JP3706169B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はプラスチックレンズ等のプラスチック部品を成形するための射出成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性の樹脂を用いて、射出成形により製造されるプラスチックレンズはカメラ、顕微鏡等のレンズとして多用されるようになった。これは、射出成形法が高生産性、低コスト化をもたらすことによるもので、特に、光学面を非球面形状とするいわゆる非球面レンズの製造において、最もその効果が顕著であることから頻繁に用いられている。
【0003】
従来、プラスチックレンズを成形するための射出成形用金型は、図5に示すような構造となっており、詳細に説明すると、射出成形機の固定側プラテン(図示せず)に取り付く固定側取付板1に固着した固定側型板2に、所望の成形面形状を有する固定入子4を保持するための固定スリーブ3が取り付けられている。固定側型板2の内径と固定スリーブ3の外径は僅かなクリアランス(隙間)で嵌合しており、固定入子4の外径と固定スリーブ3の内径にも僅かなクリアランスで嵌合し、固定側型板2に固着している。
【0004】
一方、所望の成形面形状を有する可動入子9は、その外径が可動スリーブ8と可動側型板10の内径に僅かなクリアランスで嵌合しており、該スリーブ8及び型板10内を摺動するようになっている。可動側型板10には受け板11が固着されており、更に、スペーサブロック13及び可動側取付板5を介して射出成形機の可動側プラテン(図示せず)に取り付けられる。可動側取付板5と受け板11の間にはガイドピン14が設けられ突出し板6、7が摺動可能に取り付けられている。
【0005】
突出し板6、7に挟まれて保持された突出しロッド12は可動入子9に固着しており、成形が完了しパーティングライン(図中P.L)で型が開いた後、成形品の突出しは突出し板6の固定側への駆動により突出しロッド12、可動入子9を介して行う。固定入子4と可動入子9の各所望成形面及び可動スリーブ8で形成されるキャビティ104にスプール101、ランナー102、ゲート103を通じて溶融樹脂を射出充填し、冷却固化せしめることで所望のプラクチックレンズを成形するようになっている。
【0006】
しかしながら、従来の射出成形用金型では次のような問題点があった。近年、プラスチックレンズに要求される精度は益々高くなっており、その中でも偏心精度の向上が強く求められている。特に、非球面レンズの偏心精度は光学性能に及ぼす影響が大きく、高精度化の必要性が強く求められている。非球面レンズにおける偏心の定義は、回転対称である非球面には必ず回転軸が1つ存在し、その回転軸が非球面軸(軸)と言われる。片面非球面レンズの場合の偏心とはこの非球面軸と反対面の球面の求心とのズレ量を言い、非球面軸上に球心がある場合が最も偏心の良い状態となる。又、両面非球面レンズは2本の非球面軸のズレ量を偏心と言い、同一直線上にある場合が最も偏心の良い状態となる。
【0007】
従来技術の金型は、その偏心精度を金型の作り込みによって保証しており、固定及び可動入子と固定及び可動スリーブのクリアランス精度や固定及び可動スリーブと固定側及び可動側型板のクリアランス精度を小さく、均一にする手段を取っている。しかしながら、金型の組立上クリアランスを無くすことはできず、特に可動側は突出し時に可動側入子を摺動させるためにあえてクリアランスを設ける必要があった。これらのクリアランスは、全て成形毎の入子位置の再現性に寄与し、偏心のバラツキとなって現れ、偏心精度が悪くなるという問題があった。更に、射出時の圧力も入子位置に影響を与え、偏心の精度低下をもたらした。
【0008】
上記の様な問題点を解決する一手段として特開昭64−20111が開示されているが、その手段は固定入子及び可動入子の位置ズレを光の干渉により検出して、補正する金型であり、干渉縞を得るための画像処理装置やレーザー等の光源が必要であり、非常に高価になると同時に補正処理の操作が面倒であった。又、固定入子成形面と可動入子成形面のティルト(固定入子成形面の軸と可動入子成形面の軸の傾き)の補正は行えるが、固定入子成形面の軸と可動入子成形面の軸のスラスト方向(軸と垂直方向)のズレ量は補正することが出来ない等の欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、金型の組立、金型動作に支障の無いクリアランスを設けた上で、位置だし部材のテーパ面と可動入子のテーパ面を噛み合わせることにより、偏心精度が高く(成形面の2本の軸のティルト及びズレ量が小さい)又、成形毎の偏心バラツキの小さいプラスチックレンズを成形する射出成形用金型を安価に提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】
第1の発明に係る射出成形用金型は、プラスチックレンズの射出成形用金型において、
可動側金型に設けられ、成形面を有する可動入子と、
固定側金型に設けられた位置だし部材を有し、
前記可動入子は、前記成形面とは異なる位置にテーパー面を備え、
前記位置だし部材は、テーパー面を有し、前記固定側金型から前記可動側金型の方向に突出している心出し部を有し、
前記心出し部のテーパー面が前記可動入子のテーパー面と接するように、前記位置だし部材が設けられているものである。
【0011】
また、第2の発明に係る射出成形用金型は、前記位置だし部材が、可動側金型内を型開き方向と垂直方向に前後摺動する、ものである。
【0012】
【実施例1】
まず、本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明の概要を説明する。
本発明の概要は、可動入子を型開き方向と垂直方向に保持する位置だし部材を有することを特徴とする射出成形用金型であって、該位置だし部材は固定スリーブに固着しており、固定側金型から可動側金型の方向に突出している。そして、該位置だし部材は固定入子との嵌合面である固定スリーブ内径とテーパ面の同軸度が精度良く加工されており、同様に可動入子に形成されたテーパ面も成形非球面軸と同軸度が精度良く加工されている。そのため、型締め時に前記の両テーパ面が互いに噛み合う位置に調整されるように可動入子は型開き方向と垂直方向に位置出しされ、固定スリーブ内径と可動入子非球面軸は高精度に一致するように構成されている。
次に、位置出し部材が可動側金型内を型開き方向と垂直方向に前後摺動する射出成形用金型について述べると、可動側金型内を前後摺動する位置だし部材は型締めと同時に可動入子側面を位置だし部材と反対方向に押しつけるよう調整されている。即ち、この位置だし部材により可動入子は可動スリーブとのクリアランスに関係なく型締め時に一方向に押しつけられて位置出しされるため、必ず同位置に位置決めされるようになっている。
以下、本発明の具体的な実施例を図に基づいて説明する。
本発明の第1実施例について図1で詳細に説明する。(以下、各実施例の説明を簡略にするため、従来技術の図5との共通部位については図を省略し、又、同一の機能を有する部位については同図番とした)。固定側型板2には固定スリーブ3が固着されており、さらに固定スリーブ3の内径に嵌合して固定入子4が固着されている。固定側型板2と固定スリーブ3の嵌合部及び固定スリーブ3と固定入子4の嵌合部のクリアランスは金型の組立性を考慮して0.005〜0.01mmに設定するのが良く本実施例では前者を0.008mm、後者を0.005mmとした。
【0013】
固定スリーブ3から位置だし部材3aが可動側金型の方向に3箇所突出しており、その先端は、固定スリーブ3の固定入子4の嵌合面と同軸に加工されているテーパ面3bを有している。可動側型板10とそれに固着している受け板11には、可動入子9とそれに固着した突き出しロッド12が容易に挿入、摺動可能なクリアランス10c、11cの孔を有し、可動入子9と突き出しロッド12が挿入されている。固定側と同様に受け板11の孔11cと突き出しロッド12のクリアランス及び可動側型板10の孔10cと可動入子のクリアランスは、金型の組立性と成形品突き出し時の摺動性を加味し、前者を0.01mm、後者を0.008mmとした。
【0014】
本実施例では、固定入子4の成形面を曲率半径25mmの球面形状とし可動入子9の成形面を近似曲率半径35mmの非球面形状とした。さらに、固定入子4の成形面と可動入子9の成形面及び可動側型板10より形成されるキャビティ104は直径15mmの両凸形状をしている。可動入子9の側面にはテーパ面9bを有し、そのテーパ面9bの加工精度は可動入子9の成形面非球面軸と同軸に、かつ、前記位置だし部材3aのテーパ面3bと同一の角度をもって加工されている。この角度は、型締め時の位置だし性を考慮し型開き方向とのなす角度45°以下が良く、本実施例では40°とした。
【0015】
図1に示す状態は可動入子9、固定入子4、可動側型板10で形成されたキャビティ104に樹脂を充填する際の状態(型締め状態)を示しており、位置だし部材3aのテーパ面3bと可動入子9のテーパ面9bが正確に噛み合うように型開き方向の位置だし部材3aの長さは調整されている。又、位置だし部材3aは可動側型板10に3箇所設けられた挿入孔10aを通り可動入子9のテーパ面9bに到達して正確、かつ、密に噛み合っている。キャビティ104への樹脂の充填は射出成形機(図示せず)によりスプール101、ランナー102、ゲート103を介して行い、プラスチックレンズは硬化、冷却後にパーティングライン(図中P.L)で型を開き取り出す、そして、再び型を閉め前記動作を繰り返してプラスチックレンズを製作する。
【0016】
本発明の特徴は、型締め時の固定スリーブ3の固定入子4との嵌合面と可動入子9の非球面軸がテーパ面3b、9bの噛み合いにより可動入子9が型開き方向と垂直方向に移動し、高精度に位置だしされ同軸となることである。従って、形成されたキャビティ104に樹脂を充填することにより得られるプラスチックレンズは偏心精度を悪化させる影響が固定スリーブ3と固定入子4のクリアランスのみとなり、偏心精度の良い成形品を得ることができる。又、型組立時および成形中の型開き時はテーパ面3b、9bの噛み合いが無く、固定入子9の位置を強制することが無いため、通常と同様な作業性、突出し摺動性が得られる。
【0017】
【実施例2】
本発明の第2の実施例について図2で詳細に説明すると、実施例1の構造に加え、固定側取付板1及び固定側型板2に固定スリーブ3をネジ止めする孔1a、2a及び固定入子4をネジ止めする孔1b、2bを有している。型組時、固定スリーブ3及び固定入子4は固定スリーブ3の固定用ネジ200と固定入子4の固定用ネジ201により仮止めされている。即ち、固定スリーブ3及び固定入子4の嵌合部クリアランス分は十分ガタとしてスライドすることになる。
【0018】
この状態で型締めを行った後、固定用ネジ200、201を本締めし固定側型板2と固定スリーブ3及び固定入子4を固着する。その後、成形機に取り付け射出成形を行うことは実施例1と同様である。本実施例により成形機に金型を取り付ける前に型締めを行うと、固定スリーブ3のテーパ面3bと可動入子9のテーパ面9bのとの噛み合わせにより、固定スリーブ3が型開き方向と垂直方向に移動して位置だしされ、その後、固定スリーブ3、固定入子4を固着するので、成形機に金型を取り付ける前に固定スリーブ3と可動入子9の位置合わせが可能となり、更に、偏心精度を向上させることができる。
【0019】
【実施例3】
本発明の第3の実施例について図3で詳細に説明すると、可動入子9の外周にはツバ部9dを有し、突出しロッド12とは固着していない。従って、型開き後成形品を突き出しロッド12にて突き出すと同時に可動側型板10内を摺動し、ツバ部9dに接しているリターンピン20も同等に可動金型から突出する。型締め時には、前記リターンピン20が固定側型板2と接し、可動入子9を図3に示す位置に戻す。
【0020】
固定スリーブ3と可動入子9の位置だしは実施例1と同様に、固定スリーブ3から突出した位置だし部材3aの先端に有するテーパ面3bと可動入子9の外周に有するテーパ面9bの噛み合わせによる。本実施例で用いた固定入子4の成形面は、近似曲率半径25mmの非球面形状としているところが実施例1と異なる点であり、可動入子9の成形面形状及びキャビティ104の直径は実施例1と同様である。本実施例は、可動入子9と突出しロッド12が固着していないため、可動入子9が実施例1に比べ型開き方向と垂直方向に移動し易く、更に偏心精度の良いプラスチックレンズを得ることができる。
以上、実施例1、2、3では、固定スリーブ3より突出した位置だし部材3aを3分割して設けた例を示したが、同様の効果を得るためにはこれに限定するものではなく、対向する2分割や4分割等でも良い。
【0021】
【実施例4】
本発明の第4の実施例について図4で詳細に説明すると、位置だし部材として可動側型板10の内部に、型開き方向と垂直方向に前後摺動可能なスライド51を用いた。可動側型板10にはスライド51が摺動するためのキー溝10cがあり、受け板11と挟むことでスライド51を保持している。固定側型板2にはアンギュラピン50があり可動側型板10の開孔10aを通じ、スライド51に開けられたアンギュラ孔51aに挿入されている。
【0022】
図4は型締めを行った状態を示し、アンギュラピン50によりスライド51は可動入子9方向に前進し、可動入子9の側面を型開き方向と垂直方向に押しつける。これにより、可動側型板10と可動入子9とのクリアランスの大きさに関わらず、可動入子9は必ず同位置に位置決めされる。さらに、樹脂充填後の型開き時にはスライド51はアンギュラピン50により可動入子9から離れ、突出し時の可動入子9の摺動に十分なクリアランスが得られる。この時、スライド51のアンギュラ孔51aにはアンギュラピン50が挿入されていないため、スライド51が自重落下しないように保持する保持機構(図示せず)を有している。
【0023】
可動入子9は実施例1と同様に突出しロッド12と固着しても良く、実施例3のように固着しなくても良いが、固着していない場合は、実施例3と同様にリタンピンが必要になる。本実施例では、スライドを一方向からのみ摺動させているが、対向する2方向等複数に設けても良い。以上、実施例1、2、3、4では両凸レンズを例としたが、両凹レンズ、メニスカス形状レンズでも良く、外径形状も円形に限定するものでは無い。
以上のように、各実施例によれば、型締めと同時に固定スリーブと可動入子の位置決めをする機構もしくは可動入子を位置方向に位置決めする機構を有する射出成形用金型としたため、金型の組立、金型動作に支障のないクリアランスを入子とスリーブもしくは型板、スリーブと型板に設けた上でも、偏心精度の良い、成形毎の偏心バラッキの小さいプラスチックレンズを得ることが可能となった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、固定入子と可動入子との偏心精度の良い、成形毎の偏心バラッキの小さいプラスチックレンズを得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、プラスチックレンズ製作用金型の型締め時における可動入子と位置出し部材の摺動関係構造図。
【図2】本発明の一実施例を示すもので、プラスチックレンズ製作用金型の固定入子及び固定スリーブの固定ネジ止め構造図。
【図3】本発明の一実施例を示すもので、図1の関係構造図の可動入子にツバ部を付加した構造図。
【図4】本発明の一実施例を示すもので、プラスチックレンズの製作用金型の型締め時におけるスライド部材とアンギュラ部材との摺動関係構造図。
【図5】従来のプラスチックレンズ製作用金型の型締め時における構造図。
【符号の説明】
1 固定側取付板
2 固定側型板
3 固定スリーブ
4 固定入子
5 可動側取付板
6,7 突出し板
8 スリーブ
9 可動入子
10 可動側型板
11 受け板
12 ロッド
13 スペーサブロック
14 ガイドピン

Claims (2)

  1. プラスチックレンズの射出成形用金型において、
    可動側金型に設けられ、成形面を有する可動入子と
    固定側金型に設けられた位置だし部材を有し、
    前記可動入子は、前記成形面とは異なる位置にテーパー面を備え
    前記位置だし部材は、テーパー面を有し、前記固定側金型から前記可動側金型の方向に突出している心出し部を有し
    前記心出し部のテーパー面が前記可動入子のテーパー面と接するように、前記位置だし部材が設けられていることを特徴とする射出成形用金型。
  2. 前記位置だし部材、可動側金型内を型開き方向と垂直方向に前後摺動することを特徴とする請求項1記載の射出成形用金型。
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