JP4798777B2 - ボールペン - Google Patents
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Description
図7の符号50は、ボールペンの筆記先端部であるホルダーであって、このホルダー50の先端部には、筆記部である先端ボール51がカシメ部50aとインクの導通を確保しつつ先端ボール51を受ける受け内面50bとの間に遊嵌されている。
このように、非筆記時には弁が閉じた状態と同じ状態になるため、インクの蒸発を抑制でき、輸送中の振動、落下、長期放置によるインクの空気酸化劣化、インクの洩れ出し等を抑制することができる。
しかしながら、ホルダーの後端部をかしめた際、ホルダーの外形形状が大きく変形する場合がある。即ち、図8に示すように、円形形状のホルダー50の外形形状は、波状に変形し、ホルダー50の後端部に接続されるインク収容管53(あるいは継ぎ手)との間に隙間(図8の斜線部)が生じる。そして、この隙間から前記ホルダー50とインク収容管53(あるいは継ぎ手)との接続部内部にインクが侵入し、インク洩れの原因となっていた。
しかしながら、このポンチによる方法であっても、そのホルダーの外周面に当てるポンチによっては、ホルダーの外形形状が大きく変形し、前記かしめの場合と同様な課題が生じる。
また、ホルダーの外周面に当てたポンチが凸部形成後、ホルダーから離れなくなり、生産効率が悪化するという弊害、更にはポンチの先端が破損することにより、製造コストが嵩むという弊害が生じる。
その結果、ホルダーとインク収容管(あるいは継ぎ手)との接続部内部へのインクの侵入を抑制でき、インクの洩れ等を抑制できる。
その結果、ホルダーの後端部の外形形状は円形形状に維持されるため、インク収容管(あるいは継ぎ手)との接続部内部へのインクの侵入を抑制でき、インクの洩れ等を抑制できる。
したがって、ホルダーの外形形状を変形させることなく、所定寸法の凸部を形成するには、ホルダー外周面に形成された円柱状凹部の直径は、前記ホルダーの外形直径の0.20倍以上0.32倍以下であることが望ましい。
前記凹部の底面の直径を0.03mm未満に形成することは、ポンチ等の加工具が破損し易く好ましくない。前記凹部の底面の直径が0.07mmを超える場合には、ホルダーの外周面に形成される円柱状の凹部開口部の面積が大きくなり好ましくない。
また、円錐台形状の凹部側面の傾斜角度が30度未満の場合には、ポンチ等の加工具が加工後ホルダーから離脱しない場合があり、製造効率上好ましくない。一方、円錐台形状の凹部側面の傾斜角度が50度を超える場合には、ホルダーの外周面に形成される円柱状凹部の開口部の面積が大きくなり好ましくない。
尚、図1中、符号3bは、インク収容管3の内部のインク3aの揮発防止と流れ出し防止のためのフォロアである。また、符号4aは、継ぎ手4の内部に移動可能に設けられた弁体としてのボール弁である。このボール弁4aは、図1に示す状態において、インク3aの流通を遮断する閉弁状態にある。そしてまた、前記ボール弁4aがホルダー2側に移動することにより、インク3aが流通する開弁状態になる。また、図1中、符号4bは板状部品であり、ペン先を下向きにしたときにボール弁4aによってホルダー2の後端が塞がれないようにする役目をする。
また、前記ホルダー2の内部には、先端部が先端ボール5に接し、後端部がホルダー2の後端部の凸部2cに係止されたスプリング6が設けられている。この凸部2cは、ホルダー2の後端部の外周面をポンチ等の加工具を用いて径方向に塑性変形させることによって、ホルダー2の内周面に形成される。またこの凸部2cはホルダー2の周方向に、等間隔(120度間隔)に3個形成されている。
このホルダー2の内周面に形成された凸部2cは、前記したように、前記ホルダー2の外周面にポンチ等の加工具を用いて凹部2dを形成することにより形成される。
この凹部2dは、図5に示すように、ホルダー2の外周面から内方に形成された円柱状の凹部2d1と、前記円柱状凹部2d1の更に内方に形成された、底面方向に先細りした円錐台形状の凹部2d2とが組み合わせられた形状を有している。
この円柱状凹部2d1と円錐台形状の凹部2d2は同一の中心軸線上に形成され、かる円柱状凹部の直径と円錐台形状の凹部の底面(円柱状凹部との接続面)の直径は、同一寸法に形成されている。
即ち、ホルダー2の外周面の凹部の開口面積Sを大きくすることは、ポンチによる外力がホルダー2に対してより大きな領域に及ぶことを意味し、円形のホルダーの外形形状が変形する度合いが高い。
一方、前記した場合のように、前記凹部2dの外周面側に円柱状凹部2d1を設けることにより、ポンチによる外力の及ぶ領域をより小さくでき、ホルダーの外形形状の変形を極力小さなものとすることができる。
ここで、前記ホルダー2の後端部とは、図3に示すように継ぎ手4に挿入し易くするために形成されたテーパ面2e部分は除かれる。即ち、テーパ面2eが終了した位置から前記円柱状凹部の直径D1以上の距離L、離れた位置に中心線を有する凹部2dが形成されている。
このように、ホルダー2の外周面に形成された凹部2dの中心線が、前記ホルダー2の後端部から前記円柱状凹部の直径D1以上の距離L離れているため、仮にホルダー2の外形形状が変形したとしても、その変形の影響はホルダーの後端部のテーパ面2eまで及ばない。
前記ホルダー2の外周面に形成された凹部2dの直径D1が、ホルダー2の外形直径D2の0.20倍未満である場合、所定寸法の凸部2cを内周面に突出させることができないため、スプリングを係止めることができない。
一方、ホルダー2の外周面に形成された凹部2dの直径D1が、ホルダー2の外形直径D2の0.32倍を超える場合には、ホルダー2の外形形状が変形するため、好ましくない。
前記凹部2dの底面の直径d1を0.03mm未満に形成すると、ポンチ等の加工具が破損し易く好ましくない。前記凹部2dの底面の直径d1が0.07mmを超える場合には、ホルダー2の外周面に形成される凹部の開口面積Sが大きくなり好ましくない。
そしてまた、非筆記時には筆記部であるボール5がスプリング6の反発力によって、カシメ部2aに当接し、弁が閉じた状態と同じ状態になる。
その結果、インクの蒸発を抑制でき、輸送中の振動、落下、長期放置によるインクの空気酸化劣化や洩れ出し等を抑制することができる。
ホルダーの外周面に、図6に示すように、ポンチPを当てて、ホルダー2の内周面に凸部を形成する実験を行なった。この実験は、前記ホルダー2の材質としてSUS430系材料を用い、外形直径を1.9mm、内径直径1.3mmとし、ホルダーの外側から120°間隔でポンチPを押し当て、内方に0.3mm押し込む加工(凸部の頂点に接する最大内接円を1mmとする加工)を行なった。
前記実験において、ポンチの工具径d2、先端角度θ2を表1に示すように変え、ホルダー2とポンチPとの離れ度合い(工具食いつき)、ポンチの耐久性、ホルダーの変形度合いについて検証を行なった。
加工回数は、夫々のポンチを用いて各10000回行い、ホルダーの移動が一度もない場合を表1中○で表示し、1回発生した場合を△で表示し、2回以上発生した場合を×で表示した。
加工回数は、夫々のポンチを用いて各10000回行い、破損や欠けが全く発生しない場合を表1中○で表示し、微少な欠けが発生した場合を△で表示し、破損が発生した場合を×で表示した。
更に、ホルダーの変形度合いは、円形のホルダーの外形形状の変形度合いを検証した。加工回数は、夫々のポンチを用いて各10000回行い、ホルダーの外形寸法(直径)1.9mmからの変化が5μm以下の場合を表1中○で表示し、10μm以下の場合を△で表示し、10μmを超えた場合を×で表示した。
また、表1中、ポンチの先端半径は、図7に示すように、円錐台形状の凹部の底面の直径に相当し、ポンチの先端角度θ2の1/2の角度が円錐台形状凹部の傾斜角度θ1に相当するものである。
このポンチの先端角度θ2は、前記したように、円錐台形状の凹部の側面の傾斜角度θ1の2倍に相当する。したがって、円錐台形状の凹部の側面の傾斜角度は、30度〜50度が好ましい。
更に、前記ホルダー2はSUS430系材料を用い、外形直径を1.9mm、内径直径1.3mmとし、ホルダーの外側から120°間隔でポンチPを押し当て、内方に0.4mm押し込む加工(凸部の頂点に接する最大内接円を0.9mmとする加工)を行なった。この実験2では、ポンチPの先端径d2を0.03mm、0.05mm、0.07mmとし、夫々について先端角度θ2が80度、100度のポンチを用いて、ポンチの耐久性及びホルダーの変形度合いについて検証を行なった。
2 ホルダー
2c 凸部
2d1 円柱状凹部
2d2 円錐台形状凹部
3 インク収容管
4 継ぎ手
5 先端ボール
6 スプリング
d1 凹部(円錐台形状凹部の底面直径)
d2 ポンチの先端径
θ1 円錐台形状凹部の側面の傾斜角度
θ2 ポンチの先端角度
D1 円柱状凹部の直径
D2 ホルダーの外形直径
D3 ポンチの工具径
P ポンチ
S ホルダー外周面の凹部の開口面積(円柱状凹部の開口面積)
Claims (3)
- 先端に筆記部となる先端ボールを抱持したホルダーと、そのホルダー内に先端ボールを押圧するように収容されたスプリングとを有し、前記スプリングの筆記部側先端部が先端ボールに当接すると共に、前記スプリングの後端部が前記ホルダーの内周面に形成された凸部に係止されたボールペンにおいて、
前記内周面に形成された凸部は、前記ホルダーの外周面に凹部を形成することにより形成され、
かつ、前記ホルダーの外周面に形成された凹部は、外周面から内方に形成された円柱状の凹部と、前記円柱状の凹部の更に内方に形成された、底面方向に先細りした円錐台形状の凹部とが組み合わされた形状を有し、
前記ホルダーの外周面に形成された円柱状凹部の中心線が、前記ホルダーの後端部から前記円柱状凹部の直径以上の距離、離れた位置に設けられ、
前記ホルダーの外周面に形成された円柱状凹部の直径は、前記ホルダーの外形直径の0.20倍以上0.32倍以下であることを特徴とするボールペン。 - 先端に筆記部となる先端ボールを抱持したホルダーと、そのホルダー内に先端ボールを押圧するように収容されたスプリングとを有し、前記スプリングの筆記部側先端部が先端ボールに当接すると共に、前記スプリングの後端部が前記ホルダーの内周面に形成された凸部に係止されたボールペンにおいて、
前記内周面に形成された凸部は、前記ホルダーの外周面に凹部を形成することにより形成され、
かつ、前記ホルダーの外周面に形成された凹部は、外周面から内方に形成された円柱状の凹部と、前記円柱状の凹部の更に内方に形成された、底面方向に先細りした円錐台形状の凹部とが組み合わされた形状を有し、
前記ホルダーの外周面に形成された円柱状凹部の中心線が、前記ホルダーの後端部から前記円柱状凹部の直径以上の距離、離れた位置に設けられ、
前記凹部の底面の直径は、0.03mm乃至0.07mmであって、円錐台形状の凹部側面の傾斜角度が30度乃至50度であることを特徴とするボールペン。 - 先端に筆記部となる先端ボールを抱持したホルダーと、そのホルダー内に先端ボールを押圧するように収容されたスプリングとを有し、前記スプリングの筆記部側先端部が先端ボールに当接すると共に、前記スプリングの後端部が前記ホルダーの内周面に形成された凸部に係止されたボールペンにおいて、
前記内周面に形成された凸部は、前記ホルダーの外周面に凹部を形成することにより形成され、
かつ、前記ホルダーの外周面に形成された凹部は、外周面から内方に形成された円柱状の凹部と、前記円柱状の凹部の更に内方に形成された、底面方向に先細りした円錐台形状の凹部とが組み合わされた形状を有し、
前記ホルダーの外周面に形成された円柱状凹部の中心線が、前記ホルダーの後端部から前記円柱状凹部の直径以上の距離、離れた位置に設けられ、
前記円柱状凹部の深さが、ホルダーの肉厚に対して、0.1倍以上0.6倍以下であり、前記円錐台形状の凹部の深さが、ホルダーの肉厚に対して、0.6倍以上1倍以下であり、かつ、前記円柱状及び円錐台形状の凹部深さの合計が、ホルダーの肉厚に対して、0.8倍以上1.4倍以下であることを特徴とするボールペン。
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