JP3254329B2 - 化合物単結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

化合物単結晶の製造方法及び製造装置

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JP3254329B2
JP3254329B2 JP12145694A JP12145694A JP3254329B2 JP 3254329 B2 JP3254329 B2 JP 3254329B2 JP 12145694 A JP12145694 A JP 12145694A JP 12145694 A JP12145694 A JP 12145694A JP 3254329 B2 JP3254329 B2 JP 3254329B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ZnSe、InPなど
の化合物単結晶の製造方法及びその実施に適した製造装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】発光ダイオードや半導体レーザー等の発
光デバイスの製作に必要なエピタキシャル成長基板とし
て、デバイスの種類に応じてZnSe,CdTe,Zn
SなどのII−VI族化合物やInP,GaP,GaAsな
どのIII−V族化合物等の単結晶基板が用いられる。
【0003】このような化合物単結晶の製造法として、
液体封止チョコラルスキー法(LEC法)、水平ブリッ
ジマン法(HB法)、垂直温度勾配下固化法(VGF
法)及び垂直ブリッジマン法(VB法)等の種々の方法
が提案されているが、VGF法及びVB法は比較的大形
で、転位の少ない良質の単結晶を製造することができる
ので、工業的な製造方法として大きな期待が寄せられて
いる。
【0004】前記VGF法は、チャンバー内にリング状
のヒータエレメントが上下方向に多数段並設された集合
ヒータを設け、該集合ヒータ内に気密容器を設け、該気
密容器の内部に原料が収容されたルツボを配置し、前記
ヒータエレメントを制御して上方から下方に渡り高温か
ら化合物の融点を挟んで低温に推移する温度分布を形成
し、温度分布内の融点温度域を下方から上方へ移動さ
せ、気密容器に収容されたルツボの下端部に収容された
種結晶から原料融液を順次固化成長させて単結晶を得る
方法である。
【0005】前記VB法は、複数段のヒータエレメント
を制御して温度分布を上下方向に形成する点は叙上のV
GF法と同様であるが、気密容器を温度分布の融点温度
域を通過するように上方から下方に移動させることによ
り、気密容器内のルツボの下端部に収容された種結晶か
ら原料融液を順次固化成長させて単結晶を得る方法であ
る。
【0006】前記VGF法であれ、VB法であれ、原料
融液から高解離圧成分の蒸発による成分の変動を防止す
るため、該高解離圧成分を気密容器に予め封入してお
き、該高解離圧成分を加熱蒸発させて原料融液の高解離
圧成分の解離圧と平衡する蒸気圧を発生させ、結晶の成
長過程において気密容器内を高解離圧成分ガス雰囲気と
されるのが通例であるが、気密容器内外の圧力差により
種々の障害が生じる。
【0007】このため、特開平4−77383号に開示
されているように、不活性ガスが高圧充填された高圧容
器内に気密容器(気密チャンバー)を収容し、気密容器
内外の圧力差を緩和するため、該気密容器に均圧用の圧
力緩衝通路(均圧通路)が設けられる。原料として、II
−VI族化合物、III−V族化合物もしくはこれらを主成
分とする化合物を用いる場合、これらの化合物の高解離
圧成分のガスが加圧用不活性ガスよりも分子量が大きい
ため、同公報第(4) 頁左下欄第13行目から右下欄第2
行目に開示されているように、前記圧力緩衝通路は高解
離圧成分ガスを容器内に滞留させると共に不活性ガスを
優先的に容器外に排出させるため、気密容器の上部に設
けられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、気密容
器の上部では容器内のガスは高温状態にあり、高運動エ
ネルギーを有するため、高解離圧成分ガスが圧力緩衝通
路から抜け出やすい。従って、ガスの流出を防止するた
め、前記公報(5) 頁右下欄第18行目〜(6) 頁左上欄第
7行目及び第2図に記載されているように、圧力緩衝通
路は複雑なラビリンス構造の蛇行通路とされる。
【0009】また、前記公報(4) 頁右上欄第3〜7行目
及び同頁右下欄第13〜15行目に記載されているよう
に、平衡状態に達するまでの過程で高解離圧成分のガス
が前記圧力緩衝通路から気密容器外へ排出される。この
排出された高解離圧成分ガスは高温であるため、気密容
器の周りに設けられた集合ヒータの下方の低温側ヒータ
エレメント及びその給電電極の周り一面に付着する。ま
た、製造装置を繰り返し使用するに従って、高解離圧成
分の付着層は成長する。通常、高解離圧成分は導体乃至
半導体であることが多いため、高解離圧成分の付着及び
付着層の成長により、ヒータへの供給電力が変動し、こ
れに伴って加熱温度が不安定になり、著しい場合は付着
層を介してヒータ電極が短絡した状態になり、操業が不
能になる。
【0010】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、ヒータへの高解離圧成分の付着を防止することがで
き、また気密容器の均圧通路が簡単な構造でも、気密容
器から原料の高解離圧成分のガスが流出し難い、VGF
法やVB法による化合物単結晶の製造方法及びその好適
な製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の化合物単結晶の
製造方法は、高圧容器内にヒータエレメントが上下方向
に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ内
にチャンバーの内外に連通する均圧通路を有する気密チ
ャンバーを設け、該気密チャンバー内に化合物原料を収
容するルツボを配置し、前記ヒータエレメントにより上
方から下方に渡り化合物の融点を挟んで高温から低温に
推移する温度分布を形成し、気密チャンバー内に設けた
原料の高解離圧成分を蒸発用ヒータエレメントにより加
熱してルツボ内の原料融液の高解離圧成分の解離圧と平
衡する蒸気圧を気密チャンバー内に発生させ、高解離圧
成分の蒸気を含んだ高圧ガス雰囲気下で前記温度分布の
融点温度域をルツボの下方から上方へ相対移動させるこ
とによりルツボ内の原料融液を下方から冷却固化して単
結晶を成長させる化合物単結晶の製造方法において、前
記均圧通路を前記蒸発用ヒータエレメントの下方に形成
し、前記蒸発用ヒータエレメントの加熱温度を他のヒー
タエレメントの加熱温度の内の最低温度以下として高解
離圧成分を加熱蒸発する。
【0012】高解離圧成分の蒸発用ヒータエレメントに
よる加熱蒸発に際しては、ルツボ内の原料の全部が固化
結晶した後においても、原料化合物の高解離圧成分を蒸
発用ヒータエレメントにより加熱蒸発させ、得られた結
晶の高解離圧成分の解離圧以上の蒸気圧を発生させて冷
却するのがよい。また、VB法を実施するには、気密チ
ャンバーの内部を上下方向に昇降する昇降ロッドを設
け、該昇降ロッドの上部にルツボを支持し、該昇降ロッ
ドを移動させることにより温度分布の融点温度域をルツ
ボの下方から上方へ移動させるとよい。
【0013】一方、本発明の化合物単結晶の製造装置
は、高圧容器内にヒータエレメントが上下方向に複数段
列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ内にチャン
バーの内外に連通する均圧通路を有する気密チャンバー
を設け、該気密チャンバー内に化合物原料を収容するル
ツボ及び該ルツボの下方に原料化合物の高解離圧成分を
収容したリザーバが配置され、前記高解離圧成分を加熱
蒸発させるための蒸発用ヒータエレメントが設けられ、
前記ヒータエレメントにより形成された上方から下方に
渡り化合物の融点を挟んで高温から低温に推移する温度
分布の融点温度域をルツボに対して下方から上方へ相対
移動させることによりルツボ内の原料融液を下方より冷
却固化して単結晶を成長させる化合物単結晶製造装置に
おいて、前記均圧通路が前記蒸発用ヒータエレメントの
下方に形成されている。
【0014】この装置において、均圧通路を高解離圧成
分の融点以下の温度域に設けるとよい。また、気密チャ
ンバーの内部にリザーバから蒸発した高解離圧成分の蒸
気が下方に流動するのを抑制するための蒸気流動抑制手
段をリザーバと均圧通路との間に付設するとよい。ま
た、高圧容器を胴部筒体と、該胴部筒体の上下開口部を
密閉する上蓋及び下蓋とを備えた構造とし、前記気密チ
ャンバーが下蓋に付設され、前記下蓋は胴部筒体に上下
方向から着脱自在に装着されるようにするのがよい。ま
た、気密チャンバーは分割組立て自在に構成するのがよ
い。一方、VB法として用いる場合は、気密チャンバー
の内部に上下方向に昇降する昇降ロッドを設け、該昇降
ロッドの上部に前記ルツボを支持するとよい。尚、集合
ヒータの最下段ヒータエレメントを蒸発用ヒータエレメ
ントとして用いることができる。
【0015】
【作用】気密チャンバーの内外に連通する均圧通路が蒸
発用ヒータエレメントの下方に形成されており、しかも
蒸発用ヒータエレメントの加熱温度が他のヒータエレメ
ントの加熱温度の内の最低温度以下とされているので、
たとえ蒸発用ヒータエレメントの加熱により蒸発した高
解離圧成分の蒸気が前記均圧通路から気密チャンバーの
外へ流出しても、流出の際に蒸気が冷却され、蒸気の温
度は総てのヒータエレメントの加熱温度未満となるた
め、蒸発用ヒータエレメントや集合ヒータのヒータエレ
メントに凝結付着するおそれがない。この際、均圧通路
を高解離圧成分の融点以下の温度域に設けることによ
り、高解離圧成分の蒸気は均圧通路に至るまでの間に気
密チャンバーの内壁の凝結付着するようになるため、気
密チャンバー外にほとんど流出しない。このため、均圧
通路は単に加圧用の不活性ガスが流通すればよく、複雑
なラビリンス構造に形成する必要がなく、簡単な構造に
することができる。更に、蒸気流動抑制手段を高解離圧
成分を収容したリザーバと均圧通路との間に付設するこ
とにより、リザーバから発生した高解離圧成分の蒸気が
均圧通路から流出するのをほぼ阻止することができると
共に該蒸気を気密チャンバー内に閉じ込めることがで
き、高解離圧成分を有効に使用することができる。
【0016】高解離圧成分の蒸発用ヒータエレメントに
よる加熱蒸発に際しては、ルツボ内の原料の全部が固化
結晶した後においても、原料化合物の高解離圧成分を蒸
発用ヒータエレメントにより加熱蒸発させ、得られた結
晶の高解離圧成分の解離圧以上の蒸気圧を発生させて冷
却することにより、高温域の冷却中に生じる単結晶の成
分変動を防止することができる。尚、この場合、高解離
圧成分の加熱は、該成分の融点までの温度範囲で十分で
ある。
【0017】また、気密チャンバーの内部を上下方向に
昇降する昇降ロッドを設け、該昇降ロッドの上部にルツ
ボを支持し、該昇降ロッドを移動させることにより温度
分布の融点温度域をルツボの下方から上方へ移動させる
ことにより、VB法を容易に実施することができる。こ
の場合、気密チャンバー内でルツボを移動することがで
きるので、気密チャンバー内ではその外部に比して温度
分布の安定性に優れるため、より高品質の単結晶を成長
させることができる。
【0018】また、高圧容器を胴部筒体と、該胴部筒体
の上下開口部を密閉する上蓋及び下蓋とを備えた構造と
し、前記気密チャンバーを下蓋に付設し、前記下蓋を胴
部筒体に上下方向から着脱自在に装着可能な構成とする
ことで、下蓋を胴部筒体の下方に引き出すことにより、
気密チャンバーを下蓋と共に容易に高圧容器外に取り出
すことができ、引いては気密チャンバーからのルツボの
取り出しが容易になる。また、気密チャンバーの高圧容
器内への設置も容易に行うことができる。また、気密チ
ャンバーを分割組立て自在に構成することにより、気密
チャンバー内外へのルツボの取り出し、設置を容易に行
うことができる。
【0019】
【実施例】実施例にかかる化合物単結晶製造装置を図1
に示す。本実施例は、VGF法による製造装置の例であ
る。この装置は高圧容器1と、該高圧容器1内に配設さ
れた断熱構造体8と、該断熱構造体8の内部に配置され
た集合ヒータ15を備えた加熱装置16と、前記集合ヒ
ータ15の内部に配置された気密チャンバー32と、該
気密チャンバー32内に設置された結晶成長用のルツボ
38を備えている。前記気密チャンバー32はルツボ3
8が存在する温度域のガス雰囲気を調整するためのもの
である。
【0020】高圧容器1は円筒形状の胴部円筒体2と、
該胴部円筒体2の上下開口部にシールリングを介して着
脱自在に嵌着される上蓋3及びヒータ支持リング5と、
該ヒータ支持リング5の開口部に着脱自在に装着される
下蓋6とで構成されている。前記上蓋3にはアルゴンガ
ス等の不活性ガスを高圧容器1内に加圧注入し、また排
出するためのガス供給排出孔7が開設されている。尚、
高圧容器1は上蓋3及び下蓋6からの上下方向の外力を
担持するためのフレームに収容される。
【0021】前記高圧容器1の内側には、上部が閉塞さ
れた円筒状の断熱構造体8が配設されており、該断熱構
造体8は外側から金属製の外筒9、カーボンフェルトや
酸化物系のセラミックス繊維等の断熱材からなる中間層
10、黒鉛製の内筒11とから構成されている。外筒9
の下端には固定リング12が固着され、該固定リング1
2が図示省略した支持部材を介して前記ヒータ支持リン
グ5上に設置されている。断熱構造体8には高圧ガス雰
囲気下での運転時に発生する高温ガスの上向きの流れに
起因する過度の放熱を効率よく抑制することが要求され
る。この要求を実現するには、断熱構造体8には金属材
等で形成された気密性に優れた層を備えることが望まし
く、本実施例では前記外筒9がこの役目を果たしてい
る。
【0022】尚、気密性に優れた層は、なるべく最内側
に配置することが望ましいが、最内側では耐熱性に優れ
ることも必要であり、この点を考慮すると使用可能な材
料は例えばグラッシーカーボンやタングステンなどの高
融点金属に制限される。これらは非常に高価であり、ま
た寸法的に十分なものが入手し難いので、本実施例では
内筒を黒鉛材で形成した。通常の黒鉛は気孔率が10〜
20%の多孔質であるので、パイロリティックグラフア
イトなどのコーティングにより封孔処理を施しておくこ
とが望ましい。
【0023】前記断熱構造体8の内側には、本実施例で
は円筒状のヒータエレメント14、14Aが上下方向に
6段並設された集合ヒータ15を備えた加熱装置16が
付設されている。前記ヒータエレメント14、14Aの
各々は、集合ヒータ15の外周部に立設されたリード電
極17に連結部材18を介して連結され支持されると共
に給電される。各リード電極17の下端には金属電極1
9が付設され、該金属電極19は絶縁碍子20を介して
前記固定リング12に支持されている。一方、前記金属
電極19は可撓性給電帯21を介してヒータ電源リード
スルー22に接続されている。該リードスルー22は上
部を露出させた状態で絶縁体を介してヒータ支持リング
5に装着されており、ブスバー23を介して装置外の電
源装置に接続される。
【0024】一方、集合ヒータ15と気密チャンバー3
2との間には、各段部の温度を検出するための温度検出
器26が各段のヒータエレメント14、14Aに対応し
て配設されている。該温度検出器26は、熱電対と、2
本の熱電対素線が互いに接触しないように夫々細孔に収
容保持する絶縁管と、前記熱電対及び絶縁管を収容保持
する保護管とで構成され、該保護管はその下端部が前記
固定リング12に支持されている。温度検出器26はヒ
ータ支持リングに装着された測温リードスルー27及び
測温リード線28を介して本装置外の温度制御装置に接
続されている。
【0025】前記ヒータエレメント14、14Aの材料
としては、黒鉛やC/Cコンポジットなどの炭素系の材
料が加工や抵抗値の調整の容易さの点で優れるため好適
である。勿論、温度域によっては炭化ケイ素や、モリブ
デン、タングステン等の高融点金属抵抗材を用いること
もできる。一方、前記リード電極17および連結部材1
8は電気抵抗値が低く、かつ高温雰囲気下で軟化、変形
しない材料であれば使用可能であり、好ましい材料とし
ては黒鉛を例示することができる。
【0026】前記気密チャンバー32は、上部が閉塞さ
れた円筒体からなる高温部33、円筒状の中間部34及
び下部固定部35から構成されており、各部は適宜の耐
熱シール材を介して分割組み立て自在に気密に嵌合連結
されている。下部固定部35は下蓋6に固定され、その
側面部にはチャンバー内外の圧力を均等にするための均
圧通路36が形成されている。該均圧通路36は図例の
ような細孔を開設してもよく、また下蓋6の上面との間
に小さな間隙を設けてもよい。前記高温部33は、耐熱
性及び気密性を有し、またルツボ38内の原料にコンタ
ミネーションが生成しないような材料により形成され
る。単結晶を製造するには、ルツボ38内の原料を融点
以上に加熱し、溶融状態にする必要があり、例えばZn
Seでは1520℃以上、ZnSでは1830℃以上に
加熱する必要がある。このように、高温部33が150
0℃以上に加熱される場合、高温部33を形成すること
ができる好適な材料として、PBN、パイロリティック
グラファイト、グラッシーカーボン、パイロリティック
グラファイトにより気密コーティングした黒鉛、モリブ
デンやタンタルなどの高融点金属又はその合金を例示す
ることができる。尚、気密チャンバー32を溶接可能な
材料で形成する場合、溶接により一体的に製作してもよ
い。
【0027】前記気密チャンバー32の内部には、下端
部にキャピラリー部39が形成されたルツボ38が配置
されている。該ルツボ38はルツボ支持台43に載置さ
れ、該ルツボ支持台43は下蓋6に設置された台座46
の上端凹部に嵌合保持されている。図中、50は種結晶
であり、51は成長中の化合物単結晶、52は原料融液
を示している。
【0028】前記台座46の上端周縁部からルツボ支持
台43の下部外周面に渡り、蒸気流動抑制手段を構成す
る断面L字状の半シール部材47が装着されている。該
半シール部材47の外周部には原料化合物の高解離圧成
分44、例えばZnSe化合物ではZnを収容したリン
グ状のリザーバ45が取り付けられている。該リザーバ
45の外周面は気密チャンバー32の高温部33の下部
内周面にほぼ気密に嵌合している。前記半シール部材4
7は、部材の内部に連通する微細な細孔や連続気孔を有
しており、かかる連通孔を介して加圧用不活性ガスが流
動する。
【0029】図例では最下段のヒータエレメント14A
が蒸発用ヒータエレメントとして用いられており、該ヒ
ータエレメント14Aとその温度検出器26によりリザ
ーバ45内に収容された高解離圧成分の加熱温度が制御
され、高温域にあるルツボ38中の原料化合物の高解離
圧成分の解離圧と平衡する蒸気圧を発生させる。これに
より、ルツボ38内原料の組成変動を防止することがで
きる。尚、リザーバ45を加熱するための蒸発用ヒータ
エレメントや温度検出器は、後述するように、集合ヒー
タ15のヒータエレメントとは別個に気密チャンバー3
2内に設けてもよいことは勿論である。
【0030】本実施例では、半シール部材47が設けら
れているので、最下段のヒータエレメント14Aの加熱
温度を他のヒータエレメントの加熱温度の内で最低温度
以下に設定することにより、すなわちリザーバ45の設
けられている領域の温度を高解離圧成分の蒸気を充満さ
せておくべき気密チャンバー32内の空間のうちで最も
低温となるように設定することにより、リザーバ45か
ら発生した高解離圧成分44の蒸気が半シール部材47
の下方に流動するのをほぼ阻止することができ、しかも
リザーバ45上方の他の部分で凝結析出することを防止
することができ、リザーバ45に収容した蒸発成分の使
用効率を高めることができると共に、使用後の回収が容
易になる。前記半シール部材47はそれ自身が低温にな
っては前記作用を有効に発揮させることができないの
で、均圧用の連通孔のみならず、断熱性を有するものが
よく、このような材料として黒鉛材が好適である。尚、
前記半シール部材47を設けない場合、リザーバ45か
ら発生した高解離圧成分44の蒸気は下方にも流動し、
気密チャンバー32の下部固定部35に設けられた均圧
通路36から気密チャンバー32の外部に流出すること
になるが、リザーバ45の下方へ流動する際に、蒸気は
冷却されるため、たとえ均圧通路36から流出してもヒ
ータエレメント14に凝結付着するおそれはない。
【0031】上記実施例の単結晶製造装置によると、ル
ツボ38に収容された原料は、気密チャンバー32を介
して、その外周部に配置された集合ヒータ15により高
圧ガス雰囲気下で加熱される。この際、高圧容器内の不
活性ガスの圧力は、原料融液の加熱温度における化合物
原料の高解離圧成分の解離圧以上の圧力に設定される。
かかる圧力に設定することにより、高解離圧成分の蒸気
は気密チャンバー内では拡散的に移動するに止まり、該
蒸気が気密チャンバーから流出し難くなる。集合ヒータ
15の各段のヒータエレメント14、14Aは、予め定
められた上下方向の温度分布が得られるように、各段部
に配置された温度検出器26からの温度信号に基づき、
各段のヒータエレメント14、14Aへの供給電力が制
御される。更に、この温度分布は融点温度域がルツボ3
8のキャピラリー部39から上方に移動するように制御
され、融点温度域がキャピラリー部39から上方へ移動
するに従って、キャピラリー部39に収容された種結晶
から単結晶が成長する。ルツボ38内の融液が総て結晶
固化した後、各ヒータエレメント14、14Aへの給電
を徐々に減少させて炉内温度を均一に低下させて冷却す
る。その後、高圧ガスを排出した後、下蓋6を下方に移
動させて気密チャンバー32ごとヒータ支持リング5か
ら取り外し、下蓋6から気密チャンバー32の全体を、
あるいはその高温部33を外し、単結晶が形成されたル
ツボ38を回収する。
【0032】原料として、ZnSe,CdTeやZnS
などのII−VI族、あるいはInP,GaPやGaAsな
どのIII−V族の化合物では、化合物の構成成分の一方
の蒸気圧が高いので、融点以上の高温に加熱した状態で
は融液から高解離圧成分が蒸発して原料化合物の組成が
変動するが、本実施例ではリザーバ45に同成分44を
入れておき、最下段のヒータエレメント14Aを用いて
リザーバ部を加熱して、高温域の原料融液52から蒸発
する高解離圧成分の蒸気圧と平衡する蒸気圧を発生させ
ることにより、原料の成分変動を防止することができ
る。この際、リザーバ45の加熱温度を他のヒータエレ
メントの内で最低温度以下に設定することにより、高解
離圧成分の蒸気が気密チャンバー内を拡散し、均圧通路
36から流出しても、該蒸気がヒータエレメント14に
凝結付着するおそれがない。
【0033】ここで、単結晶成長工程における温度分布
の制御につき、ZnSe単結晶を例として図2を参照し
て具体的に説明する。ルツボ38のキャピラリー部39
に所定の方位をもった単結晶を成長させるために種結晶
50を配置しておく。装置の運転時には、高圧容器1の
内部の不活性ガス圧力を3kgf/cm2 以上として、集合ヒ
ータ15の各ヒータエレメント14、14Aに供給する
電力を制御して、Aで示した温度パタンを上下方向に形
成させる。すなわち、ルツボ38のキャピラリー部39
が正確にZnSeの凝固温度1520℃になり、その上
方がそれより高温(本例では1550℃)になるように
集合ヒータの各段のヒータエレメント14を制御し、原
料を溶融させる。一方、溶融したZnSeの加熱温度
(本例では1550℃)に対応するZnSeのZnの解
離圧は約2.5kgf/cm2 であるので、該解離圧に相当す
るZnの蒸気圧を発生させるように、最下段のヒータエ
レメント14Aによりリザーバ45を1000℃に加熱
する。次に、ヒータエレメント14への供給電力を制御
して徐々に凝固温度1520℃となる位置を上方に移動
させて原料融液52を種結晶50の部分から凝固させて
単結晶51を成長させる。単結晶成長過程における温度
分布をBで示す。ZnSeの結晶構造は1425℃以上
ではウルツァイト型であり、それ以下の温度で所期のジ
ンクブレンド型をとるが、図示の温度分布において凝固
温度近傍の温度勾配を急峻としているのは、融液の過冷
却現象を利用して一気にジンクブレンド型の単結晶を得
るためである。また、図示の温度分布において単結晶部
分の温度を凝固温度直下の1400℃に保持しているの
は、凝固した単結晶中に大きな温度勾配が形成されると
熱応力により欠陥となる転位が発生し易くなり、また組
成にズレが生じやすくなることから、かかる欠陥を防止
するためである。原料融液52全体の固化終了時点の温
度パタンは同図Cのようになっており、この後、単結晶
の上下方向においてあまり大きな温度勾配が付かないよ
うに温度制御しながら炉内温度を下げ、下蓋を下降して
気密チャンバーからルツボを取り出す。
【0034】本発明装置の第2実施例を図3に示す。図
1の第1実施例と同部材は同符号で示し、主として相違
点について説明する。第2実施例では、断熱構造体8
は、懸垂支持部材61を介して上蓋3に吊り持ち支持さ
れており、断熱構造体8の下端に付設された固定リング
12に加熱装置16や温度検出器26が支持されてい
る。前記上蓋3には、ヒータ電源リードスルー22及び
測温リードスルー27が設けられており、ヒータリード
線62、測温リード線63を介して加熱装置16、温度
検出器26に接続されている。前記断熱構造体8の内筒
11は、例えば、カーボンファイバーを有機バインダー
で成形した後、バインダーを炭化させたカーボン系成形
体で形成されており、気密性よりも断熱性が重視されて
いる。一方、中間層10は断熱材が充填されていない空
間層とされている。
【0035】本実施例では、加熱装置16等は断熱構造
体8を介して上蓋3により支持されているので、高圧容
器1の胴部円筒体2の下端開口部には、シールリングを
介して下蓋6が直接着脱自在に装着されており、ヒータ
支持リングは装着されていない。該下蓋6には、台座4
6Aが載置されており、該台座46Aの上部64上端に
ルツボ支持台43が載置され、下部65の上端外周部
に、図1の気密チャンバーの高温部構造体のみから構成
された気密チャンバー32Aが着脱自在に装着されてい
る。台座46Aの上部64から下部65への段差部に渡
り断面L字状の半シール部材47Aが装着され、該半シ
ール部材47Aの下部外周面は気密チャンバー32の内
周面に嵌合されており、該シール部材47Aの下部上面
にリング状の蒸発用ヒータエレメント66を介してリザ
ーバ45が載置されている。前記シール部材47Aは既
述の通り均圧性を損なわない程度のシール性を有する耐
熱材で形成されており、前記台座46Aには段差部に連
通する細孔からなる均圧通路36Aが形成されている。
尚、前記台座46Aの上部64には蒸発用ヒータエレメ
ント66の温度を検出するための温度検出器(図示省
略)が蒸発用ヒータエレメント66の近傍に内挿されて
いる。本例によると、リザーバ45の温度制御を高精度
で行うことができる利点がある。
【0036】次に、VB法を実施するための装置例につ
いて図4を参照して説明する。尚、図1のVGF法用装
置と同部材は同符号で示し、相違点を主として説明す
る。本実施例では、ルツボ38が設置されたルツボ支持
台43は、下蓋6をシールリング71を介して気密かつ
上下方向に摺動自在に設けられた昇降ロッド72の上部
に設置されている。該昇降ロッド72は図示省略した昇
降駆動装置により昇降される。一方、気密チャンバー3
2内には、前記昇降ロッド72が遊動自在とされた挿通
孔を有する台座46Bが下蓋6に載置されており、該台
座46Bの上部には、リザーバ45が装着されている。
該リザーバ45の外周面は気密チャンバー32の高温部
33の下部内周面にほぼ気密に嵌合している。そして、
台座46Bの上部にはリザーバ45の上部内周部から昇
降ロッド72にかけて半シール部材47Bが付設されて
いる。該半シール部材47Bはリザーバ45から発生し
た高解離圧成分の蒸気が下方に流動するのを抑制すると
共に均圧作用を有するものであり、本実施例では黒鉛シ
ートのリング状積層体が使用されている。前記台座46
Bには均圧のための連通路74が外周面から昇降ロッド
の挿通孔にかけて連通形成されている。
【0037】本実施例の装置により、VB法を実施する
場合、図例のように高さの低いルツボを用い、上から第
2段目乃至第3段目付近に融点が来るように温度分布を
設定し、結晶成長の開始時に該融点温度域にルツボ38
のキャピラリー部39がくるように昇降ロッド72の位
置を設定し、昇降ロッド22を数mm/hr〜十数mm/h
rの速度で下降させてキャピラリー部39に収容した種
結晶50から単結晶51を成長させる。
【0038】本発明は叙上の実施例に限定されるもので
はなく、適宜の設計変更を行うことができる。例えば、
ヒータエレメントの段数は、図例に限らず適宜の段数を
自由に設定することができる。また、本発明の製造対象
となる化合物としては、特にII−VI族化合物、III−V
族化合物もしくはこれらを主成分とする化合物であっ
て、化合物の高解離圧成分が加圧用不活性ガスよりも分
子量の大きいものが好適である。
【0039】次に、叙上の製造装置による化合物単結晶
の具体的製造実施例について説明する。 実施例1 底部に内径3mmφのキャピラリー部を設けた内径1イ
ンチのPBN製のルツボに、気相成長法により作製した
ZnSeから切り出した直径2.5mm、長さ35mm
の種結晶を装着した後、6N(ナイン)グレードのZn
Se多結晶原料を約200g装填した。一方、図1に示
した装置のリザーバにZnを12g装填した。前記ルツ
ボをルツボ支持台の上に載置し、気密チャンバーの高温
部筒体を装着した後、下蓋をヒータ支持リングに装着
し、高圧容器を密封した。
【0040】上記準備作業を終えてから、高圧容器の内
部を真空に排気した後、アルゴンガスを10kgf/cm2
填して放出する置換操作を2回行った。次に、アルゴン
ガスを10kgf/cm2 充填した後、各段のヒータエレメン
トに通電して図2のAに示した温度分布を形成し、原料
を溶融させると同時に種付け作業を実施した。尚、昇温
過程では1000℃に到達した時点でアルゴンガスを注
入して50kgf/cm2 とし、最終的に50kgf/cm2 に保持
した。種付け後、凝固温度位置が約3mm/hrの速度
で上方へ移動するように各段ヒータエレメントへの投入
電力を制御した。ほぼ温度分布が図2のCになったとこ
ろで単結晶成長を止め、ルツボ部分の温度が±30℃以
内になるように保ちながら降温させた。この際、ルツボ
部分の温度が1200℃となるまで、リザーバ部分の温
度を1000℃とし、以降ルツボ部分の方が常に高温の
状態を保つようにして冷却した。
【0041】冷却後、アルゴンガスを回収・放出して大
気圧とした後、下蓋を開放して気密チャンバーからルツ
ボを取り出した。気密チャンバーの内面は、リザーバの
近傍にはZnが液滴状になって集中的に付着していた
が、その他の部分は清浄な状態であった。ルツボから取
り出したZnSeはきれいな黄色を呈しており、下部か
ら約2/3は双晶を含まない高品位の単結晶であった。
【0042】実施例2 底部にキャピラリー部を設けた内径3インチのPBN製
のルツボに、直径4mm、長さ40mmのGaAs種結
晶を装着した後、6NグレードのGaAs多結晶原料を
約700g装填した。一方、図3に示した装置のリザー
バにAsを約8g入れて、ルツボ支持台をセットした
後、前記ルツボを載置した。次いで、気密チャンバーを
装着した後、下蓋を胴部円筒体の下部開口に装着し、高
圧容器を密封した。
【0043】上記準備作業を終えてから、高圧容器の内
部を真空に排気した後、10kgf/cm 2 のアルゴンガスに
よるガス置換操作を行った後、アルゴンガスを5kgf/cm
2 充填し、各段のヒータエレメントに通電して昇温を開
始した。種結晶の概略中央部の温度をGaAsの凝固温
度1238℃とし、それより上の領域を1270℃とし
てルツボ中の原料を溶融させ、リザーバ部分の温度を6
10℃として図2のAと同様の温度分布を形成した後、
凝固温度の位置を約5mm/hrの速度で上方へ移動さ
せた。その後、図2のCと同様の状態となった時点で全
体の温度を降下させた。
【0044】降温冷却後、アルゴンガスを回収・放出し
て大気圧とした後、下蓋を下方に引き出し、気密チャン
バーからルツボを取り出した。気密チャンバーの内面
は、リザーバの近傍には粉末状のAsが付着していた
が、その他の部分は清浄であった。ルツボから取り出し
たGaAs単結晶から切り出した板状サンプルを研磨・
エッチングして転位密度をエッチピットデンシティ(E
PD)で評価したところ、約1000/cm2 とかなり低
く、高品質の単結晶が得られていることが確認された。
【0045】実施例3 底部にキャピラリー部を設けた内径1インチのPBN製
のルツボに、気相成長法により作製したZnSeから切
り出した直径2.5mm、長さ35mmの種結晶を装着
した後、6NグレードのZnSe多結晶原料を約180
g装填した。一方、図4に示した装置のリザーバにZn
を10g装填した。前記ルツボを昇降ロッドの上部に載
置されたルツボ支持台の上に載置し、気密チャンバーの
グラッシーカーボン製高温部を装着した後、昇降ロッド
と共に下蓋をヒータ支持リングに装着し、高圧容器を密
封した。
【0046】上記準備作業を終えてから、高圧容器の内
部を真空に排気した後、アルゴンガスを10kgf/cm2
填して放出する置換操作を2回行った。次に、アルゴン
ガスを10kgf/cm2 充填した後、各段のヒータエレメン
トに通電して500℃/hrの速度で1540℃まで昇
温して原料を溶融した。この際、種結晶の下から10m
mの部分が1520℃となり、上方から下方に温度が下
がるような温度分布が形成され、種付けが行われた。
尚、昇温過程では1000℃に到達した時点でアルゴン
ガスを注入して50kgf/cm2 とし、最終的に100kgf/
cm2 に保持した。種付け後、昇降装置を駆動して昇降ロ
ッドひいてはルツボを5mm/hrの速度で下降させ、
ルツボの上端部が1480℃になった時点で、全体を2
00℃/hrの速度で冷却した。この際、ルツボ部分の
温度が1200℃となるまで、約2.4kgf/cm2 のZn
蒸気圧が発生するように、最下段のヒータエレメントの
投入電力を制御してリザーバ部分の温度を1000℃と
なるように調整し、以降、ルツボ部分の方が常に高温の
状態を保つようにして冷却した。
【0047】冷却後、アルゴンガスを回収・放出して大
気圧とした後、下蓋を昇降ロッドと共に高圧容器外に下
降して、気密チャンバーからルツボを取り出した。気密
チャンバーの内面は、リザーバの近傍にはZnが液滴状
に付着していたが、上部は清浄な状態であった。ルツボ
から取り出したZnSeはきれいな黄色を呈しており、
下部から約70%は双晶を含まない高品位の単結晶であ
った。
【0048】実施例4 底部にキャピラリー部を設けた内径3インチのPBN製
のルツボに、直径4mm、長さ40mmのGaAs種結
晶を装着した後、6NグレードのGaAs多結晶原料を
約700g装填した。一方、図4に示した装置のリザー
バにAsを約5g入れて、ルツボ支持台を昇降ロッドの
上部にセットした後、前記ルツボを載置した。次いで、
気密チャンバーのモリブデン製高温部を装着した後、昇
降ロッドと共に下蓋を胴部円筒体の下部開口に装着し、
高圧容器を密封した。
【0049】上記準備作業を終えてから、実施例3と同
様にして、真空引き及びガス置換操作を行った後、高圧
容器内に5kgf/cm2 のアルゴンガスを充填して、400
℃/hrの速度で1250℃まで昇温して原料を溶解し
た。この際、種結晶の中央部の温度がGaAsの凝固温
度1238℃となるように温度勾配を形成し、種付けを
行った。この時の圧力は11kgf/cm2 であった。次い
で、ルツボを5mm/hrの速度で下降させた。この
際、ルツボ部分の温度が800℃となるまで、約1kgf/
cm2 のAs蒸気圧が発生するように、リザーバ部分の温
度を610℃に保持した。
【0050】冷却後、アルゴンガスを放出して大気圧と
した後、下蓋を昇降ロッドと共に下方に引き出し、気密
チャンバーからルツボを取り出した。気密チャンバーの
内面は、リザーバの近傍には凝結したAsが付着してい
たが、その他の部分は清浄であった。ルツボから取り出
したGaAs単結晶は、特に転位密度が約1000/cm
2 とかなり低く、高品質であることが確認された。
【0051】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1に記載した
製造方法の発明によれば、気密チャンバーの内外に連通
する均圧通路が蒸発用ヒータエレメントの下方に形成さ
れており、しかも蒸発用ヒータエレメントの加熱温度が
他のヒータエレメントの加熱温度の内の最低温度以下と
されているので、蒸発用ヒータエレメントの加熱により
蒸発した高解離圧成分の蒸気はたとえ前記均圧通路から
気密チャンバーの外へ流出しても、該蒸気の温度は総て
のヒータエレメントの加熱温度未満となるため、蒸発用
ヒータエレメントや集合ヒータのヒータエレメントに凝
結付着するおそれがなく、高品質の化合物単結晶を安定
して製造することができる。
【0052】また、請求項2に記載した製造方法によれ
ば、高温域の冷却中に生じる単結晶の成分変動を防止す
ることができ、より高品質の化合物単結晶を製造するこ
とができる。また、請求項3に記載した製造方法による
と、VB法を容易に実施することができ、しかも気密チ
ャンバー内ではその外部に比して温度分布の安定性に優
れるため、より高品質の単結晶を製造することができ
る。
【0053】一方、請求項4に記載した製造装置の発明
によれば、前記本発明の製造方法を容易に実施すること
ができ、高品質の化合物単結晶を安定して製造すること
ができる。この際、請求項5に記載したように、均圧通
路を高解離圧成分の融点以下の温度域に設けることによ
り、高解離圧成分の蒸気は均圧通路に至るまでの間に気
密チャンバーの内壁の凝結付着するようになり、均圧通
路からほとんど流出しないようになり、均圧通路を簡単
な構造にすることができる。また、請求項6に記載した
ように、蒸気流動抑制手段を高解離圧成分を収容したリ
ザーバと均圧通路との間に付設することにより、リザー
バから発生した高解離圧成分の蒸気が均圧通路から流出
するのをほぼ阻止することができると共に該蒸気を気密
チャンバー内に閉じ込めることができ、高解離圧成分を
有効に使用することができ、生産性に優れる。
【0054】また、請求項7に記載した製造装置による
と、下蓋を胴部筒体から取り外すことにより気密チャン
バーを高圧容器外に容易に取り出すことができ、引いて
は気密チャンバー内のルツボの回収が容易となり、生産
性に優れる。また、請求項8に記載した製造装置による
と、気密チャンバーを繰り返し使用することができると
共にルツボの回収がより容易になり、生産性に優れる。
【0055】また、請求項9に記載した製造装置による
と、前記請求項3の製造方法を容易に実施することがで
き、高品質の単結晶をVB法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】VGF法を実施するための化合物単結晶製造装
置の実施例の断面説明図である。
【図2】集合ヒータにより形成された温度分布及び単結
晶の成長に伴う同分布の推移を示説明図である。
【図3】VGF法を実施するための化合物単結晶製造装
置の他の実施例の断面説明図である。
【図4】VB法を実施するための化合物単結晶製造装置
の実施例の断面説明図である。
【符号の説明】
1 高圧容器 6 下蓋 8 断熱構造体 14 ヒータエレメント 14A、66 蒸発用ヒータエレメント 15 集合ヒータ 16 加熱装置 26 温度検出器 32、32A 気密チャンバー 36、36A 均圧通路 38 ルツボ 45 リザーバ 47、47A、47B 半シール部材(蒸気流動抑制手
段) 50 種結晶 51 単結晶 52 融液 72 昇降ロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 広 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 昭51−33875(JP,A) 特開 昭46−36111(JP,A) 特開 平3−247582(JP,A) 特開 昭50−46578(JP,A) 特開 昭63−270379(JP,A) 特開 昭64−37497(JP,A) 特開 平2−283690(JP,A) 特開 昭63−274684(JP,A) 特表 昭58−500020(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧容器内にヒータエレメントが上下方
    向に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ
    内にチャンバーの内外に連通する均圧通路を有する気密
    チャンバーを設け、該気密チャンバー内に化合物原料を
    収容するルツボを配置し、前記ヒータエレメントにより
    上方から下方に渡り化合物の融点を挟んで高温から低温
    に推移する温度分布を形成し、気密チャンバー内に設け
    た原料の高解離圧成分を蒸発用ヒータエレメントにより
    加熱してルツボ内の原料融液の高解離圧成分の解離圧と
    平衡する蒸気圧を気密チャンバー内に発生させ、高解離
    圧成分の蒸気を含んだ高圧ガス雰囲気下で前記温度分布
    の融点温度域をルツボの下方から上方へ相対移動させる
    ことによりルツボ内の原料融液を下方から冷却固化して
    単結晶を成長させる化合物単結晶の製造方法において、 前記均圧通路を前記蒸発用ヒータエレメントの下方に形
    成し、前記蒸発用ヒータエレメントの加熱温度を他のヒ
    ータエレメントの加熱温度の内の最低温度以下として高
    解離圧成分を加熱蒸発する化合物単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 ルツボ内の原料の全部が固化結晶した
    後、原料化合物の高解離圧成分を蒸発用ヒータエレメン
    トにより加熱蒸発させ、得られた結晶の高解離圧成分の
    解離圧以上の蒸気圧を発生させて冷却する請求項1に記
    載した化合物単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 ルツボは気密チャンバーの内部を上下方
    向に昇降する昇降ロッドの上部に支持され、該昇降ロッ
    ドを移動させることにより温度分布の融点温度域をルツ
    ボの下方から上方へ移動させる請求項1又は2に記載し
    た化合物単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 高圧容器内にヒータエレメントが上下方
    向に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ
    内にチャンバーの内外に連通する均圧通路を有する気密
    チャンバーを設け、該気密チャンバー内に化合物原料を
    収容するルツボ及び該ルツボの下方に原料化合物の高解
    離圧成分を収容したリザーバが配置され、前記高解離圧
    成分を加熱蒸発させるための蒸発用ヒータエレメントが
    設けられ、前記ヒータエレメントにより形成された上方
    から下方に渡り化合物の融点を挟んで高温から低温に推
    移する温度分布の融点温度域をルツボに対して下方から
    上方へ相対移動させることによりルツボ内の原料融液を
    下方より冷却固化して単結晶を成長させる化合物単結晶
    製造装置において、 前記均圧通路が前記蒸発用ヒータエレメントの下方に形
    成されている化合物単結晶製造装置。
  5. 【請求項5】 均圧通路が高解離圧成分の融点以下の温
    度域に設けられている請求項4に記載した化合物単結晶
    製造装置。
  6. 【請求項6】 気密チャンバーの内部にリザーバから蒸
    発した高解離圧成分の蒸気が下方に流動するのを抑制す
    るための蒸気流動抑制手段がリザーバと均圧通路との間
    に付設されている請求項4又は5に記載した化合物単結
    晶製造装置。
  7. 【請求項7】 高圧容器は胴部筒体と、該胴部筒体の上
    下開口部を密閉する上蓋及び下蓋とを備え、前記気密チ
    ャンバーが下蓋に付設され、前記下蓋は胴部筒体に上下
    方向から着脱自在に装着される請求項4、5又は6に記
    載した化合物単結晶製造装置。
  8. 【請求項8】 気密チャンバーが分割組立て自在に構成
    されている請求項4から7のいずれかに記載した化合物
    単結晶製造装置。
  9. 【請求項9】 気密チャンバーの内部に上下方向に昇降
    する昇降ロッドが設けられ、該昇降ロッドの上部に前記
    ルツボが支持されている請求項4から8のいずれかに記
    載した化合物単結晶製造装置。
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