JP2014223736A - 活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】活性エネルギー線硬化型接着剤との接着性に優れた易接着性積層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂と架橋剤とを含有する塗液から形成されてなる塗布層を有する積層フィルムであって、上記熱可塑性樹脂は、上記塗液の固形分に対する含有量が50質量%以上であり、上記架橋剤は、グリシジルアミン化合物であり、上記塗液の固形分に対する含有量が12〜20質量%である、活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型接着剤との接着性に優れた易接着性積層フィルムに関する。特には、液晶表示装置に用いられる偏光板の偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる易接着性積層フィルムに関する。
液晶表示装置に欠かせない偏光板は、従来2色性色素で染色し、ホウ酸水溶液中で延伸・配向させたポリビニルアルコール(PVA)フィルムからなる偏光子の両面に、該偏光子を保護するための保護フィルム(偏光子保護フィルムともいう)を接着させたものが用いられている。かかる偏光子保護フィルムの材料としては、光学的特性に優れ、PVAとの接着が容易なトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いるのが一般的である。
一方でTACフィルムは、吸湿、透湿しやすい材料であり、高温、高湿環境下においては偏光度の低下、偏光子の劣化などが顕著であるため、近年益々高度化する耐湿熱性要求に応えることが難しくなっている。そのため、耐湿性に優れた材料で偏光子保護フィルムを実現する検討が行われている。
また液晶ディスプレーの爆発的な普及に伴い、構成する部材のコスト低減要求も非常に強くなってきており、生産性が低く高価なTACフィルムを他の安価な材料で代替する動きが本格化してきている。
TAC代替の候補素材としては、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸などのポリエステル系樹脂など多くの素材が提案されているが、フィルムの透明性、力学的強さ、コーティング層との密着性、入手しやすい価格などの観点から、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂からなるフィルム素材が本命視されている。
この内アクリル系フィルムは、リターデーションの調整が容易で透明度が高く、比較的安価であることから偏光子保護フィルムに好適な素材として古くから様々な提案がなされてきた(特許文献1)。しかしながら代表的な非晶性樹脂であるアクリル樹脂は、靭性が低く、加工時のロールハンドリングが難しいという欠点を有している。近年ディスプレーの薄型化が進み、偏光子保護フィルムにも従来以上の薄葉化が求められるようになってきているが、特に50μm以下の薄いアクリルフィルムは工程中での破断が生じやすく、搬送系の設備に非常に精密な調整が求められるなど、扱いづらい側面を有している。
一方でポリエステル系フィルム、特にPETフィルムは、高度な透明性を具備すると共に、タフネスが高くて強靭であり、加工時のハンドリング性に優れる特長を有する。従来はリターデーションの調整が困難なポリエステル系フィルムは、偏光子保護フィルムとしたときに虹色の干渉色を発しやすいことから適用が難しいとされてきたが、バックライトの光源に波長分布のブロードな発光ダイオード(LED)が普及してきたことに伴い、リターデーションによる干渉色が発生しにくくなっており、光学的にはポリエステル系フィルムを適用できる環境が整ってきている。特にリターデーションを3000nm以上に高めた一軸配向フィルムを偏光子の外側面に適用することにより、干渉色を抑えることができるとの提案もなされている(特許文献2)。
特開平7−56017号公報 国際公開第2011/162198号公報 特開2000−321432号公報 特開2004−245925号公報 特開2009−98623号公報
上述のようにポリエステル系フィルムを偏光子保護フィルムに適用する際の光学的な制約はなくなっているが、実際にポリエステル系フィルムを適用するに際しては、偏光子との接着性を確保することが大きな課題となっている。すなわち、親水性樹脂であるPVAからなる偏光子と、一般的に疎水性樹脂であるポリエステルフィルムとを接着することは、非常に困難である。
疎水性の樹脂フィルムとPVAとを接着させる技術については、例えば特許文献3、4には、ノルボルネン系の偏光子保護フィルムとPVA偏光子とを接着させるために、TACフィルム用に広く用いられてきた水系の接着剤に代えて、ポリウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤のような、紫外線などの活性エネルギー線で硬化、接着させるタイプの接着剤を用いることが開示されている。しかしながらさらに表面の化学活性が低いポリエステル系フィルムへの接着は、これら活性エネルギー線硬化型接着剤をもってしても難しい。
これに対し、ポリエステル系フィルムの表面の化学活性を向上するために、たとえば特許文献5にはポリエステル系フィルム表面に、バインダー樹脂中にオルガノシラン化合物を混合した易接着層を積層する例が開示されている。しかしながら、該易接着層は、実際にはフィルムにオフライン塗布により設けられたものであり、コストの高いものとなってしまうだけでなく、延伸されて不活性になったフィルム表面にコーティングするため、易接着層とポリエステル系フィルムとの密着性確保が難しく、十分な接着力が得られにくい。そのためフィルム製膜中においてインライン塗布での易接着層の形成が有効であるが、オルガノシラン化合物は耐熱性や加熱時の揮発成分などの問題からインライン塗布への適用は困難である。
本発明は、例えば活性エネルギー線硬化型接着剤を用いてPVA偏光子と接着するに際しても好適に用いることができる、活性エネルギー線硬化型接着剤との接着性に優れた易接着性積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を有する易接着性の塗布層により前記目的を達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
1.ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂と架橋剤とを含有する塗液から形成されてなる塗布層を有する積層フィルムであって、
上記熱可塑性樹脂は、上記塗液の固形分に対する含有量が50質量%以上であり、
上記架橋剤は、グリシジルアミン化合物であり、上記塗液の固形分に対する含有量が12〜20質量%である、
活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
2.上記熱可塑性樹脂が水溶性熱可塑性樹脂である、上記1に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
3.上記熱可塑性樹脂が水溶性ポリエステル樹脂である、上記1または2に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
4.偏光子保護フィルム用である、上記1〜3のいずれか1に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
5.上記1〜4のいずれか1に記載の易接着性積層フィルムの塗布層上に活性エネルギー線硬化型接着剤を積層した積層体。
6.上記5に記載の積層体と、その活性エネルギー線硬化型接着剤の上に貼り合わされた偏光子とからなる偏光板。
本発明の易接着性積層フィルムは、例えば偏光子との接着に用いられる活性エネルギー線硬化型接着剤との接着性に優れる。よって、本発明の易接着性積層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いることにより、PVA偏光子と良好に接着し、偏光子と偏光子保護フィルムとの接着強度の高い偏光板を提供することができる。
また、本発明の易接着性積層フィルムは、塗布層をポリエステルフィルムの製膜中に、所謂インライン塗布で形成することが可能であり、これによりさらに優れた接着性を付与できるとともに、安価に提供することができる。
本発明の易接着性積層フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有するものである。かかる塗布層が、ポリエステルフィルムと活性エネルギー線硬化型接着剤との両方に対して優れた接着性を有することにより、活性エネルギー線硬化型接着剤を介して偏光子を貼り合わせるに際して、本発明のフィルムからなる偏光子保護フィルムと偏光子との接着強度の高い偏光板を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明を構成するポリエステルフィルムは、他の樹脂からなるフィルムよりも透明性や機械特性に優れ、また薄膜化しても取り扱い性に優れる。フィルムを構成するポリエステルとしては、主たる成分がエチレンテレフタレート成分もしくはエチレン−2,6−ナフタレート成分であることが好ましい。ここで「主たる」とは、ポリエステルを構成する酸−グリコールユニット成分を100モル%として、85モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート成分、もしくはエチレン−2,6−ナフタレート成分からなることを意味する。
本発明におけるポリエステルは、本質的にポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートの性質を失わない範囲で他のポリエステル成分を共重合成分として含むことができる。この共重合成分としては、テレフタル酸(主成分がナフタレン−2,6−ジカルボン酸の場合)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸(主成分がテレフタル酸の場合)、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等に由来する芳香族ジカルボン酸成分;コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等に由来する脂肪族ジカルボン酸成分;ヘキサヒドロテレフタル酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸等に由来する脂環族ジカルボン酸成分;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等に由来するオキシカルボン酸成分;ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等に由来するグリコール成分を挙げることができる。
(添加剤)
本発明におけるポリエステルフィルムは、透明性に優れたものとするために、粒子を実質的に含有していない(10ppm以下)か、極少量の粒子しか含有していない(100ppm以下)態様が好ましい。ここで粒子は、平均粒径が好ましくは100nm以上のものを指す。一方、滑り性を向上したり、透明性を調整したりする目的においては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微粒子や、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の耐熱性ポリマーからなる有機微粒子を単独でまたは併用して含有することもできる。
このほかに、ポリエステルフィルムには紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤には公知のものを用いることができる。紫外線吸収剤の含有量としては、ポリエステルフィルムの質量を基準として0.1〜10質量%が好ましい。
(フィルム物性)
本発明におけるポリエステルフィルムおよび積層フィルムの光学特性は、好ましくは全光線透過率が89%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは91%以上である。全光線透過率を向上させるため、偏光子保護フィルムとして用いる際にバックライト側となる表面に低反射コーティング層を積層することが好ましい。低反射コーティング層の屈折率と厚みを適切に制御することでフィルム表面での光の反射によるロスを効果的に抑制し、全光線透過率を向上することが可能である。かかる低反射コーティング層としては、アクリル系樹脂50〜100質量%と必要に応じて架橋剤、易滑剤、制電防止剤を添加したものを好ましく用いることができる。
本発明におけるポリエステルフィルムおよび積層フィルムのリターデーションは実用上特に制限はないが、ブリュースター角近傍から観察した時の干渉色を抑制するためには、リターデーションが3000nm以上、より好ましくは4000nm以上とすることが好ましい。
またフィルムの幅方向及び長さ方向に渡ってリターデーション、配向角などの光学特性にバラツキが無いことが好ましいことは言うまでもない。好ましいリターデーションのバラツキ範囲は、幅方向1.3〜1.5m内において最大差で1000nm以下、更に好ましくは500nm以下である。更に長さ方向においても、連続する10mで1m毎に等間隔に10点測定した最大値と最小値との差が1000nm以下、更に好ましくは500nm以下である。また好ましい幅方向における配向角の差(配向角の最大値と最小値との差)は、巾方向1.3〜1.5m内において20度以下、更に好ましくは10度以下である。なお、ここで配向角とは、フィルム幅方向0度と主配向方向とのなす角度である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、厚みが好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜50μmである。このような厚みとすることで偏光子保護フィルムとして適した剛性を付与することができ好ましい。また、偏光板を薄膜化することができるため好ましい。
[塗布層]
本発明における塗布層は、バインダー成分としての熱可塑性樹脂、及び架橋剤としてのグリシジルアミン化合物を含有する塗液から形成されてなるものである。
(熱可塑性樹脂)
塗布層においてバインダー成分としての熱可塑性樹脂は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に限定されず、熱可塑性樹脂の採用により塗布層に適度な可塑性、弾力性を付与し、接着性を向上することができる。好ましくは、接着性をさらに向上させる観点から、ポリエステルフィルムと親和性の高い樹脂を採用するとよい。すなわち、バインダー成分としてポリエステル樹脂を採用するなど、ポリエステルフィルムを構成する樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなるバインダー成分を採用することが好ましい。あるいは、ポリエステルフィルムが有する官能基と電気的な結合力等を奏するような官能基を有する熱可塑性樹脂をバインダー成分として採用することも好ましい。例えば窒素原子を有するアクリル樹脂やウレタン樹脂を挙げることができる。バインダー成分としての熱可塑性樹脂としては、接着性に優れるという観点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、中でもポリエステル樹脂が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂は、ポリエステルフィルムの延伸温度より低いガラス転移温度を有することが好ましく、具体的にはガラス転移温度は120℃以下であることが好ましい。
更には、該熱可塑性樹脂は水溶性であることが好ましく、これによりさらに接着性を向上することができる。なお、ここで言う「水溶性」とは、凡そ1重量%以上の樹脂が水と分子レベルで速やかに混合し得ることを言い、いわゆる乳化やエマルジョンなどの分散状態は含まない。具体的には、少なくとも常温で5質量%の樹脂を水に溶解できることを指す。ここで「溶解できる」とは、目視にて樹脂残渣が確認されないことをいう。水溶性については、樹脂5質量%水溶液のヘーズで水溶性を確認することもでき、1cm厚みのヘーズが好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
水溶性熱可塑性樹脂としては、多糖類などの水溶性の天然高分子、水溶性のポリビニルアルコール(好ましくはケン化度が95%以上のもの)、親水基を有するモノマーユニットを所定量以上共重合して水溶性にしたアクリル樹脂、親水基を有する酸成分またはグリコール成分を所定量以上共重合して水溶性にした共重合ポリエステル樹脂などが例示できる。これらの内、基材フィルムとしてのポリエステルフィルムとの親和性の高い水溶性熱可塑性樹脂が接着性向上の観点から好ましく、中でも水溶性アクリル樹脂および水溶性共重合ポリエステル樹脂が好適であり、特に水溶性共重合ポリエステル樹脂が好適である。
上記水溶性アクリル樹脂における親水基を有するモノマーユニットとしては、好ましくはアクリル酸及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート成分を挙げることができる。水溶性アクリル樹脂とするためには、かかる成分を、アクリルポリマーの全モノマーユニット100モル%に対して10モル%以上、好ましくは20モル%以上含有している。また、上記水溶性共重合ポリエステル樹脂における親水基を有する酸成分またはグリコール成分としては、好ましくはスルホン酸塩の基を有する酸成分、より好ましくは金属(好ましくはナトリウム、カリウム)スルホイソフタル酸成分、さらに好ましくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を挙げることができる。水溶性共重合ポリエステル樹脂とするためには、かかる成分を、ポリエステルの酸成分100モル%に対して7モル%以上、好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上含有している。これらの成分を多く含有することにより、水溶性が高まり、さらに優れた接着性を得ることができる。
このようにバインダー成分としての熱可塑性樹脂として水溶性熱可塑性樹脂を採用することにより、かかるバインダー成分と、後述の架橋剤としてのグリシジルアミン化合物とが分子レベルで混合することができ、塗布層においてより緻密な架橋構造を構成することが可能となり、これがさらに良好な接着性に寄与しているものと考えられる。例えばバインダー成分がエマルジョンであると、かかるエマルジョンを破壊しての架橋構造の構築が困難な傾向にあるため、バインダー成分が水溶性である場合に対して塗布層の架橋構造の緻密性は低くなる傾向にあり、それに伴い接着性も低くなる傾向にある。
また、バインダーとしての熱可塑性樹脂の力学的強度が低い場合も、塗布層の破壊により接着性が低下する傾向にあるため、化学組成や重合度を適切に選択することが肝要である。
(グリシジルアミン化合物)
本発明においては、架橋剤としてグリシジルアミン化合物を用いることが必要である。本発明におけるグリシジルアミン化合物は、一分子中に少なくとも1個の3級アミノ基と2個以上のグリシジル基を有する化合物であり、下記式(1)〜(3)に示す構造の化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2014223736
Figure 2014223736
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上記式(1)〜(3)においてジグリシジルアミノ基は、モノグリシジルアミノ基であってもよい。またベンゼン環はナフタレン環であってもよい。ナフタレン環である場合は、例えば上記式(1)においては、モノグリシジルアミノ基またはジグリシジルアミノ基の結合位は、2,6位、2,7位、1,3,6位、1,3,5,7位等であることができる。
上記式(1)においてベンゼン環における結合位は、パラ位であってもよい。また、モノグリシジルアミノ基またはジグリシジルアミノ基がベンゼン環の1,3,5位に結合したものであってもよい。さらに、ベンゼン環には目的を阻害しない限りにおいて炭素数1〜3程度のアルキル基等他の置換基を有していてもよい。
上記式(2)においてシクロヘキサンにおける結合位は、1,4位であってもよい。また、モノグリシジルアミノ基またはジグリシジルアミノ基がシクロヘキサンの1,3,5位に結合したものであってもよい。さらに、シクロヘキサンには目的を阻害しない限りにおいて炭素数1〜3程度のアルキル基等他の置換基を有していてもよい。シクロヘキサンは、炭素数5または7〜12のシクロアルカンであってもよい。
上記式(3)においてベンゼン環における結合位は、それぞれ独立してメタ位であってもよい。また、少なくとも片方のベンゼン環において、モノグリシジルアミノ基またはジグリシジルアミノ基がベンゼン環の3,5位に結合したものであってもよい。さらに、ベンゼン環には目的を阻害しない限りにおいて炭素数1〜3程度のアルキル基等他の置換基を有していてもよい。
偏光子の接着剤としては上述したように活性エネルギー線硬化型接着剤が用いられ、特にエポキシ系接着剤やオキセタニル系接着剤が用いられることが多く、上記架橋剤の分子中のグリシジルアミノ基がこれら接着剤におけるエポキシ基やオキセタニル基に対して易接着成分として有効に作用する。同時にポリエステルフィルムに対しても易接着成分として有効に作用する。また、十分な架橋構造を形成し塗布層の剛性を確保するためには3次元的な架橋構造を有することが好ましく、グリシジルアミノ基の数は3官能以上、更に好ましくは4官能以上である。ここでジグリシジルアミノ基は、(モノ)グリシジルアミノ基が2官能であるとする。他方、グリシジルアミノ基の数が多すぎても架橋構造に寄与しないグリシジルアミノ基が増えることとなり、不必要であり、また残存グリシジルアミノ基が塗布層中に残存することとなり、経時による物性の変化の懸念がある。かかる観点からは、グリシジルアミノ基の数は、好ましくは10官能以下である。
また、上記官能基数とすることで、熱可塑性樹脂との混和性をさらに高めることができ、これによりさらに優れた接着性が得られる傾向にある。特に、熱可塑性樹脂が水溶性熱可塑性樹脂である場合には、上記官能基数であることによって架橋剤成分の水溶性が高まり、混和性はより高くなり、それによりさらに接着性に優れる。また、グリシジルアミノ基と、熱可塑性樹脂の親水性基とのインタラクションによっても、接着性が向上する傾向にある。
(含有割合)
塗布層は、後述するように、塗布層を形成するための各成分を含有する塗液から形成されてなるものである。かかる塗液においては、該塗液の固形分100質量%に対して、上述のグリシジルアミン化合物の含有量は12質量%以上、20質量%以下である。含有量が少なすぎると接着性に劣る。かかる観点から含有量は、好ましくは14質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。他方、含有量が多すぎても架橋密度が過度に高くなり塗膜の靭性が低下する傾向にあり、接着性に劣る傾向となる。かかる観点からは、好ましくは18質量%以下、より好ましくは17質量%以下である。このような含有割合とすることによって、特に近年の偏光板に要求される高い接着性を達成することができる。
また、塗液において上述の熱可塑性樹脂の含有量は、該塗液の固形分100質量%に対して50質量%以上である。熱可塑性樹脂の含有量が少なすぎると接着性に劣る。かかる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。なお、熱可塑性樹脂の上限は特に限定されず、塗液の固形分において、上述したグリシジルアミン化合物を含有し、好ましくは任意に添加してもよいその他の成分を含有し、その余が熱可塑性樹脂となるように配合すればよい。
(その他の成分)
塗布層(塗布層を形成するための塗液)の中には、易滑性を付与するための滑剤成分(滑剤粒子やワックス等)、帯電を防止するための制電剤、塗液を安定化させるための界面活性剤などを必要に応じて加えることが可能である。このようなその他の成分の合計含有量は、接着性をより高くするために、塗液の固形分100質量%に対して好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下にするとよい。界面活性剤の含有量は、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは8〜12質量%である。これにより優れた接着性を付与しながら上記効果を奏することができる。また、滑剤粒子の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。これにより優れた接着性を付与しながら上記効果を奏することができる。また、滑剤粒子は、平均粒子径が好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜60nmである。
(塗布層の厚み)
本発明において塗布層の厚みは、接着性の観点から0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.08μm以上である。他方、塗布層が厚すぎると塗布層の硬化が弱くなる傾向にあり、それによっても接着性の向上効果が低くなる傾向にある。かかる観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。
[フィルムの製造方法]
本発明におけるポリエステルフィルムは、従来公知の溶融押出法によって製造することができる。具体的には、乾燥したポリエステル樹脂組成物ペレットを押出機に供給し、Tダイなどのスリットダイより溶融樹脂を押し出す方法や、ポリエステル樹脂組成物ペレットを供給した押出機にベント装置をセットし、溶融押出時に水分や発生する各種気体成分を排出しながら、同じくTダイなどのスリットダイより溶融樹脂を押出す方法が挙げられる。
スリットダイより押出された溶融樹脂は、キャストされ冷却固化させる。冷却固化の方法は、従来公知のいずれの方法をとっても良いが、回転する冷却用ロール上に溶融樹脂をキャストし、シート化する方法が好適に用いられる。冷却用ロールの表面温度は、樹脂組成物を構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)に対して、(Tg−100)℃〜(Tg+20)℃の範囲に設定するのが好ましい。また冷却用ロールの表面温度は、(Tg−70)℃〜(Tg−5)℃の範囲に設定するのが好ましい。冷却ロールの表面温度が上限を超える場合、溶融樹脂が固化する前に該ロールに粘着することがある。また冷却ロールの表面温度が下限に満たない場合、固化が速すぎて該ロール表面を滑ってしまい、得られるシートの平面性が損なわれることがある。
冷却ロールへのキャスティングの際に、溶融樹脂が冷却ロール上へ着地する位置近傍に金属ワイヤーを張り、電流を流すことで静電場を発生させ樹脂を帯電させて、冷却ロールの金属表面上への密着性を高めることもフィルムの平面性を高める観点から有効である。その際、樹脂組成物中に、本発明の趣旨を超えない範囲で電解質性物質を添加してもよい。
溶融押出キャスティングにより得られたシート状物は、少なくとも一方向に延伸することにより、フィルムの光学特性および機械特性を本発明の目的と合致させることができ、すなわち偏光子保護フィルムとして好適である。延伸はタテ方向(製膜機械軸方向のこと。MD方向または長さ方向ともいう。)、ヨコ方向(製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のこと。TD方向または幅方向ともいう。)いずれか一方向に延伸する一軸延伸でも、タテ、ヨコ方向とも延伸する二軸延伸でも良い。リターデーションを高めて干渉色の影響を低減させるためには、一軸延伸が好ましく、この場合、特に生産性の観点からヨコ方向のみに延伸することが好ましい。
かかる延伸の方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば縦方向に延伸する場合は、2個以上のロールの周速差を用いて延伸する方法、横方向に延伸する場合には、クリップなどにより端部を把持する方式のテンターオーブン中で入側と出側のクリップ搬送レール間隔に差をつけて延伸する方法が挙げられる。さらに、縦、横の二方向に延伸する場合は、縦、横両方向を逐次に延伸しても良いし、同時に縦、横方向に延伸する方法で延伸してもよい。ロールを用いる延伸方法において、シート状物(未延伸フィルム)の加熱方法は、熱媒を通したロールで誘導加熱する方法、赤外加熱ヒーターなどで外部から加熱する方法が例示され、一つないし複数の方法をとってよい。
本発明におけるフィルム延伸温度(Td)は、Tg〜(Tg+60℃)の温度とするのが好ましい。フィルムの延伸温度がTgに満たない場合は、延伸自体が困難であり、一方延伸温度が(Tg+40℃)を超える場合は、延伸に要する応力が極端に低くなってしまうため、分子鎖の配向が不足し、上述したような諸特性を確保できなくなってしまうことがある。延伸温度のより好ましい範囲は、Tg〜(Tg+40℃)である。
延伸を行うに際し、フィルムTD方向およびフィルムMD方向の延伸倍率は、各々の延伸方向において3.0を超え7.0以下であることが好ましい。一軸延伸の場合は、好ましいリターデーションの態様とする観点にて、縦延伸倍率が好ましくは1.0〜1.5倍、より好ましくは1.1〜1.3倍、横延伸倍率が好ましくは3.5〜5.5倍、さらに好ましくは4.0〜5.0倍、特に好ましくは4.2〜4.8倍である。
またTD方向の配向度、配向角ばらつきを良好なものとするために、ボウイングを抑制し、延伸ムラを極力小さくすることが重要である。例えばオーブン内の温度分布を均一化する、熱固定温度を低くしてボウイングを抑える、延伸後に張力をかけて配向を揃える、などの方策が有効である。
本発明における塗布層は、ポリエステルフィルムの製膜工程中、インラインで塗布して形成することができ、生産性、接着品質の両面から重要である。コーティングは従来公知の方法で行うことができ、例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用すればよい。グラビアコート方式が塗布均一性に優れるため特に好ましい。
より良好な接着性を得るためには塗布タイミングが重要であり、延伸が完全に完了する前に塗布することが好ましい。具体的にはキャスト・冷却後または、一軸延伸後に塗布することが好ましい。これによりポリエステルフィルム表面が配向により不活性になる前に塗工することができ、ポリエステルフィルムと塗布層との接着性を高くすることができる。また延伸、熱固定工程で高温の熱履歴を受けることで十分に架橋が進行し、強固な塗布層が形成され、接着性が向上する。
[活性エネルギー線硬化型接着剤]
本発明においては、上述した積層フィルムの塗布層上に活性エネルギー線硬化型接着剤を積層して、積層体として用いることができる。
本発明において活性エネルギー硬化型接着剤とは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化して接着性を発現することのできる接着剤である。好ましくは露光作業の安全性や装置の簡便性の観点から紫外線硬化型接着剤である。特に本発明の積層フィルムを偏光子保護フィルム用として用いるに際しては、PVA偏光子との接着性に優れることが必要であり、エポキシ基を含有するエポキシ系接着剤やオキセタニル基を含有するオキセタニル系接着剤が好ましい。このような接着剤の採用は、偏光子との接着性に優れ、また本願発明における塗布層が特に優れた接着性を示すため好ましい。
本発明において好ましく用いることの活性エネルギー線硬化型接着剤として、特開2011−236389号公報、特開2012−7080号公報、特開2012−13198号公報、特開2012−172026号公報に開示の接着剤を例示することができる。
[偏光板]
本発明の易接着性積層フィルムを偏光子の支持基材(偏光子保護フィルム)として用い、偏光子と活性エネルギー線硬化型接着剤を介して複合化させることで偏光板を製造することができる。偏光子は、ポリビニルアルコール樹脂フィルムを二色性物質で染色し一軸延伸したものが用いられる。このポリビニルアルコール樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコールの重合度は、親水性樹脂を構成するビニルアルコール系重合体の場合と同様に、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、公知の方法(例として、樹脂を水又は有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法など)で成形することができる。二色性分子は特に限定されないが、一般的にポリヨウ素イオンが用いられる。またフィルム状偏光子素材として、多くの場合はポリビニルアルコールフィルムが用いられる。
また、偏光子との貼り合わせにおいて、偏光子の両側に貼り合せる支持基板のうち、一方のみに本発明のフィルムを用いてもよく、両方に用いてもよい。液晶表示装置において液晶パネルの両側に配される2枚の偏光板の内側の支持基板への適用は、可能であるが、ポリエステルフィルムのリターデーションによる視認性への影響が大きいため、外側への適用が好ましい。よって偏光板としては、一方の支持基板として本発明のフィルムを用いることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における評価は下記の方法に従った。
1.接着性
積層フィルムの塗布層上に接着剤を塗布したサンプルを用い、接着剤層に碁盤目のクロスカット(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
○:剥離面積が20%未満……接着性良好
△:剥離面積が20%以上50%未満……接着性やや良好
×:剥離面積が50%以上……接着性不良
2.水溶液のヘーズ
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して測定した。なお、測定には1cm厚みの透明セルを用いた。
また塗布層に使用した構成成分は以下の通りである。
(バインダー成分:ポリエステル樹脂A)
酸成分がテレフタル酸85モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸15モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(ガラス転移温度75℃)。なお、かかるポリエステルは、常法に従い下記の通り製造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、エチレングリコール、ジエチレングリコールをそれぞれ上記の構成比となるように計量して反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。
表1中ではPS−Aと記載する。
ポリエステル樹脂Aは、ロールミルで微粉砕した後、5質量%で常温の水に攪拌するだけで完全に溶解した(残渣は確認されなかった)。すなわちポリエステル樹脂Aは水溶性である。
(バインダー成分:ポリエステル樹脂B)
酸成分がテレフタル酸95モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(ガラス転移温度72℃)。なお、ポリエステル樹脂Bは下記の通りに製造した。
テレフタル酸ジメチル56部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで攪拌器のモータートルクの高い重合釜で反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度が0.57のポリエステル樹脂Bを得た。
ポリエステル樹脂Bは、ロールミルで微粉砕した後、5質量%となるように常温の水中で攪拌したが、残渣が残り水に溶解しなかった。すなわちポリエステル樹脂Bは非水溶性である。
このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去して、ポリエステル樹脂Bの水分散体を得た。
表1中ではPS−Bと記載する。
(バインダー成分:アクリル樹脂A)
アクリル樹脂Aは以下の共重合成分で構成されている。
メチルメタクリレート40モル%/エチルアクリレート45モル%/アクリロニトリル10モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%
表1中ではAC−Aと記載する。
アクリル樹脂Aは、ロールミルで微粉砕した後、5質量%となるように常温の水中で攪拌したが、残渣が残り水に溶解しなかった。すなわちアクリル樹脂Aは非水溶性である。なお、ポリエステル樹脂Bと同様にして水分散体として用いた。
(バインダー成分:アクリル樹脂B)
アクリル樹脂Bは以下の共重合成分で構成されている。
メチルメタクリレート65モル%/エチルアクリレート28モル%/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%
表1中ではAC−Bと記載する。
アクリル樹脂Bは、ロールミルで微粉砕した後、5質量%となるように常温の水中で攪拌したが、残渣が残り水に溶解しなかった。すなわちアクリル樹脂Bは非水溶性である。なお、ポリエステル樹脂Bと同様にして水分散体として用いた。
(架橋剤:グリシジルアミン化合物)
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン
表1中ではGAと記載する。
(架橋剤:ブロックドイソシアネート)
旭化成ケミカルズ社製 デュラネートMF−B60Bを常法に従い水分散体として使用した。
表1中ではBIと記載する。
(架橋剤:オキサゾリン化合物)
日本触媒社製 エポクロスWS−700
表1中ではOXと表記する。
(界面活性剤)
三洋化成工業社製 サンノニックSS−70
表1中ではSAと表記する。
(フィラー)
日産化学工業社製 スノーテックス(平均粒子径40nm)
表1中ではFLと表記する。
[実施例1]
<積層フィルムの製造>
固有粘度が0.60dL/gのポリエチレンテレフタレート(Tg=78℃)のペレットを、120℃の温度で予備乾燥した後、エクストルーダーを用いて290℃の温度で溶融し、スリット状のダイを通してキャスティングドラム上に押し出して冷却した。得られた未延伸フィルムは連続して延伸工程に送られ、縦方向に1.2倍に延伸した後、表1の易接着剤Aとして示す固形分比率となるように各成分を混合し、イオン交換水で希釈して固形分濃度=4質量%とした塗液Aをグラビアロールコーターを用いて、片面に塗布した。塗布厚みは乾燥後0.1μmになるように調整した。
引き続き、塗布したフィルムの両端をクリップで掴み、100℃で2分間予熱したのち、115℃の温度雰囲気下で横方向に4.5倍に延伸し、続けて170℃で2分間熱固定を行い、塗布層を有する延伸フィルム(積層フィルム)を得た。得られた積層フィルムの厚みは40μmであった。
<積層体の製造>
次いで、特開2012−172026号公報の実施例1に記載されている活性エネルギー線硬化型接着剤を上記フィルムの塗布層上に、塗布厚みが3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、メタルハライドランプにより500mJ/cmの照射量となるように紫外線照射して硬化させ、積層フィルムに接着剤層を設けた積層体を得た。紫外線照射後、2時間エージングしたのち、接着性の評価を実施した。その結果を表2に示す。
なお、上記活性エネルギー線硬化型接着剤は、以下のようにして得た。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業製:2021P)100質量部に対し、光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製:CPI−110P、p−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムPF6塩)を2部、アクリルポリマーとして下記のアクリルポリマーを固形分で0.3質量部を混合し、カチオン硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
(アクリルポリマー)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにメチルイソブチルケトン100質量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からグリシジルメタクリレート10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート40質量部、n−ブチルアクリレート50質量部、過酸化ベンゾイル3質量部の混合物を2時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ、不揮発分50%のアクリルポリマー溶液を得た。
[実施例2〜5、比較例1〜6]
塗液の構成成分を、それぞれ表1、2に記載の易接着剤に変えた以外は実施例1と同様に積層フィルムおよび積層体を得て、接着性の評価を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 2014223736
表1において括弧内の数値は、固形分100質量%に対する固形分質量比率(質量%)を表わす。
Figure 2014223736
<偏光板の製造>
上記実施例1〜5および比較例1〜6で得られた積層フィルムの塗布層上に、上記実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布し、その上にPVA偏光子を貼り合わせ、メタルハライドランプにより500mJ/cmの照射量となるように紫外線照射して接着剤を硬化させ、偏光板を得た。紫外線照射後、2時間エージングしたのち、90度剥離試験を実施した。
実施例1〜5で得られた積層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板は、偏光子保護フィルムとPVA偏光子との接着強度が高く、剥離が困難であった。この内実施例4および5で得られたフィルムは、やや接着強度の低いものであった。これに対して比較例1〜6で得られた積層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板は、偏光子保護フィルムとPVA偏光子との接着強度が低く、PVA偏光子から容易に剥離することができた。
本発明の易接着性積層フィルムは、活性エネルギー線硬化型接着剤との接着性に優れる。そのため、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて偏光子に貼り付けて用いられる偏光子保護フィルムとして好適に用いることができ、その産業上の利用価値は高い。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂と架橋剤とを含有する塗液から形成されてなる塗布層を有する積層フィルムであって、
    上記熱可塑性樹脂は、上記塗液の固形分に対する含有量が50質量%以上であり、
    上記架橋剤は、グリシジルアミン化合物であり、上記塗液の固形分に対する含有量が12〜20質量%である、
    活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
  2. 上記熱可塑性樹脂が水溶性熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
  3. 上記熱可塑性樹脂が水溶性ポリエステル樹脂である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
  4. 偏光子保護フィルム用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤用易接着性積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の易接着性積層フィルムの塗布層上に活性エネルギー線硬化型接着剤を積層した積層体。
  6. 請求項5に記載の積層体と、その活性エネルギー線硬化型接着剤の上に貼り合わされた偏光子とからなる偏光板。
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