JP4176379B2 - ボールペンの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペンの製造方法に関する。詳細には、先端にボールを回転可能に抱持したペン先を、インキ収容管の前端開口部に圧入固着するボールペンの製造方法に関する。尚、本発明で「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のボールペンの製造方法に関し、インキ収容管へのペン先の圧入を円滑なものにし、ペン先の圧入不良(具体的には、不完全な圧入または圧入部分の損傷等)の発生を防止する目的のものとして、例えば、特開平7−299986号公報、及び特開平9−226287号公報が挙げられる。
【0003】
前記特開平7−299986号公報には、ホルダー(本願のペン先に相当)の嵌合部またはインキ収容管の嵌合部に潤滑剤を塗布した後、前記ホルダーとインキ収容管とを嵌合するボールペンの製造方法が開示されている。
【0004】
前記特開平9−226287号公報には、チップホルダー(本願のペン先に相当)をインキ収容管にスムーズに圧入するために、インキ収容管の開口部の内周エッジ部(本願の内周縁部に相当)に押圧ピンの円錐面を圧接させ、内周エッジ部のバリをインキ収容管内に折曲変形させると共に内周エッジ部全体を円錐面状に変形させ、その後、インキ収容管の開口部内面にチップホルダーを圧入固着するボールペンの製造方法が開示されている。
【0005】
前記特開平7−299986号公報の製造方法は、潤滑剤を塗布する工程が必要であり、前記特開平9−226287号公報の製造方法は、押圧ピンを圧接する工程が必要である。即ち、前記従来の製造方法を採用する場合、両者共、ペン先の圧入を円滑にするための特別な工程が必要となり、製造工程が増加し、製造コストが上昇する問題点がある。
【0006】
また、従来、インキ収容管にインキを充填する際に使用する充填ノズルは、インキ収容管の内径よりも十分に小さい外径を有する細管状であり、インキ充填時、その先端が、インキ収容管内に遊挿されると共に、インキ収容管の開口部から内方に深く挿入される。そのため、特に、インキ収容管が細い(例えば、内径2mm以下)場合、充填ノズルを挿入する際に、充填ノズルとインキ収容管との間で僅かに位置ズレが生じると、充填ノズルがインキ収容管に当たって折れ曲がり、確実なインキ充填が成しえないおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、ペン先の円滑な圧入を可能にし、ペン先の圧入不良の発生を防止できると共に、製造工程を減少させ、製造コストの低減を図ることができ、しかも、確実なインキの充填が可能となるボールペンの製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
【0010】
本願発明は、充填ノズル6の傾斜面状の外周面をインキ収容管3の前端開口部の内周縁部31に圧接させた状態で、インキ収容管3内にインキ4を充填し、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の前端をインキ収容管3の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管3の前端開口部にペン先2を圧入固着してなるボールペン1の製造方法(請求項1)を要件とする。
【0011】
請求項1により、インキ4を充填する際、充填ノズル6の傾斜面状の外周面が、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31に圧接するため、インキ収容管3内へのインキ4の充填と同時に、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31が傾斜面状に変形される。それにより、その後に行うペン先2の圧入が引っ掛かりのない円滑なものになると共に、ペン先2の圧入を円滑にするために特別な工程(例えば、押圧ピン圧接工程)を設ける必要がない。
【0012】
さらに、ペン先2を圧入固着する以前に、インキ収容管3の前端開口部(即ちペン先2が圧入固着される部分)にインキ4が存在する。そのため、前記インキ収容管3の前端開口部に存在するインキ4が、ペン先2を圧入する際の潤滑剤として機能するため、インキ収容管3の前端開口部へのペン先2の円滑な圧入が可能となり、ペン先2の圧入不良の発生を防止できる。その上、ペン先2の圧入を円滑にするために特別な工程(例えば、潤滑剤塗布工程)を設ける必要がないため、製造工程が減少し、製造コストを安価に抑えることができる。
【0013】
さらに、インキ4の充填時、充填ノズル6をインキ収容管3の内周縁部31に圧接させて使用するため、充填ノズル6とインキ収容管3との間の位置ズレが生じることがなく、充填不良のない確実なインキ4の充填が可能となる。
【0014】
従って、請求項1により、より一層、インキ収容管3の前端開口部へのペン先2の円滑な圧入が可能となり、ペン先2の圧入不良の発生を防止すると共に、より一層、製造工程を減少させ、製造コストを安価に抑えることができ、しかも、確実なインキ4の充填が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明のボールペン1の製造方法の実施の形態を示すものであり、製造工程は、上図から下図へ、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順に移行する。
【0017】
〔図1(a)の状態〕
図1(a)にインキ4を充填している状態を示す。
充填ノズル6は、金属製であり、且つ、先端部は先細状(具体的には尖頭角度60度の円錐面状)に形成される。前記充填ノズル6の傾斜面状外面をインキ収容管3の前端開口部の内周縁部31に圧接させると同時に、前記充填ノズル6の先端をインキ収容管3の前端開口部に位置させ、インキ収容管3内にインキ4を充填する。前記インキ4は、水性インキ(具体的には、剪断減粘性を有する水性インキ)が好ましいが、これ以外にも油性インキであってもよい。前記インキ収容管3は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)の押出成形体からなり、両端が開口された外径3mm、内径1.7mmの円筒体である。尚、本発明の傾斜面状の充填ノズル6の外形状は、円錐面状の他にも、凸曲面または凹曲面であってもよい。
【0018】
インキ充填時、充填ノズル6は、その傾斜面状外面がインキ収容管3の前端開口部の内周縁部31に圧接する構成であるため、インキ収容管3と充填ノズル6との間で位置ズレが生じたとしても、傾斜面状の外面によりインキ収容管3の前端開口部の内周縁部31がガイドされ、前記インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31との確実な圧接が可能となる。
【0019】
また、インキ充填時、充填ノズル6の先端が、ペン先2が圧入されるインキ収容管3の前端開口部に位置し、インキ収容管3の前端開口部から内方に深く挿入されない構成であるため、インキ収容管3の内径が2mm以下の小さいものであっても、充填ノズル6の先端が折れ曲がるおそれがなく、インキ4の充填不良のない安定したインキ充填工程が得られる。
【0020】
〔図1(b)の状態〕
図1(b)にインキ充填後の状態を示す。
前記図1(a)に示した充填ノズル6の圧接により、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31が傾斜面状(具体的には円錐面状)に変形され、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31に傾斜面状の内面が形成されると同時に、ペン先2が圧入固着される部分であるインキ収容管3の前端開口部に、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の前端が位置している。
【0021】
〔図1(c)の状態〕
図1(c)に、ペン先2を圧入する直前の状態を示す。
前記図1(b)の状態のインキ収容管3の前端開口部にペン先2を圧入する際、前記インキ収容管3の前端開口部の内周縁部31の傾斜面状内面によって、ペン先2が前記内周縁部31に引っ掛かることがなく、さらに、インキ収容管3の前端開口部に存在するインキ4が、ペン先2の外面との間で潤滑剤として機能する。それにより、インキ収容管3へのペン先2の圧入が円滑なものとなり、ペン先2の圧入不良(例えば不完全な圧入、または圧入部分の損傷等)が発生するおそれがない。
【0022】
また、インキ収容管3へのペン先2の圧入を円滑なものにするための特別な製造工程(例えば、押圧ピンの円錐面状の外面をインキ収容管3の内周縁部31に圧接させる工程や、ペン先2の外面に潤滑剤を塗布する工程)を設ける必要がなく、製造工程を増加させず、製造コストを安価に抑えることが可能となる。
【0023】
尚、本実施の形態のペン先2は、前端に回転可能にボールを抱持した金属製(例えば、ステンレス鋼製)のボールペンチップ21と、該ボールペンチップ21の後部外面を保持する合成樹脂製(ポリプロピレン樹脂製)のペン先ホルダー22とからなり、ペン先ホルダー22の外面とインキ収容管3の内面が圧入固着される構成である。前記合成樹脂製のペン先ホルダー22を合成樹脂製のインキ収容管3に圧入する場合、金属製のボールペンチップまたは金属製のペン先ホルダーを合成樹脂製のインキ収容管3に圧入する場合に比べ、ペン先ホルダー22が変形して前記圧入不良が発生しやすいが、前記図1(a)のインキ充填方法により、圧入不良を十分に防止することができる。
【0024】
これ以外にも、本発明のペン先2は、前端に回転可能にボールを抱持した金属製または合成樹脂製のボールペンチップ21のみの構成であってもよく、その場合、ボールペンチップ21の外面とインキ収容管3の内面とが圧入固着される。また、本実施の形態のボールペンチップ21は、ボール受け座を金属製(例えば、ステンレス鋼製)の細管の前端に内方への押圧変形により形成したものであるが、これ以外にもボール受け座を金属材料を切削加工により形成したものであってもよい。
【0025】
〔図1(d)の状態〕
図1(d)に、ペン先2を圧入固着した直後の状態を示す。
前記図1(c)に示した状態から、ペン先2とインキ収容管3との圧入固着が完了すると、ペン先2の外面とインキ収容管3の前端開口部内面とは、環状に密接され、インキ4の漏出が防止される。また、前記インキ収容管3の内径及び外径は、ペン先2の圧入により、僅かに拡径される。
【0026】
〔図1(e)の状態〕
図1(e)に、追従体5を充填した後の状態を示す。
追従体5は、高粘度流体よりなり、前記図1(d)の状態のインキ収容管3の後端開口部より充填され、前記インキ収容管3内のインキ4の後端に配置される。そして、遠心力によりインキ4及び追従体5が前方に移動されると同時に、ペン先2の内部の残留空気、インキ4中の残留空気、及び追従体5中の残留空気が、インキ収容管3の後端開口部から除去され、筆記可能状態のボールペン1が得られる。尚、前記追従体5は、高粘度流体のみの構成の他、高粘度流体中に固形物を収容させた構成、または弾性材料よりなるスライド栓であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
【0028】
請求項1により、ペン先の円滑な圧入を可能にし、ペン先の圧入不良の発生を防止できると共に、製造工程を減少させ、製造コストの低減を図ることができ、しかも、確実なインキの充填が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ボールペン
2 ペン先
21 ボールペンチップ
22 ペン先ホルダー
3 インキ収容管
31 内周縁部
4 インキ
5 追従体
6 充填ノズル
Claims (1)
- 充填ノズルの傾斜面状の外周面をインキ収容管の前端開口部の内周縁部に圧接させた状態で、インキ収容管内にインキを充填し、前記インキ収容管内に充填されたインキの前端をインキ収容管の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管の前端開口部にペン先を圧入固着してなるボールペンの製造方法。
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JP2002152141A JP4176379B2 (ja) | 2002-05-27 | 2002-05-27 | ボールペンの製造方法 |
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