JP2003041062A - ゴム組成物、および、それを用いたコンベヤベルト - Google Patents

ゴム組成物、および、それを用いたコンベヤベルト

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の低付着性を向上させることができるゴ
ム組成物およびそれを用いたコンベヤベルトを提供す
る。 【解決手段】 ゴム100重量部に対し、低摩擦抵抗性
粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミドを5〜10重量
部、および、不飽和脂肪酸金属塩を5〜10重量部配合
したゴム組成物、および、それを用いたコンベヤベル
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物および
それを用いたコンベヤベルトに関し、さらに詳しくは、
表面の低付着性を向上させることができるゴム組成物お
よびそれを用いたコンベヤベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄所、セメント工場等では、原材料の
運搬にゴムからなるコンベヤベルトが広く用いられてい
るが、その運搬物がコンベヤベルトの上面カバーゴム層
表面に付着してしまうという問題がある。例えば、セメ
ント工場では、粉末状の石灰石を運搬するが、コンベヤ
ベルト運転中に付着物をかき落とすブラシ等の装置を導
入しても除去しきらずに、粉末状の石灰石がコンベヤベ
ルト表面の付着物となってしまうのである。この付着物
を除去するためには、コンベヤベルトを一旦停止して除
去作業を行わなければならず、手間がかかるうえに、生
産性が低下してしまう。
【0003】そこで、上面カバーゴムに脂肪酸アミド等
の滑剤を配合し、ゴム表面の滑り性を向上させること
で、付着物が付着しにくいようにする技術が知られてい
る。しかし、それでも運搬物によっては付着してしまう
場合があり、例えば、上述した粉末状の石灰石では付着
の防止が困難であり、さらなる低付着性の改良が望まれ
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、表面の低付着性を向上させることができるゴム組成
物およびそれを用いたコンベヤベルトを提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ゴム1
00重量部に対し、低摩擦抵抗性粒子を5〜30重量
部、脂肪酸アミドを5〜10重量部、および、不飽和脂
肪酸金属塩を5〜10重量部配合したゴム組成物が提供
される。
【0006】このように、脂肪酸アミドおよび不飽和脂
肪酸金属塩と、低摩擦抵抗性粒子とを併用してゴム組成
物に配合することで、脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸
金属塩がゴム表面にブルーム(移行)して低付着性を発
現するとともに、ゴム表面に露出した低摩擦抵抗性粒子
も低付着性を発現する。さらには、ゴム表面に露出した
低摩擦抵抗性粒子の表面が、ブルームした脂肪酸アミド
および不飽和脂肪酸金属塩によってコーティングされる
ために、低摩擦抵抗性粒子の摩擦係数が小さくなって滑
り性が向上し、低付着性がさらに改善される。従って、
脂肪酸アミドおよび不飽和脂肪酸金属塩だけを配合した
場合や、低摩擦抵抗性粒子のみを配合した場合に比べ、
これら三者を併用した配合によってゴム組成物表面の低
付着性をさらに向上させることができる。また、運搬物
が付着しにくいため、付着物を取り除く手間をかける必
要がなくなり、付着物をかき取る装置を設備に取り付け
る必要もなくなるので、生産性をより向上させることも
できる。
【0007】また、本発明によれば、前記低摩擦抵抗性
粒子の粒子径が1〜300μmである前記ゴム組成物が
提供される。
【0008】また、本発明によれば、前記低摩擦抵抗性
粒子が、超高分子量ポリエチレンである前記ゴム組成物
が提供される。
【0009】また、本発明によれば、前記脂肪酸アミド
の脂肪酸の炭素数が10〜22である前記ゴム組成物が
提供される。
【0010】また、本発明によれば、前記不飽和脂肪酸
金属塩の脂肪酸の炭素数が18〜22である前記ゴム組
成物が提供される。
【0011】また、本発明によれば、前記ゴム組成物か
らなるコンベヤベルト用ゴム組成物が提供される。
【0012】さらに、本発明によれば、前記ゴム組成物
を上面カバーゴム層の表面に用いたコンベヤベルトが提
供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の低摩擦抵抗性粒子は、表
面の摩擦係数が小さくゴム組成物に配合されるとゴム表
面の摩擦係数を低下させるものであればよく、その材料
は特に限定されないが、超高分子量ポリエチレン、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリオレフィンパウダー等を
挙げることができる。特に、超高分子量ポリエチレンが
好適に使用でき、例えば、分子量が2万以上、さらに
は、100万〜200万のものであるのが好ましい。
【0014】低摩擦抵抗性粒子の配合量は、ゴム100
重量部に対し、5〜30重量部、好ましくは、10〜2
0重量部である。この配合量が5重量部未満ではゴムの
低付着性が低下してしまい、30重量部を超えると未加
硫状態での加工中に発熱しやすくなりゴムの焼け(早期
加硫)が発生したり、未加硫ゴムの粘度が大きくなって
加工性が低下するうえに、加硫後のゴム組成物の硬度が
大きくなりすぎてしまうからである。
【0015】低摩擦抵抗性粒子の粒子径は、特に限定さ
れないが、1〜300μm、さらには、10〜30μm
とするのが好ましい。これを1μm以上とすることで、
低付着性をさらに向上でき、300μm以下とすること
で、ゴム組成物に取り込まれやすくなりゴムへの混合が
容易になり加工性が向上するからである。
【0016】本発明の脂肪酸アミドとしては、その脂肪
酸の炭素数(アミド基が2つ以上の場合はアミド基1つ
当たりの炭素数)が10〜22であるものが好適に使用
することができ、例えば、オレイン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、パルミチン酸
アミド、エルシル酸アミド、ベヘン酸アミド、ラウリン
酸アミド、メチレン−ビスステアリン酸アミド、エチレ
ン−ビスステアリン酸アミド、エチレン−ビスオレイン
酸アミド、等が挙げられる。
【0017】本発明の不飽和脂肪酸金属塩としては、そ
の脂肪酸の炭素数が18〜22であるものが好適に使用
することができ、例えば、リノール酸、リノレン酸、パ
ルチミン酸、オレイン酸等の亜鉛、マグネシウム、カル
シウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩が挙げられ
る。
【0018】本発明のゴムとしては、特に限定されず従
来から各種ゴム組成物に一般的に配合されている任意の
ゴムが使用できるが、例えば、天然ゴム(NR)、ブタ
ジエンゴム(BR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム
(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム
(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
R)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン
共重合体ゴム、エチレンプロピレンジエン共重合体ゴ
ム、スチレンイソプレン共重合体ゴム、スチレンイソプ
レンブタジエン共重合体ゴム、イソプレンブタジエン共
重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリル
ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム等を挙
げることができ、これらの二種以上をブレンドして使用
することもできる。
【0019】本発明のゴム組成物は、コンベヤベルト用
ゴム組成物(上面カバーゴム層や下面カバーゴム層等)
として好適に用いることができ、特に、本発明のゴム組
成物をコンベヤベルトの上面カバーゴム層の表面に用い
るのが好ましい。本発明のゴム組成物は、コンベヤベル
トに限らず他の各種ゴム製品に広く使用可能であり、低
付着性や滑り性が必要なゴム組成物に用いることができ
るが、例えば、ホース、ワイパーブレード等に用いるこ
とができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
るが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するもので
はない。実施例1〜8及び比較例1〜12 下記表1に示される配合(重量部)で、各種コンベヤベ
ルト上面カバーゴム組成物を調整し、148℃、30分
の条件で加硫した加硫ゴムの以下の物性と、未加硫ゴム
の以下の物性とを測定し、その結果を表1に記載した。
【0021】動摩擦力および静止摩擦力(gf) 鉄板上に、63.5mm×63.5mm×2mmの加硫
ゴム試験片を重ね合せ、上から1.96Nの荷重をかけ
ながら、加硫ゴム試験片に横方向から500mm/mi
nの移動速度になるようにせん断力をかけてずらした時
のせん断力を測定し、荷重とせん断力から動摩擦係数お
よび静止摩擦係数を算出した。この値が小さいほど滑り
性が向上し低付着性に優れる。
【0022】付着物量 円筒型容器中に、粉末状石灰石と加硫ゴム試験片とを封
入し、容器を15分間回転させた後に加硫ゴム試験片を
取り出し、加硫ゴム試験片の重量変化を測定して付着し
た粉末状石灰石の付着量を算出した。これを比較例1を
100としたときの指数値で表示した。この値が小さい
ほど、低付着性に優れる。ムーニー粘度 JlS K6300に基づき100℃にて測定した。こ
の値が小さいほど加工性に優れる。スコーチ時間 JlS K6300に基づき125℃にて粘度が5ポイ
ント上昇する時間を測定した。この値が大きいほど焼け
が発生しにくく加工性に優れる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】上記表1に使用した各成分は、以下のもの
を使用した。 SBR:Nipol 1502、日本ゼオン社社 カーボンブラック:SAF級カーボンブラック 超高分子量ポリエチレン粒子1:分子量=200万、粒
子径=30μm 超高分子量ポリエチレン粒子2:分子量=200万、粒
子径=150μm 超高分子量ポリエチレン粒子3:分子量=200万、粒
子径=300μm 脂肪酸アミド:オレイン酸アミド 老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチル
ブチル)−P−フェニレンジアミン
【0026】上記表1に示すように、脂肪酸アミド、不
飽和脂肪酸金属塩として不飽和脂肪酸亜鉛塩、および、
低摩擦抵抗性粒子として超高分子量ポリエチレン粒子1
を5重量部配合した実施例1は、超高分子量ポリエチレ
ン粒子1を配合しなかった比較例1〜7や脂肪酸アミド
と不飽和脂肪酸亜鉛塩を配合せずに超高分子量ポリエチ
レン粒子1を5重量部配合した比較例8に比べて動摩擦
力と静止摩擦力が低下し、付着物量も小さくなり低付着
性に優れるという結果が得られた。また、実施例2〜8
についても同様に良好な低付着性を示した。低摩擦抵抗
性粒子として超高分子量ポリエチレン粒子1を35重量
部と多量に配合した比較例12は、ムー二ー粘度とスコ
ーチ時間が悪化し未加硫ゴムの加工性に劣ってしまうと
いう結果が得られた。
【0027】
【発明の効果】本発明に従って、ゴム100重量部に対
し、低摩擦抵抗性粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミド
を5〜10重量部、および、不飽和脂肪酸金属塩を5〜
10重量部配合することによって、表面の低付着性を向
上させることができるゴム組成物およびそれを用いたコ
ンベヤベルトを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:06) Fターム(参考) 3F024 AA10 BA02 BA05 CA01 CB03 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB022 BB151 BB181 BB271 BD152 BG041 CP021 CP031 EG027 EG037 EG047 EP016 EP026 FD176 FD177 FD202 GM01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム100重量部に対し、低摩擦抵抗性
    粒子を5〜30重量部、脂肪酸アミドを5〜10重量
    部、および、不飽和脂肪酸金属塩を5〜10重量部配合
    したゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記低摩擦抵抗性粒子の粒子径が1〜3
    00μmである請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 【請求項3】 前記低摩擦抵抗性粒子が、超高分子量ポ
    リエチレンである請求項1または2に記載のゴム組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記脂肪酸アミドの脂肪酸の炭素数が1
    0〜22である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴ
    ム組成物。
  5. 【請求項5】 前記不飽和脂肪酸金属塩の脂肪酸の炭素
    数が18〜22である請求項1〜4のいずれか1項に記
    載のゴム組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴ
    ム組成物からなるコンベヤベルト用ゴム組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴ
    ム組成物を上面カバーゴム層の表面に用いたコンベヤベ
    ルト。
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