JP5344798B2

JP5344798B2 - コネクタ防水用シール部品

Info

Publication number: JP5344798B2
Application number: JP2007065024A
Authority: JP
Inventors: 雄策大木; 裕司橋本
Original assignee: Yazaki Corp
Current assignee: Yazaki Corp
Priority date: 2007-03-14
Filing date: 2007-03-14
Publication date: 2013-11-20
Anticipated expiration: 2027-03-14
Also published as: KR101164311B1; WO2008111690A1; CN101641408A; KR20100014394A; EP2121837A4; JP2008222916A; US20100144940A1; EP2121837B1; EP2121837A1; CN101641408B; US8466217B2

Description

本発明は、コネクタ防水用シール部品、並びに前記コネクタ防水用シール部品に好適な柔軟性樹脂組成物に関する。

自動車の電気回路の接続に使用されるコネクタは、高度の防水シール性能が要求されることから、防水構造が採られている。図１は防水構造が採られたコネクタ（防水コネクタ）の一例を示す断面図であるが、メスハウジング３において、メス金属端子７の収容部にパッキン１が装着されており、更にメス金属端子７に接続する電線９の挿通部を栓部材２によりシールしている。一方、オスハウジング４においても、オス金属端子８に接続する電線９の挿通部を栓部材２によりシールしている。また、パッキン１は、例えば図２に示すようなリング状を呈している。

パッキン１や栓部材２等のシール部品には、これまで、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体に脂肪族炭化水素油を配合したオイルブリード性のＮＢＲ（特許公報１参照）や、シリコーンゴムにシリコーン油を配合したオイルブリード性シリコーンゴム材料（特許文献２参照）等が使用されることが多い。しかし、これらゴム材料は熱硬化性であるため、リサイクル性に乏しいことから、最近ではリサイクル性のある熱可塑性樹脂が注目され、種々の検討が行われてきている。

特開昭６１−２１１７７号公報特開昭６２−２５２４５７号公報

熱可塑性樹脂を使用することは、リサイクル性の他にも、成形加工時間が短くなり、取り扱いも容易であり、生産性及び作業性に非常に優れ、かつシール部品の単価が下がるという利点もあるが、得られるシール部品は硬度が高く柔軟性に欠けるため、メスコネクタハウジングとオスコネクタハウジングとの嵌合力が高くなる上に、防水性能を維持できないという問題がある。

そこで本発明は、リサイクル性があり、生産性や作業性に優れる熱可塑性樹脂を用いて、良好な防水性を維持することができ、メスコネクタハウジングとオスコネクタハウジングとの嵌合力も小さくできるコネクタ防水用シール部品を提供することを目的とする。

本発明者らは、種々の熱可塑性樹脂について、防水コネクタ用のシール部品として好適な柔軟性や機械的強度、高温でのシール性、ヘタリ性等を検討した結果、特定の硬さを有するポリエステルエラストマーもしくはポリオレフィン系エラストマーに、エチレンビスステアリン酸アミドもしくはエチレンビスオレイン酸アミドを配合してなる柔軟性樹脂組成物がこれらの性能に特に優れることを見出し、本発明に到達した。

即ち本発明は、コネクタを防水するためにハウジングに装着されるシール部品であって、前記シール部品が、ショアＡ硬さが３０以上で８０未満であるポリエステル系エラストマーもしくはポリオレフィン系エラストマー１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミドもしくはエチレンビスオレイン酸アミド０．１〜１０重量部とを配合してなることを特徴とする柔軟性樹脂組成物を成形してなる、コネクタ防水用シール部品を提供するものである。

本発明の柔軟性樹脂組成物からなる防水コネクタ用シール部品は、柔軟性に富み、機械的強度、高温での防水性、ヘタリ性等に優れるため良好な防水性を維持でき、表面が滑らかなため嵌合抵抗も小さい。また、射出成形で加工でき、極めて成形効率が高く、作業性も良好なことから、価格的にも非常に有利な物である。更に、熱可塑性であることからリサイクル性も兼備する。

以下、本発明について詳述する。

本発明で用いる、ショアＡ硬さ（タイプＡデュロメータ、ＪＩＳＫ−６２５３にて測定）が３０以上で８０未満であるポリエステル系エラストマーとしては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と脂肪族ポリエーテルとのポリエーテルエステルブロック共重合体や、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と脂肪族ポリエステルとのポリエステルエステルブロック共重合体等が挙げられる。

また、ショアＡ硬さが３０以上で８０未満であるポリオレフィン系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを主体とするブロック共重合ゴムとポリプロピレンとからなるエラストマーや、エチレン−プロピレン共重合ゴムとポリプロピレンとからなるエラストマー等を用いることができる。

尚、上記のポリエステル系エラストマーやポリオレフィン系エラストマーの硬さは、ショアＡ硬さで４０以上７０未満であることが好ましく、５０以上６０未満であることがより好ましい。ショアＡ硬さが８０以上では柔軟性が不足してメスコネクタハウジングとオスコネクタハウジングとの嵌合力が高くなり、３０未満ではシール部品の成形加工性が悪化するため好ましくない。

上記のポリエステル系エラストマーまたはポリオレフィン系エラストマーと、エチレンビスステアリン酸アミドまたはエチレンビスオレイン酸アミドとの混合比率は、ポリエステル系エラストマーまたはポリオレフィン系エラストマー１００重量部に対して、エチレンビスステアリン酸アミドまたはエチレンビスオレイン酸アミドを０．１〜１０重量部、好ましくは０．２〜５重量部、更に好ましくは１〜３重量部とする。エチレンビスステアリン酸アミドまたはエチレンビスオレイン酸アミドの混合比率が０．１重量部未満の場合はオスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングとの嵌合力が高くなり、１０重量部を越える場合はシール部品の強度が低下して防水効果に劣るようになるため好ましくない。

本発明のコネクタ防水用シール部品は、上記の各成分を配合して混合し、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、金型キャビティ内へ射出して得られる。混合に際し、限定されるものではないが、原料をミキサー、ブレンダー等の混合機によりドライブレンドし、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール機に供給し溶融混練する方法が好ましい。

以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。

〔実施例１〕
ショアＡ硬さが５５のポリエステル系エラストマー（三菱化学（株）製「プリマロイＡ１５００」）１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」）２重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して図２に示すようなリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔実施例２〕
ショアＡ硬さが５５のポリエステル系エラストマー（三菱化学（株）製「プリマロイＡ１５００」）１００重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＡＤ−２８１」）２重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔実施例３〕
ショアＡ硬さが３５のポリオレフィン系エラストマー（エーイーエス・ジャパン（株）製）１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」）１重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔実施例４〕
ショアＡ硬さが７１のポリエステル系エラストマー（東洋紡（株）製「プルプレンＰ３０Ｂ」）１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」）２重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔比較例１〕
ショアＡ硬さが５５のポリエステル系エラストマー（三菱化学（株）製「プリマロイＡ１５００」）を熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔比較例２〕
ショアＡ硬さが３５のポリオレフィン系エラストマー（エーイーエス・ジャパン（株）製）を熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔比較例３〕
ショアＡ硬さが８０のポリエステル系エラストマー柔軟樹脂（三菱化学（株）製「プリマロイＡ１８００」）１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」２重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を、熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔比較例４〕
ショアＡ硬さが８０のポリエステル系エラストマー柔軟樹脂（三菱化学（株）製「プリマロイＡ１８００」）１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」）１０重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンを得た。また、同一樹脂組成物を用いて、図１に示すような栓部材を成形した。

〔比較例５〕
ポリエステル系エラストマーとポリオレフィン系エラストマーとを用い、ショアＡ硬さが２７の柔軟性樹脂組成物を調製し、該柔軟性樹脂組成物１００重量部とエチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂（株）製「アルフローＨ−５０Ｌ」）２重量部とを、二軸押出機を用いて２００〜２２０℃で溶融混練して得た樹脂組成物を熱可塑性樹脂用射出成形機に投入し、２２０℃で可塑化した後、金型キャビティに射出して実施例１と同形のリング状パッキンの成形を試みたが、成形できなかった。

上記で得られた各パッキン及び栓部材を用いて図１に示すメスハウジング及びオスハウジングを作製し、更にメスハウジングとオスハウジングとを嵌合する際の嵌合力を圧縮応力測定装置（オートグラフ、島津製作所製）により測定した。結果を表１に示すが、嵌合力が４７Ｎ以下のものを合格（○）、４７Ｎより大きいものを不合格（×）とした。

また、メスハウジングとオスハウジングとを嵌合した状態で、１２０℃で１０００時間の熱劣化を施した後、図２に示すように、オスコネクタハウジングの栓部材装着部の一部から空気管１１を装着し、水槽１０の水中１０ｃｍの深さに沈め、空気管１１を通じて内部に９．５ｋＰａの空気を３０秒間加えて空気漏れの有無を調べ、空気漏れがなかった場合には更に空気圧を９．８ｋＰａだけ高めて３０秒間空気漏れの有無を調べることを行い、空気圧が１００ｋＰａに達するまで空気漏れが発生しない場合を合格（○）、空気圧が１００ｋＰａに到達する前に空気漏れが発生した場合を不合格（×）とした（防水性２））。これと平行して、熱劣化を施すことなく、同様の測定を行なった（防水性１）。結果を表１に併せて示した。

表１から、本発明に従う樹脂組成物からなるパッキン及び栓部材を用いることで、優れた防水性が得られ、嵌合力も低下できることがわかる。また、射出成形も可能であり、生産性にも優れる。

防水コネクタの一例を示す断面図である。図１に示す防水コネクタに装着されるパッキンの一例を示す上面図及び半断面図である。防水性を評価する試験方法の説明図である。

符号の説明

１パッキン
２栓部材
３メスハウジング
４オスハウジング
７メス金属端子
８オス金属端子
９電線
１０水槽
１１空気管

Claims

コネクタを防水するためにハウジングに装着されるシール部品であって、
前記シール部品が、ショアＡ硬さが３０以上で８０未満であるポリエステル系エラストマーもしくはポリオレフィン系エラストマー１００重量部と、エチレンビスステアリン酸アミドもしくはエチレンビスオレイン酸アミド０．１〜１０重量部とを配合してなることを特徴とする柔軟性樹脂組成物を成形してなる、コネクタ防水用シール部品。