以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る運手支援システムについて説明する。なお、本実施形態では、当該運転支援システムが車両(具体的には、乗用車を想定し、以下、自車両と称す)に搭載される例について説明する。図1は、当該運転支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1において、運転支援システムは、運転支援ECU(Electrical Control Unit)1を備えている。この運転支援ECU1には、レーダ装置2と、カメラ3と、車速検出装置4と、操舵トルク検出装置5と、ACC(Active Cruise Control)メインスイッチ6と、LDW(Lane Departure Warning)メインスイッチ7と、電動パワーステアリング(Electric Power Steering、以下EPSと称す)8と、エンジンECU(Electrical Control Unit)9と、表示装置10と、音声出力装置11とが接続されている。
運転支援ECU1は、レーダ装置2、カメラ3、車速検出装置4、および操舵トルク検出装置5等から出力される情報を用いて、自車両に搭載されたEPS8、エンジンECU9、表示装置10および音声出力装置11を制御し、ドライバーの運転をサポートする。
具体的には、運転支援ECU1は、後述するレーダ装置2から取得した信号を用いて、自車両に対するターゲットの位置、速度、距離等のターゲット情報を算出する。例えば、運転支援ECU1は、レーダ装置2が照射した電磁波と受信した反射波との和および差や送受信タイミング等を用いて、各レーダ装置2に対するターゲットの相対距離、相対速度、および相対位置等をターゲット情報として算出する。そして、運転支援ECU1は、当該ターゲット情報に基づいて、自車両に搭載されたEPS8、エンジンECU9、表示装置10および音声出力装置11を制御し、ドライバーの運転をサポートする。
また、運転支援ECU1は、後述するカメラ3が撮像した画像を用いて、自車両の走行路面のレーンマーカー(区画線)を検出し、当該検出した区画線に基づいて、自車両に搭載されたEPS8、エンジンECU9、表示装置10および音声出力装置11を制御し、ドライバーの運転をサポートする。なお、運転支援ECU1は、請求項に記載の判断手段および表示制御手段の一例に相当する。
ここで、本実施形態に係る運転支援システムの運転支援ECU1が、自車両に搭載された各種装置からの情報に基づいて、当該自車両やドライバーに対して行うことのできる動作、つまり運転支援ECU1が、ドライバーの運転をサポートするために行う各種制御の具体例を示す。
運転支援ECU1は、レーダ装置2から得られる情報に基づいて、自車両と当該自車両の前方を走行している他車両との間の距離を一定に保つ制御を行う(以下、ACC(Active Cruise Control)制御と称す)。また、運転支援ECU1は、ACC制御中に自車両と当該自車両前方を走行している速度の遅い他車両とが接近し、自車両と当該他車両とが接触する可能性があると判断した場合、自車両のドライバーに対して表示装置10および音声出力装置11を介して警告を行ったり、エンジンECU9に指示し自車両のスピードを減速させたりする。
また、運転支援ECU1は、レーダ装置2から得られる情報に基づいて、物体(他車両や路側物など)と自車両とが衝突する危険があるか否かを判断したり、当該物体との衝突の危険性が高い場合に警報等によりドライバーに対して警告を行ったり、自車両に備わったブレーキ装置(図示せず)を制御してドライバーが行うブレーキ操作をアシストしたりする、いわゆる衝突回避制御を行う(以下、PCS(Pre-Clash Safety)制御と称す)。なお、運転支援ECU1が行うPCS制御には、当該運転支援ECU1が、当該物体と自車両との衝突は避けられないと判断した場合に、シートベルトを巻き取ったり、シートを駆動させたりすることにより、自車両の乗員の拘束性を高め、衝突被害を低減する、いわゆる衝突被害低減制御も行う。
なお、以下の説明において、上述したACC制御およびPCS制御の総称として衝突防止制御と称す。つまり、運転支援ECU1が、レーダ装置2から得られる情報(具体的には、自車両とレーダ装置2によって検出された物体との相対距離、相対速度、および相対位置)を用い、当該レーダ装置2によって検出されたターゲットと自車両とが衝突する可能性があるか否かを判断し、衝突する可能性がある場合、または衝突が避けられない場合に行う警告、警報、衝突回避制御、および衝突被害低減制御を行うACC制御およびPCS制御は、衝突防止制御の一例である。言い換えると、ターゲットと自車両とが衝突する可能性を判断して、然るべき措置を行うものであれば、衝突防止制御は、上記ACC制御および上記PCS制御に限られるものではない。
また、運転支援ECU1は、カメラ3によって検出された走行路面のレーンマーカー(右側区画線および左側区画線)に基づいて、ドライバーが意図せずに、自車両が当該自車両の走行すべき走行レーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)から逸脱すると判断した場合、自車両のドライバーに対して表示装置10および音声出力装置11を介して警告(以下、LDW(Lane Departure Warning)制御と称す)を行う。さらに、運転支援ECU1は、自車両が走行レーンを逸脱すると判断した場合、自車両のドライバーに対して警告を行うと共に、当該自車両が走行レーン内を走行するようにEPS8を制御してドライバーのハンドル操作の支援(以下、LKA(Lane keep Assist)制御と称す)を行う。
なお、以下の説明において、上述したLDW制御およびLKA制御等の総称として車線維持制御と称す。つまり、運転支援ECU1が、カメラ3から得られる情報(具体的には、カメラ3が撮像した自車両前方の撮像画像)を用い、自車両が区画線内を逸脱すると判断した場合、当該自車両が安全に走行レーン内を走行できるように、自車両および当該自車両のドライバーに対して行う、警告や警報、ハンドル操作の支援等は、LDW制御およびLKA制御は、車線維持制御の一例である。言い換えると、カメラ3が撮像した画像に基づいて、自車両が安全に走行レーン内を走行できるように然るべき措置を行うものであれば、車線維持制御は、上記LDW制御および上記LKA制御に限られるものではない。
さらに、運転支援ECU1は、車速検出装置4によって検出された自車両の走行速度に基づいて、自車両の走行速度が、予め設定された速度を超えそうな場合に、ドライバーに対して注意喚起を行ったり、自車両に備わったブレーキ装置(図示せず)を制御して、自動的に自車両の走行速度を減速させたりする(以下、ASL(Active Speed Limiter)制御と称す)。
なお、以下の説明において、上述したASL制御等の総称として車速制御と称す。つまり、運転支援ECU1が、車速検出装置4を用い、当該車速検出装置4によって検出された自車両の車速に基づいて、自車両の走行速度は、予め設定された車速を超えると判断した場合、ドライバーに対して注意喚起を行ったり、自動的に自車両の走行速度を減速させたりするASL制御は、車速制御の一例である。言い換えると、自車両の車速に基づいて、自車両の走行速度が、予め設定された車速を超えると判断した場合、然るべき措置を行うものであれば、車速制御は、上記ASL制御に限られるものではない。
このように、運転支援ECU1は、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御が当該運転支援ECU1によって実行されているとき、自車両のドライバーに対して警告等が必要であるか否か等を判断する(以下危険判断と称す)。そして、運転支援ECU1は、警告等が必要であると判断した場合(例えば、自車両と他車両とが衝突する可能性が高いと判断した場合等)、各種装置を制御して然るべき措置(ドライバーに対して警告や警報の報知、ハンドル操作の支援等)を行う。なお、運転支援ECU1が、各種装置を制御してドライバーに対して然るべき措置を行う動作を以下、安全措置と称す。
図1の説明に戻って、レーダ装置2は、自車両の所定の位置(例えば、前照灯や方向指示器などが搭載されている位置)に設置され、自車両の外側に向けて電磁波を照射し、自車両前方の周囲を監視している。具体的には、レーダ装置2は、自車両の前方の周囲に向けて電磁波を照射し、当該レーダ装置2の検出範囲内に存在するターゲット(他車両、自転車、歩行者、建造物など物体)を検出する。そして、レーダ装置2は、例えば、車両の前方および側方周囲に存在するターゲットを検出し、当該ターゲットを検出した信号を、運転支援ECU1に出力する。
カメラ3は、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラ等であり、車両の前方を撮像する。そして、カメラ3は、例えば、所定時間間隔で自車両の前方を撮像し、当該撮像した画像を運転支援ECU1に出力する。なお、カメラ3が設置される位置は、自車両の前方を撮像するため、当該自車両の進行方向に向けられており、運転の妨げにならない、例えばバックミラー裏側等に設置される。
車速検出装置4は、自車両が走行する際の車速を検出する。そして、車速検出装置4は、検出した車速を運転支援ECU1に出力する。また、操舵トルク検出装置5は、例えば、自車両のステアリングハンドルに接続されたステアリングロッドに取り付けられている。そして、操舵トルク検出装置5は、当該ステアリングハンドルに与えられた操舵トルクを検出し、当該検出した操舵トルクを運転支援ECU1に出力する。なお、レーダ装置2、カメラ3、および車速検出装置4は、請求項に記載の走行状況検出手段の一例に相当する。
ACCメインスイッチ6およびLDWメインスイッチ7は、上述したACC制御およびLDW制御を開始させるためのスイッチである。具体的には、ACCメインスイッチ6およびLDWメインスイッチ7は、自車両のドライバーが運転席に着席した状態で操作できる位置に設置される。そして、ドライバーが上記各スイッチをそれぞれ操作することにより、運転支援ECU1によって各制御がそれぞれ開始される。なお、ACCメインスイッチ6およびLDWメインスイッチ7は、一例であり、例えば、LKA制御など、他の制御を開始させるためのスイッチをそれぞれさらに備えてもよい。つまり、ドライバーが操作して、運転支援ECU1に対して、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の各種制御を開始または中止させることができるものであればよい。
EPS8は、ドライバーが行うハンドル操作を補助したり、自車両が走行レーンから逸脱する可能性が高い場合などに運転支援ECU1からの指示に従って自車両が区画線内の中央付近を走行するようにドライバーのハンドル操作を支援したりする。また、エンジンECU9は、自車両のエンジンを制御するための装置であり、運転支援ECU1からの指示に従って、自車両のエンジンのトルクを制御する。つまり、EPS8およびエンジンECU9は、自車両を動的に制御する装置である。なお、図1には、一例として、EPS8とエンジンECU9とを示したが、自車両を制御する装置は、これに限られるものではない。例えば、自車両を制御する装置は、当該自車両に備わったブレーキ装置等も含まれる。また、自車両と物体との衝突が避けられないと運転支援ECU1が判断した場合に、自車両の乗員の拘束性を高め、被害を低減するシートベルト装置、座席シート等も含まれる。
表示装置10は、各種情報をイラストや文字で自車両のドライバーに提供するものである。具体的には、上述したように、本実施形態に係る運転支援システムの運転支援ECU1は、自車両に搭載されたレーダ装置2、カメラ3および車速検出装置4から得られる情報に基づいて危険判断を行う。そして、本実施形態に係る運転支援システムの表示装置10は、運転支援ECU1が、安全措置が必要であると判断した場合に、ドライバーに対して注意喚起を促す表示や警告表示をするものである。例えば、運転支援ECU1が上記ACC制御を行っている場合、自車両と当該自車両前方を走行している速度の遅い他車両とが接近しそうであると判断した場合に、当該運転支援ECU1は、表示装置10によりドライバーに対して注意喚起を促す情報を提供する。なお、表示装置10に表示される注意喚起を促す表示や警告表示の詳細については後述する。
また、表示装置10は、自車両の運転席に着席して当該自車両を運転するドライバーから視認可能な位置(運転席前面の計器盤12の中)に設けられる、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)有機ELディスプレイなどの表示媒体である(図2参照)。また、表示装置10は、ハーフミラー(反射ガラス)を運転席前面のフロントガラスの一部に設け、当該ハーフミラーに情報等の虚像を蛍光表示するヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)等、他の表示装置であってもよい。これによって、自車両のドライバーは、運転席に着席し正面(走行方向)を向いたまま、表示装置10に表示された情報を確認することができる。
音声出力装置11は、各種情報を音声で自車両のドライバーに提供するものである。具体的には、表示装置10は、運転支援ECU1からの指示に応じた警告や情報をドライバーに報知する。また、音声出力装置11は、具体的には、自車両に備わっているスピーカー等である。
ここで、本実施形態に係る運転支援システムの表示装置10に表示される情報の一例について、図3〜図7を参照しつつ説明する。
図3〜図7は、表示装置10に表示される内容の一例を示した図である。なお、以下では、運転支援ECU1が、危険判断を行った結果、安全措置が必要である判断したときに表示される警告表示の表示態様ついて説明する。つまり、表示装置10には、警告表示以外の表示(平均燃費表示、外気温表示等)を行うことができるが、これについての説明は省略する。
図3と図4とは、運転支援ECU1が、衝突防止制御を行っていることを示す表示、および衝突防止制御をしている運転支援ECU1によって安全措置が必要であると判断されたときに表示される表示の一例を示した図である。具体的には、図3は、運転支援ECU1によってACC制御が行われているときに表示される表示の一例である。また、図4は、運転支援ECU1によってPCS制御が行われているときに表示される警告表示の一例である。以下、図3および図4のそれぞれについて、より具体的に説明する。
図3の(a)は、ACC制御が実行されていること、つまり、運転支援ECU1は、自車両と当該自車両前方を走行している速度の遅い他車両とが接近すると判断した場合、安全措置を行うことができることを示す表示である。
また、図3の(b)は、ACC制御が行われているときに表示される警告表示の一例であり、所定時間間隔で図3の(b)に示した表示が交互に表示される。具体的には、図3の(b)が表示される場面とは、運転支援ECU1が、危険判断を行った結果、自車両と当該自車両前方を走行している他車両とが接近し、自車両と当該他車両とが接触する可能性があると判断した場合である。これによって、ドライバーは、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があるかもしれないと認識し、ブレーキを踏むなどの操作をして危険回避を行う。なお、運転支援ECU1は、表示装置10に上記警告表示を表示するだけではなく、状況に応じて自車両に備わったブレーキ装置を制御して、ドライバーが行うブレーキ操作を支援してもよい。
次に、図4について説明する。図4は、PCS制御が行われているときに表示される警告表示の一例である。具体的には、図4が表示される場面とは、運転支援ECU1により、自車両と当該自車両前方の他車両や障害物(路側物、建物等)との衝突の危険性が高いと判断された場合である。これによって、ドライバーに対して危険回避操作を促す。なお、運転支援ECU1は、図4の警告表示をしている期間を通じて、ドライバーがブレーキ操作を行ったときにブレーキ装置を制御して、ブレーキ力の増強を行ってもよい。また、運転支援ECU1は、自車両と当該自車両前方の他車両や障害物との衝突が避けられないと判断した場合、図4の警告表示を行うと略同時に、ブレーキ装置を制御して自動的にブレーキをかけてもよい。
図5と図6は、運転支援ECU1が、車線維持制御を行っていることを示す表示、およびの車線維持制御をしている運転支援ECU1によって安全措置が必要であると判断されたときに表示される表示の一例を示した図である。具体的には、図5は、運転支援ECU1によってLDW制御が行われているときに表示される表示の一例である。また、図6は、運転支援ECU1によってLKA制御が行われているときに表示される表示の一例である。以下、図5および図6のそれぞれについて、より具体的に説明する。
図5は、LDW制御が実行されていることを示す表示の一例である。図5に示すように、表示装置10に白線を模した画像が表示(図5に示した白線表示)されることによって、ドライバーは、LDW制御が行われていること、つまり運転支援ECU1によって危険判断が行われていることを認識することができる。また、運転支援ECU1は、自車両が走行レーン内から逸脱すると判断した場合、例えば、図5に示した白線を模した画像を点滅させたり、白線を模した画像の色彩を変更したりして、ドライバーに対して注意喚起を行う。
図6は、LKA制御が実行されていることを示す表示の一例である。図6に示すように、LKA制御が行われている場合には、図5に示した白線を模した表示に加えてハンドルを模した画像が表示される。これによって、ドライバーは、LKA制御が行われていることを視認することができる。また、運転支援ECU1は、自車両が走行レーン内から逸脱すると判断した場合、例えば、図5に示した白線を模した画像を点滅させたり、白線を模した画像の色彩を変更したりして、ドライバーに対して注意喚起を行とともに、ドライバーのハンドル操作を支援する。
図7は、車速制御をしている運転支援ECU1によって自車両の走行速度が予め設定された速度を超えると判断された場合に表示される警告表示の一例である。例えば、高速道路を走行するためにASL制御の設定速度を80km/hに設定した場合を想定する。このような場合において、運転支援ECU1が、自車両の走行速度が80km/hに達すると判断した場合に、図7に示す警告表示がされ、ドライバーに事前に注意を促す。具体的には、図7に示すように、所定時間間隔で警告を示す文字の色が反転して表示される。
なお、図3〜図7に示した表示は、モノクロ表示でもカラー表示であってもよい。また、説明は省略したが、運転支援ECU1は、上述した図3〜図7の警告表示と併せて、音声出力装置11を制御して音によって報知を行ってもよい。
ところで、上述した衝突防止制御、車線維持制御、車速制御は、複数並行して行われることがある。例えば、自車両と当該自車両前方を走行している他車両との間の距離を一定に保つ制御(ACC制御)を行いながら、さらに、自車両が走行レーン内から逸脱しないようにドライバーのハンドル操作の支援(LKA制御)を行う、といったように複数の制御が並行して行われることがある。
このような場合、例えば、運転支援ECU1によって、自車両と当該自車両前方を走行している他車両とが接触する可能性があり、かつ自車両が走行レーン内から逸脱すると判断された場合、表示装置10には、上述したようにACC制御のときの警告表示(図3の(b)参照)とLKA制御のときの警告表示(図4参照)とが同時に表示されることになる。本実施形態に係る運転支援システムの運転支援ECU1は、同時に複数の警告表示を行う際に、当該各警告の重要性(仮に、求められた警告に対して対処しなかった場合における被害の重大性など)と緊急性(警告表示がされた後に、例えば実際に自車両前方の他車に接触するまでの時間など)とに応じて、表示装置10に表示する警告表示を適宜変更することができるようになっている。
以下、図8〜図11を参照して、運転支援ECU1が行う動作の一例について説明する。図8は、本実施形態に係る運転支援システムの運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートである。図8〜図11に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図8〜図11に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援システムが搭載された車両のイグニッションスイッチがON)されることによって開始される。また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援システムが搭載された車両のイグニッションスイッチがOFF)されることによって終了される。
ステップS81において、運転支援ECU1は、当該運転支援ECU1によって衝突防止制御が実行されているか否かを判断する。そして、当該ステップS81での判断結果が肯定である場合(YES)、運転支援ECU1は、次のステップS82に処理を進める。そして、運転支援ECU1は、後の処理で、実際に衝突防止制御における安全措置をするか否かの判断基準となる情報(自車両前方を走行している他車両等に関する情報)を、次のステップでの処理において、ターゲット情報として生成する。一方、当該ステップS81での判断結果が否定である場合(NO)、運転支援ECU1は、ステップS84に処理を進める。なお、当該フローチャートの処理において、当該ステップでの判断は必ずしも必要ない。例えば常時PCS制御が実行中であってもよいし、ACCメインスイッチ6が押下されている場合には、ACC制御も実行されればよい。
ステップS82において、運転支援ECU1は、ターゲット情報を生成する。以下、図9を用いて、運転支援ECU1が、ステップS82において行うターゲット情報を生成する処理について説明する。
図9は、図8のステップS82で、運転支援ECU1が行う、ターゲット情報を生成する処理の一例を示すフローチャートである。
図9のステップS91において、運転支援ECU1は、レーダ装置2からターゲットを検出した信号を取得し、次のステップS92に処理を進める。なお、レーダ装置2がターゲットを検出しなかった場合(具体的には、自車両周辺にターゲットが存在しなかった場合)、当該レーダ装置2は、ターゲットは無しであることを示す情報を運転支援ECU1に出力する。
ステップS92において、運転支援ECU1は、レーダ装置2から取得した信号を用いて、検出したターゲットのターゲット情報を生成する。具体的には、運転支援ECU1は、レーダ装置2からの信号を用いて、自車両に対するターゲットの相対距離、相対速度、および相対位置を算出する。また、運転支援ECU1は、上記相対距離を上記相対速度で除算することによって得られる衝突予測時間(以下、単にTTC(Time to collision)と称す)を算出する。つまり、図9に示したフローチャートの処理では、運転支援ECU1は、レーダ装置2が検出したターゲット(他車両や路側物など)と自車両とが衝突の可能性があるか否かの判断をするときの基準となる情報を生成する。そして、運転支援ECU1は、図9のステップS92の処理の後、図8のステップS83に処理を進める。
図8に戻って、ステップS83において、運転支援ECU1は、当該運転支援ECU1によって車線維持制御が実行されているか否かを判断する。そして、当該ステップS83での判断結果が肯定である場合(YES)、運転支援ECU1は、次のステップS84に処理を進める。そして、運転支援ECU1は、後の処理で、実際に車線維持制御における安全措置をするか否かの判断基準となる自車両位置情報を、次のステップの処理において算出する。一方、ステップS83での判断結果が否定である場合(NO)、運転支援ECU1は、ステップS85に処理を進める。なお、運転支援ECU1は、例えば、LDWメインスイッチ7が押下されている、または図示しないLKAスイッチが押下されている場合に、車線維持制御が実行中であると判断することになる。
次に、ステップS84において、運転支援ECU1は、自車両位置情報を生成する。以下、図10を用いて、運転支援ECU1が、ステップS84において行う自車両位置情報を算出する処理について説明する。
図10は、図8のステップS84で、運転支援ECU1が行う、自車両位置情報を算出する処理の一例を示すフローチャートである。また、図12は、図10に示したフローチャートの処理を説明するための図である。
図10のステップS101において、運転支援ECU1は、カメラ3からカメラ画像を取得する。具体的には、運転支援ECU1は、カメラ3によって撮像された車両前方の画像を当該カメラ3から取得する。そして、運転支援ECU1は、次のステップS102に処理を進める。
ステップS102において、運転支援ECU1は、白線を検出する。具体的には、運転支援ECU1は、上記ステップS101で取得した画像(車両前方の走行路面の画像)について、エッジ点を抽出する処理などを施すことにより、右側白線Rおよび左側白線L(つまり、自車両が走行している車線の両側に引かれた区画線)を検出する。そして、運転支援ECU1は、次のステップS103に処理を進める。
ステップS103において、運転支援ECU1は、上記ステップS102で検出した右側白線Rと左側白線Lとから車線幅Wを求める。そして、運転支援ECU1は、当該車線幅Wから自車両が走行するときの目標軌道となる、仮想的な中央線Cを設定する(図12参照)。その後、運転支援ECU1は、次のステップS104に処理を進める。
ステップS104において、運転支援ECU1は、上記ステップS103で設定した中央線Cと自車両とのズレ幅Dを算出する。そして、運転支援ECU1は、次のステップS105に処理を進める。
なお、ステップS104の処理の一例として、図12に示すように、運転支援ECU1は、自車両の重心Gから車幅方向に引いた線と中央線Cと交わる点Pを求める。さらに、運転支援ECU1は、上記重心Gから上記点Pまでの距離を横方向のズレ幅Dとして算出する。つまり、横方向のズレ幅Dとは、区画線で区切られた道路の中央を走行している場合を基準として、右側または左側にどれだけ寄って走行しているかを示す値である。言い換えれば、例えば、図12に示すように、中央線Cを基準としてズレ幅Dが右に大きくなればなるほど、区画線で区切られた道路の右側を走行(対向車線側に寄って走行)していることになる。
ステップS105において、運転支援ECU1は、自車両の進行方向の右側の路側帯の幅LSr(以下、右側路側帯の幅LSrと称す)および自車両の進行方向の左側の路側帯の幅LSl(以下、左側路側帯の幅LSlと称す)を算出する。なお、以下の説明において、右側路側帯の幅LSrと左側路側帯の幅LSlとを特に区別する場合を除き、右側路側帯の幅LSrまたは左側路側帯の幅LSlを単に路側帯の幅LSと称す。つまり、以下の説明において、路側帯の幅LSとは、右側路側帯の幅LSrまたは左側路側帯の幅LSlを示すものとする。
ここで、路側帯の幅LSとは、図12に示すように、例えば、自車両の進行方向の右側を例に説明すると、自車両が走行している車線の右隅から右側白線Rまでの間の距離のことである。なお、車線の右隅とは図12に示す線RRのことであり、実際の走行路面において、線RRに相当するものとして、ガードレール、中央分離帯等が考えられる(線LLについても同様の考え方)。
また、ステップS105において、路側帯の幅LSは、線RRおよび線LLを検出することにより算出することができる。なお、線RRおよび線LLを検出する方法は、公知技術を用いることにより実現可能であるが、一例として、運転支援ECU1は、上記ステップS101で取得した画像において、右側白線Rおよび左側白線Lよりも外側(つまり、自車両からみて右側白線Rおよび左側白線Lよりも遠方)の領域について、エッジ点を抽出する処理などを施すことにより、線RRおよび線LLを検出すればよい。
図8に戻って、ステップS85において、運転支援ECU1は、車速制御を実行するか否か、つまり、車速制御を開始して危険判断を行うか否かを判断する。そして、当該ステップS85での判断結果が肯定である場合(YES)、運転支援ECU1は、次のステップS86に処理を進める。そして、運転支援ECU1は、後の処理で、実際に車速制御における安全措置をするか否かの判断基準となる自車両の走行速度を、次のステップの処理において算出する。一方、ステップS85での判断結果が否定である場合(NO)、運転支援ECU1は、ステップS87に処理を進める。なお、当該フローチャートの処理において、当該ステップでの判断(車速制御を行うか否かの判断)は、例えば、自車両のドライバーが、車速制御を行うために、予め速度を設定していた場合に肯定される。
このように、運転支援ECU1は、上記ステップS82、上記ステップS84、および上記ステップS86の処理によって、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御のそれぞれの危険判断における判断基準となる各種値を取得する。そして、運転支援ECU1は、ステップS87以降の処理において、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の中で実行中の制御における危険判断の結果、安全措置が必要であるか否かを判断し、安全措置が必要であると判断した場合には、自車両に対して、後述する安全措置を行う。なお、以下の説明では、運転支援ECU1が、安全措置が必要であると判断した場合に行う動作(ブレーキ支援、警告表示、音声警告等)のうち、表示装置10を介して行われる警告表示について詳細に説明する。
図8の説明に戻って、ステップS87において、運転支援ECU1は、安全措置は必要であるか否かを、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の中で実行中の制御のそれぞれについて判断する。
具体的には、運転支援ECU1は、以下の基準に従って、安全措置が必要であるか否かを判断する。
衝突防止制御における安全措置が必要であると判断される場合:「上記ステップS92で生成したターゲット情報に基づいて、TTCが閾値T3以下である場合」
車線維持制御における安全措置が必要であると判断される場合:「自車両が右側白線Rまたは左側白線Lから逸脱する場合、具体的には、自車両の前輪が右側白線Rまたは左側白線Lを踏んだ場合」
車速制御における安全措置が必要であると判断される場合:「自車両の走行速度が予め設定された速度を超える場合」
である。
なお、自車両の前輪が右側白線Rまたは左側白線Lを踏んだか否かは、上述した処理で検出された右側白線Rおよび左側白線Lと、上述した処理で算出された自車両が走行している走行路面の自車両とのズレ幅D、および既知である自車両における当該自車両の前輪タイヤの位置などに基づいて判断すればよい。
ステップS87において、運転支援ECU1は、上述した基準に従ってそれぞれ判断した結果、少なくとも1つの安全措置が必要である(安全措置が必要であると判断された制御が少なくとも1つある)と判断した場合、当該判断を肯定する(YES)。一方、運転支援ECU1は、上述した基準に従ってそれぞれ判断した結果、各制御において安全措置は必要ではない、つまり、自車両は走行レーン内を設定速度以下で走行しており、他車両との衝突の危険性はないと判断した場合である。この場合、運転支援ECU1は、ステップS811に処理を進める。
ステップS88において、運転支援ECU1は、安全措置が必要であると判断された制御が1つであるか否かを判断する。具体的には、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の何れか1つの制御における安全措置が必要(安全措置が必要であると判断された制御が1つだけ)であると判断された場合、当該ステップでの処理は肯定(YES)される。そして、次のステップS810において、運転支援ECU1は、必要な制御についてのみ、表示装置10を介して警告を行う。
より具体的に説明すると、例えば、運転支援ECU1によって、衝突防止制御についてのみ安全措置が必要であると判断された場合、つまり、自車両は走行レーン内を設定速度以下で走行してはいるが、他車両や路側物や建物などとの衝突の危険性がある場合、運転支援ECU1は、表示装置10を介して、図4の(b)に示した表示を行う。
また、運転支援ECU1によって、車線維持制御についてのみ安全措置が必要であると判断された場合、つまり、自車両は設定速度以下で走行し、路側物や建物との衝突の危険性はないものの、走行レーンから逸脱すると判断した場合、運転支援ECU1は、表示装置10を介して、図5または図6に示した表示を行う。
また、運転支援ECU1によって、車速制御についてのみ安全措置が必要であると判断された場合、つまり、運転支援ECU1は、自車両は走行レーン内を走行し、路側物や建物との衝突の危険性はないものの、設定速度を超えると判断した場合、運転支援ECU1は、表示装置10を介して、図7に示した表示を行う。
一方、ステップS88において、運転支援ECU1は、判断を否定した場合(NO)、つまり、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の中で実行中の制御について、安全措置が必要と判断された制御が2つ以上であると判断した場合、次のステップS89に処理を進める。そして、ステップS89において、運転支援ECU1は、各制御の安全措置について、重要性と緊急性とを比較して、表示装置10に表示する警告表示を適宜変更する処理を行う。
以下、図11を用いて、運転支援ECU1が、ステップS89において行う表示制御の処理について説明する。なお、図11の処理は、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御についての安全措置が何れか2つ必要であると判断された場合を想定して説明する。なお、上記ステップS810の処理において、衝突防止制御、車線維持制御、および車速制御の全てが必要であると判断される場合がある。このような場合、運転支援ECU1は、仮に、求められた警告に対して対処しなかった場合における被害の重大性を鑑みて、実際に必要な制御は、衝突防止制御と車線維持制御とであると判断すればよい。
図11は、図8のステップS810で、運転支援ECU1が行う表示制御の処理の一例を示したフローチャートである。
ステップS111において、運転支援ECU1は、実際に必要な安全措置は、衝突防止制御と車線維持制御とについての安全措置であるか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)、ステップS112以降の処理において、TTCと路側帯の幅LSに応じて、表示装置10に表示する注意喚起や警告の表示態様を変化させる。一方、運転支援ECU1は、判断を否定した場合(NO)、ステップS119に処理を進める。
なお、当該ステップでの処理が肯定される場合とは、具体的には、衝突防止制御と車線維持制御が実行されている状況で、自車両は設定速度以下で走行してはいるが、他車両や路側物や建物などとの衝突の危険性があり、かつ自車両が走行車線から逸脱する場合である。つまり、衝突防止制御(ACC制御またはPCS制御)と車線維持制御(LDW制御またはLKA制御)とのそれぞれにおける危険判断(各制御が実行されているときに、当該各制御における安全措置が必要であるとの判断)の結果、安全措置が必要であると判断された場合である。なお、以下では、ACC制御とLKA制御とが実行されており、それぞれの制御について安全措置が必要と判断され、ACC制御のときの警告表示とLKA制御のときの警告表示とが同時に要求された場合を想定して、図13を参照しつつ説明する。
ステップS112において、運転支援ECU1は、TTCは閾値T2を超えている(TTC>T2)、かつ路側帯の幅LSは閾値L2を超えているか(LS>L2)否かを判断する。具体的には、当該ステップでの判断が肯定される場合とは、例えば、TTCは閾値T2を超えており、自車両の前輪タイヤが右側白線Rを踏んでいる(自車両は右側白線から逸脱しそうである)ときに、自車両右側の路側帯の幅LSrは閾値L2を超えている場合である。同様に、例えば、TTCは閾値T2を超えており、自車両の前輪タイヤが左側白線Lを踏んでいる(自車両は左側白線から逸脱しそうである)ときに、自車両左側の路側帯LSlの幅は閾値L2を超えている場合である。
なお、閾値T2と上述した閾値T3との大小関係は、閾値T2<閾値T3である。つまり、閾値T2の方が、閾値T3に比べて、衝突するまでの時間は短い。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS113に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS114に処理を進める。
ステップS113において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンAを表示させる。なお、以下の説明に示す表示は、LKA制御が実行されていることを想定して説明する。図13に示すように、表示パターンAでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを示す表示と、走行車線から逸脱することを示す表示とが表示される。これによって、自車両のドライバーに対して、自車両前方を走行している他車両と接近しており、走行車線から逸脱している旨の注意喚起を行い、安全な走行をするように促すことができる。
ステップS114において、運転支援ECU1は、TTCは閾値T1以下であるか(TTC≦T1)否かを判断する。なお、閾値T1と、上述した閾値T2および閾値T3との大小関係は、閾値T1<閾値T2<閾値T3である。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS115に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS116に処理を進める。なお、閾値T1は請求項に記載の第1の閾値の一例に、閾値T2は請求項に記載の第2の閾値の一例にそれぞれ相当する。
ステップS115において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンBを表示させる。図13に示すように、表示パターンBでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを強調する表示がされる。
ここで、表示パターンBが表示される場面とは、自車両前方を走行している他車両と衝突の危険性(接触する危険性)が、表示パターンA、表示パターンC、表示パターンDが表示される状況に比べて非常に高い場合である。このような状況においては、重要性および緊急性の観点から、走行車線から逸脱しそうであることを示す表示より、自車両前方を走行している他車両との衝突の可能性が非常に高いことを示す表示の方が重要である。そのため、ドライバーに対して、他車両と衝突の危険性が非常に高いことが一見してすぐに分かるような警告にして、早急に対処するように促す必要がある。したがって、運転支援ECU1は、表示装置10を介して、重要性および緊急性の観点から、表示パターンBのような衝突の危険のみを警告する表示を行う。具体的には、他の警告表示を消し、表示パターンBのような衝突の危険のみを警告する表示を行う。なお、表示パターンAや表示パターンCにおいても、他車両と衝突の危険性があることを示す表示がされるが、表示パターンBでは、例えば、当該表示パターンBに示した車両のイラストを、表示パターンAや表示パターンCと異なる色(例えば警戒色である赤色)に変更したり、点滅させたりする。
ステップS116において、運転支援ECU1は、路側帯の幅LSは閾値L1以下であるか(LS≦L1)否かを判断する。なお、閾値L1と、上述した閾値L2との大小関係は、閾値L1<閾値L2である。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS117に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS118に処理を進める。なお、閾値L1は、請求項に記載の第3の閾値の一例に、閾値L2は、第4の閾値の一例にそれぞれ相当する。
ステップS117において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンCを表示させる。図13に示すように、表示パターンCでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接近しそうであることを示す表示と、走行車線から逸脱しそうであることを示す表示とが表示される。これによって、自車両のドライバーに対して、自車両前方を走行している他車両と接近しそうであり、走行車線から逸脱しそうであることの注意喚起を行い、安全な走行をするように促すことができる。なお、上述した表示パターンAも自車両前方を走行している他車両と接近しそうであり、走行車線から逸脱しそうである場合に表示される。しかし、表示パターンAが表示される状況と上記表示パターンCが表示される状況とでは、表示パターンCが表示される状況の方が危険性の度合いが高い。
ここで、表示パターンCが表示される状況を具体的に説明すると、以下の1〜3の状況が考えられる。
1:TTC>T2、かつL1<LS≦L2
2:T1<TTC≦T2、かつLS>L2
3:T1<TTC≦T2、かつL1<LS≦L2
である。
上記1の状況は、他車両との衝突の危険性は、表示パターンAが表示される状況と変わりはないが、路側帯の幅LSは、表示パターンAが表示される状況に比べて狭い状況である。つまり、上記1の状況は、単に自車両が走行車線から逸脱する、といっただけではなく、仮に自車両が走行車線から逸脱した場合、表示パターンAが表示される状況と比べてガードレールや中央分離帯等に接触する可能性が高いということである。この場合、運転支援ECU1は、表示装置10には、他車両と衝突する可能性があることを示す表示より、走行車線から逸脱することを示す表示の方を強調(表示装置10に表示された白線を模した画像を点滅させたり、表示パターンAでは行わなかったように、白線を模した画像の拡大と縮小とを交互に行ったり、表示パターンAとは異なるように、白線を模した画像の色彩および色彩の濃淡を変更)する。
一方、上記2の状況は、自車両が走行車線から逸脱した後に路側帯に接触する危険性は、表示パターンAが表示される状況と変わりはないが、表示パターンAが表示される状況に比べて、TTCが短い状況である。この場合、運転支援ECU1は、表示装置10には、走行車線から逸脱することを示す表示より、他車両と接近しそうであることを示す表示の方を強調(表示装置10に表示された車両を模した画像を点滅させたり、表示パターンAでは行わなかったように、車両を模した画像の表示の拡大と縮小とを交互に行ったり、表示パターンAとは異なるように、車両を模した画像の色彩および色彩の濃淡を変更)する。
また、上記3の状況は、他車両との衝突の危険性と自車両が走行車線から逸脱する危険性(仮に走行車線から逸脱した場合、ガードレールや中央分離帯等に接触する可能性)とが、ともに表示パターンAが表示される状況に比べて高い場合である。この場合、運転支援ECU1は、表示装置10には、他車両と衝突する可能性があることを示す表示、走行車線から逸脱することを示す表示ともに、表示パターンAに比べて、強調(表示パターンAでは行わなかったように、表示装置10に表示された車両を模した画像および白線を模した画像を点滅させたり、表示の拡大と縮小とを交互に行ったり、色彩および色彩の濃淡を変更)する。
図11の説明に戻って、ステップS116において、運転支援ECU1は、LSは閾値L1以下であるか(LS≦L1)否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS117に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS118に処理を進める。
ステップS118において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンDを表示させる。ここで、表示パターンDが表示される状況とは、仮に自車両が走行車線から逸脱した場合、ガードレールや中央分離帯等に接触する可能性が、表示パターンAや表示パターンCが表示される場合と比べて、高い場合である。つまり、路側帯の幅が非常に狭く、仮に自車両が走行車線から逸脱した場合、すぐにガードレールや中央分離帯等に接触してしまう場合である。したがって、表示パターンDでは表示装置10には、走行車線から逸脱することを示す表示を、表示パターンCの表示と比べて、強調(表示装置10に表示された白線を示す表示を点滅させたり、表示の拡大と縮小とを交互に行ったり、例えば、表示パターンCでは、白線の色が白であった場合、赤色に色彩を変更)する。
なお、上述した例では、ACC制御とLKA制御とが実行されており、それぞれの制御について危険判断がされ、ACC制御のときの警告表示とLKA制御のときの警告表示とが同時に要求された場合を想定して説明したが、これに限られるものではない。つまり、衝突防止制御と車線維持制御とにおいて危険判断がなされる場面は、PCS制御とLDW制御とが実行されている場合もあるうる。この場合、図14に示すように、上記ステップS112〜上記ステップS118と同様の考え方で表示を変更することができる。さらに、図示は省略するが、衝突防止制御と車線維持制御とにおいて危険判断がなされる場面は、PCS制御とLKA制御とが実行されている場合もあるうる。この場合も同様の考え方で表示を変更すればよい。
次に、ステップS111において、運転支援ECU1は、必要な制御は衝突防止制御と車線維持制御とではない(NO)と判断した場合の次のステップS119の処理について説明する。
ステップS119において、運転支援ECU1は、実際に必要な制御は、衝突防止制御と車速制御とであるか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)、ステップS120以降の処理において、TTCと自車両の走行速度とに応じて、表示装置10に表示する注意喚起や警告の表示態様を変化させる。一方、運転支援ECU1は、判断を否定した場合(NO)、ステップS125に処理を進める。
なお、当該ステップでの処理が肯定される場合とは、具体的には、自車両は走行レーン内を走行してはいるが、設定速度を超える、他車両との衝突の危険性がある場合である。つまり、衝突防止制御(ACC制御またはPCS制御)と車速制御(ASL制御)とにおける危険判断の結果、安全措置が必要と判断された場合である。なお、以下では、ACC制御とASL制御とが実行されており、それぞれの制御について危険判断がされ、ACC制御のときの警告表示とASL制御のときの警告表示とが同時に要求された場合を想定して、図15を参照しつつ説明する。
ステップS120において、運転支援ECU1は、TTCは閾値T2を超えているか(TTC>T2)否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS121に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS122に処理を進める。
ステップS121において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンEを表示させる。図15に示すように、表示パターンEでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを示す表示と、予め設定された速度を超えている(図15に示した例では80km/h)ことを示す表示とが表示される。これによって、自車両のドライバーに対して、例えば、速度が出すぎている、自車両前方を走行している他車両と接近しており、当該他車両と接触する可能性があることを知ることができ、安全な走行をするように促す。
ステップS122において、運転支援ECU1は、TTCは閾値T1以下であるか(TTC≦T1)否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS123に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS124に処理を進める。
ステップS123において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンGを表示させる。図13に示すように、表示パターンGでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを強調する表示がされる。
ここで、表示パターンGが表示される場面とは、自車両前方を走行している他車両と衝突の危険性が、表示パターンEや表示パターンFが表示される状況と比べて、非常に高い場合である。このような状況においては、重要性および緊急性の観点から、予め設定された速度を超えていることより、自車両前方を走行している他車両と衝突してしまう方が、被害の重大性は大きい。そのため、他車両と衝突の危険性が非常に高いことが一見してすぐに分かるような警告にして、早急に対処するように促す必要がある。したがって、運転支援ECU1は、表示装置10を介して、重要性および緊急性の観点から、表示パターンGのような表示を行う。具体的には、他の警告表示を消し、表示パターンGのような衝突の危険のみを警告する表示を行う。なお、表示パターンEや表示パターンFにおいても、他車両と衝突の危険性があることを示す表示がされるが、表示パターンGでは、例えば、当該表示パターンGに示した車両のイラストを警戒色である赤色に変更したり、点滅させたりする。
一方、ステップS124において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンFを表示させる。図15に示すように、表示パターンFでは表示装置10には、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを示す表示と、予め設定された速度を超えていることを示す表示とが表示される。なお、表示パターンFが表示される状況とは、具体的には、表示パターンGが表示される程(他車両と衝突の危険性が非常に高い)ではないが、表示パターンEが表示される場面に比べれば、他車両と衝突の危険性が高い場面である。この場合、図15に示すように、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを示す表示と、予め設定された速度を超えていることを示す表示とをするが、当該予め設定された速度を超えていることを示す表示を小さく表示する。つまり、予め設定された速度を超えていることを示す表示より、自車両前方を走行している他車両と接触する可能性があることを示す表示の方が目立つようにする(例えば、表示パターンFに比べて車両を模した画像の大きさを大きく変更したり、表示パターンFでは行わなかった車両を模した画像の色彩、当該色彩の濃淡の変更したりする)。
なお、上述した例では、ACC制御とASL制御とが実行されており、それぞれの制御について危険判断がされ、ACC制御のときの警告表示とASL制御のときの警告表示とが同時に要求された場合を想定して説明したが、これに限られるものではない。つまり、図示は省略したが、衝突防止制御と車速制御とにおいて危険判断がなされる場面は、PCS制御とASL制御とが実行されている場合もあるうる。この場合、上記ステップS120〜上記ステップS124と同様の考え方で表示を変更することができる。
上記ステップS119で判断が否定された次の処理、つまり、実際に必要な制御は、車線維持制御と車速制御とであった場合の次の処理において、運転支援ECU1は、運転支援ECU1は、路側帯の幅LSは、閾値L2を超えているか(LS>L2)否かを判断する(ステップS125)。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS126に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS127に処理を進める。
ステップS121において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンHを表示させる。図16に示すように、表示パターンHでは表示装置10には、走行車線から逸脱することを示す表示と、予め設定された速度を超えていることを示す表示とが表示される。これによって、自車両のドライバーに対して、走行車線から逸脱し、また、速度が出すぎていることの注意喚起を行い、安全な走行をするように促す。
ステップS127において、運転支援ECU1は、路側帯の幅LSは閾値L1以下であるか(LS≦L1)否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、判断を肯定した場合(YES)は、ステップS128に処理を進め、判断を否定した場合(NO)、ステップS129に処理を進める。
ステップS128において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンIを表示させる。図16に示すように、表示パターンIでは表示装置10には、走行車線から逸脱することを強調する表示がされる。一例として、白線表示を点滅させたり、表示の拡大と縮小とを交互に行ったり、色彩を変更(より具体的には、例えば、一見して危険であることがわかるように警戒色である赤色に変更)する。
一方、ステップS129において、運転支援ECU1は、表示装置10を制御して、表示パターンJを表示させる。図16に示すように、表示パターンJでは表示装置10には、自車両が走行車線から逸脱することを示す表示と、予め設定された速度を超えていることを示す表示とが表示される。
なお、運転支援ECU1は、上述した表示パターンA〜表示パターンJの各表示を行った後、図8のステップS812の処理に進める。また、上述した表示パターンA〜表示パターンJの各表示は、例えば、ドライバーがブレーキ操作を行った場合や、ターンシグナルを発した場合、ハンドル操作を行った場合等に解除される。
なお、上述した例および図16では、LDW制御とASL制御とが実行されており、それぞれの制御について危険判断がされ、LDW制御のときの警告表示とASL制御のときの警告表示とが同時に要求された場合を想定して説明したが、これに限られるものではない。つまり、車線維持制御と車速制御とにおいて危険判断がなされる場面は、LKA制御とASL制御とが実行されている場合もあるうる。この場合、図示は省略するが、上記ステップS125〜上記ステップS129と同様の考え方で表示を変更することができる。
図8の説明に戻って、ステップS812において、運転支援ECU1は、当該フローチャートの処理を終了するか否かを判断する。運転支援ECU1は、例えば、運転支援システムが搭載された車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合に当該フローチャートの処理を終了する。一方、運転支援ECU1は、処理を継続すると判断した場合、上記ステップS81に戻って処理を繰り返す。
このように、本実施形態に係る運転支援システムによれば、表示装置10に複数の警告表示をしなければならない状況が発生した場合に、仮に危険回避が行われなかったことを想定した場合の重大性を比較(危険度の比較)を行い、警告表示の表示態様の変更する。したがって、優先させて表示させるべき警告表示は他の警告表示よりも優先させて表示したり、他の他の警告表示よりも優先させて表示させるべき警告表示は目立つように表示形態を変更したりすることができる。
また、上述した実施形態では、閾値T1、閾値T2、閾値T3を設定し、衝突防止制御が必要なときに表示される警告表示の表示態様が異なるようにしたが、これに限られるものではない。つまり、さらに閾値Tを設定してもよいし、例えば、閾値T1のみを設定してもよい。なお、閾値L1、閾値L2についても同様の考え方で、これに限られるものではない。
上記実施形態で説明した態様は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。よって、本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。