JP5349684B2 - 熱転写プリント装置 - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、幅広印画を行う熱転写プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の昇華型カラー熱転写プリンタには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク領域が長手方向に順に塗布されたインクシートと、ロール紙を記録紙として用いるものがある。このような熱転写プリンタにおいては、インクシートに対してサーマルヘッドから熱を加え、各色の印画を記録紙の同一領域に重ねて行うことによってカラー画像を形成する。
【0003】
この場合、形成される画像領域はインク領域が上限となり、パノラマ画像のような長尺な画像を印画する場合には、画像領域相当のインクシートに交換する必要があり、インク交換の煩わしさが問題となっていた。また、通常画面サイズのインクシートに比較して、パノラマ画像のような長尺用のインクシートは流通量も少なく、コストがかかるという問題があった。そこで、長尺画像を分割し、分割された画像を別々に印画してつなぎ合わせることによりパノラマ画像を作成していた。
【0004】
しかし、上記のような従来のパノラマ画像作成方法では、画像のつなぎ目部分の画像品質が低下するという問題があった。そこで、特許文献1では、分割された画像を互いに重なり合う部分が存在するように印画する方法が開示されている。例えば、画像が2画面に分割された場合、1画面目の画像印画終了後に、1画面目の画像の端部と、2画面目の画像の端部が重なり合うように印画するものである。
【0005】
ところで、昇華型熱転写プリンタにおいてはY,M,Cの3色インクの転写順序が存在する。例えば、Y色転写、M色転写、C色転写の順で画像形成される場合、特許文献1に記載される方法では、分割された画像が重なり合う部分で、1画面目のC色の上に、2画面目のY色の順に転写されるプロセスが発生してしまう。この場合、インク色の転写順序が異なるため、つなぎ目部分の色調が変化するという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献2には各色のつなぎ目を異ならせ、かつ、つなぎ目は交互に櫛状として組み合わせて、画像が重なり合わないように印画する方法が開示されている。例えば、画像が2画面に分割された場合、1画面目の画像の終端側をインクの転写進行方向へ櫛状に延びた画像として印画し、2画面目の画像の始端側を、前記転写方向と逆方向へ櫛状に延び、前記1画面目の櫛状部分と交互に配置されるように印画するものである。
【0007】
また、特許文献1に記載される方法では、画像が重なり合う部分において、逆転写現象が発生する問題もある。
逆転写現象とは、後から転写する色のインクシートへの、サーマルヘッドの印加エネルギーにより、先に転写された色のインクが、後から転写する色のインクシートに若干移行することで、当該部分の転写濃度が低下する現象と定義する。
【0008】
上記逆転写現象による転写濃度低下を防ぐ方法として、同一色インクが重ね転写される部分において、後に転写する部分に対応する印加エネルギーを、先に転写する部分に対する印加エネルギーよりも大きくなるように、画像データの補正を行う処理が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】
特開2004−82610号公報
【特許文献2】
特開2000−85165号公報
【特許文献3】
特開平10−58732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、熱転写プリンタでは、サーマルヘッドの蓄熱温度の違いにより転写濃度が異なる問題がある。画像の転写開始時点ではサーマルヘッドの蓄熱温度が低いため、転写濃度が低くなる。そのため、特許文献2に記載されるような、つなぎ目を重ね合わせない転写方法では、2画面目の画像の始端側の転写濃度が低くなり、つなぎ目の転写濃度が低くなるという問題があった。
【0011】
また、特許文献1及び特許文献3に記載される方法では、分割された画像が重なり合う部分で、インク色の転写順序が異なるため、つなぎ目部分の色調が変化するという問題があった。
【0012】
また、特許文献1に記載される方法と特許文献2に記載される方法を組み合わせて、各色のつなぎ目位置をずらし、同一色を重ね転写する方法が容易に考えられる。
この場合、重ね転写をしない状態でも問題が発生することがわかった。
これは、同一画面内でずらしたつなぎ目位置において、先に転写された色の濃度が若干低下するという問題である。
【0013】
図26は前記つなぎ目位置で転写濃度が低下する問題を説明する図である。
図26(a)はY色、M色、C色の順に転写したときの転写状態を表す平面図であり、(b)はそのときのインク転写断面状態を示す模式図である。EはY色とM色の転写終了副走査位置を示し、XはC色の転写終了副走査位置を示す。C色の転写終了副走査位置はY色、M色の転写終了副走査位置とずれている。C色の転写濃度は高濃度、Y色およびM色の転写濃度は中間調濃度である。
【0014】
この転写状態における副走査ライン位置に対するY色成分の転写濃度を図26(c)に示す。
ODavはY色とM色の2色転写状態の平均濃度を示し、ODxはX位置におけるY色成分濃度を示す。また、ΔODはX位置におけるY色成分濃度ODxとY色とM色の2色転写の平均濃度ODavとの差分を示す。
【0015】
本来、C色転写終了後、すなわちX位置以降のY色成分濃度はODavよりも低くならないが、図26(c)から明らかなように、X位置においてY色成分の濃度がΔOD分低下しているのがわかる。この濃度低下の原因は、記録紙のインク受容層からインクシート側へ染料が移行する逆転写現象の一種ではないかと考えられるが、明確なメカニズムについて現状では不明である。
【0016】
この問題は図26のように各色の転写終了副走査位置をずらした画像パターンならば1画面だけ印画する場合でも発生するが、前記濃度低下量が微量であることと、濃度低下が発生する位置が画像パターン上、色の境目となることから、1画面印画では特に問題とならない。
しかし、前記つなぎ目位置に2画面目を重ね転写する場合では、画面間のつなぎ目前後は同一色パターンとなるので、各色のつなぎ目におけるわずかな濃度低下が、低濃度スジとして目立つという問題がある。
【0017】
また、各色を重ね転写する場合、各色の1画面目の画像の終端部分の階調データを徐々に低くするとともに、2画面目の画像の先端部分の階調データが徐々に高くなるように制御することにより、つなぎ目を目立たなくする技術が一般に知られている。この技術を用いて各色のつなぎ目位置をずらし同一色を重ね転写する場合、別の問題が発生することがわかった。
これは、先に転写したインク色のつなぎ目位置において、後から転写されたインク色の濃度が増加するという問題である。
【0018】
図27は前記つなぎ目位置で転写濃度が増加する問題を説明する図である。
図27(a)は、Y色のつなぎ目上にM色、C色の順に転写したときのインク転写状態を表す模式図であり、Y1は1画面目Y色、Y2は2画面目Y色を示し、YlapはY色の1画面目と2画面目の同じ色のインクが重なる領域を示す。図27(b)はY色転写後の記録紙受容層の表面状態を表す記録紙断面図である。図27(c)はそのときのY色、M色、C色の階調データを示す図であり、1画面目Y色の階調データ801を徐々に低くするとともに、2画面目Y色の階調データ802を徐々に高くするように制御されている。M色、C色の階調データ803は、Y色階調データ801,802よりも低く、Y色の転写濃度は高濃度となるよう設定され、M色、C色の転写濃度は中間調濃度となるように設定されている。
【0019】
この転写状態における副走査ライン位置に対するY色成分、M色成分、C色成分の転写濃度を図27(d)に示す。図27(d)において、各色の転写濃度としてY色成分濃度804、M色成分濃度805、C色成分濃度806を示している。
ΔODmはY色つなぎ目前後のM色成分濃度とYlap区間におけるM色成分濃度とのM色成分濃度差、ΔODcはY色つなぎ目前後のC色成分濃度とYlap区間におけるC色成分濃度とのC色成分濃度差を示す。
【0020】
Ylap区間におけるY色成分濃度は、Ylap区間前後の濃度とほぼ一致しており、Y色のつなぎ目は良好な状態にあることになる。一方、Ylap区間におけるM色及びC色成分濃度はYlap区間前後の濃度と同じになるはずであるが、図27(d)から明らかなように、Ylap区間においてM色成分濃度、C色成分濃度がそれぞれΔODm、ΔODc分増加しているのがわかる。
【0021】
この濃度増加の原因は、図27(b)に示すように、先に転写されるY色転写後の記録紙受容層の表面状態にあると考えられる。熱転写プリント方式では高階調データを転写する場合、転写濃度を濃くするためにサーマルヘッド印加エネルギーを高くする必要があり、その場合記録紙受容層が熱的にダメージを受けることがある(受容層が焦げたような状態となる)。図27(b)はその様子を示した図であり、1画面目のY色転写後表面状態806と2画面目のY色転写後表面状態807は、それぞれY色が高階調データであるために記録紙受容層が荒れている(表面が凹凸状になっている)ことを示す。これに対し、Ylap区間では図27(c)に示すように1画面目Y色の階調データ801を徐々に低くするとともに、2画面目Y色の階調データ802を徐々に高くするように印加されているため、Ylap区間では記録紙受容層にかかる熱エネルギーも少なくなり、Ylap区間の記録紙受容層表面808の表面は、1画面目のY色転写後表面状態806及び2画面目のY色転写後表面状態807に比較して平滑性が高い(凹凸が少ない)状態となっているものと考えられる。実際に発明者等がレーザー顕微鏡(キーエンスVK8700)により記録紙受容層状態を測定したところ、1画面目のY色転写後表面状態806及び2画面目のY色転写後表面状態807に比較してYlap区間の記録紙受容層表面808の表面が平滑である(表面粗さ測定Ra値が低い)ことを確認した。
【0022】
熱転写プリント方式では、サーマルヘッドと記録紙受容層との密着性が高いほどインクの転写性も良好となる。よって、図27(c)のM色、C色のように一定階調の画像データを転写する場合でも、記録紙受容層が図27(b)のような状態にあると、記録紙受容層の平滑性が高い部分は高濃度転写となるものと考えられる。この問題に関するこれ以上の詳細なメカニズムについては現状不明であるが、先に転写したインク色のつなぎ目位置において、後から転写されたインク色の濃度が増加するという過剰転写問題が発生することは事実である。この過剰転写は、黒スジとなって印画品質を劣化させる要因となる。
【0023】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、所定サイズ画面の画像を印画した後、次の画像が隣接するように印画することにより、所定画面サイズ以上の幅広印画を行う際に、画面間のつなぎ目を目立たなくさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この発明に係る熱転写プリント装置は、分割した画像間の各色のつなぎ目が副走査転写方向で一致しないようにずらすつなぎ目ずらし部と、つなぎ目ずらし部によりずらされた各色のつなぎ目を互いに重なるように転写すると共に、重なり部分の階調データを副走査転写方向のライン毎に予め設定された補正係数に基づき補正するつなぎ目処理部とを備え、つなぎ目処理部は、先に転写されたインク色の次に転写されるインク色の転写に関して、先に転写されたインク色のつなぎ目部分上の濃淡を、所定の濃度よりも低く転写することを特徴とする
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、Y,M,Cの3色のつなぎ目をずらし、各色のつなぎ目を互いに重なるように転写すると共に、重なり部分の階調データを副走査転写方向のライン毎に予め設定された補正係数に基づき補正したため、つなぎ目の目立たない長尺印画結果が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるプリンタ機構の構成図を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における熱転写プリント装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1におけるカラーインクシートの平面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1における入力画像データの変換工程を示すフローチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態1における画面間のつなぎ目のインク転写状態を表す模式図である。
【図6】 図6(a)は入力画像を示す図であり、図6(b),(c),(d)は入力画像データの分割方法を説明する図である。
【図7】 Y,M,C各色のつなぎ目をずらした画像データを模式的に示した図であり、図7(a)は平面の模式図、図7(b)は側面の模式図である。
【図8】 Y,M,C各色のつなぎ目をずらした画像データを模式的に示した平面模式図である。
【図9】 つなぎ目におけるC色の任意の階調データの副走査ライン数と転写濃度の関係を示した図である。
【図10】 図10(a)は1画面目の終端部分のC色のルックアップテーブル(LUT)の例を示す図であり、図10(b)は2画面目の先端部分のC色のLUTの例を示す図である。
【図11】 階調データ変換後のつなぎ目転写結果の濃度分布を示す図である。
【図12】 図12(a)は、逆転写問題に関して、上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データとの間の相関を説明するための画像パターン例の模式図、図12(b)はY色、M色、C色の3色のパターン画像に対して、つなぎ目処理工程ST1〜ST3を施した状態において、長尺印画した場合のインクつなぎ目状態の平面模式図、図12(c)は図12(b)の側面模式図である。
【図13】 図12のパターンにおいてC色の階調データを高濃度として、長尺印画を実施し、副走査転写方向(図12(b)のH−H’方向)の濃度分布状態を示した図である。
【図14】 C色つなぎ目近傍ライン位置におけるY色成分,M色成分,C色成分の濃度差を示したつなぎ目濃度差グラフである。
【図15】 副走査転写方向の階調値が各色で一定となる画像パターンに対してつなぎ目処理工程を施した後のY,M,C階調データの模式図である。
【図16】 図15と同様のつなぎ目処理工程を施した後に逆転写補正処理を施した場合のY,M,C階調データの模式図である。
【図17】 C色つなぎ目ライン位置におけるY色の補正後最大階調値tycを求めるためのLUTである。
【図18】 補正ライン区間lyc間の補正量を求めるためのLUTである。
【図19】 副走査転写方向の階調値が各色で一定となる画像パターンに対してつなぎ目処理工程を施した後のY,M,C階調データの模式図である。
【図20】 図19と同様のつなぎ目処理工程を施した後に過剰転写補正処理を施した場合のY,M,C階調データの模式図である。
【図21】 Y色つなぎ目ライン位置におけるC色の補正後最小階調値tcy’を求めるためのLUTである。
【図22】 補正ライン区間lcy間の補正量を求めるためのLUTである。
【図23】 この発明の実施の形態1における長尺印画動作を説明するフローチャートである。
【図24】 この発明の実施の形態2におけるインクシートの平面図である。
【図25】 この発明の実施の形態2における画面間のつなぎ目のインク転写状態を表す模式図である。
【図26】 つなぎ目位置で転写濃度が低下する問題を説明する図である。
【図27】 つなぎ目位置で転写濃度が増加する問題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるプリンタ機構構成図である。
図1において、プリンタ1は画像形成装置であり、記録用紙にはロール紙2が用いられている。プリンタ1の機構部は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色印画用のインクシート3、インクシート供給リール4aとインクシート巻取りリール4b、インクシート3記録用のサーマルヘッド5及びプラテンローラ6より構成されている。サーマルヘッド5は図示しない駆動手段により、プラテンローラ6に対して接圧及び退避できるように構成されている。
【0028】
グリップローラ7aは記録紙2を一定速度で送り、ピンチローラ7bはグリップローラ7aに対向して配置される。記録紙切断機構8は印画終了後の記録紙2を切断し、排紙ローラ9は切断された記録紙2をプリンタ1の外部に排出する。
【0029】
図2は実施の形態1の熱転写プリント装置のシステム構成を示すブロック図である。図2において、画像データ変換部10は所定画面サイズ以上の長尺な画像データを、本発明による熱転写プリント方法用の画像データに変換する。また、画像データ変換部10はその機能に応じてデータ分割部10a、つなぎ目ずらし部10b及びつなぎ目処理部10cを有している。詳細は画像データ変換部10の画像データ変換の説明において行う。
【0030】
メモリ11は画像データ変換部10により変換された画像データを記憶し、データ処理部12はメモリ11に記憶された画像データをプリンタ用印画データに変換する。
サーマルヘッド駆動部14は、データ処理部12から出力されたプリンタ用印画データに基づいてサーマルヘッド5を駆動させる。紙送り機構駆動部15は、記録紙2の搬送動作を行うためにグリップローラ7aや排紙ローラ9を駆動させる。
【0031】
記録紙切断機構駆動部16は記録紙切断機構8を駆動させ、インクシート搬送駆動部17はインクシート3の搬送動作を行う。制御部13は画像データ変換部10、メモリ11、データ処理部12、サーマルヘッド駆動部14、紙送り機構駆動部15、記録紙切断機構駆動部16およびインクシート搬送駆動部17の各構成の動作を制御する。
【0032】
図3はインクシート3の平面図である。インクシート3は3色のインク領域を順に配列している。図3において、Y1,Y2はイエロー色のインク領域、M1,M2はマゼンタ色のインク領域、C1,C2はシアン色のインク領域を示し、Lは副走査転写方向の所定画面サイズを示す。また、Y1,M1,C1は1画面目の各色インク領域を示し、Y2,M2,C2は2画面目の各色インク領域を示す。
【0033】
次に、実施の形態1におけるプリンタ1の印画動作について説明する。まず、所定画面サイズの印画動作について説明する。
印画前の状態では、インクシート3は、サーマルヘッド5とプラテンローラ6の間を通るように配置され、記録紙2は、カラーインクシート3とプラテンローラ6の間を通り、グリップローラ7aとピンチローラ7bに挟み込まれた状態にある。
【0034】
サーマルヘッド5は図示しない駆動手段により、インクシート3と記録紙2を密着させるように、プラテンローラ6に対して圧接している。この状態では、図示しない駆動手段によってインクシート3のY色の先頭位置が印画開始位置(サーマルヘッド5の発熱素子ライン位置)に一致するように配置される。
【0035】
画像データ変換部10のデータ分割部10aは入力された画像データが所定画面サイズ以下の画像であるか、または所定サイズよりも幅広な画像であるか判別する。所定画面サイズ以下の画像である場合、入力画像データはそのままメモリ11に記憶され、データ処理部12により印刷用データに変換される。次に、制御部13は、サーマルヘッド駆動部14、紙送り機構駆動部15、記録紙切断機構部16及びインクシート搬送駆動部17を制御して、印画動作を行う。
【0036】
印画動作が開始されると、グリップローラ7aは記録紙2の印画方向(図1A方向)への搬送を開始し、それと同時にサーマルヘッド5は記録紙2にYの印画を開始する。
このとき、サーマルヘッド駆動部14はデータ処理部12から出力された印刷データに基づいてサーマルヘッド5を駆動させ、サーマルヘッド5はインクシート3のインクを記録紙2上に1ラインずつ印画する。インクシート巻取りリール4bは印画されたインクシート3を巻き取る。
【0037】
Y印画終了後、図示しない駆動手段によりサーマルヘッド5を退避させ、グリップローラ7aは記録紙2を排紙方向(図1B方向)に向かって印画開始位置まで搬送する。また、インクシート巻取りリール4bはYの印画を終えたインクシート3をインクシート3のM色の先頭位置が印画開始位置に一致するまで巻き取る。
【0038】
以降、Y印画動作と同様に、サーマルヘッド5をプラテンローラ6に圧接し、グリップローラ7aが記録紙2の印画方向(図1A方向)への搬送を開始し、サーマルヘッド5がMの印画を開始する。M印画終了後は、Y印画終了後と同様な動作を行い、グリップローラ7aが記録紙2を印画開始位置まで搬送し、Y,M印画と同様な印画動作によりサーマルヘッド5はCの印画を行う。
【0039】
Y,M,Cのカラー印画終了後、図示しない駆動手段によりサーマルヘッド5を退避させ、グリップローラ7aは記録紙2を排紙方向(図1A方向)へ搬送する。記録紙2の印画先頭位置が搬送経路上の記録紙切断機構8に到達すると、グリップローラ7aは駆動停止し、記録紙切断機構8は記録紙2を主走査方向に切断し、排紙ローラ9は記録紙2をプリンタ1の外へ排出する。
以上により、所定画面サイズ以内の印画動作が行われる。
次に、所定画面サイズよりも幅広な印画動作について説明する。まず、画像データの処理方法の概要について説明する。
【0040】
図4は実施の形態1の画像データ変換部10における入力画像データ変換工程を示すフローチャートである。まず、データ分割部10aは画像分割処理工程ST1にて、所定画面サイズよりも幅広な入力画像データを分割する。
【0041】
つなぎ目ずらし部10bはつなぎ目ずらし処理工程ST2において、分割された画像データをY,M,C各色のつなぎ目が一致しないようにずらす。つなぎ目処理部10cはつなぎ目ずらし処理工程ST2終了後、つなぎ目濃度逓減/逓増処理工程ST3において、Y,M,C各色のつなぎ目を目立たなくする処理を施す。つなぎ目処理部10cはつなぎ目逆転写補正処理工程ST4において、各色のつなぎ目における逆転写補正処理を行う。最後につなぎ目処理部10cはつなぎ目過剰転写補正処理工程ST5において、各色のつなぎ目における過剰転写補正処理を行う。
【0042】
次に、各処理工程ST1〜ST4の詳細について説明する。
図5は実施の形態1における画面間のつなぎ目のインク転写状態を表す模式図である。E1は1画面目の画像記録終了ライン位置、T2は2画面目の画像記録開始ライン位置である。OLy,OLm,OLcは、それぞれC色,M色,Y色の1画面目と2画面目の重なる領域を示す。また、Ylap,Mlap,Clapは、それぞれC色,M色,Y色の1画面目と2画面目の同じ色のインクが重なる領域を示す。
【0043】
ここではカラーインクシート3の副走査転写方向の所定画面サイズをLとし、入力画像サイズを2Lとした場合、入力画像を2分割してつなぎ目処理する場合について説明する。以降、複数の画面を連続して印画し、長尺な1つの画像(画面)を形成する動作を長尺印画と定義する。
【0044】
まず、画像分割処理ST1について説明する。
図6(a)は入力画像を示す図であり、副走査転写方向の画像サイズは2Lである。図6(b)は入力画像データの分割方法を説明する図である。OLは1画面目と2画面が重なる副走査領域の最大値を示し、図5におけるOLcに相当する。
データ分割部10aは、最初に入力画像の副走査転写方向両端からOL/2の領域を削除する。
【0045】
次にデータ分割部10aは、OL/2領域分削除した後の図6(b)の左端からカラーインクシート3の副走査転写方向の所定画面サイズL分の画像をAとし、また、同じくOL/2領域分削除した後の図6(b)の右端からカラーインクシート3の副走査転写方向の所定画面サイズL分の画像をBとする。この場合、画像A,Bが入力画像を2分割した画像データとなる。
【0046】
図6(b)は分割された画像A,Bをつなげて記録した状態を示す図でもあり、この場合、画像A,Bの重畳領域OL分だけ、元の入力画像よりも副走査転写方向サイズが短くなる。
図6(c),(d)はそれぞれ分割された画像A,Bを表す図であり、1画面目の記録開始ライン位置はT1、記録終了ライン位置はE1となる。また、2画面目の記録開始ライン位置はT2、記録終了ライン位置はE2となる。
【0047】
次に分割した画像のY,M,C各色のつなぎ目ずらし処理工程ST2について図6を用いて説明する。まず、つなぎ目ずらし部10bは1画面目A及び2画面目Bのレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)階調データを、C,M,Y階調データに変換する。R,G,BとC,M,Yは補色の関係にあり、最大階調数を1とすると、式(1)〜(3)で変換できる。
C=1−R 式(1)
M=1−G 式(2)
Y=1−B 式(3)
以降、画像の階調データはC,M,Y階調データとして説明する。
【0048】
次に、1画面目Aのつなぎ目ずらし処理ST2について説明する。
図7はY,M,C各色のつなぎ目をずらした画像データを模式的に示した図であり、図7(a)は平面の模式図、図7(b)は側面の模式図を示す。YD1,MD1,CD1はそれぞれ1画面目のY,M,C階調データを示す。
【0049】
最初に記録されるY色階調データYD1は無変換となる。Y色の次に記録されるM色階調データMD1については、つなぎ目ずらし部10bが1画面目画像記録終了ライン位置E1から副走査領域の(OLm-Mlap)分を転写しないようにデータを変換する。具体的には前記領域分のデータが白データとなるように変換する。
最後に記録されるC色階調データCD1についても同様に、つなぎ目ずらし部10bが1画面目画像記録終了ライン位置から副走査領域の(OLc-Clap)分が白データとなるように変換する。
【0050】
次に、2画面目Bのつなぎ目ずらし処理ST2について説明する。
図8はY,M,C各色のつなぎ目をずらした画像データを模式的に示した平面模式図である。YD2,MD2,CD2はそれぞれ2画面目のY,M,C階調データを示す。
つなぎ目ずらし部10bは最初に記録されるY色階調データYD1を、2画面目画像記録開始ライン位置T2から副走査領域の(OLc-Ylap)分を転写しないようにデータに変換する。具体的には前記領域分のデータが白データとなるように変換する。
【0051】
つなぎ目ずらし部10bはY色の次に記録されるM色階調データMD1について、2画面目画像記録開始ライン位置T2から副走査領域の(OLc-OLm)分を転写しないようにデータに変換する。具体的には前記領域分のデータが白データとなるように変換する。最後に記録されるC色階調データCD1については無変換となる。以上により、つなぎ目ずらし処理工程ST2は終了となる。
【0052】
次につなぎ目濃度逓減/逓増処理工程ST3について図9を用いて説明する。
図9はつなぎ目におけるC色の任意の階調データの副走査ライン数と転写濃度の関係を示した図である。1画面目C色単独転写濃度101は1画面目のC色を単独(重ねずに)転写したときの転写濃度を示し、2画面目C色単独転写濃度102は2画面目のC色を単独で転写したときの転写濃度を示す。
【0053】
1画面目のC色転写終了ライン位置104は図7(b)のEC1に相当する。2画面目のC色転写開始ライン位置105は図8のT2に相当する。ClapはC色の重ねライン領域を示し、1画面目C色と2画面目C色の重ね転写濃度103は1画面目C色と2画面目C色をClap分重ねたときの転写濃度を示す。
【0054】
昇華型熱転写方式では熱履歴現象があるため、図9に示すように、転写終了時の画像端では、画像階調データの終了ライン位置104以降でも1画面目C色単独転写濃度101に示すようにインクが転写される。この理由はサーマルヘッドの蓄熱量に問題がある。高階調データが続くほどサーマルヘッドの蓄熱量が多くなり、サーマルヘッドの転写信号がオフ(階調データがゼロ)となっても、サーマルヘッドの蓄熱により一定ライン区間インク色が転写されてしまうからである。
【0055】
また、転写開始部分では、サーマルヘッドの蓄熱が低いために2画面目C色単独転写濃度102に示すように転写濃度は徐々に立ち上がり、転写開始部分では転写濃度が低くなるという問題がある。以上のような熱履歴現象、特に立ち上がり濃度が低くなるという現象のため、1画面目と2画面目のつなぎ目を単純に一致させるだけでは良好なつなぎ目画質は得られない。よって、1画面目の転写終端部と2画面の転写開始部は重ねて転写する必要がある。
【0056】
1画面目C色と2画面目C色の重ね転写濃度103から明らかなように、1画面目と2画面目を単純に重ねた部分Clapでは、転写濃度が高くなる。良好なつなぎ目画質を得るには重ね部分の転写濃度103をClap前後の転写濃度と同じになるように制御する必要がある。この重なった部分の転写濃度103は、1画面目の終端部の階調データと2画面目の先端部分の階調データを適切に調整することで、Clap前後の転写濃度と同じになるように制御することが出来る。
【0057】
図10(a)は、1画面目の終端部分の階調データを調整するための補正テーブルとして、C色のルックアップテーブル(LUT)の例を示す図であり、図10(b)は2画面目の先端部分の階調データを調整するためのC色のLUTの例を示す図である。行106は副走査転写方向のライン数を示し、列107は入力画像の階調データであり、1色あたり0〜255の8ビットデータの場合を示す。
【0058】
図10(a)では、変換対象となる1画面目の画像データの終端ライン位置(ライン番号)をNとしている。#Nはつなぎ目ずらし処理工程ST2終了後の、1画面目の入力画像データの終端ライン位置を示し、図7(b)のEC1、図9の終了ライン位置104に相当する。図10(a)は、1画面目の入力画像データ終端ライン位置#Nからnライン分のデータを調整することを示す。
【0059】
図10(b)では、つなぎ目ずらし処理工程ST2終了後の2画面目の画像データの転写開始ライン位置(ライン番号)を#0としており、#0のライン位置は、図8の開始ライン位置T2、図9の開始ライン位置105に相当する。図10(b)では、2画面目の入力画像データ転写開始ライン位置#0からnライン分のデータを調整することを示す。
なお、ここではC色のLUTについて説明を行うが、通常はインク色の違いにより転写特性が異なるため、図10に示すLUTを各色分用意する。
【0060】
階調データの変換は、図10(a),(b)のLUTから、データの調整を行うライン番号と変換対象となる入力画素の階調データの交差する部分に示す係数を、入力階調データに乗算して求める。例えば、1画面目の終端部の変換において、ライン番号#N−1の変換対象画素の階調データが128の場合、128に係数0.2を乗算した値である26(小数点以下は四捨五入)を、入力変換後の入力階調データとして使用する。
【0061】
つなぎ目処理部10cはこの変換をnライン分行う。2画面目の転写開始部分の階調データ変換も同様に、ライン番号と変換対象画素の階調データから図10(b)のLUTによって調整係数を求め、階調データの変換を行う。
【0062】
図11は階調データ変換後のつなぎ目転写結果の濃度分布を示すものである。
1画面目C色階調データ変換後の単独転写濃度101’は階調データ変換後の1画面目C色の単独転写濃度を示し、2画面目C色階調データ変換後の単独転写濃度102’は階調データ変換後の2画面目C色の単独転写濃度を示す。
【0063】
図9に示すグラフに比べて、1画面目の単独転写濃度101’は緩やかに立ち下り、2画面目の単独転写濃度102’も緩やかに立ち上がっている。
階調データ変換後の1画面目C色と、2画面目C色の重ね転写濃度103’は階調データ変換後の1画面目C色終端部と、2画面目C色転写開始部をClap分重ねて転写したときの転写濃度を示す。Clap間の転写濃度がClap前後の転写濃度とほぼ同じ濃度になっていることがわかる。
【0064】
このように、画面間のつなぎ目において1画面目と2画面目を重ねて転写しても1画面目の終端部の階調データと2画面目の先端部分の階調データを適切に調整することで、Clap前後の転写濃度と同じになるように制御することが出来る。以上ではC色の処理について説明したが、M色,Y色についてもそれぞれのLUTを用いてC色と同様の処理を行うことで、つなぎ目の転写濃度を制御することができる。
【0065】
図10(a),(b)のLUTは、次のような手順で作成できる。図9に示すように、単独転写濃度101,102と重ね転写濃度103のグラフを用いて、重ね転写濃度103のグラフが重ねた部分Clap前後の転写濃度よりも高い場合は、そのライン位置における単独転写濃度101,102が低くなるようにLUTの係数を調整する。逆に、重ね転写濃度103のグラフが重ねた部分Clap前後の転写濃度よりも低くなった場合は、そのライン位置における1画面目単独転写濃度101,2画面目単独転写濃度102が高くなるようにLUTの係数を変更する。実際に転写動作を行い、前記作業を繰り返し行うことでLUTを調整する。
【0066】
次に、つなぎ目逆転写補正処理工程ST4の説明を行う。まず、実施の形態1における逆転写問題について説明する。発明者等の検討の結果、ここで述べる逆転写問題は、1画面目のインクの上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データとの間に相関があることがわかった。
【0067】
図12(a)は、逆転写問題に関して、1画面目のインクの上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データとの間の相関を説明するための画像パターンの例を模式的に示す図である。下地となるインクY色202,M色203は、図の左から右の主走査方向にかけて濃度が増していくグラデーションパターンであり、最後に転写されるC色204はベタパターンである。
【0068】
このY色202,M色203,C色204の3色のパターン画像に対して、つなぎ目処理工程ST1〜ST3を施した状態において、長尺印画した場合のインクつなぎ目状態の平面模式図を図12(b)に示し、側面模式図を図12(c)に示す。つなぎ目前後領域201はインクを重ね転写する領域の前後の領域であり、逆転写が発生するライン位置は図12(b),(c)のXC1及びXM1の前後ライン位置となる。XC1はC色重ね領域Clapの中央部付近のライン位置、XM1はM色重ね領域Mlapの中央部付近のライン位置を示す。XY1はY色重ね領域Ylapの中央部付近のライン位置を示す。
【0069】
図13は、図12のパターンにおいてC色204の階調データを高濃度として、長尺印画を実施し、副走査転写方向(図12(b)のH−H’方向)の濃度分布状態を示した図である。
図13において、C色成分濃度301,M色成分濃度302,Y色成分濃度303は各色における成分濃度を示し、C色つなぎ目近傍ライン位置304が図12(b),(c)のXC1に相当する。M色つなぎ目近傍ライン位置305は図12(b),(c)のXM1に相当し、Y色つなぎ目近傍ライン位置306は図12(c)のXY1に相当する。
【0070】
dmはM色成分の最低濃度と通常転写領域におけるM色成分平均濃度との濃度差を示し、dyはY色成分の最低濃度と通常転写領域におけるY色成分平均濃度との濃度差を示す。lmはM色成分の濃度低下が発生しているM色成分濃度低下ライン区間、lyはY色成分濃度低下が発生しているY色成分濃度低下ライン区間を示す。
【0071】
C色成分濃度301はC色つなぎ目近傍ライン位置304前後の転写濃度と同等であるが、M色成分濃度302はライン区間lm間で濃度低下が見られ、Y色成分濃度303はライン区間ly間で濃度低下が見られる。C色つなぎ目近傍ライン位置304は、1画面目の通常転写の領域であり、本来はM色成分濃度とY色成分濃度は変化しないはずである。このM色成分濃度302とY色成分濃度303の濃度低下の原因はC色のつなぎ目転写の影響によるものであり、濃度低下を補正する処理が必要となる。
【0072】
次に、図12のパターンにおいてC色204の階調データを高階調,中間調,低階調ベタパターンの3パターンとして長尺印画を実施したときの、つなぎ目濃度差について説明する。
【0073】
図14は、C色つなぎ目近傍ライン位置304におけるY色成分,M色成分,C色成分の濃度差を示したつなぎ目濃度差グラフである。
図14の横軸は下地色のY色及びM色の階調データを表し、縦軸はC色つなぎ目における各色の濃度差を表す。なお、ここでのつなぎ目濃度差とは、図13に示すような濃度分布分析を行い、C色つなぎ目近傍ライン位置304付近の最低濃度と図12のつなぎ目前後領域201の平均値転写濃度との差分(図13のdm,dyに相当)の絶対値で表している。
【0074】
濃度差401はC色高階調ベタパターンの場合のY色成分の濃度差、濃度差402はC色中間調ベタパターンの場合のY色成分の濃度差、濃度差403はC色低階調ベタパターンの場合のY色成分の濃度差を示す。
濃度差404はC色高階調ベタパターンの場合のM色成分の濃度差、濃度差405はC色中間調ベタパターンの場合のM色成分の濃度差、濃度差406はC色低階調ベタパターンの場合のM色成分の濃度差を示す。
【0075】
濃度差407はC色高階調ベタパターンの場合のC色成分の濃度差、濃度差408はC色中間調ベタパターンの場合のC色成分の濃度差、濃度差409はC色低階調ベタパターンの場合のC色成分の濃度差を示す。
図14のC色成分の濃度差(図14の407,408,409)を見ると、C色の階調によらず濃度差はほとんど見られない。また、濃度差はほぼ一定である。
【0076】
これに対し、Y色成分濃度差(図14の401,402,403)とM色成分濃度差(図14の404,405,406)では、C色転写濃度(階調データ)が高いほど、濃度差が大きくなることがわかる。また、下地色であるY色,M色が中間調(図14のグラフの横軸中央部付近)となるとき、濃度差が最も大きくなる。
【0077】
上記では、上に重ねるインク色がC色の場合の逆転写問題について説明したが、上に重ねるインク色がM色の場合についても、M色のつなぎ目近傍ライン位置(図12のXM1)において同様の現象が発生する。実施の形態1の場合、M色の下地となるインク色はY色の1色であり、M色のつなぎ目近傍ライン位置(図12のXM1)においてY成分色の転写濃度の低下が発生する。
【0078】
この転写濃度低下の傾向は、上述した1画面目のインクの上に重ねるインク色がC色の場合と同じであり、上に重ねるインク色であるM色が高階調(高濃度)であるほど、M色のつなぎ目近傍ライン位置(図12のXM1)におけるY成分色の濃度差は大きくなり、下地色であるY色が中間調(図14のグラフの横軸中央部付近)となるとき、濃度差が最も大きくなる。
【0079】
以上説明したように、つなぎ目で発生する逆転写による濃度差は、上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データによって異なる。よって、これらの階調データを考慮して、入力する画像データを補正する必要がある。
【0080】
また、図13のlm,lyに示すように、つなぎ目濃度差は、つなぎ目近傍ライン位置前後の数ライン区間で発生する。この濃度差発生ライン区間内における濃度差は、ライン位置によって異なっており、つなぎ目近傍ライン位置前後のライン位置に対応した補正を行うことにより、つなぎ目の画質を向上させることができる。
【0081】
次に、つなぎ目逆転写補正処理工程ST4の処理動作について図15,図16を用いて説明する。
図15は、副走査転写方向の階調値が各色で一定となる画像パターンに対してつなぎ目処理工程ST1〜ST3を施した後のY,M,C階調データの模式図である。
【0082】
図15において、階調値tcはC色階調値、階調値tmはM色階調値、階調値tyはY色階調値を示す。グラフ501は1画面目C色階調データグラフ、グラフ502は2画面目C色階調データグラフであり、C色つなぎ目ライン位置503はグラフ501とグラフ502の交点におけるライン位置を表す。グラフ504は1画面目M色階調データグラフ、グラフ505は2画面目M色階調データグラフであり、M色つなぎ目ライン位置506はグラフ504とグラフ505の交点におけるライン位置を表す。
【0083】
グラフ507は1画面目Y色階調データグラフ、グラフ508は2画面目Y色階調データグラフであり、Y色つなぎ目ライン位置509はグラフ507とグラフ508の交点におけるライン位置を示す。階調値KcはC色つなぎ目ライン位置503におけるC色つなぎ目画素の階調値、階調値KmはM色つなぎ目ライン位置506におけるM色つなぎ目画素の階調値を示す。
【0084】
つなぎ目逆転写補正処理前の状態では、C色つなぎ目ライン位置503におけるM色の階調値およびY色階調値はtm,tyと一定であり、M色つなぎ目ライン位置506におけるY色の階調値もtyで一定である。
【0085】
図16は、図15と同じ画像パターンに対してつなぎ目処理工程ST1〜ST4を施した後に長尺印画した場合のY,M,C階調データを模式的に示した図である。図15はつなぎ目逆転写補正処理無し、図16はつなぎ目逆転写補正処理有の状態を示す。
階調値tmcはC色つなぎ目ライン位置503におけるM色の補正後最大階調値であり、M色階調値tmよりも高い階調数に補正される。この補正は補正ライン区間lmc間の画素に対して行われる。
【0086】
階調値tycはC色つなぎ目ライン位置におけるY色の補正後最大階調値、階調値tymはM色つなぎ目ライン位置506におけるY色の補正後最大階調値であり、それぞれY色階調値tyよりも高い階調数に補正される。これらの補正は補正ライン区間lyc,lmc間の画素に対して行われる。
次に、上記に述べた補正階調数の算出方法について説明する。
【0087】
図17は、C色つなぎ目ライン位置503におけるY色の補正後最大階調値tycを求めるためのLUT600である。行601はC色つなぎ目画素の階調値kcを示し、列602はC色つなぎ目ライン位置503におけるY色階調値tyを示す。
【0088】
LUT600の表中の値は補正階調数であり、C色つなぎ目画素の階調値kc=0、およびY色階調値ty=0のときは無変換となる。具体的な補正例を示すと、例えば、C色つなぎ目画素の階調値kc=255,Y色階調値ty=128のとき、補正量は15となり、LUT600はY色階調値tyが中間調の階調となるときに補正量が最大となるように設定されている。
【0089】
図18は、補正ライン区間lyc間の補正量を求めるためのLUT700である。行701は補正ライン番号を示し、番号0はC色つなぎ目ライン位置503を示す。LUT700では、C色つなぎ目ライン位置503前後2ラインを含め合計5ライン、つまり補正ライン区間lycは5ラインとなる。
【0090】
行701で正の番号はC色つなぎ目ライン位置503よりも副走査転写方向下流側(2画面目寄り)、負の番号は副走査転写方向上流側(1画面目寄り)を示す。
列702はC色つなぎ目ライン位置503におけるY色階調値tyを示す。LUT700の表中の値は補正係数であり、Y色階調値ty=0のときは無変換となり、C色つなぎ目ライン位置503(ライン番号0)の補正量が最大となるように設定されている。
【0091】
補正ライン番号に対する補正量は、LUT600から得られる補正階調数に、LUT700から得られる補正係数を乗算して算出する。例えば、LUT600からC色つなぎ目画素の階調値kc=255、Y色階調値ty=128のときの補正階調数は15となる。この補正階調数に対して、LUT700から得られる補正係数を乗算する。補正ライン番号−2,−1,0,1,2の補正量は、それぞれ15×0.3,15×0.75,15×1,15×0.75,15×0.3として求める。
【0092】
最終的な補正後階調数はLUT600とLUT700から求めた補正階調数を元の階調数に加算した値となる。よって、上記の場合における補正ライン番号−2,−1,0,1,2に相当する画素の補正後階調数は、それぞれ133,139,143,139,133となる。
【0093】
以上、C色つなぎ目ライン位置503におけるY色の補正後階調数の求め方について説明したが、C色つなぎ目ライン位置503におけるM色の補正後階調数の求め方も同様にして行うことができる。その場合、C色つなぎ目ライン位置503におけるY色の補正後最大階調値tmcを求めるためのLUTと、補正ライン区間lmc間の補正量を求めるためのLUTが必要となる。
【0094】
また、M色つなぎ目ライン位置506におけるY色の補正後階調数を求める場合には、M色つなぎ目ライン位置506におけるY色の補正後最大階調値tymを求めるためのLUTと、補正ライン区間lym間の補正量を求めるためのLUTが必要となる。
LUT600やLUT700のようなLUTを用いるのは、上述したようにつなぎ目で発生する逆転写による濃度差が、1画面目のインクの上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データによって異なるためである。
【0095】
LUT600のようなLUTは、実際に長尺印画を行い、図14に示すようにつなぎ目の濃度差を測定することによって作成できる。また、LUT700のようなLUTは、図13に示すようなグラフから作成することができる。
【0096】
C色つなぎ目ライン位置503におけるY色の補正後階調数の求め方と同様に、C色つなぎ目ライン位置503におけるM色の補正後階調数と、M色つなぎ目ライン位置506におけるY色の補正後階調数を求めたら、式(1)〜(3)によりC,M,Y階調データからR,G,B階調データへ変換を行うことでつなぎ目逆転写補正処理ST4は終了となる。
【0097】
次に、つなぎ目過剰転写補正処理工程ST5の処理動作について図19,図20を用いて説明する。
図19は、副走査転写方向の階調値が各色で一定となる画像パターンに対してつなぎ目処理工程ST1〜ST3を施した後のY,M,C階調データの模式図である。なお、ここでは説明をわかりやすくするため、つなぎ目補正処理工程ST4を施さない状態の場合について説明する。
【0098】
図19において、グラフ901は1画面目C色階調データグラフ、グラフ902は2画面目C色階調データグラフであり、C色つなぎ目ライン位置903はグラフ901とグラフ902の交点におけるライン位置を表す。グラフ904は1画面目M色階調データグラフ、グラフ905は2画面目M色階調データグラフであり、M色つなぎ目ライン位置906はグラフ904とグラフ905の交点におけるライン位置を表す。グラフ907は1画面目Y色階調データグラフ、グラフ908は2画面目Y色階調データグラフであり、Y色つなぎ目ライン位置909はグラフ907とグラフ908の交点におけるライン位置を示す。
【0099】
階調値tcmはM色つなぎ目ライン位置906におけるC色の階調値、階調値tcy、階調値tmyは、それぞれY色つなぎ目ライン位置909におけるC色、M色の階調値、階調値tyはY色階調値を示す。
【0100】
図20は、図19と同じ画像パターンに対してつなぎ目処理工程ST1〜ST3及びST5を施した後に長尺印画した場合のY,M,C階調データを模式的に示した図である。図19はつなぎ目過剰転写補正処理無し、図20はつなぎ目過剰転写補正処理有の状態を示す。
【0101】
階調値tcy’はY色つなぎ目ライン位置909におけるC色の補正後最小階調値であり、C色階調値tcyよりも低い階調数に補正される。この補正は補正ライン区間lcy間の画素に対して行われる。階調値tcm’はM色つなぎ目ライン位置906におけるC色の補正後最小階調値であり、C色階調値tcmよりも低い階調数に補正される。この補正は補正ライン区間lcm間の画素に対して行われる。階調値tmy’はY色つなぎ目ライン位置909におけるM色の補正後最小階調値であり、M色階調値tmyよりも低い階調数に補正される。この補正は補正ライン区間lmy間の画素に対して行われる。
【0102】
次に、上記に述べた補正階調数の算出方法について説明する。
図21は、Y色つなぎ目ライン位置909におけるC色の補正後最小階調値tcy’を求めるためのLUT1000である。行1001はY色の階調値tyを示し、列1002はY色つなぎ目ライン位置909におけるC色階調値tcyを示す。
【0103】
LUT1000の表中の値は補正階調数であり、Y色階調値ty=0、およびC色階調値tcy=0のときは無変換となる。具体的な補正例を示すと、例えば、Y色階調値ty=255、C色階調値tcy=128のとき、補正量は−15(マイナス15)となり、LUT1000はC色階調値tcyが中間調の階調となるときに補正量の絶対値が最大となるように設定されている。
【0104】
図22は、補正ライン区間lcy間の補正量を求めるためのLUT1100である。行1101は補正ライン番号を示し、番号0はY色つなぎ目ライン位置909を示す。LUT1100では、Y色つなぎ目ライン位置909前後2ラインを含め合計5ライン、つまり補正ライン区間lcyは5ラインとなる。
【0105】
行1101で正の番号はY色つなぎ目ライン位置909よりも副走査転写方向下流側(2画面目寄り)、負の番号は副走査転写方向上流側(1画面目寄り)を示す。
列1102はY色つなぎ目ライン位置909におけるC色階調値tcyを示す。LUT1100の表中の値は補正係数であり、C色階調値tcy=0のときは無変換となり、Y色つなぎ目ライン位置909(ライン番号0)の補正量の絶対値が最大となるように設定されている。
【0106】
補正ライン番号に対する補正量は、LUT1000から得られる補正階調数に、LUT1100から得られる補正係数を乗算して算出する。例えば、LUT1100からY色つなぎ目画素の階調値ty=255、C色階調値tcy=128のときの補正階調数は−15となる。この補正階調数に対して、LUT1100から得られる補正係数を乗算する。補正ライン番号−2,−1,0,1,2の補正量は、それぞれ(−15)×0.3,(−15)×0.75,(−15)×1,(−15)×0.75,(−15)×0.3として求める。
【0107】
最終的な補正後階調数はLUT1000とLUT1100から求めた補正階調数を元の階調数に加算した値となる。よって、上記の場合における補正ライン番号−2,−1,0,1,2に相当する画素の補正後階調数は、それぞれ124,118,113,118,124となる。
【0108】
以上、Y色つなぎ目ライン位置909におけるC色の補正後階調数の求め方について説明したが、Y色つなぎ目ライン位置909におけるM色の補正後階調数の求め方も同様にして行うことができる。その場合、Y色つなぎ目ライン位置909におけるM色の補正後最小階調値tmy’を求めるためのLUTと、補正ライン区間lmy間の補正量を求めるためのLUTが必要となる。
【0109】
また、M色つなぎ目ライン位置906におけるC色の補正後階調数を求める場合には、M色つなぎ目ライン位置906におけるC色の補正後最小階調値tcmを求めるためのLUTと、補正ライン区間lcm間の補正量を求めるためのLUTが必要となる。
LUT1000やLUT1100のようなLUTを用いるのは、上述したようにつなぎ目で発生する逆転写による濃度差が、1画面目のインクの上に重ね転写するインク色の階調データと、下地となる(先に転写された)インク色の階調データによって異なるためである。
【0110】
LUT1000のようなLUTは、実際に長尺印画を行いつなぎ目の濃度差を測定することによって作成できる。また、LUT1100のようなLUTは、過剰転写状態に関して図13に示すようなグラフを作成し、そのグラフからLUTを作成することができる。
【0111】
Y色つなぎ目ライン位置909におけるC色の補正後階調数の求め方と同様に、Y色つなぎ目ライン位置909におけるM色の補正後階調数と、M色つなぎ目ライン位置906におけるC色の補正後階調数を求めたら、式(1)〜(3)によりC,M,Y階調データからR,G,B階調データへ変換を行うことでつなぎ目過剰転写補正処理ST5は終了となる。つまり長尺印画用の画像データ変換は終了となる。
【0112】
なお、本実施例ではつなぎ目処理工程ST1〜ST3を施した後につなぎ目過剰転写補正処理ST5を実施する場合について説明したが、つなぎ目処理工程ST1〜ST4を実施した後につなぎ目過剰転写補正処理ST5を実施してもよい。また、つなぎ目補正処理工程ST4とつなぎ目過剰転写補正処理ST5の実施順序を入れ替えても得られる効果は同じである。
【0113】
また、本実施例では、画像パターンが副走査方向に一様な階調データを持つベタパターンの場合について説明したが、副走査転写方向の数ライン間のつなぎ目において階調データが極端に変化しない画像パターン、例えば自然画パターンのような比較的冗長性が高い画像パターンならば、本実施例と同様の補正処理を行うことによって、つなぎ目のない良好な画質を得ることが出来る。
次に、画像データ変換後の長尺印画動作について説明する。
【0114】
図23は本実施の形態における長尺印画動作を説明するフローチャートである。
データ分割部10aで長尺印画用に2分割された画像データは、メモリ11に記憶されるとともに、制御部13により画像データサイズ、1画面目と2画面目が重なる副走査領域(図6(b)におけるOL)から、印画に要する搬送量を計算する(ST101)。次に長尺印画用の画像データがプリンタ用データに変換される(ST102)。
【0115】
1画面目印画工程では、まず、グリップローラ7aが記録紙2を印画開始位置に位置決めし(ST103)、インクシート3のY色領域Y1の頭だしを行い(ST104)、サーマルヘッド5が1画面目のY色データの印画を行う(ST105)。Y色の印画が終了した後、グリップローラ7aは記録紙2を再び印画開始位置に位置決めし(ST106)、インクシート3のM色領域M1への頭だしを行い(ST107)、サーマルヘッド5が1画面目のM色データをY色の上に重ねて印画する(ST108)。
【0116】
M色の印画が終了すると、グリップローラ7aは記録紙2を再び印画開始位置に位置決めし(ST109)、インクシート3のC色領域C1への頭だしを行い(ST110)、1画面目のC色データをY色及びM色の上に重ねて印画する(ST111)。C色の印画が終了すると、その印画終了位置がメモリ11に記憶される(ST112)。
【0117】
2画面目印画工程では、まず、1画面目印画工程における印画画像の終端部(図6(c)におけるE1)と2画面目印画工程における印画開始位置(図6(d)におけるT2)において、1画面目と2画面が重なる副走査領域(図6(b)におけるOL)分重なる位置が、2画面目の印画開始位置となるように記録紙2が位置決めされ、2画面目の印画が開始される。2画面目における一連の印画動作(ST113〜ST121)は、1画面目の印画工程(ST103〜ST111)と同様であるため説明を省略する。
【0118】
2画面目の印画動作が終了すると、グリップローラ7aは記録紙2を排紙方向(図1A方向)へ搬送する。記録紙2の印画先頭位置が搬送系路上の用紙切断機構8に到達すると、グリップローラ7aは駆動停止し、記録紙切断機構8は記録紙2を主走査方向に切断し(ST122)、排紙ローラ9は記録紙2をプリンタ1の外へ排出する(ST123)。
【0119】
以上の動作により得られる長尺印画結果は、Y,M,Cの3色のつなぎ目をずらしているため、つなぎ目の目立たない長尺印画結果が得られる。
また、先に印画される画像において、先に転写されるインク色の副走査転写方向が長くなるように各色のつなぎ目をずらしているため、2画面を重ね転写した時でも、つなぎ目におけるインクの転写順序が変わることが無く、つなぎ目における色調の変化のない良好なつなぎ目画質が得られる。
【0120】
また、ずらしたつなぎ目において発生する逆転写に対する補正処理を施しているため、良好なつなぎ目画質を持つ長尺印画結果が得られる。
また、図5のYlapとMlap,MlapとClapの間隔を広くする、すなわち、各色のつなぎ目の副走査転写方向間隔を広くすることによりつなぎ目が分散し、視覚上つなぎ目を目立たなくさせる効果が得られる。
【0121】
なお、実施の形態1における画像変換部10は、プリンタ1に画像データを入力するコンピュータなどの画像入力装置内に設けることも可能である。この場合、プリンタ1用ドライバに画像変換部10の機能をソフトウェアとして実装することで実現ができる。
【0122】
また、実施の形態1では画面間のつなぎ目濃度処理として濃度逓減/逓増処理を用いたが、この処理だけではつなぎ目良好なつなぎ目画質が得られない場合、前記濃度逓減/逓増処理を施した後の画面間のつなぎ目に、ディザ法による画像処理を施すことによって、つなぎ目の濃度差を分散させることができ、つなぎ目画質を向上させることができる。
【0123】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、Y,M,Cの3色インク領域が配列されたインクシートを用いたが、本実施の形態2ではY,M,Cの3色インクに保護層となるオーバーコート層を加えて、4つのインク領域で一つの画面を形成するインクシートを用いた場合について説明する。
【0124】
図24は実施の形態2におけるインクシート3の平面図である。インクシート3は3色のインク領域とオーバーコート領域を順に配列している。
図24において、Y1,Y2はイエロー色のインク領域、M1,M2はマゼンタ色のインク領域、C1,C2はシアン色のインク領域、OP1,OP2はオーバーコートインク領域を示し、Lは副走査転写方向の所定画面サイズを示す。またY1,M1,C1,OP1は1画面目の各色インク領域を示し、Y2,M2,C2,OP2は2画面目の各色インク領域を示す。
【0125】
図25は本実施の形態2における画面間のつなぎ目のインク転写状態を表す模式図である。OP1は1画面目のオーバーコートインク、OP2は2画面目のオーバーコートインクを示し、OPE1は1画面目のオーバーコートインクOP1の転写終了ライン位置、OPT2は2画面目のオーバーコートインクOP2の転写開始位置、OPlapは1画面目と2画面目のオーバーコートインクが重なる領域を示す。その他のインク転写状態は、基本的に図5と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0126】
本実施の形態2では、オーバーコートインクを重ね転写する位置を、2画面目の画像記録開始ライン位置T2よりも1画面目側に設定したことを特徴とする。
通常のオーバーコートインクは、カラーインク転写面の保護層としての役割から、全画面を覆うように転写する。つまり、1画面目の場合、通常はY1,M1,C1の3色カラーインク転写終了後に、図25のE1位置まで覆うようにOP1が転写される。
【0127】
しかし、昇華型熱転写方式では、昇華性染料が記録紙の受容層に熱拡散することで画像が記録される。そのため、記録紙の受容層をオーバーコートインクで覆ってしまうと、その上から昇華性カラーインクを転写することができないという問題がある。これに対し実施の形態2ではオーバーコートインクを重ね転写する位置を、2画面目の画像記録開始ライン位置T2よりも1画面目側に設定することで、長尺印画画像のつなぎ目領域全てをオーバーコートインクで覆うことが可能となる。
【0128】
この発明に係る熱転写プリント装置は、つなぎ目の目立たない幅広印画を行うことができるため、規定サイズ以上の用紙の幅広印画等に用いるのに適している。
【符号の説明】
1 プリンタ、2 記録紙、3 インクシート、4a インクシート供給リール、4b インクシート巻取りリール、5 サーマルヘッド、6 プラテンローラ、7a グリップローラ、7b ピンチローラ、8 記録紙切断機構、9 排紙ローラ。
Claims (3)
- カラー画像を所定サイズに分割して印画する熱転写プリント装置において、
分割した画像間の各色のつなぎ目が副走査転写方向で一致しないようにずらすつなぎ目ずらし部と、
前記つなぎ目ずらし部によりずらされた各色のつなぎ目を互いに重なるように転写すると共に、重なり部分の階調データを副走査転写方向のライン毎に予め設定された補正係数に基づき補正するつなぎ目処理部と
を備え、
前記つなぎ目処理部は、先に転写されたインク色の次に転写されるインク色の転写に関して、先に転写されたインク色のつなぎ目部分上の濃淡を、所定の濃度よりも低く転写することを特徴とする熱転写プリント装置。 - 前記つなぎ目ずらし部は、先に印画する画像の終端側の各色の副走査転写方向の長さを、先に転写する色が長くなるように各色のつなぎ目をずらすことを特徴とする請求項1記載の熱転写プリント装置。
- 前記つなぎ目ずらし部は、各色の保護層となるオーバーコート層の終端側の副走査転写方向の長さを、最後に転写する色の終端側の副走査転写方向の長さより短くなるように前記オーバーコート層のつなぎ目をずらし、
前記つなぎ目処理部は、前記つなぎ目ずらし部によりずらされた前記オーバーコート層のつなぎ目を互いに重なるように転写する
ことを特徴とする請求項1記載の熱転写プリント装置。
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