以下、図面を参照して、本発明の最良の形態を説明する。図1は、本実施形態に係る複合機1の概略構成図である。複合機1は、給紙トレイ21に収納された用紙を給紙ローラ22で一枚ずつ送り出す給紙部2と、給紙部2から送り出された用紙をレジストローラ23で転写部3に送り出す用紙送出部と、レジストローラ23により送り込まれた用紙にトナー像を形成する転写部3と、転写部3により形成されたトナー像を用紙に定着させる定着部4と、定着部4によりトナー像を定着した用紙を送込ローラ24で後処理部7に送り込む送込部と、定着部4でトナー像を定着した用紙を反転させて再びレジストローラ23に送り出す再給紙部と、を備えて構成されている。また、複合機1は、複写や印刷の設定情報等を入力するための操作・表示部5と、原稿読取面上の原稿の画像を読み取る読取部6と、送込部から送り込まれた用紙をそのまま又は後処理して排紙トレイ72a,72bに排紙する後処理部7と、上述した各部を制御してジョブを実行する制御部11と、制御部11による処理に用いる情報の記憶される記憶部12と、を備えている。
給紙部2が備える各給紙トレイ21には、複数のサイズの中の何れか1サイズの用紙が、縦向き又は横向きにそれぞれ積層されて収納される。給紙トレイ21は、底板の給紙ローラ22側の端部21aを昇降自在に構成されている。給紙部2は、給紙時には給紙トレイ21に積層された最も上側の用紙が給紙ローラ22による所定の送出位置に位置するまで、給紙トレイ21の底板の端部21aを上昇させ、給紙後には元の位置にまで降下させる。また、給紙部2には、給紙トレイ21に収納された用紙の残量を検知するための残量センサ(不図示)が、各給紙トレイ21毎に備えられている。残量センサは、給紙トレイ21の底板の端部21aの上昇量又は位置を検知する。給紙部2は、給紙トレイ21に収納された用紙を給紙ローラ22で1枚ずつ抜き出し、所定のタイミングでレジストローラ23に送り出す。このタイミングは、レジストローラ23に先に送り出した用紙が転写部3に送り込まれるタイミングに設定されているが、両面印刷時のように再給紙部からの給紙が行われるときには、その給紙タイミングとの同期が図られる。また、両面印刷から片面印刷への切換時のように、再給紙部からの給紙を終了する場合には、再給紙部からの給紙が完了するまで、給紙部2からの給紙が中断される。
転写部3は、静電潜像を形成される感光ベルト31と、感光ベルト31にトナー像を形成する現像ユニット32と、感光ベルト31上のトナー像を用紙に転写する転写ベルト33及び転写ローラ34と、を備えている。現像ユニット32は、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の各トナー毎に設けられており、それぞれトナーを収容したトナーカートリッジを備えている。転写部3は、モノクロ印刷時にはブラックの現像ユニット32の現像ローラのみを、カラー印刷時には全色の現像ユニット32の現像ローラを、それぞれ感光ベルト31に接触させている。モノクロ印刷とカラー印刷とでジョブが切り換えられる際には、イエロー,マゼンダ,シアンの現像ユニット32の現像ローラを、感光ベルト31と離接させる機械的動作が行われる。また、カラー印刷への切換時には、カートリッジ内のトナーの撹拌も行われる。転写部3は、感光ベルト31上の静電潜像を現像ユニット32で現像して転写ベルト33に転写する動作を、モノクロ印刷時にはブラックの現像ユニット32について、また、カラー印刷時には画像形成に用いる各現像ユニット32毎に繰り返し行い、転写ベルト33に形成されたトナー像を用紙に転写する。
定着部4は、ヒートローラ41及びプレッシャローラ42と、ヒートローラ41を加熱する加熱器(不図示)とを備えており、加熱器で加熱したヒートローラ41にプレッシャローラ42を押し付けて両ローラで用紙を挟み込み、用紙に付着したトナーを加熱・圧縮することにより、用紙にトナー像を定着させる。
再給紙部は、用紙を一時的に中間トレイ26に収納して反転させる反転ローラ25と、反転ローラ25で反転させた用紙をレジストローラ23に送り出す再給紙ローラ27と、定着部4から排出された用紙を反転ローラ25又は送込ローラ24に切り換えて送り出すフラッパ(不図示)とを備えている。再給紙部は、片面印刷時には送込ローラ24に、両面印刷時には反転ローラ25に、それぞれフラッパによる用紙の送出方向を切り換える機械的動作を行い、両面印刷時にはフラッパで送出された用紙を反転ローラ25で中間トレイ26に収納して反転させた後、再給紙ローラ27でレジストローラ23に送り出す。反転ローラ25及び再給紙ローラ27による用紙の搬送経路は、両面印刷用の搬送経路を構成している。
操作・表示部5は、複写や印刷の設定操作を行うための操作部と、設定項目や案内等の表示を行う表示部とを備えている。操作・表示部5の操作により決定される設定項目には、用紙のサイズや向き、モノクロ・カラーの別を表す印刷色、片面・両面の別を表す印刷面、部数、後処理の有無や種類を表す後処理等があり、決定された設定に応じたジョブが実行される。操作・表示部5は、操作部の操作で入力された設定情報を制御部11に供給する。
読取部6は、読取対象の原稿サイズ及び向きをセンサ61での検出結果に基づき特定すると共に、オートシートフィーダ62により原稿読取面に搬送され、又は、原稿読取面に直接載置された原稿をスキャナ63で走査して、原稿画像を読み取る。また、読取部6は、スキャナ63で読み取った原稿画像の画像データ及びセンサ61で検出した原稿サイズ及び向きの設定情報を制御部11に供給する。
後処理部7は、集合整理,ステイプル等の後処理を用紙に施す処理部71と、送込部から送り込まれた用紙を処理部71へ又は排紙トレイ72aに切り換えて送り出すフラッパ(不図示)と、を備えている。排紙トレイ72aには、処理部71により後処理されない用紙が、排紙トレイ72bには後処理された用紙が、それぞれ排紙される。後処理部7は、送込部から送り込まれた用紙に後処理をするときには処理部71へ、後処理をしないときにはそのまま排紙トレイ72aに、それぞれフラッパによる用紙の送出方向を切り換える機械的動作を行い、後処理時にはフラッパで送出された用紙に処理部71で後処理をした後、排紙トレイ72bに排紙する。
制御部11は、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えた電子回路から構成されている。制御部11は、読取部6から又はケーブルを介してパソコン(不図示)から入力されたジョブデータを記憶部12に記憶し、必要に応じて記憶部12から読み出してジョブの実行に必要な情報を特定し、各部の動作を制御する。また、制御部11は、ジョブデータを記憶部12に記憶したジョブの実行順番を、ジョブデータの入力開始順序に従い定める。記憶部12に記憶されたジョブは、実行順番の早い順に1つずつ実行されていき、何れかのジョブについて実行が開始されると、残りのジョブの実行順番が1つずつ繰り上がる。
また、制御部11は、ジョブの実行前に後述する実行順序入替処理(図5,図6参照)を行う。実行順序入替処理において、制御部11は、ジョブの実行を完了させるのに十分な量の用紙及びトナーがあるジョブを、十分な量の用紙又はトナーのないジョブよりも優先して実行する。ジョブの実行に用いる使用用紙量は、ジョブ設定情報に含まれる印刷頁数及び印刷面に基づき定められる。また、ジョブの実行に用いる使用トナー量は、画像データ、及び、設定情報に含まれる用紙サイズに基づき定められる。具体的には、各現像ユニット32で感光ベルト31にトナー像を形成するのに用いるのと同様の情報を、記憶部12に記憶された画像データから各トナー種別毎に取得し、トナー像を構成するドット数に基づき、各トナー像の形成に用いられるトナー量を特定する。これをジョブの実行に用いる全ての画像データについて行い、使用トナー量を特定する。また、実行順序入替処理において、制御部11は、トナーエンプティ信号の出力されているトナーを用いないジョブを、この種別のトナーを用いるジョブよりも優先して実行する。トナーエンプティ信号は、トナー量の初期値と使用トナー量の累計値とに基づき定められて後述のトナー残量情報(図4参照)として記憶されたトナー残量が、所定のトナーエンプティ値以下になるトナーエンプティ条件を満たすと出力される信号である。トナーエンプティ値は、転写部3が備えるブラック,シアン,マゼンダ,イエローの各トナー種別毎に定められており、トナー種別毎にトナーエンプティ信号が出力される。また、実行順序入替処理において、制御部11は、ジョブの実行に用いる用紙搬送経路(片面又は両面の印刷面)、トナーの種別(モノクロ又はカラーの印刷色)、又は用紙排出先(後処理の有無又はその種別)が現在実行中のジョブと同じジョブを、実行中ジョブと異なる他のジョブよりも優先して実行する。
記憶部12は、記憶装置(ROM,RAM)や大容量記憶装置(ハードディスク)等を備え、制御部11にジョブを実行させる複合機用アプリケーションプログラムを格納している。記憶部12には、制御部11が定めたジョブの実行順番を表す実行順番情報や、「実行中」,「待機中」,「保留中」等のジョブの置かれている状況を表すジョブ状況情報の他、後述するジョブ設定情報(図2参照),用紙残量情報(図3参照),トナー残量情報(図4参照)が記憶される。また、記憶部12には、後述する実行順序入替処理(図5,図6参照)で、実行中ジョブと用紙搬送経路が同じ待機中ジョブに付与する搬送路同情報、トナー種別が同じ待機中ジョブに付与するトナー同情報、用紙排出経路が同じ待機中ジョブに付与する排出路同情報、用紙搬送経路、排出経路、及びトナー種別の比較が済んだ待機中ジョブに付与する判別済情報が記憶される。
図2は、記憶部12に記憶されるジョブ設定情報の一例を概念的に示す図である。
ジョブ設定情報は、操作・表示部5や読取部6やパソコン(不図示)から入力された設定情報から構成されており、画像形成に用いる画像データと共にジョブデータを構成している。同図に示すように、ジョブ設定情報は、ジョブ名,ジョブ実行に用いる用紙サイズ・向きの用紙の属性,印刷頁数,印刷色,印刷面,印刷部数、後処理等の情報から構成されている。同図に示す例では、ジョブAについて、用紙サイズ「A4」,用紙向き「縦」,頁数「10」,印刷色「モノクロ」,印刷面「片面」,部数「1」,後処理「有」を表す情報が、ジョブ設定情報として記憶されている。記憶部12にジョブデータの記憶されている他のジョブ(同図に示す例ではジョブB〜ジョブE)についても、ジョブAと同様にジョブ設定情報が記憶されている。ジョブの実行時には、このジョブ設定情報が参照され、「用紙サイズ」及び「用紙向き」の用紙の属性に基づき定められる給紙トレイ21から、「頁数」及び「印刷面」に基づき特定される枚数の用紙が転写部3に順次供給され、「印刷面」に示される用紙面に、それぞれ「印刷色」に基づき定められるトナーを用いて印刷が行われ、「後処理」を必要とするものは後処理後に、不要なものはそのまま排紙トレイ72a,72bに排出される。また、後述する実行順序入替処理(図5,図6参照)では、実行中ジョブと比較ジョブとで「モノクロ」・「カラー」の印刷色の情報が同じであるか、「片面」・「両面」の印刷面の情報が同じであるか、また、後処理「有」・後処理「無」の後処理の情報が同じであるかが判別される。
図3は、記憶部12に記憶される用紙残量情報の一例を概念的に示す図である。
用紙残量情報は、給紙部2が備える各給紙トレイ21毎に、トレイ種別と用紙残量とを対応づけて記憶した情報である。用紙残量は、給紙トレイ21に現在収納されている用紙枚数を表す情報である。同図に示す例では、サイズA4の用紙を縦向きに収納する「トレイ1」について、用紙の残量が「a1」枚であることを表す情報が記憶されている。給紙部2が備える「トレイ2」〜「トレイ5」の各トレイについても、「トレイ1」と同様に用紙残量が「a2」枚〜「a5」枚であることを表す用紙残量情報が記憶されている。
用紙残量は、上述した給紙部2が備える残量センサでの検出値に基づき、記憶部12に記憶された用紙残量特定情報を参照して特定される。用紙残量特定情報は、残量センサでの検出値と、用紙の残量枚数とを対応付けて記憶した情報であり、用紙残量特定情報において残量センサでの検出値に対応付けられた残量枚数が、用紙残量枚数として特定される。各給紙トレイ21についての用紙残量は、ジョブの実行や用紙補給等に伴い収納した用紙枚数が変動するのに応じて変化する。後述する実行順序入替処理(図5,図6参照)では、ジョブ設定情報に定められる条件を満たした給紙トレイ21について、用紙残量情報が参照され、ジョブの実行を完了させるのに十分な枚数の用紙があるかが判別される。
図4は、記憶部12に記憶されるトナー残量情報の一例を概念的に示す図である。
トナー残量情報は、転写部3が備えるブラック,シアン,マゼンダ,イエローの各トナーを収容するトナーカートリッジ毎に、トナー種別とトナー残量とを対応づけて記憶した情報である。トナー残量は、各トナーカートリッジに現在収納されているトナーの残量を表す情報であり、本実施形態では、トナーの残量重量を表す情報が記憶されている。同図に示す例では、「ブラック」のトナーカートリッジについて、トナーの残量が「b1」であることを表す情報が記憶されている。また、「シアン」,「マゼンダ」,「イエロー」の各トナーカートリッジについても、「ブラック」のトナーカートリッジと同様に、トナー残量が「b2」〜「b4」であることを表す情報が記憶されている。
トナー残量は、記憶部12に記憶された各トナーカートリッジに収納されるトナー量の初期値と、初期値の記憶後に実行された各ジョブでの上述した使用トナー量の累計値とに基づき定められる。つまり、トナー量の初期値から使用トナー量の累計値を減算したものが、トナー残量として特定される。各トナーカートリッジについてのトナー残量は、ジョブの実行やカートリッジの交換等に伴いトナーカートリッジに収納されたトナー残量が変動するのに応じて変化する。後述する実行順序入替処理(図5,図6参照)では、ジョブ設定情報に定められる印刷色に対応する種別のトナーカートリッジについて、トナー残量がジョブの実行を完了させるのに十分な量を満たしているかが判別される。
次に、ジョブデータを入力された複合機1が、ジョブを実行する際の動作を説明する。
原稿を読み取った読取部6又はパソコン(不図示)からジョブデータが入力されると、制御部11は、入力されたジョブデータを記憶部12に記憶する。制御部11は、ジョブデータを記憶部12に記憶するジョブについて、ジョブデータの入力開始順序に従いジョブ実行順番を定めると共に、「待機中」のジョブ状況情報を付与する。ジョブデータが新たに入力され、若しくは、「保留中」のジョブについて保留が解除されて「待機中」ジョブが生じると、又は、「実行中」ジョブが新たに生じたときに「待機中」ジョブが存在すると、実行順序入替処理が実行される。なお、「保留中」は、ジョブの実行に用いる用紙若しくはトナーの残量が、ジョブの実行を完了させるのに十分な量に満たなくて、又は、ジョブの実行に用いるトナーの何れかについてトナーエンプティ信号が出力されていて、ジョブの実行が保留された場合に付与される。
図5及び図6は、制御部11により実行される実行順序入替処理の概略を示すフローチャートである。
この実行順序入替処理では、制御部11は、実行順番の最も早いジョブ、つまり、実行順番1のジョブについてジョブ設定情報を取得し(ステップ(以下,S)1,図5参照)、取得したジョブ設定情報に基づき各部の制御に用いる情報を特定する。例えば、ジョブ設定情報に定められた用紙サイズ,用紙向きに基づき給紙に用いる給紙トレイ21の種別を決定し、印刷色に基づき転写部3での転写に用いるトナーの種別を決定し、印刷面に基づき用紙の搬送経路(片面印刷用の経路のみか、両面印刷用も含むか)を決定する。
次に、制御部11は、ジョブ設定情報を取得したジョブについて、ジョブの実行が保留されているか否かを判別する(S2)。この判別が“NO”だと、制御部11は、ジョブの実行に用いる給紙トレイ21について、記憶部12に記憶された用紙残量情報(図3参照)を参照して、ジョブの実行に用いる使用用紙量と給紙トレイ21の用紙残量とを比較し(S3)、ジョブの実行を完了させるのに十分な量の用紙があるか否かを判別する(S4)。
給紙トレイ21に十分な量の用紙がありS4の判別が“YES”の場合、制御部11は、ジョブの実行に用いるトナーの現像ユニット32について、トナーエンプティ信号が出力されていないか否かを判別する(S5)。トナーエンプティ信号の出力がなくてS5の判別が“YES”の場合、制御部11は、記憶部12に記憶したトナー残量情報を取得して、ジョブの実行に用いる使用トナー量とカートリッジのトナー残量とを比較し(S6)、ジョブの実行を完了させるのに十分な量のトナーがあるか否かを判別する(S7)。用紙及びトナーの何れかがジョブの実行を完了させるのに十分な量を満たさず、又は、何れかのトナーについてトナーエンプティ信号が出力されていて、S4,S5,又はS7の判別が“NO”である場合には、制御部11は、そのジョブのジョブ状況情報を「待機中」から「保留中」に変更して、ジョブの実行を保留する(S8)。この保留は、不足していた用紙やトナーが補給されたと判別されると別途実行される上記S3〜S7と同様の処理で、ジョブの実行を完了させるのに十分な量を満たし、又は、トナーエンプティ信号が出力されていないと判別されると解除される。
ジョブの実行が保留されていてS2の判別が“NO”であり、又は、S8でジョブの実行が保留されると、制御部11は、次の実行順番のジョブがあるか否かを判別する(S9)。この判別が“YES”だと、制御部11は、次の実行順番のジョブのジョブ設定情報を取得して(S10)、S2〜S9までの上述の処理を繰り返す。これにより、ジョブの実行を完了させるのに十分な量の用紙若しくはトナーがなく、又は、ジョブ実行に用いるトナーについてトナーエンプティ信号が出力されているジョブについては、その補給が行われるまでジョブの実行が保留され、十分な量の用紙及びトナーのある他のジョブが優先して実行されることとなる。
用紙及びトナーの何れもジョブの実行を完了させるのに十分な量を満たしており、更に、ジョブの実行に用いる全てのトナーについてトナーエンプティ信号が出力されておらずにS7の判別が“YES”の場合、制御部11は、現在実行中のジョブがあるか否かを判別する(S11)。この判別が“YES”の場合、制御部11は、取得したジョブ設定情報に基づき決定された用紙の搬送経路を比較する。つまり、取得したジョブ設定情報に定められた印刷面と、実行中ジョブについての印刷面とを比較する(S12,図6参照)。そして、比較ジョブ実行の際に、用紙の搬送経路を切り換えずに済むか否か、つまり、両ジョブの印刷面が同じであるか否かを判別する(S13)。この判別は、例えば、実行中ジョブの印刷面が「両面」で片面印刷用の他に両面印刷用の搬送経路も用いる場合には、比較ジョブの印刷面も「両面」であると“YES”となるのに対し、片面印刷用の搬送経路のみ用いられる「片面」であると“NO”となる。
S13の判別が“YES”の場合、制御部11は、用紙搬送経路が同じであることを表す「搬送路同情報」を比較ジョブに付与する(S14)。S13の判別が“NO”の場合、又は、S14の処理の後、制御部11は、取得したジョブ設定情報に基づき決定されたトナー種別と、実行中ジョブで用いられるトナー種別とを比較する。つまり、取得したジョブ設定情報に定められた印刷色と、実行中ジョブについての印刷色とを比較する(S15)。そして、比較ジョブの実行の際に、使用トナー種別を切り換えずに済むか否か、つまり、両ジョブの印刷色が同じであるか否かを判別する(S16)。この判別は、例えば、実行中ジョブの印刷色が「モノクロ」でブラックのトナーのみが用いられる場合には、比較ジョブの印刷色が「モノクロ」であると“YES”となるのに対し、ブラックの他にシアン,マゼンダ,イエローのトナーも用いられる「カラー」であると“NO”となる。
S16の判別が“YES”の場合、制御部11は、トナー種別が同じであることを表す「トナー同情報」を比較ジョブに付与する(S17)。S16の判別が“NO”の場合、又は、S17の処理の後、制御部11は、取得したジョブ設定情報に基づき決定された用紙排出経路(用紙排出先)と、実行中ジョブでの用紙排出経路とを比較する。つまり、取得したジョブ設定情報に定められた後処理の種別と、実行中ジョブについての後処理の種別とを比較する(S18)。そして、比較ジョブの実行の際に、用紙排出経路を切り換えずに済むか否か、つまり、両ジョブの後処理で用いられる用紙排出経路が同じであるか否かを判別する(S19)。この判別は、例えば、実行中ジョブの後処理の種別が後処理「有」で送込ローラ24から排出された用紙が処理部71を介して排紙トレイ72bに排紙される場合には、比較ジョブの後処理の種別が後処理「有」であると“YES”となるのに対し、処理部71を介さずに直接排紙トレイ72aに排紙される後処理「無」であると“NO”となる。
S19の判別が“YES”の場合、制御部11は、用紙排出経路が同じであることを表す「排出路同情報」を付与する(S20)。S19の判別が“NO”の場合、又は、S20の処理の後、制御部11は、実行中ジョブと比較ジョブとで用紙搬送経路、用紙排出経路、又はトナー種別が同じであるか、つまり、搬送路同情報、排出路同情報、又はトナー同情報が、比較ジョブに付与されているか否かを判別する(S21)。実行中ジョブと比較ジョブとで用紙搬送経路,用紙排出経路,及びトナー種別が異なってS21の判別が“NO”の場合、制御部11は、S21までの処理が既に行われたことを示す「判別済情報」を比較ジョブに付与する(S22)。ジョブ設定情報を取得したジョブについて、一度S21までの処理が行われて「判別済情報」が付与されている場合には、用紙搬送経路、トナー種別、用紙排出経路に関するS13,S16,及びS19の判別を行わず、S7の判別が“YES”であることを条件に、実行中ジョブの処理終了後に比較ジョブがそのまま実行される。「判別済情報」は、何れかのジョブについてS24の処理が行われ、次に実行するジョブが決定されると削除される。また、「搬送路同情報」,「トナー同情報」,及び「排出路同情報」は、比較ジョブについてS21の判別が“YES”となり、S24の処理が行われると削除される。
S22の処理の後、制御部11は、次の実行順番のジョブがあるか否かを判別する(S23)。この判別が“YES”だと、制御部11は、処理をS10に移して次の実行順番のジョブのジョブ設定情報を取得し、以降上述の処理を繰り返す。一方、判別が“NO”だと、制御部11は、処理をS1に移し、実行順番1のジョブから順に、上述の処理を繰り返す。これにより、ジョブの実行に用いられる用紙搬送経路,用紙排出経路,又はトナーの種別が、実行中ジョブと同じジョブが見つかるまで、上述の処理が繰り返され、記憶部12に記憶された全てのジョブについてS13,S16,及びS19の判別が行われて「処理済」情報の付加が行われると、実行順番の最も早い「待機中」のジョブが実行されることとなる。
ジョブの実行完了に十分な用紙及びトナーがあり、また、ジョブの実行に用いるトナーの中にトナーエンプティ信号の出力されているものがない場合に、実行中のジョブがなくてS11の判別が“NO”となると、実行中ジョブと比較ジョブとで用紙搬送経路,用紙排出経路,又はトナー種別が同じでS21の判別が“YES”の場合、制御部11は、実行中ジョブがあればその終了後に、なければ直ちに比較ジョブのジョブ状況情報を「待機中」から「実行中」に変更してジョブを実行する(S24)。これにより記憶部12に記憶されている他のジョブの実行順番が繰り上げられる。ジョブ設定情報を取得したジョブについて実行が保留され且つ次の実行順序のジョブがなくてS9の判別が“NO”の場合、又は、S24の処理が行われると、実行順序入替処理は終了する。
このようにして実行される実行順序入替処理により、記憶部12に記憶された各ジョブの実行順序の入れ替えの一例について説明する。図7及び図8は、実行順序入替処理(図5,図6参照)と記憶部12に記憶されたジョブの取り扱いとの関係を説明する図である。
図7及び図8には、記憶部12にジョブデータの記憶された各ジョブについて、実行順番と、ジョブ設定情報と、ジョブ状況情報と、処理に用いられる他の情報とが、それぞれ示されている。ジョブ設定情報としては、ジョブ名,ジョブ実行に用いる給紙トレイ種別,印刷色,印刷面,後処理の各情報が示されている。同図に示す例では、ジョブAについて、トレイ種別「トレイ1」,印刷色「モノクロ」,印刷面「片面」,後処理「無」のジョブ設定情報が、また、「実行中」のジョブ状況情報が示されている。記憶部12に記憶された他のジョブB〜ジョブEについても、ジョブAと同様に、実行順序入替処理に用いられる各情報が示されている。
図7(a)に示すように、実行順序入替処理(図5,図6参照)において、ジョブAについてS24の処理が行われてジョブの実行が開始され、ジョブ状況情報が「待機中」から「実行中」に変更されると、実行順序入替処理が再び開始され、実行順番1番のジョブBから実行順番に従い上述した処理が行われる。例えば、トレイ1の用紙残量が10枚のときにジョブBの使用用紙量が20枚で、用紙残量が使用用紙量に満たないと、実行順序入替処理のS4の判別が“NO”になってS8の処理が実行され、同図(b)に示すようにジョブ状況情報が「待機中」から「保留中」に変更される。実行順番2のジョブCがあることから、続くS9の判別は“YES”となり、S10でジョブCのジョブ設定情報が取得される。トレイ2の用紙残量がジョブCの使用用紙量を満たすと処理がS5まで進められる。シアン,マゼンダ,イエロー,ブラックのカラー用トナーの何れについてもトナーエンプティ信号が出力されていないと、S6まで処理が進められる。シアン,マゼンダ,ブラックのトナー残量がそれぞれb1,b2,b4で、各トナーの使用トナー量がそれぞれこれらよりも少ないc1,c2,c4であるのに対し、イエローのトナー残量b3が使用トナー量c3に満たさないと、続くS7の判別が“NO”となってS8の処理が実行され、同図(c)に示すようにジョブ状況情報が「待機中」から「保留中」に変更される。
その後にS10の処理でジョブ設定情報を取得されたジョブDについて、トレイ3の用紙残量が使用用紙量を,カラー用のトナー残量が使用トナー量をそれぞれ満たし、全てのカラー用トナーについてトナーエンプティ信号の出力がないと、処理がS11まで進められる。同図(c)に示すようにジョブAが実行中であることから、S12以降の処理が実行されるが、ジョブAが「モノクロ」,「片面」,後処理「有」であるのに対し、ジョブDが「カラー」,「両面」,後処理「無」であり、用紙搬送経路,用紙排出経路,トナー種別の何れも異なることから、S21の判別が“NO”となり、続くS22の処理で図8(d)に示すように「判別済」情報が付与される。実行順番4番のジョブEがあることから続くS22の判別が“YES”となり、その後にS10でジョブ設定情報が取得されたジョブEについて、S3以降の処理が実行される。
トレイ4の用紙残量が使用用紙量を満たし、モノクロ用のブラックのトナーについてトナーエンプティ信号の出力がなく、かつ、トナー残量が使用トナー量を満たして、S12以降の処理が実行されると、ジョブEが「モノクロ」,「片面」,後処理「有」と用紙搬送経路,用紙排出経路,トナー種別の何れもジョブAと同じであることから、同図(e)に示すように、S13,S16,S19の各処理で「搬送路同」,「排出路同」,「トナー同」の各情報が付与される。これにより、S21の判別が“YES”となり、続くS24でジョブを実行することが決定される。この結果、ジョブAについて実行が終了すると、図(f)に示すように、ジョブEのジョブ状況情報が「待機中」から「実行中」に変更されて、ジョブEが実行される。
次に、実行順序入替処理のS24の処理が行われた結果、ジョブ状況情報を「実行中」に変更されたジョブを実行する動作について説明する。制御部11は、ジョブの実行に用いるトナーの種別が、前回実行したジョブで用いた種別のトナーと異なる場合には、実行に用いる現像ユニット32の切換動作を行う。この切換動作は、今回実行するジョブが「カラー」で前回実行したジョブが「モノクロ」である場合や、その逆の場合に、シアン,マゼンダ,イエローの現像ユニット32の現像ローラを感光ベルト31に接触させてトナーを撹拌し、又は、現像ローラを感光ベルト31から離間させる動作であり、転写部3による機械的動作により行われる。この切換動作により、モノクロ印刷時とカラー印刷時とで転写に用いるトナーの種別が切り換えられる。
また、制御部11は、ジョブの実行に用いる用紙搬送経路が、前回実行したジョブで用いた用紙搬送経路と異なる場合には、搬送経路の切換動作を行う。この切換動作は、今回実行するジョブが「片面」で前回実行したジョブが「両面」である場合や、その逆の場合に、送込ローラ24で後処理部7に送り込む経路と、反転ローラ25,再給紙ローラ27で反転させて再びレジストローラ23に送り込む両面搬送経路との間で、トナー像定着後に定着部4から送り出された用紙の搬送経路を切り換える動作であり、再給紙部による機械的動作により行われる。この切換動作により、両面印刷時と片面印刷時とで片面にトナー像を定着した用紙の搬送経路が切り換えられる。
また、制御部11は、実行するジョブの記憶部12に記憶された画像データに対して、ノイズ除去などの前処理を施した後、各種の設定に応じた画像処理を行い、処理したデータを頁単位で転写部3へ供給する。転写部3では、画像データに応じた静電潜像が感光ドラム31の表面に形成され、形成された静電潜像がトナーで現像されて、転写ベルト33に転写される。
また、制御部11は、ジョブ設定情報に定める条件を満たした給紙トレイ21から用紙を搬送し、印刷タイミングに同期させて転写部3内に送り出し、転写ベルト33でトナー像を用紙に転写する。このとき、実行ジョブの切換により用紙の印刷面が「両面」から「片面」に移行したときには、先行ジョブで片面に画像形成された用紙がフラッパから再び転写部3へ送出されるまで、転写部3に対する用紙の送出が待機される。そして、トナー像を転写した用紙を定着部4で加熱・加圧して、トナー像を用紙に定着させる。
制御部11は、ジョブ設定情報に定める印刷面が、「片面」である場合には、定着の済んだ用紙を送込ローラ24を通して後処理部7に送り込む。一方、印刷面が「両面」である場合には、定着の済んだ用紙をフラッパにより用紙反転ローラ25に送り出し、中間トレイ26に収納した後に反転させて、再給紙ローラ27で再びレジストローラ23に送り出し、もう片面への印刷タイミングに同期させて転写部3に送り出す。このとき、印刷面が「両面」であるときには、フラッパから転写部3へ両面印刷用の搬送経路で用紙を搬送している間に、後続する用紙の片面にも転写部3での転写や定着部4での定着が行われる。転写部3に送られた用紙は、もう片面へもトナー像を転写され、転写されたトナー像を定着部4で用紙に定着された後、送込ローラ24を通して後処理部7に送り込まれる。後処理部7に送り込まれた用紙は、後処理を施されて排紙トレイ72bへ、又は、そのまま排紙トレイ72aへ排紙される。
本実施形態によれば、排紙トレイ72a又は排紙トレイ72bへの用紙排出先の切り換えに伴い生じる実行ジョブの切換時間の短いジョブが優先して実行されるように実行順序が決定されることから、用紙排出先の切換に伴い生じるジョブの実行の中断を避けることができる。この結果、用紙排出先の切換に伴い生じるジョブ全体としての処理効率の低下を、十分に抑えることができる。また、ジョブ全体としての処理効率の低下を抑えられることから、複合機1の稼動効率を上げて、消費電力を抑えることもできる。
上記実施形態では、レーザ複合機1に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、給紙トレイ等の媒体収納部から供給される画像形成媒体に画像形成を行うのであれば、インクジェット方式やドットインパクト方式や、熱転写方式等の他の画像形成装置にも、本発明は適用することができる。また、本発明はプリンタやコピー機等の複合機の他の画像形成装置にも適用することができる。
また、上記実施形態では、本発明を中間転写ベルト方式の転写部3を備える複合機1に適用した場合について説明したが、感光ドラム上のトナー像を転写ドラムに転写する動作を各トナー毎に繰り返し行い、転写ドラム上に形成したトナー像を用紙に転写する中間転写ドラム方式の転写部としてもよい。また、各現像ユニット32が備える感光ドラムを用紙の搬送経路に沿って並べ、各感光ドラムから用紙に直接トナー像を形成するタンデム方式の転写部としてもよい。
また、画像形成に用いる画像形成材料の種類は、ブラック,シアン,マゼンダ,イエローの4種類に限らず、これらにライトシアン,ライトマゼンダ等を加えてもよい。この場合、ブラックのみを用いたモノクロ、これにシアン,マゼンダ,イエローを用いたカラー、更にライトシアン,ライトマゼンダを加えた種別の3種類のジョブ種別を設定してもよい。
上記実施形態では、搬送路同情報、排出路同情報、又はトナー同情報を付与されたジョブの何れか実行順番の早いジョブが先に実行された場合について説明した。しかしながら、これらの間に優先順位を設け、優先順位の高い情報を付与されたジョブを優先して実行してもよい。
また、上記実施形態では、用紙若しくはトナーの残量がジョブの実行完了に十分な量を満たさず、又は、使用トナーについてトナーエンプティ信号の出力のあるジョブの実行を、用紙やトナーが補給されるまで保留した場合について説明した。しかしながら、用紙及びトナーの残量がジョブの実行完了に十分な量を満たし、且つ、トナーエンプティ信号の出力のない待機中ジョブがない場合には、保留を行わずにそのままジョブを実行する構成としてもよい。また、複数の待機中ジョブがなくてジョブの実行順序を入れ替える必要がないときには、実行順序入替処理(図5,図6参照)を行わずに、そのまま待機中のジョブを実行する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成媒体として紙を用いた場合について説明したが、OHPフィルム等の画像形成媒体に画像形成を行う画像形成装置にも本発明を適用することができる。また、画像形成媒体として用いる紙の種類は任意であり、通常のコピー用紙の他に、例えば、厚紙や葉書や封書やコート紙を用いることもできる。また、実行順序入替処理(図5,図6参照)において、S5及びS6の比較はジョブの印刷色が「カラー」である場合には、4色全てのトナーについて行ってもよく、また、実際に画像形成に用いるトナーについてのみ行ってもよい。
上記実施形態では、不足していた用紙やトナーが補給されると、実行順序入替処理とは別に実行される処理において保留を解除したが、実行順序入替処理で次に実行するジョブが決定されると、記憶部12に記憶されている全てのジョブについてジョブ状況情報を「保留中」から「待機中」に変更し、用紙やトナーの補給時にジョブ実行状況を変更する処理を行わなくてもよい。また、用紙やトナーが供給されたと判別すると、実行順序入替処理を行ってもよい。また、実行順序入替処理(図5,図6参照)のS8で保留が決定されたジョブが生じた場合には、それを報知する処理を行ってもよい。
上記実施形態では、残量センサが、給紙トレイ21の底板の端部21aの上昇量又は位置を検知した場合について説明した。しかしながら、残量センサは、底板の傾斜角度を検知してもよい。また、用紙の残量は、底板を昇降させるための駆動信号に基づき特定しても、また、給紙トレイ21に積層された用紙束の厚さや重量に基づき特定してもよい。また、用紙やトナー残量の特定方法は、残量センサでの検出値と残量を対応付けて記憶した情報に基づく必要はなく、センサでの検出値に基づき演算を実行して特定してもよい。
上記実施形態では、画像形成に用いる画像データに基づき、トナーカートリッジに収容されたトナーの残量を検知した場合について説明した。しかしながら、トナーカートリッジに収容されたトナーの残量を検知するための残量センサを、各現像ユニット32に設けてもよい。このような構成とする場合、残量センサは、トナーカートリッジを現像ユニット32に支持する支持体の受ける荷重を検知しても、また、現像ユニット32を支持する支持体の受ける荷重を検知してもよい。また、トナー残量は、残量センサでの検出値に基づき、記憶部12に記憶されたトナー残量特定情報を参照して特定することができる。トナー残量特定情報は、残量センサでの検出値と、トナーの残量とを対応付けて記憶した情報であり、トナー残量特定情報において残量センサでの検出値に対応付けられた残量重量を、トナー残量として特定することができる。
上記実施形態の説明では、記憶部12にジョブデータを記憶するジョブに対し、ジョブデータの入力開始順序に従いジョブ実行順番を定めた場合について説明した。しかしながら、このとき定められる実行順番は、ジョブの種別に応じて予め定められた優先順位や、操作・表示部5の操作で定められた優先順位に従わせて決定してもよく、更にこれらにジョブデータの入力開始順序をも加味して決定してもよい。
上記実施形態の説明では、ジョブの実行に用いる画像データに基づき使用トナー量を特定した場合について説明した。しかしながら、使用トナー量は、「モノクロ」印刷時と「カラー」印刷時とで予め定めた用紙1枚当りの使用トナー量の予想値と、ジョブ設定情報に含まれる用紙枚数とに基づき定めてもよい。なお、使用トナー量の予想値は、用紙サイズや片面・両面の印刷面毎に定めてもよい。また、ジョブの実行に用いるトナー量は、ジョブの実行に用いる画像データに基づき、また、これに用紙サイズや片面・両面の印刷面を加味して定めてもよい。
上記実施形態では、用紙の排出先が排紙トレイ72a,72bである場合について説明したが、排出先の数量は任意である。また、上記実施形態では、後処理の有無で用紙排出経路が異なったため、後処理の有無で実行順序を定めた場合について説明したが、後処理の種類によっても用紙排出経路が異なる場合には、その用紙排出経路の切り換えに伴い生じる実行ジョブの切換時間の短いジョブが優先して実行されるように、実行順序を定めてもよい。
上記実施形態では、ジョブ設定情報の印刷面が「両面」であるか「片面」であるかに応じて、片面印刷用の搬送経路を搬送した用紙を、両面印刷用の搬送経路に送り出すか否か、つまり、ジョブの実行に用いる用紙を片面印刷用の搬送経路のみ搬送するか、両面印刷用の搬送経路でも搬送するかを切り換える場合について説明した。しかしながら、画像形成面に応じて用紙の搬送経路の切り換えが生じ、この切り換えに伴い実行ジョブの切換時間が生じるのであれば、画像形成面は「両面」と「片面」との2面には限らず、切り換える搬送経路も片面印刷用と両面印刷用の2つには限らない。
また、上記実施形態では、「片面」又は「両面」の印刷面、及び、「カラー」又は「モノクロ」の印刷色、後処理「有」又は「無」の後処理が、ジョブ単位で定められている場合について説明したが、ジョブ単位で実行順序が決められるのであれば、これらが1つのジョブに混在する構成としてもよい。この場合、実行中ジョブの最後に処理される用紙や頁と、比較ジョブの最初に処理される用紙や頁とで、実行順序入替処理のS11以降の処理での実行中ジョブと比較ジョブとの比較が行われる。また、上記実施形態では、用紙・トナーがジョブの実行完了に十分な量を満たすジョブを、十分な量を満たさないジョブよりも優先して実行した場合について説明したが、なるべく多くのジョブが実行されるように、各ジョブの使用用紙枚数や使用トナー量と、用紙やトナーの残量とに基づき、ジョブの実行順序を入れ替えてもよい。例えば、使用用紙枚数や使用トナー量の少ないジョブから優先してジョブを実行するようにしてもよい。
上記実施形態では、トナーエンプティ条件の成立を判別するトナー残量を、トナー量の初期値と使用トナー量の累計値とに基づき定めたトナー残量情報(図4参照)を用いて特定した場合について説明した。しかしながら、トナーエンプティ条件の判別に用いるトナー残量の特定方法は任意であり、トナー残量情報(図4参照)として記憶するトナー残量の特定方法等に応じて定めることができる。例えば、トナーカートリッジに設けられたフォトセンサ等の残量センサのセンサ情報に基づきトナー残量情報を定める場合にも、この方法で定められたトナー残量に基づき、トナーエンプティ条件の判別を行うことができる。
また、上記実施形態では、実行順序入替処理(図5,図6参照)において、ジョブの実行を完了させるのに十分な量の用紙及びトナーがあり、かつ、トナーエンプティ信号の出力がない場合に、S18で実行中ジョブと用紙排出経路(用紙排出先)が同じであるかを判別するだけでなく、実行中ジョブとトナー種別・用紙搬送経路が同じであるかをも判別した場合について説明した。しかしながら、トナー種別及び用紙搬送経路の判別を行わずに、実行中ジョブと用紙排出経路が同じであるかの判別のみを行い、同じである場合には、そのジョブを優先的に実行するようにしてもよい。また、用紙量、トナーエンプティ信号、及びトナー量の判別も行わない構成としてもよい。これらの構成とする場合、複数の待機中ジョブがなくてジョブの実行順序を入れ替える必要がないときには、実行順序入替処理(図5,図6参照)を行わずに、そのまま待機中のジョブを実行する構成としてもよい。