JP4963535B2 - ベルトコンベアのベルト用ゴム組成物、ベルト及びベルトコンベア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルトコンベアのベルト用ゴム組成物、その組成物を用いたベルト及びそのベルトを装着したベルトコンベアに関し、さらに詳しくは、上面カバーゴム、補強材及び下面カバーゴムからなるベルトコンベアのベルトの上面カバーゴム用として、特に耐摩耗性を向上させたベルトコンベアのベルト用ゴム組成物、その組成物を用いたベルト及びそのベルトを装着したベルトコンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベルトコンベアは、物品を輸送する手段として極めて有用であり、多くの場所において使用されている。
このベルトコンベアのベルトは、通常、上面カバーゴム、補強材及び下面カバーゴムからなっているが、特に上面カバーゴムは搭載された被輸送物との摩擦によって摩耗し易く、ベルト全体の寿命を支配することとなるため、当該ゴムの耐摩耗寿命を向上させる必要がある。
従来は、各種のポリマーやカーボンをゴムに配合することにより、耐摩耗寿命の向上を図っていたが、十分なる向上は得られていなかった。
本発明は、このコンベアベルトの上面カバーゴムとして使用するのに適した、耐摩耗寿命を向上させたベルトコンベアのベルト用ゴム組成物、その組成物を用いたベルト及びそのベルトを装着したベルトコンベアを提供することを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として、ネオジウム系触媒により合成したポリブタジエンゴムを含むゴム組成物により、上記課題が解決され、耐摩耗寿命を向上させたベルトコンベアのベルト用ゴム組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物におけるゴム成分としては、ネオジウム系触媒により合成したポリブタジエンゴム(以下「Nd−BR」という。)を含むことを必須とする。その含有量としては、本発明の効果を奏する範囲であれば、特に制限はないが、通常はゴム成分全体を100重量部としたときに、1〜95重量部、好ましくは5〜85重量部の範囲である。
【0005】
前記ネオジウム系触媒としては、種々のものがあるが、ネオジウムを含む化合物又はこれらとルイス塩基との反応物等を使用し得る。具体的には、ネオジウムのカルボン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、アルコキシド等が好適である。
また、助触媒としてアルミノキサンを用いることが好ましく、特にメチルアルミノキサンが好適である。
【0006】
また、ブタジエンゴムの二重結合部分の構造にはシス体とトランス体があるが、本発明におけるNd−BRはシス体が80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。シス体が80%未満であると耐摩耗性に劣る場合があるからである。
【0007】
さらに本発明におけるNd−BRは、末端変性がなされていることが好ましい。Nd−BRの末端変性方法としては、変性剤を使用してNd−BRの活性末端を変性する方法を用いることができる。変性剤としては、例えば、四塩化スズ及び四臭化スズ等のハロゲン化スズ、トリブチルスズクロライド等のハロゲン化有機スズ化合物、四塩化ケイ素及びクロロトリエチルシラン等のケイ素化合物、フェニルイソシアネート等のイソシアネート基含有化合物、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物並びにイソシアヌル酸誘導体等が挙げられる。この中で特にスズ系化合物を用いて末端変性をすることが好ましい。また、本発明で用いる末端変性Nd−BRは、分子量に関しては特に制限されない。
【0008】
本発明におけるゴム成分としては、Nd−BRの他に種々のゴム成分を含むことができ、天然ゴム(NR)や種々の合成ゴムが用いられる。合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムが好ましく、さらに臭素化ブチルゴム、パラメチルスチレン基を有するブチルゴム(具体的にはイソブチレンとp−ハロゲン化メチルスチレンとの共重合体等)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)なども好適なものとして挙げることができる。
本発明におけるゴム成分は、ベルトコンベアのベルトという用途に応じて、天然ゴム及び上記合成ゴムの中から、適宜一種又は二種以上選択して用いられる。
【0009】
また、本発明においては、摩擦を軽減するための摩擦軽減剤を添加することができる。ゴム組成物における摩擦軽減剤とは、ゴムに配合することにより、加硫後のゴムの表面に析出させ、被輸送物との摩擦を小さくする物質を意味するが、本発明のゴム組成物においては、酸アミド及び/又はシリコーンオイルからなる摩擦軽減剤が特に好適である。
酸アミドとしては高級脂肪酸のモノアミド型、例えばオキシステアロアミド、エルシルアミド、メチロールアミド、ラウリルアミド、パルミチルアミド、ペヘンアミド、ステアリン酸アミド(ステアロアミド)、オレイン酸アミド(オレイルアミド)、高級脂肪酸のビスアミド型、例えばメチレンピスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンピスオレイルアミド、エチレンピスラウリルアミド、複合型アミド、例えばステアリルオレイルアミド、N−ステアリルエルクアミド、N−オレイルパルミトアミド及び特殊樹脂酸アミドなどの飽和又は不飽和脂肪酸のアミドが適当である。
シリコーンオイルとしてはポリアルキルシロキサン特にボリジメチルシロキサンとその変性品及びポリメチルフェニルシロキサンとその変性品が好適である。
【0010】
摩擦軽減剤の配合量は、その種類や求める耐摩耗性能により異なり一概には決められないが、通常ゴム成分100重量部当たり0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範囲で使用する。
これらの範囲未満では摩耗低減の効果が得られない場合があり、またこの範囲を超えると、工場加工性(成形性)に問題が発生する可能性がある。
【0011】
また、本発明のゴム組成物には、通常硫黄が含有される。この硫黄の含有量は、ゴム成分100重量部当たり、0.3〜5重量部の範囲が好ましい。この含有量が0.3重量部未満では十分な加硫効果が得られず、目標性能を達成できなくなる場合がある。また5重量部を超えると、ゴムがもろくなり、ゴムの疲労性能が低下するなど好ましくない場合がある。
【0012】
さらに、本発明のゴム組成物には、前記各成分以外に、ゴム業界で通常使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。
具体的には、カーボンブラックやシリカ等の充填剤、アロマオイル等の軟化剤、ジフェニルグアニジン等のグアニジン類、メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール類、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム類などの加硫促進剤、酸化亜鉛等の加硫促進助剤、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン類などの老化防止剤等である。
【0013】
本発明のゴム組成物は、開放混合式の練りロール機や密閉式混合機のバンバリーミキサー等の混練機を用いて混練りすることにより得ることができる。そして、得られたゴム組成物をカレンダーや押出し機などでシート状に成形し、補強材である帆布又はスチールコードを芯材として、これを覆うようにシート状ゴム成形物を貼り合わせ、その後、加硫を行うことによりベルトを得ることができる。
【0014】
前記したように、ベルトコンベアのベルトは、通常上面カバーゴム、補強材及び下面カバーゴムからなっており、被輸送物と接触するのは上面カバーゴムである。本発明のベルトコンベア用ベルトは、上面カバーゴム、補強材及び下面カバーゴムからなるベルトの、上面カバーゴムに本発明のゴム組成物を使用したものである。補強材及び下面カバーゴムは、この種のベルト用として従来から知られていたものが使用し得るが、無論、下面カバーゴムに本発明のゴム組成物を使用しても、一向に差し支えない。
本発明のベルトコンベアのベルトは、従来公知のベルトコンベアの何れにも使用可能である。すなわち、本発明のベルトを、従来公知のベルトコンベア用ベルトに代えて装着したベルトコンベアであり、かかるベルトコンベアをも本発明は提供するものである。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(DIN摩耗)
DIN摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を行った。耐摩耗試験は室温で行い、コントロールに対する指数で表わした。
(加工性)
ロール作業性で評価した。評価は以下に示す3段階で行った。
○;作業性良好
△;作業困難
×;作業不可
【0016】
実施例1
天然ゴム80重量%、Nd−BR(ジェイエスアール(株)製、主触媒:ネオジウム成分、助触媒:メチルアルミノキサン)20重量%からなるゴム成分100重量部に対し、カーボンブラック〔東海カーボン社製「ISAF」〕50重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華4重量部、ワックス2重量部、老化防止剤2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体〔精工(株)製、商品名:ノンフレックスRD〕1重量部、老化防止剤(6C)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン〔大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラック6C〕1.5重量部、アロマ油5重量部、硫黄2重量部及び加硫促進剤N−tertブチル−2−ベンゾチアジル−1−スルフェンアミド〔大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーNS〕0.54重量部を配合し、ゴム組成物を調製し、DIN摩耗、加工性の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0017】
実施例2〜4
第1表に示す量のNd−BRを配合したこと以外は実施例1と同様にゴム組成物を調製し、DIN摩耗、加工性の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0018】
実施例5及び実施例6
第1表に示す種類と量のNd−BRを配合したこと以外は実施例1と同様にゴム組成物を調製し、DIN摩耗、加工性の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0019】
比較例1〜4
第1表に示す量のコバルト系触媒を使用して合成したブタジエンゴムを配合したこと以外は実施例1と同様にゴム組成物を調製し、DIN摩耗、加工性の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004963535
【0021】
*1 ジェイエスアール(株)社製、主触媒:ネオジウム成分、助触媒:メチルアルミノキサン、スズ系化合物で末端変性
*2 エニケム社製、商品名「BR40」
*3 バイエル社製、商品名「CB25」
*4 ジェイエスアール(株)社製、触媒:Co系触媒
【0022】
【発明の効果】
本発明のベルトコンベアのベルト用ゴム組成物及びそれを使用したベルトは、耐摩耗性に優れており、該ベルトを装着したベルトコンベアは、摩擦による損傷及び汚れの少ないものである。

Claims (4)

  1. ゴム成分として、ネオジウム系触媒により合成した、末端変性されたポリブタジエンゴムを含み、さらに、硫黄を含むゴム組成物であって、前記ポリブタジエンゴムの含有量がゴム成分100重量部に対して60〜95重量部であることを特徴とするベルトコンベアのベルト用ゴム組成物。
  2. 前記ポリブタジエンゴムがスズ系化合物により末端変性されている請求項1に記載のベルトコンベアのベルト用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を、上面カバーゴム、補強材及び下面カバーゴムからなるベルトの上面カバーゴムとして使用したことを特徴とするベルトコンベア用ベルト。
  4. 請求項に記載のベルトを装着したことを特徴とするベルトコンベア。
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