JP5373299B2 - 光学用易接着性フィルム - Google Patents
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Description
本発明は、透明性、易接着性および耐傷性に優れる光学用易接着性ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
該脂環式ポリエステルが、ジカルボン酸成分の80〜100モル%を脂環式ジカルボン酸で占められ、ジオール成分の80〜100モル%を脂環式ジオールで占められる
ことを特徴とする、光学用易接着性フィルムである。
[二軸延伸ポリエステルフィルム]
本発明において二軸延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分とから構成される線状飽和ポリエステルである。このポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。なかでも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートは、機械的物性と光学的物性のバランスがよく好ましい。
本発明においては、二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面には塗布層が設けられている。
本発明において塗布層は、脂環式ジカルボン酸および脂環式ジオールから構成される脂環式ポリエステルを含有する。塗布層における脂環式ポリエステルの含有量は、好ましくは60〜100重量%である。この範囲で含有することで、光学用部材のベースフィルムとして用いるときにうえに設ける加工層、例えばプリズムシートといった加工層、との優れた接着性を得ることができる。
塗布層の脂環式ポリエステルは、脂環式ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分として、脂環式ジオールを主たるジオール成分として構成される。
本発明において、脂環式ポリエステルは、脂環式ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分として構成される。ここで、主たるジカルボン酸成分とするとは、全ジカルボン酸成分あたり80モル%以上、好ましくは90モル%以上であることを意味する。この範囲であると、耐熱性の双方に優れた塗布層が得られる。
本発明において、脂環式ポリエステルは、脂環式ジオールを主たるジオール成分として構成される。ここで、主たるジオール成分とするとは、全ジオール成分あたり80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましいくは97モル%以上であることを意味する。この範囲であると、透明性と耐熱性の双方に優れる塗布層を得ることができる。
塗布層は、良好な滑り性を得るために、フィラーを含有することが好ましい。塗布層がフィラーを含有する場合、フィラーの平均粒子径は、例えば200〜2000nm、好ましくは300〜1500nmである。平均粒子径がこの範囲であることによって、傷の入り易い工程、例えば回転トルク高い金属ロールを用いる工程においても、十分な耐傷性を得るとともに、フィルム表面のヘーズが低く、光学特性の良好な易接着性フィルムを得ることができる。
フィラーとしては、無機微粒子、有機微粒子、有機無機複合粒子のいずれも用いることができる。
有機無機複合粒子としては、酸化ケイ素・アクリル樹脂複合物、酸化ケイ素・シリコーン樹脂複合物を用いることができる。
塗布層の凝集力を向上するために、塗布層は架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができる。取り扱い易く、塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
本発明の光学用易接着性フィルムの光線透過率は、好ましくは92%以上、さらに好ましくは93.5%以上である。この範囲の透過率であることによって、光学部材のベースフィルムとしたきに、優れた透明性を備える光学部材得ることができる。
本発明における脂環式ポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応させ、引き続いて重縮合反応をすることにより製造することができる。エステル化またはエステル交換反応は、ジカルボン成分とジオール成分とを、攪拌機および留出管を備えたエステル化反応槽に仕込み、触媒を加え、不活性ガス雰囲気下、常圧または減圧下攪拌しつつ、反応により生じた水分などの副生成物を反応系外に留去しながら反応を進行させることにより行うことができる。
原料の使用比率、すなわち、ジカルボン酸成分の合計に対するジオール成分の合計のモル比は、通常1.0〜2.0モル倍である。
得られる脂環式ポリエステルの固有粘度は、通常0.3〜1.5dl/g、好ましくは0.4〜1.0dl/gである。
各種物性は下記の方法により評価した。
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘーズ値を測定した。
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムの全光線透過率を測定した。
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定した。
固有粘度([η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)を用いて、スキャン速度200nm/分、スリット幅20nm、サンプリングピッチ1.0nmの条件で、波長589nmの分光反射率を求め、アッベ屈折率計(ナトリウムD線)を用いてフィルムの面方向平均屈折率を求め、および(5)の方法により求められた塗布層の厚みを用いて、下記式より塗膜の屈折率を求めた。
プリズムレンズのパターンを形成した型に、下記組成からなる紫外線硬化型アクリル樹脂を流し込み、その上に得られたポリエステルフィルムの塗布面を該樹脂側にして密着させ、ポリエステルフィルム面側の30cmの距離から紫外線ランプを用いて紫外光(照射強度300mJ/cm2)を照射し樹脂を硬化させ、頂角90度、ピッチ50μm、高さが30μmのプリズムレンズ層を形成した。このプリズムレンズ層に碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
5:剥離面積が10%未満 ……接着力極めて良好
4:剥離面積が10%以上20%未満 ……接着力良好
3:剥離面積が20%以上30%未満 ……接着力やや良好
2:剥離面積が30%以上40%未満 ……接着力不良
1:剥離面積が40%を超えるもの ……接着力極めて不良
2,2−ビス(4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学社製 NKエステルBPE−500) 49重量%
2,2−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学社製 NKエステルA−BPE−4) 10重量%
テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業社製 ビスコート#150) 39重量%
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製 Darocur1173) 2重量%
直径6mmの硬質クロムメッキしたピンを固定し、長手方向に20cm、幅方向に15mmにカットしたフィルムをピンに対して90°で接触させ、一定速度(20mm/s)で一定長さ(20cm)で10往復、ピン上を滑らせて、フィルム表面に入る傷の度合を評価した。
5:まったく傷が入らない
4: 0%<全体面積に対する傷の面積≦10%
3:10%<全体面積に対する傷の面積≦25%
2:25%<全体面積に対する傷の面積≦50%
1:50%<全体面積に対する傷の面積
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。測定前のエチレングリコールへの分散は、フィラー粉体を5重量%スラリー濃度相当になるよう計量して、ミキサー(たとえばNational MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして、該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみをMAX値を示す位置から60%の位置)してから測定に供した。粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.3倍に延伸した後、その両面に、表1に示す成分からなる塗布組成物の水性塗液(固形分濃度5%)をロールコーターで均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを引き続いて95℃で乾燥し、横方向に130℃で3.6倍に延伸し、230℃で幅方向に3%収縮させ熱固定し、厚さ188μmのフィルムを得た。
塗液を表1記載のとおり変更する他は実施例1と同様にして厚さ188μmのフィルムを得た。なお、比較例3は塗布層を設けていない。
溶融ポリエチレン−2,6−ナフタレート([η]=0.68dl/g、Tg=121℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.3倍に延伸した後、その両面に表1に示す成分からなる塗布組成物の水性塗布液(固形分濃度5%)をロールコーターで均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、横方向に140℃で3.6倍に延伸し、240℃で幅方向に3%収縮させ熱固定し、厚さ188μmのフィルムを得た。
酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸95モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%で構成されている(Tg=45℃、平均分子量14000)。なお、ポリエステルは、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル38部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル3部、1,4−シクロヘキサンジメタノール58部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、ポリエステル1を得た。
酸成分がテレフタル酸80モル%/イソフタル酸15モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=60℃、平均分子量17000)。なお、ポリエステルは、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル48部、イソフタル酸ジメチル9部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、ポリエステル2を得た。
オキサゾリン架橋剤 (日本触媒社製 商品名エポクロスWS−300)
架橋剤2:
メラミン架橋剤 (三和ケミカル社製 商品名MX−035)
フィラー:
シリカアクリル複合微粒子(平均粒径:400nm)(日本触媒社製 商品名ソリオスター)
濡れ剤:
ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成工業社製 商品名ナロアクティーN−70)。
Claims (4)
- 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその少なくとも片面に設けられた塗布層からなり、塗布層は脂環式ジカルボン酸および脂環式ジオールから構成される脂環式ポリエステルを含有し、
該脂環式ポリエステルが、ジカルボン酸成分の80〜100モル%を脂環式ジカルボン酸で占められ、ジオール成分の80〜100モル%を脂環式ジオールで占められる
ことを特徴とする、光学用易接着性フィルム。 - 塗布層での脂環式ポリエステルの含有量が60〜100重量%である、請求項1記載の光学用易接着性フィルム。
- 脂環式ポリエステルの脂環式ジカルボン酸がシクロヘキサンジカルボン酸であり、脂環式ジオールがシクロヘキサンジメタノールである、請求項1記載の光学用易接着性フィルム。
- 塗布層の屈折率が1.47以下である、請求項1記載の光学用易接着性フィルム。
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