JP5320355B2 - ワイヤハーネス用のネット状保護材および製造方法 - Google Patents
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Description
これらのテープおよびチューブからなる外装材としては、従来、テープは塩化ビニルテープが汎用され、コルゲートチューブとしてはポリプロピレン等が用いられ、いずれも樹脂で形成されている。
さらに、実開平4−21119号等で提案されている樹脂糸からなるネットチューブも用いられている。
さらに、従来のネットチューブは縦糸と横糸とを編んで隣接する交点と縦糸と横糸の上下を逆転してネット状に形成している。よって、交点での縦糸と横糸との結合力が弱い。よって、裁断口から解れやすく、かつ、交点に引張力や引裂力が負荷されると、交点での剥がれ、所謂目崩れが生じて、形状保持力が低い問題がある。
前記内面材および外面材は、それぞれ樹脂線材からなる縦線と横線との交点が加圧熱融着されてネット状とされると共に、前記内面材の外面と外面材の内面とが融着され、裁断端でほつれ止めされており、
前記内面材と外面材は下記(1)〜(3)の少なくとも1つの構成を備えていることを特徴とするワイヤハーネス用のネット状保護材を提供している。
(1)前記外面材の縦横線の線径は前記内面材の縦横線の線径より大であり、前記外面材の厚さは前記内面材の厚さよりも大きい。
(2)前記外面材のネットの空孔は前記内面材のネットの空孔より大きい。
(3)前記外面材の縦横線は弾性樹脂が配合され、前記内面材よりクッション性を有する。
このように、外面材と内面材の物性を変えることにより、多様な特性を有するネット状保護材を容易に得ることができ、ワイヤハーネスの配索条件に応じた適宜な保護材とすることができる。
また、前記縦横線で囲まれる各空孔の形状は、正方形、長方形、ひし形、六角形、あるいは真円、楕円、長円のいずれかの円形とされ、内面材と外面材で空孔の形状および大きさを変えてもよい。前記空孔の形状は、要求される伸縮性および強度によって調整される。例えば、内面材は空孔を小さくし、外面材は空孔を大きくしてもよい。
該難燃性樹脂線材からなる前記縦線と横線とは編まずに交点で上下に重ねられ、該縦線と横線のいずれか一方または両方が、断面積の40%〜50%が溶融されて相手方の繊維中に埋設された状態で互いに融着されていることが好ましい。
前記樹脂成分としては、加工容易性、コストの点等からポリプロピレンが最も好適に用いられる。
前記シートは巾方向の両端がラップする円筒状に曲げ癖がつけられており、また、
前記チューブは一枚のシートの巾方向の端縁を互いに熱融着してチューブとしている。
サイジング機に、アウトダイスとインダイスとからなる内面材形成用ダイスセットおよび外面材形成用ダイスセットとを設け、
前記外面材形成用ダイスセットは上段、内面材形成用ダイスセットは下段として同軸に配置し、
上段の外面材形成用ダイスセットから紡出する前記縦線と横線とでネット状の外面材を形成し、該外面材の内周側に、前記下段の内面材形成用ダイスセットから紡出する前記縦線と横線とでネット状の内面材を形成し、該内面材の外面を外周の前記外面材の内面と接触させて融着しているワイヤハーネス用のネット状保護材の製造方法を提供している。
前記ネット状のシートを所要長さに裁断し、裁断されたネット状シートの巾方向の両端縁がラップして筒状になるように賦形している。
さらに、ネット状としていることにより、従来の樹脂製の丸チューブと比較して1/2以下にまで軽量化することができる。
図1に示す第一実施形態のネット状保護材は積層ネットシート1としている。
該積層ネットシート1はネット状の内面材2とネット状の外面材3との積層とし、熱融着している。内面材2および外面材3は、それぞれ難燃性の樹脂線材10からなる縦線と横線とを交点で加圧熱融着し、縦横線で囲まれた菱形状の空孔を設けたネット状としている。
また、内面材2の縦横線20、21は小径とし、内面材の厚さを薄くしている。一方、外面材3の縦横線30、31は大径とし、厚さを大としている。かつ、内面材2の空孔25は小さくし、外面材3の空孔35は大きくしている。なお、空孔25と35とは同じ大きさとしてもよい。
このように、内外に積層固着する内面材2と外面材3とはそれぞれの機能に応じて物性および形状を相違させている。
前記樹脂成分100質量部に対して前記難燃剤が0.5〜100質量部配合されている。さらに必要に応じて、酸化マグネシウムあるいは/および炭酸カルシウムからなる充填剤が前記樹脂成分100質量部に対して0〜50質量部配合されている。
前記のように、本実施形態では樹脂成分としてポリプロピレン(PP)を用い、難燃剤として「テトラプロモビスフェノール」からなる臭素系難燃剤を用いている。
該交点22、32では、図3(C)に示すように、上下の断面楕円形状の縦線20と横線21、30と31とが面接触し、かつ、下側の横線の断面積の40〜50%の部分を上側の縦線中に入り込ませる状態で融着している。
積層ネットシート1をワイヤハーネス5に取り付ける工程では、ワイヤハーネス5の電線群の長さ方向に沿って縦沿えし、該状態で巻癖をつけた積層ネットシート1の内面材2を電線群の外周面に密着させながら巻き付けている。この状態で、巾方向の両端側がラップして電線群の全外周面を完全に被覆することができる。その後、積層ネットシート1の長さ方向の両端と積層ネットシート1から引き出された電線群とに粘着テープTを巻き付けて固着している。
図4(A)〜(C)に示すサイジング機40で積層ネットシート1を成形している。詳細には、前記樹脂成分に難燃剤、安定剤等をホッパー41に投入し、ホッパー41で撹拌混合し、該撹拌混合した混合物をスクリューコンベヤ42で混練りしながらダイセット45へ搬送し、混練物をダイセット45で難燃性の樹脂線材からなるネット状シートとして成形している。
同様に、内面材用ダイセット55のアウトダイス53とインダイス54もモータ57で逆回転して、縦線20と横線21とで格子形状の内面材2を形成している。
また、内面材用ダイセット55の下方に小径ガイド板57を配置して、下段の内面材用ダイセット55で成形される内面材2を押し拡げ、外面材用ダイセット52で成形される外面材3の内面に内面材ダイセット55で成形される内面材2の外周を接触させるように誘導し、加熱して熱融着して積層シート4を形成している。
このように、ダイセット45を外面材用ダイセット52と内面材用ダイセット55とを上下段に備えた構成とすることで、ネット状の内面材2にネット状の外面材3を重ね、熱融着して積層シート4を形成している。
台円錐筒形状とした成形機70を用い、該成形機70の上流と下流とに引っ張りロール71A、71Bを配置している。積層シート4をロール71Aより成形機70に通し、該成形機70の内部で円弧状に癖づけしていき、最終の小径部分では巾方向の端縁部がラップするようにしている。該状態でロール71Bで引き出し、連続した積層ネットシート1を製造している。該積層ネットシート1は使用条件に応じて所要長さに裁断機73で裁断している。
また、内面材2および外面材3の縦横線20と21、30と31は難燃性の樹脂線材から形成しているため、積層ネットシート1は難燃性を備え、エンジンルームに配索するワイヤハーネスの外装材として用いることができ、かつ、縦横線が互いに強固に固着されているため、内面材2、外面材3の各縦横線が裁断端でほつれを生じることはない。しかも、ネット状としているため、丸チューブと比較して重量を半減できる。特に、自動車に配索する多数本のワイヤハーネスの外装材として用いると、自動車の重量軽減にも寄与でき、燃費を向上させることができる。
前記第一実施形態の積層ネットシート1は円弧形状に賦形し、巾方向の両端側がラップするように賦形したものであるが、第二実施形態では、ラップさせた両端縁を熱融着して積層ネットチューブ1−Bとしている。
この積層ネットチューブ1−Bは図7(B)に示すように、収縮させてワイヤハーネス5を挿通し、挿通後に図7(C)に示すように引き伸ばして、ワイヤハーネス5の電線群と粘着テープTで固着している。
1−B 積層ネットチューブ
2 内面材
3 外面材
10 樹脂線材
20、30 縦線
21、31 横線
22、32 交点
25、35 空孔
Claims (4)
- それぞれネット状とした内面材と外面材とからなる2層状のチューブまたはシートからなり、
前記内面材および外面材は、それぞれ樹脂線材からなる縦線と横線との交点が加圧熱融着されてネット状とされると共に、前記内面材の外面と外面材の内面とが融着され、裁断端でほつれ止めされており、
前記内面材と外面材は下記(1)〜(3)の少なくとも1つの構成を備えていることを特徴とするワイヤハーネス用のネット状保護材。
(1)前記外面材の縦横線の線径は前記内面材の縦横線の線径より大であり、前記外面材の厚さは前記内面材の厚さよりも大きい。
(2)前記外面材のネットの空孔は前記内面材のネットの空孔より大きい。
(3)前記外面材の縦横線は弾性樹脂が配合され、前記内面材よりクッション性を有する。 - 前記外面材および内面材は難燃剤が配合された熱可塑性材料からなり、かつ、前記外面材と内面材の縦線と横線の交点は断面積の40%〜50%が溶融されて相手方の繊維中に埋設された状態で互いに融着されている請求項1に記載のワイヤハーネス用のネット状保護材。
- 前記シートは巾方向の両端がラップする円筒状に曲げ癖がつけられており、また、
前記チューブは一枚のシートの巾方向の端縁を互いに熱融着してチューブとしている請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用のネット状保護材。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のネット状保護材の製造方法であって、
サイジング機に、アウトダイスとインダイスとからなる内面材形成用ダイスセットおよび外面材形成用ダイスセットとを設け、
前記外面材形成用ダイスセットは上段、内面材形成用ダイスセットは下段として同軸に配置し、
上段の外面材形成用ダイスセットから紡出する前記縦線と横線とでネット状の外面材を形成し、該外面材の内周側に、前記下段の内面材形成用ダイスセットから紡出する前記縦線と横線とでネット状の内面材を形成し、該内面材の外面を外周の前記外面材の内面と接触させて融着しているワイヤハーネス用のネット状保護材の製造方法。
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