JP5321003B2 - 膜電極接合体の製造方法 - Google Patents
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Description
(工程A)
触媒を担持した粒子と、高分子電解質を溶媒に分散させた触媒インクを基材上に塗布し、乾燥し、第1の電極触媒層を形成する工程。
(工程B)
触媒を担持した粒子と、高分子電解質を溶媒に分散させた触媒インクを基材上に塗布し、乾燥し、第2の電極触媒層を形成する工程。
(工程C)
高分子電解質膜側から順に第1の電極触媒層、第2の電極触媒層となるように、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に第1の電極触媒層および/または第2の電極触媒層を形成する工程。
本発明の膜電極接合体にあっては、触媒を担持した粒子と、高分子電解質を溶媒に分散させた触媒インク2´´、3´´が転写シートもしくはガス拡散層から選択される基材S上に塗布され(図3(1))、基材S上に塗膜2´、3´が形成される(図3(2))。基材S上に形成された塗膜2´、3´は乾燥装置であるオーブンXにより乾燥され、第2の電極触媒層2b、3bが形成される(図3(3))。この第1の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における溶媒除去速度は、後述する第2の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における溶媒除去スピードと比較して小さいことを特徴とする。
また、これらの触媒の粒径は、大きすぎると触媒の活性が低下し、小さすぎると触媒の安定性が低下するため、0.5〜20nmが好ましい。更に好ましくは1〜5nmが良い。
触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、および、イリジウムから選ばれた1種または2種以上の金属であると、電極反応性に優れ、電極反応を効率よく安定して行うことができ、本発明の電極触媒層を備えて成る固体高分子形燃料電池が高い発電特性を示すので、本発明において好ましく使用できる。
カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10〜100nmが良い。
しかし、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましく、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤等が使用される。また、これらの溶剤のうち二種以上を混合させたものも使用できる。
〔触媒インクの調製〕
白金担持量が50質量%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液(Nafion(登録商標)/デュポン社製)を溶媒中で混合し、遊星型ボールミル(商品名:Pulverisette7、FRITSCH社製)で分散処理をおこなった。分散時間を30分間としたものを触媒インクとした。
出発原料の組成比は、白金担持カーボンと高分子電解質(Nafion(登録商標)/デュポン社製)は質量比で2:1とし、分散溶媒は1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1とした。また、固形分含有量は10質量%とした。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを転写シートとして使用した。
〔基材上への電極触媒層の形成方法〕
ドクターブレードにより、触媒インクを基材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗布し、オーブンX内にて大気雰囲気中40℃で30分間乾燥させ、その後、オーブンY内にて大気雰囲気中90℃で5分間乾燥させて第2の電極触媒層を形成した。その後、第2の電極触媒層が形成された基材上に触媒インクを塗布し、オーブンY内にて大気雰囲気中90℃で5分間乾燥させ、第1の電極触媒層を得た。これにより基材上に2層構造の電極触媒層を作製した。
第2の電極触媒層は、第1の電極触媒層と比較して触媒インクの単位面積あたりの塗布量を4倍とした。電極触媒層の厚さは、白金担持量が約0.3mg/cm2になるように調節した。
第2の電極触媒層、第1の電極触媒層が形成された基材を25cm2の正方形に打ち抜き、高分子電解質膜(Nafion(登録商標)/デュポン社製)の両面に対面するように転写シートを配置し、130℃、6.0×106Paの条件でホットプレスをおこない、膜電極接合体(MEA)を得た。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを転写シート上に、第1の電極触媒層、第2の電極触媒層をそれぞれ〔膜電極接合体(MEA)の作製〕と同一の条件で作成した。基材上にそれぞれ形成された第1の電極触媒層、第2の電極触媒層をカッターナイフで削りとり、触媒層の細孔測定を、水銀ポロシメータ(商品名:Pascal 140/240、ThermoQuest社製)を用いて水銀圧入法によりおこなった。その結果、第1の電極触媒層の水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積は、第2電極触媒層の細孔容積よりも増加し、その差は0.29mL/g‐(電極触媒層)であった。
〔触媒インクの調整〕
白金担持量が50質量%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液(Nafion(登録商標)/デュポン社製)を溶媒中で混合し、遊星型ボールミル(商品名:Pulverisette7、FRITSCH社製)で分散処理をおこなった。分散時間を30分間としたものを触媒インクとした。
出発原料の組成比は、白金担持カーボンと高分子電解質(Nafion(登録商標)/デュポン社製)は質量比で2:1とし、分散溶媒は1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1とした。また、固形分含有量は10質量%とした。
〔基材〕
実施例と同じ基材を使用した。
〔電極触媒層の作製方法〕
ドクターブレードにより、触媒インクを基材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗布し、オーブンY内にて大気雰囲気中90℃で5分間乾燥させて第2の電極触媒層を形成した。その後、第2の電極触媒層が形成された基材上に触媒インクを塗布し、オーブンY内にて大気雰囲気中90℃で5分間乾燥させ、第1の電極触媒層を得た。これにより基材上に2層構造の電極触媒層を作製した。
第2の電極触媒層は、第1の電極触媒層と比較して触媒インクの単位面積あたりの塗布量を4倍とした。電極触媒層の厚さは、白金担持量が約0.3mg/cm2になるように調節した。
第2の電極触媒層、第1の電極触媒層が形成された基材を25cm2の正方形に打ち抜き、高分子電解質膜(Nafion(登録商標)/デュポン社製)の両面に対面するように転写シートを配置し、130℃、6.0×106Paの条件でホットプレスをおこない、膜電極接合体(MEA)を得た。
〔発電特性〕
(実施例)及び(比較例)の膜電極接合体にガス拡散層としてのカーボンクロスを挟持するように貼りあわせ、発電評価セル(エヌエフ回路設計ブロック社製)内に設置した。これを燃料電池測定装置(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、セル温度80℃で、以下に示す2つの運転条件で電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御をおこなった。なお、背圧は100kPaとした。
フル加湿:アノード100%RH、カソード100%RH
低加湿:アノード20%RH、カソード20%RH
図4に(実施例)と(比較例)で作製した膜電極接合体(MEA)の発電特性を示した。
図4において、太い実線は(実施例)の膜電極接合体の低加湿での発電特性であり、太い点線は(実施例)の膜電極接合体のフル加湿での発電特性である。一方、図4において、細い実線は(比較例)の膜電極接合体の低加湿での発電特性であり、細い点線は(比較例)の膜電極接合体のフル加湿での発電特性である。
2 電極触媒層
3 電極触媒層
12 膜電極接合体
4 ガス拡散層
5 ガス拡散層
6 空気極(カソード)
7 燃料極(アノード)
8 ガス流路
9 冷却水流路
10 セパレーター
2´´ 触媒インク
3´´ 触媒インク
2´ 触媒インクの塗膜
3´ 触媒インクの塗膜
2a 第1の電極触媒層
2b 第2の電極触媒層
3a 第1の電極触媒層
3b 第2の電極触媒層
22 基材
X オーブンX
Y オーブンY
Claims (4)
- 高分子電解質膜を一対の電極触媒層で挟持した膜電極接合体の製造方法であって、
触媒を担持した粒子と、高分子電解質を溶媒に分散させた触媒インクを基材上に塗布し、乾燥し、第1の電極触媒層を形成する工程と、
触媒を担持した粒子と、高分子電解質を溶媒に分散させた触媒インクを基材上に塗布し、乾燥し、第2の電極触媒層を形成する工程と、
高分子電解質膜の少なくとも一方の面に第1の電極触媒層および第2の電極触媒層を、高分子電解質膜側から順に第1の電極触媒層、第2の電極触媒層となるように形成する工程を備え、且つ、
第1の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における溶媒の除去速度が第2の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における溶媒の除去速度よりも大きく、
前記電極触媒層が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が外側である電極触媒層表面から内側である前記高分子電解質膜に向かって増加していることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 - 前記第1の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における乾燥温度が、前記第2の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における乾燥温度と比較して高いことを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記第1の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における乾燥温度と、前記第2の電極触媒層を形成する際の乾燥工程における乾燥温度の差が40℃以上であることを特徴とする請求項2記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記電極触媒層の水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が、厚さ方向において最も高い値と最も低い値の差で0.1mL/g‐(電極触媒層)以上1.0mL/g‐(電極触媒層)以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法。
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