JP5353765B2 - タイル貼着構造、タイル貼着方法、及び下地パネルのシーリング目地補修方法 - Google Patents

タイル貼着構造、タイル貼着方法、及び下地パネルのシーリング目地補修方法 Download PDF

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Description

本発明は、下地パネルの表面にタイルを貼着して外壁等を仕上げる場合のタイル貼着構造及びタイル貼着方法、並びに、表面にタイルが貼着される下地パネルのシーリング目地補修方法に関する。
本出願人は、特許文献1において、ユニット化された下地パネルを建物躯体に建て込み、その表面に接着剤を介して外装用のタイルを貼着する外壁構造を提案している。その外壁構造の概要を図10に示す。
下地パネル1は、外壁用の各種サイディングや各種セメント板、あるいはコンクリート板等からなるもので、予め工場で所定寸法に成形される。下地パネル1の裏面には取付枠2が取り付けられ、この取付枠2に適宜の取付金具(例えば、本出願人が特許文献2、3等に開示しているような取付金具。図10中には記載せず。)を掛着させることにより、下地パネル1が建物の躯体軸組3に取り付けられる。建て込まれた下地パネル1の目地部分には、バックアップ材4及びシーリング材5が充填される。そして、前記目地を含む下地パネル1の表面全体に、例えば二液性エポキシ変性シリコーン系接着剤などの弾性接着剤6が櫛引き状に塗布されて、その上にタイル7が貼着される。
下地パネル1のシーリング目地はタイル7の目地よりも幅が広く、かつ下地パネル1のシーリング目地とタイル7の目地とは質感や光沢も異なるが、こうして、下地パネル1のシーリング目地をタイル7によって隠してしまうと、タイル7の目地割が下地パネル1の目地によって分断されずに連続する。これにより、タイル7の質感が十分に強調された、高級感のある外壁の意匠が得られることとなる。
特開2001−317181号公報 特開平5−321368号公報 特開平5−321369号公報
建物に地震等の外力が作用すると、建物躯体が変形し、その変形が下地パネルの目地部分に集中して、シーリングが損傷する。このとき、目地近傍に貼着されたタイルも、剥落したり割れたりすることがある。地震のような大きな外力を受けない場合でも、下地パネルのシーリング目地には経年劣化が生じる。かかる事情から、通常は10〜20年ほどの周期で、下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じる。
しかしながら、前記従来のような外壁構造では、下地パネルの目地を跨いでタイルが貼着されているから、シーリング目地を補修するには、目地上のタイルを一旦、剥がさなければならない。タイルを剥がすのは容易でなく、シーリング目地の補修には多大な手間がかかってしまうことになる。
そこで、本発明は、下地パネルの目地上にタイルを貼着する前述のような外壁構造において、下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じたとき、その補修作業を迅速かつ容易に行うことができるタイルの貼着構造と貼着方法、及び該貼着構造を利用した下地パネルのシーリング目地補修方法を提供するものである。
なお、本発明は、主として外装用のタイルによる外壁の仕上げに供されるものであるが、下地パネルの表面にタイルが貼着される壁面であれば屋内外を問わずに適用可能であり、また、床面のような非垂直面にも適用可能である。
上記した目的を達成するため、本発明のタイル貼着構造は、壁体等を構成する下地パネルの目地にシーリングを施し、該下地パネルの表面に前記目地を跨ぐようにタイルを貼着して壁体等を仕上げるタイル貼着構造において、前記下地パネルの表面縁部に、導電性を有する薄帯体が、下地パネルの目地に沿って連続するように貼着され、前記薄帯体を含む下地パネルの表面全体に熱可塑性を有する接着剤が塗布され、該接着剤を介して、前記薄帯体を含む下地パネルの表面に、下地パネルの目地を跨いでタイルが貼着されたことを特徴とする。
このタイル貼着構造における薄帯体は、下地パネルのシーリング目地補修方法として後述するように、電磁誘導加熱(高周波加熱)を利用してそれ自体を昇温させるための部材である。電磁誘導加熱とは、コイルに交流電流を流すと磁界(磁束密度)の変化が生じ、その磁界内に置いた導電性物質に渦電流が発生して、その抵抗により導電性物質自体が発熱する原理を利用した加熱方式である。この加熱方式は、電磁調理器(IHクッキングヒーター)や高周波溶接等にも利用されているが、この原理を利用してタイルをホットメルト接着剤で貼着する技術も、例えば特開平8−73818号公報、特開2002−264241号等に開示されている。
ただし、本発明は、タイルの貼着時ではなく剥取時に電磁誘導加熱を利用して接着剤を軟化させようとするものである。したがって、本発明に利用する接着剤としては、常温で固体状をなすホットメルト接着剤よりも、常温下で適度の流動性及び初期粘着力を有し、硬化後にも加熱によって軟化する性状の接着剤のほうが好ましい。タイルの貼着に際しては、この種の接着剤を下地パネルの表面に刷毛、鏝、ローラー等で塗布し、その接着剤が硬化しないうちにタイルを貼着する。
一方、薄帯体としては、適度な強度及び導電性を有すること、また、作業性に優れ経済的であることなどの点で、アルミテープ(フィルム)やステンレステープ等を好適に利用することができる。このような薄帯体を、下地パネルの目地に沿う一定幅の領域に予め貼着しておけば、タイルの貼着後でも、タイルの表面側から適宜の電磁誘導加熱装置を用いて薄帯体を加熱することができ、薄帯体上に塗布された接着剤層を軟化させて、タイルを容易に剥ぎ取ることができる。
薄帯体の加熱に用いる電磁誘導加熱装置については特に限定されないが、加熱効率の点では、高周波のタイプが好ましい。また、作業性の点では、誘導コイルと電源制御部とを別体にしたものが、コンパクトになり好ましい。誘導コイルの形状等については、装置の仕様や作業性等を考慮して適宜設計されればよい。
外壁等の施工段階から、このような配慮を下地パネルの目地近傍に施しておくことにより、後に下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じたとき、その補修作業を効率的に実施することが可能になる。
また、本発明のタイル貼着方法は、前記したタイル貼着構造の合理的な施工手順を特定するものであって、
a:壁体等を構成する下地パネルの目地にシーリングを施す工程と、
b:前記下地パネルの表面縁部に、導電性を有する薄帯体を、下地パネルの目地に沿って連続するように貼着する工程と、
c:シーリングを施した下地パネルの目地をマスキングテープによって被覆する工程と、
d:前記a〜cの工程に続いて、前記薄帯体及びマスキングテープを含む下地パネルの表面全体に熱可塑性を有する接着剤を塗布する工程と、
e:前記dの工程に続いて、下地パネルの目地から前記マスキングテープを剥ぎ取る工程と、
f:前記eの工程に続いて、前記接着剤が塗布された前記薄帯体を含む下地パネルの表面に、下地パネルの目地を跨いでタイルを貼着する工程と、
を具備することを特徴とする。
下地パネルの目地にシーリングを施したら、その目地をマスキングテープで養生した上で下地パネルの表面全体に接着剤を塗布し、マスキングテープを剥がしてタイルを貼着する、という施工手順を採用することにより、下地パネルの目地上に接着剤層が残るのを避けることができる。これによって、下地パネルの目地を跨ぐタイルの剥ぎ取りが容易になり、目地部分のシーリング補修作業を効率よく実施することができる。
なお、このタイル貼着方法におけるa〜cの工程は、必ずしも[a→b→c]の手順のみに限定されるものではなく、施工上の事情によっては、[b→a→c]又は[a→c→b]のように先後順を入れ替えて実施することも可能である。
前記タイル貼着構造及びタイル貼着方法においては、下地パネルの目地に干渉するタイルの裏面にも、前記と同様の導電性を有する薄帯体が貼着されていてもよい。あるいはまた、下地パネルの目地に干渉するタイルの裏面に、金属性材料を薄膜状に塗布(コーティング)または蒸着するなどして導電体層が設けられていてもよい。これらの構成によれば、下地パネルの目地に干渉するタイル自体も昇温させて、その裏面に接する接着剤層を効率良く軟化させることができるので、下地パネルの目地に干渉するタイルの剥ぎ取りが、一層容易になる。
また、前記タイル貼着構造及びタイル貼着方法においては、薄帯体の幅寸法を、下地パネルの表面に貼着されるタイルの最大幅と同寸以上にしておくのが好ましい。これにより、下地パネルの目地を挟む両側に、タイルの最大幅と同じだけの加熱領域を設けることができる。すると、タイルの目地割が、破れ目地(上下の段の縦目地が連続しないようにタイルを配列する目地割)又は芋目地(上下の段の縦目地が2段以上、連続するようにタイルを配列する目地割)のいずれであっても、下地パネルの目地に干渉する各段1〜2枚のタイルは、必ず前記加熱領域内に納まることになるから、そのタイルを容易に剥がして、下地パネルの目地を無理なく露出させることができる。なお、下地パネルに貼着されるタイルが、幅の広いものと幅の狭いものとを組み合わせたような目地割になる場合は、薄帯体の幅寸法を幅の広いタイルに合わせるものとする。
また、本発明の下地パネルのシーリング目地補修方法は、前記したタイル貼着構造によって表面にタイルが貼着されてなる下地パネルのシーリング目地補修方法であって、
s:タイルの表面側から電磁誘導加熱により、下地パネルの目地に沿って貼着された薄帯体を加熱して、該薄帯体の表面に塗布された接着剤を軟化させる工程と、
t:前記sの工程に続いて、下地パネルの目地に干渉する位置に貼設されているタイルを前記薄帯体から剥ぎ取り、下地パネルの目地を露出させる工程と、
u:前記tの工程に続いて、露出した下地パネルの目地に施されたシーリングを補修する工程と、
v:前記uの工程に続いて、補修した下地パネルの目地をマスキングテープによって被覆する工程と、
w:前記vの工程に続いて、前記薄帯体及びマスキングテープを含む下地パネルの露出箇所に接着剤を再塗布する工程と、
x:前記wの工程に続いて、下地パネルの目地から前記マスキングテープを剥ぎ取る工程と、
y:前記xの工程に続いて、前記接着剤が塗布された下地パネルの露出箇所に、下地パネルの目地を跨いでタイルを貼着する工程と、
を具備することを特徴とする。
この下地パネルのシーリング目地補修方法によれば、下地パネルの目地を跨いでタイルが貼着されている外壁等において、下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じたとき、その目地に干渉するタイルだけを剥がし取り、シーリングの再充填等、必要な補修を行った上で再度、目地の上にタイルを貼着し直す作業を、効率よく実施することができる。
なお、このシーリング目地補修方法におけるwの工程において、タイルを貼り直すために塗布する接着剤は、当初と同様の熱可塑性接着剤でも、もちろん構わないが、将来の補修作業時点において、より施工性に優れる接着剤等があるならば、その利用を排除するものではない。
本発明のタイル貼着構造によれば、下地パネルの目地に沿って貼着された薄帯体を、タイルの表面側から電磁誘導加熱(高周波加熱)を利用して加熱することにより、該薄帯体上に塗布された熱可塑性を有する接着剤を軟化させて、タイルを容易に剥ぎ取ることができる。外壁等の施工段階から、このような配慮を下地パネルの目地近傍に施しておくことにより、将来、下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じたとき、目地に干渉する範囲のタイルだけを限定的に剥ぎ取ることができる。
また、本発明のタイル貼着方法によれば、前記タイル貼着構造を合理的な手順で施工することができる。特に、下地パネルの目地をマスキングテープで養生する工程を挟むことにより、下地パネルの目地上に接着剤層が残るのを避けることができるので、下地パネルの目地を跨ぐタイルの剥ぎ取りが容易になり、シーリング目地の補修作業を、効率よく実施することができる。
そして、本発明の下地パネルのシーリング目地補修方法によれば、下地パネルの目地を跨いでタイルが貼着されている外壁等において、下地パネルのシーリング目地を補修する必要が生じたとき、その目地に干渉するタイルだけを剥がし取り、シーリングの再充填等、必要な補修を行った上で再度、目地の上にタイルを貼り直す作業を、効率よく実施することができる。
本発明のタイル貼着方法におけるa〜bの工程を示す斜視図である。 本発明のタイル貼着方法におけるcの工程を示す斜視図である。 本発明のタイル貼着方法におけるdの工程を示す斜視図である。 本発明のタイル貼着方法におけるeの工程を示す斜視図である。 本発明のタイル貼着方法におけるfの工程を示す斜視図である。 本発明のタイル貼着構造を示す横断面図である。 本発明の他の実施形態に係るタイル貼着構造の横断面図である。 本発明の下地パネルのシーリング目地補修方法におけるsの工程を示す横断面図である。 本発明の下地パネルのシーリング目地補修方法におけるtの工程を示す斜視図である。 特許文献1に開示された従来の外壁構造(タイル貼着構造)の概要を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明のタイル貼着方法を、その施工手順に沿って示す図であり、図6及び図7は、該タイル貼着方法によって得られるタイル貼着構造の横断面図である。また、図8〜図9は、図5〜図7に示したタイル貼着構造からタイルを剥ぎ取る手順を示す図である。なお、図1〜図9において、図10に示した前記従来の外壁構造と共通する部材や部位には、共通の符号を付す。
図1は、本発明のタイル貼着方法におけるa〜bの工程を示す。例示した下地パネル1は基本的に従来と同様のもので、タイル7の貼着に適するものであれば、特にその材質や形状は限定しない。この下地パネル1を、その裏面に設けられた適宜の取付枠2や取付金具21(図6参照)等を介して、建物の躯体軸組3等に建て込む。
下地パネル1の目地部分には、必要に応じてバックアップ材4による裏打ち処理を行い、シーリング材5を充填する。シーリング材5の種類も特に限定しないが、例えばウレタン系、シリコーン系、ポリサルファイド系などの高耐久型弾性シーリング材5を、下地パネル1の材質や施工部位等に合わせて適宜、選択して使用する。
そして、下地パネル1の表面縁部に、導電性を有する薄帯体8を貼着する。薄帯体8には、タイル7の貼着に影響を与えない程度の厚さ(概ね0.3mm以下)の金属質シートやテープ等を利用し、これを適宜の接着剤等によって下地パネル1に貼着する。実用的には、裏面に粘着加工を施した、厚さ0.03〜0.15mm程度のアルミテープ又はステンレステープを、特に好適に利用することができる。これらのテープはロール状に巻き取られていて扱いやすく、安価であり、手で簡単に切れるものもある。
薄帯体8の貼着範囲は、タイル7の最大幅と同寸以上にするのが好ましい。薄帯体8に細幅のテープを用いる場合は、該テープを並べて重ね貼りしてもよい。薄帯体8は、下地パネル1の目地に沿って、下地パネル1の両端部まで途切れないように貼着する。長さが足りない場合は、途中で継ぎ重ねてもよい。薄帯体8の貼着には、両面テープを用いてもよい。薄帯体8の貼着に用いる接着剤は、後述のような熱可塑性の接着剤ではなく、熱によって軟化しないものが好ましい。下地パネル1が軟質であれば、タッカーや画鋲等を併用して薄帯体を止め付けることもできる。
あるいは、例示のようなテープ状の薄帯体に替えて、例えば、鉄粉その他の金属性材料を含む塗料等を下地パネルの表面に塗布したり、適宜公知の手段によってアルミニウムその他の金属性材料を下地パネルの表面に蒸着したりして、薄帯体8に相当する一定幅の導電性領域を形成してもよい。
図2は、本発明のタイル貼着方法におけるcの工程を示す。この工程においては、シーリングを施した下地パネル1の目地上に、適宜のマスキングテープ9を貼着して、シーリング目地を養生する。例示形態では、マスキングテープ9を、その両側縁部が目地を挟む両側の薄帯体8にわずかに重なるようにして貼着している。
なお、a(シーリング)、b(薄帯体貼着)、c(マスキング)の工程の作業手順は、必ずしも上述した[a→b→c]の手順に限定されるものではない。予め下地パネル1に薄帯体8を貼着しておき、後から目地をシーリング及びマスキングする[b→a→c]の手順も可能である。あるいは、下地パネル1の目地シーリングに続き、目地と同幅のマスキングテープ9を目地に貼着してから、そのマスキングテープ9とは重ならないように薄帯体8を下地パネル1に貼着する[a→c→b]の手順も可能である。
図3は、本発明のタイル貼着方法におけるdの工程を示す。この工程では、前記薄帯体8、及びマスキングが施された目地を含む下地パネル1の表面全体に、タイル7を貼着するための接着剤60を塗布する。
接着剤60には、常温下で適度の流動性及び初期粘着力を有し、自然乾燥により硬化して、硬化後にも加熱によって軟化する性状のものを使用する。具体的には、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤や、変成シリコーン系接着剤、あるいは、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を基材とする接着成分を水又は溶剤に分散させるなどして流動性を付与した接着剤などが利用可能である。この種の接着剤60を、下地パネル1の表面に刷毛や鏝、ローラー等で塗布し、必要に応じて櫛引きする。
図4は、本発明のタイル貼着方法におけるeの工程を示す。この工程では、前記マスキングテープ9を剥ぎ取って、下地パネル1の目地上に塗布された接着剤60を除去する。
図5は、本発明のタイル貼着方法におけるfの工程を示す。この工程では、接着剤60が硬化しないうちに,薄帯体8を含む下地パネル1の表面にタイル7を貼着する。タイル7は下地パネル1の目地上にも貼着する。なお、本発明において、タイル7の目地割パターンは特に限定しない。
こうして、図6に示すタイル貼着構造が完成する。この貼着構造においては、下地パネル1の目地部分には接着剤60が塗布されていないので、目地上に重なるタイル7は、目地を挟む両側の接着剤60によって保持されることとなる。図6において、W1は目地上に貼着されるタイル7の最大幅寸法であり、W2は薄帯体8の貼着幅である。W1≦W2とすれば、タイル7の目地割が、破れ目地又は芋目地、あるいは他のどのようなパターンであっても、下地パネル1の目地に干渉する各段1〜2枚のタイル7は、必ず薄帯体8の貼着領域内に納まることとなる。
図7に、タイル貼着構造における他の実施形態を示す。例示形態においては、下地パネル1の目地に干渉するタイル7の裏面にも、アルミテープ等からなる前記と同様の薄帯体80が貼着されている。この薄帯体80は、タイル7の貼着に先立って予めタイル7の裏面に貼着されているのが好ましい。タイル7側に貼着された薄帯体80は、接着剤60の表面側に重ねられる。つまり、接着剤60が表裏両側の薄帯体8、80によってサンドイッチ状に挟まれる。この構成によれば、後述の電磁誘導加熱によってタイル7の裏面が加熱されるので、その裏面に接する接着剤60を効率良く軟化させることができる。
なお、図7に示した実施形態において、タイル7の裏面に薄帯体80を貼着する替わりに、鉄粉その他の金属性材料を含む塗料等をタイル7の裏面に塗布又はコーティング処理したり、適宜公知の手段によってアルミニウムその他の金属性材料をタイル7の裏面に蒸着したりして、薄帯体80と同様の作用をなす導電体層をタイル7の裏面に形成してもよい。
あるいは、タイル7の成形材料に予め金属粉末などの導電性材料を練り込んで焼成することにより、タイル7自体を導電性物質となし、このタイル7を下地パネル1の目地上に貼着する、という構成を採用することも可能である。
続いて、図8〜図9を参照しつつ、図6あるいは図7に示したタイル貼着構造から、タイル7を剥ぎ取って下地パネル1のシーリング目地を補修する方法について説明する。図8は、本発明のシーリング目地補修方法において、タイル7を貼着している接着剤60を軟化させるsの工程の作業イメージを示す。
タイル7の剥取に際しては、下地パネル1の目地上に貼着されたタイル7の表面に電磁誘導加熱装置10を接近させて、所定時間、高周波を照射する。電磁誘導加熱装置10は、誘導コイルを有する高周波発生部と電源制御部とが別体に形成されて、高周波発生部を手で持つことができる程度にコンパクト化されたようなものが好ましい。高周波の照射によって薄帯体8が所定温度にまで加熱されると、薄帯体8の表面に塗布された接着剤60が軟化して、タイル7の剥ぎ取りが可能になる。
図9は、本発明のシーリング目地補修方法において、タイル7を剥ぎ取るtの工程の作業イメージを示す。接着剤60が軟化したら、下地パネル1の目地に干渉している各段1〜2枚分のタイル7を剥ぎ取る。タイル7の目地割が破れ目地の場合は、図示のように、各段交互に1枚幅分と2枚幅分のタイル7を剥ぎ取れば足りる。
こうして、補修を要する目地が露出したら、劣化したシーリング材5を取り除いて、目地に新しいシーリング材5を充填する(uの工程)。この補修内容は、本発明において特に限定しない。目地の補修が終われば、下地パネル1の表面にタイル7を再度、貼り直すが、その手順は基本的に、前述したタイル貼着方法におけるcの工程(図2)〜fの工程(図5)と同様である。本発明によれば、このようにして、下地パネル1の目地に干渉する範囲のタイル7だけを剥がし取り、シーリング材5の再充填等、必要な補修を行った上で再度、目地の上にタイル7を貼り直す作業を、効率よく実施することができる。
1 下地パネル
5 シーリング材
60 接着剤
7 タイル
8 薄帯体
80 薄帯体
9 マスキングテープ
10 電磁誘導加熱装置

Claims (9)

  1. 壁体等を構成する下地パネルの目地にシーリングを施し、該下地パネルの表面に前記目地を跨ぐようにタイルを貼着して壁体等を仕上げるタイル貼着構造において、
    前記下地パネルの表面縁部に、導電性を有する薄帯体が、下地パネルの目地に沿って連続するように貼着され、
    前記薄帯体を含む下地パネルの表面全体に熱可塑性を有する接着剤が塗布され、
    該接着剤を介して、前記薄帯体を含む下地パネルの表面に、下地パネルの目地を跨いでタイルが貼着されたことを特徴とするタイル貼着構造。
  2. 請求項1に記載のタイル貼着構造において、
    下地パネルの目地に干渉するタイルの裏面にも導電性を有する薄帯体が貼着されたことを特徴とするタイル貼着構造。
  3. 請求項1に記載のタイル貼着構造において、
    下地パネルの目地に干渉するタイルの裏面に、金属性材料を含む導電体層が設けられたことを特徴とするタイル貼着構造。
  4. 請求項1、2又は3に記載のタイル貼着構造において、
    薄帯体の幅寸法が、下地パネルの表面に貼着されるタイルの最大幅と同寸以上であることを特徴とするタイル貼着構造。
  5. a:壁体等を構成する下地パネルの目地にシーリングを施す工程と、
    b:前記下地パネルの表面縁部に、導電性を有する薄帯体を、下地パネルの目地に沿って連続するように貼着する工程と、
    c:シーリングを施した下地パネルの目地をマスキングテープによって被覆する工程と、
    d:前記a〜cの工程に続いて、前記薄帯体及びマスキングテープを含む下地パネルの表面全体に熱可塑性を有する接着剤を塗布する工程と、
    e:前記dの工程に続いて、下地パネルの目地から前記マスキングテープを剥ぎ取る工程と、
    f:前記eの工程に続いて、前記接着剤が塗布された前記薄帯体を含む下地パネルの表面に、下地パネルの目地を跨いでタイルを貼着する工程と、
    を具備することを特徴とするタイル貼着方法。
  6. 請求項5に記載のタイル貼着方法において、
    下地パネルの表面にタイルを貼着するに際し、下地パネルの目地に干渉するタイルには、予めその裏面に導電性を有する薄帯体を貼着しておくことを特徴とするタイル貼着方法。
  7. 請求項5に記載のタイル貼着方法において、
    下地パネルの表面にタイルを貼着するに際し、下地パネルの目地に干渉するタイルには、予めその裏面に金属性材料を含む導電体層を設けておくことを特徴とするタイル貼着方法。
  8. 請求項5、6又は7に記載のタイル貼着方法において、
    薄帯体の幅寸法が、下地パネルの表面に貼着されるタイルの最大幅と同寸以上であることを特徴とするタイル貼着方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載されたタイル貼着構造によって表面にタイルが貼着されてなる下地パネルのシーリング目地補修方法であって、
    s:タイルの表面側から電磁誘導加熱により、下地パネルの目地に沿って貼着された薄帯体を加熱して、該薄帯体の表面に塗布された接着剤を軟化させる工程と、
    t:前記sの工程に続いて、下地パネルの目地に干渉する位置に貼設されているタイルを前記薄帯体から剥ぎ取り、下地パネルの目地を露出させる工程と、
    u:前記tの工程に続いて、露出した下地パネルの目地に施されたシーリングを補修する工程と、
    v:前記uの工程に続いて、補修した下地パネルの目地をマスキングテープによって被覆する工程と、
    w:前記vの工程に続いて、前記薄帯体及びマスキングテープを含む下地パネルの露出箇所に接着剤を再塗布する工程と、
    x:前記wの工程に続いて、下地パネルの目地から前記マスキングテープを剥ぎ取る工程と、
    y:前記xの工程に続いて、前記接着剤が塗布された下地パネルの露出箇所に、下地パネルの目地を跨いでタイルを貼着する工程と、
    を具備することを特徴とする下地パネルのシーリング目地補修方法。
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