JP5339067B2 - ルテニウムの分離方法 - Google Patents
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Description
〔1〕白金族を含有する溶液から白金を除去した後に、溶液中のルテニウムを4価の塩化物イオンにして塩化アンモニウムを添加し、塩化ルテニウム酸アンモニウムを沈澱させて分離することを特徴とするルテニウムの分離方法。
〔2〕白金族を含有する溶液から白金を除去した後に、塩素イオン濃度5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV以上に調整して塩化アンモニウムを添加する上記[1]に記載するルテニウムの分離方法。
〔3〕白金族を含有する塩酸酸性溶液について、塩素イオン濃度を0.5〜3mol/Lに調整して塩化アンモニウムを添加し、生成した白金含有沈澱を固液分離して除去した後に、濾液の塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV以上に調整して塩化アンモニウムを添加する上記[1]または上記[2]に記載するルテニウムの分離方法。
〔4〕白金含有沈澱を固液分離した濾液に塩酸を添加して、塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV〜900mVに調整し、60℃以上で1時間以上保持した後に、塩化アンモニウムを添加する上記[1]〜上記[3]の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
〔5〕塩化アンモニウムを添加した後に、溶液を30℃以下に冷却する上記[1]〜上記[4]の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
〔6〕白金およびルテニウムと共にパラジウム、ロジウム、イリジウムを含む溶液について、塩素イオン濃度を0.5〜3mol/Lに調整して塩化アンモニウムを添加し、生成した白金含有沈澱を固液分離して除去した後に、濾液の塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV〜900mVに調整して塩化アンモニウムを添加することにより、パラジウム、ロジウム、イリジウムを液に残して、ルテニウムを選択的に沈澱させて分離する上記[1]〜上記[5]の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
本発明の処理方法は、白金族含有溶液として、例えば、銅製錬における各種の酸浸出液を用いることができる。銅製錬における白金族含有酸浸出液には、例えば、白金が20〜50g/L、ルテニウム5〜10g/L、が含まれている。本発明の処理方法はこのような酸浸出液について適用することができる。
本発明の処理方法は、白金族含有溶液から先ず白金を除去する。白金の除去方法としては、例えば、白金族含有溶液の塩素イオン濃度を0.5〜3mol/L、好ましくは、1〜2mol/Lに調整し、塩化アンモニウムを添加することによって、次式に示すように、白金は塩化白金酸アンモニウム〔(NH4)2PtCl6〕を形成して沈澱するので、これを固液分離して液中から除去することができる。
白金族を含有する溶液から白金を除去した後に、溶液中のルテニウムを4価の塩化物イオンにして塩化アンモニウムを添加し、ルテニウムを沈澱させる。白金を除去した溶液の塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位(対銀/塩化銀電極)を800mV以上、好ましくは800mV〜900mVに調整することによって、ルテニウムは4価の塩化物イオン(RuCl6 2-)になり、塩化アンモニウムを添加すると、次式に示すように、塩化ルテニウム酸アンモニウム〔(NH4)2RuCl6〕を形成して沈澱する。
白金族元素を含む溶液(元液1)に、塩酸を加えて塩素イオン濃度を6mol/Lに調整し、過酸化水素を加えてORPを845mVに調整した。元液1の分析値を表1に示した。この溶液200mLをビーカーにとり70℃で3時間保持した後に、塩化アンモニウム22gを添加して室温まで冷却した後に濾過して濾液198mLと沈殿物1.7gを分離し、沈殿物中のRu量0.5gを回収した。濾液中に残留するRu濃度は385mg/Lであり、Ruの回収率は87.3%であった。一方、濾液中のPd、Rhの濃度はそれぞれ18.0g/L、250mg/Lであり、元液中のPdおよびRhの大部分は濾液に残留しており、沈殿物中のRuと分離されていた。
白金族元素を含む溶液(元液1)に、塩酸を加えて塩素イオン濃度を6mol/Lに調整し、過酸化水素を加えてORPを845mVに調整した。この溶液200mLをビーカーにとり70℃で3時間保持した後に、塩化アンモニウム28gを添加して室温まで冷却した後に濾過して濾液186mLと沈殿物2.1gを分離し、沈殿物中のRu量0.6gを回収した。濾液中に残留するRu濃度は100mg/Lであり、Ruの回収率は96.9%であった。一方、濾液中のPd、Rhの濃度はそれぞれ12g/L、237mg/Lであり、元液中のPdおよびRhの大部分は濾液に残留しており、沈殿物中のRuと分離されていた。
塩素イオン濃度を2mol/L、ORP836mVの白金族元素を含む溶液(元液2)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。元液2の分析値を表1に示した。この溶液200mLをビーカーにとり70℃で3時間保持した後に、塩化アンモニウム22gを添加して室温まで冷却した後に濾過して濾液198mLと沈殿物0.3gを分離し、沈殿物中のRu量0.1gを回収した。濾液中に残留するRu濃度は5520mg/Lであり、Ruの回収率は5.5%であった。一方、濾液中のPd、Rhの濃度はそれぞれ34.8g/L、528mg/Lであった。
塩素イオン濃度を6mol/L、ORP412mVの白金族元素を含む溶液(元液3)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。元液3の分析値を表1に示した。この溶液200mLをビーカーにとり70℃で3時間保持した後に、塩化アンモニウム22gを添加して室温まで冷却した後に濾過して濾液198mLと沈殿物0.3gを分離し、沈殿物中のRu量0.1gを回収した。濾液中に残留するRu濃度は1820mg/Lであり、Ruの回収率は45.5%であった。一方、濾液中のPd、Rhの濃度はそれぞれ20.8g/L、301mg/Lであった。
Claims (6)
- 白金族を含有する溶液から白金を除去した後に、溶液中のルテニウムを4価の塩化物イオンにして塩化アンモニウムを添加し、塩化ルテニウム酸アンモニウムを沈澱させて分離することを特徴とするルテニウムの分離方法。
- 白金族を含有する溶液から白金を除去した後に、塩素イオン濃度5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV以上に調整して塩化アンモニウムを添加する請求項1に記載するルテニウムの分離方法。
- 白金族を含有する塩酸酸性溶液について、塩素イオン濃度を0.5〜3mol/Lに調整して塩化アンモニウムを添加し、生成した白金含有沈澱を固液分離して除去した後に、濾液の塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV以上に調整して塩化アンモニウムを添加する請求項1または請求項2に記載するルテニウムの分離方法。
- 白金含有沈澱を固液分離した濾液に塩酸を添加して、塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV〜900mVに調整し、60℃以上で1時間以上保持した後に、塩化アンモニウムを添加する請求項1〜請求項3の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
- 塩化アンモニウムを添加した後に、溶液を30℃以下に冷却する請求項1〜請求項4の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
- 白金およびルテニウムと共にパラジウム、ロジウム、イリジウムを含む溶液について、塩素イオン濃度を0.5〜3mol/Lに調整して塩化アンモニウムを添加し、生成した白金含有沈澱を固液分離して除去した後に、濾液の塩素イオン濃度を5mol/L以上、および酸化還元電位を800mV〜900mVに調整して塩化アンモニウムを添加することにより、パラジウム、ロジウム、イリジウムを液に残して、ルテニウムを選択的に沈澱させて分離する請求項1〜請求項5の何れかに記載するルテニウムの分離方法。
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