器をセットした単結晶
製造装置の構成を示す縦断面模式図である。
【図9】容器支持軸上に固定された上記分割型原料収納
容器を示す断面図である。
【図10】上記分割型原料収納容器を用いた単結晶成長
後の冷却過程での状態を示す要部断面図である。
【図11】上記分割型原料収納容器の変形例を示すもの
であって、同図(a) は要部正面図、同図(b) は単結晶成
長後の冷却過程での状態を示す要部断面図である。
【図12】上記分割型原料収納容器のさらに他の変形例
を示すものであって、同図(a) は要部正面図、同図(b)
は単結晶成長後の冷却過程での状態を示す要部断面図で
ある。
【図13】本発明のさらに他の実施形態における単結晶
成長後の冷却過程での状態を示す要部断面模式図であ
る。
【図14】本発明のさらに他の実施形態で使用した多孔
質材料製のルツボを示す断面模式図である。
【図15】上記多孔質材料製ルツボに所定の物質を含浸
させた状態を示す断面模式図である。
【図16】上記多孔質材料製ルツボの外面に被覆層を形
成した状態を示す断面模式図である。
【図17】上記多孔質材料製ルツボをセットした単結晶
製造装置の構成を示す縦断面模式図である。
【図18】上記多孔質材料製ルツボを用いた単結晶成長
後の冷却過程での状態を示す要部断面図である。
【図19】本発明のさらに他の実施形態での単結晶製造
装置の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 高圧容器(炉体) 3 集合ヒータ(加熱手段) 12 ルツボ支持軸(ルツボ移動手段) 14 押し上げ軸(押し上げ部材) 20 ルツボ(原料収納容器) 20d 融液保持部 20e 拡径部 21 種結晶 24 原料融液 25 成長結晶 26 離間材 40 原料収納容器 40a 原料収納部(原料収納空間) 40L・40R 分割容器(分割部品) 41 容器支持軸(分割手段) C 分割面 50 ルツボ(原料収納容器) 51b 開空孔(凹部) 52 被覆層 62 第1副加熱ヒータ(局所加熱手段) 63 第2副加熱ヒータ(局所加熱手段) 64 水冷シャフト(冷却手段)
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01S 3/18 H01S 3/18 (72)発明者 上原 一浩 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 大元 誠一郎 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料収納容器内で単結晶を成長させた
    後、成長結晶を上記原料収納容器の壁面との接触がない
    状態として、成長結晶の一端側から他端側に温度勾配を
    設けて相転移温度領域を通過させ冷却することを特徴と
    する単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 原料がZnSeであることを特徴とする請求
    項1記載の単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 通過させるべき相転移温度領域が1409±
    5℃であることを特徴とする請求項2記載の単結晶の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 原料収納容器内で単結晶を成長させた
    後、成長結晶を原料収納容器に対して相対的に押し上げ
    る押し上げ操作を行って原料収納容器の壁面から離間さ
    せ、その後、相転移温度領域を通過させ冷却することを
    特徴とする請求項1、2又は3記載の単結晶の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 相転移温度領域を超える温度で液体でか
    つ成長結晶に対して非反応性の物質から成る離間材を原
    料収納容器の内面に沿って介在させた状態で、結晶成長
    操作と成長結晶の押し上げ操作とを行うことを特徴とす
    る請求項4記載の単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 原料がZnSeであり、かつ上記離間材とし
    て酸化ホウ素及び酸化珪素の少なくとも一種を用いるこ
    とを特徴とする請求項5記載の単結晶の製造方法。
  7. 【請求項7】 結晶成長終了後、成長結晶の表面を再度
    融点近傍温度まで加熱して表面層を融解させた状態で、
    成長結晶の押し上げ操作を行うことを特徴とする請求項
    4、5又は6記載の単結晶の製造方法。
  8. 【請求項8】 成長結晶の押し上げ操作を行った後、成
    長結晶の表面を再度融点近傍温度まで加熱して表面層を
    融解させ、次いで、相転移温度領域を通過させ冷却する
    ことを特徴とする請求項4、5、6又は7記載の単結晶
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 原料収納容器としてのルツボが内部に配
    置される炉体内に、結晶成長のための所定の温度分布を
    形成する加熱手段が設けられ、上記ルツボ内で原料を融
    解させてルツボ内における下部側に保持した融液を上下
    方向一端側から凝固させて単結晶を成長させる縦型の単
    結晶製造装置において、 上記ルツボの下端部に貫通開口が形成されると共に、こ
    の貫通開口を通して下側から挿入されることによりルツ
    ボ内の成長結晶を押し上げる押し上げ部材が設けられ、
    かつ、上記ルツボは、結晶成長前の融液を保持する融液
    保持部よりも上方壁面の内径が、融液保持部よりも径大
    に形成されていることを特徴とする単結晶製造装置。
  10. 【請求項10】 上記ルツボが上方ほど径大なテーパ状
    に形成されていることを特徴とする請求項9記載の単結
    晶製造装置。
  11. 【請求項11】 上記ルツボにおける融液保持部が上方
    ほど径大なテーパ状に形成されると共に、この融液保持
    部の上方に、融液保持部よりも径大な上部側壁面が段差
    状の拡径部を介して連設されていることを特徴とする請
    求項9記載の単結晶製造装置。
  12. 【請求項12】 上記炉体内に、加熱手段により形成さ
    れた所定の温度分布領域を通過させてこのルツボ内に単
    結晶を成長させるべくルツボを移動させるルツボ移動手
    段が設けられ、かつ、結晶成長終了後のルツボの位置に
    対応させて、このルツボ内の成長結晶の表面を融解させ
    るための局所加熱手段が設けられていることを特徴とす
    る請求項9、10又は11記載の単結晶製造装置。
  13. 【請求項13】 成長結晶の表面融解のための加熱時に
    結晶中心下部に接する押し上げ部材の下端側を冷却する
    冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項9〜
    12のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  14. 【請求項14】 上記ルツボおよび押し上げ部材がパイ
    ロリティック・ボロンナイトライドから成ることを特徴
    とする請求項9〜13のいずれかに記載の単結晶製造装
    置。
  15. 【請求項15】 分割可能な原料収納容器を設け、この
    原料収納容器内で原料融液から単結晶を成長させた後、
    原料収納容器を分割することにより原料収納容器の壁面
    から成長結晶を離間させ、その後、相転移温度領域を通
    過させ冷却することを特徴とする請求項1、2又は3記
    載の単結晶の製造方法。
  16. 【請求項16】 原料収納容器内に形成された上下方向
    に延びる原料収納空間内で、原料融液を上下方向の一端
    側から凝固させ単結晶を成長させる縦型の単結晶製造装
    置において、 原料収納容器が上記原料収納空間を囲う複数の分割部品
    を設けて成ると共に、 結晶成長後にこれら分割部品を相互組み付け状態から略
    水平方向外側に各々変位させて成長結晶の外周面から離
    間させる分割手段が設けられていることを特徴とする単
    結晶製造装置。
  17. 【請求項17】 上記原料収納容器が、断面略円形の原
    料収納空間の中心を上下に貫通する分割面で二分割され
    た分割部品を設けて成ることを特徴とする請求項16記
    載の単結晶製造装置。
  18. 【請求項18】 原料収納容器内で単結晶を成長させた
    後、成長結晶の相転移温度領域で液体でかつ成長結晶に
    対して非反応性の物質から成る離間材を、相転移温度領
    域の通過時に原料収納容器の壁面と成長結晶との間に介
    在させた状態で、成長結晶の冷却を行うことを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載の単結晶の製造方法。
  19. 【請求項19】 原料がZnSeであり、かつ上記離間材と
    して酸化ホウ素を用いることを特徴とする請求項18記
    載の単結晶の製造方法。
  20. 【請求項20】 原料収納容器への原料充填時に上記の
    離間材を原料収納容器内に添加しておくことを特徴とす
    る請求項18又は19記載の単結晶の製造方法。
  21. 【請求項21】 液体状になった上記離間材が壁面から
    滲み出るように形成した原料収納容器を用いて、単結晶
    の成長と成長結晶の冷却とを行うことを特徴とする請求
    項18、19又は20記載の単結晶の製造方法。
  22. 【請求項22】 原料を溶解した融液から単結晶を成長
    させる際に用いられる原料収納容器であって、 原料および融液を保持すると共に成長結晶を囲う壁面
    に、成長結晶の相転移温度領域で液体でかつ結晶に対し
    て非反応性の物質から成る離間材を含浸させ得る多数の
    凹部が設けられていることを特徴とする原料収納容器。
  23. 【請求項23】 上記壁面が多数の空孔を凹部として内
    部に有する多孔質体から成っていることを特徴とする請
    求項22記載の原料収納容器。
  24. 【請求項24】 上記多孔質体が黒鉛材料から成ってい
    ることを特徴とする請求項23記載の原料収納容器。
  25. 【請求項25】 上記壁面における外方の面に液体状に
    なった離間材の流出を阻止する被覆層が設けられている
    ことを特徴とする請求項23又は24記載の原料収納容
    器。
  26. 【請求項26】 上記被覆層が、熱分解黒鉛及びパイロ
    リティック・ボロンナイトライドの少なくとも一種から
    成ることを特徴とする請求項25記載の原料収納容器。
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