以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る冷凍装置の一例として、空気調和装置について説明する。
〈空気調和装置の全体構成〉
図1に示すように、本実施形態1の空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転を行う空気調和装置により構成されている。空気調和装置(10)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えている。冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素が充填されている。また、冷媒回路(11)には、圧縮機(30)、四路切換弁(12)、室外熱交換器(14)、室内熱交換器(15)、第1膨張弁(16)、第2膨張弁(17)及び気液分離器(18)が接続されている。
圧縮機(30)は、密閉容器状のケーシング(40)を備えている。ケーシング(40)内には、第1圧縮機構(41)と第2圧縮機構(42)と電動機(47)とが収容されている。また、ケーシング(40)には、第1低段吸入管(31)、第1低段吐出管(32)、第2低段吸入管(33)、連絡吐出管(34)、高段吸入管(35)、及び高段吐出管(36)が接続されている。
上記第1低段吸入管(31)は、第1圧縮機構(41)の第1圧縮機構部(43)の第1圧縮室(74)の吸入側に接続され、第1低段吐出管(32)は、該第1圧縮室(74)の吐出側に接続されている。第2低段吸入管(33)は、第1圧縮機構(41)の第2圧縮機構部(44)の第2圧縮室(94)の吸入側に接続され、該第2圧縮室(94)の吐出側はケーシング(40)内における第1圧縮機構(41)と電動機(47)との間の第1空間(45)に開口している。連絡吐出管(34)は、ケーシング(40)内における第2圧縮機構(42)と電動機(47)との間の第2空間(46)に開口している。高段吸入管(35)は、第2圧縮機構(42)の第3圧縮室(53)の吸入側に接続され、高段吐出管(36)は該第3圧縮室(53)の吐出側に接続されている。
また、上記第1低段吸入管(31)は、低圧ガス管(1)を介して四路切換弁(12)の第3ポート(P3)に接続されている。第1低段吐出管(32)は、第1連絡管(2)を介して第2低段吸入管(33)に接続されている。連絡吐出管(34)は、第2連絡管(3)を介して高段吸入管(35)に接続されている。高段吐出管(36)は、高圧ガス管(4)を介して四路切換弁(12)の第1ポート(P1)に接続されている。
このような構成により、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とは、第1連絡管(2)によって構成される第1連絡通路(161)によって接続され、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とは、ケーシング(40)の内部空間(第1空間(45)及び第2空間(46))と第2連絡管(3)とによって構成される第2連絡通路(162)によって接続されている。
なお、圧縮機(30)のケーシング(40)の内部の詳細については後述する。
上記四路切換弁(12)は、第1〜第4ポート(P1,P2,P3,P4)を備え、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とが切換自在に構成されている。
上記室外熱交換器(14)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。室外熱交換器(14)の近傍には、室外ファン(24)が配置されている。室外熱交換器(14)では、室外ファン(24)によって送られる室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(14)の一端から延びる冷媒配管は、四路切換弁(12)の第2ポート(P2)に接続されている。室外熱交換器(14)の他端から延びる冷媒配管は、気液分離器(18)内の底部に開口している。この冷媒配管には、開度可変の電子膨張弁により構成された第1膨張弁(16)が設けられている。
上記室内熱交換器(15)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。室内熱交換器(15)の近傍には、室内ファン(25)が配置されている。室内熱交換器(15)では、室内ファン(25)によって送られる室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室内熱交換器(15)の一端から延びる冷媒配管は、四路切換弁(12)の第4ポート(P4)に接続されている。室内熱交換器(15)の他端から延びる冷媒配管は、気液分離器(18)内の底部に開口している。この冷媒配管には、開度可変の電子膨張弁により構成された第2膨張弁(17)が設けられている。
上記気液分離器(18)には、本発明に係る冷却手段(7)の一部を構成するインジェクション管(26)の一端が接続されている。インジェクション管(26)は、気液分離器(18)内の上部に開口している。インジェクション管(26)の他端は本発明に係る変更手段(8)の切換機構を構成する三路切換弁(62)の第1ポート(P1)に接続されている。インジェクション管(26)には、開閉自在の電磁弁(27)が設けられている。
上記三路切換弁(62)は、第1〜第3ポート(P1,P2,P3)を備え、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通する第1の位置と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通する第2の位置とに切換自在に構成されている。また、三路切換弁(62)の第2ポート(P2)には、第1インジェクション管(5)の一端が接続され、該第1インジェクション管(5)の他端は、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)の第1連絡管(2)の中途部に接続されている。一方、三路切換弁(62)の第3ポート(P3)には、第2インジェクション管(6)の一端が接続され、該第2インジェクション管(6)の他端は、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)の第2連絡管(3)の中途部に接続されている。
空気調和装置(10)は、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)又は第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)を流れる冷媒を冷却する冷却手段(7)を備えている。なお、実施形態1では、冷却手段(7)は、冷媒回路(11)の放熱器において冷却された冷媒の一部を第1連絡管(2)又は第2連絡管(3)に導くインジェクション通路によって構成されている。また、実施形態1では、該インジェクション通路は、インジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)又はインジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)によって構成されている。
このような構成により、上記変更手段(8)の切換機構を構成する三路切換弁(62)は、上記冷却手段(7)を構成するインジェクション通路を流れる冷媒によって第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が冷却される第1の状態と、第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が冷却される第2の状態とに切り換える。
具体的には、三路切換弁(62)が第1の位置に切り換えられると、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、インジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)によって構成されるインジェクション通路が第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)の第1連絡管(2)に接続される。これにより、冷媒回路(11)の放熱器で冷却された冷媒がインジェクション通路を介して第1連絡管(2)の中途部に流入し、第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が、該インジェクション通路を流れる冷媒によって冷却される第1の状態となる。
一方、三路切換弁(62)が第2の位置に切り換えられると、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し、インジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)によって構成されるインジェクション通路が第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)の第2連絡管(3)に接続される。これにより、冷媒回路(11)の放熱器で冷却された冷媒がインジェクション通路を介して第2連絡管(3)の中途部に流入し、第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が、該インジェクション通路を流れる冷媒によって冷却される第2の状態となる。
〈圧縮機の構成〉
図2に示すように、圧縮機(30)は、縦長で密閉容器状のケーシング(40)を備えている。ケーシング(40)内には、上述したように、第1圧縮機構(41)と、第2圧縮機構(42)と、第1圧縮機構(41)及び第2圧縮機構(42)を駆動する電動機(47)とが収容されている。第1圧縮機構(41)及び第2圧縮機構(42)は、1本の駆動軸(50)で連結されている。
第1圧縮機構(41)は、図2における電動機(47)の下側に配置されている。第1圧縮機構(41)は、第1圧縮機構部(43)及び第2圧縮機構部(44)を備えている。第1圧縮機構部(43)及び第2圧縮機構部(44)は、第1圧縮機構部(43)が下側に位置するように、上下二段に重ねられている。一方、第2圧縮機構(42)は、電動機(47)の上側に配置されている。
ケーシング(40)の胴部には、第1低段吸入管(31)及び第1低段吐出管(32)が貫通している。上述したように、第1低段吸入管(31)は第1圧縮機構部(43)の第1圧縮室(74)の吸入側に接続され、第1低段吐出管(32)は該第1圧縮室(74)の吐出側に接続されている。また、ケーシング(40)の胴部には、第2低段吸入管(33)及び連絡吐出管(34)が貫通している。上述したように、第2低段吸入管(33)は第2圧縮機構部(44)の第2圧縮室(94)の吸入側に接続され、連絡吐出管(34)は、第2空間(46)に開口している。なお、第2圧縮室(94)の吐出側は、第1空間(45)に開口している。
また、ケーシング(40)の頂部には、高段吸入管(35)及び高段吐出管(36)が貫通している。上述したように、高段吸入管(35)は第2圧縮機構(42)の第3圧縮室(53)の吸入側に接続され、高段吐出管(36)は該第3圧縮室(53)の吐出側に接続されている。
上記電動機(47)は、ブラシレスDCモータにより構成されている。電動機(47)は、ステータ(48)とロータ(49)とを備えている。ステータ(48)は、ケーシング(40)の胴部に固定されている。一方、ロータ(49)は、ステータ(48)の内側に配置され、駆動軸(50)の主軸部(50a)に連結されている。なお、電動機(47)の回転速度は、インバータ制御によって調節可能となっている。
上記駆動軸(50)は、上述の主軸部(50a)と、第1偏心部(50b)と、第2偏心部(50c)と、第3偏心部(50d)とを備えている。第1偏心部(50b)と第2偏心部(50c)とは、駆動軸(50)の下部寄りの位置にそれぞれ設けられている。第1偏心部(50b)と第2偏心部(50c)の軸心は、それぞれ主軸部(50a)の軸心に対して偏心している。第1偏心部(50b)と第2偏心部(50c)とは、駆動軸(50)の軸心を中心として互いに180°位相がずれている。また、第3偏心部(50d)は、主軸部(50a)の上端面に立設されている。第3偏心部(50d)の軸心は、主軸部(50a)の軸心に対して偏心している。
上記駆動軸(50)の下端部には、油溜まりに浸漬する給油ポンプ(66)が設けられている。また、駆動軸(50)には、給油ポンプ(66)が吸い上げた冷凍機油が流通する給油通路が形成されている(図示省略)。給油通路は、駆動軸(50)の内部を軸方向に沿って延びている。この圧縮機(30)では、駆動軸(50)の回転に伴って、給油ポンプ(66)が吸い上げた冷凍機油が給油通路を通じて各圧縮機構(41,42)の摺動部及び駆動軸(50)の軸受部に供給される。
上記第1圧縮機構(41)は、上述したように、第1圧縮機構部(43)及び第2圧縮機構部(44)を備えている。第1圧縮機構部(43)及び第2圧縮機構部(44)は、同じ機械要素により構成されている。
第1圧縮機構部(43)は、図2及び図3に示すように、ケーシング(40)に固定された第1シリンダ(72)と、環状の第1ピストン(70)を有して駆動軸(50)によって駆動される第1可動部材(71)とを備えている。第1圧縮機構部(43)は、後述する第1可動側鏡板部(71a)の背面が第2圧縮機構部(44)側を向くように設けられている。なお、図3において括弧付きの符号が併記されている部材は、括弧がない符号が第1圧縮機構部(43)の符号を表し、括弧内の符号が第2圧縮機構部(44)の符号を表している。この点は、図4についても同様である。
第1シリンダ(72)は、円盤状の第1固定側鏡板部(72a)と、第1固定側鏡板部(72a)の上面の内寄りの位置から上方に突出する環状の第1内側シリンダ部(72b)と、第1固定側鏡板部(72a)の上面の外周部から上方に突出する環状の第1外側シリンダ部(72c)とを備えている。第1内側シリンダ部(72b)の外周面と第1外側シリンダ部(72c)の内周面とは同軸になっている。第1シリンダ(72)は、第1内側シリンダ部(72b)の外周面と第1外側シリンダ部(72c)の内周面との間に形成された環状の第1圧縮室(74)を有している。また、第1シリンダ(72)には、駆動軸(50)を支持する第1固定側軸受部(72d)が形成されている。
一方、第1可動部材(71)は、円盤状の第1可動側鏡板部(71a)と、上述の第1ピストン(70)と、第1可動側鏡板部(71a)の下面の内周端部から下方に突出する第1可動側軸受部(71b)とを備えている。第1可動側鏡板部(71a)は、第1固定側鏡板部(72a)と同様に、第1圧縮室(74)に面している。
第1ピストン(70)は、第1可動側鏡板部(71a)の下面のやや外周寄りの位置から下方に突出している。第1ピストン(70)は、環状の一部が分断されたC型形状をしている。第1ピストン(70)は、外周面が第1外側シリンダ部(72c)の内周面よりも小径で、内周面が第1内側シリンダ部(72b)の外周面よりも大径に形成されている。第1ピストン(70)は、第1シリンダ(72)に対して偏心して第1圧縮室(74)に収納され、第1圧縮室(74)を第1外側圧縮室(75)と第1内側圧縮室(76)とに区画している。
なお、第1ピストン(70)と第1シリンダ(72)とは、第1ピストン(70)の外周面と第1外側シリンダ部(72c)の内周面とが1点で実質的に接する状態(厳密にはミクロンオーダーの隙間があるが、その隙間での冷媒の漏れが問題にならない状態)において、その接点と位相が180°異なる位置で、第1ピストン(70)の内周面と第1内側シリンダ部(72b)の外周面とが1点で実質的に接するようになっている。この点は、第2圧縮機構部(44)においても同じである。
第1可動側軸受部(71b)には、第1偏心部(50b)が嵌合している。第1可動部材(71)は、駆動軸(50)の回転に伴い主軸部(50a)の軸心を中心として偏心回転運動する。なお、第1圧縮機構部(43)では、第1可動側軸受部(71b)と第1内側シリンダ部(72b)との間に、第1可動側軸受部(71b)の偏心回転運動を許容するための第1軸側空間(84)が形成されている。この第1軸側空間(84)では冷媒の圧縮は行われない。
また、第1圧縮機構部(43)は、図3に示すように、第1内側シリンダ部(72b)の外周面から第1外側シリンダ部(72c)の内周面まで延びる第1ブレード(73)を備えている。第1ブレード(73)は、区画部材を構成している。第1ブレード(73)は、第1シリンダ(72)に固定されている。なお、第1ブレード(73)は、本実施形態1では第1シリンダ(72)とは別部材であるが、第1シリンダ(72)と一体的に形成してもよい。
第1ブレード(73)は、第1圧縮室(74)に配置され、第1外側圧縮室(75)を吸入側の第1室(75a)と吐出側の第2室(75b)とに区画し、第1内側圧縮室(76)を吸入側の第1室(76a)と吐出側の第2室(76b)とに区画している。第1ブレード(73)は、環状の一部が分断されたC型形状の第1ピストン(70)の分断箇所を挿通している。
また、第1ピストン(70)の分断箇所には、第1ブレード(73)を挟むように、一対の第1ブッシュ(77a,77b)が嵌合している。一対の第1ブッシュ(77a,77b)は、いずれも断面形状が略半円形で同一形状に形成され、フラット面同士が対向するように配置されている。一対の第1ブッシュ(77a,77b)のフラット面の間のスペースは、第1ブレード溝(85)を構成している。なお、この実施形態1では一対の第1ブッシュ(77a,77b)を別体とした例について説明したが、一対の第1ブッシュ(77a,77b)が一部で連結することにより一体構造としてもよい。この点は、後述する第2ブッシュ(97a,97b)についても同様である。
第1ブレード溝(85)には第1ブレード(73)が挿入されている。この状態では、各第1ブッシュ(77a,77b)のフラット面が第1ブレード(73)と実質的に面接触し、各第1ブッシュ(77a,77b)の円弧状の外周面が第1ピストン(70)と実質的に面接触している。一対の第1ブッシュ(77a,77b)は、第1ブレード溝(85)に第1ブレード(73)を挟んだ状態で、第1ブレード(73)の面方向に進退するように構成されている。また、一対の第1ブッシュ(77a,77b)は、第1ピストン(70)が第1ブレード(73)に対して揺動するように構成されている。これにより、第1ピストン(70)は、第1ブレード(73)の延伸方向に進退可能であり、さらに一対の第1ブッシュ(77a,77b)の中心点を揺動中心として第1ブッシュ(77a,77b)と共に揺動可能になっている。
第1圧縮機構部(43)には、第1低段吸入管(31)が接続されている。第1低段吸入管(31)は、第1固定側鏡板部(72a)に形成された第1吸入通路(78)に接続されている。第1吸入通路(78)は、入口側が第1固定側鏡板部(72a)の径方向に延び、途中で上方へ折れ曲がって、出口側が第1固定側鏡板部(72a)の軸方向に延びている。第1吸入通路(78)の出口端は、第1外側圧縮室(75)と第1内側圧縮室(76)の両方に開口している。
また、第1圧縮機構部(43)には、第1外側圧縮室(75)から冷媒を吐出させる第1外側吐出ポート(79)と、第1内側圧縮室(76)から冷媒を吐出させる第1内側吐出ポート(80)と、第1外側吐出ポート(79)及び第1内側吐出ポート(80)の両方が開口する第1吐出空間(81)とが形成されている。
第1外側吐出ポート(79)は、第1外側圧縮室(75)の第2室(75b)と第1吐出空間(81)とを連通している。第1外側吐出ポート(79)には、第1外側吐出弁(82)が設けられている。一方、第1内側吐出ポート(80)は、第1内側圧縮室(76)の第2室(76b)と第1吐出空間(81)とを連通している。第1内側吐出ポート(80)には、第1内側吐出弁(83)が設けられている。第1吐出空間(81)には、第1低段吐出管(32)の入口端が開口している。
以上の構成により、駆動軸(50)が回転すると、第1ピストン(70)は、図4の(A)から(H)の順に偏心回転する。そして、その偏心回転に伴って、第1外側圧縮室(75)及び第1内側圧縮室(76)では、1本の第1低段吸入管(31)を通じて導入された冷媒が圧縮される。第1外側圧縮室(75)及び第1内側圧縮室(76)から吐出された冷媒は、第1低段吐出管(32)に流入する。
なお、第1ピストン(70)と第1外側シリンダ部(72c)の接触点と、第1ピストン(70)と第1内側シリンダ部(72b)の接触点とは、駆動軸(50)の軸心回りに180°ずれている。このため、第1外側圧縮室(75)と第1内側圧縮室(76)とでは、冷媒を圧縮する動作の状態の位相が180°ずれている。従って、第1圧縮機構部(43)では、吸入冷媒の流量がゼロになることがなく、連続的に冷媒の吸入が行われる。
第2圧縮機構部(44)は、第1圧縮機構部(43)と同じ機械要素によって構成されている。第2圧縮機構部(44)は、ミドルプレート(69)を挟んで、第1圧縮機構部(43)とは上下反転した状態で設けられている。
具体的に、第2圧縮機構部(44)は、ケーシング(40)に固定された第2シリンダ(92)と、環状の第2ピストン(90)を有して駆動軸(50)によって駆動される第2可動部材(91)とを備えている。第2圧縮機構部(44)は、後述する第2可動側鏡板部(91a)の背面が第1圧縮機構部(43)側を向くように設けられている。
第2シリンダ(92)は、円盤状の第2固定側鏡板部(92a)と、第2固定側鏡板部(92a)の下面の内寄りの位置から下方に突出する環状の第2内側シリンダ部(92b)と、第2固定側鏡板部(92a)の下面の外周部から下方に突出する環状の第2外側シリンダ部(92c)とを備えている。第2内側シリンダ部(92b)の外周面と第2外側シリンダ部(92c)の内周面とは同軸になっている。第2シリンダ(92)は、第2内側シリンダ部(92b)の外周面と第2外側シリンダ部(92c)の内周面との間に形成された環状の第2圧縮室(94)を有している。また、第2シリンダ(92)には、駆動軸(50)を支持する第2固定側軸受部(92d)が形成されている。
一方、第2可動部材(91)は、円盤状の第2可動側鏡板部(91a)と、上述の第2ピストン(90)と、第2可動側鏡板部(91a)の上面の内周端部から上方に突出する第2可動側軸受部(91b)とを備えている。第2可動側鏡板部(91a)は、第2固定側鏡板部(92a)と同様に、第2圧縮室(94)に面している。
第2ピストン(90)は、第2可動側鏡板部(91a)の上面のやや外周寄りの位置から上方に突出している。第2ピストン(90)は、環状の一部が分断されたC型形状をしている。第2ピストン(90)は、外周面が第2外側シリンダ部(92c)の内周面よりも小径で、内周面が第2内側シリンダ部(92b)の外周面よりも大径に形成されている。第2ピストン(90)は、第2シリンダ(92)に対して偏心して第2圧縮室(94)に収納され、第2圧縮室(94)を第2外側圧縮室(95)と第2内側圧縮室(96)とに区画している。
第2可動側軸受部(91b)には、第2偏心部(50c)が嵌合している。第2可動部材(91)は、駆動軸(50)の回転に伴い主軸部(50a)の軸心を中心として偏心回転運動する。なお、第2圧縮機構部(44)では、第2可動側軸受部(91b)と第2内側シリンダ部(92b)との間に、第2可動側軸受部(91b)の偏心回転運動を許容するための第2軸側空間(104)が形成されている。この第2軸側空間(104)では冷媒の圧縮は行われない。
また、第2圧縮機構部(44)は、図3に示すように、第2内側シリンダ部(92b)の外周面から第2外側シリンダ部(92c)の内周面まで延びる第2ブレード(93)を備えている。第2ブレード(93)は、区画部材を構成している。第2ブレード(93)は、第2シリンダ(92)に固定されている。なお、第2ブレード(93)は、本実施形態1では第2シリンダ(92)とは別部材であるが、第2シリンダ(92)と一体的に形成してもよい。
第2ブレード(93)は、第2圧縮室(94)に配置され、第2外側圧縮室(95)を吸入側の第1室(95a)と吐出側の第2室(95b)とに区画し、第2内側圧縮室(96)を吸入側の第1室(96a)と吐出側の第2室(96b)とに区画している。第2ブレード(93)は、環状の一部が分断されたC型形状の第2ピストン(90)の分断箇所を挿通している。
また、第2ピストン(90)の分断箇所には、第2ブレード(93)を挟むように一対の第2ブッシュ(97a,97b)が嵌合している。一対の第2ブッシュ(97a,97b)は、いずれも断面形状が略半円形で同一形状に形成され、フラット面同士が対向するように配置されている。一対の第2ブッシュ(97a,97b)のフラット面の間のスペースは、第2ブレード溝(105)を構成している。
第2ブレード溝(105)には第2ブレード(93)が挿入されている。この状態では、各第2ブッシュ(97a,97b)のフラット面が第2ブレード(93)と実質的に面接触し、各第2ブッシュ(97a,97b)の円弧状の外周面が第2ピストン(90)と実質的に面接触している。一対の第2ブッシュ(97a,97b)は、第2ブレード溝(105)に第2ブレード(93)を挟んだ状態で、第2ブレード(93)の面方向に進退するように構成されている。また、一対の第2ブッシュ(97a,97b)は、第2ピストン(90)が第2ブレード(93)に対して揺動するように構成されている。これにより、第2ピストン(90)は、第2ブレード(93)の延伸方向に進退可能であり、さらに一対の第2ブッシュ(97a,97b)の中心点を揺動中心として第2ブッシュ(97a,97b)と共に揺動可能になっている。
第2圧縮機構部(44)には、第2低段吸入管(33)が接続されている。第2低段吸入管(33)は、第2固定側鏡板部(92a)に形成された第2吸入通路(98)に接続されている。第2吸入通路(98)は、入口側が第2固定側鏡板部(92a)の径方向に延び、途中で下方へ折れ曲がって、出口側が第2固定側鏡板部(92a)の軸方向に延びている。第2吸入通路(98)の出口端は、第2外側圧縮室(95)と第2内側圧縮室(96)の両方に開口している。
また、第2圧縮機構部(44)には、第2外側圧縮室(95)から冷媒を吐出させる第2外側吐出ポート(99)と、第2内側圧縮室(96)から冷媒を吐出させる第2内側吐出ポート(100)と、第2外側吐出ポート(99)及び第2内側吐出ポート(100)の両方が開口する第2吐出空間(101)とが形成されている。第2外側吐出ポート(99)は、第2外側圧縮室(95)の第2室(95b)と第2吐出空間(101)とを連通している。第2外側吐出ポート(99)には、第2外側吐出弁(102)が設けられている。一方、第2内側吐出ポート(100)は、第2内側圧縮室(96)の第2室(96b)と第2吐出空間(101)とを連通している。第2内側吐出ポート(100)には、第2内側吐出弁(103)が設けられている。第2吐出空間(101)は、第1空間(45)及び第2空間(46)を介して、連絡吐出管(34)に連通している。
以上の構成により、駆動軸(50)が回転すると、第2ピストン(90)は、図4の(A)から(H)の順に偏心回転する。そして、その偏心回転に伴って、第2外側圧縮室(95)及び第2内側圧縮室(96)では、1本の第2低段吸入管(33)を通じて導入された冷媒が圧縮される。第2外側圧縮室(95)及び第2内側圧縮室(96)から吐出された冷媒は、高段吐出管(36)に流入する。
なお、第2ピストン(90)と第2外側シリンダ部(92c)の接触点と、第2ピストン(90)と第2内側シリンダ部(92b)の接触点とは、駆動軸(50)の軸心回りに180°ずれている。このため、第2外側圧縮室(95)と第2内側圧縮室(96)とでは、冷媒を圧縮する動作の状態の位相が180°ずれている。従って、第2圧縮機構部(44)では、吸入冷媒の流量がゼロになることがなく、連続的に冷媒の吸入が行われる。
また、第1偏心部(50b)と第2偏心部(50c)とは、駆動軸(50)の軸心を中心として互いに180°位相がずれている。従って、第1圧縮機構部(43)の動作状態が図4(A)のとき、第2圧縮機構部(44)の動作状態は図4(E)となる。
続いて、第2圧縮機構(42)について説明する。第2圧縮機構(42)は、スクロール式の圧縮機構により構成されている。第2圧縮機構(42)は、図4及び図5に示すように、固定スクロール(51)と可動スクロール(52)とを備えている。
固定スクロール(51)は、渦巻き状の固定側ラップ(51a)と、略円板状の固定側鏡板部(51b)とを備えている。固定側ラップ(51a)は、固定側鏡板部(51b)の前面(図2における下面)に立設されている。
可動スクロール(52)は、渦巻き状の可動側ラップ(52a)と、略円板状の可動側鏡板部(52b)と、筒状の突出部(52c)とを備えている。可動スクロール(52)は、オルダムリング(54)を介して、駆動軸(50)の軸受部が形成されたハウジング部材(38)の上面に載置されている。なお、オルダムリング(54)は、偏心回転運動中の可動スクロール(52)が自転することを阻止する。
可動側ラップ(52a)は、可動側鏡板部(52b)の前面(図2における上面)に立設されている。可動側ラップ(52a)は、固定側ラップ(51a)に噛み合わされている。
本実施形態1の第2圧縮機構(42)は、可動側ラップ(52a)と固定側ラップ(51a)とが非対称に形成された非対称渦巻き構造になっている。固定側ラップ(51a)の巻き数(渦巻きの長さ)は、可動側ラップ(52a)の巻き数(渦巻きの長さ)よりも多くなっている。なお、固定側ラップ(51a)の巻数は、固定側ラップ(51a)の渦巻きが後述する吸入ポート(55)の外側の位置まで延びているものとして数えている。
また、突出部(52c)は、可動側鏡板部(52b)の背面(図2における下面)に立設されている。突出部(52c)には、駆動軸(50)の第3偏心部(50d)が挿入されている。
第2圧縮機構(42)では、図5に示すように、固定側ラップ(51a)と可動側ラップ(52a)との間に、第3圧縮室(53)を構成する複数の圧縮室が形成されている。複数の圧縮室は、固定側ラップ(51a)の内側面と可動側ラップ(52a)の外側面との間の可動外側室(53a)と、固定側ラップ(51a)の外側面と可動側ラップ(52a)の内側面との間の可動内側室(53b)とから構成されている。
また、第2圧縮機構(42)では、固定スクロール(51)に吸入ポート(55)が形成されている。吸入ポート(55)は、固定側鏡板部(51b)の前面から突出する外縁部(51c)に形成されている。吸入ポート(55)には高段吸入管(35)が接続されている。吸入ポート(55)には、第3圧縮室(53)から高段吸入管(35)へ戻る冷媒の流れを禁止する吸入逆止弁が設けられている(図示省略)。
吸入ポート(55)は、可動スクロール(52)の偏心回転運動に伴って、可動外側室(53a)と可動内側室(53b)のそれぞれに間欠的に連通する。第2圧縮機構(42)では、可動外側室(53a)に可動側ラップ(52a)の外周側端部の外側から冷媒が流入し、可動内側室(53b)に可動側ラップ(52a)の外周側端部の内側から冷媒が流入する。第2圧縮機構(42)では、固定側ラップ(51a)の外周側端部が可動側ラップ(52a)の外周側端部付近に位置しているので、可動外側室(53a)と可動内側室(53b)には、ほぼ同じ位置から冷媒が流入する。また、第2圧縮機構(42)では、一方の圧縮室(53a,53b)における冷媒の吸入が終了した時点では、多方の圧縮室(53a,53b)における冷媒の吸入が行われている。つまり、第2圧縮機構(42)では、吸入冷媒の流量がゼロになることがなく、連続的に流体の吸入が行われる。
また、固定スクロール(51)の固定側鏡板部(51b)には吐出ポート(57)が形成されている。吐出ポート(57)は、固定側鏡板部(51b)の中央部に形成された貫通孔により構成されている。吐出ポート(57)の出口は、固定スクロール(51)の上側の吐出室(63)に開口している。吐出ポート(57)は、可動スクロール(52)の偏心回転運動に伴って、可動外側室(53a)と可動内側室(53b)のそれぞれに間欠的に連通する。
また、固定側鏡板部(51b)には、リリーフポート(58)も形成されている。リリーフポート(58)は、一端が圧縮途中の圧縮室(53a,53b)に開口し、他端が吐出室(63)に開口している。固定側鏡板部(51b)には、リリーフポート(58)を開閉するリリーフバルブ(59)が設けられている。リリーフバルブ(59)は、リード弁により構成されている。このため、圧縮機(30)の始動時や、インジェクション管(26)から導入されるガス冷媒の流量が少なくなった時の過圧縮損失が緩和される。
なお、ケーシング(40)内における第2圧縮機構(42)の上側の空間(65)は、吸入ポート(55)に連通している。なお、この空間(65)が、吐出ポート(57)に連通するようにしてもよい。
以上の構成により、第2圧縮機構(42)では、駆動軸(50)が回転すると、可動スクロール(52)が、図6の(A)から(D)の順に偏心回転する。そして、その偏心回転に伴って、可動外側室(53a)及び可動内側室(53b)では、高段吸入管(35)を通じて導入された冷媒が圧縮される。可動外側室(53a)及び可動内側室(53b)で圧縮された冷媒は、吐出ポート(57)を通じて、高段吐出管(36)に流入する。
また、本実施形態1では、第1圧縮室(74)の吸入容積V1(第1ピストン(70)の押しのけ容積)と、第2圧縮室(94)の吸入容積V2(第2ピストン(90)の押しのけ容積)と、第3圧縮室(53)の吸入容積V3(可動スクロール(52)の押しのけ容積)との比率が、下記の式1の値に設定されている。なお、これらの吸入容積の間には、V1>V2>V3の関係が成立している。
V1:V2:V3=1.0:0.9:0.7 (式1)
なお、第1圧縮室(74)の吸入容積V1は、第1外側圧縮室(75)の吸入容積と第1内側圧縮室(76)の吸入容積の合計値である。また、第2圧縮室(94)の吸入容積V2は、第2外側圧縮室(95)の吸入容積と第2内側圧縮室(96)の吸入容積の合計値である。また、本実施形態1では、可動外側室(53a)の吸入容積と可動内側室(53b)の吸入容積とが等しくなっているが、可動外側室(53a)の吸入容積と可動内側室(53b)の吸入容積とが互いに相違する場合には、可動外側室(53a)の吸入容積と可動内側室(53b)の吸入容積の平均値が第3圧縮室(53)の吸入容積V3となる。
−運転動作−
次に、空気調和装置(10)の運転動作について説明する。この空気調和装置(10)は、冷房運転等と暖房運転とに切り換え可能となっている。
(冷房運転)
冷房運転では、図7に示すように、四路切換弁(12)が第1状態に設定された状態で、圧縮機(30)の運転が行われる。冷媒回路(11)では室内熱交換器(15)が蒸発器となって室外熱交換器(14)が放熱器となる冷凍サイクルが行われる。なお、この冷凍サイクルでは、冷凍サイクルの高圧圧力が二酸化炭素の臨界圧力よりも高くなる。この点は、後述する暖房運転でも同じである。
具体的に、圧縮機(30)の高段吐出管(36)から吐出された高圧冷媒は、高圧ガス管(4)及び四路切換弁(12)を経由して室外熱交換器(14)へ流入する。室外熱交換器(14)では、室外ファン(24)によって送られる室外空気へ冷媒が放熱する。室外熱交換器(14)で冷却された冷媒は、第1膨張弁(16)で中間圧力に減圧された後に、気液分離器(18)で液冷媒とガス冷媒とに分離される。このうち、ガス冷媒は、電磁弁(27)が開状態に設定されていれば、ガスインジェクション回路(冷却手段(7))を構成するインジェクション管(26)を通じて第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)との間又は第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)との間へ送られる。一方、液冷媒は、第2膨張弁(17)で低圧圧力まで減圧された後に、室内熱交換器(15)に流入する。
室内熱交換器(15)では、室内ファン(25)によって送られる室内空気から冷媒が吸熱して蒸発する。その結果、室内空気は冷却されて室内へ供給される。室内熱交換器(15)で蒸発した冷媒は、低圧ガス管(1)及び第1低段吸入管(31)を通って圧縮機(30)に吸入される。そして、圧縮機(30)では、第1圧縮機構(41)、第2圧縮機構(42)の順番で冷媒が圧縮されて、再び高段吐出管(36)から吐出される。
(暖房運転)
暖房運転では、図8に示すように、四路切換弁(12)が第2状態に設定された状態で、圧縮機(30)の運転が行われる。冷媒回路(11)では室内熱交換器(15)が放熱器となって室外熱交換器(14)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、圧縮機(30)の高段吐出管(36)から吐出された高圧冷媒は、高圧ガス管(4)及び四路切換弁(12)を経由して室内熱交換器(15)に供給される。室内熱交換器(15)では、室内ファン(25)によって送られる室内空気へ冷媒が放熱する。その結果、室内空気は加熱されて室内へ供給される。
室内熱交換器(15)で冷却された冷媒は、第2膨張弁(17)で中間圧力に減圧された後に、気液分離器(18)で液冷媒とガス冷媒とに分離される。このうち、ガス冷媒は、電磁弁(27)が開状態に設定されていれば、インジェクション管(26)を通じて第1圧縮機構(41)の第1圧縮機構部(43)と第2圧縮機構部(44)との間又は第1圧縮機構(41)と第2圧縮機構(42)との間へ送られる。一方、液冷媒は、第1膨張弁(16)で低圧圧力まで減圧された後に、室外熱交換器(14)へ流入する。
室外熱交換器(14)では、室外ファン(24)によって送られる室外空気から冷媒が吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14)で蒸発した冷媒は、低圧ガス管(1)及び第1低段吸入管(31)を通って圧縮機(30)に吸入される。そして、圧縮機(30)では、第1圧縮機構(41)、第2圧縮機構(42)の順番で冷媒が圧縮されて、再び高段吐出管(36)から吐出される。
(変更手段の制御)
本実施形態1では、空気調和装置(10)の運転条件が変化すると、変更手段(8)を構成する三路切換弁(62)によって第1の状態と第2の状態とに切り換えられる。
具体的には、三路切換弁(62)が第1の位置に切り換えられると、冷却手段(7)によって第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が冷却される第1の状態となる。一方、三路切換弁(62)が第2の位置に切り換えられると、冷却手段(7)によって第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が冷却される第2の状態となる。なお、実施形態1では、冷房運転に切り換えられる際に、三路切換弁(62)が第1の位置に切り換えられて上記第1の状態となり(図7参照)、暖房運転に切り換えられる際に、三路切換弁(62)が第2の位置に切り換えられて上記第2の状態となる(図8参照)。以下、それぞれの状態について詳述する。
図7に示すように、上記第1の状態では、インジェクション管(26)と第1インジェクション管(5)とが連通される。第1インジェクション管(5)は、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)の第1連絡管(2)の中途部に接続されているため、第1の状態では、インジェクション管(26)が第1インジェクション管(5)を介して第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)との間に接続されることとなる。そのため、3つの圧縮室(74,94,53)における冷媒の流れは以下のようになる。
低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入され、該第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第1連絡通路(161)(第1連絡管(2))を通って第2圧縮室(94)に吸入される。なお、第1連絡通路(161)の中途部には、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒がインジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)を介して流入する。そのため、第1連絡通路(161)を流れる冷媒は、インジェクション管(26)から流入するガス冷媒によって冷却された後、第2圧縮室(94)に吸入される。
第2圧縮室(94)に吸入された冷媒は、該第2圧縮室(94)において圧縮され、第2連絡通路(162)(第1空間(45)、第2空間(46)及び第2連絡管(3))を通って第3圧縮室(53)に吸入される。第3圧縮室(53)に吸入された冷媒は、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第1の状態では、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒によって第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が直列に接続されて高段側の圧縮室として用いられることとなる。
一方、上記第2の状態では、インジェクション管(26)と第2インジェクション管(6)とが連通される。第2インジェクション管(6)は、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)の第2連絡管(3)の中途部に接続されているため、第2の状態では、インジェクション管(26)が第2インジェクション管(6)を介して第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)との間に接続されることとなる。そのため、3つの圧縮室(74,94,53)における冷媒の流れは以下のようになる。
低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入されて圧縮される。そして、第1圧縮室(74)において圧縮された冷媒は、第1連絡通路(161)(第1連絡管(2))を通って第2圧縮室(94)に吸入され、該第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第2連絡通路(162)(第1空間(45)、第2空間(46)及び第2連絡管(3))を通って第3圧縮室(53)に吸入され、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。なお、第2連絡通路(162)の中途部には、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒がインジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)を介して流入する。そのため、第2連絡通路(162)を流れる冷媒は、インジェクション管(26)から流入するガス冷媒によって冷却された後、第3圧縮室(53)に吸入される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第2の状態では、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒によって第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が直列に接続されて低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。
以上より、第1の状態では、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。一方、第2の状態では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。よって、変更手段(8)の切換機構を構成する三路切換弁(62)によって、第1の状態又は第2の状態に切り換えられると、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けが変更されて、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力が変動することとなる。
なお、ここで、本空気調和装置(10)の圧縮機(30)は、1本の駆動軸(50)に3つの圧縮室(74,94,53)を有する2つの圧縮機構(41,42)が連結されている。そのため、例えば、低段側の圧縮室と高段側の圧縮室との組合せを冷房運転において好適な組合せに設定し、該組合せを変更することなく暖房運転を行うと、暖房運転において中間圧力の値が低圧と高圧との中間よりも低くなる一方、上記組合せを暖房運転において好適な値に設定し、該組合せを変更することなく冷房運転を行うと、冷房運転において中間圧力の値が低圧と高圧との中間よりも高くなる。そのため、いずれか一方の運転条件において中間圧力が低圧と高圧との平均値となるように低段側の圧縮室と高段側の圧縮室との組合せを設定すると、他方の運転条件において中間圧力が低圧と高圧との平均値から大きくずれてしまうこととなる。
しかし、本空気調和装置(10)では、上述のように、冷房運転又は暖房運転に切り換えられる際に、変更手段(8)によって低段側の圧縮室と高段側の圧縮室との組合せが変更される。これにより、中間圧力が低圧と高圧との平均値に近づけることができ、いずれの運転において高いCOPを得ることができる。
なお、本実施形態1では、第2圧縮室(94)の吸入容積V2と第3圧縮室(53)の吸入容積V3とは、異なる値に設定されている。そのため、低段側の圧縮室と高段側の圧縮室の吸入容積の比率(吸入容積比)Vrは、上記第1の状態ではV2/V1となり、上記第2の状態ではV3/V1となる。これにより、上記三路切換弁(62)によって第1の状態から第2の状態に切り換えられると、吸入容積比Vrは小さくなる一方、第2の状態から第1の状態に切り換えられると、吸入容積比Vrは大きくなる。よって、本実施形態1では、三路切換弁(62)によって第1の状態又は第2の状態に切り換えられると、吸入容積比Vrが変更されることからも、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力が変動することとなる。
なお、第2圧縮室(94)の吸入容積V2と第3圧縮室(53)の吸入容積V3とが等しい値に設定されていても、三路切換弁(62)によって第1の状態又は第2の状態に切り換えられることによって二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力が変動することは上述のとおりである。
−実施形態1の効果−
本空気調和装置(10)では、空気調和装置(10)は、冷却手段(7)の冷却対象となる連絡通路(161,162)を変更する変更手段(8)を備えている。そのため、変更手段(8)によって冷却手段(7)の冷却対象となる連絡通路(161,162)を変更することにより、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けを容易に変更することができる。従って、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変動(上昇又は低下)させることができ、運転条件の変化に拘わらず高いCOPを得ることができる。
また、本空気調和装置(10)では、冷却手段(7)を、圧縮機(30)から吐出されて冷媒回路(11)の放熱器(室外熱交換器(14)、室内熱交換器(15))において冷却された冷媒の一部を第1連絡通路(161)又は第2連絡通路(162)に導くインジェクション通路(インジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)、インジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6))によって構成している。これにより、冷却手段(7)を容易に構成することができる。
また、本空気調和装置(10)では、変更手段(8)は、冷却手段(7)としてのインジェクション通路の接続先を切り換える三路切換弁(62)を備えている。これにより、三路切換弁(62)を切り換えると、冷却手段(7)としてのインジェクション通路の接続先を容易に変更することができる。従って、本実施形態1によれば、冷却手段(7)としてのインジェクション通路を連絡通路(161,162)毎に設ける必要がない。よって、冷媒回路(11)を容易に構成しつつ、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変動(上昇又は低下)させることができる。
また、本空気調和装置(10)では、変更手段(8)によって第1の状態に切り換えられると、冷却手段(7)によって第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)を流れる冷媒が冷却される。これにより、第1の状態では、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室となり、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室となる。一方、変更手段(8)によって第2の状態に切り換えられると、冷却手段(7)によって第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)を流れる冷媒が冷却される。これにより、第2の状態では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が低段側の圧縮室となり、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室となる。よって、変更手段(8)によって第1の状態と第2の状態とが切り換えられることにより、低段側の圧縮室と高段側の圧縮室の振り分けを容易に変更することができ、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変動(上昇又は低下)させることができる。
また、本空気調和装置(10)では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)の吐出ポート(79,80,99,100)には、それぞれ該吐出ポート(79,80,99,100)を開閉するための吐出弁(82,83,102,103)が設けられている。そのため、両圧縮室(74,94)では、該圧縮室(74,94)の圧力が吐出圧力(吐出ポート(79,80,99,100)の外側の圧力)に達すると吐出弁(82,83,102,103)が開いて冷媒が吐出される。つまり、両圧縮室(74,94)では、該圧縮室(74,94)が接続された冷媒回路(11)の運転条件(圧力状態)に応じて吐出容積(吐出行程の開始時点における圧縮室(74,94)の容積)が変動する。
ここで、上記変更手段(8)が第1の状態と第2の状態とを切り換えることにより、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)を流れる冷媒と、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とを接続する第2連絡通路(162)を流れる冷媒とは、冷却される状態と冷却されない状態とにそれぞれ切り換えられる。このように、冷却/非冷却が切り換えられると、第1連絡通路(161)及び第2連絡通路(162)の冷媒の圧力は大きく変化することとなる。
しかし、本空気調和装置(10)では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)の吐出ポート(79,80,99,100)に、それぞれ吐出弁(82,83,102,103)が設けられているため、上記圧力変動に応じて、第1圧縮室(74)の吐出容積と第2圧縮室(94)の吐出容積が変動することとなる。従って、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)における過圧縮損失や逆流損失を抑制することができる。
また、本空気調和装置(10)では、二酸化炭素を冷媒としている。二酸化炭素を冷媒とする二段圧縮冷凍サイクルでは、放熱損失が大きく、高い成績係数(COP)を得難いという問題がある。そのため、二酸化炭素を冷媒として用いた本空気調和装置(10)に変更手段(8)を設けて運転条件に応じて中間圧力を変動させてCOPの向上を図る意義はより大きいものとなる。
また、いずれかの圧縮室(74,94,53)において冷媒をアンロードさせることによって中間圧力の調節を行うことも可能であるが、そのような場合、該圧縮室(74,94,53)において冷媒が無駄に圧縮されることとなるため、効率の向上を図ることができない。しかしながら、本空気調和装置(10)では、冷却手段(7)によって冷却される冷媒が流れる連絡通路(161,162)を変更することによって容易に中間圧力を調節することができる。また、いずれかの圧縮室(74,94,53)において冷媒をアンロードさせる場合、該圧縮室(74,94,53)では容積変化の大きい回転角度から圧縮が始まるために軸トルクの変化が大きくなって振動が抑制できないという問題があるが、本空気調和装置(10)では、冷媒をアンロードさせることなく中間圧力の調節が可能であるため、軸トルクの変化を抑制して振動を抑制することができる。
また、本空気調和装置(10)では、第1圧縮機構(41)で圧縮された全ての冷媒が電動機(47)を通過する。冷媒が電動機(47)を通る際には、冷媒に含まれる冷凍機油の一部が、電動機(47)に付着することによって、冷媒から分離される。従って、より多くの冷凍機油を冷媒から分離することが可能である。これにより、第3圧縮室(53)に、油含有率の低い冷媒を供給することができるため、圧縮機(30)の油上がりを抑制することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。以下では、実施形態1と異なる点について説明する。
実施形態2の冷媒回路(11)では、図9に示すように、冷却手段(7)が、中間冷却器(19)により構成されている。中間冷却器(19)の近傍には、冷却用ファン(20)が設置され、該中間冷却器(19)では、冷却用ファン(20)によって送られる室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。また、変更手段(8)の切換機構が、第2四路切換弁(191)と第3四路切換弁(192)により構成されている。
第2四路切換弁(191)は、第1ポート(P1)が第3連絡管(151)を介して第1低段吐出管(32)に接続され、第2ポート(P2)が第4連絡管(152)を介して中間冷却器(19)に接続され、第3ポート(P3)が第5連絡管(153)を介して連絡吐出管(34)に接続され、第4ポート(P4)が第6連絡管(154)を介して第3四路切換弁(192)の第3ポート(P3)に接続されている。
一方、第3四路切換弁(192)は、第1ポート(P1)が第7連絡管(155)を介して中間冷却器(19)に接続され、第2ポート(P2)が第8連絡管(156)を介して第2低段吸入管(33)に接続され、第3ポート(P3)には上記第6連絡管(154)が接続され、第4ポート(P4)が第9連絡管(157)を介して高段吸入管(35)に接続されている。
各四路切換弁(191,192)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する第1の位置と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する第2の位置とに切換可能に構成されている。なお、各四路切換弁(191,192)は複数の電磁弁を代用することができる。
また、本実施形態2では、第1圧縮室(74)の吸入容積V1(第1ピストン(70)の押しのけ容積)と、第2圧縮室(94)の吸入容積V2(第2ピストン(90)の押しのけ容積)と、第3圧縮室(53)の吸入容積V3(可動スクロール(52)の押しのけ容積)との比率が、下記の式1の値に設定されている。なお、これらの吸入容積の間には、V1>V2>V3の関係が成立している。
V1:V2:V3=1.0:0.7:0.5 (式2)
(変更手段の制御)
本実施形態2では、変更手段(8)の切換機構を構成する第2四路切換弁(191)及び第3四路切換弁(192)が共に第1の位置に設定されると、中間冷却器(19)によって第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒を冷却する第1の状態になる。一方、第2四路切換弁(191)及び第3四路切換弁(192)が共に第2の位置に設定されると、中間冷却器(19)によって第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒を冷却する第2の状態になる。
具体的には、第1の状態では、図9に示すように、第3連絡管(151)と第4連絡管(152)とが連通され、第5連絡管(153)と第6連絡管(154)とが連通される。また、第7連絡管(155)と第8連絡管(156)とが連通され、第6連絡管(154)と第9連絡管(157)とが連通される。これにより、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とが、第3連絡管(151)と第4連絡管(152)と第7連絡管(155)と第8連絡管(156)とによって構成される第1連絡通路(161)によって接続される。一方、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とが、ケーシング(40)の第1空間(45)及び第2空間(46)と第5連絡管(153)と第6連絡管(154)と第9連絡管(157)とによって構成される第2連絡通路(162)によって接続される。
よって、第1の状態では、中間冷却器(19)が第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とを接続する第1連絡通路(161)の中途部(第4連絡管(152)と第7連絡管(155)との間)に接続されることとなる。そのため、3つの圧縮室(74,94,53)における冷媒の流れは以下のようになる。
低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入され、該第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第1連絡通路(161)(第3連絡管(151)、第4連絡管(152)、第7連絡管(155)及び第8連絡管(156))を通って第2圧縮室(94)に吸入される。なお、第1連絡通路(161)の中途部には、中間冷却器(19)が接続されている。そのため、第1連絡通路(161)を流れる冷媒は、中間冷却器(19)の冷却用ファン(20)によって送られる室外空気と熱交換して冷却された後、第2圧縮室(94)に吸入される。
第2圧縮室(94)に吸入された冷媒は、該第2圧縮室(94)において圧縮され、第2連絡通路(162)(第1空間(45)、第2空間(46)、第5連絡管(153)、第6連絡管(154)及び第9連絡管(157))を通って第3圧縮室(53)に吸入される。第3圧縮室(53)に吸入された冷媒は、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第1の状態では、中間冷却器(19)によって第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が直列に接続されて高段側の圧縮室として用いられることとなる。
一方、上記第2の状態では、図10に示すように、第3連絡管(151)と第6連絡管(154)とが連通され、第4連絡管(152)と第5連絡管(153)とが連通される。また、第7連絡管(155)と第9連絡管(157)とが連通され、第6連絡管(154)と第8連絡管(156)とが連通される。これにより、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とが、第3連絡管(151)と第6連絡管(154)と第8連絡管(156)とによって構成される第1連絡通路(161)によって接続される。一方、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とが、ケーシング(40)の第1空間(45)及び第2空間(46)と第5連絡管(153)と第4連絡管(152)と第7連絡管(155)と第9連絡管(157)とによって構成される第2連絡通路(162)によって接続される。
低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入されて圧縮される。そして、第1圧縮室(74)において圧縮された冷媒は、第1連絡通路(第3連絡管(151)、第6連絡管(154)及び第8連絡管(156))を通って第2圧縮室(94)に吸入され、該第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第2連絡通路(第1空間(45)、第2空間(46)、第5連絡管(153)、第4連絡管(152)、第7連絡管(155)及び第9連絡管(157))を通って第3圧縮室(53)に吸入され、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。なお、第2連絡通路(162)の中途部には、中間冷却器(19)が接続されている。そのため、第2連絡通路(162)を流れる冷媒は、中間冷却器(19)の冷却用ファン(20)によって送られる室外空気と熱交換して冷却された後、第3圧縮室(53)に吸入される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第2の状態では、中間冷却器(19)によって第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が直列に接続されて低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。
以上より、第1の状態では、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。一方、第2の状態では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。よって、変更手段(8)の切換機構を構成する第2四路切換弁(191)及び第3四路切換弁(192)によって、第1の状態又は第2の状態に切り換えられると、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けが変更されて、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力が変動することとなる。
−実施形態2の効果−
実施形態2の空気調和装置(10)においても、実施形態1と同様に、変更手段(8)を構成する2つの四路切換弁(191,192)によって冷却手段(7)を構成する中間冷却器(19)が接続される連絡通路(161,162)を変更することにより、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けを容易に変更することができる。従って、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変動(上昇又は低下)させることができ、運転条件の変化に拘わらず高いCOPを得ることができる。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2では、第1連絡通路(161)を流れる冷媒を冷却する冷却手段(7)と第2連絡通路(162)を流れる冷媒を冷却する冷却手段(7)とを1つの中間冷却器(19)を併用することで構成していたが、第1連絡通路(161)を流れる冷媒を冷却する冷却手段(7)と第2連絡通路(162)を流れる冷媒を冷却する冷却手段(7)とは別個の中間冷却器(19)によって冷却されるように構成してもよい。また、中間冷却器(19)だけでなく、実施形態1のようなインジェクション通路を併用して冷却手段(7)としてもよい。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。以下では、実施形態1と異なる点について説明する。
この実施形態3では、図11に示すように、第1圧縮機構(41)及び第2圧縮機構(42)の構成が上記実施形態1と相違している。なお、第1圧縮機構(41)及び第2圧縮機構(42)は共に電動機(47)の下側に配置され、第2圧縮機構(42)は第1圧縮機構(41)の上方に配置されている。各圧縮機構の詳細な構成については後述する。
実施形態3では、ケーシング(40)には、第1低段吸入管(31)、第1低段吐出管(32)、第2低段吸入管(33)、高段吸入管(35)、高段吐出管(36)、及び第2低段吐出管(37)が接続されている。
上記第1低段吸入管(31)は、第1圧縮機構(41)の第1圧縮室(74)の吸入側に接続され、第1低段吐出管(32)は、該第1圧縮室(74)の吐出側に接続されている。第2低段吸入管(33)は、第1圧縮機構(41)の第2圧縮室(94)の吸入側に接続され、第2低段吐出管(37)は、該第2圧縮室(94)の吐出側に接続されている。高段吸入管(35)は、第2圧縮機構(42)の第3圧縮室(53)の吸入側に接続され、高段吐出管(36)は、その入口端がケーシング(40)の内部空間(145)の上層部において開口している。
また、上記第1低段吸入管(31)は、低圧ガス管(1)を介して四路切換弁(12)の第3ポート(P3)に接続されている。第1低段吐出管(32)は、第1連絡管(2)を介して第2低段吸入管(33)に接続されている。第2低段吐出管(37)は、第2連絡管(3)を介して高段吸入管(35)に接続されている。高段吐出管(36)は、高圧ガス管(4)を介して四路切換弁(12)の第1ポート(P1)に接続されている。また、第1連絡管(2)には第1マフラー(2a)が設けられ、第2連絡管(3)には第2マフラー(3a)が設けられている。
このような構成により、第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)とは、第1連絡管(2)及び第1マフラー(2a)によって構成される第1連絡通路(161)によって接続され、第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)とは、第2連絡管(3)及び第2マフラー(3a)によって構成される第2連絡通路(162)によって接続されている。
なお、実施形態3では、冷却手段(7)は、冷媒回路(11)の放熱器において冷却された冷媒の一部を第1連絡管(2)又は第2連絡管(3)に導くインジェクション通路によって構成されている。
また、実施形態3では、該インジェクション通路は、インジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)又はインジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)によって構成されている。第1インジェクション管(5)の中途部には第1電磁弁(5a)が設けられ、第2インジェクション管(6)の中途部には第2電磁弁(6a)が設けられている。
さらに、実施形態3では、上記第1電磁弁(5a)及び第2電磁弁(6a)が、本発明に係る上記変更手段(8)の切換機構を構成し、図示しないコントローラによって開閉制御される。
このような構成により、上記変更手段(8)の切換機構を構成する第1電磁弁(5a)及び第2電磁弁(6a)が、上記冷却手段(7)を構成するインジェクション通路を流れる冷媒によって第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が冷却される第1の状態と、第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が冷却される第2の状態とに切り換える。
具体的には、第1電磁弁(5a)が開状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が閉状態に切り換えられると、冷媒回路(11)の放熱器で冷却された冷媒がインジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)によって構成されるインジェクション通路を介して第1連絡管(2)の中途部に流入する。これにより、第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が、該インジェクション通路を流れる冷媒によって冷却される第1の状態となる。
一方、第1電磁弁(5a)が閉状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が開状態に切り換えられると、冷媒回路(11)の放熱器で冷却された冷媒がインジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)によって構成されるインジェクション通路を介して第2連絡管(3)の中途部に流入する。これにより、第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が、該インジェクション通路を流れる冷媒によって冷却される第2の状態となる。
〈圧縮機の構成〉
上記第1圧縮機構(41)は、実施形態1の第1圧縮機構部(43)とほぼ同様に構成されるが、第1外側圧縮室(75)が第1圧縮室(74)を構成し、第1内側圧縮室(76)が第2圧縮室(94)を構成する点において実施形態1の第1圧縮機構部(43)と相違する。なお、第1圧縮機構(41)は、駆動軸(50)の下側偏心部(50e)に嵌合する一方、第2圧縮機構(42)は、駆動軸(50)の上側偏心部(50f)に嵌合している。
また、第1圧縮機構(41)には、第1低段吸入管(31)及び第2低段吸入管(33)が接続されている。第1低段吸入管(31)は、第1圧縮室(74)の吸入側に接続されている。第2低段吸入管(33)は、第2圧縮室(94)の吸入側に連通する第1吸入通路(78)に接続されている。
さらに、第1圧縮機構(41)には、第1圧縮室(74)から冷媒を吐出させる外側吐出ポート(79)と、第2圧縮室(94)から冷媒を吐出させる内側吐出ポート(80)と、外側吐出ポート(79)が開口する外側吐出室(108)と、内側吐出ポート(80)が開口する内側吐出室(111)とが形成されている。外側吐出室(108)には、第1低段吐出管(32)の入口端が開口している。一方、内側吐出室(111)には、第2低段吐出管(37)の入口端が開口している。また、外側吐出ポート(79)には、外側吐出弁(82)が設けられ、内側吐出ポート(80)には、内側吐出弁(83)が設けられている。
以上の構成により、駆動軸(50)が回転すると、第1圧縮室(74)では、第1低段吸入管(31)を通じて導入された冷媒が圧縮される。そして、第1圧縮室(74)で圧縮された冷媒は、外側吐出ポート(109)を通って第1低段吐出管(32)に流入する。一方、第2圧縮室(94)では、第2低段吸入管(33)を通じて導入された冷媒が圧縮される。そして、第2圧縮室(94)で圧縮された冷媒は、内側吐出ポート(110)を通って第2低段吐出管(37)に流入する。
一方、上記第2圧縮機構(42)は、ロータリ式の流体機械により構成されている。具体的には、第2圧縮機構(42)は、共に円環状に形成されたシリンダ(171)及びロータリピストン(172)を備えている。シリンダ(171)は、上側のフロントヘッド(68)と下側のミドルプレート(69)とによって挟み込まれている。シリンダ(171)の両端は、フロントヘッド(68)とミドルプレート(69)とによって閉塞されている。また、ロータリピストン(172)は、シリンダ(171)内に配置されている。ロータリピストン(172)の外径は、シリンダ(171)の内径よりも小さくなっている。シリンダ(171)の内周面とロータリピストン(172)の外周面との間には、第3圧縮室(53)が形成されている。ロータリピストン(172)の内側には、駆動軸(50)の上側偏心部(50f)が回転自在に嵌め込まれている。
図13に示すように、ロータリピストン(172)の外周面には、平板状のブレード(174)が突設されている。ブレード(174)は、吸入ポート(176)が開口する低圧側の第1室(53c)と、吐出ポート(177)が開口する高圧側の第2室(53d)とに、第3圧縮室(53)を区画している。
ブレード(174)は、シリンダ(171)に対して揺動可能に設けられた一対の第1揺動ブッシュ(175)に対して、摺動自在に挟み込まれている。ロータリピストン(172)は、ブレード(174)と共に、シリンダ(171)に対して揺動可能になっている。
吸入ポート(176)は、シリンダ(171)に形成されている。吸入ポート(176)の入口側には、高段吸入管(35)が接続されている。吸入ポート(176)の出口は、一対の第1揺動ブッシュ(175)の一方の揺動ブッシュ(図13における右側の揺動ブッシュ)の近傍に開口している。
一方、吐出ポート(177)は、フロントヘッド(68)に形成されている。吐出ポート(177)の入口は、一対の第1揺動ブッシュ(175)の他方の揺動ブッシュ(図13における左側の揺動ブッシュ)の近傍に開口している。吐出ポート(177)の出口は、フロントヘッド(68)に形成された吐出室(178)に開口している。吐出室(178)は、ケーシング(40)内の内部空間(145)に開口している。また、吐出室(178)には、吐出ポート(177)を開閉する吐出弁(179)が設けられている。吐出弁(179)はリード弁により構成されている。吐出室(178)には、吐出弁(179)のリフト量を制限する弁押さえが設けられている(図示省略)。
以上の構成により、第2圧縮機構(42)では、駆動軸(50)が回転すると、ロータリピストン(172)が、図14の(A)から(H)の順に偏心回転する。ロータリピストン(172)は、その内周面が上側偏心部(50f)の外周面と油膜を介して摺接し、その外周面がシリンダ(71)の内周面と油膜を介して摺接しながら、偏心回転する。
第2圧縮機構(42)では、駆動軸(50)の回転角が0°の状態から僅かに回転して、ロータリピストン(172)とシリンダ(171)の接触位置が吸入ポート(176)の出口を通過すると、吸入ポート(176)から第3圧縮室(53)へ冷媒が流入し始める。そして、第3圧縮室(53)へは、駆動軸(50)の回転角が360°になるまで冷媒が流入し続ける。そして、この状態から駆動軸(50)がさらに回転すると、冷媒の圧縮が開始される。第3圧縮室(53)の冷媒は、第3圧縮室(53)の内力が吐出室(178)の内圧を上回って、吐出弁(179)が開状態になると、吐出ポート(177)を通って、吐出室(178)へ吐出される。冷媒の吐出は、駆動軸(50)の回転角が360°になるまで続く。
−運転動作−
次に、空気調和装置(10)の運転動作について説明する。この空気調和装置(10)は、冷房運転等と暖房運転とに切り換え可能となっている。なお、冷房運転動作及び暖房運転動作は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
(変更手段の制御)
本実施形態3では、空気調和装置(10)の運転条件が変化すると、変更手段(8)を構成する第1電磁弁(5a)及び第2電磁弁(6a)によって第1の状態と第2の状態とに切り換えられる。
具体的には、第1電磁弁(5a)が開状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が閉状態に切り換えられると、冷却手段(7)によって第1圧縮室(74)から第2圧縮室(94)へ流れる冷媒が冷却される第1の状態となる。一方、第1電磁弁(5a)が閉状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が開状態に切り換えられると、冷却手段(7)によって第2圧縮室(94)から第3圧縮室(53)へ流れる冷媒が冷却される第2の状態となる。なお、実施形態3では、冷房運転に切り換えられる際に、第1電磁弁(5a)が開状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が閉状態に切り換えられて上記第1の状態となり(図11参照)、暖房運転に切り換えられる際に、第1電磁弁(5a)が閉状態に切り換えられる一方、第2電磁弁(6a)が開状態に切り換えられて上記第2の状態となる(図15参照)。以下、それぞれの状態について詳述する。
図11に示すように、上記第1の状態では、低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入され、該第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第1圧縮室(74)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第1連絡通路(161)(第1連絡管(2)及び第1マフラー(2a))を通って第2圧縮室(94)に吸入される。なお、第1連絡通路(161)の中途部(第1マフラー(2a))には、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒がインジェクション管(26)及び第1インジェクション管(5)を介して流入する。そのため、第1連絡通路(161)を流れる冷媒は、インジェクション管(26)から流入するガス冷媒によって冷却された後、第2圧縮室(94)に吸入される。
第2圧縮室(94)に吸入された冷媒は、該第2圧縮室(94)において圧縮され、第2連絡通路(162)(第2連絡管(3)及び第2マフラー(3a))を通って第3圧縮室(53)に吸入される。第3圧縮室(53)に吸入された冷媒は、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第1の状態では、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒によって第1圧縮室(74)と第2圧縮室(94)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が直列に接続されて高段側の圧縮室として用いられることとなる。
一方、上記第2の状態では、低圧ガス管(1)の低圧圧力状態の冷媒は、まず第1圧縮室(74)に吸入されて圧縮される。そして、第1圧縮室(74)において圧縮された冷媒は、第1連絡通路(161)(第1連絡管(2)及び第1マフラー(2a))を通って第2圧縮室(94)に吸入され、該第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮される。
第2圧縮室(94)において中間圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、第2連絡通路(162)(第2連絡管(3)及び第2マフラー(3a))を通って第3圧縮室(53)に吸入され、該第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮される。なお、第2連絡通路(162)の中途部(第2マフラー(3a))には、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒がインジェクション管(26)及び第2インジェクション管(6)を介して流入する。そのため、第2連絡通路(162)を流れる冷媒は、インジェクション管(26)から流入するガス冷媒によって冷却された後、第3圧縮室(53)に吸入される。
第3圧縮室(53)において高圧圧力状態となるまで圧縮された冷媒は、高圧ガス管(4)に流入する。
このように第2の状態では、気液分離器(18)において液冷媒と分離されたガス冷媒によって第2圧縮室(94)と第3圧縮室(53)との間の冷媒が冷却される。これにより、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が直列に接続されて低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。
以上より、第1の状態では、第1圧縮室(74)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第2圧縮室(94)及び第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。一方、第2の状態では、第1圧縮室(74)及び第2圧縮室(94)が低段側の圧縮室として用いられる一方、第3圧縮室(53)が高段側の圧縮室として用いられる。よって、変更手段(8)の切換機構を構成する第1電磁弁(5a)及び第2電磁弁(6a)を開閉制御することによって、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けが変更されて、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力が変動することとなる。
−実施形態3の効果−
実施形態3の空気調和装置(10)においても、実施形態1と同様に、変更手段(8)を構成する2つの電磁弁(5a,6a)によって冷却手段(7)を構成するインジェクション通路(26,5,6)が接続される連絡通路(161,162)を変更することにより、3つの圧縮室(74,94,53)の低段側と高段側との振り分けを容易に変更することができる。従って、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変動(上昇又は低下)させることができ、運転条件の変化に拘わらず高いCOPを得ることができる。
−実施形態3の変形例−
なお、上記実施形態3では、変更手段(8)の切換機構を第1電磁弁(5a)及び第2電磁弁(6a)によって構成していたが、これらを開度調節が可能な調整弁によって構成し、両調整弁の開度を調節することによって中間圧力を調節することとしてもよい。
《その他の実施形態》
上述した各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、冷媒回路(11)に充填される冷媒が二酸化炭素以外の冷媒(例えばフロン冷媒)であってもよい。
また、上記実施形態について、第1圧縮室(74)の吸入容積V1と、第2圧縮室(94)の吸入容積V2と、第3圧縮室(53)の吸入容積V3との間の大小関係は、上記各実施形態のものに限られない。
また、第1圧縮機構(41)と第2圧縮機構(42)は、上記実施形態のものに限られず、駆動軸(50)に連結可能な回転式の圧縮機構であればいかなるものであってもよい。
さらに、圧縮機(30)は、3つ以上の圧縮機構を備えたものであってもよく、4つ以上の圧縮室を備えたものであってもよい。このようなものであっても、変更手段(8)によって冷却手段(7)によって冷却される連絡通路を変更することにより、二段圧縮冷凍サイクルの中間圧力を容易に変更することができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。