JP5363939B2 - ボールペン及びボールペンチップの製造方法 - Google Patents
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Description
尚、本発明におけるチップ本体において、「前」とはボール側を指し、「後」とはその反対側を指す。本発明におけるガイドピンにおいて、「前」とはガイドピンの先端側を指し、「後」とはその反対側を指す。
本実施の形態のボールペン1は、先端部にボール6を回転可能に抱持したボールペンチップ2と、該ボールペンチップ2の後部がその前部に圧入固着されたホルダー7と、該ホルダー7の後部がその先端開口部に圧入固着されたインキ収容筒8と、前記ボールペンチップ2の内部及びホルダー7の内部に収容配置されるスプリングとからなる。
前記ボールペンチップ2のチップ本体3は、金属(例えば、SUS304、SUS305、SUS321等のオーステナイト系ステンレス鋼)からなる直円筒状の細管よりなる。前記チップ本体3の先端近傍内面には、内方への押圧変形により、複数(例えば、4個)の内方突出部5(即ちボール受け座)が周方向に等間隔に形成される。また、チップ本体3の先端には、先細状のエッジ部が予め形成され、前記エッジ部が周状に内方に押圧変形されることにより、内向きの先端縁部4が形成される。前記内方突出部5の前面と前記先端縁部4の後面との間にはボール6が回転可能に抱持される。
前記各々の内方突出部5の径方向の頂部には、軸方向に延びる凹溝51が形成される。前記各々の凹溝51は、チップ本体3の軸心を中心とする円柱面の一部を構成する。
前記各々の内方突出部5の前面は、傾斜状(例えば、凹円錐面状または凹球面状)の凹部52が形成される。前記各々の内方突出部5の前面の凹部52と、前記各々の内方突出部5の径方向の頂部の凹溝51とが接続される。尚、前記内方突出部5の前面における傾斜状とは、前方に向かうに従ってチップ本体3の軸心から離れる形状をいう。
前記内方突出部5の相互間には、中心部から径方向外方に延び且つ軸方向に貫通するインキ流通間隙53が形成される。前記インキ流通間隙53は、各々の内方突出部5の径方向の頂部に形成された凹溝51によって包囲される中心孔53aと、該中心孔53aより径方向外方に放射状に延びる放射状溝53bとからなる。前記中心孔53aは円柱状に形成される。
前記スプリング9は、前部のロッド部91と、後部のコイル部92が一体に連設される。前記インキ流通間隙53の中心孔53aに、スプリングのロッド部91が挿通される。前記ロッド部91によって、直接ボール6が前方に付勢され、それにより、ボール6が先端縁部4の内面に密接される。
前記インキ収容筒8は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の押出成形により得られる、両端が開口された円筒体である。前記インキ収容筒8の内部には、インキと、該インキの消費に伴って前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
前記ホルダー7は合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の射出成形によって得られる筒状体である。前記ホルダー7は、ボールペンチップ2が取り付けられる先細状の前部と、インキ収容筒8の先端面に当接する鍔部と、インキ収容筒8の先端開口部に圧入される後部とからなる。前記ホルダー7の後部内面には、係止突起が形成され、前記係止突起にスプリング9のコイル部92後端が係止される。
図4乃至図7に、本発明のボールペンチップの製造方法(詳細には、図1乃至図3のボールペンに用いるボールペンチップ2の製造方法)の実施の形態を示す。
本発明の実施の形態のボールペンチップの製造方法は、金属製筒体の先端近傍に径方向内方への押圧変形によってボール受け座用の複数の内方突出部5を形成するボール受け座形成工程を有する。
ガイドピン10は、第1の円柱状外面101と、該第1の円柱状外面101の後端より後方に連設される傾斜状外面102(例えば、凸円錐面状外面または凸球面状外面)と、該傾斜状外面102の後端より後方に連設される第2の円柱状外面103と、該第2の円柱状外面103の後端に連設される段部104とを備える。前記第1の円柱状外面101の外径は、第2の円柱状外面103の外径より小さく形成される。尚、前記第1の円柱状外面101の先端は、凸円錐面状となっている。尚、前記ガイドピン10の外面における傾斜状とは、後方(反先端部側)に向かうに従って外径が大きくなる形状をいう。
前記ボール受け座形成工程により、各々の内方突出部5の径方向の頂部に軸方向に延びる凹溝51が圧潰形成され、各々の内方突出部5の前面に傾斜状(例えば、凹円錐面状または凹球面状)の凹部52が圧潰形成される。前記各々の凹溝51と前記各々の凹部52とは互いに接続される。前記ボール受け座形成工程後、チップ本体3の先端開口部にボールが挿入され、先細状のエッジ部が内方に押圧変形され、環状の内向きの先端縁部4が形成される(図1参照)。それによって、チップ本体3の先端部に回転可能にボール6が抱持されたボールペンチップを得る。
本実施の形態のボールペン1は、各々の内方突出部5の径方向の頂部に軸方向に延びる凹溝51を形成したことによって、ボール受け座の中心部に大きなインキ流通孔を確保でき、ボール受け座での高いインキ流通性を得ることができる。
2 ボールペンチップ
3 チップ本体
4 先端縁部
5 内方突出部(ボール受け座)
51 凹溝
52 凹部
53 インキ流通間隙
53a 中心孔
53b 放射状溝
6 ボール
7 ホルダー
8 インキ収容筒
9 スプリング
91 ロッド部
92 コイル部
10 ガイドピン
101 第1の円柱状外面(柱状外面)
102 傾斜状外面
103 第2の円柱状外面
104 段部
11 ポンチ
Claims (6)
- 金属製筒体よりなるチップ本体の先端に内向きの先端縁部を設け、前記先端縁部の後方のチップ本体内面に内方への押圧変形によりボール受け座用の複数の内方突出部を設け、前記先端縁部と前記内方突出部との間にボールを回転可能に抱持し、前記内方突出部の相互間に中心部から径方向外方に延び且つ軸方向に貫通するインキ流通間隙を形成したボールペンであって、各々の内方突出部の径方向の頂部に軸方向に延びる凹溝を形成したことを特徴とするボールペン。
- 前記インキ流通間隙が、各々の内方突出部の径方向の頂部に形成した凹溝によって包囲される中心孔と、該中心孔より径方向外方に放射状に延びる放射状溝とからなり、前記中心孔に、ボールを前方に付勢し且つボールを先端縁部の内面に密接させるロッド部が挿通される請求項1記載のボールペン。
- 前記各々の内方突出部の径方向の頂部に形成した凹溝が、チップ本体の軸心を中心とする円柱面の一部を構成する請求項1または2記載のボールペン。
- 各々の内方突出部の前面に傾斜状の凹部を設け、前記各々の内方突出部の径方向の頂部の凹溝と、前記各々の内方突出部の前面の凹部とを接続してなる請求項1乃至3の何れかに記載のボールペン。
- 金属製筒体の先端近傍に内方への押圧変形によってボール受け座用の複数の内方突出部を形成するボールペンチップの製造方法であって、前記内方突出部を形成する際、ガイドピンの柱状外面を各々の内方突出部の径方向の頂部に圧接させることにより、各々の内方突出部の径方向の頂部に軸方向に延びる凹溝を圧潰形成してなることを特徴とするボールペンチップの製造方法。
- 前記ガイドピンが、柱状外面と、該柱状外面の後端より後方に連設される傾斜状外面とを備え、前記内方突出部の形成時、前記ガイドピンの柱状外面を各々の内方突出部の径方向の頂部に圧接させるとともに、前記ガイドピンの傾斜状外面を各々の内方突出部の前面に圧接させることにより、各々の内方突出部の径方向の頂部に軸方向に延びる凹溝を圧潰形成するとともに、各々の内方突出部の前面に傾斜状の凹部を圧潰形成してなる請求項5記載のボールペンチップの製造方法。
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