しかしながら、上述した従来の技術では、クッション体がクッションケースに収納される(即ち、クッション体の全体がクッションケースによって被包される)ので、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合、クッション体を金型へ載置する前に、クッションケースにクッション体を収納するための工程が必要となる。よって、シートパッドの製造工程における工数が増加し、製造コストが嵩むという問題点があった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、製造コストを低減することができるシートパッド及びシートパッドの製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載のシートパッドによれば、耐熱性およびクッション体よりも高い通気遮断性を有するシートとして形成されると共にクッション体と繊維集合体との間に配設される遮断シートを備え、繊維集合体の一の外面視において、クッション体の全体が遮断シートに覆われるので、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、熱風が送入される側のクッション体を覆う姿勢で遮断シートを配設することにより、熱風を遮断シートによって遮断し、クッション体が熱風によって損傷することを抑制できる。この場合、クッション体の一の外面(熱風が送入される側の面)に遮断シートを配設すれば良いので、例えば、クッション体をクッションケースで被包するための工程を省略できる。よって、シートパッドの製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項2記載のシートパッドによれば、請求項1記載のシートパッドの奏する効果に加え、繊維集合体は、クッション体を挟んで遮断シートとは反対側の外面を形成する第1面と、クッション体を挟んで第1面とは反対側の外面を形成する第2面と、それら第1面および第2面を接続すると共にそれぞれが対向する位置に形成される一対の第3面と、それら一対の第3面どうしを接続すると共にそれぞれが対向する位置に形成される一対の第4面と、を備え、遮断シートは、一対の第3面の両面に至る長さよりも短く形成されると共に一対の第4面の両面に至る長さで形成されるので、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、クッション体へ送入される熱風を遮断シートによってより確実に遮断することができる。よって、熱風によってクッション体が損傷することを抑制できるという効果がある。
また、遮断シートは、一対の第4面の両面に至る長さで形成されるので、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、一対の第4面側の繊維集合体を形成する繊維シート(繊維集合体の材料)へ送入される熱風を均一に遮断することができる。よって、一対の第4面側の繊維集合体を形成する繊維シート(繊維集合体の材料)を均一に溶融させ、一対の第4面側の繊維集合体それぞれのクッション性を均一に形成できるという効果がある。
また、遮断シートは、一対の第3面の両面に至る長さよりも短く形成されるので、繊維集合体と遮断シートとの溶着面を繊維集合体よりも内方に位置させることができるので、かかる溶着面が剥がれることを抑制できる。よって、シートパッドの耐久性を高めることができるという効果がある。
請求項3記載のシートパッドによれば、請求項2記載のシートパッドの奏する効果に加え、遮断シートは、繊維集合体よりも繊維材料の密度が高く形成されるので、遮断シートの通気遮断性を高めることができる。よって、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、熱風によってクッション体が損傷することを抑制できるという効果がある。
また、遮断シートと繊維集合体とが同じ材料から形成されるので、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、熱風による熱処理によって遮断シートと繊維シート(繊維集合体の材料)とが馴染んだ状態で溶着される。よって、遮断シートと繊維集合体とが擦れ合うことによる異音の発生を抑制できるという効果がある。
請求項4記載のシートパッドによれば、請求項3記載のシートパッドの奏する効果に加え、繊維集合体および遮断シートは、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合で混合されるシートとして形成され、遮断シートは、ニードルパンチ不織布から形成されるので、遮断シートの高融点繊維材料と低融点繊維材料とが密に絡み合うことにより、繊維集合体よりも繊維材料の密度が高く形成され、通気遮断性の高いシートとして形成される。よって、エアースルー方式によってシートパッドを製造する場合に、遮断シートによって熱風をより確実に遮断することができるという効果がある。
また、遮断シートに混合される低融点繊維材料の割合が繊維集合体に混合される低融点繊維材料の割合よりも大きくされるので、遮断シートの形成時に、低融点材料が溶融することにより、遮断シートをより通気遮断性の高いシートとすることができるという効果がある。
更に、遮断シートに混合される低融点繊維材料によって、遮断シートと繊維シート(繊維集合体の材料)との境界部分での溶着力を高めることができるので、遮断シートと繊維シート(繊維集合体の材料)との境界部分での溶着を遮断シートに担わせることができるので、その分、繊維シート(繊維集合体の材料)に混合される低融点繊維材料の割合を小さくすることができる。よって、繊維集合体のクッション性を高めることができるという効果がある。
請求項5記載のシートパッドによれば、請求項4記載のシートパッドの奏する効果に加え、第1面が座面とされるので、剛性が高い遮断シート側の繊維集合体をシートパッドの装着面とすることでシートパッドを安定して装着することができると共に、その遮断シートを土台にしてクッション体を座面側に配置することができるので、座面のクッション性を高めることができるという効果がある。
請求項6記載のシートパッドによれば、請求項4記載のシートパッドの奏する効果に加え、第2面が座面とされるので、第3面および第4面を形成する繊維集合体とクッション体の側面との接触面を境界にしたクッション性の相違を第2面によって吸収し、座面のクッション性を均一にすることができるという効果がある。
請求項7記載のシートパッドの製造方法によれば、複数枚の繊維シートから綿状に形成される繊維集合体と、繊維集合体に被包されると共にクッション性を有するクッション体と、を備えるシートパッドの製造方法において、耐熱性およびクッション体よりも高い通気遮断性を有する遮断シートを形成する遮断シート形成工程と、遮断シート形成工程によって形成された遮断シートがクッション体と繊維シートとの間に配設される被成形体を金型の内部に載置する載置工程と、載置工程によって被成形体が載置された金型の内部に、加熱手段によって熱風を送入し、繊維シートを溶融させることで繊維集合体を形成する加熱工程と、を備え、載置工程および加熱工程における金型は、加熱手段側の被成形体の外面に対向配置される第1内面と、加熱手段とは反対側の被成形体の外面に対向配置される第2内面と、第1内面に形成されると共に金型の内部と外部を連通する第1通風路と、第2内面に形成されると共に金型の内部と外部を連通する第2通風路と、を備え、遮断シート形成工程は、第1内面側の被成形体の外面視において、クッション体の全体が遮断シートに覆われる大きさで遮断シートを形成し、載置工程は、第1内面側のクッション体と繊維シートとの間に遮断シートを配設すると共に、第1内面側の被成形体の外面視において、クッション体の全体が遮断シートに覆われる姿勢で被成形体を載置し、加熱工程は、加熱手段によって第1通風路へ向けて熱風を送風するので、クッション体へ送入される熱風を遮断シートによって遮断することができる。
これにより、熱風によってクッション体が損傷することを抑制できる。この場合、クッション体の一の面(熱風が送入される側の面)と繊維シートとの間に遮断シートを配設すれば良いので、例えば、クッション体をクッションケースで被包するための工程を省略できる。よって、シートパッドの製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項8記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項7記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、繊維集合体は、クッション体を挟んで遮断シートとは反対側の外面を形成する第1面と、クッション体を挟んで記第1面とは反対側の外面を形成する第2面と、それら第1面および第2面を接続すると共にそれぞれが対向する位置に形成される一対の第3面と、それら一対の第3面どうしを接続すると共にそれぞれが対向する位置に形成される一対の第4面と、を備え、載置工程および加熱工程における金型は、第1内面および第2内面を接続すると共にそれぞれが対向配置される一対の第3内面と、それら一対の第3内面どうしを接続すると共にそれぞれが対向配置される一対の第4内面と、を備え、記遮断シート形成工程は、遮断シートを、一対の第3面を形成する繊維シートの両端部に至る長さよりも短く形成すると共に一対の第4面を形成する繊維シートの両端部に至る長さで形成し、載置工程は、一対の第3内面それぞれと遮断シートとが離間した状態で遮断シートを配設すると共に一対の第4内面それぞれと遮断シートとが当接した状態で遮断シートを配設するので、クッション体へ送入される熱風を遮断シートによってより確実に遮断することができる。よって、熱風によってクッション体が損傷することを抑制できるという効果がある。
また、遮断シートを、一対の第3面を形成する繊維シートの両端部に至る長さよりも短く形成するので、繊維シートと遮断シートとの溶着面を繊維シートよりも内方に位置させることができるので、溶着後の遮断シートと繊維集合体との溶着面が剥がれることを抑制できる。よって、シートパッドの耐久性を高めることができるという効果がある。
また、遮断シートを、一対の第4面を形成する繊維シートの両端部に至る長さで形成するので、一対の第4面を形成する繊維シートへ送入される熱風を均一に遮断することができる。よって、一対の第4面を形成する繊維シートを均一に溶融させ、一対の第4面を形成する繊維集合体それぞれのクッション性を均一に形成できるという効果がある。
請求項9記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項8記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、遮断シート形成工程は、遮断シートを、繊維シートよりも繊維材料の密度を高くして形成するので、遮断シートの通気遮断性を高めることができる。よって、熱風によってクッション体が損傷することを抑制できるという効果がある。
また、遮断シートと繊維集合体とを同じ材料から形成するので、遮断シートと繊維シートとが馴染んだ状態で溶着される。よって、溶着後の遮断シートと繊維集合体とが擦れ合うことによる異音の発生を抑制できるという効果がある。
請求項10記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項9記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、載置工程よりも前に繊維シート形成工程を備え、繊維シート形成工程は、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合で混合されるシートとして繊維シートを形成し、遮断シート形成工程は、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合で混合されると共にニードルパンチ法によって形成される不織布として遮断シートを形成するので、遮断シートの高融点繊維材料と低融点繊維材料とが密に絡み合うことにより、繊維集合体よりも繊維材料の密度が高く形成され、通気遮断性の高いシートとして形成される。よって、遮断シートによって熱風をより確実に遮断することができるという効果がある。
また、遮断シートに混合される低融点繊維材料の割合が繊維集合体に混合される低融点繊維材料の割合よりも大きくされるので、遮断シートの形成時に、低融点材料が溶融することにより、遮断シートをより通気遮断性の高いシートとすることができるという効果がある。
更に、遮断シートに混合される低融点繊維材料によって、遮断シートと繊維シートとの境界部分での溶着力を高めることができるので、遮断シートと繊維シートとの境界部分での溶着を遮断シートに担わせることができるので、その分、繊維シートに混合される低融点繊維材料の割合を小さくすることができる。よって、繊維集合体のクッション性を高めることができるという効果がある。
請求項11記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項10記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、加熱工程における金型および加熱手段は、それら金型および加熱手段を取り囲む壁面を備える加熱ユニット内に配設され、加熱ユニットは、第1通風路が形成される金型の第1外面と、第2通風路が形成される金型の第2外面と、それら第1外面および第2外面を接続すると共にそれぞれが対向配置される一対の第3外面とを取り囲む壁面を備えるので、加熱ユニット内を循環した熱風を第2通風路から送入させることができる。
この場合、加熱ユニット内を循環して第2通風路に送入される熱風は、加熱手段から直接送入される(第1通風路に送入される)熱風よりも温度が低いため、クッション体が損傷することを抑制しつつ、クッション体を挟んで遮断シートとは反対側の繊維シートを溶融させることができるという効果がある。
請求項12記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項11記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、加熱工程における金型の一対の第3内面および一対の第4内面は、熱風が送入される通風路が非形成とされるので、加熱ユニット内を循環した熱風が、第3内面および第4内面を形成する繊維シートを通してクッション体に送入されることを抑制できる。よって、熱風によってクッション体が損傷することなく、繊維シートを溶融させることができるという効果がある。
請求項13記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項12記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、加熱工程における金型は、第2内面と第3内面および第4内面との連設部分に形成されると共に金型の内部と外部を連通する第3通風路を備えるので、第3内面および第4内面が、通風路が非形成とされる(第3内面および第4内面から熱風が送入されない)場合であっても、加熱ユニット内を循環した熱風を第3通風路から送入することにより、第3内面および第4内面側の繊維シートを確実に溶融させることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、シートパッド1の全体構成について説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態におけるシートパッド1の上面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線におけるシートパッド1の断面図であり、図1(c)は、図1(a)のIc−Ic線におけるシートパッド1の断面図である。
図1に示すように、シートパッド1は、鉄道車両や自動車などに装着される車両用シートの一部(着座した乗員の臀部を支える部位)を構成する部品である。シートパッド1は、繊維集合体2と、その繊維集合体2によって被包されるクッション体3と、それらクッション体3及び繊維集合体2の間に配設される遮断シート4とを備え、略直方体形状に形成される。
繊維集合体2は、座面として形成される第1面20(図1(b)の上側の面)と、その第1面20に対向して形成されると共に、装着対象(例えば、車両用シート)への装着面として形成される第2面21(図1(b)の下側の面)と、それら第1面20及び第2面21を接続すると共にシートパッド1の前面および背面を形成する(それぞれが対向配置される)一対の第3面22(図1(b)の左右の面)と、それら一対の第3面22どうしを接続する(第1面20及び第2面21を接続する)と共にシートパッド1の側面を形成する(それぞれが対向配置される)一対の第4面23(図1(c)の左右の面)とを備え、外形形状が略直方体状に形成され、各頂点は円弧状に形成される。
繊維集合体2には、その内部にクッション体3を収納するための内部空間が形成され、第1面20は、一の第3面22側から他の第3面22側にかけて(背面から前面(図1(b)の左側から右側)にかけて)ゆるやかに下降傾斜して形成される。この繊維集合体2は、予めシート状に形成した複数枚の繊維シート2A,2Bを(図2(b)及び図3参照)、後述するエアースルー方式により溶着することで形成される。
繊維集合体2の材料である繊維シート2A,2Bは、高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した綿状体を圧縮することにより、シート状に形成された繊維シートである。具体的には、綿状体は、トウ(藤)状のポリエステル繊維(繊維太さ2〜100デニール、5〜10cm)からなる高融点繊維材料に、芯鞘型でトウ状のポリエステル複合繊維(繊維太さ1〜100デニール、3〜15cm)からなる低融点繊維材料を5〜40%(本実施の形態では、20%)混合して形成される。
低融点繊維材料の鞘は、重縮合時にイソフタール酸を混合してパイプインパイプ等で製造した低融点共重合体ポリエステルである。所定の厚さの綿状体を低融点繊維材料の融点以上に加熱された熱ローラで圧縮しつつ伸ばす(圧延する)ことで、綿状体の表面全体の低融点繊維材料の鞘が溶融してポリエステル繊維同士が接合され、綿状体の体積が減少してシート状の繊維シート2A,2Bが形成される。
クッション体3は、繊維集合体2に形成される直方体状の内部空間と略同一の大きさに形成されると共に、かかる内部空間に配設される弾性体である(図1(b)及び図1(c)参照)。このクッション体3は、捲縮処理されたポリエステル繊維と、熱可塑性エラストマー及び非弾性ポリマーで形成されると共に、バインダーとして機能する弾性複合繊維とを三次元的に混合して成形された繊維構造体として形成される。これにより、クッション性を有するクッション体として形成される。
遮断シート4は、高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した綿状体を圧縮することによりシート状に形成された繊維から、ニードルパンチ不織布として形成される。具体的には、綿状体はトウ(藤)状のポリエステル繊維(繊維太さ2〜100デニール、5〜10cm)からなる高融点繊維材料に、芯鞘型でトウ状のポリエステル複合繊維(繊維太さ1〜100デニール、3〜15cm)からなる低融点繊維材料を10〜70%(本実施の形態では、40%)混合して形成される。
低融点繊維材料の鞘は、重縮合時にイソフタール酸を混合してパイプインパイプ等で製造した低融点共重合体ポリエステルである。所定の厚さの綿状体を低融点繊維材料の融点以上に加熱された熱ローラで圧縮しつつ伸ばす(圧延する)ことで、綿状体の表面全体の低融点繊維材料の鞘が溶融してポリエステル繊維同士が接合されるとともに、綿状体の体積が減少してシート状に形成される。
本実施の形態では、このシート状に形成された繊維に、突起を備えるニードルを繰り返し突き刺して高融点繊維材料と低融点繊維材料とを絡ませること(即ち、ニードルパンチ法)で、ニードルパンチ不織布として遮断シート4を形成する。遮断シート4は、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)と同じ繊維材料(本実施の形態では、ポリエステル繊維)から形成されると共に、繊維集合体2に混合される低融点繊維材料の割合よりも大きい割合(本実施の形態では、40%)で低融点繊維材料が混合されることにより、繊維集合体2よりも繊維材料の密度が高く形成される。
即ち、遮断シート4は、低融点繊維材料の割合が多く混合され、その低融点繊維材料の鞘が溶融することにより、繊維集合体2よりも高い通気遮断性を備えるシートとして形成されると共に、ニードルパンチ法によって高融点繊維材料と低融点繊維材料とが密に絡み合うことにより、繊維集合体2よりも密度が高く、通気遮断性の高いシートとして形成される。
ここで、繊維材料の密度とは、単位体積あたりの高融点繊維材料および低融点繊維材料の繊維の本数(重量)であり、遮断シート4は、繊維材料の密度が繊維集合体2よりも高く形成されることにより、遮断シート4は繊維集合体2よりも硬く(弾性が低く)形成される。
次いで、図2(a)を参照して、金型5の全体構成について説明する。図2(a)は、載置工程および加熱工程で使用する金型5の断面図である。
図2(a)に示すように、金型5は、雌型50と、雄型51とを備え、金属材料(本実施の形態では、アルミニウム合金)から形成される。この金型5によって繊維シート2A,2Bを圧縮すると共に、後述する第1通風路51cから金型5の内部に熱風(100度〜200度)を送入することにより、シートパッド1が形成される。
雌型50は、金型5の下型を構成するものであり、略直方体状に形成され、上面側(図2上側の面)に略直方体状に凹設される凹状空間が形成されることにより、型締め時の金型5の内部における底面を形成する略矩形状の内部底面50aと、その内部底面50aの4辺から立設されると共に金型5の内部における側面を形成する内部側面50b1〜51b4とが形成される。
内部側面50b1〜50b4と内部底面50aとの接続部分には、円弧上に湾曲した連設面50cがそれぞれ形成され、この連設面50cには、後述する第3通風路50eが形成される。また、雌型50は、金型5の底面を形成する矩形状の底面50fと、その底面50fの4辺から立設されると共に、金型5の側面を形成する側面50gとを備える。
雄型51は、金型5の上型を構成するものであり、雌型50の凹状空間と嵌合可能に形成される凸設部51aが底面側(図2の下側の面)に形成されると共に、上面側(図2の上側の面)には、型締め時の金型5の上面を形成する上面51dが形成される。即ち、金型5を型締め時には、雌型50の凹状空間に雄型51の凸設部51aが嵌合することで略直方体状の内部空間が形成され、凸設部51aの先端面が金型5の内部空間における内部上面51bとして形成される。
内部底面50aには、その内部底面50aと底面50fとを連通する貫通孔として形成される複数の第2通風路50dが配設され、内部上面51bには、その内部上面51bと上面51dとを連通する貫通孔として形成される複数の第1通風路51cが配設される。また、連設面50cには、その連設面50cと底面50fおよび側面50gの連設部分とを連通する貫通孔として形成される複数の第3通風路50eが配設される。また、金型5の内部側面50b1〜50b4には、通風路が形成されない(通風路が非形成とされる)壁面として形成される。
次いで、図2(b)及び図3を参照して、シートパッド1の製造方法について説明する。図2(b)は、載置工程における被成形体1A及び金型5の断面図である。
シートパッド1の製造では、遮断シート4を形成する遮断シート形成工程と、繊維シート2A,2Bを形成する繊維シート形成工程と、後述する被成形体1Aを金型5の内部(雌型50の凹状空間)に載置する載置工程と、被成形体1Aが載置された金型5の内部に熱風を送入する加熱工程とが順に行われる。
遮断シート形成工程は、遮断シート4を形成する工程であり、上述した材料および製造方法によって遮断シート4を形成すると共に、所定の大きさに裁断する。また、繊維シート形成工程は、繊維集合体2の材料となる繊維シート2A,2Bを形成する工程であり、上述した材料および製造方法によって繊維シート2A,2Bを形成すると共に、所定の大きさに裁断し、帯状の繊維シート2Aと、複数枚の繊維シート2Bとを準備する。
図2(b)に示すように、載置工程は、遮断シート形成工程および繊維シート形成工程の後に行われる工程であり、遮断シート形成工程および繊維シート形成工程によって形成された遮断シート4及び繊維シート2A,2Bを、クッション体3と共に一体にして被成形体1Aとし、その被成形体1Aを金型5の内部(内部底面50a)に載置する。
具体的には、1枚の帯状に形成される繊維シート2Aの一端側を金型5の内部に(内部底面50aの全体を覆うように)配設し、その一端側の繊維シート2Aの上に、クッション体3を配設する。次いで、クッション体3を取り囲むように複数枚の繊維シート2Bを配設し、それら複数枚の繊維シート2Bの上に遮断シート4を配設する。
次いで、遮断シート4の上面(図2(b)の上側の面)に帯状の繊維シート2Aの他端側を被せつつ、その先端部分を繊維シート2Bと内部側面50b1との間に差し込む。この場合、クッション体3の第1通風路51c側の一の外面(後述する熱風が送入される側の面)に遮断シート4を配設すれば良いので、例えば、クッション体3をクッションケースで被包するための工程を省略できる。よって、シートパッド1の製造コストを低減することができる。
図3(a)は、加熱工程における金型5の断面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における金型5の断面図である。なお、理解を容易にするために、図3では、成形後のシートパッド1の符号を付して説明する。
図3に示すように、加熱工程は、載置工程の後に行われる工程であり、載置工程によって金型5の内部(内部底面50a)に載置された被成形体1Aを雄型51によって押圧しつつ型締めし、金型5の内部を密閉状態にする。次いで、金型5の内部に、加熱手段(本実施の形態では、送風機B)によって低融点繊維材料の融点以上かつ高融点繊維材料の融点以下の温度の熱風を送入し、繊維シート2A,2Bを溶融させることで繊維集合体2を形成する。
ここで、送風機Bは、上面51d側(即ち、雄型51を挟んで雌型50とは反対側。図3(a)の上側)に配設されると共に、第1通風路51cへ向けて(図3(a)の下側へ向けて)熱風を送風する姿勢で配設される。即ち、載置工程では、内部上面51b側(第1通風路51c側)のクッション体3と繊維シート2Aとの間に遮断シート4が配設される姿勢で被成形体1Aが金型5の内部に載置されるので、第1通風路51cに送入される熱風は、繊維シート2Aを通過し、遮断シート4に向けて送入される。
この場合、遮断シート形成工程では、内部上面51b側(第1通風路51c側)の被成形体1Aの外面視(図3(a)の上下方向上側からの方向視)において、クッション体3の全体が遮断シート4に覆われる大きさで遮断シート4を形成する。
また、載置工程では、内部上面51b側のクッション体3と繊維シート2Aとの間に遮断シート4を配設すると共に、内部上面51b側の被成形体1Aの外面視(図2(b)の上下方向上側からの外面視)において、クッション体3の全体が遮断シート4に覆われる姿勢で被成形体1Aを載置するので、第1通風路51cから金型5の内部に送入される熱風を遮断シート4によって遮断することができる。よって、熱風によってクッション体3が損傷することを抑制できる。
また、遮断シート形成工程では、遮断シート4を、一対の第3面22を形成する繊維シート2A,2Bの両端部に至る長さよりも短く形成すると共に、一対の第4面23を形成する繊維シート2A,2Bの両端部に至る長さで形成し、載置工程では、一対の内部側面50b1,50b3それぞれと遮断シート4とが離間した状態で遮断シート4を配設すると共に、一対の内部側面50b2,50b4それぞれと遮断シート4とが当接した状態で遮断シート4を配設する。
よって、載置工程において、一対の内部側面50b2,50b4それぞれと遮断シート4とを当接させつつ遮断シート4を配設することができるので、遮断シート4の配設位置の位置決めを容易に行うことができる。
また、遮断シート4は、一対の第4面23の両面に至る長さで形成されるので(図3(b)参照)、載置工程において、一対の内部側面50b2,50b4それぞれと遮断シート4とが当接した状態で遮断シート4を配設することにより、クッション体3へ送入される熱風を遮断シート4によってより確実に遮断することができる。
更に、遮断シート4を一対の第4面23の両面に至る長さで形成することにより、一対の第4面23側の繊維集合体2を形成する繊維シート2A,2Bへ送入される熱風を均一に遮断することができる。よって、一対の第4面23側の繊維集合体2を形成する繊維シート2A,2Bそれぞれを均一に溶融し、一対の第4面23側の繊維集合体2それぞれのクッション性を均一に形成できる。
ここで、遮断シート4によって熱風をより確実に遮断するため(遮断シート4の面積を極力大きく形成するため)に、第1通風路51c側の繊維集合体2の外面視(被成形体1Aの外面視。図3の上下方向上側からの外面視)において、遮断シート4を繊維集合体2(繊維シート2A,2B)と同じ面積で形成すると、遮断シート4と繊維集合体2(繊維シート2A,2B)とが単に積層される状態となる。
即ち、繊維集合体2の第3面22及び第4面23(被成形体1Aの内部側面50b1〜50b4側の面)の全体に遮断シート4と繊維集合体2(繊維シート2A,2B)との積層面が露出した状態となるため、加熱工程での溶着後に、遮断シート4と繊維集合体2との溶着面が剥がれやすくなり、シートパッド1の耐久性が低下する。
これに対して、本実施の形態では、遮断シート4は、一対の第3面22の両面に至る長さよりも短く形成されるので(図3(c)参照)、遮断シート4と繊維集合体2(繊維シート2A,2B)との溶着面を繊維集合体2(繊維シート2A,2B)の内方に配置し、溶着後の遮断シート4と繊維集合体2とが剥がれることを抑制することができる。また、帯状の繊維シート2Aを折り返し、クッション体3と遮断シート4とを繊維集合体2(繊維シート2A,2B)で巻き込んだ状態で成形することができるので、シートパッド1の耐久性を高めることができる。
また、例えば、遮断シートを繊維シート2A,2B(繊維集合体2)と異なる材料で形成した場合、遮断シートと繊維シート2A,2Bとの境界部分を溶着させることが困難であり、成形後に繊維集合体2と遮断シートとが擦れ合うことで異音が発生する。
これに対して、本実施の形態では、遮断シート4と繊維集合体2(繊維シート2A,2B)とを同じ材料(本実施の形態では、ポリエステル繊維)から形成するので、加熱工程での加熱処理によって、遮断シート4と繊維シート2A,2Bとが馴染んだ状態で溶着される。よって、シートパッド1の成形後に遮断シート4と繊維集合体2とが擦れ合うことによる異音の発生を抑制できる。
この場合、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)は、溶着後のクッション性を高めるために、高融点繊維材料の割合に比べ、低融点繊維材料の割合が小さく設定される(本実施の形態では、20%)。よって、繊維シート2A,2Bの通気遮断性は低く、この繊維シート2A,2Bと同じシートで遮断シートを形成すると、遮断シートによって熱風を遮断することが困難となる。
これに対して、本実施の形態では、遮断シート4は、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)に混合される低融点繊維材料の割合よりも大きい割合(本実施の形態では、40%)で低融点繊維材料が混合されるので、遮断シート4の形成時に、熱ローラで圧縮しつつ伸ばす(圧延する)ことにより、低融点繊維材料が溶融することにより、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)よりも通気遮断性の高いシートとすることができる。
更に、遮断シート4は、ニードルパンチ法によってニードルパンチ不織布として形成されるので、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが密に絡み合うことにより、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)よりも密度の高いシートとして形成される。よって、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)よりも通気遮断性の高いシートとすることができる。
この場合、遮断シート4の通気遮断性を高めると、遮断シート4と繊維シート2A,2Bとの境界に送入される熱風も減少するため、その境界部分(クッション体3が配設される側の遮断シート4の面と、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)との境界部分)での溶着力が低下する。
この場合に、遮断シート4と繊維集合体2(繊維シート2A,2B)との境界部分での溶着を促すために、繊維シート2A,2Bに混合される低融点繊維材料の割合を増加させると、加熱後の繊維集合体2の剛性が高まり、繊維集合体2(シートパッド1)のクッション性が損なわれる。
これに対して、本実施形態では、繊維集合体2(繊維シート2A,2B)に混合される低融点繊維材料の割合(本実施の形態では、20%)に対し、遮断シート4に混合される低融点繊維材料の割合(本実施の形態では、40%)が高く設定される。よって、遮断シート4に混合される低融点繊維材料によって、遮断シート4と繊維シート2A,2Bとの境界部分での溶着力を高めることができる。
即ち、遮断シート4と繊維シート2A,2Bとの境界部分での溶着を遮断シート4の低融点繊維材料に担わせることができるので、その分、繊維シート2A,2Bに混合される低融点繊維材料の割合を小さくすることができる。よって、シートパッド1(繊維集合体2)のクッション性を高めることができる。
また、遮断シート4の通気遮断性を高めると、クッション体3を挟んで遮断シート4とは反対側の繊維シート2A,2B(第1面20を形成する繊維シート2A,2B)に送入される熱風も減少するため、かかる繊維シート2A,2Bを溶融させることが困難となる。
この場合、本実施の形態では、加熱工程において、金型5及び送風機Bが、加熱炉として形成される加熱ユニット100内に配設される。加熱ユニット100は、熱処理ラインとして形成され、送風機Bが配設された加熱ユニット100内を金型5が通過する(本実施の形態では、図3(a)の紙面垂直方向に通過する)ことにより、加熱工程が行われる。
この加熱ユニット100は、加熱炉の内部の壁面として形成される壁面101を備え、この壁面101により、送風機Bと、第1通風路51cが形成される金型5の上面51dと、第2通風路50cが形成される金型5の底面50fと、一対の側面50gとが取り囲まれる。
また、本実施の形態では、金型5の上面視(図3(a)の上下方向上側からの上面視)において、金型5の進行方向(図3(a)の紙面垂直方向)における金型5の長さに対し、送風機Bの長さが短く形成されると共に、金型5の進行方向とは垂直な方向(図3(a)の左右方向)における金型5の長さに対し、送風機Bの長さが長く形成される。即ち、上面51dの一部の領域に熱風が送風されるので、第1通風路51cへ送入される熱風は、遮断シート4によって遮断され、熱風が送入されない領域の第1通風路51cから金型5の外部へ排出される。
これにより、一対の側面50gと壁面101との間を通して底面50f側の壁面101へ向けて送風される熱風は、対流によって第2通風路50c側へ上昇し、金型5の内部に送入される。この加熱ユニット100内を循環した熱風は、送風機Bから第1通風路51cに直接送風される熱風よりも温度が低いため、クッション体3が損傷することなく、第1面20を形成する繊維シート2A,2Bを溶融させることができる。
この場合、金型5の内部側面50b1〜50b4は、通風路が非形成とされる壁面として形成されるので、内部側面50b1〜50b4からは熱風が送入されない。よって、第3面22及び第4面23を形成する繊維シート2A,2Bを通して熱風がクッション体3に送入されることを抑制できる。よって、熱風によってクッション体3が損傷することなく、繊維シート2A,2Bを溶融させることができる。
ここで、内部側面50b1〜50b4を、通風路が非形成とされる壁面として形成した場合、第2通風路50dのみを形成するのでは、第3面22及び第4面23を形成する繊維シート2A,2Bへ送入される熱風が減少し、かかる繊維シート2A,2Bに溶着されない箇所が生じる場合がある。
これに対して、本実施の形態では、連設面50cに形成される第3通風路50eを備えるので、内部側面50b1〜50b4が、通風路が非形成とされる(内部側面50b1〜50b4からが熱風が送入されない)場合であっても、第3面22及び第4面23を形成する(内部側面50b1〜50b4側の)繊維シート2A,2Bに熱風を送入することができる。
この場合、第3通風路50eの金型5の外面側の開口は、底面50fおよび側面50gの連設部分に形成されるので、第3通風路50eには、送風機Bから直接送風される熱風に比べて、温度が低い熱風が送入される。よって、クッション体3を損傷させることなく、第3面22及び第4面23を形成する(内部側面50b1〜50b4側の)繊維シート2A,2Bを確実に溶融させることができる。
また、遮断シート4の通気遮断性を高めるために、遮断シート4に混合される低融点繊維材料の割合を高めることや、遮断シート4の繊維材料の密度を高めることにより、遮断シート4の剛性が高まる(硬くなる)。よって、遮断シート4を挟んでクッション体3とは反対側の繊維集合体2(第2面21を形成する繊維集合体2)の剛性も高まり、クッション性が低下する。それとは反対に、クッション体3を挟んで遮断シート4とは反対側の繊維集合体2(第1面20を形成する繊維集合体2)は、遮断シート4の剛性の影響を受けずに成形後も高いクッション性が維持される。
この場合、本実施の形態では、剛性が高まった第2面21側を装着面とすることでシートパッド1を装着対象に対して安定して装着することができると共に、よりクッション性の高い第1面20側を座面とすることができる。更に、第1面20側を座面とすることにより、遮断シート4を土台にしてクッション体3を座面側に配置することができる。よって、座面のクッション性を高めることができる。
尚、加熱工程の後、金型5を冷風に当てるなどして冷却する。これにより、溶融したポリエステル繊維が凝固し、繊維集合体2の形状が固定されるとともに、クッション体3にまで熱が伝わるのを防止することができる。以上の工程によって、クッション体3を変形、硬化させることなく繊維集合体2を成形(繊維シート2A,2Bを溶融)し、シートパッド1を製造することができる。
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態では、第1面20が座面とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2面21を座面として形成しても良い。ここで、クッション体3を挟んで遮断シート4とは反対側の繊維集合体2は、遮断シートの剛性の影響を受けずに高いクッション性が維持されるものの、第3面22および第4面23を形成する繊維集合体2とクッション体3の側面との接触面を境界にして、シートパッド1のクッション性が変化する。
この場合に、遮断シート4を挟んでクッション体3とは反対側の繊維集合体2(遮断シート4に溶着されて剛性が高まった繊維集合体2)を座面側に配置することで、第3面22および第4面23を形成する繊維集合体2とクッション体3の側面との接触面を境界にしたクッション性の相違を、第2面21によって吸収することができる。よって、座面のクッション性を均一にすることができる。
上記実施の形態では、遮断シート4が一対の第4面23の両面に至る長さで形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、一対の第4面23に両面に至る長さよりも短く形成しても良い。即ち、少なくともシートパッド1(被成形体1A)の1の外面視(熱風が送入される側からの外面視)において、クッション体3の全体が遮断シート4に覆われる大きさで形成すれば良く、その遮断シート4側に熱風が送入される態様で金型5に配置し、シートパッド1を形成すれば良い。
上記実施の形態では、遮断シート4を繊維集合体2と同じ材料(ポリエステル繊維)からニードルパンチ不織布として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。遮断シート4は、耐熱性、通気遮断性を備えるシートから形成すれば良く、例えば、綿または綿とポリエステルとの混合の織物でも良い。また、不織布に限らず、織物やフィルムであっても良い。
上記実施の形態では、クッション体3が、捲縮処理されたポリエステル繊維と、熱可塑性エラストマー及び非弾性ポリマーで形成されると共に、バインダーとして機能する弾性複合繊維とを三次元的に混合して成形された繊維構造体として形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、クッション体を紐状に形成された熱可塑性樹脂が三次元の網状に絡み合って形成されて弾性を有する繊維構造体や、ウレタンフォームから形成しても良い。
また、クッション体を、コイルスプリングの両端を金属線によって連結したものから形成しても良く、一本の鋼線から複数のコイルスプリングを一体に成形してもよい。また、コイルスプリングは、すべて同じ特性のものを使用する必要はなく、配置されるスプリングごとにばね定数を変更してもよい。更に、コイルスプリングは金属製である必要はなく、樹脂製であっても良い。
このようにクッション体が繊維構造体から形成されない場合であっても、一の外面視において、クッション体の全体が遮断シート4に覆われるように形成することにより、クッション体が損傷することを抑制することができる。
上記実施の形態では、加熱ユニット100は、熱処理ラインとして形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、金型5の全体(外面の全体)を取り囲む壁面を備える加熱炉を用いて加熱工程を行っても良い。
上記実施の形態では、金型5の上面視(図3(a)の上下方向上側からの上面視)において、金型5の進行方向(図3(a)の紙面垂直方向)における金型5の長さに対し、送風機Bの長さが短く形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、金型5の上面視において、金型5の進行方向における金型5の長さに対し、送風機Bの長さを長く形成しても良い。
この場合、金型5の上面視において、金型5と送風機Bとが一部重なる場合(即ち、金型5の上面視において、送風機Bが配設される領域に金型5が進入途中の場合または金型5が送風機Bが配設される領域から出ていく途中の場合)には、上記実施の形態と同様に、第1通風路51cへ送入される熱風は、遮断シート4によって遮断され、熱風が送入されない領域の第1通風路51cから金型5の外部へ排出される。
これにより、一対の側面50gと壁面101との間を通して底面50f側の壁面101へ向けて送風される熱風は、対流によって第2通風路50d側へ上昇し、第2通風路50dを通して金型5の内部に送入される。この加熱ユニット100内を循環した熱風は、送風機Bから第1通風路51cに直接送風される熱風よりも温度が低いため、クッション体3が損傷することなく、第1面20を形成する繊維シート2A,2Bを溶融させることができる。
また、金型5の上面視において、金型5の全体が送風機Bと重なる(覆われる)場合には、第1通風路51cから送入される熱風は、一部が遮断シート4を通過するものの、送風機Bから直接送風される熱風よりも温度が低くなった状態でクッション体3側へ送入されるので、クッション体3が損傷することを抑制できる。
この場合、一対の側面50gと壁面101との間を通して底面50f側の壁面101へ向けて送風される熱風は、加熱ユニット100内を循環することでその推力が弱まるため、第2通風路50d(特に、底面50fの中央寄り位置する第2通風路50d)よりも、第3通風路50eへ優先的に熱風が送入される。即ち、遮断シート4を通過した一部の熱風は、底面50fの中央寄りに位置する第2通風路50dを通して金型5の外部に排出される。
これにより、第1面20を形成する繊維シート2Aに対し、遮断シート4を通過して温度の下がった熱風を送風し、第3面22及び第4面23を形成する繊維シート2A,2Bに対し、加熱ユニット100内を循環して温度の下がった熱風を第3通風路50eを通して送風することができる。よって、クッション体3が損傷することなく、繊維シート2A,2Bを溶融させることができる。
このように、金型5、送風機B及び加熱ユニット100の形状や配設位置の関係によって熱風の対流の仕方に変化が生じるため、第1通風路51d、第2通風路50d及び第3通風路50eの形成位置は適宜設定すれば良い。
上記実施の形態では、シートパッド1が座面を形成するシートパッドとして形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、シートパッド1は、乗員の背もたれに装着されるシートパッドとして形成しても良く、その他クッション性が要求されるクッションとして使用することは当然可能である。