JP5329217B2 - 複金属シアン化物錯体(dmc)触媒の製造方法 - Google Patents

複金属シアン化物錯体(dmc)触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、DMC触媒とも呼ばれる、複属シアン化化合物の製造方法に関する。
DMC触媒はH−官能基を有する開始物質、特にアルコール類へアルキレンオキシド類を添加することにより、ポリエーテルアルコール類を製造する際に利用される。DMC触媒が使用される場合、製造中の空時収率を増加することができる。この方法により製造されたポリエーテルアルコール類は不飽和の構成成分の含有量が減少する。
DMC触媒は一般的にヘキサシアノメタレート化合物、好ましくはヘキサシアノコバルテートまたはヘキサシアノコバルト酸を金属塩と反応させることにより製造される。反応混合物中のヘキサシアノメタル酸の使用方法は例えば、EP 862 997、WO 03/080239、WO 03/080240およびWO 03/080241に記載されている。
ヘキサシアノメタル酸類の製造は一般的にEP 862 997に記載のとおりに、イオン交換体によって行われる。
WO 03/080239、WO 03/080240およびWO 03/080241においては、DMC類の製造は他の方法により行われる。
この方法では、ヘキサシアノメタレート塩を水に溶解し、硫酸にて酸性化する。メタノールなどの有機溶媒をこの溶液に添加すると硫酸カリウムの沈殿が生じる。これをろ過して除去し、本方法で得られたヘキサシアノメタル酸の溶液を金属塩成分の水溶液と化合してDMC触媒へ変換させる。この反応において、配位子(ligands)および/または有機添加剤が存在していてもよく、または添加することができる。
この方法(以下、「ソルトメタセシス」ともいう)はイオン交換によるヘキサシアノメタル酸の製造の代替法に相当する。ろ過による硫酸カリウムの除去はイオン交換と同様に、付加的な工程であり、この場合、一般的にプロセス工学的な困難性が付随する、固形物の処理が必要となる。さらに、沈殿させるために有機溶媒の使用が必要であり、さらなるコストが掛かることになる。さらにまた、触媒中に生成した塩が少なくとも部分的に残ることを排除することができない。
WO 99/56874にはプロトン酸で処理した触媒について記載されている。酸の添加は触媒合成の間または後に行われるが、どの場合であっても、金属塩およびシアノメタレート成分からDMC化合物が沈殿した後である。高分子量物質の比率を減じたポリエーテルオールはこれらの触媒を使用して製造することができる。
US 4,477,489には無機酸、特にハロゲン化水素酸を構造に含むDMC触媒について記載されている。この目的のため、沈殿したDMC化合物は無機酸で処理され、その酸は触媒に組み込まれる。酸の結合によりDMC触媒の懸濁液の粘度が改良されると言われている。さらに、沈殿工程後に触媒中に存在する水酸基はいずれも結果的に反応すると言われている。
記載された方法は、沈殿したDMC化合物について無機酸による処理を伴う付加的な工程を必要としている。US 4,477,589の記載されているように、DMC触媒中に酸が残存すると、例えばUS 4,477,589に推奨として記載されている塩酸の場合のように、腐食の問題が発生する。従って、ポリオール製造用の反応機は腐食耐性で作られなければならず、より高いコストが必要となる。さらに、DMC触媒に吸収されただけの比較的揮発性の酸がDMC触媒の方法により製造した製品へ入ることも無視することはできない。塩素含有酸の場合、有機塩素化合物の生成の可能性があるため、問題となることがある。例えば、塩酸がエーテル結合を開裂し、さらに次々と有機塩素化合物が生成する望ましくない反応を触媒することなどは無視することはできない。
EP 862 997 WO 03/080239 WO 03/080240 WO 03/080241 WO 99/56874 US4,477,489 US4,477,589 WO 01/64772 WO 99/16775 WO 98/06312 US5,158,922 WO 01/03830 EP 879259 WO 01/44347 WO 98/52689
本発明の目的は高い触媒活性を有するDMC触媒を得るために、DMC触媒の簡易化した製造方法を見出すことである。
驚いたことに、高い触媒活性を有するDMC触媒はシアノメタレート化合物と金属塩類との反応がブレンステッド酸の存在下で行われる場合に得られることが見出された。
従って、本発明はシアノメタレート化合物、好ましくはシアノメタレート塩類、特に好ましくはシアノメタレートのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩類と金属塩類と反応させることによりDMC触媒を製造する方法であって、その反応をブレンステッド酸の存在下で行うことを特徴とする製造方法を提供する。
本発明はさらに、本発明の方法により製造されたDMC触媒を提供する。
本発明はさらに、本発明の方法により製造されたDMC触媒を使用したH−官能基を有する開始物質へアルキレンオキシド類を添加することによりポリエーテルアルコール類を製造する方法を提供する。
金属塩およびシアノメタレート化合物は共に溶液の状態、特に水溶液の状態で反応される。
ブレンステッド酸としては、原則として室温で安定な、全ての水溶性無機物およびカルボン酸類が使用可能である。カルボン酸類は1個以上のカルボキシル基および20個以下の炭素原子を含んで良く、電気陰性成分、例えばクロロ酢酸類、フルオロ酢酸類またはハロゲン化安息香酸類と置換されたカルボン酸類が好ましい。しかしながら、無機酸の使用が特に好ましい。これらは好ましくは硫酸、塩酸、亜硫酸、アルキルスルホン、アリールスルホンおよびハロスルホン酸類[前記3種スルホン酸はHSO3X(Xはハロゲン、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、アリール、好ましくはフェニルまたはナフチル)で表される]、ピロ硫酸、塩素酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硫化水素、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、硝酸、亜硝酸から成る群から選択される。特に好ましくは硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ハロスルホン酸、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リン酸、硝酸であり、さらに特に好ましくは硫酸および塩酸である。
好ましくは、DMCの沈殿工程が完了した後のpHが3〜6、好ましくは4〜6となるような量で酸を添加する。
酸は少なくとも1種の開始化合物または両方に添加することができ、または別個の流れとして、反応槽へ導入することができる。好ましくは、酸はヘキサシアノメタレート化合物に添加する。酸が反応の開始時、即ち金属塩の溶液がシアノメタレート化合物の溶液と化合されるときに確実に存在していることが重要である。
本発明の複属シアン化化合物類はブレンステッド酸の存在下で行われる反応で、以下に示すように従来の方法で製造される。
本目的のため、シアノメタレート化合物、特にシアノメタレート塩の水溶液を金属塩の水溶液と化合する。これは通常は化学両論的に過剰な金属塩を使用して行われる。好ましくは、金属イオンのシアノメタレート成分に対する分子比が1.1〜7.0、好ましくは1.2〜5.0および特に好ましくは1.3〜3.0となるように使用して行われる。シアノメタレート溶液を反応槽中にブレンステッド酸と共に入れ、金属塩溶液を加えることは有利であるが、逆の工程も採用できる。開始溶液の化合中および後において、例えば攪拌などにより、よく混合することが必要である。
シアノメタレート化合物の水溶液中の含有率は水溶液の質量を基準として、0.1〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.2〜10質量%である。金属塩成分の金属塩溶液中の含有率は金属塩溶液の質量を基準として0.1〜50質量%、好ましくは0.2〜40質量%、特に好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明の方法の一実施形態において、少なくとも1種の開始物質の水溶液は一般式(I)においてLとして指定および説明されているヘテロ原子含有配位子を含む。ヘテロ原子含有配位子は2種の開始溶液の化合により生成した懸濁液に、十分に良く攪拌しながら加えることもできる。
そのような化合物が使用される場合、沈殿工程後に生成した懸濁液中のヘテロ原子含有配位子の含有率は1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
属シアン化化合物類の形態を整えるため、界面活性物質の存在下でこれらの化合物の製造を行うことが有用であることが見出された。界面活性物質は一般的に、初めに2種の溶液の内の少なくとも1種に入れられ、好ましくは沈殿工程中および/または直後に添加される。界面活性物質の沈殿溶液中の含有率は沈殿懸濁液の全質量を基準として、好ましくは0.01〜40質量%、特に好ましくは0.05〜30質量%である。さらに好ましい実施形態において、界面活性物質は両方の開始溶液に比例的に分配して供給される。
WO 01/64772に記載されているように、さらに好ましい複属シアン化化合物の製造の実施形態において、金属塩とシアノメタレート化合物との反応は2段階で行われる。その方法では、触媒的に不活性な位相、特に立方相(cubic phase)である複属シアン化化合物が最初に製造され、次に、再結晶により触媒的に活性な位相である複属シアン化化合物へ変換される。再結晶は様々な方法で行うことができる。従って、反応後、生成された懸濁液にさらに開始溶液、特に金属塩の溶液を加えることができる。また、沈殿工程が完了した後、沈殿の懸濁液の温度を変えること、特に懸濁液を加熱することができる。さらに、沈殿工程が完了した後、沈殿懸濁液にヘテロ原子含有配位子および/または界面活性物質をさらに添加することもできる。
本発明の方法の特に好ましい実施形態において、例えばWO 99/16775に記載されているように、複属シアン化化合物、特に結晶の複属シアン化化合物が最初に製造される。その後、これはさらなる工程、例えば、好ましくは不活性ガスの存在下で加熱処理する方法により、本発明による複属シアン化化合物へ変換することができる。
加熱処理を行うため、複属シアン化化合物を沈殿懸濁液から分離し、乾燥することができる。本方法の一実施形態において、複属シアン化化合物は沈殿懸濁液中で加熱処理が行われる。さらなる本方法の実施形態において、従来の方法で製造された複属シアン化化合物がポリエーテルアルコール類を製造するために使用される開始物質へ加えられ、この混合物が加熱処理される。この際、必要に応じて減圧下および/または不活性ガスを混合物に通気して行われる。
好ましくは、加熱処理は温度90〜200℃、特に100〜160℃で行われる。
沈殿工程の後、沈殿した複属シアン化化合物は沈殿懸濁液から分離される。これは遠心分離、または好ましくはろ過により行うことができる。分離された沈殿は、好ましくは水で1回以上洗浄される。有機配位子および/または界面活性化合物もまた洗浄水に加えることができる。
本発明の方法により製造される複属シアン化物触媒は一般式:
Figure 0005329217
[上記式中、
1はZn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Cr2+、Cr3+、Cd2+、Cu2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Mg2+、Ti3+、Ti4+、Ag+、Rh2+、Ru2+、Ru3+、Pd2+、好ましくはZn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+から成る群から選択される金属イオンであり、
2はFe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Ni2+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+、Ir3+、好ましくはFe2+、Fe3+、Co2+、Co3+およびIr3+から成る群から選択される金属イオンであり、
1およびM2は異なっており、
Aはハロゲン化物、水酸化物、硫酸、硫酸水素、炭酸、炭酸水素、シアン化物、チオシアン酸、イソシアン酸、シアン酸、カルボン酸、シュウ酸、硝酸、ニトロシル、リン酸、リン酸水素およびリン酸二水素から成る群から選択されるアニオンであり、
Xはハロゲン化物、水酸化物、硫酸、硫酸水素、炭酸、炭酸水素、シアン化物、チオシアン酸、イソシアン酸、シアン酸、カルボン酸、シュウ酸、硝酸、亜硝酸(NO2 -)から成る群から選択されるアニオンであり、
Lはアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、ポリエーテル類、エステル類、ポリエステル類、ポリカーボネート、尿素類、アミド類、ニトリル類、硫化物類及びそれらの混合物から成る群から選択された水混和性の配位子であり、
Pはポリエーテル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールグリシジルエステル類、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリルアミド−co−マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート類、ポリアルキルメタクリレート類、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸−co−スチレン)、オキサゾリンポリマー類、ポリアルキレンイミン類、マレイン酸および無水マレイン酸コポリマー類、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアセテート類、イオン性界面活性化合物類、胆汁酸類およびその塩類、エステル類およびアミド類、多価アルコール類およびグリコシド類のカルボン酸エステル類から成る群から選択される有機添加剤であり、
および
a、b、d、gおよびnは0より大きい整数または分数であり、
c、f、e、hおよびkは0より大きい整数または分数または0であり、
a、b、cおよびd、同様にgおよびnは化合物が電気的に中性であるように選択される。]
を有する。
後述のように、DMC触媒は好ましくは一般式M1 anの金属塩類と一般式M3 a[M2(CN)b(A)c]d(式中、M3はアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、残りの記号は前記の通りである。)のシアノメタレート化合物との反応により製造される。
本発明の方法により製造された触媒は結晶質または非結晶質である。kが0の場合、結晶質の金属シアン化化合物が好ましい。kが0より大きい場合、結晶質、部分的に結晶質および実質的に非結晶質の触媒が好ましい。
本発明の方法により製造されたDMC触媒について多種の好ましい実施形態がある。
好ましい一実施形態においては、kが0より大きい一般式(I)の触媒を含む。
好ましい触媒は、
a)少なくとも1種の複属シアン化化合物と
b)少なくとも1種の有機配位子と
c)少なくとも1種の有機添加剤P
を含む。

もう1つの好ましい触媒の実施形態においては、kは0であり、eも任意に0であり、Xが専らカルボン酸アニオン、好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸アニオンである。このようなDMC触媒は、例えばWO 99/16775に記載されている。この実施形態においては、結晶質の複金属シアン化触媒が好ましい。
その他の好ましい触媒の実施形態において、f、eおよびkは0ではない。この場合、WO 98/06312に記載されているように、DMC触媒は水混和性の有機配位子を通常は0.5〜30質量%の量で、および有機添加剤を通常は5〜80質量%の量で含む化合物である。US5,158,922に記載されているように、触媒は攪拌により、好ましくは、例えばTurrax法により24,000rpmの激しい攪拌により製造することができる。
同様に適切な触媒は特許出願WO 01/03830に記載されている。そのようなDMC触媒は、一般式、R−S(O)2−Rの有機スルホンまたは一般式、R−S(O)−Rのスルホキシドを有機錯化剤として使用して製造される。その触媒の有利点は誘導時間が短い点、およびアルキレンオキシド類の付加反応において熱の発生が緩やかである点である。ここでは、DMC触媒は「初期湿潤法(Incipient Wetness Method)」により合成される。これらの触媒は同様に本発明の方法により製造することができる。
以下に示すように、記載された触媒の存在下でH−官能基を有する開始物質へアルキレンオキシド類を添加することにより、本発明の方法により製造されたDMC触媒を使用してポリエーテルアルコール類の製造が行われる。
アルキレンオキシド類として、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどの全ての既知のアルキレンオキシド類が使用できる。特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび上記の化合物の混合物がアルキレンオキシド類として使用される。
使用される開始物質はH−官能基を有するル化合物である。特に1〜8個、好ましくは2〜8個の官能基を有するアルコール類が使用される。柔軟性ポリウレタンフォームに使用されるポリエーテルアルコール類を製造するため、開始物質は、特に2〜6個、さらには2〜3の官能基を有するアルコール類が採用される。例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールが挙げられる。DMC触媒法によるアルキレンオキシド類の付加反応において、上記のアルコール類とアルキレンオキシド類、特にプロピレンオキシドとの反応生産物を上記のアルコール類と共に、またはその代わりに使用することが有利である。そのような化合物は1000g/mol以下の分子量を有することが好ましい。これらの反応生産物の製造におけるアルキレンオキシド類の付加反応はいかなる触媒の使用、例えば塩基性触媒の使用により行うことができる。柔軟性ポリウレタンフォームの生産のためのポリエーテルアルコール類は20〜100mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有しているのが通常である。
一般的に、全ての開始物質は最初に荷電しており、アルキレンオキシドが活性化後に計量導入される。
特にポリエーテルアルコール類の製造の実施形態において、開始物質のほんの一部が最初に反応槽に投入され、アルキレンオキシドの添加により反応が開始される。さらに開始物質およびアルキレンオキシドが反応の少なくとも一部の期間中に計量導入される。この手順は、例えばEP 879259に記載されている。本発明の方法で行うことによりポリエーテルアルコールにおける非常に高分子量の成分の生成を抑制することができる。
界面活性化合物を製造する際は、特に好ましくは二官能性アルコール類(bifunctional alcohols)が開始物質として使用される。キャリアオイルを製造する際は、主鎖に5〜20の炭素原子を有する一官能性アルコール類(monofunctional alcohols)が開始物質として使用される。
本発明の方法を使用したポリエーテルアルコール類の製造におけるアルキレンオキシド類の付加反応は既知の方法により行うことができる。従って、ポリエーテルアルコール類に1個のみのアルキレンオキシドを含むことができる。多数のポリエーテルアルコール類を使用する場合、アルキレンオキシド類が単独で連続して付加されるブロック付加、またはアルキレンオキシド類が共に導入されるランダム付加の可能性がある。また、製造中にブロック付加部分とランダム付加部分の両方が形成される可能性もある。界面活性化合物およびキャリアオイルを製造する際は、アルキレンオキシド類をブロック付加するのが通常である。
柔軟性ポリウレタンスラブストックフォームを製造する際は、第二級水酸基の含有率が高く、ポリエーテル鎖中のエチレンオキシド単位の含有率がポリエーテルアルコールの重量に基づいて30質量%以内であるポリエーテルアルコール類を使用することが好ましい。好ましくは、これらのポリエーテルアルコール類は鎖末端にプロピレンオキシドブロックを有する。成形柔軟性ポリウレタンフォームを製造する場合、特に、第一級水酸基の含有率が高く、エチレンオキシド末端ブロックの量がポリエーテルアルコールの重量に基づいて<20質量%であるポリエーテルアルコール類が使用される。成形柔軟性フォームのために専らDMC触媒により製造されるポリエーテルオール類の場合はWO 01/44347に記載されるアルコキシレーション法およびその結果として得られるポリエーテルオール類も使用することができる。
アルキレンオキシド類の付加反応は通常の条件下、温度は60〜180℃、好ましくは90〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃の範囲で、圧力は0〜20bar、好ましくは0〜10bar、さらに好ましくは0〜5barの範囲で行われる。開始物質およびDMC触媒の混合物はWO 98/52689の教示によると、アルコキシレーションの開始前にストリッピングによる前処理をすることができる。
アルキレンオキシド類の付加反応が完了した後、ポリエーテルアルコールは蒸留、蒸気ストリッピング、ガスストリッピングおよび/またはその他の脱臭法により未反応のアルキレンオキシド類および揮発性成分を除去する従来の方法により後処理される。必要に応じて、ろ過も行われる。
本方法で製造されたポリエーテルアルコール類は、例えばポリウレタンの生産に、界面活性剤としてまたはキャリアオイルとして使用することができる。
驚いたことに、本発明のDMC触媒の使用は非常に良好な特性を有するポリエーテルアルコール類の製造を可能にする。狭い範囲の分子量分布により、結果的に低い製品粘度および低い高分子量成分含有率が生じる。さらに、アルコキシレーション反応の開始時の導入時間が有意に短縮され、低い総圧力および低い遊離アルキレンオキシド含有率で反応が進行する。
DMC触媒の製造の先行技術に記載された方法と比較すると、ヘキサシアノメタル酸が分離工程において初めに製造される工程は確保されている。触媒活性は、イオン交換または金属塩とのソルトメタセシスにより製造された、H3[Co(CN)6]の反応によって得られたDMC触媒(以下、従来のDMC触媒という)と同程度またはそれ以上である。本発明の方法により製造されたDMC触媒で、開始アルコール類とアルキレンオキシド類との反応において、例えば、従来のDMC触媒を使用して合成したポリオール類と同程度またはそれ以上の、低粘度、狭い範囲の分子量分布、および低い高分子量成分含有率などの優れた性質を有するポリエーテルアルコール類を製造することができる。同時に、その新しい改良されたDMC触媒は成分として酸を含まない。
本発明を以下の実施例により説明する。
1000gのK3[Co(CN)6]水溶液(0.9質量%コバルト(Co))を2リットル攪拌容器に投入した。温度は25℃に設定した。pHは5M硫酸を用いて1.1に調整した。1W/リットルの攪拌力で、580gの酢酸亜鉛溶液(2.6質量%亜鉛(Zn))を45分間かけて計量導入した。攪拌力を0.4W/リットルに下げた。100gのPluronic(登録商標)PE6200(BASF AG社)を添加し、溶液を55℃に加熱した。200gの酢酸亜鉛溶液(2.6質量%亜鉛(Zn)を10分間かけて添加した。添加後のpHは4.8であった。反応後の時間は実験の総時間が200分となるように設定した。触媒をろ過し、続いて1リットルの水に2回、再懸濁した。最後のろ過後、触媒を60℃で16時間乾燥した。
実施例1の手順を100gのPluronic PE6200の代わりに40gのPluronic PE6200を使用して繰り返した。
実施例1の手順を100gのPluronic PE6200の代わりに40gのLutensol(登録商標)AP20(BASF AG社)を使用して繰り返した。
実施例1の手順を100gのPluronic PE6200の代わりに40gのLutensol AP8(BASF AG社)を使用して繰り返した。
触媒活性の検査
250mlの攪拌オートクレーブ中で、約900g/molの分子量を有するグリセロールプロポキシレート(以下、VP900という)64gを適当量のDMC触媒と共にUltraturrax装置を用いて5分間、良く分散した。続いて、反応器を3mbar、温度100℃で2時間脱気した。続いて、36gのプロピレンオキシドを130℃で2分間かけて供給し、圧力および温度曲線を記録した。プロピレンオキシドが完全に反応した後(これは圧力が一定水準に降下することから判る)、反応生産物の周囲を窒素で満たし、10mbarで脱気し、その後、100℃でオートクレーブから排出し、収量を測定した。記録した曲線において最大値を示した時間を活性の指標とした。
Figure 0005329217
ポリオール合成の実施例
2.5kgの上記のVP900を20リットルの攪拌オートクレーブに入れ、計算した量のDMC触媒(TK085)(製造されたポリエーテルアルコールに基づいて100ppm)を混合し、VP900に分散した。130℃、減圧下で脱水した後、1.67kgのグリセロールおよびジエチレングリコールの混合物、および15.84kgのプロピレンオキシドを同時に、圧力が5barを超えないような速度で計量導入した。この方法で得られた中間体は151.5mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。6.34kgの中間体と120℃で総量13.67kgのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物とを触媒の追加なしに、同一の反応器中で反応させた。
約15分間の短い後反応の後、揮発性成分を反応混合物から蒸留によって除去し、生産物を冷却し、反応器から排出した。得られた無色透明の液体は以下の性質を有していた:ヒドロキシル価=49.0mgKOH/g、酸価=0.034mgKOH/g、粘度(25℃)=577mPas、ヨウ素価=0.04gヨウ素/100g。

Claims (3)

  1. シアノメタレート化合物を金属塩と反応させることによりDMC触媒を製造する方法であって、その反応を硫酸の存在下で行い、沈殿工程後のpHが3〜6の範囲とすることを特徴とする製造方法。
  2. シアノメタレート化合物がシアノメタレート塩である請求項1に記載の製造方法。
  3. シアノメタレート化合物がシアノメタレートのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩である請求項1または2に記載の製造方法。
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