JP5239108B2 - ゴム組成物、および、それを用いたコンベヤベルト - Google Patents

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本発明は、ゴム組成物およびそれを用いたコンベヤベルトに関し、さらに詳しくは、表面の低付着性を向上させることができるゴム組成物およびそれを用いたコンベヤベルトに関する。
製鉄所、セメント工場等では、原材料の運搬にゴムからなるコンベヤベルトが広く用いられているが、その運搬物がコンベヤベルトの上面カバーゴム層表面に付着してしまうという問題がある。例えば、セメント工場では、粉末状の石灰石を運搬するが、コンベヤベルト運転中に付着物をかき落とすブラシ等の装置を導入しても除去しきらずに、粉末状の石灰石がコンベヤベルト表面の付着物となってしまうのである。この付着物を除去するためには、コンベヤベルトを一旦停止して除去作業を行わなければならず、手間がかかるうえに、生産性が低下してしまう。
そこで、上面カバーゴムに脂肪酸アミド等の滑剤を配合し、ゴム表面の滑り性を向上させることで、付着物が付着しにくいようにする技術が知られている。しかし、それでも運搬物によっては付着してしまう場合があり、例えば、上述した粉末状の石灰石では付着の防止が困難であり、さらなる低付着性の改良が望まれていた。
発明が解決しようとする課題
従って、本発明の課題は、表面の低付着性を向上させることができるゴム組成物およびそれを用いたコンベヤベルトを提供することにある。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、天然ゴムおよびスチレンブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100重量部に対し、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンからなる低摩擦抵抗性粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミドを5〜10重量部、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸亜鉛塩を5〜10重量部配合したゴム組成物が提供される。
このように、脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸金属塩と、低摩擦抵抗性粒子とを併用してゴム組成物に配合することで、脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸金属塩がゴム表面にブルーム(移行)して低付着性を発現するとともに、ゴム表面に露出した低摩擦抵抗性粒子も低付着性を発現する。さらには、ゴム表面に露出した低摩擦抵抗性粒子の表面が、ブルームした脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸金属塩によってコーティングされるために、低摩擦抵抗性粒子の摩擦係数が小さくなって滑り性が向上し、低付着性がさらに改善される。従って、脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸金属塩だけを配合した場合や、低摩擦抵抗性粒子のみを配合した場合に比べ、これら三者を併用した配合によってゴム組成物表面の低付着性をさらに向上させることができる。また、運搬物が付着しにくいため、付着物を取り除く手間をかける必要がなくなり、付着物をかき取る装置を設備に取り付ける必要もなくなるので、生産性をより向上させることもできる。
また、本発明によれば、前記低摩擦抵抗性粒子の粒子径が1〜300μmである前記ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記低摩擦抵抗性粒子が、分子量が100万〜200万の超高分子量ポリエチレンである前記ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記脂肪酸アミドの脂肪酸の炭素数が10〜22である前記ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記ゴム組成物からなるコンベヤベルト用ゴム組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、前記ゴム組成物を上面カバーゴム層の表面に用いたコンベヤベルトが提供される。
【発明の実施の形態】
本発明の低摩擦抵抗性粒子は、表面の摩擦係数が小さくゴム組成物に配合されるとゴム表面の摩擦係数を低下させるものである。その材料は、超高分子量ポリエチレンからなる。超高分子量ポリエチレンの分子量100万以上、好ましくは100万〜200万である。
低摩擦抵抗性粒子の配合量は、ゴム100重量部に対し、5〜30重量部、好ましくは、10〜20重量部である。この配合量が5重量部未満ではゴムの低付着性が低下してしまい、30重量部を超えると未加硫状態での加工中に発熱しやすくなりゴムの焼け(早期加硫)が発生したり、未加硫ゴムの粘度が大きくなって加工性が低下するうえに、加硫後のゴム組成物の硬度が大きくなりすぎてしまうからである。
低摩擦抵抗性粒子の粒子径は、特に限定されないが、1〜300μm、さらには、10〜30μmとするのが好ましい。これを1μm以上とすることで、低付着性をさらに向上でき、300μm以下とすることで、ゴム組成物に取り込まれやすくなりゴムへの混合が容易になり加工性が向上するからである。
本発明の脂肪酸アミドとしては、その脂肪酸の炭素数(アミド基が2つ以上の場合はアミド基1つ当たりの炭素数)が10〜22であるものが好適に使用することができ、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルシル酸アミド、ベヘン酸アミド、ラウリン酸アミド、メチレン−ビスステアリン酸アミド、エチレン−ビスステアリン酸アミド、エチレン−ビスオレイン酸アミド、等が挙げられる。
本発明の不飽和脂肪酸金属塩としては、その脂肪酸の炭素数が18〜22であるものが使用することができ、例えば、リノール酸、リノレン酸、パルチミン酸、オレイン酸等の亜鉛の金属塩が挙げられる。
本発明のゴムとしては、天然ゴム(NR)およびスチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)を含むジエン系ゴムである。他にブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム、スチレンイソプレン共重合体ゴム、スチレンイソプレンブタジエン共重合体ゴム、イソプレンブタジエン共重合体ゴム等を挙げることができ、これらの二種以上をブレンドして使用することもできる。
本発明のゴム組成物は、コンベヤベルト用ゴム組成物(上面カバーゴム層や下面カバーゴム層等)として好適に用いることができ、特に、本発明のゴム組成物をコンベヤベルトの上面カバーゴム層の表面に用いるのが好ましい。本発明のゴム組成物は、コンベヤベルトに限らず他の各種ゴム製品に広く使用可能であり、低付着性や滑り性が必要なゴム組成物に用いることができるが、例えば、ホース、ワイパーブレード等に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜12
下記表1に示される配合(重量部)で、各種コンベヤベルト上面カバーゴム組成物を調整し、148℃、30分の条件で加硫した加硫ゴムの以下の物性と、未加硫ゴムの以下の物性とを測定し、その結果を表1に記載した。
動摩擦力および静止摩擦力(gf)
鉄板上に、63.5mm×63.5mm×2mmの加硫ゴム試験片を重ね合せ、上から1.96Nの荷重をかけながら、加硫ゴム試験片に横方向から500mm/minの移動速度になるようにせん断力をかけてずらした時のせん断力を測定し、荷重とせん断力から動摩擦係数および静止摩擦係数を算出した。この値が小さいほど滑り性が向上し低付着性に優れる。
付着物量
円筒型容器中に、粉末状石灰石と加硫ゴム試験片とを封入し、容器を15分間回転させた後に加硫ゴム試験片を取り出し、加硫ゴム試験片の重量変化を測定して付着した粉末状石灰石の付着量を算出した。これを比較例1を100としたときの指数値で表示した。この値が小さいほど、低付着性に優れる。
ムーニー粘度
JlS K6300に基づき100℃にて測定した。この値が小さいほど加工性に優れる。
スコーチ時間
JlS K6300に基づき125℃にて粘度が5ポイント上昇する時間を測定した。この値が大きいほど焼けが発生しにくく加工性に優れる。
Figure 0005239108
Figure 0005239108
上記表1に使用した各成分は、以下のものを使用した。
SBR:Nipol 1502、日本ゼオン社
カーボンブラック:SAF級カーボンブラック
超高分子量ポリエチレン粒子1:分子量=200万、粒子径=30μm
超高分子量ポリエチレン粒子2:分子量=200万、粒子径=150μm
超高分子量ポリエチレン粒子3:分子量=200万、粒子径=300μm
脂肪酸アミド:オレイン酸アミド
老化防止剤:N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−P−フェニレンジアミン
上記表1に示すように、脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸金属塩として不飽和脂肪酸亜鉛塩、および、低摩擦抵抗性粒子として超高分子量ポリエチレン粒子1を5重量部配合した実施例1は、超高分子量ポリエチレン粒子1を配合しなかった比較例1〜7や脂肪酸アミドと不飽和脂肪酸亜鉛塩を配合せずに超高分子量ポリエチレン粒子1を5重量部配合した比較例8に比べて動摩擦力と静止摩擦力が低下し、付着物量も小さくなり低付着性に優れるという結果が得られた。また、実施例2〜8についても同様に良好な低付着性を示した。低摩擦抵抗性粒子として超高分子量ポリエチレン粒子1を35重量部と多量に配合した比較例12は、ムーニー粘度とスコーチ時間が悪化し未加硫ゴムの加工性に劣ってしまうという結果が得られた。
発明の効果
【発明の効果】
本発明に従って、天然ゴムおよびスチレンブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100重量部に対し、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンからなる低摩擦抵抗性粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミドを5〜10重量部、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸亜鉛塩を5〜10重量部配合することによって、表面の低付着性を向上させることができるゴム組成物およびそれを用いたコンベヤベルトを得ることができる。

Claims (6)

  1. 天然ゴムおよびスチレンブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100重量部に対し、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンからなる低摩擦抵抗性粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミドを5〜10重量部、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸亜鉛塩を5〜10重量部配合したゴム組成物。
  2. 前記低摩擦抵抗性粒子の粒子径が1〜300μmである請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記低摩擦抵抗性粒子が、分子量が100万〜200万の超高分子量ポリエチレンである請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記脂肪酸アミドの脂肪酸の炭素数が10〜22である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物からなるコンベヤベルト用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を上面カバーゴム層の表面に用いたコンベヤベルト。
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