JP5328693B2 - プリント装置およびシート処理装置 - Google Patents

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Description

本発明はデカール機構を備えたプリント装置およびシート処理装置に関する。
特許文献1には、プリント装置に適用される、ロール状に巻かれた長尺の連続シートのカール(巻き癖で生じる反り)を矯正するデカール装置が開示される。この装置は、デカール部が有するシャフト状の矯正部材にシートを所定の巻き付け角で巻きつけて通過させることで、シートのカールを矯正する力(デカール力)を作用させるものである。
特開2009−242008号公報
プリント装置においては、ロール状に巻かれたシートは、プリント終了後にはカッタでシートを切断して未使用のシート領域を送り戻してロールに巻き戻すのが通常である。この送り戻しの際にも、切断したシートの先端から所定の長さの領域がデカール部を通過するのでデカール力が作用する。再びプリントを行なう場合には再度シートを送り出してプリント部に供給するが、その際にもデカール力が作用する。このように、シートが往復するたびに同じ領域にデカール力が作用するとデカールが効きすぎて、元々のカールとは逆向きのカール(逆カール)がシートに付与されてしまう可能性がある。シートが大きく逆カールした状態でプリント部に供給されると、シートの先端がプリントヘッドに接触してしまう可能性がある。シートとプリントヘッドの接触が起きると、シートに予期せぬインクが付着したり、プリントヘッドやシートがダメージを受けることがある。
本発明は上記課題の認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は、プリント装置において、ロール状に巻かれたシートを送り出す際にデカール部を通過したシートがプリントヘッドに接触する可能性を低減することである。本発明の更なる目的は、シート処理装置において、ロール状に巻かれたシートを送り出す際にデカール部を通過したシートがシート処理部に接触する可能性を低減することである。
本発明のプリント装置は、ロール状に巻かれたシートを保持して供給するためのシート供給部と、前記シート供給部から供給されるシートにデカール力を作用させてカールを軽減するためのデカール部と、前記デカール部の下流に設けられ、シートにプリントを行なうためのプリント部と、前記プリント部の下流においてシートを切断するカッタ部とを有し、前記デカール部は前記デカール力を調整することが可能であり、前記シート供給部から前記プリント部にシートが送り出されるときに較べて前記プリント部から前記シート供給部にシートが送り戻されるときの方が、前記デカール力が小さくなるよう調整され、シートに両面プリントを行なう際には、(1)前記シート供給部からシートを送り出して前記プリント部に供給する;(2)前記供給されたシートの第1面に前記プリント部で単位画像のプリントを繰り返す;(3)前記第1面への繰返しのプリントが済んだら最後にプリントした単位画像の後ろで前記カッタ部でシートを切断する;(4)前記カッタ部での切断により前記プリント部の側に残されたシートを前記シート供給部に送り戻す;(5)第1面にプリントされたシートを反転部で表裏反転して再び前記プリント部に供給する;(6)前記反転部から供給されたシートの第2面に前記プリント部で単位画像のプリントを繰り返す;(7)前記第2面にプリントした単位画像ごとに前記カッタ部でシートの切断を繰り返して1枚ずつ排出する、シーケンスが実行されるよう制御されることを特徴とする。
本発明によれば、ロールにシートを送り戻す際にはデカール力を弱めることで過度なデカールがなされることが防止される。そのため、再びロールからシートを送り出す際にデカール部を通過したシートがプリントヘッド(またはシート処理部)に接触する可能性を低減することができる。
プリント装置の内部構成を示す概略図 制御部のブロック図 片面プリントモードでの動作を説明するための図 両面プリントモードでの動作を説明するための図 シートが切断されて送り戻しが開始される直前の状態を示す図 デカール部の構成および動作を説明するための図 デカール部のピンチローラの移動機構の詳細構造を示す図 デカール部のピンチローラの移動機構の詳細構造を示す図 プリントヘッドの昇降を説明するための図 プリントヘッドの昇降機構の詳細構造を示す全体斜視図 昇降機構の昇降シャフトの詳細構造を示す図 シート送り戻しまでのシーケンスを示すフローチャート図
以下、インクジェット方式を用いたプリント装置の実施形態を説明する。本例のプリント装置は、長尺で連続したシート(搬送方向において繰り返しのプリント単位(1ページあるいは単位画像という)の長さよりも長い連続したシート)を使用し、片面プリントおよび両面プリントの両方に対応した高速ラインプリンタである。例えば、プリントラボ等における大量の枚数のプリントの分野に適している。なお、本明細書では、1つのプリント単位(1ページ)の領域内に複数の小さな画像や文字や空白が混在していたとしても、当該領域内に含まれるものをまとめて1つの単位画像という。つまり、単位画像とは、連続したシートに複数のページを順次プリントする場合の1つのプリント単位(1ページ)を意味する。プリントする画像サイズに応じて単位画像の長さは異なる。例えばL版サイズの写真ではシート搬送方向の長さは135mm、A4サイズではシート搬送方向の長さは297mmとなる。
本発明はプリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置、各種デバイスの製造装置などのプリント装置に広く適用可能である。プリント処理はインクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式、液体現像方式など方式は問わない。また、本発明はプリント処理に限らずロールシートに種々の処理(記録、加工、塗布、照射、読取、検査など)を行なうシート処理装置にも適用可能である。
図1はプリント装置の内部構成を示す断面の概略図である。本実施形態のプリント装置は、ロール状に巻かれたシートを用いて、シートの第1面と第1面の背面側の第2面に両面プリントすることが可能となっている。プリント装置内部には、大きくは、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20、制御部13の各ユニットを備える。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。なお、シート搬送経路の任意の位置において、シート供給部1に近い側を「上流」、その逆側を「下流」という。
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを保持して供給するためのユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与える方向(所定の方向)にシートを湾曲させて通過させることでデカール力を作用させカールを軽減させる。後述するように、デカール部2はデカール力を調整することが可能となっている。
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
プリント部4は、搬送されるシートに対して上方からプリントヘッド14によりシート上にプリント処理を行なって画像を形成するユニットである。つまり、プリント部4はシートに所定の処理を行なう処理部である。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。プリントヘッド14は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型プリントヘッドを有する。プリントヘッド14は、複数のプリントヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。本例ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つのプリントヘッドを有する。なお、色数およびプリントヘッドの数は7つには限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介してプリントヘッド14に供給される。後述するように、プリント部4において、プリントヘッド14はシートから退避する方向に移動可能となっている。これにより、シートに対するプリントヘッド14の間隔が調整される。
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像をスキャナによって光学的に読み取って、プリントヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査して画像が正しくプリントされたかを判定するためのユニットである。スキャナはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを有する。
カッタ部6は、プリント後のシートを所定長さに切断する機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。
情報記録部7は、切断されたシートの非プリント領域にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報(固有の情報)を記録するユニットである。記録はインクジェット方式、熱転写方式などで文字やコードをプリントすることで行なわれる。情報記録部7の上流側且つカッタ部6の下流側には、切断されたシートの先端エッジを検知するセンサ23が設けられている。つまり、センサ23はカッタ部6と情報記録部7による記録位置との間でシートの端部を検知する、センサ23の検知タイミングに基づいて情報記録部7で情報記録するタイミングが制御される。
乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるためのユニットである。乾燥部8の内部では通過するシートに対して少なくとも下面側から熱風を付与してインク付与面を乾燥させる。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式に限らず、電磁波(紫外線や赤外線など)をシート表面に照射する方式であってもよい。
以上のシート供給部1から乾燥部8までのシート搬送経路を第1経路と称する。第1経路はプリント部4から乾燥部8までの間にUターンする形状を有し、カッタ部6はUターンの形状の途中に位置している。
反転部9は両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取って表裏反転させるためのユニットである。反転部9は、乾燥部8を通過したシートを再びプリント部4に供給するための、乾燥部8からデカール部2を経てプリント部4に到る経路(ループパス)(第2経路と称する)の途中に設けられている。反転部9はシートを巻き取るための回転する巻取回転体(ドラム)を備えている。表面のプリントが済んで切断されていない連続シートは巻取回転体に一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取回転体が逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
排出搬送部10は、カッタ部6で切断され乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。排出搬送部10は、反転部9が設けられた第2経路とは異なる経路(第3経路と称する)に設けられている。第1経路を搬送されてきたシートを第2経路と第3経路のいずれか一方に選択的に導くために、経路の分岐位置には可動フラッパを有する経路切替機構が設けられている。
ソータ部11と排出部12は、シート供給部1の側部で且つ第3経路の末端に設けられている。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に仕分けるためのユニットである。仕分けられたシートは、複数のトレイからなる排出部12に排出される。このように、第3経路はシート供給部1の下方を通過して、シート供給部1を挟んでプリント部4や乾燥部8とは逆側にシートを排出するレイアウトとなっている。
以上のように、シート供給部1から乾燥部8までが第1経路に順に設けられている。乾燥部8の先は第2経路と第3経路に分岐され、第2経路は途中に反転部9が設けられ反転部9の先は第1経路に合流する。第3経路の末端には排出部12が設けられている。
加湿部20は加湿気体(空気)を生成して、プリント部4のプリントヘッド14とシートの間に供給するためのユニットである。これにより、プリントヘッド14のノズルのインク乾燥が抑制される。加湿部20の加湿方式は、気化式、水噴霧式、蒸気式などの方式が採用される。気化式には、本実施形態の回転式の他に、透湿膜式、滴下浸透式、毛細管式などがある。水噴霧式には、超音波式、遠心式、高圧スプレー式、2流体噴霧式などがある。蒸気式には、蒸気配管式、電熱式、電極式などがある。加湿部20とプリント部4は第1ダクト21で接続され、更に加湿部20と乾燥部8は第2ダクト22で接続されている。乾燥部8ではシートを乾燥させる際に多湿且つ高温の気体が生成される。この気体は第2ダクト22を通して加湿部20に導入されて、加湿部20での加湿気体生成の補助エネルギとして利用される。そして、加湿部20で生成された加湿気体は第1ダクト21を通してプリント部に導入される。
制御部13は、プリント装置全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、記憶装置、各種制御部を備えたコントローラ、外部インターフェース、およびユーザが入出力を行なう操作部15を有する。プリント装置の動作は、コントローラまたはコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置16からの指令に基づいて制御される。
図2は制御部13の概念を示すブロック図である。制御部13に含まれるコントローラ(破線で囲んだ範囲)は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、画像処理部207、エンジン制御部208、個別ユニット制御部209から構成される。CPU201(中央演算処理部)はプリント装置の各ユニットの動作を統合的に制御する。ROM202はCPU201が実行するためのプログラムやプリント装置の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203はCPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204(ハードディスク)はCPU201が実行するためのプログラム、プリントデータ、プリント装置の各種動作に必要な設定情報を記憶読出することが可能である。操作部15はユーザとの入出力インターフェースであり、ハードキーやタッチパネルの入力部、および情報を提示するディスプレイや音声発生器などの出力部を含む。
高速なデータ処理が要求されるユニットについては専用の処理部が設けられている。画像処理部207は、プリント装置で扱うプリントデータの画像処理を行う。入力された画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像データに対し解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られたプリントデータは、RAM203またはHDD204に格納される。エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに基づいてプリントデータに応じてプリント部4のプリントヘッド14の駆動制御を行なう。エンジン制御部208は更にプリント装置内の各部の搬送機構の制御も行なう。個別ユニット制御部209は、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20の各ユニットを個別に制御するためのサブコントローラである。CPU201による指令に基づいて個別ユニット制御部209によりそれぞれのユニットの動作が制御される。外部インターフェース205は、コントローラをホスト装置16に接続するためのインターフェース(I/F)であり、ローカルI/FまたはネットワークI/Fである。以上の構成要素はシステムバス210によって接続されている。
ホスト装置16は、プリント装置にプリントを行わせるための画像データの供給源となる装置である。ホスト装置16は、汎用または専用のコンピュータであってもよいし、画像リーダ部を有する画像キャプチャ、デジタルカメラ、フォトストレージ等の専用の画像機器であってもよい。ホスト装置16がコンピュータの場合は、コンピュータに含まれる記憶装置にOS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、プリント装置用のプリント装置ドライバがインストールされる。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
次に、プリント時の基本動作について説明する。プリントは、片面プリントモードと両面プリントモードとでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。
図3は片面プリントモードでの動作を説明するための図である。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出部12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面(第1面)のプリントがなされる。長尺の連続シートに対して、搬送方向における所定の単位長さの画像(単位画像)を順次プリントして複数の画像を並べて形成していく。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において単位画像ごとに切断される。切断されたカットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。一方、最後の単位画像の切断でプリント部4の側に残されたシートはシート供給部1に送り戻されて、シートがロールR1またはR2に巻き取られる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つプリントヘッド14がシートから退避するようになっている。
このように、片面プリントにおいては、シートは第1経路と第3経路を通過して処理され、第2経路は通過しない。以上をまとめると、片面プリントモードにおいては制御部13の制御により、以下(1)〜(6)のシーケンスが実行される。
(1)シート供給部1からシートを送り出してプリント部4に供給する;
(2)供給されたシートの第1面にプリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(3)第1面にプリントした単位画像ごとにカッタ部6でシートの切断を繰り返す;
(4)単位画像ごとに切断されたシートを1枚ずつ乾燥部8を通過させる;
(5)1枚ずつ乾燥部8を通過したシートを、第3経路を通して排出部12に排出する;
(6)最後の単位画像を切断してプリント部4の側に残されたシートをシート供給部1に送り戻す。
図4は両面プリントモードでの動作を説明するための図である。両面プリントでは、表面(第1面)プリントシーケンスに次いで裏面(第2面)プリントシーケンスを実行する。最初の表面プリントシーケンスでは、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6では切断動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路(第3経路)ではなく、反転部9の側の経路(第2経路)にシートが導びかれる。第2経路においてシートは、順方向(図面では反時計回り方向)に回転する反転部9の巻取回転体に巻き取られていく。プリント部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端が切断される。切断位置を基準に、搬送方向下流側(プリントされた側)の連続シートは乾燥部8を経て反転部9でシート後端(切断位置)まで全て巻き取られる。一方、反転部9での巻取りと同時に、切断位置よりも搬送方向上流側(プリント部4の側)に残された連続シートは、シート先端(切断位置)がデカール部2に残らないように、シート供給部1に送り戻されて、シートがロールR1またはR2に巻き取られる。この送り戻し(バックフィード)によって、以下の裏面プリントシーケンスで再び供給されるシートとの衝突が避けられる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つプリントヘッド14がシートから退避するようになっている。
上述の表面プリントシーケンスの後に、裏面プリントシーケンスに切り替わる。反転部9の巻取回転体が巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)は、図の破線の経路に沿ってデカール部2に送り込まれる。デカール部2では巻取回転体で付与されたカールの矯正がなされる。つまり、デカール部2は第1経路においてシート供給部1とプリント部4の間、ならびに第2経路において反転部9とプリント部4の間に設けられて、いずれの経路においてもデカールの働きをする共通のユニットとなっている。シートの表裏が反転したシートは、斜行矯正部3を経て、プリント部4に送られて、シートの裏面にプリントが行なわれる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎に切断される。カットシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。
このように、両面プリントにおいてはシートは第1経路、第2経路、第1経路、第3経路の順に通過して処理される。以上をまとめると、両面プリントモードにおいては制御部13の制御により、以下(1)〜(11)のシーケンスが実行される。
(1)シート供給部1からシートを送り出してプリント部4に供給する;
(2)供給されたシートの第1面にプリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(3)第1面にプリントされたシートを乾燥部8を通過させる;
(4)乾燥部8を通過したシートを第2経路に導びいて、反転部9が有する巻取回転体に巻き取っていく;
(5)第1面への繰返しのプリントが済んだら最後にプリントした単位画像の後ろでカッタ部6でシートを切断する;
(6)切断したシートの端部が乾燥部8を通過して巻取回転体に達するまで巻取回転体に巻き取るとともに、切断してプリント部4の側に残されたシートはシート供給部1に送り戻す;
(7)巻取りが済んだら巻取回転体を逆回転させて、第2経路から再びプリント部4にシートを供給する;
(8)第2経路から供給されるシートの第2面にプリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(9)第2面にプリントした単位画像ごとにカッタ部6でシートの切断を繰り返す;
(10)単位画像ごとに切断されたシートを1枚ずつ乾燥部8を通過させる;
(11)1枚ずつ乾燥部8を通過したシートを、第3経路を通して排出部12に排出する。
図6はデカール部2の構成および動作を説明するための図である。デカール部2は、シート供給部1から供給されるシートに所定の方向にデカール力を作用させてカールを軽減する。図6(a)において、デカール部2はデカールローラ部121と搬送ローラ対125からなる。デカールローラ部121は、回転駆動力が与えられた駆動ローラ122と、従動回転するピンチローラ123およびピンチローラ124を含む。ピンチローラ123は駆動ローラ122に対して当接と離間ができるようになっている。ピンチローラ123は常に駆動ローラ122に当接している。図6(a)はピンチローラ123がシートSを挟んで駆動ローラ122に当接した状態を示す。シートSはピンチローラ123とピンチローラ123でともに駆動ローラ122に押し付けられて、駆動ローラ122の外周に倣って相対的に小さいRで湾曲する。この状態では所定の方向に相対的に大きなデカール力がシートSに作用する。図6(b)は、ピンチローラ123が離間した状態を示す。シートSはピンチローラ124のみで駆動ローラ122に押し付けられる。シートSは搬送ローラ対125によるニップ位置と、駆動ローラ122およびピンチローラ124によるニップ位置の2箇所で支持される。ピンチローラ123に対応する位置ではシートSは外側に膨らんで、シートSは図6(a)の状態よりも大きなRで湾曲する。そのため、シートSには所定の方向に、図6(a)の状態よりも相対的に小さなデカール力が作用する。このように、デカール部2は駆動ローラ122と、少なくとも1つ(ピンチローラ123)が駆動ローラ122に当接と離間が可能である複数のピンチローラを備える。そして、ピンチローラ123の当接と離間によって駆動ローラでのシートの湾曲の状態が変化してデカール力が調整される。
図7は、デカール部2のピンチローラ123を移動させる移動機構の詳細構造を示す図である。図7はピンチローラ123が駆動ローラ122に当接した状態、図8はピンチローラ123が駆動ローラ122から離間して退避した状態を示す。移動機構はカム126と押圧ばね127を有し、カム126が回転駆動することで押圧バネ127を介してピンチローラ123が当接位置と離間位置の間で切り替わる。
図9はプリント部4の構成および動作を説明するための図である。図9(a)において、プリント部4はプリントヘッド14と、これを挟んで上流側の搬送ローラ対141および下流側の搬送ローラ対142からなる。シートSは搬送ローラ対142と搬送ローラ対142のそれぞれでニップされて搬送される。プリントヘッド14はシートSから退避する方向に移動可能であり、シートに対するプリントヘッド14の間隔が調整される。図9(a)はプリントヘッド14は通常位置にある状態を示す。図9(b)はプリントヘッド14が通常位置から離間した状態を示す。
図10は、プリントヘッド14の昇降機構の詳細構造を示す全体斜視図である。筐体151にはプリントヘッド14が収容されている。プリント装置のフレームを基準で固定された筐体152に対して筐体151が上下動することで、プリントヘッドがシートに対して昇降する。上下動は2つの昇降シャフト144、145によってなされる。モータ143とギア149により昇降シャフト144が回転する。また、ベルト146、147、148とギア150により昇降シャフト145が昇降シャフト144と連動して回転する。図11は昇降シャフト145の詳細な構成を示す。筐体152に対して昇降シャフト145が固定部153で固定されている。昇降シャフト145には移動部154がボールネジ機構で係合している。異動部はプリントヘッド14側の筐体151と接続されている。昇降シャフト144も同様の構成からなる。昇降シャフト144、145が回転するとボールネジ機構によって移動部154がシャフトの軸方向の直線移動して、筐体151すなわちプリントヘッド14が上下動する。
次に、シート切断後に上流側に残されたシートをシート供給部1に送り戻す際の動作についてさらに詳しく説明する。図12はプリント開始からシート送り戻しまでのシーケンスを示すフローチャート図である。上述したように、片面プリントモード、両面プリントモードのいずれにおいても、シートの第1面へのプリント後に切断されたシートの送り戻しが行なわれる。
プリント動作開始の指令に基づいて、シート供給部1からシートの送り出される(ステップS1)。供給されたシートはプリント部4においてプリントが行なわれる(ステップS2)。シートの第1面への複数の単位画像のプリントが終了したら、カッタ部6にて最後の単位画像の後ろの位置でシートが切断される(ステップS3)。シート切断と同時にプリントヘッド14がシートから退避するとともに、デカール部2でデカールが解除される(ステップS4)。その後、シートがシート供給部1に送り戻されてロールに巻き取られる(ステップS5)。図5はシートが切断されて送り戻しが開始される直前の状態の図であり、送り戻されるシートSを太線で示している。この例では、シートはロールR1に巻き戻される。片面プリントモードでは以上でプリント動作は終了する。再びプリントを行なう場合には、ステップS1から同様のシーケンスが実行される。両面プリントモードでは、続いてシートの第2面へのプリントが行なわれる。
上述したように、デカール部2はデカール力を調整することが可能である。シート供給部1からプリント部4にシートが送り出されるとき(ステップS1、ステップS2)は、デカール部2は図6(a)のような状態とされる。一方、プリント部4からシート供給部1にシートが送り戻されるとき(ステップS5)は、デカール部2は図6(b)のような状態とされる。つまり、シート供給部1からプリント部4にシートが送り出されるときに較べて、プリント部4からシート供給部1にシートが送り戻されるときの方が、デカール力が小さくなるよう調整される。このように、シートを送り戻す際にはデカール力を弱めることで過度なデカールがなされることが防止される。そのため、再びロール状に巻かれたシートを送り出す際に、デカール部を通過したシートがプリントヘッドに接触する可能性を低減することができ、シートに予期せぬインクが付着したりプリントヘッドやシートがダメージを受けることが防止される。
また、上述したように、プリント部4はシートに対するプリントヘッドの間隔を調整することが可能である。シート供給部1からプリント部4にシートが送り出されるとき(ステップS1、ステップS2)は、プリントヘッド14は図9(a)のような状態とされる。一方、プリント部4からシート供給部1にシートが送り戻されるとき(ステップS5)は、プリントヘッド14は図9(b)のような状態とされる。つまり、シート供給部1からプリント部4にシートが送り出されるときに較べて、プリント部4からシート供給部1にシートが送り戻されるときの方が、プリントヘッド14とシートとの間隔が大きくなるように調整される。そのため、シートを送り戻す際、とくに図9(b)のように切断されたシートの先端がプリントヘッド14の下を抜ける際に、シートがプリントヘッド14と接触する可能性を低減することができる。図9(b)の状態ではシートの先端が上方に跳ね上がっているが、プリントヘッド14が通常位置よりも上方に退避しているので、シートとの接触が回避されていることが分かる。
1 シート供給部
2 デカール部
4 プリント部(シート処理部)
6 カッタ部
8 乾燥部
9 反転部
13 制御部
14 プリントヘッド
121 デカールローラ部
122 駆動ローラ
123 ピンチローラ
124 ピンチローラ
125 搬送ローラ対

Claims (4)

  1. ロール状に巻かれたシートを保持して供給するためのシート供給部と、
    前記シート供給部から供給されるシートに所定の方向にデカール力を作用させてカールを軽減するためのデカール部と、
    前記デカール部の下流に設けられ、シートにプリントを行なうためのプリント部と、
    前記プリント部の下流においてシートを切断するカッタ部と、
    を有し、
    前記デカール部は前記デカール力を調整することが可能であり、前記シート供給部から前記プリント部にシートが送り出されるときに較べて前記プリント部から前記シート供給部にシートが送り戻されるときの方が、前記デカール力が小さくなるよう調整され、
    シートに両面プリントを行なう際には、
    (1)前記シート供給部からシートを送り出して前記プリント部に供給する;
    (2)前記供給されたシートの第1面に前記プリント部で単位画像のプリントを繰り返す;
    (3)前記第1面への繰返しのプリントが済んだら最後にプリントした単位画像の後ろで前記カッタ部でシートを切断する;
    (4)前記カッタ部での切断により前記プリント部の側に残されたシートを前記シート供給部に送り戻す;
    (5)第1面にプリントされたシートを反転部で表裏反転して再び前記プリント部に供給する;
    (6)前記反転部から供給されたシートの第2面に前記プリント部で単位画像のプリントを繰り返す;
    (7)前記第2面にプリントした単位画像ごとに前記カッタ部でシートの切断を繰り返して、1枚ずつ排出する、
    シーケンスが実行されるよう制御されることを特徴とするプリント装置。
  2. 前記反転部はシートを巻き取る巻取回転体を有し、前記両面プリントにおいては、前記第1面に複数の画像が順次プリントされたシートは前記巻取回転体に一時的に巻き取られ、その後、前記巻取回転体が逆回転して前記一時的に巻き取られたシートが再び前記プリント部に供給されて前記第2面に複数の画像が順次プリントされることを特徴とする、請求項記載のプリント装置。
  3. 前記プリント部はプリントヘッドを備え、前記プリントヘッドとシートとの間隔を調整することが可能であり、前記シート供給部から前記プリント部にシートが送り出されるときに較べて前記プリント部から前記シート供給部にシートが送り戻されるときの方が、前記プリントヘッドとシートとの間隔が大きくなるように調整されることを特徴とする、請求項またはに記載のプリント装置。
  4. 前記プリント部は、ライン型のインクジェットプリントヘッドを複数有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のプリント装置。
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