JP5341999B2 - ワークの寸法測定用治具 - Google Patents
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Description
ここでワークの種類により、例えば電線の端末に固着される端子金具では、正面、背面、平面、底面及び左右側面のいわゆる六面における各種寸法が求められる場合がある。端子金具の場合は、カメラの光軸に対して上記の六面を向けて端子金具を差し込み装着できる治具を設けて対応していた。
しかしながら上記の方法では、六面の撮像を行うのに、いちいち端子金具の向きを変えつつ治具に対して装着し直さなければならないので手間が掛かり、ひいては測定作業に時間が掛かるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ワークの寸法測定を能率良く行うことを可能とした治具を提供するところにある。
本発明は、ワークをカメラで撮像して得られた画像に基づいてワークの寸法を測定する装置に備えられる治具であって、ワークを保持するためのチャック機構と、このチャック機構を所定の第1回転軸の回りに回転させる第1回転駆動機構と、この第1回転駆動機構を保持する第1ベースと、この第1ベースを前記第1回転軸と直交する第2回転軸の回りに回転させる第2回転駆動機構と、この第2回転駆動機構を保持する第2ベースと、が具備されたところに特徴を有する。
すなわち、ワークを一旦チャック機構に保持すれば、回転駆動機構により第1ベースとチャック機構の回転軸回りの回転操作を行うことにより、ワークの少なくとも五面の撮像、すなわち寸法測定を行うことができる。
(1)前記第1ベースには、前記第1回転軸の周囲の領域に前記第1ベースの裏側から前記チャック機構に保持されたワークを透視可能な開口部が形成されている。治具がチャック機構に係る第1回転軸がカメラの光軸に沿った向きで配されて、ワークがカメラと向き合った状態から、第1ベースを第2回転軸回りに180度回動すると、第1ベースが表裏反転しつつワークがカメラに対して背を向けた姿勢を取り、第1ベースに形成された開口部を通してワークの背面が撮像される。背面を含めてワークの六面の撮像、すなわち寸法測定を行うことができる。
(3)前記第1回転機構は、第1モータと、この第1モータにより前記第1回転軸回りに回転駆動される回転体と、前記チャック機構を取り付けるために前記回転体に設けられた取付部とからなる。第1モータを回転駆動することにより、回転体に取り付けられたチャック機構が第1回転軸回りに回転される。
(5)前記第2回転機構は、前記第1ベースに設けられた軸と、前記第2ベースに設けられ前記軸を支持する軸受部と、第2モータと、この第2モータの出力軸と前記第1ベースの前記軸とを駆動連結する連結機構とからなる。第2モータが回転駆動されると、連結機構を介して第1ベースが第2回転軸を中心として回転される。
(7)一方の前記挟持面には、端子金具に連設されたキャリアに形成されたパイロット孔と同心に整合する位置決め孔が開口されている。端子金具のキャリアを一対の挟持面の間にばね弾力で挟んだのち、例えば棒状の治具を一方の挟持面の位置決め孔からキャリアのパイロット孔に通して両孔を整合させる過程で、キャリアを両挟持面の間で移動させつつキャリアすなわち端子金具の位置決めが行われる。
本発明の治具を使用することにより、ワークの寸法測定を能率良く行うことができる。
A…第1回転軸
B…第2回転軸
10…雄端子(端子金具:ワーク)
16…キャリア(被取付部)
20…治具
21…治具本体(第2ベース)
25B…軸受部
30…可動ベース(第1ベース)
31A…開口部
35B…軸部(軸)
40…第2回転駆動機構
41…ギア(連結機構)
43…第2ステッピングモータ(第2モータ)
44…出力軸
45…ピニオン(連結機構)
50…チャック機構
56…第1挟持面(挟持部)
63…可動挟持体
70…圧縮コイルばね
71…第2挟持面(挟持部)
74…位置決め孔
75…回転体
80…第1回転駆動機構
81…第1ステッピングモータ(第1モータ)
85…取付部
109…基準柱(基準部)
本発明の一実施形態を図1ないし図16によって説明する。この実施形態では、電線の端末に固着される端子金具の寸法を測定する測定機を例示する。
この実施形態では、ワークとして雄端子10が例示され、この雄端子10は、図3に示すように、連鎖端子として帯状をなすキャリア16の一側縁に等ピッチで形成されたものであり、角筒状をなす本体部11の前面にタブ12が突設されるとともに、本体部11の後方に、ワイヤバレル13とインシュレーションバレル14とが形成された形状であって、インシュレーションバレル14の後方の連結部15がキャリア16の一側縁に連結されている。
測定対象となるワークとしての雄端子10は、同図に示すように、両側の雄端子が切断されるも、キャリア16については3本分の領域が残されて連結された形態とされ、残されたキャリア16が本発明の被取付部に相当する。同キャリア16には、製造工程における搬送用として丸孔からなるパイロット孔17が、雄端子10と対応した位置ごとに形成されている。
可動ベース30は、上記した治具本体21の両機械室23,24間の間隔に匹敵する長さと、治具本体21の基盤22の半分程度の幅を持った平面長方形の底板31の両端から側板32が立ち上がり形成された形状であって、同可動ベース30の底板31の一側(図1の右側)には機械室33が設けられているとともに、他側が、チャック機構50の配設スペースとなっている。
可動ベース30の駆動機構40(本発明の第2回転駆動機構に相当)については、上記した右側の軸受部25Bはクロスローラベアリングであって、外輪内に回転自由に支持された内輪に可動ベース30の右側の軸部35Bが嵌着されているとともに、同内輪の外側面にギア41が同心に取り付けられている。機械室24内には、第2のステッピングモータ43(以下、第2Sモータ43)が水平姿勢で左向きに設置され、その出力軸44の先端に設けられたピニオン45が、上記したギア41とかみ合わされている。
そして、第2Sモータ43を駆動することにより、可動ベース30は第2回転軸Bを中心として、正逆両方向に任意の角度だけ回転駆動されるようになっている。
本体部11の高位部53Aにおける透孔54を挟んだ両側には、互いに平行な一対のガイド溝57が切られている。また、高位部53Aにおける手前側の面には、透孔54を挟んだ両側に一対のガイド体59が取り付けられており、このガイド体59は、上記したガイド溝57の溝底と面一となる高さ寸法を有するとともに、それぞれの外側の端部には、鈎形の側壁60が立てられて、別のガイド溝61が形成されている。
この可動挟持体63は、枠体64の左右の枠辺をガイド溝57に、両摺動部66の左右の外縁をガイド体59のガイド溝61に嵌め、摺動部66をガイド体59の上面から受け面55に亘って摺動させつつ、前後方向の移動可能に装着されている。
また、可動挟持体63の挟持部65における連結部67の幅方向の中央位置には、前後方向に貫通した位置決め孔74が形成されている。同位置決め孔74は、雄端子10のキャリア16に設けられたパイロット孔17と整合した丸孔からなり、キャリア16が受け面55に当てられた場合におけるパイロット孔17と同じ高さ位置に形成されている。
そして、第1Sモータ81が駆動されると、ウォーム82とヘリカルギア79のかみ合いを介し、回転板83が第1回転軸Aを中心として、正逆両方向に任意の角度だけ回転駆動されるようになっている。これにより、チャック機構50の駆動機構80(本発明の第1回転駆動機構に相当)が構成されている。
そのため、図9に示すように、チャック機構50における基台52の左右両縁部には、被押圧部87A,87Bが全幅に亘って張り出し形成されている。被押圧部87A,87Bは、下側に向けて次第に張り出し量が多くなるようなテーパ状に形成され、左側の被押圧部87Aの方が若干背が高く形成されている。
一方、載置板89の右側縁の前後両端部の外側には、一対の支持柱93が立てられており、両支持柱93は、上端側を同載置板89の右側縁の上方に臨むように鈎形に屈曲させた形状となっている。両支持柱93の間には、幅広の揺動押圧体96が嵌められて、支持柱93の上端部に配された軸95によって揺動可能に支持されている。
この位置が揺動押圧体96の開放位置となり、この開放位置では、係合突部97が支持柱93の屈曲された上端部よりも左側に突出し、一方、押付部98は上方に逃げた形態となる。
ここで、揺動押圧体96が開放位置にある場合には、同揺動押圧体96の掛止ピン101が、固定押圧体90の掛止ピン102と揺動押圧体96の揺動軸95とを結んだ延長線Lよりも下方に位置する設定となっている。
したがって、揺動押圧体96が開放位置にある場合には、引張コイルばね103の弾縮力で揺動押圧体96に図12の時計回り方向の揺動力が付勢され、載置板89の右側縁に押し付けられつつ同開放位置に強固に保持される。揺動押圧体96が開放位置から反時計回り方向に揺動され、揺動押圧体96の掛止ピン101が、固定押圧体90の掛止ピン102と揺動押圧体96の揺動軸95とを結んだ延長線L上に来る位置すなわち思案点を超えるまで揺動されると、今度は、引張コイルばね103の弾縮力で揺動押圧体96に反時計回り方向の揺動力が付勢されるようになり、トグル機構が構成されている。なお、載置板89の右側縁には、上記のように揺動押圧体96が反時計回り方向に揺動した場合に、係合突部97を逃がす逃がし凹部105が形成されている。
チャック機構50を回転体75に取り付ける場合は、図12に示すように、揺動押圧体96が開放位置に保持された状態から、チャック機構50を斜め姿勢とし、位置決め溝87Cを位置決めピン110に挿入しつつ、基台52の左側の被押圧部87Aを左側の固定押圧体90の押圧面91に潜り込ませ、そこを中心として基台52を水平姿勢に向ける。そうすると、右側の被押圧部87Bの下面が、揺動押圧体96の内側の端部から突出している係合突部97を押すことにより、揺動押圧体96が引張コイルばね103の付勢力に抗して反時計回り方向に揺動し、上記のように思案点を超えて揺動したところで、引張コイルばね103の付勢力で反時計回り方向に揺動し、基台52が水平となって載置板89上に載置されると、揺動押圧体96の押付部98が、右側の被押圧部87Bのテーパ面を弾性的に押圧し、左側の被押圧部87Aを押圧面91の下方に押し込みつつ、右側の被押圧部87Bを載置板89に押し付けることにより、チャック機構50が前後左右の二方向に位置決めされて取付部85に対して保持される。
なお、チャック機構50における高位部53Aの上面には、当該チャック機構50がカメラKに対して正規姿勢を取って設定されているか否かを判断することに用いる一対の基準柱109が立てられている。図5に示すように、一方の基準柱109の先端と基端には、第1、第2フォーカス面109A,109Bがそれぞれ設定されているとともに、他方の基準柱109の先端には、第3フォーカス面109Cが設定されている。
まず、ワークである雄端子10を既述した要領でチャック機構50に保持する。簡単に繰り返すと、図6に示すように、雄端子10のキャリア16を、圧縮コイルばね70の弾力に抗してガイド面72から両挟持面56,71の間に割って入るように挿入して受け面55に当て、そののち、図7に示すように、治具Jを用いてキャリア16すなわち雄端子10の左右方向の位置決めを行う。これにより雄端子10は、透孔54の中央部における上面位置から、その軸線が基台52に対して直角をなす姿勢で突出した形態で保持される。
それには、可動ベース30を、同図の右側から見て、第2回転軸Bを中心として時計回り方向に90度回転させ(図14参照)、さらにチャック機構50を図14の右側から見て第1回転軸Aを中心として時計回り方向に90度回転させ、両基準柱109が右側を向いた仰向けの姿勢を取るようにする。それとともに、治具本体21をテーブル上で移動させて、両基準柱109が、カメラKの下方に正対した状態とする。
係る状態から両基準柱109の先端の第1フォーカス面109Aと第3フォーカス面109Cがそれぞれ撮影され、カメラKから各フォーカス面109A,109Cまでの距離に差があると、これは両基準柱109の高さ位置が異なっており、すなわちチャック機構50の第1回転軸A回りの回転姿勢がずれていることになるから、第1Sモータ81に駆動指令が出されて、同距離の差に対応した角度だけチャック機構50を回転させ、正規の0度補正が行われる。
次に、一方の基準柱109の先端と基端の第1フォーカス面109Aと第2フォーカス面109Bがそれぞれ撮影され、カメラKから各フォーカス面109A,109Bまでの距離に差があると、これは基準柱109が水平面から傾いており、すなわちチャック機構50の第2回転軸B回りの回転姿勢がずれていることになるから、第2Sモータ43に駆動指令が出されて、同距離の差に対応した角度だけ可動ベース30を回転させ、正規の0度補正が行われる。
以上の作業により、チャック機構50がカメラKに対して正規姿勢を取って設定された状態となる。
続いて図14の状態から、チャック機構50を、雄端子10の正面から見て、第1回転軸Aを中心として、時計回り方向に90度ずつ3回回転させる。これにより、雄端子10は、平面、左側面及び底面の3面が順次にカメラKに対向する姿勢を取り、同様に各3面の撮影画像に基づいて各面の形状の寸法測定が行われる。
以上により、ワークである雄端子10の六面の寸法測定が完了する。なお、雄端子10を横向きに寝かせた場合、同雄端子10がカメラKの撮影範囲内収まっている限りは、治具本体21は敢えて移動させる必要はない。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ワークである雄端子をチャック機構に挟持するに当たり、雄端子のキャリアを手動で押し込むようにしたが、挟持作業専用の治具を別途備えるようにしてもよい。
(2)キャリアの挟持構造としては、可動側の挟持体をヒンジにより回動可能に支持して、相手の挟持面との間で挟持するようにしてもよい。
(3)ワークである雄端子の六面を撮影する順序すなわち寸法測定する順序は、上記実施形態に例示したものに限らず任意である。
(5)上記実施形態では、ワークである雄端子の六面の撮影が行えるものを例示したが、ワークの種類等に応じて背面を除いた五面を撮影できるようにしたものであってもよく、この場合は、第1ベースに対してワークを裏面側から透視可能な開口部を形成することを不要とすることができる。このようなものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
Claims (7)
- ワークをカメラで撮像して得られた画像に基づいてワークの寸法を測定する装置に備えられる治具であって、
ワークを保持するためのチャック機構と、このチャック機構を所定の第1回転軸の回りに回転させる第1回転駆動機構と、この第1回転駆動機構を保持する第1ベースと、この第1ベースを前記第1回転軸と直交する第2回転軸の回りに回転させる第2回転駆動機構と、この第2回転駆動機構を保持する第2ベースと、が具備され、
前記ワークが端子金具であってキャリアに接続された状態で前記チャック機構に保持されるようになっており、
前記チャック機構には、端子金具のキャリアを挟持可能な一対の挟持面が開閉可能にかつばね弾力により閉鎖方向に付勢された形態で設けられていることを特徴とするワークの測定用治具。 - 前記第1ベースには、前記第1回転軸の周囲の領域に前記第1ベースの裏側から前記チャック機構に保持されたワークを透視可能な開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワークの測定用治具。
- 前記チャック機構は、ワークに連設された被取付部を位置決めして弾性的に挟持する挟持部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワークの測定用治具。
- 前記第1回転機構は、第1モータと、この第1モータにより前記第1回転軸回りに回転駆動される回転体と、前記チャック機構を取り付けるために前記回転体に設けられた取付部とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のワークの測定用治具。
- 前記チャック機構には、前記カメラにより撮像可能であって当該チャック機構の前記カメラに対する姿勢の適否を判断する基準となる基準部が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のワークの測定用治具。
- 前記第2回転機構は、前記第1ベースに設けられた軸と、前記第2ベースに設けられ前記軸を支持する軸受部と、第2モータと、この第2モータの出力軸と前記第1ベースの前記軸とを駆動連結する連結機構とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のワークの測定用治具。
- 一方の前記挟持面には、端子金具に連設されたキャリアに形成されたパイロット孔と同心に整合する位置決め孔が開口されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のワークの測定用治具。
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