JP5361217B2 - 耐候性の改善された木質系合成樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、木質系合成樹脂組成物およびその成形体に関し、詳しくは、高度に耐候性が改善された木質系合成樹脂組成物およびその成形体に関する。
従来、合成樹脂に木粉を添加して成形し、天然木に近い質感を有する木質系合成樹脂が使用され、建材用内外装材や自動車用内装材等に用いられている。天然木材は磨耗性及び腐食性等に劣るため、これらの性能に優れる木質系合成樹脂が注目されている。
しかしながら、合成樹脂に木粉を添加すると、極端に耐候性が低下するという問題があった。そこで、成形品に耐候性の良好な樹脂を被覆したり、塗装したりすることが提案され、例えば、特許文献1には、透明耐候性樹脂を被覆した木目模様成形品が開示され、特許文献2には、表層部の表面をサンデイング加工またはエンボス加工した木質様材が開示されている。
また、耐候性を向上させるために、無機充填剤、紫外線吸収剤および光安定剤等の耐候剤を添加することが提案され、例えば、特許文献3には、無機充填剤を配合した木粉を有する樹脂組成物が開示され、特許文献4には、被覆層への耐候剤の添加が開示されている。また、特許文献5には、耐候性を改善するために水酸化鉄及び硫酸鉄等の鉄系化合物を配合することが開示されている。
特開2000−239432号公報 特開2000−301670号公報 特開2001−098114号公報 特開2004−174721号公報 特開2002−038018号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の方法では、成形品の耐候性についての改善は見られるものの、製造工程の煩雑化、金型構造の複雑化等の問題が指摘されている。
また、特許文献3〜5に記載の方法では、耐候性を向上させるために、無機充填剤、紫外線吸収剤および光安定剤等の耐候剤の添加が行われているが、その効果を得るためには大量の添加剤が必要となる等の問題があり、いずれも充分に満足のいくものではなかった。さらに、特許文献4に記載の方法では、被覆層への耐候剤の添加が提案されているが、木粉から発生する木酸による光安定剤の拮抗作用により、耐候性の効果が十分ではなかった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解決し、優れた耐候性を有する木質系合成樹脂組成物およびその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のヒンダードアミン化合物を用いることにより優れた耐候性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の木質系合成樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対して、木粉5〜200質量部と、下記一般式(2)
Figure 0005361217
(式中、R は炭素原子数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を表す)で表されるヒンダードアミン化合物0.01〜5質量部を配合してなることを特徴とするものである。
さらに、本発明の木質系合成樹脂組成物は、前記合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはエチレン―プロピレン共重合樹脂であることが好ましい。
さらにまた、本発明の木質系合成樹脂成形体は、前記木質系合成樹脂組成物を成形してなり、耐候性の改善されたことを特徴とするものである。
本発明により、優れた耐候性を有する木質系合成樹脂組成物およびその成形体を提供することが可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる合成樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物、又は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。さらに、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。上記合成樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂を本発明の合成樹脂組成物とすることが好ましい。
上記合成樹脂は、比重、平均分子量、溶融粘度、モノマー組成、溶媒への不溶分比率、立体規則性の有無や種類、重合終了時点での形状や大きさ、重合に用いた触媒の種類、触媒残渣の失活処理・除去処理の有無や方法、触媒由来の樹脂中に残存する金属種や酸成分の有無・種類・濃度などによらず用いられる。
本発明に用いられる木粉としては、植物繊維の粉砕物であればその種類は特に限定されるものではなく、スギ、ツガ、ヒノキ、マツ、カツラ、クリ、ブナ、サクラ、ナラ、モミ、ラワン等の木粉を使用することができる。木粉の形状としては粉砕品が好ましく、粒径5〜600μmのものが良好な木質感が得られること等から好適である。木粉の配合量は、合成樹脂100質量部に対し、5〜200質量部であり、好ましくは20〜150質量部である。5質量部未満であると良好な木質感が得られず、200質量部を超えると耐衝撃性等の機械的物性に劣る傾向があるため好ましくない。
本発明に用いられる一般式(1)で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物におけるR、R、RおよびRで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチルなどが挙げられる。
上記一般式(1)におけるRおよび上記一般式(2)におけるRで表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。また、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルなど上記アルキル基に対応する基が挙げられる。
上記一般式(1)におけるRおよび上記一般式(2)におけるRで表される炭素原子数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表される基を有するヒンダードアミン化合物としては、より具体的には、以下のNo.1〜6の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
Figure 0005361217
Figure 0005361217
Figure 0005361217
Figure 0005361217
Figure 0005361217
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上記具体的に示した化合物の中で、No.1の化合物は、特に耐候性の付与効果が大きいので好ましい。
本発明に用いられる一般式(1)で表されるヒンダードアミン化合物の配合量は、合成樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、好ましくは0.05〜3.5質量部であり、コスト面を考慮するとさらに好ましくは0.1〜1質量部である。
上記ヒンダードアミン化合物は0.01質量部より少ないと初期の安定化効果が十分ではなく、一方、5質量部より多く用いるとブルームにより樹脂組成物の美観を損ない、安定化効果はほとんど向上しない。
本発明の木質系合成樹脂組成物には、合成樹脂と木粉を混合するに当たって相溶性を良くする目的で相溶化剤を配合することが好ましい。相溶化剤としては、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂のポリオレフィンを不飽和カルボン酸で変性した樹脂等が挙げることができる。相溶化剤の配合量は、上記木質系合成樹脂組成物中の含有量として、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%未満では相溶化の効果が得られない場合があり、一方、10質量%を超えると成形体の曲げ強度等の機械的物性が低下する場合があり好ましくない。
本発明の木質系合成樹脂組成物には、必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、他のヒンダードアミン化合物、造核剤、難燃剤、難燃助剤、エチレンビスステアリン酸アミドやエルカ酸アミドなどの加工性改良剤、顔料、充填剤、可塑剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤などの添加剤を併用することができる。
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トコフェノール等が挙げられ、配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第3ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−トラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第3ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられ、配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられ、配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられ、配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
上記他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられ、配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
上記造核剤としては、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸リチウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどの多価アルコール誘導体などが挙げられ、配合量は樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤;赤燐、リン酸メラミンなどの無機リン化合物、リン酸トリフェニル、レゾルシノール・フェノール・リン酸縮合物、ビスフェノールA・2,6−キシレノール・リン酸縮合物などのリン酸エステル化合物からなるリン系難燃剤;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの無機難燃剤;メラミンシアヌレートなどの含窒素化合物などが挙げられ、酸化アンチモンなどの難燃助剤やフッ素樹脂、シリコン樹脂などのドリップ防止剤などと併用することが好ましい。配合量は樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部、より好ましくは1〜100質量部である。
上記顔料としては、有機、無機いずれでもよく、酸化チタン、硫化亜鉛などの白色顔料;カーボンブラック等の黒色顔料;酸化クロム、クロムグリーン、ジンクグリーン、塩化銅フタロシアニングリーン、フタロシアニングリーン、ナフトールグリーン、マラカイトグリーンレーキなどの緑色顔料;群青、紺青、銅フタロシアニンブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、フォストスカイブルー、インダンスレンブルー等の青色顔料;鉛丹、ベンガラ、塩基性クロム酸亜鉛、クロムバーミリオン朱、カドミウム赤、バラレッド、ブリリアントカーミン、ブリリアントスカーレット、キナクリドン赤、リソールレッド、バーミリオン、チオインジゴレッド、ミンガミヤレッドなどの赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ハンサイエロー、オーラミンレーキ、ベンジジンイエロー、インダンスレンイエローなどの黄色顔料が挙げられ、配合量は樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは2〜10質量部である。
上記充填剤としては、ガラス繊維、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどが用いられる。充填剤は樹脂との親和性を改善するためにチタン系、シラン系等の表面処理剤で表面処理されたものが好ましい。配合量は合成樹脂100質量部に対して好ましくは5〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部である。
上記金属石鹸としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸の塩が用いられる。含水率、融点、粒径、脂肪酸の組成、製造方法がアルカリ金属の脂肪酸塩と金属(水)酸化物の反応による複分解法であるか脂肪酸と金属(水)酸化物の溶媒存在下もしくは不存在下に中和反応する直接法であるかによらず、また、脂肪酸か金属のいずれかが過剰であっても用いられる。配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
上記ハイドロタルサイトとしては、天然物でも合成品でもよく、リチウムなどのアルカリ金属で変性されたものや炭酸アニオンの一部を過塩素酸で置換したものでもよい。特に、下記一般式(3)、
ZnMgAl(OH)(x+y+2)CO・nHO (3)
(式中、xは0〜3を示し、yは1〜6を示し、また、x+yは4〜6を示し、nは0〜10を示す)で示される組成のものが好ましく、結晶水の有無や表面処理の有無によらず用いることができる。また、粒径は特に限定されるものではないが、ハイドロタルサイトとしての特性を失わない範囲で小さいことが望ましい。粒径が大きいと分散性が低下して安定化効果が小さくなり、さらに、得られる樹脂組成物の機械的強度や透明性などの物性を低下させることになる。配合量は合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。
上記可塑剤としては、適用される樹脂に応じて公知の種々の可塑剤を用いることができる。例えば、エステル系可塑剤としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸などの二塩基酸とオクタノール、イソノニルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどのアルキルアルコールやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコールなどのジエステル化合物が挙げられる。ポリエステル系可塑剤としては、上記二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのグリコールからなるポリエステルおよびその末端を上記モノアルコールやプロピオン酸、オクチル酸、安息香酸などのモノカルボン酸化合物で封止したポリエステルが挙げられ、ポリエーテル可塑剤としては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテルが、ポリエーテルエステル系可塑剤としてはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテルと上記二塩基酸のポリエステルが挙げられ、配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
上記帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。かかる帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
さらに本発明の木質系合成樹脂用組成物は、発泡剤を加え押出成形することもでき、発泡剤としては熱分解型発泡剤が好適に使用可能で、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系熱分解型発泡剤、アゾジカーボンアミド(ADCA)等の有機系熱分解型発泡剤及びこれらの混合物を使用することができる。
上記の各種配合物は、樹脂の種類や加工条件、用途に応じて配合量、品質などは適宜選択される。また、樹脂への添加方法としては、各配合物を各々別個に樹脂へ添加してヘンシェルミキサーなどで混合してから加工機へ供給する方法、樹脂以外の配合物の任意の組み合わせを予め混合物として粉体や顆粒状としたものを樹脂へ添加する方法、樹脂中へ高濃度で配合してマスターペレットとしたものを樹脂へ添加する方法、複数の供給口を有する押出機で樹脂とは別の供給口から樹脂へ添加する方法など公知の添加方法が用いられる。
木質系合成樹脂組成物の成形方法は、特に制限されず、用いられる樹脂、充填剤の有無などにより押出成形、射出成形、圧縮成形、積層成形等公知の各手段で成形される。
本発明の木質系合成樹脂組成物成形体の用途は特に制限されないが、建材用、自動車内装用途等に好適に用いられ、建材用としては屋外フェンス、ラティス、床材(バルコニー、デッキ)等のエクステリア部材、内壁材、天井材、階段手すり、家具材等のインテリア部材、その他として遊具、遊歩道等に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、実施例により本発明はなんら制限を受けるものではない。
〔実施例1〜4および比較例1〜4〕
エチレン−プロピレン共重合樹脂(MFR=25、密度=0.90g/cm、曲げ弾性率1700MPa)45質量部、木粉(三共精粉(株)製、エコミルズ スーパーフィーダー#100)55質量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製、ユーメックス1010)5.0質量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、カルシウムステアレート0.05質量部および表1記載の光安定剤(ヒンダードアミン化合物(HALS)、紫外線吸収剤:表1における配合量の単位は質量部である)をドライブレンドした後、二軸押出機190℃で造粒後、180℃でプレス成形して厚さ2mmの試験片を得た。
試験片の耐候性を、サンシャイン・ウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)でブラックパネル温度83℃、雨有(イオン交換水を18分/120分散水)条件下で、クラック発生時間(hr)、グロス残存率(%)及び色差(ΔE)により評価した。結果を表1に併記する。
グロスについては、東京電色(株)製グロスメータ、モデルTC−108Dにより測定した(単位はなし)。
Figure 0005361217
*1:化合物No.1は、上記化合物No.1である。
*2:化合物No.3は、上記化合物No.3である。
*3:比較化合物1は、下記比較化合物1(NH型HALS)である。
*4:比較化合物2は、下記比較化合物2(N−Me型HALS)である。
*5:紫外線吸収剤は、下記化合物No.7(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)である。
比較化合物1
Figure 0005361217
比較化合物2
Figure 0005361217
化合物No.7
Figure 0005361217
表1の結果より、特定のヒンダードアミン化合物を配合した実施例1〜4は、比較化合物を配合した比較例1および2、ならびに特定のヒンダードアミン化合物を配合していない比較例3および4に対して、格段に良好な結果を示していることが分かる。中でもヒンダードアミン化合物である化合物No.1は、実施例1に示される様に、より少ない添加量においても他の光安定剤を凌駕し、特に顕著な効果を示していることが分かる。
従って、本発明により、優れた耐候性を有する木質系合成樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。

Claims (4)

  1. 合成樹脂100質量部に対して、木粉5〜200質量部と、下記一般式(2)
    Figure 0005361217
    (式中、R は炭素原子数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を表す)で表されるヒンダードアミン化合物0.01〜5質量部を配合してなることを特徴とする木質系合成樹脂組成物。
  2. 前記合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項1に記載の木質系合成樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはエチレン―プロピレン共重合樹脂である請求項に記載の木質系合成樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のうちいずれか一項に記載の木質系合成樹脂組成物を成形してなり、耐候性の改善されたことを特徴とする木質系合成樹脂成形体。
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