JP2010156246A - 圧縮機 - Google Patents

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隆造 外島
Yoshitaka Shibamoto
祥孝 芝本
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Abstract

【課題】2つの圧縮室を有する圧縮機構において、吸入容積比を変更可能にして、中間圧を最適に制御することができるように構成する。
【解決手段】圧縮機(1)は、環状のシリンダ室(C1,C2)を有するシリンダ(21)と、シリンダ室(C1,C2)を内外の2つの圧縮室(C1,C2)に区画する環状のピストン(22b)とを有する第1圧縮機構(20)と、第1圧縮機構(20)に機械的に連結された第2圧縮機構(30)を備えている。第1圧縮機構(20)の2つの圧縮室(C1,C2)と第2圧縮機構(30)の圧縮室(C3,C4)は、一部の圧縮室が低段側圧縮室を、残りの圧縮室が高段側圧縮室を構成する。この圧縮機(1)に、容積比変更手段(70)を設ける。容積比変更手段(70)は、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、低段側圧縮室の吸入容積の合計値に対する高段側圧縮室の吸入容積の合計値の比率である吸入容積比を変更する。
【選択図】図4

Description

本発明は、2つの圧縮室を有する圧縮機構を備えた圧縮機に関するものである。
従来より、2つの圧縮室を有する圧縮機構を備えた圧縮機が知られている。この種の圧縮機の一例が、例えば特許文献1に開示されている。
具体的に、特許文献1の圧縮機は、2つの圧縮室を有する圧縮機構を2つ備えている。各圧縮機構は、環状のシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ室内に配置されてシリンダ室を内外に区画する環状のピストンとを備え、シリンダがピストンに対して偏心回転運動するように構成されている。2つの圧縮機構は、駆動軸によって機械的に連結されている。
特開2007−239666号公報
ところで、上述したような圧縮機は、例えば冷凍サイクルを行う冷凍装置に設けられる。このような冷凍装置では、低段側圧縮室と高段側圧縮室との間の冷媒の圧力である中間圧の値に応じて、COP(成績係数)が変化する。高いCOPが得られる中間圧の値は、運転条件等によって異なってくる。従って、運転条件等に応じて、高いCOPが得られるように中間圧を最適に制御できることが望ましい。しかし、従来の圧縮機では、低段側圧縮室の吸入容積の合計値に対する高段側圧縮室の吸入容積の合計値の比率である吸入容積比が一定であるため、中間圧を最適に制御することが困難であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの圧縮室を有する圧縮機構において、吸入容積比を変更可能にして、中間圧を最適に制御することができるように構成することにある。
第1の発明は、共に容積型の流体機械により構成された第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)と、上記第1圧縮機構(20)と上記第2圧縮機構(30)の両方に連結する駆動軸(53)とを備えた圧縮機(1)を対象とする。そして、この圧縮機(1)は、上記第1圧縮機構(20)が、環状のシリンダ室(C1,C2)を有するシリンダ(21)と、該シリンダ(21)に対して偏心してシリンダ室(C1,C2)に収納され、該シリンダ室(C1,C2)を外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とに区画する環状のピストン(22b)と、該シリンダ室(C1,C2)に配置され、各圧縮室(C1,C2)をそれぞれ第1室と第2室とに区画する区画部材(23)とを有し、上記シリンダ(21)と上記ピストン(22b)とが相対的に偏心回転運動することによって各圧縮室(C1,C2)で流体を圧縮するように構成され、上記第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)と上記第2圧縮機構(30)の圧縮室(C3,C4)とは、それらのうちの一部の圧縮室が低圧流体を吸入して圧縮する低段側圧縮室を、残りの圧縮室が低段側圧縮室から吐出された流体を吸入して圧縮する高段側圧縮室をそれぞれ構成し、上記第1圧縮機構(20)の容量を変更することによって、上記低段側圧縮室の吸入容積の合計値に対する上記高段側圧縮室の吸入容積の合計値の比率である吸入容積比を変更する容積比変更手段(70)を備えている。
第1の発明では、第1圧縮機構(20)の容量を調節する容積比変更手段(70)によって、吸入容積比が変更される。吸入容積比が変更されると、低段側圧縮室と高段側圧縮室との間の流体の圧力である中間圧が変化する。つまり、この第1の発明では、第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)が1本の駆動軸(53)で機械的に連結されているが、容積比変更手段(70)によって吸入容積比を変更することで、中間圧を変化させることが可能である。なお、吸入容積とは、流体を吸入する吸入行程が終了した時点の圧縮室の容積である。また、第1圧縮機構(20)の容量は、第1圧縮機構(20)における流体の処理量(圧縮室で圧縮されて吐出される流体量)を意味してる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1圧縮機構(20)には、上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口する第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)が形成され、上記第1吸入通路(42a)と上記第2吸入通路(42b)では、該第2吸入通路(42b)の方が上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において上記区画部材(23)から離れた位置で上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口し、上記容積比変更手段(70)は、上記第2吸入通路(42b)を開いた状態と該第2吸入通路(42b)を閉じた状態とを切り換えることによって、上記第1圧縮機構(20)の容量を変更する。
第2の発明では、第2吸入通路(42b)を閉じた状態に切り換えると、第1吸入通路(42a)を通じて外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に流体が導入される。外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)では、その容積が最大となった時点で流体の吸入行程が終了する。一方、第2吸入通路(42b)を開いた状態に切り換えると、第2吸入通路(42b)を通じて外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に流体が導入される。外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)では、その容積が最大となった時点の後も、第2吸入通路(42b)から閉じきられた時点まで、吸入行程が続く。
従って、第2吸入通路(42b)を開いた状態では、第2吸入通路(42b)を閉じた状態よりも遅いタイミングで吸入行程が終了する。第2吸入通路(42b)を開いた状態のときに吸入行程が終了するタイミングでは、第2吸入通路(42b)を閉じた状態のときには圧縮行程が既に開始されている。従って、第2吸入通路(42b)を閉じた状態よりも第2吸入通路(42b)を開いた状態の方が、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の吸入容積が小さくなる。この第2の発明では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に開口する第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)の何れを用いるかを切り換えることによって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の両方の吸入容積が変更され、それに伴って吸入容積比が変更される。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記第1圧縮機構(20)には、上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口する吸入通路(42)と、上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において該吸入通路(42)の出口の位置よりも上記区画部材(23)から離れた位置で上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させる内外連通路(75)とが形成され、上記容積比変更手段(70)は、上記内外連通路(75)を開いた状態と該内外連通路(75)を閉じた状態とを切り換えることによって、上記第1圧縮機構(20)の容量を変更する。
第3の発明では、内外連通路(75)を閉じた状態に切り換えると、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)では、その容積が最大となる時点で流体の吸入行程が終了する。一方、内外連通路(75)を開いた状態に切り換えると、その容積が最大となった外側圧縮室(C1)は、内外連通路(75)を通じて、吸入通路(42)に連通している内側圧縮室(C2)に連通している。外側圧縮室(C1)では、その容積が最大となった時点の後も、内外連通路(75)から閉じきられた時点まで、吸入行程が続く。同様に、その容積が最大となった内側圧縮室(C2)は、その容積が最大となった時点の後も、内外連通路(75)から閉じきられた時点まで、吸入行程が続く。
そして、内外連通路(75)を開いた状態のときに吸入行程が終了するタイミングでは、内外連通路(75)を閉じた状態のときには圧縮行程が既に開始されている。従って、内外連通路(75)を閉じた状態よりも内外連通路(75)を開いた状態の方が、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の吸入容積が小さくなる。この第3の発明では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において吸入通路(42)よりも区画部材(23)から離れた位置に形成された内外連通路(75)を開閉することによって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の両方の吸入容積が変更され、それに伴って吸入容積比が変更される。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記内外連通路(75)が、上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させるように上記ピストン(22b)に形成された切り欠きにより構成され、上記容積比変更手段(70)は、上記内外連通路(75)に嵌合された嵌合部材(76)を備え、該嵌合部材(76)を移動させることによって、該内外連通路(75)を開いた状態と該内外連通路(75)を閉じた状態とを切り換える。
第4の発明では、内外連通路(75)に嵌合された嵌合部材(76)を移動させることによって内外連通路(75)が開閉される。この第4の発明では、嵌合部材(76)の移動に伴って、内外連通路(75)を通じて外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とが連通することを嵌合部材(76)が遮断する閉状態と、内外連通路(75)が嵌合部材(76)によって完全に遮断されることがなく内外連通路(75)を通じて外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とが連通する開状態とが切り換えられる。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記容積比変更手段(70)が、上記第1圧縮機構(20)の区画部材(23)を移動させることによって、該第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の両方が上記区画部材(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態と、該第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の少なくとも一方が上記駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態とを切り換えて、該第1圧縮機構(20)の容量を変更する。
第5の発明では、区画部材(23)を移動させる容積比変更手段(70)によって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の両方が区画部材(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態と、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の少なくとも一方が駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態とが切り換えられる。第2状態では、単一空間となる圧縮室で流体の圧縮行程を行うことができない。このため、第2状態では、その単一空間となる圧縮室の吸入容積がゼロになり、第1圧縮機構(20)の容量が第1状態に比べて減少する。その結果、第1状態と第2状態とが切り換えられることによって、吸入容積比が変更される。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記容積比変更手段(70)が、上記区画部材(23)を上記シリンダ室(C1,C2)の径方向に移動させることによって上記第1状態と上記第2状態とを切り換える一方、上記第1圧縮機構(20)では、上記第1状態及び上記第2状態の両方において上記シリンダ室(C1,C2)の径方向における上記区画部材(23)の両側が上記シリンダ(21)によって支持されるように、上記シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さが設定されると共に、該区画部材(23)のうち第1状態から第2状態への切り換えに伴って上記シリンダ室(C1,C2)に露出する部分には、上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させる連通部(23d)が形成されている。
第6の発明では、第1状態及び第2状態の両方においてシリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の両側がシリンダ(21)によって支持されるように、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さが設定されている。ここで、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さが短い場合には、第2状態においては、区画部材(23)のうち連通部(23d)が形成された方の端部が、シリンダ室(C1,C2)に抜け出してしまい、区画部材(23)が片持ち状態になってしまう。これに対して、この第6の発明では、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さがある程度確保されているので、第2状態でも、連通部(23d)が形成された方の端部がシリンダ(21)によって支持される。従って、第1状態及び第2状態の両方において、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の両側がシリンダ(21)によって支持される。
第7の発明は、上記第5又は第6の発明において、上記第1圧縮機構(20)が、上記第2状態では上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)の両方が上記駆動軸(53)の1回転中において単一空間になるように切り換えられると共に、該外側圧縮室(C1)及び該内側圧縮室(C2)が共に上記低段側圧縮室又は上記高段側圧縮室を構成し、上記第2圧縮機構(30)が、環状のシリンダ室(C3,C4)を有するシリンダ(31)と、該シリンダ(31)に対して偏心してシリンダ室(C3,C4)に収納され、該シリンダ室(C3,C4)を外側圧縮室(C3)と内側圧縮室(C4)とに区画する環状のピストン(32b)と、該シリンダ室(C3,C4)に配置され、各圧縮室(C3,C4)をそれぞれ第1室と第2室とに区画する区画部材(33)とを有し、上記シリンダ(31)と上記ピストン(32b)とが相対的に偏心回転運動することによって各圧縮室(C3,C4)で流体を圧縮するように構成されて、該外側圧縮室(C3)及び該内側圧縮室(C4)の一方が上記低段側圧縮室を、該外側圧縮室(C3)及び該内側圧縮室(C4)の他方が上記高段側圧縮室を構成する。
第7の発明では、区画部材(23)を移動させることによって、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)が区画部材(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態と、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)が駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態とが切り換えられる。第1状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われる。従って、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)では、4つの圧縮室のうち3室が低段側又は高段側圧縮室となって、残りの1室がその3室とは逆の高段側又は低段側圧縮室になる。一方、第2状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われることがなく、第1圧縮機構(20)の容量が実質的にゼロになる。そして、第2圧縮機構(30)の2つの圧縮室(C3,C4)の1室が低段側圧縮室となって別の1室が高段側圧縮室となる。この第7の発明では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われる第1状態であっても、その両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われない第2状態であっても、二段圧縮が行われるようにしている。
第8の発明は、上記第1の発明において、上記第1圧縮機構(20)では、上記ピストン(22b)及び上記シリンダ(21)のうち偏心回転運動する方が可動部材(22)を構成し、固定された方が固定部材(21)を構成する一方、上記可動部材(22)及び上記固定部材(21)は、共に上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)に面する鏡板部を備え、上記容積比変更手段(70)は、上記駆動軸(53)の軸方向に沿って上記可動部材(22)を移動させることによって、上記可動部材(22)が上記固定部材(21)の鏡板部に押し付けられた状態と、該可動部材(22)が該固定部材(21)の鏡板部から離れて各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通する状態とを切り換えて、該第1圧縮機構(20)の容量を変更する。
第8の発明では、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、可動部材(22)が固定部材(21)の鏡板部に押し付けられた状態と、可動部材(22)が固定部材(21)の鏡板部から離れて各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通する状態とが切り換えられる。可動部材(22)が固定部材(21)の鏡板部から離れた状態では、各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通するので、各圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われることがない。この状態では、第1圧縮機構(20)の吸入容積がゼロになり、第1圧縮機構(20)の容量が実質的にゼロになる。従って、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量が変更されて、吸入容積比が変更される。
第9の発明は、上記第1乃至第8の各発明において、冷媒として二酸化炭素が充填されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(60)に接続される。
第9の発明では、圧縮機(1)で圧縮されるのが二酸化炭素冷媒である。ここで、二酸化炭素冷媒を用いる冷凍サイクルでは、放熱損失が比較的大きくなるので、単段圧縮冷凍サイクルではCOPが低くなる。このため、高いCOPを得るために、低段側圧縮室と高段側圧縮室とで冷媒を順番に圧縮する圧縮機(1)を用いて、二段圧縮冷凍サイクルを行うことが必要となる。この第9の発明では、高いCOPを得るために二段圧縮冷凍サイクルを行うことが必要な二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機(1)に、容積比変更手段(70)が設けられている。
本発明では、第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)が駆動軸(53)で機械的に連結されているが、容積比変更手段(70)によって吸入容積比を変更することで、中間圧を変化させることが可能である。従って、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になるので、本発明の圧縮機(1)を例えば冷凍装置に適用することにより、その冷凍装置のCOP(成績係数)の向上を図ることができる。
また、上記第2の発明では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に開口する第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)の何れを用いるかを切り換えることによって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)のそれぞれの吸入容積が変更され、それに伴って吸入容積比が変更される。従って、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)の何れを用いるかを切り換えることによって、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。また、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)を2室分の流路面積を確保した1つの通路によって構成することで、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)における圧力損失を抑制することができる。
また、上記第3の発明では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において吸入通路(42)よりも区画部材(23)から離れた位置に形成された内外連通路(75)を開閉することによって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)のそれぞれの吸入容積が変更され、それに伴って吸入容積比が変更される。この第3の発明では、吸入通路(42)から遮断されている圧縮室(C1,C2)と、吸入通路(42)に連通している圧縮室(C1,C2)とが、ピストン(22b)を挟んで存在していることに着目して、内外連通路(75)を設け、その内外連通路(75)を開閉することによって、吸入容積比を変更している。従って、第1圧縮機構(20)の構成を利用することで、吸入容積比を変更して、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。
また、上記第5の発明では、容積比変更手段(70)によって区画部材(23)を移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、吸入容積比が変更されるようにしている。従って、区画部材(23)を移動させることによって、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。
また、上記第6の発明では、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さを確保することで、第1状態及び第2状態の両方において、シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の両側がシリンダ(21)によって支持されるようにしている。従って、第1状態及び第2状態の両方において区画部材(23)を安定的に支持することができる。
また、上記第7の発明では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われる第1状態であっても、その両圧縮室(C1,C2)で流体の圧縮行程が行われない第2状態であっても、二段圧縮が行われるようにしている。この第7の発明によれば、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)の4つの圧縮室の全てを用いて二段圧縮を行う状態と、2つの圧縮室を用いて二段圧縮を行う状態とを、1つの第1圧縮機構(20)の容量の調節だけで行うことができる。
また、上記第8の発明では、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、吸入容積比が変更されるようにしている。従って、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。
また、上記第9の発明では、高いCOPを得るために二段圧縮冷凍サイクルを行うことが必要な二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機(1)に、容積比変更手段(70)が設けられている。このため、二酸化炭素冷媒による二段圧縮冷凍サイクルにおいて、容積比変更手段(70)によって中間圧を調節することで、COPの改善効果が大きく、さらに高いCOPを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。実施形態1は、本発明に係る圧縮機(1)を備えた冷凍装置(8)である。
〈圧縮機の構成〉
まず、圧縮機(1)の構成について説明する。この圧縮機(1)は回転式圧縮機であり、図1に示すように、1本の駆動軸(53)で機械的に連結された第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)を備え、冷媒(例えば二酸化炭素)を二段圧縮するように構成されている。つまり、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)により二段圧縮機構が構成されている。第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)は、共に容積型の流体機械により構成されている。
この圧縮機(1)は、ケーシング(10)内に、第1圧縮機構(20)、第2圧縮機構(30)及び電動機(50)が収納されたものである。この圧縮機(1)は、全密閉型に構成されている。
ケーシング(10)は、円筒状の胴部(11)と、この胴部(11)の上端部に固定された上部鏡板(12)と、胴部(11)の下端部に固定された下部鏡板(13)とから構成されている。ケーシング(10)には、図1及び図2に示すように、2本の第1吸入管(14-1a,14-1b)と1本の第1吐出管(15-1)が第1圧縮機構(20)に対して設けられている。また、ケーシング(10)には、2本の第2吸入管(14-2a,14-2b)と2本の第2吐出管(15-2a,15-2b)が第2圧縮機構(30)に対して設けられている。
上記第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)は、上下二段に重ねられている。第1圧縮機構(20)がケーシング(10)の底部側(図1の下側)に配置され、第2圧縮機構(30)が電動機(50)側(図1の上側)に配置されている。また、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)の間には、ミドルプレート(19)が設けられている。
図2に示すように、上記第1圧縮機構(20)は、環状の第1シリンダ室(C1,C2)を有する第1シリンダ(21)と、第1シリンダ(21)に対して偏心して第1シリンダ室(C1,C2)内に配置された環状の第1ピストン(22b)と、第1シリンダ室(C1,C2)を第1室である高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と第2室である低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画する第1ブレード(23)とを有している。第1ブレード(23)は区画部材(23)を構成している。
一方、上記第2圧縮機構(30)は、該第1圧縮機構(20)に対して上下反転している。第2圧縮機構(30)は、第1圧縮機構(20)と同じ機械要素により構成されている。第2圧縮機構(30)は、環状の第2シリンダ室(C3,C4)を有する第2シリンダ(31)と、第2シリンダ(31)に対して偏心して第2シリンダ室(C3,C4)内に配置された環状の第2ピストン(32b)と、第2シリンダ室(C3,C4)を第1室である高圧室と第2室である低圧室とに区画する第2ブレード(33)とを有している。第2ブレード(33)は区画部材(33)を構成している。
なお、図2は第1圧縮機構(20)の横断面図であり、図3は第1圧縮機構(20)の動作を表す横断面図である。第2圧縮機構(30)の横断面図は、吸入管(14)、及び後述する吸入通路(42)以外は、第1圧縮機構(20)と実質的に同一である。図2では、主な部材については、第2圧縮機構(30)の符号も括弧内に併記している。
本実施形態1では、第1シリンダ(21)及び第2シリンダ(31)が固定側で、第1ピストン(22b)及び第2ピストン(32b)が可動側である。つまり、第1圧縮機構(20)では、第1ピストン(22b)が第1シリンダ(21)に対して偏心回転運動をする。第2圧縮機構(30)では、第2ピストン(32b)が第2シリンダ(31)に対して偏心回転運動をする。
電動機(50)は、ステータ(51)とロータ(52)とを備えている。ステータ(51)は、第2圧縮機構(30)の上方に配置され、ケーシング(10)の胴部(11)に固定されている。一方、ロータ(52)は、ステータ(51)の内側に配置され、駆動軸(53)の主軸部(53a)に連結されている。電動機(50)では、ロータ(52)が駆動軸(53)と共に回転する。
駆動軸(53)は、上述の主軸部(53a)と、第1偏心部(53b)と、第2偏心部(53c)とを備えている。第1偏心部(53b)と第2偏心部(53c)は、駆動軸(53)の下部寄りの位置にそれぞれ設けられている。第1偏心部(53b)と第2偏心部(53c)は、共に主軸部(53a)よりも大径に形成されている。第1偏心部(53b)の軸心と第2偏心部(53c)の軸心は、それぞれ主軸部(53a)の軸心に対して同じ量だけ偏心している。第1偏心部(53b)と第2偏心部(53c)とは、駆動軸(53)の軸心を中心として互いに180°位相がずれている。
駆動軸(53)の下端部には、油溜まりに浸漬する給油ポンプが設けられている(図示省略)。また、駆動軸(53)には、給油ポンプが吸い上げた冷凍機油が流通する給油通路が形成されている(図示省略)。給油通路は、駆動軸(53)の内部を軸方向に沿って延びている。この圧縮機(1)では、駆動軸(53)の回転に伴って、給油ポンプが吸い上げた冷凍機油が給油通路を通じて各圧縮機構(20,30)の摺動部及び駆動軸(53)の軸受部に供給される。
上記第1ピストン(22b)は、図2に示すように、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている。第1ピストン(22b)は、第1可動部材(22)の一部となっている。第1可動部材(22)は、第1ピストン(22b)以外に、駆動軸(53)の第1偏心部(53b)に摺動自在に嵌合する第1軸受部(22a)と、第1軸受部(22a)と第1ピストン(22b)とを連接する第1可動側鏡板部(22c)とを備えている。第1軸受部(22a)は、第1ピストン(22b)と同心上に位置している。
上記第2ピストン(32b)は、図2に示すように、円環の一部分が分断されたC型形状に形成され、第2可動部材(32)の一部となっている。第2可動部材(32)は、第2ピストン(32b)以外に、駆動軸(53)の第2偏心部(53c)に摺動自在に嵌合する第2軸受部(32a)と、第2軸受部(32a)と第2ピストン(32b)とを連接する第2可動側鏡板部(32c)とを備えている。第2軸受部(32a)は、第2ピストン(32b)と同心上に位置している。
上記第1シリンダ(21)は、固定部材(21)を構成している。第1シリンダ(21)は、第1軸受部(22a)と第1ピストン(22b)との間で主軸部(53a)と同心上に位置する第1内側シリンダ部(21b)と、第1ピストン(22b)の外周側で主軸部(53a)と同心上に位置する第1外側シリンダ部(21a)と、第1内側シリンダ部(21b)と第1外側シリンダ部(21a)とを連接する第1固定側鏡板部(21c)とを備えている。
上記第2シリンダ(31)は、固定部材(31)を構成している。第2シリンダ(31)は、第2軸受部(32a)と第2ピストン(32b)との間で主軸部(53a)と同心上に位置する第2内側シリンダ部(31b)と、第2ピストン(32b)の外周側で主軸部(53a)と同心上に位置する第2外側シリンダ部(31a)と、第2内側シリンダ部(31b)と第2外側シリンダ部(31a)とを連接する第2固定側鏡板部(31c)とを備えている。
第1シリンダ(21)と第2シリンダ(31)には、それぞれ上記駆動軸(53)を支持するための軸受部(21d,31d)が形成されている。本実施形態の圧縮機(1)は、上記駆動軸(53)が第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)を上下方向に貫通し、第1偏心部(53b)及び第2偏心部(53c)の軸方向の両側が軸受部(21d,31d)を介してケーシング(10)に保持される貫通軸構造となっている。
次に、第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)の内部構造について説明する。なお、第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)は、ピストン(22,32)の軸方向長さ寸法と、それに対応するシリンダ(21,31)の軸方向長さ寸法とを除いては、実質的に同一の構成である。このため、以下では、第1圧縮機構(20)を代表例として説明する。
上記第1圧縮機構(20)は、図2に示すように、上記第1ブレード(23)に対して第1ピストン(22b)を揺動可能に連結する連結部材として、第1揺動ブッシュ(27)を備えている。上記第1ブレード(23)は、第1シリンダ室(C1,C2)の径方向線上に設けられ、第1ピストン(22b)の分断箇所を挿通している。第1ブレード(23)は、第1内側シリンダ部(21b)の外周面から第1外側シリンダ部(21a)の内周面まで延びている。第1ブレード(23)は、第1外側シリンダ部(21a)及び第1内側シリンダ部(21b)に固定されている。
なお、第1ブレード(23)は、第1外側シリンダ部(21a)及び第1内側シリンダ部(21b)と一体的に形成してもよいし、別部材を両シリンダ部(21a,21b)に取り付けてもよい。図2に示す例は、別部材を両シリンダ部(21a,21b)に固定した例である。
第1外側シリンダ部(21a)の内周面と第1内側シリンダ部(21b)の外周面は、互いに同一中心上に配置された円筒面になっている。第1外側シリンダ部(21a)の内周面と第1内側シリンダ部(21b)の外周面との間には、環状の第1シリンダ室(C1,C2)が形成されている。上記第1ピストン(22b)は、外周面が第1外側シリンダ部(21a)の内周面よりも小径で、内周面が第1内側シリンダ部(21b)の外周面よりも大径に形成されている。第1ピストン(22b)の外周面と第1外側シリンダ部(21a)の内周面との間には、第1外側圧縮室(C1)が形成されている。第1ピストン(22b)の内周面と第1内側シリンダ部(21b)の外周面との間には、第1内側圧縮室(C2)が形成されている。また、第1軸受部(22a)の外周面と第1内側シリンダ部(21b)の内周面との間には、第1軸受部(22a)の偏心回転動作を許容するための動作空間(25)が形成されている。
第1ピストン(22b)と第1シリンダ(21)は、第1ピストン(22b)の外周面と第1外側シリンダ部(21a)の内周面とが1点で実質的に接する状態(厳密にはミクロンオーダーの隙間があるが、その隙間での冷媒の漏れが問題にならない状態)において、その接点と位相が180°異なる位置で、第1ピストン(22b)の内周面と第1内側シリンダ部(21b)の外周面とが1点で実質的に接するようになっている。
上記第1揺動ブッシュ(27)は、第1ブレード(23)に対して高圧室(C1-Hp,C2-Hp)側に位置する吐出側ブッシュ(27A)と、第1ブレード(23)に対して低圧室(C1-Lp,C2-Lp)側に位置する吸入側ブッシュ(27B)とから構成されている。吐出側ブッシュ(27A)と吸入側ブッシュ(27B)は、いずれも断面形状が略半円形で同一形状に形成されている。吐出側ブッシュ(27A)と吸入側ブッシュ(27B)は、フラット面同士が対向するように配置されている。そして、両ブッシュ(27A,27B)の対向面の間のスペースが第1ブレード溝(28)を構成している。
この第1ブレード溝(28)には、第1ブレード(23)が挿入されている。この状態では、第1揺動ブッシュ(27A,27B)のフラット面が第1ブレード(23)と実質的に面接触し、第1揺動ブッシュ(27A,27B)の円弧状の外周面が第1ピストン(22b)と実質的に面接触している。第1揺動ブッシュ(27A,27B)は、第1ブレード溝(28)に第1ブレード(23)を挟んだ状態で、第1ブレード(23)の面方向に進退するように構成されている。また、第1揺動ブッシュ(27A,27B)は、第1ピストン(22b)が第1ブレード(23)に対して揺動するように構成されている。したがって、上記第1揺動ブッシュ(27)は、該第1揺動ブッシュ(27)の中心点を揺動中心として上記第1ピストン(22b)が第1ブレード(23)に対して揺動可能となり、かつ上記第1ピストン(22b)が第1ブレード(23)に対して該第1ブレード(23)の面方向へ進退可能となるように構成されている。
なお、この実施形態では両ブッシュ(27A,27B)を別体とした例について説明したが、両ブッシュ(27A,27B)は、一部で連結することにより一体構造としてもよい。
以上の構成において、駆動軸(53)が回転すると、第1ピストン(22b)は、第1ブレード(23)に沿って進退しながら、第1揺動ブッシュ(27)の中心点を揺動中心として揺動する。また、駆動軸(53)が回転すると、第2ピストン(32b)も、第1ピストン(22b)と同じように、第2ブレード(33)に沿って進退しながら、第2揺動ブッシュ(37)の中心点を揺動中心として揺動する。
この揺動動作により、第1ピストン(22b)と第1シリンダ(21)との第1接触点が図3(A)から図3(H)へ順に移動する。一方、第2ピストン(32b)と第2シリンダ(31)との第2接触点は、第1接触点に対して駆動軸(53)の軸心回りに180°ずれている。つまり、駆動軸(53)の上側から見て、第1圧縮機構(20)の動作状態が図3(A)のとき、第2圧縮機構(30)の動作状態は図3(E)となる。
なお、図3には、図3(A)から図3(H)まで45°間隔で第1ピストン(22b)が図の時計回り方向に移動している様子が表されている。このとき、上記第1ピストン(22b)は駆動軸(53)の周りを公転するが、自転はしない。
第1圧縮機構(20)には、低圧冷媒を吸入する上記第1吸入管(14-1a,14-1b)が2本設けられ、中間圧冷媒を吐出する上記第1吐出管(15-1)が1本設けられている。2本の第1吸入管(14-1)は、図2に示すように、ケーシング(10)の周方向において互いに異なる位置に接続された第1a吸入管(14-1a)及び第2b吸入管(14-1b)から構成されている。
第1シリンダ(21)には、第1a吸入管(14-1a)が接続される第1吸入通路(42a)と、第2b吸入管(14-1b)が接続される第2吸入通路(42b)とが形成されている。第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)は、第1シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に開口している。具体的に、第1吸入通路(42a)は、第1ブレード(23)の吸入側における第1ブレード(23)の近傍で両圧縮室(C1,C2)に開口している。第2吸入通路(42b)は、シリンダ室(C1,C2)の周方向において第1吸入通路(42a)よりも第1ブレード(23)から離れた位置で両圧縮室(C1,C2)に開口している。第2吸入通路(42b)は、第1ブレード(23)の位置から図2において時計回りに略90°回転した位置で、両圧縮室(C1,C2)に開口している。
また、第1シリンダ(21)には、図4に示すように、第2吸入通路(42b)を開閉するための弁部材(101)が設けられ、さらにその弁部材(101)を移動可能に収容する弁収容空間(102)が形成されている。弁収容空間(102)には、弁部材(101)を図4における下側に引っ張る弾性バネ(103)が設けられている。また、弁収容空間(102)の下側の壁面には、弁収容空間(102)の内圧を調節するための背圧導入通路(104)が接続されている。
後述する冷媒回路(60)では、三路切換弁(105)の第1ポート(P1)から延びる冷媒配管が背圧導入通路(104)に接続される。三路切換弁(105)の第2ポート(P2)は、高圧配管(121)を介して後述する高圧ガス配管(65)に連通している。三路切換弁(105)の第3ポート(P3)は、低圧配管(122)を介して後述する低圧ガス配管(61)に連通している。
本実施形態1では、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通する第1連通状態に設定されると、弁収容空間(102)に高圧冷媒が導入されて、弁部材(101)の下面に作用する冷媒の圧力が、弾性バネ(103)の引張力等による下向きの合力を上回って、図4(A)に示すように、弁部材(101)が上側に移動する。その結果、弁部材(101)の上端の突出部(101a)が第2吸入通路(42b)の出口部分に嵌り込んで、弁部材(101)によって第2吸入通路(42b)が閉じられた閉状態になる。この閉状態では、弁部材(101)によって、外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とが第2吸入通路(42b)を通じて連通することが遮断される。
一方、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通する第2連通状態に設定されると、弁収容空間(102)に低圧冷媒が導入されて、図4(B)に示すように、弁部材(101)の下面に作用する冷媒の圧力が上記下向きの合力よりも小さくなって、弁部材(101)が下側に移動する。その結果、弁部材(101)の上端の突出部(101a)が第2吸入通路(42b)の出口部分から抜け出て、弁部材(101)が第2吸入通路(42b)を開いた開状態になる。
第1シリンダ(21)には、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)の高圧室に連通する第1吐出空間(38)が形成されている。第1圧縮機構(20)で圧縮された中間圧の冷媒は、外側吐出口(45a)及び内側吐出口(46a)を通って、第1吐出空間(38)に吐出される。なお、各吐出口(45a,46a)には、各圧縮室(C1,C2)の内圧に応じて作動する吐出弁が設けられている。各吐出弁はリード弁により構成されている。各吐出弁に対しては、そのリフト量を制限する吐出弁押さえ(47)が設けられている。
また、第1シリンダ(21)には、上記第1吐出管(15-1)が固定されている。第1吐出管(15-1)の内端は、第1吐出空間(38)に開口している。第1吐出管(15-1)の外端は、後述する中間圧ガス配管(63)に接続されている。
第2圧縮機構(30)には、中間圧冷媒を吸入する上記第2吸入管(14-2)が設けられている。第2吸入管(14-2)は、外側圧縮室(C3)用の第2a吸入管(14-2a)と内側圧縮室(C4)用の第2b吸入管(14-2b)とから構成されている。第2シリンダ(31)には、上記第2a吸入管(14-2a)が接続される第2a吸入通路(43a)と、第2b吸入管(14-2b)が接続される第2b吸入通路(43b)とが形成されている。第2a吸入通路(43a)は、第2ブレード(33)の吸入側における第2ブレード(33)の近傍で第2外側圧縮室(C3)の低圧室に開口している。第2b吸入通路(43b)は、第2ブレード(33)の吸入側における第2ブレード(33)の近傍で第2内側圧縮室(C4)の低圧室に開口している。
また、第2シリンダ(31)には、第2圧縮機構(30)の外側圧縮室(C3)に連通する外側吐出空間(49a)と、第2圧縮機構(30)の内側圧縮室(C4)に連通する内側吐出空間(49b)とが形成されている。外側圧縮室(C3)で圧縮された中間圧の冷媒は、外側吐出口(45b)を通って、外側吐出空間(49a)に吐出される。外側吐出空間(49a)には、外側圧縮室(C3)用の第2a吐出管(15-2a)が接続されている。一方、内側圧縮室(C4)で圧縮された中間圧の冷媒は、内側吐出口(46b)を通って、内側吐出空間(49b)に吐出され、電動機(50)と第2圧縮機構(30)の間の空間に流入する。そして、その空間に流入した吐出ガスは、電動機(50)のコアカットやエアギャップを通って、第2b吐出管(15-2b)から後述する高圧ガス配管(65)に吐出される。
なお、第2圧縮機構(30)においても、各吐出口(45b,46b)に、各圧縮室(C3,C4)の内圧に応じて作動する吐出弁が設けられている。各吐出弁はリード弁により構成されている。各吐出弁に対しては、そのリフト量を制限する吐出弁押さえ(48)が設けられている。
〈冷媒回路の構成〉
続いて、冷凍装置(8)の構成について説明する。本実施形態1の冷凍装置(8)は、例えば冷房運転を行う空気調和装置により構成されている。図1に示すように、この冷凍装置(8)は、冷媒として二酸化炭素が充填された冷媒回路(60)を備えている。冷媒回路(60)では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、冷凍サイクルの高圧圧力が二酸化炭素の臨界圧力よりも高くなる。
冷媒回路(60)には、図5に示すように、上記圧縮機(1)と室外熱交換器(2)と室内熱交換器(3)と気液分離器(4)と第1膨張弁(5)と第2膨張弁(6)とが設けられている。
冷媒回路(60)では、室内熱交換器(3)のガス側端部から延びる低圧ガス配管(61)が3つに分岐して、1つが第1圧縮機構(20)の第1a吸入管(14-1a)に接続され、別の1つが第1圧縮機構(20)の第2b吸入管(14-1b)に接続され、残りの1つが第2圧縮機構(30)の第2a吸入管(14-2a)に接続されている。
また、第1吐出管(15-1)から延びる中間圧ガス配管(63)は、第2圧縮機構(30)の第2b吸入管(14-2b)に接続されている。中間圧ガス配管(63)には、第2圧縮機構(30)の第2a吐出管(15-2a)から延びる中間圧ガス配管(64)が接続されている。また、中間圧ガス配管(63)には、気液分離器(4)のガス流出口(4a)から延びるインジェクション管(68)が接続されている。
また、第2b吐出管(15-2b)から延びる高圧ガス配管(65)は、室外熱交換器(2)のガス側端部に接続されている。室外熱交換器(2)の液側端部から延びる第1液配管(66)は、気液分離器(4)の流入口(4b)に接続されている。第1液配管(66)には、第1膨張弁(5)が設けられている。気液分離器(4)の底部に形成された流出口(4c)から延びる第2液配管(67)は、室内熱交換器(3)の液側端部に接続されている。第2液配管(67)には、第2膨張弁(6)が設けられれている。
この冷媒回路(60)では、圧縮機(1)の運転が行われると、室外熱交換器(2)がガスクーラー(放熱器)となって室内熱交換器(3)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機(1)からは高圧圧力に昇圧された冷媒が、高圧ガス配管(65)に吐出される。高圧ガス配管(65)に吐出された冷媒は、室外熱交換器(2)において、室外ファンによって送られる室外空気によって冷却される。室外熱交換器(2)で冷却された冷媒は、第1膨張弁(5)で減圧された後に、気液分離器(4)で液冷媒とガス冷媒とに分離される。このうち、ガス冷媒は、インジェクション管(68)を通じて中間圧ガス配管(63)へ送られる。一方、液冷媒は、第2膨張弁(6)で低圧圧力まで減圧された後に、室内熱交換器(3)に流入する。室内熱交換器(3)では、室内ファンによって送られる室内空気から冷媒が吸熱して蒸発する。そして、室内熱交換器(3)で蒸発した冷媒は、低圧ガス配管(61)を通って、圧縮機(1)に吸入される。
圧縮機(1)では、第2吸入通路(42b)が閉状態になっている場合には、第1a吸入管(14-1a)及び第1吸入通路(42a)を通った冷媒が、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)と第1内側圧縮室(C2)とにそれぞれ吸入され、第2a吸入管(14-2a)を通った冷媒が、第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)に吸入される。また、第2吸入通路(42b)が開状態になっている場合には、第2b吸入管(14-1b)及び第2吸入通路(42b)を通った冷媒が、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)と第1内側圧縮室(C2)とにそれぞれ吸入され、第2a吸入管(14-2a)を通った冷媒が、閉状態の場合と同様に、第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)に吸入される。
第1圧縮機構(20)では、第1外側圧縮室(C1)で圧縮された冷媒と第1内側圧縮室(C2)で圧縮された冷媒とが、第1吐出空間(38)に吐出される。第1吐出空間(38)に吐出された冷媒は、第1吐出管(15-1)から中間圧ガス配管(63)に吐出される。一方、第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)で圧縮された冷媒は、外側吐出空間(49a)に吐出される。外側吐出空間(49a)に吐出された冷媒は、第2a吐出管(15-2a)から中間圧ガス配管(63,64)に吐出される。
中間圧ガス配管(63)に吐出された冷媒は、インジェクション管(68)からの供給冷媒によって冷却された後に、第2b吸入管(14-2b)を通って、第2圧縮機構(30)の第2内側圧縮室(C4)に吸入される。そして、第2内側圧縮室(C4)で圧縮された冷媒は、内側吐出空間(49b)に吐出される。内側吐出空間(49b)に吐出された冷媒は、電動機(50)のコアカットやエアギャップを通って、第2b吐出管(15-2b)から高圧ガス配管(65)へ吐出される。
本実施形態1では、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)及び第1内側圧縮室(C2)と第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)とが、低圧冷媒を吸入して圧縮する低段側圧縮室を、第2圧縮機構(30)の第2内側圧縮室(C4)が低段側圧縮室から吐出された冷媒を吸入して圧縮する高段側圧縮室をそれぞれ構成している。
なお、冷媒回路(60)に、圧縮機(1)の吐出側が室外熱交換器(2)のガス側に連通すると共に圧縮機(1)の吸入側が室内熱交換器(3)のガス側に連通する状態と、圧縮機(1)の吐出側が室内熱交換器(3)のガス側に連通すると共に圧縮機(1)の吸入側が室外熱交換器(2)のガス側に連通する状態とを切り換える四路切換弁を設けてもよい。この場合、冷房運転と暖房運転とを切り換え可能な空気調和装置となる。
また、冷媒回路(60)では、圧縮機(1)の吐出側を室内熱交換器(3)のガス側に接続して、圧縮機(1)の吸入側を室外熱交換器(2)のガス側に接続してもよい。この場合、暖房専用の空気調和装置となる。
〈圧縮機の運転動作〉
次に、圧縮機(1)の運転動作について説明する。以下では、第1圧縮機構(20)の動作について説明する。なお、第2圧縮機構(30)の動作は、第1圧縮機構(20)の動作と実質的に同じであるため、説明は省略する。
電動機(50)を起動すると、ロータ(52)の回転が駆動軸(53)を介して第1圧縮機構(20)の第1ピストン(22b)に伝達される。その結果、第1ピストン(22b)が、第1ブレード(23)に沿って往復運動(進退動作)を行い、かつ、揺動ブッシュ(27)の中心点を揺動中心として第1ブレード(23)に対して揺動する。その際、第1圧縮機構(20)の各圧縮室(C1,C2)内では、第1ピストン(22b)が第1外側シリンダ部(21a)及び第1内側シリンダ部(21b)に対して揺動しながら公転するので、各圧縮室(C1,C2)では所定の圧縮動作が行われる。
以下では、まず、第2吸入通路(42b)が閉状態に設定されている場合、つまり、第1圧縮機構(20)の吸入通路として第1吸入通路(42a)が用いられる場合について説明する。
第1外側圧縮室(C1)における圧縮動作について説明する。第1外側圧縮室(C1)では、図3(B)の状態のときに、低圧室(C1-Lp)がほぼ最小容積となる。この状態から、低圧室(C1-Lp)に冷媒を吸入する吸入行程が開始され、第1ピストン(22b)が図3の右回りに公転することで、低圧室(C1-Lp)の容積が徐々に増大して、第1吸入通路(42a)を通じて低圧室(C1-Lp)に冷媒が導入される。そして、第1ピストン(22b)が図3(A)状態になると、低圧室(C1-Lp)の容積が最大となって、低圧室(C1-Lp)における吸入行程が終了する。
そして、吸入行程が終了すると、図3(A)の状態から図3(B)の状態へ変化する過程で、低圧室(C1-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C1-Hp)となる一方、第1ブレード(23)を隔てて新たな低圧室(C1-Lp)が形成される。この状態で第1ピストン(22b)がさらに回転すると、新たに形成された低圧室(C1-Lp)において吸入行程が行われる一方、高圧室(C1-Hp)の容積が減少し、該高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、高圧室(C1-Hp)の圧力が所定値になると、吐出弁が開状態になって第1外側圧縮室(C1)内で圧縮された冷媒が、外側吐出口(45a)を通って第1吐出空間(38)へ吐出される。
続いて、第1内側圧縮室(C2)における圧縮動作について説明する。第1内側圧縮室(C2)では、図3(F)の状態のときに、低圧室(C2-Lp)がほぼ最小容積となる。この状態から、低圧室(C2-Lp)に冷媒を吸入する吸入行程が開始され、第1ピストン(22b)が図3の右回りに公転することで、低圧室(C2-Lp)の容積が徐々に増大して、第1吸入通路(42a)を通じて低圧室(C2-Lp)に冷媒が導入される。そして、第1ピストン(22b)が図3(E)の状態になると、低圧室(C2-Lp)の容積が最大となって、低圧室(C2-Lp)における吸入行程が終了する。
そして、吸入行程が終了すると、図3(E)の状態から図3(F)の状態へ変化する過程で、低圧室(C2-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C2-Hp)となる一方、第1ブレード(23)を隔てて新たな低圧室(C2-Lp)が形成される。この状態で第1ピストン(22b)がさらに回転すると、新たに形成された低圧室(C2-Lp)において吸入行程が行われる一方、高圧室(C2-Hp)の容積が減少し、該高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、高圧室(C2-Hp)の圧力が所定値になると、吐出弁が開状態になって第1内側圧縮室(C2)内で圧縮された冷媒が、内側吐出口(46a)を通って第1吐出空間(38)へ吐出される。
続いて、第2吸入通路(42b)が開状態に設定されている場合、つまり、第1圧縮機構(20)の吸入通路として第2吸入通路(42b)が用いられる場合について説明する。
この場合は、第1外側圧縮室(C1)では、吸入行程中に低圧室(C1-Lp)の容積が最大となった後も、吸入行程が続く。吸入行程は、低圧室(C1-Lp)が第2吸入通路(42b)から遮断された時点(図3(C)の状態)で終了する。そして、閉状態の場合と同様に、吸入行程が終了すると、低圧室(C1-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C1-Hp)となって、高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮されて吐出される。
同様に、第1内側圧縮室(C2)では、低圧室(C2-Lp)の容積が最大となった後も、吸入行程が続く。吸入行程は、低圧室(C2-Lp)が第2吸入通路(42b)から遮断された時点(図3(G)の状態)で終了する。そして、閉状態の場合と同様に、吸入行程が終了すると、低圧室(C2-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C2-Hp)となって、高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮されて吐出される。
本実施形態1では、第2吸入通路(42b)が閉状態であれば、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)では、その容積が最大となった時点で冷媒の吸入行程が終了する。一方、第2吸入通路(42b)が開状態であれば、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)では、第2吸入通路(42b)から遮断された時点で冷媒の吸入行程が終了する。
開状態では、閉状態よりも遅いタイミングで吸入行程が終了する。開状態のときに吸入行程が終了するタイミングでは、閉状態のときには圧縮行程が既に開始されている。従って、閉状態よりも開状態の方が、低段側圧縮室となる外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の吸入容積が小さくなり、第1圧縮機構(20)の容量が小さくなる。その結果、閉状態よりも開状態の方が、低段側圧縮室の吸入容積の合計値が小さくなる。そして、閉状態よりも開状態の方が、吸入容積比が大きくなる。
このように、本実施形態1では、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)の何れを用いるかを切り換えることによって、外側圧縮室(C1)の吸入容積及び内側圧縮室(C2)の吸入容積が同時に変更される。そして、それに伴って、吸入容積比が変更され、冷媒回路(60)では中間圧ガス配管(63)の圧力である中間圧が変化する。
本実施形態1では、弁部材(101)と、弁収容空間(102)、弾性バネ(103)及び背圧導入通路(104)とが、低段側圧縮室の吸入容積の合計値に対する高段側圧縮室の吸入容積の合計値の比率である吸入容積比を変更する容積比変更手段(70)を構成している。なお、容積比変更手段(70)は、低段側圧縮室に吸入される冷媒の体積の合計値に対する、高段側圧縮室に吸入される冷媒の体積の合計値の比率を変更する手段でもある。この点は、後述する実施形態1の変形例、実施形態2、実施形態2の変形例、及び実施形態3でも同じである。
ここで、本実施形態1では、第1圧縮機構(20)だけに容積比変更手段(70)を設けているが、同様の容積比変更手段(70)を第2圧縮機構(30)にも設けてもよい。この点は、後述する実施形態1の変形例、実施形態2、実施形態2の変形例、及び実施形態3でも同じである。
また、第2圧縮機構(30)の一方の圧縮室(C3,C4)が低段側圧縮室を構成し、第2圧縮機構(30)の他方の圧縮室(C3,C4)と第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)とが高段側圧縮室をそれぞれ構成するようにしてもよいし、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)が低段側圧縮室となって第2圧縮機構(30)の両圧縮室(C3,C4)が高段側圧縮室になるようにしてもよいし、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)が高段側圧縮室となって第2圧縮機構(30)の両圧縮室(C3,C4)が低段側圧縮室になるようにしてもよい。これらの場合も、第1圧縮機構(20)だけに容積比変更手段(70)を設けてもよいし、同様の容積比変更手段(70)を第2圧縮機構(30)にも設けてもよい。この点は、後述する実施形態1の変形例、実施形態2、実施形態2の変形例、及び実施形態3でも同じである。
−実施形態1の効果−
本実施形態1では、第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)が駆動軸(53)で機械的に連結されているが、第1圧縮機構(20)の容量を変更する容積比変更手段(70)によって、吸入容積比が変更される。本実施形態1では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に開口する第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)の何れを用いるかを切り換えることによって、吸入容積比が変更される。本実施形態1によれば、吸入容積比を変更することができるので、中間圧を変化させることが可能である。従って、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になるので、冷凍装置(8)のCOPの向上を図ることができる。
また、本実施形態1では、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)が2室分の流路面積を確保した1つの通路によって構成されている。従って、第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)における圧力損失を抑制することができる。
また、本実施形態1では、高いCOPを得るために二段圧縮冷凍サイクルを行うことが必要な二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機(1)に、容積比変更手段(70)が設けられている。このため、二酸化炭素冷媒による二段圧縮冷凍サイクルにおいて、容積比変更手段(70)によって中間圧を調節することで、COPの改善効果が大きく、さらに高いCOPを得ることができる。
−実施形態1の変形例−
この変形例では、上記実施形態1と同様に、容積比変更手段(70)が、第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)の吸入容積及び内側圧縮室(C2)の吸入容積を同時に変更することによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更するように構成されている。以下では、実施形態1と異なる点について説明する。なお、この変形例では、第1圧縮機構(20)が第2圧縮機構(30)の上側に配置されている。
図6に示すように、第1圧縮機構(20)には、吸入通路(42)が1本だけ形成されている。吸入通路(42)には、低圧ガス配管(61)に連通する第1吸入管(14-1)が接続されている。
吸入通路(42)は、上記実施形態1の第1吸入通路(42a)と同じ位置で、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)に開口している。つまり、吸入通路(42)は、第1ブレード(23)の吸入側における第1ブレード(23)の近傍で両圧縮室(C1,C2)に開口している。
また、第1圧縮機構(20)では、第1ピストン(22b)に、第1外側圧縮室(C1)と第1内側圧縮室(C2)とを連通させる内外連通路(75)が形成されている。内外連通路(75)は、第1シリンダ室(C1,C2)の周方向において吸入通路(42)よりも第1ブレード(23)から離れた位置に形成された切り欠き(75)により構成されている。内外連通路(75)は、第1ブレード(23)の位置から図6において時計回りに略90°回転した位置に形成されている。
第1圧縮機構(20)には、図7に示すように、内外連通路(75)に嵌合された略円柱状の嵌合部材(76)が設けられている。また、可動部材(22)には、内外連通路(75)に連続して、第1ピストン(22b)の軸方向に嵌合部材(76)が移動することを許容する収容空間(112)が形成されている。収容空間(112)は、第1可動側鏡板部(22c)の背面に開口している。収容空間(112)には、収容空間(112)の内圧を調節するための背圧導入通路(104)が接続されている。なお、第1可動側鏡板部(22c)の背面では、収容空間(112)の内側と外側とがシールリングにより区画されている。
冷媒回路(60)では、三路切換弁(105)の第1ポート(P1)から延びる冷媒配管が背圧導入通路(104)に接続されている。三路切換弁(105)の第2ポート(P2)は、高圧配管(121)を介して高圧ガス配管(65)に連通している。三路切換弁(105)の第3ポート(P3)は、低圧配管(122)を介して低圧ガス配管(61)に連通している。
この変形例では、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通する第1連通状態に設定されると、収容空間(112)に高圧冷媒が導入されて、嵌合部材(76)の下面に作用する冷媒の圧力が嵌合部材(76)の自重等による下向きの力を上回って、図7(A)に示すように、嵌合部材(76)が上側に移動する。その結果、内外連通路(75)を通じて外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とが連通することが嵌合部材(76)によって遮断された状態、つまり内外連通路(75)が閉状態になる。閉状態では、嵌合部材(76)の上端面が固定側鏡板部(21c)の下面と摺接する。
一方、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通する第2連通状態に設定されると、収容空間(112)に低圧冷媒が導入されて、図7(B)に示すように、弁部材(101)の下面に作用する冷媒の圧力が上記下向きの力よりも小さくなって、嵌合部材(76)が下側に移動する。その結果、内外連通路(75)が嵌合部材(76)によって完全に遮断されることがなく内外連通路(75)を通じて外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とが連通する状態、つまり内外連通路(75)が開状態になる。
この変形例では、内外連通路(75)を閉じた状態に切り換えると、外側圧縮室(C1)では、その容積が最大となった時点で冷媒の吸入行程が終了する(図8(A)に示す状態)。また、内側圧縮室(C2)も、その容積が最大となった時点で冷媒の吸入行程が終了する(図8(B)に示す状態)。
一方、内外連通路(75)を開いた状態に切り換えると、その容積が最大となった外側圧縮室(C1)は、内外連通路(75)を通じて、吸入通路(42)に連通している内側圧縮室(C2)に連通する。外側圧縮室(C1)では、その容積が最大となった時点の後も、内外連通路(75)から閉じきられる時点(図8(C)に示す状態)まで、吸入行程が続く。
同様に、その容積が最大となった内側圧縮室(C2)も、その容積が最大となった時点の後も、内外連通路(75)から閉じきられる時点(図8(D)に示す状態)まで、吸入行程が続く。
そして、内外連通路(75)を開いた状態のときに吸入行程が終了するタイミングでは、内外連通路(75)を閉じた状態のときには圧縮行程が既に開始されている。従って、内外連通路(75)を閉じた状態よりも内外連通路(75)を開いた状態の方が、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の吸入容積が小さくなり、第1圧縮機構(20)の容量が小さくなる。その結果、閉状態よりも開状態の方が、低段側圧縮室の吸入容積の合計値が小さくなり、吸入容積比が大きくなる。
このように、この変形例では、シリンダ室(C1,C2)の周方向において吸入通路(42)よりも第1ブレード(23)から離れた位置に形成された内外連通路(75)を開閉することによって、外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)のそれぞれの吸入容積が変更される。この変形例では、吸入通路(42)から遮断されている圧縮室(C1,C2)と、吸入通路(42)に連通している圧縮室(C1,C2)とが、ピストン(22b)を挟んで存在していることに着目して、内外連通路(75)を設け、その内外連通路(75)を開閉することによって、吸入容積を変更している。そして、吸入容積が変更されると、吸入容積比が変更され、冷媒回路(60)では中間圧ガス配管(63)の圧力である中間圧が変化する。従って、第1圧縮機構(20)の構成を利用することで、吸入容積比を変更して、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。
この変形例では、嵌合部材(76)と、収容空間(112)及び背圧導入通路(104)とが、容積比変更手段(70)を構成している。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2は、容積比変更手段(70)の構成が実施形態1とは異なっている。本実施形態2の容積比変更手段(70)は、第1ブレード(23)を第1シリンダ室(C1,C2)の径方向に移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、吸入容積比を変更する。
本実施形態2では、上記実施形態1と同様に、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)及び第1内側圧縮室(C2)と第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)とが低段側圧縮室を、第2圧縮機構(30)の第2内側圧縮室(C4)が高段側圧縮室をそれぞれ構成している。
図9及び図10に示すように、第1シリンダ(21)には、第1ブレード(23)の移動を許容するための径方向溝(80)が形成されている。径方向溝(80)の一端は、第1外側シリンダ部(21a)の内周面に開口している。径方向溝(80)には、第1ブレード(23)の外側部分(23a)が嵌り込んでいる。径方向溝(80)内には、第1ブレード(23)を外側へ引っ張る弾性バネ(81)が設けられている。
また、第1シリンダ(21)には、径方向溝(80)内に開口する背圧導入通路(104)が形成されている。冷媒回路(60)では、三路切換弁(105)の第1ポート(P1)から延びる冷媒配管が背圧導入通路(104)に接続されている。三路切換弁(105)の第2ポート(P2)は、高圧配管(121)を介して高圧ガス配管(65)に連通している。三路切換弁(105)の第3ポート(P3)は、低圧配管(122)を介して低圧ガス配管(61)に連通している。
また、図10に示すように、第1ブレード(23)の内側部分(23b)には、外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とを連通させる連通部(23d)が形成されている。連通部(23d)は切り欠きにより構成されている。
この実施形態2では、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通する第1連通状態に設定されると、径方向溝(80)内に高圧冷媒が導入されて、第1ブレード(23)の外端面に作用する冷媒の圧力が、弾性バネ(81)の引張力等の第1ブレード(23)の外側へ作用する力を上回って、図10(A)に示すように、第1ブレード(23)が内側へ移動し、第1ブレード(23)が第1内側シリンダ部(21b)に形成された嵌合溝の底面に押し付けられた状態になる。この状態は、外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)の両方が第1ブレード(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態を構成する。第1状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程が行われる。
一方、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通する第2連通状態に設定されると、径方向溝(80)内に低圧冷媒が導入されて、第1ブレード(23)の外端面に作用する冷媒の圧力が第1ブレード(23)の外側へ作用する力よりも小さくなって、図10(B)に示すように、第1ブレード(23)が外側へ移動する。第1ブレード(23)の移動は、径方向溝(80)内に形成された係止部(80a)に当たって止まる。そして、その移動に伴って、連通部(23d)が内側圧縮室(C2)に露出する。この状態は、内側圧縮室(C2)が駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態を構成する。第2状態では、単一空間となる内側圧縮室(C2)で冷媒の圧縮行程を行うことができない。第2状態では、外側圧縮室(C1)だけで冷媒の圧縮行程が行われる。このため、第2状態では、第1圧縮機構(20)の容量が第1状態に比べて減少し、その単一空間となる内側圧縮室(C2)の吸入容積がゼロになる。その結果、第2状態は第1状態に比べて、低段側圧縮室の吸入容積の合計値が小さくなって、吸入容積比が大きくなる。
この実施形態2では、弾性バネ(81)と、径方向溝(80)と、径方向溝(80)の圧力を調節するための背圧導入通路(104)とが、容積比変更手段(70)を構成している。
なお、この実施形態2では、第1状態及び第2状態の両方において、第1シリンダ室(C1,C2)の径方向における第1ブレード(23)の両側が、第1シリンダ(21)によって支持されるように、第1シリンダ室(C1,C2)の径方向における第1ブレード(23)の長さが設定されている。
具体的に、第1状態において第1内側シリンダ部(21b)によって支持される内側部分(23b)の上記径方向の長さ(X)は、第1状態から第2状態へ切り換わるときの第1シリンダ(21)の移動距離よりも長くなっている。この実施形態2では、第1シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さを確保することで、第1状態及び第2状態の両方において、シリンダ室(C1,C2)の径方向における第1ブレード(23)の両側がシリンダ(21)によって支持されるようにしてる。従って、第1状態及び第2状態の両方において第1ブレード(23)を安定的に支持することができる。
なお、第1状態から第2状態へ切り換わるときに第1ブレード(23)が内側へ移動する場合には、第1状態において第1外側シリンダ部(21a)によって支持される外側部分(23a)の上記径方向の長さを、第1状態から第2状態へ切り換わるときの第1シリンダ(21)の移動距離よりも長くする。
−実施形態2の変形例−
この変形例では、容積比変更手段(70)が、第1ブレード(23)を第1シリンダ室(C1,C2)の軸方向に移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、吸入容積比を変更する。
この変形例でも、上記実施形態2と同様に、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)及び第1内側圧縮室(C2)と第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)とが低段側圧縮室を、第2圧縮機構(30)の第2内側圧縮室(C4)が高段側圧縮室をそれぞれ構成している。
具体的に、図11に示すように、第1シリンダ(21)の第1固定側鏡板部(21c)には、第1シリンダ室(C1,C2)の軸方向への第1ブレード(23)の移動を許容するための逃げ溝(100)が形成されている。逃げ溝(100)は、第1シリンダ室(C1,C2)の径方向に延びるように、第1固定側鏡板部(21c)の前面に形成されている。逃げ溝(100)は、第1内側シリンダ部(21b)の外周面より若干内側の位置から、第1外側シリンダ部(21a)の内周面より若干外側の位置まで延びている。逃げ溝(100)は、第1ブレード(23)の内側が嵌り込む第1内側シリンダ部(21b)の内側嵌合溝(91)と、第1ブレード(23)の外側が嵌り込む第1外側シリンダ部(21a)の外側嵌合溝(92)とを接続している。逃げ溝(100)には、第1ブレード(23)の下部が嵌合している。
逃げ溝(100)では、その底面と第1ブレード(23)との間に背圧室(106)が形成されている。背圧室(106)には、第1ブレード(23)を第1可動側鏡板部(22c)側へ付勢する複数の弾性バネ(107)が設けられている。
第1シリンダ(21)には、背圧室(106)に開口する背圧導入通路(104)が形成されている。冷媒回路(60)では、三路切換弁(105)の第1ポート(P1)から延びる冷媒配管が背圧導入通路(104)に接続されている。三路切換弁(105)の第2ポート(P2)は、高圧配管(121)を介して高圧ガス配管(65)に連通している。三路切換弁(105)の第3ポート(P3)は、低圧配管(122)を介して低圧ガス配管(61)に連通している。
三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通する第1連通状態に設定されると、背圧室(106)に高圧冷媒が導入されて、図11(A)に示すように、第1ブレード(23)が第1可動側鏡板部(22c)に押し付けられた状態になる。この状態は、外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)の両方が第1ブレード(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態を構成する。第1状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程が行われる。
なお、第1ブレード(23)の上端部(23a)には、低圧室(C1-Lp,C2-Lp)と高圧室(C1-Hp,C2-Hp)との圧力差によって下向きの力が作用する。しかし、この下向きの力と第1ブレード(23)に作用する重力との下向き合力よりも、複数の弾性バネ(107)の押付力及び背圧室(106)の圧力の上向き合力が大きくなるように設定している。このため、第1ブレード(23)が下方に下がることはない。
一方、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通する第2状態に設定されると、背圧室(106)に低圧冷媒が導入されて、下向き合力が上向き合力を上回る。これにより、図11(B)に示すように、第1ブレード(23)の上端部(23b)が第1可動側鏡板部(22c)から離れ、その隙間を通じて低圧室(C1-Lp,C2-Lp)と高圧室(C1-Hp,C2-Hp)とが連通する状態になる。この状態は、外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)の両方が駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態を構成する。第2状態では、単一空間となる両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程を行うことができず、両圧縮室(C1,C2)は気筒休止状態になる。このため、第2状態では、第1圧縮機構(20)の吸入容積が実質的にゼロになり、第1圧縮機構(20)の容量が実質的にゼロになる。その結果、第2状態は第1状態に比べて、低段側圧縮室の吸入容積の合計値が小さくなって、吸入容積比が大きくなる。
この変形例では、複数の弾性バネ(107)と、背圧室(106)と、背圧室(106)の圧力を調節するための背圧導入通路(104)とが、吸入容積比を変更する容積比変更手段(70)を構成している。
この変形例では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程が行われる第1状態であっても、その両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程が行われない第2状態であっても、二段圧縮が行われるようにしている。この変形例によれば、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(30)の4つの圧縮室の全てを用いて二段圧縮を行う状態と、2つの圧縮室を用いて二段圧縮を行う状態とを、1つの第1圧縮機構(20)の容量の調節だけで行うことができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態3は、容積比変更手段(70)の構成が実施形態1とは異なっている。本実施形態3の容積比変更手段(70)は、駆動軸(53)の軸方向に沿って第1ピストン(22b)を移動させることによって、第1ピストン(22b)が第1シリンダ(21)に押し付けられた状態と、第1ピストン(22b)が第1シリンダ(21)から離れて各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通する状態とを切り換えて、第1圧縮機構(20)の容量を変更する。
この実施形態3でも、上記実施形態1と同様に、第1圧縮機構(20)の第1外側圧縮室(C1)及び第1内側圧縮室(C2)と第2圧縮機構(30)の第2外側圧縮室(C3)とが低段側圧縮室を、第2圧縮機構(30)の第2内側圧縮室(C4)が高段側圧縮室をそれぞれ構成している。
図12に示すように、ミドルプレート(19)の下面には、内側シールリング(55)と、内側シールリング(55)よりも大径の外側シールリング(56)とが設けられている。ミドルプレート(19)の下面と第1可動側鏡板部(22c)の背面との間には、内側シールリング(55)と外側シールリング(56)とによって区画された背圧室(57)が形成されている。背圧室(57)は、第1可動側鏡板部(22c)の背面に面する環状の空間である。
背圧室(57)には、背圧導入通路(104)が接続されている。冷媒回路(60)では、三路切換弁(105)の第1ポート(P1)から延びる冷媒配管が背圧導入通路(104)に接続されている。三路切換弁(105)の第2ポート(P2)は、高圧配管(121)を介して高圧ガス配管(65)に連通している。三路切換弁(105)の第3ポート(P3)は、低圧配管(122)を介して低圧ガス配管(61)に連通している。背圧室(57)圧力は、三路切換弁(105)によって高圧と低圧との間で切り換えられる。なお、背圧室(57)圧力が、三路切換弁(105)によって高圧と中間圧との間で切り換えてもよいし、中間圧と低圧の間で切り換えてもよい。
三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通する第1連通状態に設定されると、背圧室(57)に高圧冷媒が導入されて、第1ピストン(22b)が第1シリンダ(21)に押し付けられた状態になる。この状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程が行われる。
一方、三路切換弁(105)が第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通する第2連通状態に設定されると、背圧室(57)に低圧冷媒が導入されて、各圧縮室(C1,C2)の内圧による離反力が背圧室(57)による押付力を上回って、第1ピストン(22b)が第1シリンダ(21)から離れて各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通する状態になる。この状態では、第1圧縮機構(20)の両圧縮室(C1,C2)で冷媒の圧縮行程を行うことができない。このため、第2状態では、第1圧縮機構(20)の吸入容積が実質的にゼロになり、第1圧縮機構(20)の容量が実質的にゼロになる。その結果、第2状態は第1状態に比べて、低段側圧縮室の吸入容積の合計値が小さくなって、吸入容積比が大きくなる。
実施形態3では、背圧室(57)と、背圧室(57)の圧力を調節するための背圧導入通路(104)とが、容積比変更手段(70)を構成している。
−実施形態3の効果−
本実施形態3では、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、第1圧縮機構(20)の容量を変更して、吸入容積比が変更されるようにしている。従って、駆動軸(53)の軸方向に沿って可動部材(22)を移動させることによって、中間圧の値が最適な値に近づくように中間圧を調節することが可能になる。
《その他の実施形態》
上述した各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、圧縮機(1)が二酸化炭素以外の冷媒(例えばフロン冷媒)を圧縮してもよい。
また、上記各実施形態では、低段側圧縮室から高段側圧縮室へ向かう冷媒を冷却する冷却手段として、インジェクション管(68)を用いていたが、冷却手段として熱交換器(中間冷却器)を用いてもよい。
また、上記実施形態について、第1圧縮機構(20)の容量を調節する容積比変更手段(70)と同様の機構を、第2圧縮機構(30)に設けて、第1圧縮機構(20)の容量だけでなく、第2圧縮機構(30)の容量も合わせて変更することによって、吸入容積比を変更してもよい。
また、上記実施形態について、第2圧縮機構(30)が、他のタイプの容積型の流体機械(例えば、スクロール式の流体機械、ロータリ式の流体機械)により構成されていてもよい。
また、上記実施形態について、第1圧縮機構(20)が、第1シリンダ(21)と第1ピストン(22b)のうち第1シリンダ(21)が偏心回転運動を行うように構成されていてもよい。また、第2圧縮機構(30)が、第2シリンダ(31)と第2ピストン(32b)のうち第2シリンダ(31)が偏心回転運動を行うように構成されていてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、2つの圧縮室を有する圧縮機構を備えた圧縮機について有用である。
実施形態1に係る圧縮機の縦断面図である。 実施形態1に係る第1圧縮機構の横断面図である。 実施形態1に係る第1圧縮機構の動作を表す横断面図である。 実施形態1に係る第1圧縮機構の要部の縦断面図であり、(A)は第2吸入通路が閉状態のときの縦断面図であり、(B)は第2吸入通路が開状態のときの縦断面図である。 実施形態1に係る冷凍装置の冷媒回路の配管系統図である。 実施形態1の変形例に係る第1圧縮機構の横断面図である。 実施形態1の変形例に係る第1圧縮機構の要部の縦断面図であり、(A)は内外連通路が閉状態のときの縦断面図であり、(B)は内外連通路が開状態のときの縦断面図である。 実施形態1の変形例に係る第1圧縮機構の動作を表す横断面図であり、(A)は内外連通路が閉状態のときに外側圧縮室の吸入行程が終了した時点の横断面図であり、(B)は内外連通路が閉状態のときに内側圧縮室の吸入行程が終了した時点の横断面図であり、(C)は内外連通路が開状態のときに外側圧縮室の吸入行程が終了した時点の横断面図であり、(D)は内外連通路が開状態のときに内側圧縮室の吸入行程が終了した時点の横断面図である。 実施形態2に係る第1圧縮機構の横断面図である。 実施形態2に係る容積比変更手段の概略構成面図であり、(A)は第1状態のときの概略構成面図であり、(B)は第2状態のときの概略構成面図である。 実施形態2の変形例に係る容積比変更手段の概略構成面図であり、(A)は第1状態のときの概略構成面図であり、(B)は第2状態のときの概略構成面図である。 実施形態3に係る第1圧縮機構の縦断面図である。
符号の説明
1 圧縮機
20 第1圧縮機構
21 第1シリンダ
22 可動部材
22b 第1ピストン
30 第2圧縮機構
70 容積比変更手段
101 弁部材
102 弁収容空間
103 弾性バネ
104 背圧導入通路
105 三路切換弁
121 高圧配管
122 低圧配管

Claims (9)

  1. 共に容積型の流体機械により構成された第1圧縮機構(20)及び第2圧縮機構(30)と、
    上記第1圧縮機構(20)と上記第2圧縮機構(30)の両方に連結する駆動軸(53)とを備えた圧縮機であって、
    上記第1圧縮機構(20)は、環状のシリンダ室(C1,C2)を有するシリンダ(21)と、該シリンダ(21)に対して偏心してシリンダ室(C1,C2)に収納され、該シリンダ室(C1,C2)を外側圧縮室(C1)と内側圧縮室(C2)とに区画する環状のピストン(22b)と、該シリンダ室(C1,C2)に配置され、各圧縮室(C1,C2)をそれぞれ第1室と第2室とに区画する区画部材(23)とを有し、上記シリンダ(21)と上記ピストン(22b)とが相対的に偏心回転運動することによって各圧縮室(C1,C2)で流体を圧縮するように構成され、
    上記第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)と上記第2圧縮機構(30)の圧縮室(C3,C4)とは、それらのうちの一部の圧縮室が低圧流体を吸入して圧縮する低段側圧縮室を、残りの圧縮室が低段側圧縮室から吐出された流体を吸入して圧縮する高段側圧縮室をそれぞれ構成し、
    上記第1圧縮機構(20)の容量を変更することによって、上記低段側圧縮室の吸入容積の合計値に対する上記高段側圧縮室の吸入容積の合計値の比率である吸入容積比を変更する容積比変更手段(70)を備えていることを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記第1圧縮機構(20)には、上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において互いに異なる位置で上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口する第1吸入通路(42a)及び第2吸入通路(42b)が形成され、
    上記第1吸入通路(42a)と上記第2吸入通路(42b)では、該第2吸入通路(42b)の方が上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において上記区画部材(23)から離れた位置で上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口し、
    上記容積比変更手段(70)は、上記第2吸入通路(42b)を開いた状態と該第2吸入通路(42b)を閉じた状態とを切り換えることによって、上記第1圧縮機構(20)の容量を変更することを特徴とする圧縮機。
  3. 請求項1において、
    上記第1圧縮機構(20)には、上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)に開口する吸入通路(42)と、上記シリンダ室(C1,C2)の周方向において該吸入通路(42)の出口の位置よりも上記区画部材(23)から離れた位置で、上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させる内外連通路(75)とが形成され、
    上記容積比変更手段(70)は、上記内外連通路(75)を開いた状態と該内外連通路(75)を閉じた状態とを切り換えることによって、上記第1圧縮機構(20)の容量を変更することを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項3において、
    上記内外連通路(75)は、上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させるように上記ピストン(22b)に形成された切り欠きにより構成され、
    上記容積比変更手段(70)は、上記内外連通路(75)に嵌合された嵌合部材(76)を備え、該嵌合部材(76)を移動させることによって、該内外連通路(75)を開いた状態と該内外連通路(75)を閉じた状態とを切り換えることを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項1において、
    上記容積比変更手段(70)は、上記第1圧縮機構(20)の区画部材(23)を移動させることによって、該第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の両方が上記区画部材(23)によって第1室と第2室とに区画される第1状態と、該第1圧縮機構(20)の外側圧縮室(C1)及び内側圧縮室(C2)の少なくとも一方が上記駆動軸(53)の1回転中において単一空間となる第2状態とを切り換えて、該第1圧縮機構(20)の容量を変更することを特徴とする圧縮機。
  6. 請求項5において、
    上記容積比変更手段(70)は、上記区画部材(23)を上記シリンダ室(C1,C2)の径方向に移動させることによって上記第1状態と上記第2状態とを切り換える一方、
    上記第1圧縮機構(20)では、上記第1状態及び上記第2状態の両方において上記シリンダ室(C1,C2)の径方向における上記区画部材(23)の両側が上記シリンダ(21)によって支持されるように、上記シリンダ室(C1,C2)の径方向における区画部材(23)の長さが設定されると共に、該区画部材(23)のうち第1状態から第2状態への切り換えに伴って上記シリンダ室(C1,C2)に露出する部分には、上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)とを連通させる連通部(23d)が形成されていることを特徴とする圧縮機。
  7. 請求項5又は6において、
    上記第1圧縮機構(20)は、上記第2状態では上記外側圧縮室(C1)及び上記内側圧縮室(C2)の両方が上記駆動軸(53)の1回転中において単一空間になるように切り換えられると共に、該外側圧縮室(C1)及び該内側圧縮室(C2)が共に上記低段側圧縮室又は上記高段側圧縮室を構成し、
    上記第2圧縮機構(30)は、環状のシリンダ室(C3,C4)を有するシリンダ(31)と、該シリンダ(31)に対して偏心してシリンダ室(C3,C4)に収納され、該シリンダ室(C3,C4)を外側圧縮室(C3)と内側圧縮室(C4)とに区画する環状のピストン(32b)と、該シリンダ室(C3,C4)に配置され、各圧縮室(C3,C4)をそれぞれ第1室と第2室とに区画する区画部材(33)とを有し、上記シリンダ(31)と上記ピストン(32b)とが相対的に偏心回転運動することによって各圧縮室(C3,C4)で流体を圧縮するように構成されて、該外側圧縮室(C3)及び該内側圧縮室(C4)の一方が上記低段側圧縮室を、該外側圧縮室(C3)及び該内側圧縮室(C4)の他方が上記高段側圧縮室を構成することを特徴とする圧縮機。
  8. 請求項1において、
    上記第1圧縮機構(20)では、上記ピストン(22b)及び上記シリンダ(21)のうち偏心回転運動する方が可動部材(22)を構成し、固定された方が固定部材(21)を構成する一方、
    上記可動部材(22)及び上記固定部材(21)は、共に上記外側圧縮室(C1)と上記内側圧縮室(C2)に面する鏡板部を備え、
    上記容積比変更手段(70)は、上記駆動軸(53)の軸方向に沿って上記可動部材(22)を移動させることによって、上記可動部材(22)が上記固定部材(21)の鏡板部に押し付けられた状態と、該可動部材(22)が該固定部材(21)の鏡板部から離れて各圧縮室(C1,C2)において第1室と第2室とが連通する状態とを切り換えて、該第1圧縮機構(20)の容量を変更することを特徴とする圧縮機。
  9. 請求項1乃至8の何れか1つにおいて、
    冷媒として二酸化炭素が充填されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(60)に接続されることを特徴とする圧縮機。
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WO2019024614A1 (zh) * 2017-07-31 2019-02-07 广东美芝制冷设备有限公司 压缩机构和制冷设备
CN110779248A (zh) * 2019-10-12 2020-02-11 珠海格力电器股份有限公司 压缩机控制方法、控制器和空调机组

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