JP4768833B2 - 電子写真用トナーバインダーおよびトナー - Google Patents
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この方式を用いた場合、トナーの最低定着温度(定着率70%が得られるヒートローラーの最低温度)が低く、ホットオフセット温度(ホットオフセットが発生するヒートローラーの最低温度)が高いことが望まれる。また、長時間使用しても鮮明な画像を得られることが望まれている。これらの要望を満足させるために、トナーバインダーの分子量分布を低分子量から高分子量にわたる広範囲としたり、ガラス転移点の序列を規定することが提唱されている(特許文献1参照)。
すなわち本発明は、重量平均分子量が3000以上2万未満であるスチレン(共)重合体(A)、重量平均分子量が2万以上10万未満であるスチレン(共)重合体(B)、重量平均分子量が10万以上70万未満であるスチレン(共)重合体(C)、および重量平均分子量が70万以上120万以下であるスチレン(共)重合体(D)を含有し、各(共)重合体の溶解性パラメーターをそれぞれSP(A)、SP(B)、SP(C)、およびSP(D)としたときに下記式(1)の関係を満たす電子写真用トナーバインダー;並びにこの電子写真用トナーバインダーと着色剤を含有するトナー;である。
SP(A)>SP(B)>SP(C)>SP(D) (1)
本発明の電子写真用トナーバインダーは、スチレン(共)重合体(A)、スチレン(共)重合体(B)、スチレン(共)重合体(C)、およびスチレン(共)重合体(D)を含有する。スチレン共重合体(A)、(B)、(C)、(D)を構成するモノマーとしては、スチレンモノマーを必須モノマーとし、必要により(メタ)アクリルモノマーおよび/またはカルボキシル基含有ビニルモノマーを含有することが好ましい。
ここで、(共)重合体とは、単独重合体または共重合体を意味し、スチレン(共)重合体とは、スチレンモノマーの単独重合体またはスチレンモノマーと他のモノマーの共重合体を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタアクリルを意味し、以下同様の記載法を用いる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、モノカルボン酸〔炭素数3〜15、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸〕、ジカルボン酸〔炭素数4〜15、例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸〕、ジカルボン酸モノエステル〔上記ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜18)エステル、例えばマレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノアルキルエステルなど〕などを挙げることができる。
これら(メタ)アクリルモノマーおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーのうち好ましくは、炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸モノエステルおよびそれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテートなど)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価またはそれ以上)アルコールエステル〔炭素数8〜200、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレートおよびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど〕、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、たとえばメチル−4−ビニルベンゾエートなど)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、たとえばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテンなど)、ジエン(炭素数4〜10、たとえばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエンなど)などが挙げられる。
他のモノマーの含有量は、好ましくは15%以下、さらに好ましくは0.001〜5%である。
上記および以下において、%はとくに断りの無い限り、重量%を意味する。
スチレン(共)重合体(A)、(B)、(C)、および(D)それぞれのSP値、SP(A)、SP(B)、SP(C)およびSP(D)は、前記式(1)の関係を満たす必要があるが、具体的には、SP(A)の範囲は、好ましくは10.4〜11.0、さらに好ましくは10.45〜10.9である。SP(B)の範囲は、好ましくは10.3〜10.7、さらに好ましくは、10.35〜10.65である。SP(C)の範囲は、好ましくは10.25〜10.55、さらに好ましくは10.3〜10.5である。SP(D)の範囲は、好ましくは10.2〜10.5、さらに好ましくは10.25〜10.45である。
SP(A)とSP(D)の差は小さい方が好ましく、SP(A)−SP(D)の値は、好ましくは0.05〜0.6、さらに好ましくは0.1〜0.55である。
分子量の大きい成分ほどSP値を小さくしていくことで、トナーとしての性能が向上する。これは分子量の大きい成分のSP値を小さくすることで分子量の小さい成分との相溶性が増すためではないかと考えられる。
(A)の重量平均分子量は、低温定着性の観点から、通常3000以上2万未満、好ましくは3500〜1.8万、さらに好ましくは3900〜1.5万である。
(B)の重量平均分子量は、(A)と(C)の混合性を良くし樹脂の強靭性を発現するため、通常2万以上10万未満、好ましくは3万〜9万、さらに好ましくは4万〜8万である。
(C)の重量平均分子量は、(B)と(D)の混合性をよくし樹脂の強靭性を発現するため、通常10万以上70万未満、好ましくは11万〜65万、さらに好ましくは12万〜60万である。
(D)の重量平均分子量は、樹脂の耐ホットオフセット性を向上させるとともに(C)との混合性をよくする観点から、通常70万〜120万、好ましくは75万〜110万、さらに好ましくは80万〜105万である。
装置(一例) :東ソー製 HLC−8220
カラム(一例):TSKgel SuperMultiporeHZ−M 3本(東 ソー製)
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25%のTHF溶液
溶液注入量 :10μl
検出装置 :屈折率検出器
標準物質 :東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLY STYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
(A)、(B)、(C)、および(D)は、分子量、SP値が所定の範囲内であれば、それぞれ複数種組み合わせることができる。その場合、分子量が大きくなるに従ってSP値が小さくなるようにすることが好ましい。
重合温度は、好ましくは60〜230℃、さらに好ましくは80〜230℃である。
重合時間は、好ましくは1〜30時間、さらに好ましくは2〜20時間である。
これらのうち好ましいのはジ−t−ブチルパーオキサイドおよび2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜8%、特に好ましくは0.1〜6%である。
これらのうち好ましいものは芳香族溶剤であり、さらに好ましくはトルエン、キシレンおよびエチルベンゼンである。
その他の樹脂は、(A)、(B)、(C)、および(D)を含有するスチレン(共)重合体混合物の均一性を阻害しないことが必要であり、その添加量は、(A)、(B)、(C)、および(D)の合計量に対して、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、とくに好ましくは10%以下である。
ポリオールのうち、2価アルコールとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなど)、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物、ハイドロキノン、カテコール、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなど)および水素添加ビスフェノール、およびこれらにアルキレンオキサイドを付加させたフェノール系グリコール、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられ、これらのアルキレンオキサイドの混合物を付加する場合、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
これらの中で好ましいものは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびビスフェノール(特にビスフェノールA)のアルキレンオキサイド2〜3モル付加物、およびこれら2種以上の混合物である。
ポリオールのうち、3価以上のアルコールとしては、炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール(ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパングリセロールなど)およびこれらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
ポリカルボン酸のうち2価の酸としては、炭素数2〜20のアルキルまたはアルケニルジカルボン酸(例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸など)、炭素数8〜20の芳香族カルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸)およびこれらの酸の無水物,低級アルキル(メチル、エチル)エステルが挙げられる。
ポリカルボン酸のうち3価以上の酸としては、炭素数7〜20の脂肪族ポリカルボン酸,炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(1,2,4ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸など)およびこれらの無水物や低級アルキル(メチル、ブチルなど)エステルが挙げられる。
ラクタムとしては、炭素数6〜12のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタムが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12のアミノカルボン酸、例えばアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
開環重合および重縮合反応は公知の触媒等を用いて常法により行うことができる。
また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、定着温度幅と画像安定性の観点から、好ましくは30〜150、さらに好ましくは32〜100である。
上記および以下において、ガラス転移点(Tg)はセイコー電子工業(株)製DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
離型剤(G)としては、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
(G−1)には、オレフィンの(共)重合により得られるもの(G−1−1)および熱減成型ポリオレフィン(G−1−2)が含まれる。
酸化は酸素および/またはオゾン等を用いて公知の方法で行うことができ、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
変性は、公知の方法で行うことができ、例えば(G−1)とマレイン酸系モノマーを公知の過酸化物触媒を用いて、溶液法または溶融法のいずれかの方法で反応させることにより行うことができる。
共重合は、公知の触媒を用いて公知の方法等で行うことができる。
ポリオレフィンワックスの融点は、キャリアー等へのフィルミングおよび離型性の観点から、好ましくは50〜165℃、更に好ましくは60〜160℃、特に65〜155℃である。
フィッシャートロプシュワックスとしては、例えばサゾールワックスH1等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
(G)がポリオレフィンワックスの場合、画像安定性の観点から、(A)、(B)、(C)、または(D)の重合時に一部または全量を添加する方法が好ましい。重合時に一部を添加する場合は、重合時に全ワックス量の1〜50%を添加し、重合後に残りの50〜99%を添加する方法がより好ましい。
トナー中の離型剤としては、前述の離型剤(G)と同様のものが挙げられる。
トナー中の離型剤の量は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは1〜8%である。
トナー中の荷電制御剤の含有量は、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは1〜5%である。
トナー中の流動化剤の含有量は、好ましくは0〜5%である。
尚、D50は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)]を用いて測定される。
また、上記方法において、流動化剤はトナーを微粒子化した後に混合(外添)して使用することもできる。
次いでトナーを感光体上の静電潜像に移動させ、さらに支持体(紙、ポリエステルフィルム等)上に移動させる。
更に、公知の熱ロール定着方法等により支持体に定着して記録材料とされる。
評価試料(トナー)30部とフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)800部とを均一混合して二成分現像剤を得た後、以下の試験に供した。
市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販モノクロ複写機[SF8400A、シャープ(株)製]の定着ユニットを改造し、ヒートローラー温度を可変にした定着機でプロセススピード145mm/secで定着した。画像濃度(I.D.)=0.6の画像を学振式摩擦堅牢度試験(紙で摩擦)により5回の往復回数で摩擦し、定着率(摩擦後のI.D.×100/摩擦前のI.D.)が70%以上となるヒートローラー温度を最低定着温度とした。
上記(1)と同様に定着し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視判定する。ホットオフセットが発生しはじめた温度をホットオフセット発生温度とした。
(3)画像安定性
上記(1)と同様に二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて連続コピーを行い、画質変化を以下の基準で評価した。
◎:2万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。2万枚コピー後、わず かにカブリが発生している。
△:1万枚コピー後カブリが発生している。
×:5千枚コピー後でカブリが発生している。
評価試料(トナー)20部をガラス瓶に入れ密封し、50℃の恒温水槽中で8時間放置した後、目開き355μmのフルイ上で振動強度5で10秒間振動を与え、フルイ上に残ったトナー量のフルイに載せた量に対する割合から、以下の基準で評価した。装置はホソカワミクロン製パウダーテステーPT−Eを用いた。
○:フルイ上の残存トナー量10%未満
△:フルイ上の残存トナー量10%以上〜20%未満
×:フルイ上の残存トナー量20%以上
オートクレーブにキシレン250部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で185℃まで昇温した。スチレン472部、n−ブチルアクリレート15部、アクリル酸13部、ジ−t−ブチルパーオキサイド15部およびキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を185℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させ重合体溶液(A−1)を得た。
オートクレーブにキシレン250部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。スチレン411部、n−ブチルアクリレート80部、メタクリル酸9部、ジ−t−ブチルパーオキサイド8部およびキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させ重合体溶液(A−2)を得た。
使用するモノマーを、スチレンを465部、アクリロニトリルを25部、アクリル酸を10部とする他は製造例1と同様に重合し、重合体溶液(A−3)を得た。
オートクレーブにキシレン250部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で200℃まで昇温した。スチレン487部、アクリル酸13部、ジ−t−ブチルパーオキサイド25部およびキシレン110部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を200℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させ重合体溶液(RA−4)を得た。
オートクレーブにキシレン250部と共に低分子量ポリプロピレン[三洋化成工業(株)製ビスコール550P;数平均分子量4000]2部を仕込むほかは製造例1と同様に重合し、重合体溶液(A−5)を得た。
オートクレーブにキシレン100部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で150℃まで昇温した。スチレン395部、n−ブチルアクリレート105部、ジ−t−ブチルパーオキサイド2部およびキシレン50部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を150℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保った後、175℃に昇温し1時間重合させて重合体溶液(B−1)を得た。
使用するモノマーを、スチレンを382部、n−ブチルアクリレートを100部、アクリル酸を8部、アクリロニトリルを10部とする他は製造例6と同様に重合し、重合体溶液(B−2)を得た。
ジ−t−ブチルパーオキサイド2部を0.8部とする他は製造例6と同様に重合し、重合体溶液(B−3)を得た。
オートクレーブにキシレン100部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。スチレンを385部、n−ブチルアクリレートを115部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.6部およびキシレン50部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で2時間保った後、175℃に昇温し1時間重合させて重合体溶液(C−1)を得た。
4口フラスコに水950部、ポリビニルアルコール[(株)クラレ製PVA235]の2%水溶液50部を加え、これにスチレンを371部、n−ブチルアクリレートを125部、マレイン酸モノブチルを4部、2.2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン2部からなる混合液を加えて撹拌し懸濁液とした。フラスコを充分窒素で置換した後、95℃まで昇温し、重合を開始した。同温度で重合を継続させ、24時間後に転化率が98%になったことを確認した後、100℃に昇温し、同温度で2時間保ち、重合を完結させた。後処理として濾別、水洗、乾燥し、重合体(C−2)を得た。
使用するモノマーを、スチレンを350部、n−ブチルアクリレートを137部、アクリル酸を13部とする他は製造例9と同様に重合し、重合体溶液(C−3)を得た。
使用するモノマーを、スチレンを375部、n−ブチルアクリレートを125部、重合温度を87℃とする以外は製造例10と同様に重合し重合体(D−1)を得た。
使用するモノマーを、スチレンを368部、n−ブチルアクリレートを125部、アクリル酸を7部、重合温度を85℃とする以外は製造例10と同様に重合し重合体(D−2)を得た。
オートクレーブを窒素で置換した後、低分子量ポリプロピレン[ビスコール550P]20部、低分子量ポリエチレン[三洋化成工業(株)製サンワックスLEL800P;数平均分子量6000]1部、スチレン360部、n−ブチルアクリレート130部、アクリル酸10部、1,6ヘキサンジオールジアクリレート0.01部、および2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン4部を仕込み、1時間で95℃まで昇温し、同温度で2時間塊状重合を行った。引き続きキシレン120部を1時間かけて滴下した後、110℃まで1時間で昇温し、同温度で3時間重合した。その後150℃まで昇温し、同温度で1時間重合した後、キシレン700部を加えて希釈し重合体溶液(C−4)を得た。
オートクレーブに重合体溶液(A−2)を1115部、重合体溶液(B−1)を104部、重合体(C−2)を170部、重合体(D−1)を100部仕込み、キシレン還流下で重合体(C−2)と(D−1)を均一に溶解した。次にキシレンを溜去しながら170℃に昇温した後、減圧とした。圧力1kPa以下で脱溶剤を継続し、ガスクロマトグラフにより樹脂中のキシレン含量が400ppm以下であることを確認し、トナーバインダー(TB−1)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−3)を1003部、重合体溶液(B−2)を130部、重合体溶液(C−3)を130部、重合体(D−2)を220部とした他は実施例1と同様にしてトナーバインダー(TB−2)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−1)を917部、重合体溶液(B−1)を65部、重合体溶液(C−1)を130部、重合体(C−2)を100部、重合体(D−1)を220部とした他は実施例1と同様にしてトナーバインダー(TB−3)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−5)を919部、重合体溶液(B−1)を65部、重合体溶液(C−1)を130部、重合体(C−2)を100部、重合体(D−1)を220部とし、さらに低分子量ポリプロピレン[ビスコール550P]10部を添加する他は実施例1と同様にしてトナーバインダー(TB−4)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−1)を917部、重合体溶液(B−1)を65部、重合体溶液(C−4)を941部、重合体(D−2)を70部とした他は実施例1と同様にしてトナーバインダー(TB−5)を得た。
重合体溶液(B−1)65部の代わりに、重合体溶液(B−3)65部を用いる他は実施例5と同様にしてトナーバインダー(TB−6)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(RA−4)を1150部、重合体溶液(B−1)を104部、重合体(C−2)を170部、重合体(D−1)を100部とした他は実施例1と同様にして比較のトナーバインダー(RTB−1)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−2)を1116部、重合体溶液(B−2)を104部、重合体溶液(C−1)を130部、重合体(D−2)を170部とした他は実施例1と同様にして比較のトナーバインダー(RTB−2)を得た。
使用する重合体(溶液)を、重合体溶液(A−3)を1176部、重合体(C−2)を250部、重合体(D−2)を70部とした他は実施例1と同様にして比較のトナーバインダー(RTB−3)を得た。
〔トナーの作成〕
トナーバインダー(TB−1)〜(TB−6)、および(RTB−1)〜(RTB−3)の各々88部に、カーボンブラック[三菱化成(株)製 MA100]7部、低分子量
ポリプロピレン[三洋化成工業(株)製 ビスコール550P]3部、および荷電調整剤(保土谷化学製 スピロンブラックTRH)2部をヘンシェルミキサーFM10B〔三井三池化工機(株)製〕で均一混合した後、樹脂温度130℃の二軸押出機[PCM30、(株)池貝製]で混練し、冷却物をジェット粉砕機[ラボジェットLJ、日本ニューマチック工業(株)製]で微粉砕し、デイスパージョンセパレータ[MDS−II、日本ニューマチック工業(株)製]で分級した。ついで、トナー粒子100部とコロイダルシリカ(日本アエロジル製アエロジルR972)0.5部とを均一混合して、体積平均粒径9μmの本発明のトナー(T−1)〜(T−6)、および比較のトナー(RT−1)〜(RT−3)を得た。
なお、体積平均粒径は、コールターカウンター(マルチサイザーTM3、ベックマンコールター社製)で測定した。
トナー(T−1)〜(T−6)、および(RT−1)〜(RT−3)のそれぞれについいての評価結果を表2に示す。
表2に示したように、本発明のトナーバインダー(TB−1)〜(TB−6)による本発明のトナー(T−1)〜(T−6)は、優れた低温定着性および耐ホットオフセット性を有しており、画像安定性にも優れている。一方、比較のトナーバインダー(RTB−1)〜(RTB−3)による比較のトナー(RT−1)〜(RT−3)は、定着温度幅が狭くなったり、カブリを生じるなど画像特性に劣ものであった。このように本発明のトナーバインダーを使用することにより、特にトナーの長時間使用時の画質劣化に問題のないトナーを得ることが出来る。
Claims (5)
- 重量平均分子量が3000以上2万未満であるスチレン(共)重合体(A)、重量平均分子量が2万以上10万未満であるスチレン(共)重合体(B)、重量平均分子量が10万以上70万未満であるスチレン(共)重合体(C)、および重量平均分子量が70万以上120万以下であるスチレン(共)重合体(D)を含有し、各(共)重合体の溶解性パラメーターをそれぞれSP(A)、SP(B)、SP(C)、およびSP(D)としたときに下記式(1)の関係を満たす電子写真用トナーバインダー。
SP(A)>SP(B)>SP(C)>SP(D) (1) - スチレン(共)重合体(A)、(B)、(C)、および(D)の重量比が、(A):(B):(C):(D)=(45〜70):(3〜20):(5〜40):(5〜30)である請求項1記載の電子写真用トナーバインダー。
- 重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が30〜150である請求項1または2記載の電子写真用トナーバインダー。
- さらに離型剤(G)を含有する請求項1〜3のいずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
- 請求項1〜4のいずれか記載の電子写真用トナーバインダーと着色剤を含有するトナー。
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