従来から、負荷の遠隔監視制御を行うために信号線を通してスイッチのオンオフ情報を含む伝送信号を伝送し、負荷の電源を入切するリレーを伝送信号によって開閉させる技術が知られている。
この種の遠隔監視制御システムとしては、スイッチを有する操作端末器と負荷への電源を入切するリレーを有する制御端末器とを端末装置として備え、伝送ユニットをセンタ装置として備えた集中制御型のものがある。操作端末器および制御端末器はそれぞれ複数台ずつ設けられていてもよい。伝送ユニットと操作端末器と制御端末器とは2線式の信号線に接続されており、操作端末器および制御端末器に個別に設定されている端末アドレスを用いて伝送ユニットが操作端末器および制御端末器を各別に認識する。
伝送ユニットは、操作端末器と制御端末器とをアドレスによって対応付けたデータテーブルである制御テーブルを格納したメモリを備えている。この伝送ユニットは、いずれかの操作端末器におけるスイッチのオンオフ情報が伝送信号(時分割多重伝送信号を用いている)を用いて通知されると、制御テーブルによって当該操作端末器に対応付けられている制御端末器に対して伝送信号を用いてリレーを開閉する指示を伝送する。この指示を受けた制御端末器においてリレーが開閉される。そのため、スイッチのオンオフに応じて負荷が制御されることになる。
ここに、一般的には各操作端末器はそれぞれ複数回路のスイッチを有し、また各制御端末器にはそれぞれ複数回路の負荷が接続される。伝送ユニットに設けた制御テーブルではスイッチおよび負荷の回路別に対応付けが可能になっている。つまり、たとえば操作端末器が複数のスイッチを有する場合、操作端末器に固有の端末アドレスだけでは、当該操作端末器に設けられたスイッチが全て該当することになり、実際に操作された唯一のスイッチを特定することはできない。そこで、各操作端末器においては、それぞれスイッチごとに負荷番号を割り振り、各操作端末器の端末アドレスの後に負荷番号を付加したものをスイッチのアドレスとして用いることによって、実際に操作された唯一のスイッチを特定できるようにしてある。同様に、制御端末器においては負荷ごとに負荷番号を割り振り、各制御端末器の端末アドレスの後に負荷番号を付加したものを負荷のアドレスとする。なお、1台の制御端末器に接続される複数の負荷で1つの負荷回路を構成してもよく、この場合には各制御端末器の端末アドレスが負荷のアドレスとして用いられる。
ところで、制御テーブルでは、スイッチと負荷とを一対一に結びつけるほか、一対多に結びつけることも可能になっている。たとえば、上記遠隔監視制御システムにて負荷としての照明器具への電源を入切するとすれば、伝送ユニットでは、1個のスイッチで1回路の照明器具の点灯と消灯とを行う個別制御と、1個のスイッチで複数回路の照明器具の点灯と消灯とを一括して行う一括制御との設定が可能になっている。言い換えると、個別制御は1指示で1回路の負荷を制御することを意味し、一括制御は1指示で複数回路の負荷を制御することを意味する。このような一括制御には、グループ制御とパターン制御とがある。グループ制御では、制御対象となる負荷の範囲をスイッチに予め対応付けておき、1個のスイッチの操作によって当該範囲の負荷を一括してオンまたはオフにする。パターン制御では、制御対象となる負荷のアドレスの範囲と各アドレスに対応する負荷のオンとオフとの別とをスイッチに予め対応付けておき、1個のスイッチの操作によって当該範囲の負荷をそれぞれオンまたはオフにする。
上述したグループ制御あるいはパターン制御を行うため、伝送ユニットの制御テーブルにおいては、グループ制御あるいはパターン制御を行うスイッチに対応するグループ番号またはパターン番号に、制御対象となる範囲の負荷のアドレスを対応付けてある。そして、グループ制御あるいはパターン制御を行うスイッチが操作されたときに、伝送ユニットでは、制御テーブルと照合することにより制御対象となる負荷のアドレスを展開し、さらに負荷のオンおよびオフの状態を決定した後、制御テーブルの参照により得られたアドレスを持つ制御端末器に指示を与える。
ここにおいて、たとえば会議室のように多数の負荷が存在する場所で各負荷の動作を制御しようとすると、多数のスイッチが必要となり、操作端末器の占有スペースが大きくなるという問題がある。ここで、グループ制御やパターン制御を行えば、複数の負荷の個々の動作を1つのスイッチ操作で制御することが可能である。ただし、グループ制御を行うには、どの負荷を一括して制御するかを予め設定する必要があり、パターン制御を行うには、どの負荷をどのような状態に制御するかを予め設定する必要がある。したがって、これらの設定を行う操作部が必要であって、結局はスイッチの必要数が多くなって操作端末器の占有スペースが大きくなる。
そこで、上述した遠隔監視制御システムに操作端末器として用いられる監視制御装置として、液晶表示器よりなる表示パネルと、表示パネルの画面に重ねて配置された透明なタッチスイッチからなる操作入力部とを器体に具備し、表示パネルの表示内容に関連付けられている操作入力部の操作入力に応じた負荷制御および負荷状態に応じた画面表示を行うものが提案されている(たとえば特許文献1参照)。監視制御装置の器体は、壁に形成された取付穴内に後部を収める形で壁に取り付けられており、その前部が壁面から前方に突出する形となる。
この監視制御装置は、表示パネルの表示内容(画面表示)および操作入力部の操作に対する応答(負荷制御)に関して設定可能に構成されている。したがって、設定内容により操作入力部に種々の機能を持たせることができる。しかも、操作入力部の機能に合わせて表示パネルの表示内容を変更することができるから、限られたスペースで多機能の操作が可能になり、多数の負荷を操作する場合であっても操作端末器の占有スペースを小さくすることができる。
さらに、この監視制御装置では、表示パネルの表示内容に関連付けられている操作入力部の操作に応答して負荷を制御する操作モードと、表示パネルの表示内容および操作入力部の操作に対する応答を設定する設定モードとが切替可能になっている。しかして、監視制御装置を設定モードで動作させることで、表示パネルの画面表示および負荷制御(グループ制御やパターン制御の内容)に関する設定を行うことが可能になる。
以下の実施形態において説明する監視制御装置は、図2に示す遠隔監視制御システムに操作端末器として用いられるものである。この遠隔監視制御システムの基本構成は背景技術の欄で説明した遠隔監視制御システムと同様である。
具体的に説明すると、図2の例では、負荷Lとして白熱灯L1、インバータ式の点灯装置を有した蛍光灯L2、空調機のファンコイルL3、スピーカL4を備えている。白熱灯L1は、灯数に応じた容量の白熱灯調光用制御端末器(1500W,800W,500W)33A〜33Cにより制御される。蛍光灯L2は、点灯・消灯を制御するリレーを有した制御端末器33Dおよび光出力を制御する蛍光灯調光用制御端末器33Eにより制御される。ファンコイルL3はファンコイル制御端末器33Fにより動作強度が強中弱の3段階に制御され、スピーカL4はボリューム制御端末器33Gにより音量が制御される。その他の負荷として電動カーテン、電動スクリーン、換気用のファンなどを用いることも可能である。
操作端末器としては、スイッチS0を備えた操作端末器31A、および調光用操作端末器31B,31C、接点出力が得られる各種センサを接続する接点入力操作端末器31Dが設けられる。さらに、ワイヤレス送信器34aに操作部を設け、ワイヤレス受信機34bと組み合わせることで操作端末器を構成することができる。また、信号線Lsを延長するために図示例では信号線Ls上に中継器(増幅器)35を挿入して伝送信号を減衰させずに伝送できるようにしてある。操作端末器としての監視制御装置1A,1B(以下、両者を区別しないときは単に監視制御装置1という)は図示例では2台接続してあり、一方の監視制御装置1Aには、商用電源(たとえば交流100V)を降圧して出力する降圧トランスであるリモコントランス36から交流24Vの電源が供給されている。以下、操作端末器1A,1B,31A〜31Dを区別しないときには単に操作端末器31とし、制御端末器33A〜33Gを区別しないときには単に制御端末器33とする。
ここでは、伝送ユニット30が伝送信号を信号線Lsに定期的に送出しており、伝送信号としてはたとえば±24Vの双極性のパルス幅変調信号が用いられる。監視制御装置1以外の操作端末器31および制御端末器33では、この伝送信号を全波整流することによって内部電源を確保している。また、伝送ユニット30には商用電源によって電源が供給されている。
以下に、上述の遠隔監視制御システムの動作について簡単に説明する。
伝送ユニット30は、常時、端末アドレスをサイクリックに変更した伝送信号を周期的に信号線Lsに送出する常時ポーリングを行っている。伝送信号には、信号送出開始を示すスタートパルス、信号モードを示すモードデータ、操作端末器31や制御端末器33を各別に呼び出すための端末アドレスを伝送するアドレスデータ、負荷Lを制御するための制御データを伝送する制御データ(負荷番号を含む)、伝送エラーを検出するためのチェックサムデータ、操作端末器31や制御端末器33からの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間を含む双極性の信号を用いている。
いずれかの操作端末器31においてスイッチ操作等による監視入力が発生すると、当該操作端末器31は伝送信号のスタートパルスに同期する割込信号を信号線Lsに送出する。割込信号を発生した操作端末器31は割込フラグを設定したラッチ状態になる。一方、伝送ユニット30は割込信号を検出すると、モードデータをサーチモードとした伝送信号を送出する。ラッチ状態になっている操作端末器31は、サーチモードの伝送信号を受信すると信号返送期間において端末アドレスを返送し、端末アドレスを受け取った伝送ユニット30は、当該端末アドレスの操作端末器31にラッチ状態の返送を要求する伝送信号を伝送し、ラッチ状態か否かを確認することによって割込信号を発生した操作端末器31であることを確認する。割込信号を発生した操作端末器31であることが確認されると、ラッチ状態を解除させる伝送信号を伝送し、当該操作端末器31のラッチ状態を解除させる。
伝送ユニット30は、上述の動作によって操作端末器31からの要求を受け取ると、制御テーブルに従って当該操作端末器31に対応付けられた制御端末器33に対して負荷Lの制御を要求する。次に、制御対象である負荷Lの状態を確認するための伝送信号を送出し、制御端末器33から負荷状態を返送させる。制御端末器33から受け取った負荷状態は、伝送ユニット30で確認され、現状の負荷状態がオフであれば負荷状態をオンに反転させる内容の伝送信号を監視入力があった操作端末器31に送信するとともに、制御端末器33にも同内容の伝送信号を送信する。なお、制御端末器33を制御する内容の伝送信号を操作端末器31にも伝送するのは、操作端末器31に設けたオンオフ表示用の表示灯などの表示状態に反映させるためである。負荷状態を指示する伝送信号を受け取った制御端末器33は、受信確認を返送する。
以上説明した遠隔監視制御システムでは、操作端末器31のスイッチS0が操作されると、伝送ユニット30においてこのスイッチS0のアドレス(端末アドレス+負荷番号)が制御テーブルで照合され、スイッチS0との対応関係が設定されている負荷Lに接続された制御端末器33に対して、負荷Lの制御を指示する伝送信号が伝送ユニット30から伝送される。このような動作によって、スイッチS0のオンオフ情報を負荷Lの制御に反映させることができる。
(実施形態)
本実施形態の監視制御装置1は、図3に示すように、液晶表示器にバックライトを一体化した表示パネル2と、表示パネル2の画面(前面)に重ねて配置された透明な板状のタッチスイッチからなる操作入力部3とを備えている。表示パネル2には多数の画素を縦横にマトリクス状に配列したマトリクス表示型のものを用い画素の組み合わせによって文字や図形などを表示することにより、負荷の監視制御に必要な情報が表示される。操作入力部3は、透明なシート状部材に透明電極からなる接点部を多数個配列し、シート状部材に指などが触れた際にどの部位に触れたのかを出力する抵抗感圧方式のタッチスイッチであり、表示パネル2と共にタッチパネルディスプレイを構成する。
この監視制御装置1は、伝送ユニット30に接続された信号線Lsに接続され伝送信号(通信コマンド)を授受する通信回路11を備えている。通信回路11は制御部としてのメインマイコン12に接続され、メインマイコン12は、監視制御装置1の内蔵メモリとして設けられたメモリ部13に書き込まれているプログラムおよびデータに従って動作する。表示パネルの設定情報である画面表示および負荷制御に関する設定を記憶するメモリ部13には、少なくとも操作端末器31としてのアドレスが書き込まれる。さらにメモリ部13には、少なくとも後述の設定装置を用いて設定される設定情報を書き込むための領域が確保されている。
メインマイコン12は、表示パネル2の表示内容を指示するデータをラッチ回路14を通して液晶コントローラ15に出力する。液晶コントローラ15は、DRAM16に予め登録してあるデータを用いて表示パネル2の所定位置に所定の内容を表示する。なお、表示パネル2のコントラストやバックライトの明るさは、メインマイコン12がコントラスト調整部17やバックライト用インバータ回路18を制御することによって自動的に調節される。さらに、メインマイコン12は操作入力部3の操作に応じてブザー19を鳴動させる機能を有している。
そして、本実施形態の監視制御装置1は、設定装置と通信する通信部4を有している。設定装置とは、監視制御装置1の表示パネルの画面表示や負荷制御などに関する設定を行う装置である。
本実施形態では、監視制御装置1と設定装置としてのパーソナルコンピュータ50とが通信手段としての通信ケーブルを介して接続されている。設定装置としてのパーソナルコンピュータ50は、中央演算処理部51と記憶部52と設定装置側通信部53と設定装置側操作部54と表示部55とを有している(図4参照)。なお、通信ケーブルの一端は通信部4に備わった図示しない接続端子と接続され、他端は設定装置側通信部53に備わった図示しない接続端子と接続されることで、監視制御装置1とパーソナルコンピュータ50とが接続されている。
パーソナルコンピュータ50に備わった中央演算処理部51では、表示部55に表示しつつ設定装置側操作部54を操作することにより設定情報が作成され、その作成した設定情報が記憶部52へ書き込まれる。また、中央演算処理部51では、パーソナルコンピュータ50と監視制御装置1とが通信を行い監視制御装置1へ設定情報の設定を行うときに、表示部55に情報を表示しつつ設定装置側操作部54を操作することにより設定情報が送受信される。
監視制御装置1とパーソナルコンピュータ50とが通信することで、監視制御装置1とパーソナルコンピュータ50との相互間で設定情報のやりとりが行われる。詳しくは、まず、設定装置側通信部53と監視制御装置1に備わった通信部4とにより相互間で通信が行われる。そして、中央演算処理部51とメインマイコン12とが動作することで、記憶部52に記憶されている設定情報がメモリ部13へ送信され、メインマイコン12は設定情報を取得しメモリ部13に記憶させる。また、メインマイコン12によりメモリ部13から記憶部52へ設定情報が送信される。
そして、メインマイコン12により記憶部52からメモリ部13へ送信された設定情報を基に表示パネルの画面表示や負荷制御などに関する設定が行われる。なお、記憶部52とメモリ部13との間で設定情報のやりとりをしたり監視制御装置1への設定作業を行ったりするときには、パーソナルコンピュータ50に備わった設定装置側操作部54を操作することにより行うことができる。
なお、パーソナルコンピュータ50を用いて行うことができる設定の種類としては、たとえば背景技術の欄で説明したグループ制御・パターン制御に関する設定(つまり、グループ制御においてどの負荷Lを一括して制御するかの設定、パターン制御においてどの負荷Lをどのような状態に制御するかの設定)や、時刻に関連付けて負荷Lを制御するスケジュール制御に関する設定や、表示パネル2に表示させる各種情報に関する設定などがある。また、遠隔監視制御システムを採用した建物の簡単な地図を表示パネル2に表示させ、地図上の負荷Lを表すシンボルにて負荷Lの監視、操作を行う場合には、この地図のデータを設定情報とすることもできる。さらに、パスワードの設定や操作入力部の操作音の有無などの初期設定も、パーソナルコンピュータ50を用いて行うことができる。
そして、グループ制御・パターン制御に関する設定のように伝送ユニット30の制御テーブルに反映すべき設定内容に関しては、通信回路11から信号線Lsを介して伝送ユニット30に送信するものとする。すなわち、スイッチS0と負荷Lとの対応関係は伝送ユニット30の制御テーブルで管理されているから、伝送ユニット30においては、監視制御装置1で設定された設定内容を受信することにより、当該設定内容が反映されるように制御テーブルを変更することが可能となる。
このように、監視制御装置1とパーソナルコンピュータ50とが通信を行うことにより、設定情報のやりとりを簡便に行うことができ、設定作業効率を向上させることができる。このため、例えば、ビルの各フロアに遠隔監視制御システムが構築されている場合などで、複数の監視制御装置1に同様の設定を行うときには、記憶部52に保存された情報をその他の未設定の監視制御装置1に活用することができる。よって、設定作業の手間を大幅に省くことができる。
また、通信部4とパーソナルコンピュータ50とが通信を行うことにより、メモリ部13とパーソナルコンピュータ50に備わった記憶部52との間で相互に情報を送信することができる。つまり、記憶部52からメモリ部13へ情報を送信するだけではなく、メモリ部13から記憶部52へ情報を送信することもできる。このため、例えば、監視制御装置1に設定した情報を記憶部52へバックアップしたりコピーするために保存したりすることができ、通信を行うことによりメモリ部13が保有する設定情報をパーソナルコンピュータ50が取得することができる。
このため、例えば、ビルの各フロアに遠隔監視制御システムが構築されている場合などで、複数の監視制御装置1に同様の設定を行うときには、記憶部52がメモリ部13から取得した情報をその他の未設定の監視制御装置1に活用することができる。よって、設定作業の手間を大幅に省くことができる。
また、パーソナルコンピュータ50のように設定装置側操作部54を有する設定装置を用いる場合には、設定装置側操作部54を操作することにより設定作業を行うことができ、操作性が向上し、より効率よく設定作業を行うことができる。
また、本実施形態のように、通信手段として通信ケーブルのような有線を用いる場合には、電源に繋がったパーソナルコンピュータ50から通信ケーブルを介して監視制御装置1に対して給電することができる。このため、設定に電力を消費してしまう場合であっても、随時給電することができる。
ところで、上記監視制御装置1は、図5(a)に示すように略直方体状の器体5を備え、埋込型の配線器具と同様に、器体5の後部を壁内に埋め込む形で壁に取り付けられる。この監視制御装置1は、後部が壁内に埋め込まれる形で壁に固定される埋込ブロック6と、前部を壁面から前方に突出させる形で埋込ブロック6の前面側に着脱可能に装着されるパネルブロック7とに分離される(図6参照)。以下では、監視制御装置1を壁に取り付けた状態での上下左右を上下左右として監視制御装置1の構成を説明する。
ここに、監視制御装置1の内部回路は、埋込ブロック6とパネルブロック7とに分割して設けられている。本実施形態では、内部回路に直流電源を供給する電源回路10(図3参照)と通信回路11とは埋込ブロック側に設けられ、その他の回路(表示パネル2と操作入力部3とメインマイコン12とを含む)はパネルブロック7側に設けられている。
埋込ブロック6は、前面に矩形状の開口部を有する箱状に形成された埋込ボディ61と、埋込ボディ61の前面に覆着される埋込カバー62とで構成される埋込ケース60を具備し、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)が埋込ケース60内に収納された構成を有する。埋込ブロック6は、電源供給用の電源線が接続される電源端子部(図示せず)と、信号線Lsが接続される信号端子部(図示せず)とを背面側に備えている。
パネルブロック7は、図5(b)に示すように、前面に矩形状の開口部を有する薄箱状に形成されたパネルボディ71と、パネルボディ71の前面に覆着されるパネルカバー72とで構成されるパネルケース70を具備し、メインマイコン12など種々の電気部品が実装されている回路基板73がパネルケース70内に収納された構成を有する。さらに、パネルブロック7は、パネルケース70の前壁の一部に矩形状の表示窓74が貫設されており、表示パネル2および操作入力部3を表示窓74内に備えている。パネルケース70の前壁における表示窓74の下方においては、左右方向の中央部に後述する押釦スイッチを操作するための操作部75が設けられ、当該操作部75の左側方にLEDからの光を取り出すためのLED窓(図示せず)が設けられている。パネルケース70内のLED窓に対応する位置には、状態表示用のLEDを実装したLED基板76が配置される。そして、パネルケース70の前面には、保護用のメンブレンシート77が略全面に貼り付けられている。なお、LED基板76はパネルケース70の左下に限らず、たとえばパネルケース70の四隅のいずれかに配置するようにしてもよい。
ここで、本実施形態の監視制御装置1は、壁面からの器体5の突出量を小さく抑え、且つ、一般に普及している埋込型の配線器具との外観上の統一感を出すとともに、取り付けに用いる部材の低コスト化を図るために、壁内に設置された埋込型の配線器具用の埋込ボックスB1(図1参照)を用いて壁に取り付けられる。壁面W0(図1参照)を構成する壁材W1(図1参照)において埋込ボックスB1に対応する部分には矩形状の施工孔H1(図1参照)が開設されており、この施工孔H1と埋込ボックスB1の内部空間とで、監視制御装置1を取り付けるための取付穴が構成される。
埋込ブロック6は、施工孔H1を通して前方から埋込ボックスB1に取り付けられるのであって、埋込ケース60が後部を取付穴内に収納可能な形状および寸法に形成されている。また、本実施形態では、埋込ブロック6の埋込ケース60は1連用の取付枠(図示せず)を2個まで取付可能な埋込ボックスB1に対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠とは、埋込型の配線器具用にJISで規格化されている単位寸法の配線器具を幅方向(上下方向)に3個並べて取付可能な取付枠を意味しており、1連用の取付枠が左右方向に2個連接された寸法を「2連用」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の埋込ブロック6は2連用の埋込ボックスB1に取付可能な寸法に設定される。
より具体的に説明すると、図6に示すように、埋込ケース60は、上下方向の各端面のそれぞれから互いに離れる向きに延設された一対の取付片63を連続一体に有する。一対の取付片63は、埋込ケース60の前端部から上下方向に突出する形で設けられており、埋込ケース60の左右方向の略全長にわたって形成される。各取付片63には、埋込型の配線器具を埋込ボックスB1に固定する際に用いられる取付枠と同様に、取付ねじを挿通するボックス用孔64がそれぞれ複数個(ここでは2個)ずつ形成されている。なお、上下方向において取付片63におけるボックス用孔64の外側には、器体5の前端部の周囲に取付片63を覆う形で取着される化粧プレート(図示せず)をねじ固定するためのプレート取付孔65が形成されている。
埋込ケース60とパネルケース70とのそれぞれには、互いに係合することで埋込ブロック6にパネルブロック7を結合する取付手段が設けられている。埋込ケース60は、前面に嵌合凹所66を有し、嵌合凹所66の左右各側面に設けた係止孔67を取付手段として備えている。嵌合凹所66はその底面が壁面W0よりも後方となるように深さ寸法が設定されており、係止孔67は上下方向に2個ずつ並設されている。
パネルケース70においては、図6に示すように、背面側に突出し嵌合凹所66に嵌合する嵌合突部78を有し、嵌合突部78の左右各側面に設けた係止片79を取付手段として備えている。嵌合突部78は、パネルブロック7を埋込ブロック6に装着した状態でその先端面(背面)が壁面W0よりも後方となるように突出寸法が設定されている。係止片79は、嵌合突部78を嵌合凹所66に嵌合させた状態で係止孔67に対応する各位置に設けられており、その先端部からパネルケース70外側に突出した係止爪79aを係止孔67に対して挿抜自在とする片持ち梁型のスナップフィット形状からなる。
これにより、嵌合突部78が嵌合凹所66に嵌合されると、図7に示すように係止片79はその先端部に設けた係止爪79aを係止孔67に挿入することによって係止孔67と係合し、埋込ブロック6にパネルブロック7が機械的に結合される。ここで、埋込ブロック6にパネルブロック7を取り付けるときと、埋込ブロック6からパネルブロック7を取り外すときとの両方に対応させるため、係止爪79aは前後方向の両側面が傾斜することで断面略三角形状に形成されている。なお、この構成に限らず、埋込ケース60側に係止片を設け、パネルケース70側に係止孔を設けるようにしてもよい。
ここにおいて、パネルブロック7は前面の左右方向の寸法が埋込ブロック6と略同等の大きさに形成され、上下方向の寸法が埋込ブロック6よりやや小さく設定されている。そのため、パネルブロック7を埋込ブロック6に装着した状態で、埋込ブロック6の前面の全域がパネルブロック7に覆われることはなく、図8に示すように、取付片63のうちのプレート取付孔65が形成された部分がパネルブロック7の上下両側に露出する。ただし、この露出した部分は取付片63に化粧プレートを装着することで隠れることになる。ここに、パネルブロック7の厚み寸法(前後方向の寸法)は、化粧プレートを装着した状態で当該化粧プレートとパネルブロック7との壁面W0からの突出量が略同じになるように設定される。
また、パネルブロック7は、埋込ブロック6を接続するためのパネル側コネクタ80(図9参照)を背面側(嵌合突部78の先端面)に有し、埋込ブロック6はパネル側コネクタ80に接続される埋込側コネクタ68(図6参照)を前面側(嵌合凹所66の底面)に有し、パネル側コネクタ80と埋込側コネクタ68とを互いに接続することにより、埋込ブロック6とパネルブロック7とが互いに電気的に接続される。ここに、埋込側コネクタ68とパネル側コネクタ80との少なくとも一方は、器体5の前面に沿う面内において器体5に対して所定範囲で変位可能(上下左右に変位可能)な可動式のスタックコネクタからなる。これにより、埋込ケース60やパネルケース70の寸法ばらつきや回路基板上の部品(コネクタ)実装位置のばらつきなどに起因して、埋込側コネクタ68とパネル側コネクタ80との間に相対的な位置ずれが生じたとしても、埋込ブロック6とパネルブロック7とを確実に接続することができる。
また、パネルケース70の左右両側面における上下方向の略中央部にはそれぞれ凹部82が形成されている。これにより、パネルブロック7を埋込ブロック6から取り外すときにパネルケース70を左右両側から掴むようにすれば、指を前記凹部82に引っ掛けることでパネルケース70を掴みやすくなり、パネルブロック7の取り外し作業が簡単になる。
さらに、埋込ケース60の嵌合凹所66の側壁のうちパネルケース70の凹部82に対応する位置には、前方に開放された切欠69を設けてある。この切欠69を設けたことで、パネルブロック7が埋込ブロック6に取り付けられた状態でも切欠69を通して前記凹部82が露出することとなり、パネルケース70を左右両側から掴む際に、嵌合凹所66の側壁が邪魔にならずパネルケース70を掴みやすくなるという利点がある。
ところで、本実施形態では、パネルケース70内に収納される表示パネル2および回路基板73が、パネルケース70の嵌合突部78内に収まるように嵌合突部78の後壁前面と略同サイズに形成されており(図5参照)、回路基板73の前面の略全域が表示パネル2によって覆われる。ここに、上述した押釦スイッチSWを器体5の前面側から操作可能(パネルケース70前壁に設けた操作部75を押圧することで操作可能)とするために、回路基板73の下辺中央部から下方に舌片73aを延設し、この舌片73aの前面側に押釦スイッチSWを実装している。これにより舌片73aは図9に示すように嵌合突部78の下面から下方に突出する形となる。
ここでは、図10(a)に示すようにパネルケース70の後壁のうち、押釦スイッチSWに対応する部位に前後方向に貫通する透孔83を形成し、透孔83の周縁に舌片73aを包囲する形で周壁84を立設することにより、透孔83を通して舌片73aを後方に露出させている。つまり、舌片73aはパネルケース70と共にパネルブロック7の外郭の一部を形成する。このように舌片73aの背面をパネルケース70から露出させることにより、パネルケース70において押釦スイッチSWに対応する部分の厚み寸法(前後方向の寸法)を、パネルケース70の後壁の厚み分だけ小さくすることができる。
ここにおいて、パネルブロック7を埋込ブロック6に結合した状態で舌片73aおよび周壁84が埋込ケース60の取付片63と干渉することを避けるため、取付片63のうち舌片73aおよび周壁84に対応する部位には逃し凹部63a(図6参照)を形成してある。逃し凹部63aの底面は、図10(b)に示すようにパネルブロック7が装着された状態で舌片73aの背面と突き合わされ、舌片73aが後方に撓んだ際に舌片73aの背面と当接する当接面63bとして機能する。すなわち、押釦スイッチSWが押操作された際に舌片73aの背面が当接面63bに当接することにより、押釦スイッチSWに作用した外力を埋込ブロック6側で受けることができるので、押釦スイッチSWが操作されることによる舌片73aやパネルケース70の撓みを抑制できる。
押釦スイッチSWは、たとえば操作入力部3の操作を強制的に無効にするために設けられる。つまり、押釦スイッチSWが押操作されると以降は操作入力部3の操作が無効になって、パネルブロック7前面の拭き掃除などを行う際に操作入力部3が誤操作されることを回避可能となる。この状態で押釦スイッチSWが再度押操作されると、以降は操作入力部3の操作が有効となる。
監視制御装置1を以上のような構成とすることで、監視制御装置1の設置作業の効率化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的事例を挙げて説明したが、本発明は、上記構成に限られることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、本実施形態では、監視制御装置1に備わる通信部4とパーソナルコンピュータ50に備わる設定装置側通信部53とを接続する通信手段として通信ケーブルを用いたが、これに限られることはなく、例えば、通信手段が無線であってもよい。通信手段が無線である場合には、監視制御装置1を解体することなく設定作業を行うこともできるため設定作業が煩雑とならない。また、無線である場合には、有線を接続するために必要となる接続端子を監視制御装置1に備える必要がないため、監視制御装置1の構成を簡素化することができる。
また、本実施形態では、設定装置としてパーソナルコンピュータ50を用いたが、これに限られることはなく、中央演算処理部51と記憶部52と設定装置側通信部53とを有し設定装置側通信部53により監視制御装置1に備わった通信部4と通信することができるものであればよい。例えば、設定装置にパーソナルコンピュータ50のような設定装置側操作部54が備わっていない場合には、監視制御装置1に備わった操作入力部を操作することにより設定することができる。