JP5341167B2 - 電子写真用トナーバインダーおよびトナー - Google Patents
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Description
この方式を用いた場合、トナーの最低定着温度(定着率70%が得られるヒートローラーの最低温度)が低く(低温定着性)、ホットオフセット温度(ホットオフセットが発生するヒートローラーの最低温度)が高いこと(耐ホットオフセット性)が望まれる。また、長時間使用しても鮮明な画像が得られること(画像安定性)や画像濃度の高いことが望まれている。これらの要望を満足させるために、トナーバインダーの分子量分布を低分子量から高分子量にわたる広範囲としたり、構成成分のガラス転移点の序列を規定することが提唱されている(特許文献1参照)。
すなわち本発明は、分子量分布極大値が2500以上5000以下のスチレン(共)重合体(a)、分子量分布極大値が5000より大きく20万以下のスチレン(共)重合体(b)、および分子量分布極大値が20万より大きく100万以下のスチレン(共)重合体(c)を含有し、それぞれの重量比が(a):(b):(c)=(30〜44):(20〜45):(12〜45)であり、スチレン(共)重合体(a)、(b)、および(c)それぞれのSP値[(cal/cm3)1/2]の最大の値と最小の値との差が0.11〜0.23である電子写真用トナーバインダー;並びに、この電子写真用トナーバインダーと着色剤を含有するトナー;である。
本発明の電子写真用トナーバインダーは、分子量分布極大値がそれぞれ異なる、スチレン(共)重合体(a)、スチレン(共)重合体(b)、およびスチレン(共)重合体(c)を含有する。(a)、(b)、および(c)は、分子量分布極大値が所定の範囲内のものであれば、それぞれ複数種組み合わせて使用することができる。
スチレン(共)重合体(a)、(b)、および(c)を構成するモノマーとしては、スチレンモノマーを必須モノマーとし、必要により(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー等を含有する。
ここで、(共)重合体とは、単独重合体または共重合体を意味し、スチレン(共)重合体とは、スチレンモノマーの単独重合体またはスチレンモノマーと他のモノマーの共重合体を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタアクリルを意味し、以下同様の記載法を用いる。
これら(メタ)アクリルモノマーのうち好ましくは、炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびそれらの2種以上の混合物である。
これらカルボキシル基含有ビニルモノマーのうち好ましくは、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸モノエステル、およびそれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテートなど)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価またはそれ以上)アルコールエステル〔炭素数8〜200、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど〕、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、たとえばメチル−4−ビニルベンゾエートなど)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、たとえばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテンなど)、ジエン(炭素数4〜10、たとえばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエンなど)などが挙げられる。
全構成モノマー中の他のモノマーの含有量は、好ましくは15%以下、さらに好ましくは0.001〜5%である。
上記および以下において、%はとくに断りの無い限り、重量%を意味する。
(a)の分子量分布極大値は、低温定着性の観点から、通常2500以上5000以下、好ましくは2600〜4900、さらに好ましくは2700〜4800である。
(b)の分子量分布極大値は、着色剤の分散性をよくする観点から、通常5000より大きく20万以下、好ましくは1万〜15万、さらに好ましくは2万〜12万である。
(c)の分子量分布極大値は、画像安定性を向上させる観点から、通常20万より大きく100万以下、好ましくは30万〜95万、とくに好ましくは40万〜90万である。
また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、定着温度幅と画像安定性の観点から、好ましくは15〜150、さらに好ましくは20〜120である。
装置(一例) :東ソー製 HLC−8220
カラム(一例):TSKgel SuperMultiporeHZ−M 3本(東 ソー製)
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25%のTHF溶液
溶液注入量 :10μl
検出装置 :屈折率検出器
標準物質 :東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLY STYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400
190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量を、分子量分布極大値とする。
スチレン(共)重合体(a)、(b)、および(c)それぞれのSP値、SP(a)、SP(b)、およびSP(c)は、それらの中で最大の値と最小の値との差が、通常0.11〜0.23、好ましくは0.12〜0.22、さらに好ましくは0.13〜0.21である。なお、上記のSP値の差は、スチレン(共)重合体(a)、(b)、および/または(c)を各々2種以上用いる場合は、個々の重合体のSP値の差を意味する。
SP(a)、SP(b)、およびSP(c)の範囲としては、いずれも、好ましくは10.00〜11.00、さらに好ましくは10.10〜10.90、とくに好ましくは10.30〜10.60である。
SP値を本発明の構成とすることで、トナーの画像濃度と画像安定性が向上する。これはSP値の差を小さくすることで各成分の相溶性が増すためではないかと考えられる。一方、本発明のような分子量領域のスチレン(共)重合体(a)を使用する場合、樹脂強度を持たせて画像安定性を確保する観点から、SP(a)の値をSP(b)およびSP(c)より大きくすることが好ましく、そのSP値の差を0.11以上にすることが好ましい。
スチレン(共)重合体(a)、(b)、および(c)それぞれの酸価は、いずれも、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜16、とくに好ましくは0.1〜14である。また、スチレン(共)重合体(b)の酸価は、スチレン(共)重合体(a)、(c)の酸価より大きいことが好ましい。
上記および以下において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定される(電位差滴定法)。
上記および以下において、ガラス転移点(Tg)は、セイコー電子工業(株)製DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
重合温度は、好ましくは60〜230℃、さらに好ましくは80〜230℃である。
重合時間は、好ましくは1〜30時間、さらに好ましくは2〜20時間である。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、および2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて、好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜8%、特に好ましくは0.1〜6%である。
これらのうち好ましいものは芳香族溶剤であり、さらに好ましくはトルエン、キシレン、およびエチルベンゼンである。
ワックス(e)がスチレン(共)重合体にグラフトされた(共)重合体は、スチレン(共)重合体(a)〜(c)の重合時にワックス(e)を共存させ、過酸化物系重合開始剤を使用して重合することで得られる。ワックス(e)がグラフトされたスチレン(共)重合体を用いることで、画像の安定性が向上する。グラフトに供するワックスの量は、本発明の電子写真用トナーバインダー中に0.1〜2%となるように使用することが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1%である。
スチレン(共)重合体(a)の比率は、後述のワックス(e)を添加する場合の画像安定性の劣化を防ぐために、44以下とする必要があり、低温定着性の観点から30以上とする必要がある。
その他の樹脂は、(a)、(b)、および(c)を含有するスチレン(共)重合体混合物の均一性を阻害しないことが必要であり、その添加量は、(a)、(b)、および(c)の合計量に対して、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、とくに好ましくは10%以下である。
ポリオールのうち、2価アルコールとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなど)、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物、ハイドロキノン、カテコール、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなど)および水素添加ビスフェノール、およびこれらにアルキレンオキサイドを付加させたフェノール系グリコール、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられ、これらのアルキレンオキサイドの混合物を付加する場合、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
これらの中で好ましいものは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール(特にビスフェノールA)のアルキレンオキサイド2〜3モル付加物、およびこれら2種以上の混合物である。
ポリオールのうち、3価以上のアルコールとしては、炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール(ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセロールなど)、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
ポリカルボン酸のうち2価の酸としては、炭素数2〜20のアルキルまたはアルケニルジカルボン酸(例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸など)、炭素数8〜20の芳香族カルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸)およびこれらの酸の無水物,低級アルキル(メチル、エチル)エステルが挙げられる。
ポリカルボン酸のうち3価以上の酸としては、炭素数7〜20の脂肪族ポリカルボン酸,炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(1,2,4ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸など)、およびこれらの無水物や低級アルキル(メチル、ブチルなど)エステルが挙げられる。
ラクタムとしては、炭素数6〜12のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタムが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12のアミノカルボン酸、例えばアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸が挙げられる。
開環重合および重縮合反応は、公知の触媒等を用いて常法により行うことができる。
ワックス(e)としては、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
(e−1)には、オレフィンの(共)重合により得られるもの(e−1−1)、および熱減成型ポリオレフィン(e−1−2)が含まれる。
酸化は酸素および/またはオゾン等を用いて公知の方法で行うことができ、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
変性は、公知の方法で行うことができ、例えば(e−1)とマレイン酸系モノマーを公知の過酸化物触媒を用いて、溶液法または溶融法のいずれかの方法で反応させることにより行うことができる。
共重合は、公知の触媒を用いて公知の方法等で行うことができる。
ポリオレフィンワックスの融点は、キャリアー等へのフィルミングおよびワックスの観点から、好ましくは50〜165℃、更に好ましくは60〜160℃、特に65〜155℃である。
フィッシャートロプシュワックスとしては、例えばサゾールワックスH1等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
本発明のトナー中の着色剤の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、好ましくは1〜15%、さらに好ましくは2〜10%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは15〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。
本発明のトナー中のワックスの量は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは1〜8%である。
本発明のトナー中の荷電制御剤の含有量は、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは1〜5%である。
本発明のトナー中の流動化剤の含有量は、好ましくは0〜5%である。
尚、D50は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)]を用いて測定される。
また、上記方法において、流動化剤はトナーを微粒子化した後に混合(外添)して使用することもできる。
次いでトナーを感光体上の静電潜像に移動させ、さらに支持体(紙、ポリエステルフィルム等)上に移動させる。
更に、公知の熱ロール定着方法等により支持体に定着して記録材料とされる。
トナーの試験法は以下の通りである。
評価試料(トナー)30部とフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)800部とを均一混合して二成分現像剤を得た後、以下の試験に供した。
市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販モノクロ複写機[SF8400A、シャープ(株)製]の定着ユニットを改造し、ヒートローラー温度を可変にした定着機でプロセススピード145mm/secで定着した。GretagMacbeth社製RD−19で測定した画像濃度(I.D.)=0.6の画像を、学振式摩擦堅牢度試験(紙で摩擦)により5回の往復回数で摩擦し、定着率(摩擦後のI.D.×100/摩擦前のI.D.)が70%以上となるヒートローラー温度を最低定着温度とした。
上記(1)と同様に定着し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視判定した。ホットオフセットが発生しはじめた温度をホットオフセット発生温度とした。
上記(1)と同様に二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて連続コピーを行い、画質変化を以下の基準で評価した。
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
上記(1)と同様に二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて黒ベタ画像のコピーを5枚とり、GretagMacbeth社製RD−19で測定した画像濃度測定値の平均値を画像濃度とした。
評価試料(トナー)20部をガラス瓶に入れ密封し、50℃の恒温水槽中で8時間放置した後、目開き355μmのフルイ上で振動強度5で10秒間振動を与え、フルイ上に残ったトナー量のフルイに載せた量に対する割合(重量)から、以下の基準で評価した。装置はホソカワミクロン製パウダーテスターPT−Eを用いた。
○:フルイ上の残存トナー量10%未満
△:フルイ上の残存トナー量10%以上〜20%未満
×:フルイ上の残存トナー量20%以上
オートクレーブにキシレン500部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール660P)5部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で185℃まで昇温した。スチレン948部、n−ブチルアクリレート45部、アクリル酸7部、ジ−t−ブチルパーオキサイド25部、およびキシレン180部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を185℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させ、重合体溶液(a−1)を得た。
オートクレーブにキシレン500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で200℃まで昇温した。スチレン995部、アクリル酸5部、ジ−t−ブチルパーオキサイド45部、およびキシレン180部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を200℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させ、重合体溶液(a−2)を得た。
使用するジ−t−ブチルパーオキサイドを31部とする他は製造例1と同様にして重合体溶液(a−3)を得た。
使用するモノマーをスチレン910部、アクリロニトリル80部、アクリル酸10部とする他は製造例2と同様にして重合体溶液(a−4)を得た。
使用するモノマーをスチレン860部、n−ブチルアクリレート40部、メタクリル酸メチル100部、ジ−t−ブチルパーオキサイドを31部とする他は製造例2と同様にして重合体溶液(a−5)を得た。
使用するジ−t−ブチルパーオキサイドを57部とする他は製造例2と同様にして重合体溶液(ra−1)を得た。
オートクレーブにキシレン1000部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。スチレン675部、n−ブチルアクリレート210部、メタクリル酸メチル100部、アクリル酸15部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.5部、およびキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で2時間保った後、175℃に昇温し1時間重合させて、重合体溶液(b−1)を得た。
オートクレーブにキシレン200部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。スチレン715部、n−ブチルアクリレート270部、アクリル酸15部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.5部、およびキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で2時間保った後、175℃に昇温し1時間重合させて、重合体溶液(b−2)を得た。
使用するモノマーをスチレン780部、n−ブチルアクリレート218部、アクリル酸2部とする他は製造例8と同様にして重合体溶液(b−3)を得た。
4口フラスコに水1900部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製PVA235]の2%水溶液100部を加え、これにスチレン789部、n−ブチルアクリレート210部、マレイン酸モノブチル1部、2.2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン2部からなる混合液を加えて撹拌し懸濁液とした。フラスコを充分窒素で置換した後、90℃まで昇温し、重合を開始した。同温度で重合を継続させ、24時間後にモノマー転化率が98%になったことを確認した後、100℃に昇温し、同温度で2時間保ち、重合を完結させた。後処理として濾別、水洗、乾燥し、重合体(c−1)を得た。
使用するモノマーをスチレン780部、n−ブチルアクリレート220部とし、重合温度を98℃とする他は製造例10と同様にして重合体(c−2)を得た。
オートクレーブに重合体溶液(a−1)を633部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を78部、重合体(c−1)を80部、重合体(c−2)を240部仕込み、キシレン還流下で均一に溶解した。次にキシレンを溜去しながら170℃に昇温した後、減圧とした。圧力1kPa以下で脱溶剤を継続し、ガスクロマトグラフにより樹脂中のキシレン含量が400ppm以下であることを確認し、トナーバインダー(TB−1)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−2)を570部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を130部、重合体(c−2)を320部とした他は実施例1と同様にして、トナーバインダー(TB−2)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−3)を755部、重合体溶液(b−3)を420部、重合体溶液(b−2)を78部、重合体(c−1)を60部、重合体(c−2)を240部とした他は実施例1と同様にして、トナーバインダー(TB−3)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−1)を633部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を208部、重合体(c−2)を220部とした他は実施例1と同様にして、トナーバインダー(TB−4)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−3)を755部、重合体溶液(b−3)を313部、重合体(c−1)を80部、重合体(c−2)を240部とした他は実施例1と同様にして、トナーバインダー(TB−5)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(ra−1)を573部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を130部、重合体(c−2)を320部とした他は実施例1と同様にして、比較のトナーバインダー(RTB−1)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−1)を940部、重合体溶液(b−1)を210部、重合体溶液(b−2)を78部、重合体(c−1)を80部、重合体(c−2)を210部とした他は実施例1と同様にして、比較のトナーバインダー(RTB−2)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−4)を570部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を130部、重合体(c−2)を320部とした他は実施例1と同様にして、比較のトナーバインダー(RTB−3)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−5)を560部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体(c−2)を320部とした他は実施例1と同様にして、比較のトナーバインダー(RTB−4)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(a−2)を466部、重合体溶液(b−1)を525部、重合体溶液(b−2)を130部、重合体(c−2)を380部とした他は実施例1と同様にして、比較のトナーバインダー(RTB−5)を得た。
〔トナーの作成〕
トナーバインダー(TB−1)〜(TB−5)、および(RTB−1)〜(RTB−5)の各々87部に、カーボンブラック[三菱化成(株)製 MA100]7部、低分子量ポリプロピレン[三洋化成工業(株)製 ビスコール550P]4部、および荷電調整剤(保土谷化学製 スピロンブラックTRH)2部をヘンシェルミキサーFM10B〔三井三池化工機(株)製〕で均一混合した後、樹脂温度130℃の二軸押出機[PCM30、(株)池貝製]で混練し、冷却物をジェット粉砕機[ラボジェットLJ、日本ニューマチック工業(株)製]で微粉砕し、デイスパージョンセパレータ[MDS−II、日本ニューマチック工業(株)製]で分級した。ついで、トナー粒子100部とコロイダルシリカ(日本アエロジル製アエロジルR972)1.0部とを均一混合して、体積平均粒径9μmの本発明のトナー(T−1)〜(T−5)、および比較のトナー(RT−1)〜(RT−5)を得た。
なお、体積平均粒径は、コールターカウンター(マルチサイザーTM3、ベックマンコールター社製)で測定した。
トナー(T−1)〜(T−5)、および(RT−1)〜(RT−5)のそれぞれについいての評価結果を表2に示す。
表2に示したように、本発明の電子写真用トナーバインダー(TB−1)〜(TB−5)による本発明のトナー(T−1)〜(T−5)は、優れた低温定着性、耐ホットオフセット性、画像濃度、画像安定性を有しており、貯蔵安定性にも優れている。一方、比較のトナーバインダー(RTB−1)〜(RTB−5)による比較のトナー(RT−1)〜(RT−5)は、定着温度幅が狭くなったり、画像濃度が低下したり、カブリを生じるなど画像安定性に劣ったりするものであった。このように本発明のトナーバインダーを使用することにより、画像濃度が高く、トナーの長時間使用時の画質劣化に問題のないトナーを得ることが出来る。
Claims (3)
- 分子量分布極大値が2500以上5000以下のスチレン(共)重合体(a)、分子量分布極大値が5000より大きく20万以下のスチレン(共)重合体(b)、および分子量分布極大値が20万より大きく100万以下のスチレン(共)重合体(c)を含有し、それぞれの重量比が(a):(b):(c)=(30〜44):(20〜45):(12〜45)であり、スチレン(共)重合体(a)、(b)、および(c)それぞれのSP値[(cal/cm3)1/2]の最大の値と最小の値との差が0.11〜0.23である電子写真用トナーバインダー。
- 酸価が0〜10である請求項1記載の電子写真用トナーバインダー。
- 請求項1または2のいずれか記載の電子写真用トナーバインダーと着色剤を含有するトナー。
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---|---|---|---|
JP2011274323A JP5341167B2 (ja) | 2010-12-17 | 2011-12-15 | 電子写真用トナーバインダーおよびトナー |
Applications Claiming Priority (3)
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