JP2007023993A - 二段圧縮機 - Google Patents

二段圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2007023993A
JP2007023993A JP2005211026A JP2005211026A JP2007023993A JP 2007023993 A JP2007023993 A JP 2007023993A JP 2005211026 A JP2005211026 A JP 2005211026A JP 2005211026 A JP2005211026 A JP 2005211026A JP 2007023993 A JP2007023993 A JP 2007023993A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compression mechanism
stage
low
stage compression
refrigerant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005211026A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Kosho
和宏 古庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2005211026A priority Critical patent/JP2007023993A/ja
Publication of JP2007023993A publication Critical patent/JP2007023993A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)とを備える二段圧縮機(20)において、所定の運転条件から外れた時の振動を低減させる。
【解決手段】低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させるための可変機構(55)を設ける。可変機構(55)によって低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させると、閉じ込み容積を変化させた圧縮機構(40a,40b)における圧縮開始時点での流体の体積が変化し、その圧縮機構(40a,40b)へ単位時間当たりに吸入される流体の体積が変化する。そして、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との吸入容積の比が変化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構を備える二段圧縮機に関するものである。
従来より、共に容積型流体機械で構成された低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構を備える二段圧縮機が知られている。
例えば、特許文献1には、低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構のそれぞれが容積型流体機械の一種であるロータリ式流体機械で構成された二段圧縮機が開示されている。この二段圧縮機は、低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構が同一の駆動軸に係合しており、駆動軸の回転に伴い低段側圧縮機構で圧縮した流体を高段側圧縮機構で更に圧縮する二段圧縮を行うように構成されている。
特開2000−87892号公報
ところで、二段圧縮機では、流体の圧縮行程が低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とでバランス良く行われることが望ましい。ところが、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とが1本の駆動軸に係合する場合は、両方の圧縮機構における回転速度が常に等しく、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との単位時間当たりの吸入容積比が一定になる。このため、運転条件が変化すると、このバランスが崩れて流体の圧縮行程が一方の圧縮機構に偏ってしまい振動が過大になるという問題がある。
例えば、冷凍装置に設けられた二段圧縮機では、冷凍サイクルの高低圧差が二段圧縮機の設計時に想定した値から外れると、二段圧縮機の運転が円滑に行われなくなるおそれがある。つまり、冷凍サイクルの高低圧差が小さくなると、低段側圧縮機構で冷凍サイクルの圧縮行程のほとんどが行われ、高段側圧縮機構では流体の圧縮がほとんど行われない状態になる。この状態では、低段側圧縮機構での流体の圧縮に必要な圧縮トルクと高段側圧縮機構での流体の圧縮に必要な圧縮トルクとの差が大きくなる。このため、低段側圧縮機構のトルク変動と高段側圧縮機構のトルク変動との差が大きくなり、二段圧縮機での圧縮トルクの変動が大きくなって振動が過大となるおそれがあった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とを備える二段圧縮機において、所定の運転条件から外れた時の振動を低減させることにある。
第1の発明は、共に容積型流体機械で構成された低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)と、該低段側圧縮機構(40a)と該高段側圧縮機構(40b)との両方に係合する1本の駆動軸(33)とを備え、上記低段側圧縮機構(40a)で圧縮した流体を上記高段側圧縮機構(40b)で更に圧縮する二段圧縮機(20)を対象とする。そして、上記低段側圧縮機構(40a)で圧縮した流体を上記高段側圧縮機構(40b)で更に圧縮する二段圧縮機であって、上記低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させるための可変機構(55)を備えている。
第1の発明では、上記可変機構(55)が上記低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させる。各圧縮機構(40a,40b)では、吸入された流体が閉空間に閉じ込められた時点から流体の圧縮が開始される。従って、低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させると、閉じ込み容積を変化させた圧縮機構(40a,40b)における圧縮開始時点での流体の体積が変化し、その圧縮機構(40a,40b)へ単位時間当たりに吸入される流体の体積が変化する。そして、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との吸入容積の比が変化する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記可変機構(55)が、上記低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させるように構成されている。
第2の発明では、上記可変機構(55)が低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させる。上記可変機構(55)が低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を小さくすると、低段側圧縮機構(40a)へ単位時間当たりに吸入される流体の体積が減少する。上記可変機構(55)が低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を大きくすると、低段側圧縮機構(40a)へ単位時間当たりに吸入される流体の体積が増加する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記低段側圧縮機構(40a)が、吸入した流体を圧縮するためのシリンダ室(42a)を備える一方、上記可変機構(55)が、上記低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)と該低段側圧縮機構(40a)の吸入側とを接続するバイパス通路(59)と、該バイパス通路(59)を開閉するための開閉機構(56)とを備え、上記開閉機構(56)によりバイパス通路(59)を開閉することによって上記低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させる。
第3の発明では、上記開閉機構(56)がバイパス通路(59)を開状態にすると、低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)と該低段側圧縮機構(40a)の吸入側とが連通し、シリンダ室(42a)へ吸入された流体が低段側圧縮機構(40a)での圧縮過程の途中までバイパス通路(59)から排出される。そして、バイパス通路(59)からの流体の排出が終了した時点で、低段側圧縮機構(40a)における流体の閉じ込みが完了する。つまり、第3の発明では、低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させるにあたって、低段側圧縮機構(40a)での流体の圧縮過程における閉じ込め完了点を変化させている。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記バイパス通路(59)の一端が、上記低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)に面する壁面に開口するバイパス開口となっており、上記開閉機構(56)は、上記バイパス開口を開閉することによって上記バイパス通路(59)を開閉している。
第4の発明では、低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)に面する壁面に開口するバイパス開口でバイパス通路(59)が閉じられる。ここで、バイパス開口から離れた位置でバイパス通路(59)を開閉すると、バイパス開口から開閉箇所までが容積変化しないデッドボリューム(死容積)になる。これに対し、バイパス開口でバイパス通路(59)を開閉すると、デッドボリュームがほとんどなくなる。
第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1つの発明において、上記低段側圧縮機構(40a)に吸入される低圧流体よりも高圧で且つ上記高段側圧縮機構(40b)から吐出される高圧流体よりも低圧の中間圧流体を上記高段側圧縮機構(40b)に導入するためのインジェクション管(24)が設けられている。
第5の発明では、インジェクション管(24)からの中間圧流体が、低段側圧縮機構(40a)で圧縮された流体と共に高段側圧縮機構(40b)に導入される。ここで、可変機構(55)によって低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させると、低段側圧縮機構(40a)から高段側圧縮機構(40b)へ供給される流体の量又は高段側圧縮機構(40b)に導入可能な流体の量が変化する。従って、可変機構(55)によって低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させると、高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧流体の量が変化する。
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つの発明において、上記低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)は、上記駆動軸(33)の軸心に対して偏心して配置されたピストン(47)と、該ピストン(47)を収納するシリンダ(41)とを備え、上記駆動軸(33)の回転に伴い上記ピストン(47)が偏心運動することにより流体を圧縮するロータリ式流体機械により構成されている。
第6の発明では、低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)のピストン(47)の偏心運動に伴い、各シリンダ(41)内には流体が導入される。そして、ピストン(47)が所定の位置にきて各シリンダ(41)における流体の閉じ込みが完了すると、流体の圧縮が開始される。
本発明では、二段圧縮機(20)に可変機構(55)を設け、低段側圧縮機構(40a)の回転速度と高段側圧縮機構(40b)の回転速度とが常に同じになる構造の二段圧縮機(20)においても、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との吸入容積の比を可変としている。このため、例えば二段圧縮機(20)の吸入流体と吐出流体との圧力差(すなわち、低段側圧縮機構(40a)が吸入する流体の圧力と高段側圧縮機構(40b)から吐出される流体の圧力との差)が変動しても、その変動に応じて低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の吸入容積を調節することで、各圧縮機構(40a,40b)における流体の圧縮比を平均化することができる。各圧縮機構(40a,40b)における流体の圧縮比が平均化されると、各圧縮機構(40a,40b)で流体を圧縮するのに要する圧縮トルクの変動幅は互いの差が小さくなる。その結果、各圧縮機構(40a,40b)における圧縮トルクの変動が平均化され、二段圧縮機(20)全体での圧縮トルクの変動幅が小さくなる。従って、本発明によれば、二段圧縮機(20)の運転状態が変動しても、各圧縮機構(40a,40b)における吸入容積比を調節することによって二段圧縮機(20)の振動を低く抑えることができる。
また、上記第4の発明では、バイパス開口でバイパス通路(59)の開閉を行うことで、バイパス通路(59)の閉状態においてデッドボリュームがほとんどなくなるようにしている。これにより、バイパス通路(59)の閉状態において圧縮時に低段側圧縮機構(40a)内に吐出されずに残る流体がほとんどなくなるので、バイパス通路(59)の接続によって低段側圧縮機構(40a)における流体の圧縮効率が低下することを防止することができる。
また、上記第5の発明では、インジェクション管(24)から高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧流体の量が可変機構(55)によって調節されるようにしている。ここで、従来の二段圧縮機では、低段側圧縮機構(40a)で圧縮された流体の圧力が比較的高くなる場合などに、高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧流体の量が低下して所定のエコノマイザ効果が得られない場合があった。つまり、中間圧流体の供給量が少なくなって高段側圧縮機構(40b)の吸入流体のエンタルピを十分に下げられなくなり、高段側圧縮機構(40b)の駆動に要する動力を低減できなくなるおそれがあった。この第5の発明では、このような場合であっても、低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させることで、高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧流体の量の低下を抑制することができる。従って、所定のエコノマイザ効果が発揮されるようになり、二段圧縮機(20)の運転効率が向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。図1に本発明に係る二段圧縮機(20)を示し、図2にその二段圧縮機(20)を備える空調機(10)を示す。
〈空調機の全体構成〉
図2に示すように、本実施形態の空調機(10)は、冷媒回路(11)を備えている。この冷媒回路(11)には、二段圧縮機(20)、室外熱交換器(14)、室内熱交換器(15)、第1膨張弁(16)、第2膨張弁(17)、四方切換弁(12)、三方切換弁(13)、気液分離器(18)、及びアキュームレータ(19)が接続されている。
冷媒回路(11)において、二段圧縮機(20)の吐出側には、吐出管(23)の一端が接続されている。吐出管(23)の他端は、四方切換弁(12)の第1ポートに接続されている。また、二段圧縮機(20)の吸入側には、吸入管(22)の一端が接続されている。吸入管(22)の他端は、アキュームレータ(19)の底部に接続されている。アキュームレータ(19)の頂部は、四方切換弁(12)の第4ポートに接続されている。
また、冷媒回路(11)において、室外熱交換器(14)は、その一端が四方切換弁(12)の第2ポートに、その他端が第2膨張弁(17)を介して気液分離器(18)の底部に接続されている。一方、室内熱交換器(15)は、その一端が四方切換弁(12)の第3ポートに、その他端が第1膨張弁(16)を介して気液分離器(18)の底部に接続されている。
冷媒回路(11)には、インジェクション管(24)が設けられている。インジェクション管(24)は、その一端が気液分離器(18)の頂部に接続され、その他端が二段圧縮機(20)に接続されている。インジェクション管(24)には、電磁弁(31)が設けられている。電磁弁(31)を開状態にすると、気液分離器(18)内の中間圧ガス冷媒がインジェクション管(24)によって二段圧縮機(20)に導入される。
また、冷媒回路(11)には、バイパス管(28)と導入管(29)が設けられている。バイパス管(28)は、その一端が二段圧縮機(20)に接続され、その他端が吸入管(22)に接続されている。一方、導入管(29)は、三方切換弁(13)が設けられ、その一端が二段圧縮機(20)に接続され、その他端が三方切換弁(13)を介して吐出管(23)と吸入管(22)とに接続されている。三方切換弁(13)は、導入管(29)が二段圧縮機(20)と吐出管(23)とを連通する状態(図2に実線で示す状態)と、導入管(29)が二段圧縮機(20)と吸入管(22)とを連通する状態(図2に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
四方切換弁(12)は、第1ポートと第2ポートとが連通し且つ第3ポートと第4ポートとが連通する状態(図2に実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートとが連通し且つ第2ポートと第4ポートとが連通する状態(図2に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
〈二段圧縮機の構成〉
本実施形態の二段圧縮機(20)は、図1に示すように縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(21)内に、低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)を備える圧縮機構(40)と電動機(25)とが収納されて構成されている。ケーシング(21)内において、電動機(25)は圧縮機構(40)の上側に配置されている。
ケーシング(21)は、その胴部を吸入管(22)とインジェクション管(24)とバイパス管(28)と導入管(29)とが貫通している。また、ケーシング(21)は、その上部を吐出管(23)が貫通している。吐出管(23)は、その入口側がケーシング(21)内で屈曲し水平方向に延びて開口している。
上記電動機(25)は、ステータ(26)とロータ(27)とにより構成されている。ステータ(26)は、ケーシング(21)の内周面に固定されている。ロータ(27)は、ステータ(26)の内側に配置されている。ロータ(27)の中央部には、上下方向に延びるシャフト(33)の主軸部(34)が連結されている。
シャフト(33)は、駆動軸を構成している。シャフト(33)には、下側から順に第1偏心部(35)と第2偏心部(36)とが形成されている。第1偏心部(35)及び第2偏心部(36)は、主軸部(34)よりも大径に且つ主軸部(34)の軸心よりも偏心して形成されている。第1偏心部(35)と第2偏心部(36)とでは、主軸部(34)の軸心に対する偏心方向が逆になっている。また、第1偏心部(35)の高さは、第2偏心部(36)よりも高くなっている。
上記圧縮機構(40)は、下側から順にリアヘッド(45)と、第1シリンダ(41a)と、ミドルプレート(46)と、第2シリンダ(41b)と、フロントヘッド(44)とが積層された状態で構成されている。第1シリンダ(41a)内には、第1ロータリピストン(47a)が収納されている。第2シリンダ(41b)内には、第2ロータリピストン(47b)が収納されている。
第1シリンダ(41a)と第1ロータリピストン(47a)とリアヘッド(45)とミドルプレート(46)とは、低段側圧縮機構(40a)を構成している。第2シリンダ(41b)と第2ロータリピストン(47b)とフロントヘッド(44)とミドルプレート(46)とは、高段側圧縮機構(40b)を構成している。低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)は、いずれも容積型流体機械の一種である揺動ピストン型のロータリ式流体機械で構成されている。
図3に示すように、低段側圧縮機構(40a)の第1ロータリピストン(47a)は円環状に形成されている。低段側圧縮機構(40a)の第1ロータリピストン(47a)には、第1偏心部(35)が回転自在に嵌め込まれている。また、高段側圧縮機構(40b)の第2ロータリピストン(47b)も円環状に形成されている。高段側圧縮機構(40b)の第2ロータリピストン(47b)には、第2偏心部(36)が回転自在に嵌め込まれている。
上記各ロータリピストン(47a,47b)は、内周面が上記各偏心部(35,36)の外周面と摺接し、外周面が上記各シリンダ(41a,41b)の内周面と摺接する。そして、各ロータリピストン(47a,47b)の外周面と各シリンダ(41a,41b)の内周面との間には、シリンダ室(42a,42b)が形成されている。各ロータリピストン(47a,47b)は、側面に平板状のブレード(38)が突設されている。各ブレード(38)は、後述する吐出通路(49a,49b)と吸入通路(48a,48b)との間に設けられた揺動ブッシュ(39)を介して各シリンダ(41a,41b)に支持されている。各ブレード(38)は、上記シリンダ室(42a,42b)を高圧側と低圧側とに区画している。
低段側圧縮機構(40a)の第1シリンダ(41a)と高段側圧縮機構(40b)の第2シリンダ(41b)とは、内径が互いに等しく形成されている。低段側圧縮機構(40a)の第1ロータリピストン(47a)と高段側圧縮機構(40b)の第2ロータリピストン(47b)とは、外径が互いに等しく形成されている。低段側圧縮機構(40a)の第1シリンダ(41a)の高さは、高段側圧縮機構(40b)の第2シリンダ(41b)よりも高くなっている。従って、低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)の容積は、高段側圧縮機構(40b)のシリンダ室(42b)の容積よりも大きくなっている。
リアヘッド(45)の内部には、その下面から形成された円柱状の凹部が蓋部材(61)によって区画されることにより内部空間(60)が形成されている。蓋部材(61)は、その下面がリアヘッド(45)の下面と面一になるように凹部に嵌め込まれて固定されている。内部空間(60)は、リアヘッド(45)の下面付近から上面付近まで形成されている。また、リアヘッド(45)には、シリンダ室(42a)と内部空間(60)とを連通するバイパス穴(62)が形成されている。バイパス穴(62)の一端は、シリンダ室(42a)に面するリアヘッド(45)の上面に開口するバイパス開口となっている。図3に示すように、バイパス穴(62)は、シリンダ室(42a)の低圧側の右端に開口している。バイパス穴(62)は、円形断面の穴でその径が内部空間(60)の径よりも小さく、その中心が内部空間(60)の中心と一致している。
内部空間(60)には、内部空間(60)を上側内部空間(60a)と下側内部空間(60b)とに区画するピストン(63)が配置されている。ピストン(63)は、概ね円柱状に形成されており、その上端から下端へ向かって直径が2段階に拡大する形状となっている。ピストン(63)のうち最も小径の先端部は、その径と高さがバイパス穴(62)と略一致している。最も大径の基部は、その径が内部空間(60)と略一致しており、その外周面が内部空間(60)の内周面に摺接している。
上側内部空間(60a)には、バネ部材(57)が設けられている。バネ部材(57)は、ピストン(63)の中間径の中間部の周りに設けられている。バネ部材(57)は、その一端がバイパス穴(62)の周りに固定され、その他端がピストン(63)の基部の上面に固定されている。
また、リアヘッド(45)には、上側内部空間(60a)に開口するバイパス管(28)と、下側内部空間(60b)に開口する導入管(29)とが接続されている。バイパス管(28)と導入管(29)とは、ケーシング(21)を貫通している。下側内部空間(60b)は、吐出管(23)を流通する高圧冷媒が導入される状態と、吸入管(22)を流通する低圧冷媒が導入される状態とが三方切換弁(13)によって切り換えられる。
バイパス管(28)と上側内部空間(60a)とバイパス穴(62)とは、本発明に係るバイパス通路(59)を構成し、低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)とその低段側圧縮機構(40a)の吸入側である吸入管(22)とを連通している。また、ピストン(63)とバネ部材(57)と導入管(29)とは、本発明に係る開閉機構(56)を構成している。この開閉機構(56)とバイパス通路(59)とは、本発明に係る可変機構(55)を構成している。
開閉機構(56)は、バイパス穴(62)を開閉することによってバイパス通路(59)を開閉する。具体的に、三方切換弁(13)を図2に実線で示す状態に設定すると、吐出管(23)を流通する高圧冷媒が導入管(29)によって下側内部空間(60b)に導入される。すると、その高圧冷媒がバネ部材(57)を収縮させてピストン(63)を上側に移動させる。そして、図4(a)に示すように、ピストン(63)の先端部がバイパス穴(62)に挿入され、バイパス通路(59)が閉状態になる。また、三方切換弁(13)を図2に破線で示す状態に設定すると、吸入管(22)を流通する低圧冷媒が導入管(29)によって下側内部空間(60b)に導入される。すると、バネ部材(57)が伸長してピストン(63)を下側に移動させる。そして、図4(b)に示すように、ピストン(63)の先端部がバイパス穴(62)から引き出され、バイパス通路(59)が開状態になる。
上記ミドルプレート(46)には、環状の中間通路(50)が形成されている。中間通路(50)には、インジェクション管(24)が接続されている。また、ミドルプレート(46)には、低段側圧縮機構(40a)の吐出通路(49a)が形成されている。この吐出通路(49a)は、低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)の高圧側と中間通路(50)とを連通している。一方、フロントヘッド(44)には、高段側圧縮機構(40b)の吐出通路(49b)が形成されている。この吐出通路(49b)は、高段側圧縮機構(40b)のシリンダ室(42b)の高圧側とケーシング(21)内の空間とを連通している。これらの吐出通路(49a,49b)には、その出口を開閉する図外の吐出弁が設けられている。
低段側圧縮機構(40a)の第1シリンダ(41a)には、吸入ポート(48a)が形成されている。この吸入ポート(48a)は、第1シリンダ(41a)を半径方向に貫通し、その終端が低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)に開口している。この吸入ポート(48a)には、吸入管(22)が接続されている。また、高段側圧縮機構(40b)の第2シリンダ(41b)には、ミドルプレート(46)から続く吸入ポート(48b)が形成されている。この吸入ポート(48a)は、その始端が中間通路(50)に開口し、その終端が高段側圧縮機構(40b)のシリンダ室(42b)に開口している。
ケーシング(21)内の底部には、潤滑油が貯留されている油溜りが形成されている。シャフト(33)の下端部には、油溜りに浸漬された遠心式の油ポンプ(65)が設けられている。この油ポンプ(65)は、シャフト(33)内を上下方向に延びて低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)に連通する給油通路(53)に接続されている。そして、油ポンプ(65)は、給油通路(53)を通じて低段側圧縮機構(40a)の摺動部及び高段側圧縮機構(40b)の摺動部に油溜りの潤滑油を供給するように構成されている。
−運転動作−
上記空調機(10)の動作について説明する。ここでは、空調機(10)の冷房運転時及び暖房運転時の動作について説明し、続いて二段圧縮機(20)の動作について説明する。
〈冷房運転〉
冷房運転時には、四方切換弁(12)が図2に実線で示す状態に切り換えられる。この状態で二段圧縮機(20)の電動機(25)に通電すると、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
二段圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐出管(23)から吐出されて四方切換弁(12)を通り、室外熱交換器(14)へ送られて室外空気へ放熱する。室外熱交換器(14)で放熱した高圧冷媒は、第2膨張弁(17)で減圧されて中間圧冷媒となり気液分離器(18)に流入する。気液分離器に流入した中間圧冷媒は、中間圧ガス冷媒と中間圧液冷媒とに分離される。そのうち気液分離器(18)の底部から流出した中間圧液冷媒は、第1膨張弁(16)で減圧されて低圧液冷媒となり室内熱交換器(15)へ流入する。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、室内空気が冷却される。室内熱交換器(15)から流出した低圧冷媒は、四方切換弁(12)とアキュームレータ(19)を順に通過して二段圧縮機(20)へ吸入される。二段圧縮機(20)は、吸入した冷媒を再び圧縮して吐出する。
また、上記冷房運転において、電磁弁(31)を開状態に設定すると、気液分離器(18)内の中間圧ガス冷媒がインジェクション管(24)によって二段圧縮機(20)の中間通路(50)へ導入される。中間通路(50)へ導入された冷媒は、低段側圧縮機構(40a)から吐出された冷媒と共に高段側圧縮機構(40b)で圧縮される。二段圧縮機(20)の動作の詳細は後述する。
〈暖房運転〉
暖房運転時には、四方切換弁(12)が図2に破線で示す状態に切り換えられる。この状態で二段圧縮機(20)の電動機(25)に通電すると、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
二段圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐出管(23)から吐出されて四方切換弁(12)を通り、室内熱交換器(15)へ流入する。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気へ放熱し、室内空気が加熱される。室内熱交換器(15)で放熱した冷媒は、第1膨張弁(16)で減圧されて中間圧冷媒となり気液分離器(18)に流入する。気液分離器に流入した中間圧冷媒は、中間圧ガス冷媒と中間圧液冷媒とに分離される。そのうち気液分離器(18)の底部から流出した中間圧液冷媒は、第2膨張弁(17)で減圧されて低圧液冷媒となる。第2膨張弁(17)で減圧された低圧液冷媒は、室外熱交換器(14)へ送られ、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14)から流出した低圧冷媒は、四方切換弁(12)とアキュームレータ(19)を順に通過して二段圧縮機(20)へ吸入される。二段圧縮機(20)は、吸入した冷媒を再び圧縮して吐出する。
また、上記暖房運転においても、電磁弁(31)を開状態に設定すると、気液分離器(18)内の中間圧のガス冷媒が中間通路(50)へ導入される。中間通路(50)へ導入された冷媒は、低段側圧縮機構(40a)から吐出された冷媒と共に高段側圧縮機構(40b)で圧縮される。
〈二段圧縮機の動作〉
二段圧縮機(20)の動作について説明する。この二段圧縮機(20)は、電動機(25)に通電すると、その電動機(25)で発生する動力によって第1偏心部(35)及び第2偏心部(36)が回動し、これらの偏心部(35,36)に摺動自在に外接するロータリピストン(47a,47b)がシリンダ(41a,41b)内で揺動運動を行う。これにより、低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)で冷媒の圧縮が行われる。以下に、バイパス通路(59)を閉状態にした時とバイパス通路(59)を開状態にした時とのそれぞれについて二段圧縮機(20)の動作の説明を行う。
バイパス通路(59)を閉状態にした時の二段圧縮機(20)の動作について説明する。上述したように、三方切換弁(13)を図2に実線で示す状態に設定すると、バイパス通路(59)が閉状態になる。
まず、低段側圧縮機構(40a)へ冷媒が流入する過程について、図5を参照しながら説明する。シャフト(33)が回転角が0°の状態から僅かに回転して、ロータリピストン(47a)と第1シリンダ(41a)の接触位置が吸入ポート(48a)の開口部を通過すると、吸入ポート(48a)からシリンダ室(42a)へ冷媒が流入し始める。そして、シリンダ室(42a)へは、シャフト(33)の回転角が90°,180°,270°と大きくなるのに伴い冷媒が流入し、回転角が360°になるまで冷媒が流入し続ける。
続いて、低段側圧縮機構(40a)で冷媒を圧縮する過程について説明する。シリンダ室(42a)への冷媒の流入が終了した状態(シャフト(33)の回転角360°)において、シャフト(33)が回転角が再び0°の状態から僅かに回転すると、ロータリピストン(47a)と第1シリンダ(41a)の接触位置が吸入ポート(48a)の開口部を通過する。低段側圧縮機構(40a)では、この接触位置が吸入ポート(48a)の開口部を通過した時点で、低段側圧縮機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する。そして、この状態からシャフト(33)がさらに回転すると冷媒の圧縮が開始され、シリンダ室(42a)内の冷媒の圧力が中間通路(50)の冷媒の圧力を上回ると、吐出弁が開状態になり冷媒が吐出通路(49a)から中間通路(50)へ吐出される。冷媒の吐出は、シャフト(33)の回転角が360°になるまで続く。
続いて、高段側圧縮機構(40b)における冷媒の流入から圧縮までの過程について説明する。高段側圧縮機構(40b)では、中間通路(50)内の冷媒が、シャフト(33)の回転に伴って吸入ポート(48b)からシリンダ室(42b)へ流入する。冷媒の流入は、シャフト(33)の回転角が360°になると終了する。そして、ロータリピストン(47b)と第2シリンダ(41b)の接触位置が吸入ポート(48b)の開口部を通過して高段側圧縮機構(40b)における冷媒の閉じ込みが完了すると、冷媒の圧縮が開始される。シリンダ室(42b)内の冷媒は、シャフト(33)の回転に伴い圧縮される。そして、シリンダ室(42b)内の冷媒の圧力がケーシング(21)内の空間の冷媒の圧力を上回ると、吐出弁が開状態になり冷媒が吐出通路(49b)からケーシング(21)内の空間へ吐出される。冷媒の吐出は、シャフト(33)の回転角が360°になるまで続く。ケーシング(21)内の空間へ吐出された冷媒は、吐出管(23)から冷媒回路(11)へ吐出される。
バイパス通路(59)を開状態にした時の二段圧縮機(20)の動作について説明する。上述したように、三方切換弁(13)を図2に破線で示す状態に設定すると、バイパス通路(59)が開状態になる。
まず、低段側圧縮機構(40a)へ冷媒が流入する過程について、図5を参照しながら説明する。シャフト(33)が回転角が0°の状態から僅かに回転して、ロータリピストン(47a)と第1シリンダ(41a)の接触位置が吸入ポート(48a)の開口部を通過すると、吸入ポート(48a)からシリンダ室(42a)へ冷媒が流入し始める。そして、シリンダ室(42a)へは、シャフト(33)の回転角が90°,180°,270°と大きくなるのに伴い冷媒が流入し、回転角が360°になるまで冷媒が流入し続ける。
続いて、低段側圧縮機構(40a)で冷媒を圧縮する過程について説明する。シリンダ室(42a)への冷媒の流入が終了した状態(シャフト(33)の回転角360°)において、シャフト(33)が回転角が再び0°の状態から回転すると、シリンダ室(42a)内の冷媒がバイパス穴(62)からバイパス通路(59)を経て吸入管(22)へ排出される。シリンダ室(42a)内の冷媒の排出は、ロータリピストン(47a)がバイパス穴(62)を塞ぐ状態(シャフト(33)の回転角90°)になるまで続く。そして、ロータリピストン(47a)がバイパス穴(62)を塞いだ時点で、冷媒の排出が終了すると同時に、低段側圧縮機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する。そして、この状態からシャフト(33)がさらに回転すると冷媒の圧縮が開始され、シリンダ室(42a)内の冷媒の圧力が中間通路(50)の冷媒の圧力を上回ると、吐出弁が開状態になり冷媒が吐出通路(49a)から中間通路(50)へ吐出される。冷媒の吐出は、シャフト(33)の回転角が360°に達するまで続く。
高段側圧縮機構(40b)における冷媒の流入から圧縮までの過程は、バイパス通路(59)が閉状態の場合と同様であるので省略する。
上述のように、バイパス通路(59)の閉状態では、ロータリピストン(47a)とシリンダ(41a)の接触位置が吸入ポート(48a)の開口部を通過した時点で低段側圧縮機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する。一方、バイパス通路(59)の開状態では、ロータリピストン(47a)がバイパス穴(62)を塞いだ時点で低段側圧縮機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する。このように、この二段圧縮機(20)では、可変機構(55)のバイパス通路(59)を開閉することで、低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させることができる。これにより、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との吸入容積の比が変化する。なお、各圧縮機構(40a,40b)の吸入容積とは、閉じ込みが完了した時点での圧縮機構(40a,40b)の閉空間の容積(高圧側の容積)をいう。
例えば、バイパス通路(59)の閉状態における高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積V2に対する低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積V1の比率K(=V2/V1)が、0.7となるように設計されている二段圧縮機(20)について説明する。この二段圧縮機(20)は、その吸入冷媒と吐出冷媒との圧力差が比較的大きい運転条件の時にバイパス通路(59)の閉状態にすると、冷媒の圧縮行程が低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)とでバランス良く行われる。この二段圧縮機(20)では、上記圧力差が小さい運転条件の時に、可変機構(55)のバイパス通路(59)を開状態にして、低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を小さくする。これにより、上記比率Kが大きくなって、各圧縮機構(40a,40b)における冷媒の圧縮比が平均化されるので、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との間における冷媒の圧縮行程のバランスが調節される。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、二段圧縮機(20)に可変機構(55)を設け、低段側圧縮機構(40a)の回転速度と高段側圧縮機構(40b)の回転速度とが常に同じになる構造の二段圧縮機(20)においても、各圧縮機構(40a,40b)における吸入容積の比を可変としている。このため、例えば二段圧縮機(20)の吸入冷媒と吐出冷媒との圧力差が変動しても、その変動に応じて低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の吸入容積を調節することで、各圧縮機構(40a,40b)における冷媒の圧縮比を平均化することができる。各圧縮機構(40a,40b)における冷媒の圧縮比が平均化されると、各圧縮機構(40a,40b)で冷媒を圧縮するのに要する圧縮トルクの変動幅は互いの差が小さくなる。その結果、各圧縮機構(40a,40b)における圧縮トルクの変動が平均化され、二段圧縮機(20)全体での圧縮トルクの変動幅が小さくなる。従って、本実施形態によれば、二段圧縮機(20)の運転状態が変動しても、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との吸入容積比を調節することによって二段圧縮機(20)の振動を低く抑えることができる。
また、上記実施形態1では、可変機構(55)によって低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させることで、低段側圧縮機構(40a)から高段側圧縮機構(40b)へ供給される冷媒の量を変化させて、インジェクション管(24)から高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧ガス冷媒の量が調節されるようにしている。
ここで、従来の二段圧縮機では、その吸入冷媒と吐出冷媒との圧力差が比較的大きい運転条件の時に冷媒の圧縮行程が低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)とでバランス良く行われるように設計すると、上記圧力差が比較的小さい運転条件の時に、低段側圧縮機構(40a)で冷媒の圧縮行程のほとんどが行われ、中間通路(55)の圧力が比較的高くなってしまう。そして、インジェクション管(24)から中間通路(55)に導入される中間圧冷媒の量が低下して、所定のエコノマイザ効果が得られない場合があった。つまり、中間圧冷媒の供給量が少なくなって高段側圧縮機構(40b)の吸入冷媒のエンタルピを十分に下げられなくなり、高段側圧縮機構(40b)の駆動に要する動力を低減できなくなるおそれがあった。また、蒸発器(冷房運転では室内熱交換器(15)、暖房運転では室外熱交換器(14))の入口のエンタルピも十分に低下させられないおそれもあった。
この実施形態1では、このような場合であっても、低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を小さくすることでその低段側圧縮機構(40a)から高段側圧縮機構(40b)へ供給される冷媒の量を減少させて、高段側圧縮機構(40b)に導入される中間圧ガス冷媒の量の低下を抑制することができる。従って、所定のエコノマイザ効果が発揮されるようになり、二段圧縮機(20)の運転効率が向上する。また、空調機(10)の冷房効率、暖房効率も向上する。
また、上記実施形態1では、低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を小さくすることによって、電動機(25)の回転速度を下げることなく冷媒回路(11)の冷媒の循環量を減少させることができる。従来は、冷媒回路(11)の冷媒の循環量を減少させるのに、電動機(25)の回転速度を下げていた。従って、従来とは異なり、電動機(25)を高効率が得られる回転速度に保ったままで冷媒の循環量を削減することができる。
また、上記実施形態1では、バイパス穴(62)のシリンダ室(42a)側の端であるバイパス開口でバイパス通路(59)の開閉を行うことで、バイパス通路(59)の閉状態においてデッドボリュームがほとんどなくなるようにしている。これにより、バイパス通路(59)の閉状態において圧縮時に低段側圧縮機構(40a)内に吐出されずに残る冷媒がほとんどなくなるので、バイパス通路(59)の接続によって低段側圧縮機構(40a)における冷媒の圧縮効率が低下することを防止することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2について説明する。実施形態2の二段圧縮機(20)の縦断面図を図6に示す。この二段圧縮機(20)では、可変機構(55)が高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させる。
具体的に、フロントヘッド(44)の内部には、実施形態1のリアヘッド(45)に形成されていたものと同様の内部空間(60)が形成されている。フロントヘッド(44)には、高段側圧縮機構(40b)のシリンダ室(42b)と内部空間(60)とを連通するバイパス穴(62)が形成されている。また、内部空間(60)に配置されたピストン(63)は、概ね円柱状に形成されており、その下端から上端へ向かって直径が2段階に拡大する形状となっている。下側内部空間(60b)には、バネ部材(57)が設けられている。バネ部材(57)は、その一端がバイパス穴(62)の周りに固定され、その他端がピストン(63)の基部の下面に固定されている。
また、フロントヘッド(44)には、下側内部空間(60b)に開口するバイパス管(28)と、上側内部空間(60a)に開口する導入管(29)とが接続されている。バイパス管(28)の他端は、中間通路(50)に接続されている。導入管(29)は、ケーシング(21)を貫通している。上側内部空間(60a)は、吐出管(23)を流通する高圧冷媒が導入される状態と、吸入管(22)を流通する低圧冷媒が導入される状態とが三方切換弁(13)によって切り換えられる。
この実施形態2の二段圧縮機(20)は、例えば、バイパス通路(59)の閉状態における高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積V2に対する低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積V1の比率K(=V2/V1)が0.85になるように設計する。この二段圧縮機(20)は、その吸入冷媒と吐出冷媒との圧力差が比較的小さい運転条件の時にバイパス通路(59)の閉状態にすると、冷媒の圧縮行程が低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)とでバランス良く行われる。この二段圧縮機(20)では、上記圧力差が大きい運転条件の時に、可変機構(55)のバイパス通路(59)を開状態にして、高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を小さくする。これにより、上記比率Kが小さくなって、各圧縮機構(40a,40b)における冷媒の圧縮比が平均化されるので、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮機構(40b)との間における冷媒の圧縮行程のバランスが調節される。また、中間通路(50)の圧力が所定のエコノマイザ効果を効率的に得られる圧力値に調節される。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構を備える二段圧縮機について有用である。
実施形態1の二段圧縮機の縦断面図である。 実施形態1の空調機の概略構成図である。 実施形態1の二段圧縮機の低段側圧縮機構の拡大断面図である。 実施形態1の二段圧縮機の可変機構の拡大縦断図である。 実施形態1のシャフトの回転角の変化に伴う低段側圧縮機機構の状態を示す要部断面図である。 実施形態2の二段圧縮機の縦断面図である。
符号の説明
20 二段圧縮機
24 インジェクション管
33 シャフト(駆動軸)
40 圧縮機構
40a 低段側圧縮機構
40b 高段側圧縮機構
41 シリンダ
42a シリンダ室
47 ロータリピストン(ピストン)
55 可変機構
56 開閉機構
59 バイパス通路

Claims (6)

  1. 共に容積型流体機械で構成された低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)と、該低段側圧縮機構(40a)と該高段側圧縮機構(40b)との両方に係合する1本の駆動軸(33)とを備え、
    上記低段側圧縮機構(40a)で圧縮した流体を上記高段側圧縮機構(40b)で更に圧縮する二段圧縮機であって、
    上記低段側圧縮機構(40a)又は高段側圧縮機構(40b)の閉じ込み容積を変化させるための可変機構(55)を備えていることを特徴とする二段圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記可変機構(55)は、上記低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させるように構成されていることを特徴とする二段圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記低段側圧縮機構(40a)は、吸入した流体を圧縮するためのシリンダ室(42a)を備える一方、
    上記可変機構(55)は、上記低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)と該低段側圧縮機構(40a)の吸入側とを接続するバイパス通路(59)と、該バイパス通路(59)を開閉するための開閉機構(56)とを備え、上記開閉機構(56)によりバイパス通路(59)を開閉することによって上記低段側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積を変化させることを特徴とする二段圧縮機。
  4. 請求項3において、
    上記バイパス通路(59)の一端は、上記低段側圧縮機構(40a)のシリンダ室(42a)に面する壁面に開口するバイパス開口となっており、
    上記開閉機構(56)は、上記バイパス開口を開閉することによって上記バイパス通路(59)を開閉していることを特徴とする二段圧縮機。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
    上記低段側圧縮機構(40a)に吸入される低圧流体よりも高圧で且つ上記高段側圧縮機構(40b)から吐出される高圧流体よりも低圧の中間圧流体を上記高段側圧縮機構(40b)に導入するためのインジェクション管(24)が設けられていることを特徴とする二段圧縮機。
  6. 請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
    上記低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(40b)は、上記駆動軸(33)の軸心に対して偏心して配置されたピストン(47)と、該ピストン(47)を収納するシリンダ(41)とを備え、上記駆動軸(33)の回転に伴い上記ピストン(47)が偏心運動することにより流体を圧縮するロータリ式流体機械により構成されていることを特徴とする二段圧縮機。
JP2005211026A 2005-07-21 2005-07-21 二段圧縮機 Pending JP2007023993A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005211026A JP2007023993A (ja) 2005-07-21 2005-07-21 二段圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005211026A JP2007023993A (ja) 2005-07-21 2005-07-21 二段圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007023993A true JP2007023993A (ja) 2007-02-01

Family

ID=37785062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005211026A Pending JP2007023993A (ja) 2005-07-21 2005-07-21 二段圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007023993A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008096578A1 (ja) * 2007-02-07 2008-08-14 Daikin Industries, Ltd. 回転式圧縮機
JP2008190493A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Daikin Ind Ltd 回転式圧縮機
JP2008190377A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 多段圧縮機
WO2009116237A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 ダイキン工業株式会社 冷凍装置
WO2010038360A1 (ja) 2008-09-30 2010-04-08 ダイキン工業株式会社 冷凍装置
JP2010084559A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Daikin Ind Ltd 二段圧縮機
CN106930947A (zh) * 2015-12-30 2017-07-07 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 压力切换机构和压缩机

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10141270A (ja) * 1996-11-01 1998-05-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 2段気体圧縮機
JP2003148365A (ja) * 2001-11-09 2003-05-21 Sanyo Electric Co Ltd 二段圧縮式コンプレッサ
JP2005147562A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Sanyo Electric Co Ltd 2段圧縮式ロータリ圧縮機並びにこれを用いたカーエアコン及びヒートポンプ式給湯装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10141270A (ja) * 1996-11-01 1998-05-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 2段気体圧縮機
JP2003148365A (ja) * 2001-11-09 2003-05-21 Sanyo Electric Co Ltd 二段圧縮式コンプレッサ
JP2005147562A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Sanyo Electric Co Ltd 2段圧縮式ロータリ圧縮機並びにこれを用いたカーエアコン及びヒートポンプ式給湯装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008190377A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 多段圧縮機
WO2008096578A1 (ja) * 2007-02-07 2008-08-14 Daikin Industries, Ltd. 回転式圧縮機
JP2008190493A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Daikin Ind Ltd 回転式圧縮機
JP2008190492A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Daikin Ind Ltd 回転式圧縮機
WO2009116237A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 ダイキン工業株式会社 冷凍装置
JP2009222329A (ja) * 2008-03-18 2009-10-01 Daikin Ind Ltd 冷凍装置
WO2010038360A1 (ja) 2008-09-30 2010-04-08 ダイキン工業株式会社 冷凍装置
JP2010084559A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Daikin Ind Ltd 二段圧縮機
EP2336675A1 (en) * 2008-09-30 2011-06-22 Daikin Industries, Ltd. Refrigerating apparatus
US20110179822A1 (en) * 2008-09-30 2011-07-28 Daikin Industries, Ltd. Refrigerating apparatus
EP2336675A4 (en) * 2008-09-30 2014-11-19 Daikin Ind Ltd FRIDGE
CN106930947A (zh) * 2015-12-30 2017-07-07 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 压力切换机构和压缩机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2005240929B2 (en) Rotary compressor
JP5040907B2 (ja) 冷凍装置
KR100861646B1 (ko) 용적형 팽창기
JP2008175111A (ja) 圧縮機
JP2007023993A (ja) 二段圧縮機
JP4561225B2 (ja) 容積型膨張機及び流体機械
JP5228905B2 (ja) 冷凍装置
JP5760836B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP6605140B2 (ja) ロータリ圧縮機および冷凍サイクル装置
JP2017150466A (ja) 高圧圧縮機及びそれを備えた冷凍サイクル装置
JP4696530B2 (ja) 流体機械
JP5338314B2 (ja) 圧縮機および冷凍装置
JP4617964B2 (ja) 流体機械
JP5401899B2 (ja) 冷凍装置
JP2008190348A (ja) 回転式圧縮機
JP5338231B2 (ja) 二段圧縮機
JP2010156246A (ja) 圧縮機
JP6791233B2 (ja) 多段圧縮システム
JP5234168B2 (ja) 冷凍装置
JP2008175110A (ja) 圧縮機
JP2010156487A (ja) 冷凍装置
JP2006132332A (ja) 流体機械
JP5217869B2 (ja) 二段圧縮機
JP5181463B2 (ja) 流体機械
JP4655051B2 (ja) 回転式圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100610

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100615

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20101102

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02