JP2006037566A - 床材の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ホットメルト接着剤を用いた床材の施工に関し、床材の施工及び貼り替え改修が容易かつ迅速に行え、施工性に優れた床材の取付構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 所定の区画内に設けられた床下地材14の上に、長尺板状の床材2を接着により敷設する床材の取付構造において、床材の側面部を実部のない形態に形成し、床下地材の上に、適宜な間隔をおいて列状にホットメルト接着剤8を敷設し、床材を、ホットメルト接着剤と直交させるとともに複数のホットメルト接着剤間にわたって配置し、かつ床材の両端部がそれぞれホットメルト接着剤の上部に位置するように設け、床材の上から電磁誘導加熱器を用いて高周波を照射し、ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、床材を床下地材に接着した構造である。
【選択図】 図1
【解決手段】 所定の区画内に設けられた床下地材14の上に、長尺板状の床材2を接着により敷設する床材の取付構造において、床材の側面部を実部のない形態に形成し、床下地材の上に、適宜な間隔をおいて列状にホットメルト接着剤8を敷設し、床材を、ホットメルト接着剤と直交させるとともに複数のホットメルト接着剤間にわたって配置し、かつ床材の両端部がそれぞれホットメルト接着剤の上部に位置するように設け、床材の上から電磁誘導加熱器を用いて高周波を照射し、ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、床材を床下地材に接着した構造である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ホットメルト接着剤を用いた床材の取付構造に関するものである。
従来技術として、特許文献1にホットメルト接着剤を用いた床材の施工方法が開示されている。この施工方法は図7に示すように、床材20の裏面の一部をホットメルト接着剤22により床下地面24に接着し、該床材20の裏面の他の一部を両面粘着テープ26により床下地面に接着する。上記ホットメルト接着剤22による接着部には、床材の表面から高周波照射を行い、ホットメルト接着剤を加熱して接着させる工法である。
また、特許文献2にも、ホットメルト接着剤を用いた建築用化粧板の接合、接着方法についての記載がある。上記特許文献1及び特許文献2の施工方法は、ホットメルト接着剤を用いて床材を敷設することで、リフォームでの解体時には高周波照射により再剥離できるものである。
特許文献1の施工方法では、床材20として、隣接する一の床材の溝部と他の床材の実部とを実継21して敷設するフローリング材が用いられている。しかし、このような床材20を用いた場合には、床材の割れや傷等による修理の際、リフォーム等の際に修理の必要な箇所の床材のみを剥離するのは実継のため困難であり、敢えて剥離するためにはバール等を用いて実部を破損させる等して行なうことになり、この場合には隣接する床材或いは下地等を傷つけることになる。このため、任意場所の床材の1枚からの貼り替えが好適に行えず、結局、全体の床材を剥離除去してリフォームせざるを得ないという問題がある。さらに、床材同士を実継により嵌合接合する床材20を用いた場合には、床鳴りの主な原因である実鳴りの発生要因ともなっている。特許文献2に記載の化粧板の接合、接着方法の場合についても同様である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、床材の施工及び貼り替え改修が容易かつ迅速に行え、施工性に優れた床材の取付構造を提供することを目的とする。
以上の技術的課題を解決するため、本発明は、図1等に示すように、所定の区画内に設けられた床下地材14の上に、長尺板状の木材又は木質系材料からなる床材2を接着により敷設する床材の取付構造において、上記床材2の側面部を実部のない形態に形成し、上記床下地材の上に、適宜な間隔をおいて列状にホットメルト接着剤8を敷設し、上記床材2を、上記ホットメルト接着剤8と直交させるとともに複数の上記ホットメルト接着剤8間にわたって配置し、かつ床材2の両端部がそれぞれ上記ホットメルト接着剤の上部に位置するように設け、上記床材2の上から電磁誘導加熱器を用いて高周波を照射し、上記ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、床材を上記床下地材に接着したものである。ここで実部とは、床材の側面部の中間部に横向きに形成される細長い突起であり、床材同士を実継ぎするための形状をいう。
また、本発明に係る床材の取付構造は、上記床材の長辺側又は/及び短辺側の両側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成したものである。このとき、表面部から垂直部を介して上記斜面状に形成することとしてもよい。
本発明に係る床材の取付構造において、上記ホットメルト接着剤8は、テープ状に形成された金属箔、金属プレートまたは金属ネットの両面に感熱可塑性接着剤を塗布したものである。
本発明に係る床材の取付構造によれば、床材の側面部を実部のない形態に形成し、床下地材の上にホットメルト接着剤を敷設し、床材の端部がホットメルト接着剤の上部に位置するように敷設し、電磁誘導加熱器を照射し、ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し床材を床下地材に接着する構成を採用したから、簡単な施工で迅速に床材を貼着することができ、しかもリフォーム時には任意の箇所から床材を剥離することができ、これにより破損した床材を含む部分的な床材の貼り替え改修が容易かつ迅速に行えて施工性に優れ、さらに床材同士は実継ぎの形態を採ってないので床鳴りが防止されるという効果がある。
また、本発明に係る床材の取付構造によれば、床材の両側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成したから、床材同士の下部が密着しないので、上記効果に加えて、さらに任意の箇所からの床材の剥離及び新しい床材の挿入が容易になり、また床下地材を傷めることもないので床下地材の再利用が可能であるという効果がある。
以下、本発明に係る床材の取付構造及び床材の施工方法の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。この実施の形態に係る床は、独立住宅、集合住宅、公共施設などの建物の二重床等の床に適用される。
上記床材2は、図1に示すように床の仕上げ用のフローリング材である。この床材2は、木材或いは木質系材料(木粉と合成樹脂とを混練した再生木等)等からなる。この床材2は長尺状の板材であり、長辺側の側面部及び短辺側の側面部は実部(側面部の中間部に横向きに形成される細長い突起)のない形態のものを用いる。特に、ここでは床材2の長辺側の側面部及び短辺側の側面部に、床材2の表面部から裏面部に向けて内側に緩やかに傾斜(傾斜角度α)する平坦な傾斜面部4,5が形成されたものを採用している。また、床材2の側面部の形状は、床材2の表面部から裏面部に向けた垂直部7を有し途中から内側に緩やかに傾斜する傾斜面部4,5が形成されるものであってもよい。
この傾斜角度(α)は、床材2の表面に対して垂直な方向からの傾斜角を示すものであり、ここではα=5°程度(上記垂直部7を有する床材では10°程度)としている。この傾斜角度αは、隣接する床材2との摩擦の影響を考慮した場合にはαは2°以上が好適である。この傾斜角度αが0°の場合は、床材2の表面に対して側面部は平坦な垂直面部が形成された形態となるが、実部はないので隣接する床材2とは係止による拘束はない。
また、上記床材2において、貼り基準等の床材として仮留めが必要なものは、図2に示すように、長辺側の両側面部及び短辺側の両側面部の4側面部にそれぞれ断面が鋭角状に切り込まれた横向きの溝部6を形成したものを用いる。この溝部6は、釘18等の止着具を差し込み止着して床材2の仮留めに用いる。なお、床材2の敷設に際しては、仮留めが必要な箇所にのみ溝部6が形成された床材2を用いてもよく、或いは仮留めの有無に関係なく全て溝部6が形成された床材2を用いることとしてもよい。また、ここで用いる床材2の寸法は、長辺の長さが900〜1800mm、短辺の長さが150〜300mmの範囲であり、板厚は15mm程度である。
上記ホットメルト接着剤8は、テープ状の金属ベース12の表裏両面に感熱可塑性接着剤13を塗布したものである。この金属ベース12は、金属箔、金属プレートまたは金属ネット(金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、錫等がある)からなり、電磁誘導加熱器(床材の表面を移動操作するアイロン状の器具)による高周波磁束によって渦電流が誘導され、ジュール加熱される。ここでは、金属ベース12として強磁性体からなる金属箔を用い、この両面に感熱可塑性接着剤13が塗布されたテープ状のホットメルト接着剤8を使用する。このホットメルト接着剤8のテープ幅は40〜50mm程度である。
上記床材の取付に際しては、図3に示すように、建物の部屋等の所定の区画内に、根太等の上にパーティクルボード等を敷設した床下地材14を施工し、この床下地材14の表面部にホットメルト接着剤8を介して上記床材2を貼着敷設する。
床下地材14における墨出しの工程では、適宜な間隔をおいてホットメルト接着剤8が列状に配置できるように墨を設定する。このホットメルト接着剤8はテープ状であり、床材2の長手方向と直交する方向に配置する。また、この墨出しにおいては、上記ホットメルト接着剤8の上部に、上記床材2の両端部(短辺部)が必ず位置し、床材2の両端部がホットメルト接着剤8によって確実に貼着固定できるように、ホットメルト接着剤8の配置位置と床材2の配置位置を決める。ここでは、ホットメルト接着剤8の配置間隔(W)は150〜300mm程度の範囲として、貼着による床材2の固定が適切に行えるようにしている。
次の工程では、上記墨出しを行った床下地材14の表面に、ホットメルト接着剤8を配置する。このとき、ホットメルト接着剤8をピンと張り、ステープルなどの止着具16を用いて貼り始めの端部と中央の2点を固定する。貼り終りの端部は、ホットメルト接着剤8がしわにならないように、上記止着具16で固定せずに開放しておく。ホットメルト接着剤8の貼り始めは、壁面15周りの少し内側にホットメルト接着剤8を配置する。
そして図4に示すように、上記ホットメルト接着剤8の上に上記床材2を配置する。ここで、最初の一列目の床材2を貼りの基準とする場合には、配置位置が動かないように長辺側の溝部6の両端部近傍に釘18を打ち込み仮留めする。二列目以降の床材2を配置する場合には、先の列の床材2の長辺側の側面部に、次の列の床材2の長辺側の側面部を隙間なく並べて配置し、仮留めは行わない。なお、上記床材2を仮留めした場合には、仮留めの目印を床材2自体或いはその近傍の壁面等の適当な箇所に設ける。ここでは目印として、壁面15に釘を打ち込んでおく。
各列には、複数の床材2が直線状に配置されるが、これら床材2同士についても、各短辺側の側面部同士を当接させ隙間のないように配置する。これら床材2の配置に際しては、上記ホットメルト接着剤8のテープ幅の略中央部の上に、床材2の端部が位置するようにする。以降の床材2についても、同様にして敷設し、また異なる列の床材2同士は千鳥状にずらして配置する。
上記床材2を配置した後、電磁誘導加熱器を用いた誘導加熱接着により本固定を行う。この電磁誘導加熱器は磁気センサーを内蔵しており、作業者は、この磁気センサーを利用してホットメルト接着剤8が配置された位置を確認し、その真上を照射する。この実施の形態では、強磁性体からなる金属ベースをホットメルト接着剤8に用いたことから、上記磁気センサーがこれを良好に検知でき、ホットメルト接着剤8の位置確認が正確かつ容易に行える。
電磁誘導加熱器の照射後は、照射部に施工者の体重を乗せて圧締冷却固定を行う。貼り納め列の床材についても、電磁誘導加熱器による誘導加熱接着のみの固定を行う。以上で、床材2の敷設施工の工程を完了する。このとき、図5に示すように、床材2同士は表面部同士は当接し密着しているが、下方の部位は床材間に隙間が形成される。通常、実継ぎにより床材同士を接合した場合には、実割れ等による床鳴りが発生するが、上記床材2は実継ぎの形態を採用してなく、また床材2同士が擦れ合う箇所が少ないため床鳴りが防止される。また床材2同士の側面部の全体が密着した形態でないため、リフォーム等で床材2を剥がす際には、隣りの床材2による摩擦等の影響を受けにくい。
次に、室内のリフォーム等で床材2を取り替えるときの、上記床材2を取り外す工法について説明する。先ず、床材2の部分的な損傷等により床材2の一部を貼り替える場合の作業工程では、図6に示すように、長尺状の床材2の短辺端部の下面部、また隣接する床材2の短辺端部のライン上には必ずホットメルト接着剤8が配置されていることから、この部分を目印として電磁誘導加熱器を照射する。または、電磁誘導加熱器に金属センサーが設けられているものを用い、金属センサーが感知する位置を確認して高周波を照射し、直接、取り替えたい床材2Rを剥す。この剥離工程では、上記床材2Rをサッカー(吸盤が2個付いた施工補助具)等により吸着して上方向に引っ張りながら、床材2Rに電磁誘導加熱器を再照射し、固化した感熱可塑性接着剤13を溶融して床材2を剥がす。このとき、床材2同士は、表面部のみが当接した状態であることから、剥離の際には隣接する床材2との摩擦の影響が少なく、容易に剥がすことができる。
取り替えたい床材2が複数ある場合には、取り替えたい範囲内の床材2について、該当箇所に電磁誘導加熱器を再照射して床材2を剥がす。なお、上記仮留めした床材2を剥がす場合には、上記目印で仮留めを確認し、まず隣の仮留めしてない床材2を剥がす。そうすると、仮留めした床材2の仮留めの釘が露出するから、これを抜き取り、後は上記と同様に電磁誘導加熱器を再照射して床材2を剥がせばよい。また、ホットメルト接着剤8自体については、間に当て板をするか或いは少し浮かした状態で電磁誘導加熱器を照射して溶融し剥がす。
上記床材2を剥がした箇所に新しい床材2を敷設する場合には、先ず上記と同様に新しくホットメルト接着剤8を配置する。敷設する床材2の側面部は、表面部から裏面部にかけて傾斜する傾斜面を有するように形成されているので、この床材2は剥がされた箇所に挿入し易い。そして、電磁誘導加熱器を用いた誘導加熱接着により本固定を行い、床材2の貼替え工程を終了する。この施工による室内のリフォームでは、床材2の一部のみの取り替えが可能となり、また床材2を剥がす除去作業も容易に行え、残される床材或いは床下地材14を傷つけることがなく全体の仕上がりも良好である。
区画内の全体の床材2を貼り替える場合には、例えば壁際の床材2から剥がす一方で、任意の箇所の床材2からも同時に剥がすことが可能である。これらの床材2は、上記のように電磁誘導加熱器を再照射して接着剤を溶融することで容易に剥がすことができる。このように、同時に複数箇所から床材2を剥がすことで全体の作業が迅速に行える。また、ホットメルト接着剤8についても、電磁誘導加熱器を照射して剥がす。新しく床材2を敷設する場合の工程は、上記全体の敷設の場合と同様に、墨出し、ホットメルト接着剤8の配置、床材2の配置及び仮留め、床材2の本固定の順に行う。
したがって、上記実施の形態では、側面部が傾斜した床材を用い、ホットメルト接着剤により床材を接着施工することとしたので、簡単な施工で迅速に床下地材に床材を貼着することができ、しかもリフォーム時には任意の箇所から床材を簡単に剥離することができる。これにより、部屋などの一区画内において、破損した床材を含む部分的な床材の貼り替え改修が容易かつ迅速に行え、さらに床材同士は実継ぎの形態を採ってないので、実の影響による床鳴りが防止される。
また、一区画内の複数の箇所から床材を剥がすことが可能になり、剥離作業が迅速に行え、また床下地材を傷めることもないので床下地材の再利用が可能である。また、一般にホットメルト接着剤は、ホルムアルデヒトなどの揮発溶融剤を含まないので、シックハウスなどの病気を引き起こすこともなく、加えて床材の剥離及び敷設が静かに行えて低騒音低振動での改修が可能であり、分別回収による廃材処理費の低減が図れることになる。
なお、床材として、接合する双方の床材の長辺側の側面部を半分厚ずつ欠き取った相じゃくりの形状、或いは接合する双方の床材の側面部を平行に対面する斜面形状に形成したものを用いて、上記ホットメルト接着剤8を用いた工法により接着することも可能である。この場合、床材の一端側は係止されない形態、他端側は隣接する床材により係止される形態で接合される。このためリフォームの際等において、所望する床材を再加熱により剥離するときには、床材の一端側(係止されない側)は容易に剥がせ、またこの床材の他端側と隣接する床材の一部を併せて再加熱することでこの床材による係止が緩まり、所望する床材のみを剥がすことが可能である。特に、側面部を斜面形状に形成した床材は、床材同士の斜面部が同じ傾斜角度で合さっているので、その斜面方向に床材を引き上げることで容易に剥がすことができる。
2 床材
4,5 傾斜状の側面部(傾斜面部)
6 溝部
8 ホットメルト接着剤
14 床下地材
4,5 傾斜状の側面部(傾斜面部)
6 溝部
8 ホットメルト接着剤
14 床下地材
Claims (3)
- 所定の区画内に設けられた床下地材の上に、長尺板状の木材又は木質系材料からなる床材を接着により敷設する床材の取付構造において、
上記床材の側面部を実部のない形態に形成し、
上記床下地材の上に、適宜な間隔をおいて列状にホットメルト接着剤を敷設し、
上記床材を、上記ホットメルト接着剤と直交させるとともに複数の上記ホットメルト接着剤間にわたって配置し、かつ床材の両端部がそれぞれ上記ホットメルト接着剤の上部に位置するように設け、
上記床材の上から電磁誘導加熱器を用いて高周波を照射し、上記ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、床材を上記床下地材に接着したことを特徴とする床材の取付構造。 - 上記床材の長辺側又は/及び短辺側の両側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の床材の取付構造。
- 上記ホットメルト接着剤は、テープ状に形成された金属箔、金属プレートまたは金属ネットの両面に感熱可塑性接着剤を塗布したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床材の取付構造。
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