JP5369474B2 - 成形金型 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載の装置では、カセット金型により複数種類の成形品を製造可能であるが、アンダーカット部を有する成形品を製造するためには、別途アンダーカット部分を製造して組み合わせるなどの必要があり、煩雑であるという問題があった。
ここで、コア当接部は、スライドコアのスライド方向に移動可能で、付勢手段によりコア当接部がスライドコアのスライド方向に付勢されている。なお、ここで、コア当接部がスライドコアのスライド方向に移動可能である構成としては、コア当接部とスライドコアとの当接位置が変位することを意味する。例えば、ブロック部の一部に、スライドコアの一端部に当接可能なテーパ状のコア当接部を有し、ブロック部がスライドコアのスライド方向に対して略直交する方向に移動することで、コア当接部のテーパ部におけるスライドコアに当接する位置が移動し、スライドコアをスライド方向に押し出す構成であってもよい。また、ブロック部がスライド方向に移動し、スライドコアを押し込む構成などとしてもよい。そして、本発明では、ブロック部は、コア当接部をスライドコアが近接する方向に付勢する付勢手段を備えている。例えば、上記したブロック部がスライドコアのスライド方向に対して略直交する方向に移動可能で、テーパ状のコア当接部によりスライドコアが押し出される構成では、コア当接部におけるスライドコアとの当接点が、一対のスライドコアを近接させる方向に移動するように、ブロック部を進退方向に沿って付勢する。また、ブロック部そのものがスライドコアのスライド方向に移動可能な構成では、ブロック部をスライド方向に沿って、一対のスライドコアが近接する方向に付勢する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る射出成形機の成形金型の概略を示す断面図である。図2は、本実施の形態の射出成形機により製造される小型歯車を示す斜視図である。図3は、この小型歯車の正面図、および側面図である。図4は、本実施の形態のカセット金型の概略構成を示す断面図であり、可動側カセット金型が固定側カセット金型側に移動した状態を示す図である。図5は、本実施の形態のカセット金型の概略構成を示す断面図であり、可動側カセット金型が固定側カセット金型から離隔する方向に移動した状態を示す図である。図6は、カセット金型におけるキャビティ部分近傍を拡大した断面図である。図7は、スライドコアの構成を示す斜視図である。
ここで、射出成形機1により製造される小型歯車10の概略構成について説明する。
小型歯車10は、図2および図3に示すように、第一歯車11と、第二歯車12と、アンダーカット部13とが一体形成された構成を備えている。アンダーカット部13は、第一歯車11および第二歯車12の径寸法よりも小さい凹状に形成され、これら第一歯車11および第二歯車12を連結している。また、第一歯車11および第二歯車12は、互いに所定の位相差θだけずれて形成されている。
なお、本実施の形態では、射出成形機1により、図2および図3に示すような小型歯車10を製造する例を示すが、成形品としては、この小型歯車10に限定されない。例えば、射出成形機1は、成形品として、第一歯車11の一端面にアンダーカット部13が設けられ、第二歯車が設けられない歯車を製造するものであってもよく、歯車以外のプラスチック成形品を製造するものであってもよい。さらに、プラスチック製の成形品を例示するが、例えば溶融金属などにより、金属製部品を製造するものであってもよい。
図1に戻り、上記のような射出成形機1は、図示しない固定部と、図示しない可動部と、これらの固定部および可動部に固定される成形金型1Aと、を備えている。この成形金型1Aは、図1に示すように、モールドベース2と、カセット金型100と、を備えている。
固定部は、射出成形機1の上方に設けられ、射出成形機1自体を保持する図示しない基台に固定されている。この固定部には、モールドベース2の固定金型21が例えばボルト締めなどにより固定されている。
可動部は、例えば図示しないモータなどの駆動手段により、固定部側に移動可能に設けられている。この可動部には、モールドベース2の可動金型22が例えばボルト締めなどにより固定されている。
モールドベース2は、射出成形機1の固定部に固定される固定金型21と、射出成形機1の可動部に固定される可動金型22と、を備えている。
固定金型21は、図1に示すように、複数枚のプレートを重ね合わせることにより形成されている。また、固定金型21の可動金型22と対向する面には、固定側カセット装着孔211が設けられている。
さらに、固定金型21の固定部に固定される面には、ノズル挿通孔212が設けられている。このノズル挿通孔212は、固定側カセット装着孔211の略中心軸延長上に設けられ、固定側カセット装着孔211の内面に連通している。そして、このノズル挿通孔212には、射出成形機1の固定部から延びる射出ノズル213が挿通される。
さらには、固定金型21の可動金型22に対向する面において、固定側カセット装着孔211が形成されていない位置に、軸孔214が形成されており、この軸孔214には、軸合わせピン215が可動部側に突出して固定されている。この軸合わせピン215は、可動部を移動させた際に、可動金型22に設けられる軸合わせ孔225に挿通されることにより軸合わせを実施する。
また、可動金型22には、固定金型21の軸合わせピン215に対応して軸合わせ孔225が形成されており、可動部が固定部側に移動すると、軸合わせピン215が挿通されて軸合わせが実施される。
カセット金型100は、図4および図5に示すように、固定側カセット金型300と、可動側カセット金型400と、スライドコア500と、を備えている。
固定側カセット金型300は、固定金型21の固定側カセット装着孔211に嵌合され、着脱可能に取り付けられている。この固定側カセット金型300は、金型受板310と、固定側カセット金型本体320と、一対のアンギュラピン330と、一対のロッキングブロック340と、を備えている。
さらに、金型受板310は、後述する一対のロッキングブロック340を可動部側に付勢するコイルスプリング342が装着されるスプリング装着孔312を備えている。
さらに、第一キャビティ構成部材322には、第一キャビティ322Cの一部(例えば、歯車軸心部の端部に当たる位置)にガス抜き孔322Dが形成されている。このガス抜き孔322Dは、小型歯車の射出成形時に、キャビティ内に封入されるガスを逃がし、樹脂内に気泡などが生じる不都合を回避する機能を有する。
ブロック本体341は、金型受板310側の端部に、段差部324Aに係止可能な突出部341Aを有している。ここで、突出部341Aが段差部324Aに係止され、可動部側への移動が規制された状態では、ブロック本体341と金型受板310との間には、所定寸法の押出ストロークLが設けられる。また、ブロック本体341の金型受板310側の端面には、コイルスプリング342を固定するスプリング固定孔341Bが設けられている。そして、このスプリング固定孔341Bおよび金型受板310のスプリング装着孔312の間にコイルスプリング342が配設され、コイルスプリング342の付勢力によりブロック本体341は可動部側に付勢されている。
さらに、ブロック本体341の可動部側のアンギュラピン330に対向する面には、固定部側から可動部側に向かうに従って、第一キャビティ322Cから離隔する方向に傾斜するコア当接面341Cが形成されている。
可動側カセット金型400は、図4および図5に示すように、可動側受部410と、可動側カセット金型本体420と、コアストッパ430と、を備えている。
また、可動側受部410は、後述するスライドコア500の移動を規制するコアストッパ430を固定部側に付勢するコイルバネを装着するばね装着孔413が形成されている。
また、このコア設置孔421におけるスライドコア500が摺接するコア摺接面421Aには、可動部を固定部側に移動させた際に、前記したアンギュラピン330が挿通されるアンギュラ退避孔421Cが形成されている。また、コア摺接面421Aには、コアストッパ430が設置されるストッパ設置孔421Bが形成されており、このストッパ設置孔421Bにスライドコア500の移動を規制するコアストッパ430が装着されている。このコアストッパ430は、図4ないし図6に示すように、先端部がコア摺接面421Aから突出可能に設けられ、コイルバネの付勢力により常時、スライドコア側に付勢されている。
そして、第一キャビティ322Cおよび第二キャビティ423Cの間には、後述するスライドコア500により、アンダーカット部13に対応する形状の第三キャビティ523が形成される。
さらに、可動側カセット金型本体420は、第二キャビティ423Cにガス抜き孔423Eが形成されている。このガス抜き孔423Eは、第一キャビティ322Cに設けられるガス抜き孔322Dと同様に、小型歯車の射出成形時に、キャビティ内に封入されるガスを逃がし、樹脂内に気泡などが生じる不都合を回避する機能を有する。
一対のスライドコア500は、図4ないし図7に示すように、可動側カセット金型400のコア設置孔421のコア摺接面421Aに、可動部の移動方向と略直交する方向に摺動可能に設けられている。
このスライドコア500は、コア本体510と、キャビティ形成片520とが一体形成されて構成されている。
また、コア本体510のキャビティ側(他方のスライドコア500に対向する側)の端面であるコア対向面512には、可動部側端部が他方のスライドコア500に向かって延出している。ここで、このキャビティ形成片520は、固定側カセット金型300に対応する面がPL面と一致するように形成されている。そして、このキャビティ形成片520の他方のスライドコア500に対向する端辺には、半円上のアンダーカット形成面としての切欠部521が形成されている。すなわち、一対のスライドコア500を互いに近接する方向に移動させ、キャビティ形成片520の端面同士を接触させると、互いのキャビティ形成片520の切欠部521により円状のアンダーカット部13の形状に対応した第三キャビティ523が形成される。
次の上述したような射出成形機1における小型歯車の製造動作について、説明する。
上述したような射出成形機1では、先ず、小型歯車10の形状に対応したカセット金型をモールドベース2に装着、すなわち固定金型21の固定側カセット装着孔211および可動金型22の可動側カセット装着孔221にそれぞれ固定側カセット金型300および可動側カセット金型400を嵌合して、装着しておく。
そして、さらに可動部を固定部側に移動させ、固定側カセット金型本体320および可動側カセット金型本体420がPL面で接触すると、第一キャビティ322C、第二キャビティ423C、および第三キャビティ523により、小型歯車10の形状に対応したキャビティが形成される。
この後、連結部材224を固定部側に移動させることで、イジェクトピンが第二キャビティ423C内に突出し、小型歯車10がキャビティから取り出される。
上述したように、上記射出成形機1では、固定金型21の固定側カセット装着孔211、および可動金型22の可動側カセット装着孔221にそれぞれ固定側カセット金型300および可動側カセット金型400を嵌合して装着する。また、可動側カセット金型400には、コア設置孔421が設けられ、このコア設置孔421に一対のスライドコア500がスライド移動可能に設けられている。
このような構成では、固定金型21および可動金型22にカセット金型100を装着するだけで、小型歯車10に対応するキャビティを設置することができる。すなわち、アンダーカット部13を有する小型歯車10を複数種類形成する場合に、モールドベース2の加工が不要であり、カセット金型100を交換するだけで、容易にこれらの小型歯車10を製造することができる。したがって、モールドベース2を複数製造する必要がなく、製造コストの増大を抑えることができる。
上記したように、可動部が固定部側に移動し、一対のスライドコア500が互いに近接する方向に所定量移動すると、一対のスライドコア500は,ロッキングブロック340により押し出されて、キャビティ形成片520同士が接触する。この際、コイルスプリング342の付勢力が緩衝力として作用するため、スライドコア500に加わる応力が軽減され、キャビティ形成片520同士の接触時における衝撃も抑えられ、キャビティ形成片520の破損を防止できる。
このため、可動部の進退移動に応じてスライドコア500がスライド移動するので、スライドコア500をスライド移動させる駆動手段を別途設ける必要がなく、カセット金型100内にスライドコア500を容易に収納することができる。したがって、カセット金型100が大型化せず、簡単な構成で、小型歯車10に対応したキャビティを有する金型を形成することができる。
このため、ブロック部のコア当接面341Cが押出面513に当接した状態で、ブロック本体341が可動部側に付勢されると、コア当接面341Cは、押出面513をキャビティ側に押し出すとともに、可動部側にも付勢する。したがって、スライドコア500はコア設置孔421に押し付けられるため、可動部から固定部に向かう軸方向への振動が防止される。よって、スライドコア500が正確な位置にスライド移動されて、キャビティ形成片520の端面同士が、制度よく所定位置で接触する。したがって、アンダーカット部13の製造誤差を抑えることができ、精度よく小型歯車10を形成することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
Claims (2)
- 射出成形機の固定部に固定される固定金型と、前記射出成形機の可動部に、前記固定金型に対して進退移動可能に固定される可動金型と、これらの固定金型および可動金型に着脱可能に固定されるとともに、成形品に対応した形状のキャビティを形成するカセット金型と、を具備し、射出成形により成形品本体、およびこの成形品本体に一体的に設けられ
るアンダーカット部を備えた成形品を成形する成形金型であって、
前記固定金型および可動金型は、前記カセット金型を装着可能な装着部を備え、
前記カセット金型は、前記固定金型の前記装着部に装着される固定側カセット金型と、
前記可動金型の前記装着部に装着される可動側カセット金型と、前記固定側カセット金型および前記可動側カセット金型のうちいずれか一方に設けられるとともに、前記固定側カセット金型および前記可動側カセット金型の間で、前記可動部の進退方向と略直交する方向にスライド移動可能に設けられる一対のスライドコアと、を備え、
前記固定側カセット金型および前記可動側カセット金型のうち少なくともいずれか一方は、他方に対向する面に前記成形品本体を形成する前記キャビティを有し、
一対の前記スライドコアは、互いに対向する面に前記アンダーカット部に対応する形状のアンダーカット形成面を有し、
前記固定側カセット金型および前記可動側カセット金型のうち、前記一対のスライドコアが設けられない一方には、前記可動部を前記固定部側に移動させた際に、一対の前記スライドコアの一端部に当接可能なコア当接部を有し、このコア当接部で前記スライドコアを互いに近接する方向に押し出す一対のブロック部が設けられ、
これらのブロック部は、前記コア当接部が前記スライドコアのスライド方向に進退可能に設けられるとともに、一対の前記スライドコアが近接する方向に、前記コア当接部を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とした成形金型。 - 請求項1に記載の成形金型であって、
前記固定側カセット金型は、第一歯車を形成するキャビティを備え、
前記可動側カセット金型は、前記第一歯車の歯と所定位相差だけ異なる位置に歯が設けられる第二歯車を形成するキャビティを備え、
一対の前記スライドコアは、前記第一歯車および前記第二歯車の間に設けられるとともに、これら第一歯車および第二歯車を連結するアンダーカット部を形成することを特徴とした成形金型。
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