JP2000169633A - 非密着化ゴム組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加硫ゴム表面の滑り性に優れ、加硫後のゴム
の表面同士の密着を防ぐことのできる非密着化ゴム組成
物を提供する。 【解決手段】 加硫後のゴムの表面同士が密着すること
のない非密着化ゴム組成物において、結晶性ポリエチレ
ンの粉末が配合されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、コンベア
ベルト、パッキン用ゴム、ライニング用ゴム、敷物用ゴ
ム等の板状加硫ゴム製品等の表面の滑り性を改良し、加
硫後のゴムの表面同士が密着することのない非密着化ゴ
ム組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ゴムを加硫した直後のゴム表面
はその滑り性が悪く、例えばコンベアベルト等の製品を
出荷のためにドラム状に巻き取り搬入する場合に、これ
らの製品の引き取り先では該製品を引き出す際に加硫ゴ
ムの表面同士が密着してしまい、これらの製品を使用す
るまでの時間や作業性が著しく大変であることが多々あ
る。また、パッキン用ゴム板などの場合にはドラム状に
巻き取られたゴムシートを引き出す際にゴムシート同士
の密着、あるいはパッキン材として打ち抜き加工した後
梱包する場合にパッキン同士の密着のため製品の梱包に
多大の工数がかかる等の作業が発生する。更には、上記
加硫ゴム表面の密着によりあるいはモールドの汚れ等に
よって外観上艶むらが発生したりする問題も解決する必
要がある。

【０００３】この現象を防止するために、加硫ゴム製品
を得た後に、これらのゴム製品の表面に各種の離型剤を
塗布したり、離型用シートを挟み込んで出荷したりして
いる場合が多い。一例を挙げれば、液状シリコーンを塗
ったり、ポリエチレン等の、粉末を塗布したり、あるい
はまた、テフロンシートやポリエチレンシート等の、ゴ
ム表面に対して剥がれ易いシートを挟み込むこと等によ
ってこれら製品の表面同士の密着を防いでいる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液状シ
リコーンを塗る方法の場合、表面がベタついてしまい感
触も悪く、密着対策としても完璧とはいい難く、またポ
リエチレン粉末等や鉱物系粉末等についても、通常加硫
後製品表面に塗布するが、搬送中に徐々に落ちてきた
り、手に付着したりして密着性にむらが出来たり外観上
も好ましい状態にならない。更にテフロンやポリエチレ
ンのシートを挟み込む方法では、使用先での使用・加工
の際にこのシートを取り除くための工数が大であり、ま
た必ずしも滑り性がなく、更にはこれらのシートの廃棄
や処理の問題も発生する。

【０００５】そこで本発明の目的は、加硫ゴム表面の滑
り性に優れ、加硫後のゴムの表面同士の密着を防ぐこと
のできる非密着化ゴム組成物を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、ゴム組成物に結晶性ポリ
エチレンの粉末を配合することにより加硫後のゴム表面
の滑り性が良好となり、加硫ゴムの表面同士の密着を防
ぐことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。

【０００７】即ち、本発明は、加硫後のゴムの表面同士
が密着することのない非密着化ゴム組成物において、結
晶性ポリエチレンの粉末が配合されてなることを特徴と
するものである。

【０００８】本発明の非密着化ゴム組成物においては、
前記結晶性ポリエチレンの分子量が５００〜２０００の
範囲内であり、かつその分子量分布が狭いことが好まし
く、また結晶性ポリエチレンの粉末の添加量がゴム成分
１００重量部に対して２〜５０重量部であることが好ま
しい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の非密着化ゴム組成
物について詳述する。本発明において使用し得る結晶性
ポリエチレンは、分岐構造がない高い直線性を有し、各
種ポリマーに対し、特に室温において溶解度の低い脂肪
族炭化水素である。したがって、加硫後にゴム表面に析
出してゴム表面の滑り性を向上させ、加硫ゴムの表面同
士の密着を防止することができる。この結晶性ポリエチ
レンの分子量は、前記析出を良好に行わしめる上で５０
０〜２０００の範囲内で、かつその分子量分布は狭いこ
とが好ましい。かかる結晶性ポリエチレンは、市場で入
手することができ、例えば、商品名ポリワックス５０
０、ポリワックス６５５およびポリワックス２０００
（いずれも東洋ペトロライト（株）製）のもの、あるい
は商品名ＷＰ７５（ニッカ（株）製）でポリワックス６
５５の粉末品を好適に用いることができる。

【００１０】上記結晶性ポリエチレンの添加量はゴム成
分１００重量部に対して２〜５０重量部の範囲内である
ことが好ましく、２重量部未満では加硫ゴム表面同士の
密着防止効果が十分とはいえず、一方５０重量部を超え
るとゴム組成物本来の特性に影響を及ぼすおそれが出て
くるため、好ましくない。

【００１１】本発明のゴム組成物に用いられるゴムポリ
マーの種類としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴ
ム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等のジエ
ンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロ
ピレンゴム、ＥＶＡ、ウレタンゴム、クロロスルフォン
化ゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリ
ルゴム、カルボキシル化ゴム、ビニルピリジンゴム、塩
素化ポリエチレン等、幅広く用いることができる。

【００１２】本発明のゴム組成物には上記成分の他、従
来よりゴム組成物の添加剤として使用されている、軟化
剤、カーボンブラックやシリカ等の補強材、充填材、加
工助剤、老化防止剤、加硫促進剤等を適宜配合すること
ができるのは勿論のことである。

【００１３】

【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明する。下記
の表１および表２に示す配合内容（重量部）に従い、各
種ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物に対し、
下記の測定試験を実施した。 １）密着力 図１に示すシンポ工業（株）製プッシュプルゲージ１を
用い、設置した試料３、４の１ｃｍ^２あたりの処理面同
士の密着力を測定した。具体的には２００ｇの荷重２を
かけ、５秒間圧着した後、４０ｍ／秒速度で戻し、その
ときの密着力を測定した。

【００１４】２）静摩擦係数 ＡＳＴＭ平面圧子、ＡＳＴＭ Ｄ１８９４に準じ、試験
機はＨＥＩＤＯＮ−１４型を用いて静摩擦係数を測定し
た。得られた結果を下記の表１および表２に示す。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【表２】 ＊１ ポリワックス５００（東洋ペトロライト（株）
製）：分子量５００で融点が８６℃、米粒状 ＊２ ポリワックス６５５（東洋ペトロライト（株）
製）：分子量７００で融点が１０２℃、米粒状 ＊３ ポリワックス２０００（東洋ペトロライト（株）
製）：分子量２０００で融点が１２５℃、米粒状

【００１７】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明の非密着
化ゴム組成物においては、加硫ゴム表面の滑り性に優
れ、加硫後のゴム表面同士の密着を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】密着力の試験方法を示す説明図である。

【符号の説明】

１ プッシュプルゲージ ２ 荷重 ３ 試料 ４ 試料

フロントページの続き (72)発明者 高野 伸和 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町１番地 株式 会社ブリヂストン横浜工場内 Ｆターム(参考） 4J002 AC011 AC031 AC061 AC081 AC091 AC111 BB032 BB061 BB151 BB181 BB241 BD121 BG041 BJ001 CH041 CK001

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加硫後のゴムの表面同士が密着すること
   のない非密着化ゴム組成物において、 結晶性ポリエチレンの粉末が配合されてなることを特徴
   とする非密着化ゴム組成物。
2. 【請求項２】 前記結晶性ポリエチレンの分子量が５０
   ０〜２０００の範囲内であり、かつその分子量分布が狭
   い請求項１記載の非密着化ゴム組成物。
3. 【請求項３】 前記結晶性ポリエチレンの粉末の添加量
   がゴム成分１００重量部に対して２〜５０重量部である
   請求項１または２記載の非密着化ゴム組成物。