JP5315687B2 - 塗工紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロッド塗工方式を用いた塗工紙の製造方法及び塗工紙に関するものであり、製造工程における塗工操業性に優れ、且つ良好な白紙品質および印刷品質を有する塗工紙に関するものである。
塗工紙は、一般的に抄紙機によって抄造された原紙の表面に対して、顔料とバインダを主成分とする顔料塗工層を設けることにより製造される。原紙表面への顔料塗工層の形成は、顔料とバインダを主成分とする顔料塗工液を連続的に走行している原紙の表面に塗工、乾燥することにより行われる。顔料塗工層の形成方法としては、塗工する塗工液の性状や塗工紙に対して要求される各種品質に応じて、様々なタイプの塗工方式が適宜選択され使用されているが、薄い金属板を用いるブレード塗工方式が最も一般的に採用されている。
これに対して、塗工方式の1つに本発明で採用したロッド塗工方式がある。ロッド塗工方式の装置の一般的な構成を図1に示す。ロッド塗工方式の塗工装置は、原紙(S)を塗工面の裏側からサポートしながら走行させるためのバッキングロール(1)、走行する原紙(S)の表面に塗工液(C)を付着供給させるための塗工液供給装置(2)、原紙(S)表面に付着供給された塗工液(C)を目標の塗工液量に掻き落とすための塗工計量部(3)、および塗工計量部(3)を支持操作するコーターヘッド(4)により主要部分が構成されている。次に、塗工計量部(3)の拡大側面図を図2に示す。塗工計量部(3)におけるロッド(R)は、ロッドホルダー(H)により支持され、更にロッドホルダー(H)は支持板(P)を介して、図1に示したコーターヘッド(4)に装着されている。一般的に図1および図2に例示したコーターヘッド(4)が支持板(P)を介してロッドホルダー(H)およびロッド(R)を支持しているロッド塗工方式は、ロッドブレード塗工方式とも称される。
ロッド塗工方式の塗工機構は、図1において、コーターヘッド(4)を操作してロッド(R)を原紙(S)方向に押し付けることにより、走行する原紙(S)をバッキングロール(1)とロッド(R)によってニップ(押し挟み)しながら、原紙(S)上に付着供給された塗工液(C)をロッド(R)によって直接的に掻き落とすことにより、原紙(S)表面上に所望する量の塗工液(C)を塗工するという塗工機構である。
ロッド塗工方式は、ロッド(R)およびロッドホルダー(H)を支持する支持板(P)が剛直であり、原紙(S)へロッド(R)を押し付ける際に、コーターヘッド(4)からの押し付け圧が支持板(P)およびロッドホルダー(H)からロッド(R)を通じてダイレクトに塗工液(C)に作用するため、ブレード等の他の塗工方式に比べ塗工線圧が極めて高いという特徴がある。
このためロッド塗工方式は、ブレード塗工方式に比べて、紙表面上にストリークと称する筋状の塗工欠陥が発生しにくいこと、塗工操業時の塗工装置の運転調整が容易であること、および高濃度の塗工液を塗工することができ塗工速度の高速化によって生産効率を向上できることが可能である等の特徴を有している。
これらの利点を有するロッド塗工方式を用いて塗工紙を製造する方法はこれまでにも知られているが(特許文献1、2、3)、塗工紙の製造に対してロッド塗工方式を用いる場合には、直径10mmφ程度のロッドまたはバーを用いるのが普通である(参考文献1)。
しかしながら、ロッド塗工方式は上述した塗工線圧が高くなる特徴のために、ロッド塗工時の高線圧により塗工液が不安定となる場合があり、それに起因し塗工液の流動性不良に陥るとスピットと称する塗工ムラが誘発される欠点を併せ持ち、また、ロッド塗工方式は、原紙(S)に付着供給した塗工液(C)が強く掻き取られてしまい、原紙(S)表面上に塗工液(C)が残留し難くなる傾向があり、塗工量制御範囲が非常に狭くなる問題点も有している。このため、ロッド塗工方式を1層抄き原紙を基にする一般的な塗工紙の製造に用いた場合には、塗工量不足により被覆性が劣るため平滑性や光沢に関し高水準のものが得られ難く、インキ着肉性不良、印刷平滑性不良といった印刷欠陥を発生させる問題があった。一方、ロッド塗工方式を通常3〜9層の多層で構成される原紙を基にする塗工白板紙の製造に用いた場合には、白色度の低い古紙原料を原紙に配合することに起因する表面凹凸や白色度ムラなどの多層抄き原紙特有の問題点を有しているために、塗工量不足により塗工紙表面に凹凸や白色濃淡ムラ(白紙面感ムラ)を発生させる問題があった。また、ロッド塗工方式を多層塗工で構成される塗工紙の最外塗工層の塗工に用いた場合、原紙が下塗りにより平滑化されているため、更に原紙表面上に塗工液が残留しにくくなり、品質に直接影響のおよぶ最外塗工層の塗工量不足による品質の悪化がより顕著に現れる。
これに対して下塗層にロッド塗工方式、上塗層にブレード塗工方式を用いることにより、塗工量を増やして塗工紙の平滑性等の品質を向上させる方法も提案されている(特許文献4)。
しかしながら、多層抄き原紙を基にする塗工白板紙の製造において、塗工量不足により被覆性が劣りやすいロッド塗工方式で塗工、形成された下塗り層に対して、上塗り層にブレード塗工方式を用いた場合には、上塗り層の塗工量は増加するものの、多層原紙特有の表面凹凸等の影響により塗工層が不均一に形成されるため、下塗り層の被覆性不足の影響が現れやすく、白紙濃淡ムラ(白紙面感ムラ)が悪化する問題があり、更なる向上が求められていた。
ロッド塗工方式における塗工量付着性を向上させる方法として、塗工装置においてバッキングロールを廃してロッドとバッキングロールとのニップを開放し、ロッドの押し付けのみ(非ニップ方式)で塗工する方法(特許文献5、6)やロッドに金属ワイヤーを巻き付けてロッド表面に凹凸形状を付したメタリングバーと呼ばれるロッドを用いて塗工する方法が提案されている(特許文献7、8)。
しかしながら、塗工紙の塗工工程においてバッキングロールを廃した場合には、原紙に強い塗工線圧を与えることができず、このためブレード塗工方式と同様に、白紙濃淡ムラが大きく悪化する問題点があり、他方、ロッド表面に凹凸を設けた場合には、塗工紙表面にロッド表面の凹凸に起因して凹凸の塗工層が筋状に形成され、表面平滑性や印刷適性を悪化させる問題点があった。
更にロッド塗工方式以外の塗工方式によって塗工量を増加させる方法として、吹きつけ(スプレー)塗工方式やカーテン塗工方式を採用することが提案されている(特許文献9、10)。
しかしながら、これらの方法では塗工量を増やすことはできるものの、いずれも非ニップ塗工方式であり原紙に対して強い塗工線圧を与えることができないために、得られる塗工紙の平滑性が低下する他、塗工方式に適した塗工液粘度にするために塗工液濃度を低くする等の塗工液物性の調整が不可欠であり、このため乾燥付加が増加し生産効率が大きく低下する等の問題点があった。
特開平6‐286308 特開平9‐75821 特開2001‐38275 特開2002‐363887 特開2004‐277929 特開2003‐53236 特開平8‐266984 特開2001‐276713 特表2004-519323 特開2005-120502[参考文献1]紙パルプ製造技術シリーズ8「コーティング」p.188〜192、編集兼発行所:紙パルプ技術協会、発行:1993年8月17日
本発明は、ロッド塗工方式を用いた塗工紙の顔料塗工層を塗工形成する方法に関して、塗工量の増量を可能にし、塗工紙表面の平滑性、白色濃淡ムラ(白紙面感ムラ)、および印刷適性に優れた塗工紙を得る方法を提供するものである。
本発明にかかる塗工紙の製造方法は、顔料とバインダを主成分とする塗工液を原紙の少なくとも片面に1層以上塗工する塗工紙の製造方法において、剪断速度が9.0×10/sにおけるハイシェア粘度が35mPa・s以上、110mPa・s以下である塗工液を原紙上に供給し、ロッドの直径が15mmφ以上、40mmφ以下であるロッドによって該塗工液を原紙上から直接的に掻き落とすロッド塗工方式で塗工することを特徴とする。
原紙上の塗工層の内、少なくとも1層以上を、剪断速度が9.0×10 /sにおけるハイシェア粘度が35mPa・s以上である塗工液をロッドの直径が15mmφ以上、40mmφ以下であるロッドを使用したロッド塗工方式で塗工することが好ましく、特に最外塗工層は本条件で塗工することがより好まい。
本発明のロッド塗工方式で使用するロッドの直径は20mmφ以上、35mmφ以下であることがより好ましい。
本発明の塗工紙の製造方法は、原紙が1層抄きまたは多層抄き原紙であり、且つ塗工紙の米坪が30g/m以上、700g/m以下の塗工紙の製造方法であることが好ましい。
本発明の塗工紙の製造方法は、原紙が2層以上の多層抄き原紙であり、且つ塗工紙の米坪が150g/m以上、700g/m 以下の塗工白板紙の製造方法であることがより好ましい。
本発明によれば、塗工紙の製造にロッド塗工方式を用いても、塗工紙の品質発現に対して充分な塗工量を得ることができ、塗工紙表面の平滑性、白色濃淡ムラ、および印刷適性に優れた塗工紙を得ることが可能になると共に、ロッド塗工方式が本来有している塗工欠陥の発生防止、運転調整の容易性、および塗工速度向上等の特有の利点をも付加して、塗工紙の生産性および品質を共に向上させることが可能となる。
ロッド塗工方式は塗工欠陥が発生し難く操業が容易な特長を有しているが、他方、強い塗工線圧で塗工液を掻き落とすため、原紙を被覆するのに充分な塗工量を得ることが難しく、塗工装置の運転諸条件の調整程度では、前述した問題点を改善することは非常に困難である。
これに対して、本願発明者らはこれらの難点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、顔料とバインダを主成分とする塗工液を原紙の少なくとも片面に1層以上塗工する塗工紙の製造方法において、剪断速度が9.0×10/sにおけるハイシェア粘度が35mPa・s以上、110mPa・s以下である塗工液をロッドの直径が15mmφ以上、40mmφ以下であるロッドを使用したロッド塗工方式で塗工することにより、操業性を損なうことなく、原紙を被覆するのに十分な塗工量を得ることができ、塗工表面の平滑性や光沢に優れ、且つ印刷欠陥の発生しない塗工紙が得られることを見出した。
ロッド塗工方式に用いるロッドの径と粘度の条件により、塗工表面の平滑性や印刷適性を満足できる塗工量付着性を改善できる理由については、以下のように推定する。
ロッドの径がもたらす作用については、従来の小径ロッド(直径〜10mmφ程度)より大径化(15〜40mmφ)することにより、ロッド表面と塗工される紙との接触面積が増大して、ロッドの原紙に対する押し付け圧が広範囲に分散し、これによって単位面積当たりの圧力(塗工線圧)を従来の小径ロッドより低下させることができる。これにより、ロッドに対して従来と同じ押し付け量(圧力)を与えても、単位面積当たりの圧力が小さくなるためにロッドによる塗工液を掻き取る力が弱まり、原紙層上に残留する塗工液量が増えることにより塗工量を増量することができると考えられる。このロッド大径化による塗工線圧の軽減の程度は僅かなものであると推定されるが、塗工紙の顔料塗工層形成に対しては、充分な程度の塗工量を増やすことが可能である。
またロッド大径化による塗工線圧の軽減は、ロッド塗工時の高線圧により塗工液が不安定となり発生するスピット欠陥の抑制にもつながり、本来有しているストリーク抑制効果等とあわせ、優れた塗工操業性を得ることができる。また、塗工量の増量によって、顔料塗工層による原紙被覆性が向上するため、塗工紙表面の平滑性や光沢が向上し、白色濃淡ムラを改善できる他、低塗工量で発生しやすかった印刷時におけるインキ着肉性不良、印刷平滑性不良といった印刷欠陥も防止することができる。
本発明において、ロッド塗工方式に用いるロッドの直径としては、15mmφ以上、40mmφ以下とすることが重要であり、20mmφ以上、35mmφ以下とすることが特に好ましい。前述したとおり、従来の小径ロッドよりも直径を大きくすることにより、単位面積当たりの押し付け圧が小さくなるため、塗工量が増量でき、優れた塗工紙品質を得ることができるとともに、操業上、欠陥抑制効果も向上することができる。
ここでロッドの直径が15mmφ以下の場合、原紙に対するロッドの接触面積が狭くなり、押し付け圧を広範囲に分散できずに、単位面積当たりの圧力(塗工線圧)を充分に軽減することができなくなり、所望の塗工量増量効果、および欠陥抑制効果が得られなくなる恐れがあるため好ましくない。
他方、ロッドの直径が40mmφ以上の場合、原紙に対するロッドの接触面積が広くなり、押し付け圧力を広範囲に分散できるため、単位面積当たりの圧力(塗工線圧)を充分に軽減して、所望とする塗工量の増量効果、および欠陥抑制効果を得ることはできるものの、ロッドの大径化に伴って、塗工後の原紙がロッドから離れる際の原紙とロッドの間の角度が浅くなり、その結果、塗工形成した塗工層表面がロッドによって荒らされて、塗工紙の平滑性が低下する品質上の問題や、ロッドを支持するロッドホルダーやその支持体を大型化する必要が生じるため、多大な設置スペースが必要となり、ロッドおよびロッドホルダーをコーターヘッドに装着することが困難となる実用、操業上の問題が生じる恐れがあるため好ましくない。
なお、本発明のロッド塗工方式に用いるロッドの材質としては特に限定されるものではなく、ステンレス鋼等の金属製のロッドや、該ロッドにクロム等の硬質金属メッキ層を設けたもの、各種セラミック材料の溶射層を設けたもの等、適宜選択され使用することができるが、ロッドの磨耗耐久性を向上させることによる塗工操業条件の安定化やロッド交換頻度の減少による製造効率向上の観点から、ロッド表面を硬質材料で処理したロッドを用いるのがより好ましい。
また、本発明のロッド塗工方式に用いられるロッドについては、表面がスムーズな単円筒型のプレーンロッドを主として用いることができるが、ロッドの形状は特に限定されるものではなく、前記プレーンロッド以外にも、更なる塗工量増量の方法として、プレーンロッドの表面に直径0.1mm〜0.8mm程度のワイヤーを巻きつけたワイヤーバー状のロッドや、ロッド表面に切削により溝を設けた溝付きロッド等のロッドも本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。特に、溝を設けたロッドについては、本発明のロッド塗工方式との併用により更なる塗工量増量および塗工量制御が可能となるうえに、塗工時の摩擦によるワイヤー切断の懸念がなく、安定した操業性を得られることから、好ましい。
本発明におけるロッドについては、図2に例示するように、塗工の際に原紙(S)の進行方向(矢印A)とは逆方向(矢印B)にロッド(R)を回転させながら使用することもできる。
また本発明のロッドを支持するロッドホルダーについては、材質、形状ともに特に限定されるものではなく、材質としてはポリエチレンや超高分子量ポリエチレン、ポリウレタン等の硬質樹脂類、ラバータイプの軟質樹脂類等のロッドホルダー用材質として一般的に用いられる材質を用いることができ、形状としては図2に例示したような、塗工量調整用のエアーチューブ(T)やロッドとロッドホルダーとの摩擦熱を冷却するための冷却水を通す溝(J)をロッドホルダーの内部または周辺部に適宜設けた形状等を用いることができる。
また本発明のロッドホルダーをコーターヘッドに装着するための支持体については、材質、形状ともに特に限定されるものではなく、材質としてはアルミニウム、高炭素鋼、ステンレス鋼等を用いることができ、形状としては、図1および2に例示したように、ロッドホルダー(H)を支持板(P)に取り付けてコーターヘッド(4)に装着でき、操業上問題なく使用できるものであれば特に限定はなく、ロッドホルダー(H)と支持板(P)がそれぞれ分割可能なセパレート構造やロッドホルダー(H)と支持板(P)が分割できない一体型構造とすることもできる。
次に本発明のロッド塗工方式で塗工される塗工液の粘度としては、剪断速度が9.0×10/sにおける塗工液のハイシェア粘度が35mPa・s以上とする。塗工液のハイシェア粘度が35mPa・s以上とすることにより、本発明のロッド塗工方式における塗工量増量効果を助長することができる。これに対して、前記塗工液のハイシェア粘度が35mPa・s未満の場合には、塗工量付着性が低下してしまい、本発明のロッド塗工方式の効果が得られない恐れがある。また塗工液のハイシェア粘度の上限については、安定して塗工液が塗工される範囲のハイシェア粘度であれば出来るだけ高いハイシェア粘度とすることが好ましいことから、上限は110mPa・s以下である。
本発明のロッド塗工方式で塗工される塗工液の固形分濃度としては、塗工液のハイシェア粘度が前述の粘度範囲に入る固形分濃度であれば特に限定されるものではなく、固形分濃度として5〜70重量%の塗工液が適用可能であるが、塗工後の乾燥工程における乾燥付加の低減や塗工速度増速による塗工紙の生産効率向上の観点から、固形分濃度は出来るだけ高濃度であることが好ましく、60〜70重量%の固形分濃度とすることが特に好ましい。
なお、塗工液のハイシェア粘度の調整方法については、塗工液の固形分濃度を調整する方法の他に、顔料塗工液の構成成分として、各種顔料の配合比率、バインダの種類、顔料とバインダの配合比率、増粘保水剤等の各種助剤の配合等によりハイシェア粘度を調整することができる。
本発明の塗工方法は、塗工紙における塗工層形成において、1層塗工のみならず多層塗工にも適用することができるが、多層塗工の場合において1層の塗工層のみを本発明のロッド塗工方式を用いて設ける場合には、本発明の効果からすると、最終製品の品質向上を目的としていることから、最外塗工層の塗工に使用することが特に好ましい。ちなみに多層塗工の際に本発明のロッド塗工方式と組み合わせる他の塗工方式としては特に限定されるものではないが、例えば従来のロッドコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、サイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
また本発明においては、多層の塗工を行う場合、本発明のロッド塗工方式を少なくとも1層以上に適用することも可能であり、原紙被覆性を更に強化する手法として特に好ましい。
本発明における塗工装置の構成であるが、バッキングロール(1)を備え、塗工の際に原紙の塗工する面とは反対(裏側)の面より原紙を支持しながら塗工液を塗工形成する方法が好ましい。バッキングロールを用いたロッド塗工方式(ニップ方式)とすることにより、バッキングロールとロッドのニップを利用したロッド押し付け圧力により原紙の凹凸を圧縮して原紙を平坦化した状態で塗工を施すため、原紙凹凸に沿った均一な塗工層(輪郭塗工層)を形成することが可能であり、塗工量の増量と併せて、塗工層の均一性、および被覆性をより一層向上させることができる。
なお本発明のロッド塗工方式で製造される塗工紙の塗工量は、1度の塗工もしくは複数回の塗工によって、原紙層上に合計の乾燥重量として片面あたり6〜30g/ で調節され、更に被覆性を向上させるためには8g/ 以上であることが特に好ましい。
本発明の塗工紙に用いる原紙としては、1層抄き、あるいは2層以上の多層抄きの原紙が使用できる。
原紙自体の米坪は特に限定されるものではなく、本発明のロッド塗工方式により、30g/ 以上、700g/ 以下の塗工紙が製造できる。
一般的な印刷用塗工紙や感熱紙など情報用紙の製造においては、1層抄きの原紙を用い、本発明のロッド塗工方式で30g/ 以上、250g/ 以下の製品とするのが好ましい。
また塗工白板紙の製造においては、2層以上の多層抄きの原紙を用い、本発明のロッド塗工方式で150g/ 以上、700g/ 以下の製品とするのが好ましい。
原紙の製造条件ついては、原紙の原料として一般的な印刷用塗工紙、または塗工白板紙に用いられる各種パルプを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば晒ないし未晒の化学パルプ、機械パルプ、更には脱墨ないしは未脱墨の古紙パルプ等の1種または2種以上を適宜混合して使用される。因みに多層抄きの原紙を用いる白板紙としては、一般に表面層に晒化学パルプ、表面下層に脱墨古紙パルプ、中および裏面層には未脱墨古紙パルプを使用して原紙を構成することが多い。また、前記した原料に対しては、必要に応じて、サイズ剤、紙力剤、薬品安定剤、濾水剤、嵩高剤、填料、染料等を適宜添加することができる。
原紙の抄紙方法については、特に限定されるものではなく、湿式抄紙機としては、例えば、丸網式抄紙機、短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等の商業規模の抄紙機を用いることができ、一般的な印刷用塗工紙、および塗工白板紙の原紙製造方法である一般的な各種抄紙方法を適宜選択して用いることができる。
原紙については、抄紙した原紙をそのまま顔料塗工層の塗工に供しても問題はないが、顔料塗工層を塗工する前にマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはヤンキードライヤー等を使用して、予め原紙を平滑化処理することもできる。
また前記原紙については、顔料塗工層を塗工する前に、2本ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレスコーター、メタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のトランスファーロールコーター等により、原紙の表面処理を行うこともできる。
サイズプレス等の表面処理に用いる表面処理剤としては、特に限定されるものではないが、紙力、塗工適性、印刷適性等を改善または向上させるために一般的に用いられる各種デンプン類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、各種表面サイズ剤等を主体とする塗工液を用いることができる。また該塗工液に対しては、塗工用に一般的に使用される各種顔料として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、およびポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等の1種以上を必要に応じて配合することができる。
本発明のロッド塗工方式で使用する顔料塗工液の調製であるが、塗工紙を製造する場合に用いられる塗工液としては、顔料およびバインダを主成分とする顔料塗工液である。前記した顔料塗工液に用いる顔料としては、一般に紙加工用に使用される顔料を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、焼成カオリン、エンジニアードカオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト、サチンホワイト、タルク等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料等、一般塗工紙製造分野で使用されている公知公用の顔料の1種あるいは2種以上を適宜選択して、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
バインダとしては、一般塗工紙の製造分野で使用されているバインダが本発明の効果を損なわない範囲で、各塗工層に適宜使用でき、特に限定されるものではないが、例えば酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉、カチオン性澱粉、酵素変性澱粉等の各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品等、また分散液型バインダとして、スチレン‐ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート‐ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン‐酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等を使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用することができる。
顔料塗工液に対しては、必要に応じて、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、染料、耐水化剤、流動変性剤、増粘保水剤、着色顔料、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、撥水剤等の各種助剤を適宜添加することもできる。
塗工層形成後の仕上げ工程であるが、1層塗工紙においては、塗工層を塗工、乾燥した後、また多層塗工紙においては、複数の塗工層を設ける途中段階である下塗り層を塗工、乾燥した後、または複数の塗工層を設ける最終段階の最上層を塗工、乾燥した後に、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはスーパーキャレンダー等を使用して塗工層表面に平滑化処理を施すのが望ましい。
本発明のロッド塗工方式の適用については、各種印刷用塗工紙および情報用紙に適用することができ、特に限定されることはないが、塗工白板紙への適用が特に好ましい。塗工白板紙は、前記したように多層抄き原紙を原紙としており、この多層構造由来の原紙凹凸が大きく、更に古紙配合に由来して原紙表層に白色濃淡ムラ(白紙面感ムラ)が発生しやすい特性を有しており、このような塗工白板紙に対して本発明のロッド塗工方式は、本発明の効果を最も反映させることができ、塗工白板紙の品質および生産効率を大きく向上させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は別の定義をしない限り、「質量%」を示すものとする。
[塗工白板紙の製造]
以下の実施例1から4および比較例1から4は塗工白板紙の製造に関するものである。
実施例1
[下塗り塗工層用塗工液の調製]
顔料として、エンジニアードカオリン(商品名:エクシロン、エンゲルハード社製、平均粒子径0.61μm)30質量%、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、ファイマテック社、平均粒子径1.21μm)70質量%、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2質量%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が75%の顔料スラリーを調製した。このスラリーに澱粉(商品名:エースY、王子コーンスターチ社製)5質量部(固形分換算)、および固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:X−400A、ガラス転移温度:−23℃、JSR社製)15質量部(固形分換算)、市販粘度調整剤(商品名:ソマレックス270K、ソマール社製)0.1質量部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が64%の塗料を調製した。得られた塗工液の剪断速度が9.0×10 /sにおけるハイシェア粘度は40mPa・sであった。
[最外塗工層用塗工液の調製]
顔料として、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製、平均粒子径0.32μm)60質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、奥多摩工業社製、平均粒子径0.49μm)35質量%、二酸化チタン(商品名:クロノスKA−10、チタン工業社製、平均粒子径0.41μm)5質量%を使用し、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2質量%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が70%の顔料スラリーを調製した。このスラリーに澱粉(商品名:エースY、王子コーンスターチ社製)1質量部(固形分換算)、固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:L−1825、ガラス転移温度:8℃、旭化成社製)15質量部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が65%の塗料を調製した。得られた塗工液の剪断速度が9.0×10 /sにおけるハイシェア粘度は53mPa・sであった。
[塗工白板紙・原紙の作製]
外層に脱墨古紙パルプ(表・裏層:パルプ白色度76%、表下・裏下層56%)、中層に未脱墨の古紙パルプ(パルプ白色度50%)を使用して5層に抄き合わされた米坪290g/ の原紙を得た。
[塗工白板紙・下塗り層の塗工]
上述の方法で得た原紙に、上述の方法で得た下塗り塗工層用塗工液を直径20mmφのロッドを装着したロッドコーターを用い塗工、乾燥して下塗り層塗工紙を得た。
[塗工白板紙・上塗り層の塗工]
さらに上記の下塗り塗工層上および反対面に、上記で得た最外塗工層用塗工液をブレードコーターを用い塗工、乾燥してそれぞれ表面2層タイプ、裏面1層タイプの塗工白板紙を得た。次に、2スタックの、金属ロール表面温度が150℃、2ニップのソフトキャレンダーに通紙して、両面が平滑化処理された塗工白板紙を得た。
実施例2
下塗り塗工層用塗工液の塗工に、直径35mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
実施例3
上塗り塗工層用塗工液の塗工に、直径20mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
実施例4
下塗り塗工層用塗工液の市販粘度調整剤(商品名:ソマレックス270K、ソマール社製)の添加量を0.2質量部(固形分換算)として、剪断速度が9.0×10 /sにおけるハイシェア粘度50mPa・sとした以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
比較例1
下塗り塗工層用塗工液の塗工に、直径12mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
比較例2
下塗り塗工層用塗工液の塗工に、直径45mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
比較例3
下塗り塗工層用塗工液の市販粘度調整剤を無添加として、剪断速度が9.0×10 /sにおけるハイシェア粘度を30mPa・sとした以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
比較例4
下塗り塗工層用塗工液の塗工に、ブレードコーターを用いた以外は、すべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
[一般的な印刷用塗工紙の製造]
以下の実施例5と実施例6および比較例5と比較例6は一般的な印刷用塗工紙の製造に関するものである。
実施例5
[塗工液の調整]
実施例1の最外塗工層用塗工液と同じ条件で、塗工液を得た。
[一般印刷用紙原紙の作成]
LBKP(フリーネス(CSF)=400ml)95部、NBKP(フリーネス(CSF)=410ml)5部のパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(PC:白石カルシウム製)を灰分が7部となるように添加し、対パルプ100部当り澱粉1.5部、アルケニル無水コハク酸0.1部、および硫酸バンド0.6部を添加した紙料を用いて長網抄紙機で抄紙し、その抄紙工程中で澱粉の塗工量が片面あたり乾燥重量で1g/ となるようにサイズプレス装置で塗工、乾燥させ、マシンキャレンダーで王研式平滑度が35秒になるように平滑化処理して、坪量が67g/ の一般的な印刷用塗工紙用原紙を得た。
[一般印刷用紙の塗工]
上記原紙の両面に、上記で得た塗工液を直径20mmφのロッドを装着したロッドコーターを用い塗工、乾燥して一般的な印刷用塗工紙を得た。次に、温度70℃、線圧200kN/mの条件下でスーパーカレンダーに通紙して、一般的な印刷用塗工紙を得た。
実施例6
塗工液の塗工に、直径35mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例5と同じ条件で一般的な印刷用塗工紙を得た。
比較例5
塗工液の塗工に、直径12mmφのロッドを装着したロッドコーターを用いた以外は、すべて実施例5と同じ条件で一般的な印刷用塗工紙を得た。
比較例6
塗工液の塗工手段に、ブレードコーターを用いた以外は、すべて実施例5と同じ条件で一般的な印刷用塗工紙を得た。
[評価方法の説明]
塗工液の粘度、塗工欠陥発生状況、塗工紙の品質について、下記のごとき評価をおこない、得られた結果を塗工白板紙は表1および表2に、一般的な印刷用塗工紙は表3にまとめて示した。なお、本発明における塗工紙の品質測定については、特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下でおこなった。
(ハイシェア粘度)
ハイシェア粘度(mPa・s)は、ハーキュレスハイシェア粘度計(熊谷理機工業製)を用い、ボブF、剪断速度が9.0×10 /s(回転数4400rpm)の条件で測定した。
(塗工欠陥)
塗工白板紙の下塗り塗工時における塗工欠陥発生状況に対して、下記のような評価を行った。
◎:塗工欠陥がなく、全く問題のないレベルである。
○:塗工欠陥がわずかに発生したが、実用上問題とならないレベルである。
×:塗工欠陥が頻繁に発生し、生産効率に劣り、問題となるレベルである。
(白色ムラ)
白色ムラは、表面の白色ムラの程度を目視にて評価した。
◎:均一で白色ムラがない。
○:一部白色ムラが認められるが、実用上問題ない。
△:白色ムラが目立ち、実用上問題ある。
×:白色ムラが、非常に目立つ。
(PPS平滑度)
PPS平滑度(μm)は、パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:2MPaで、表面を5回平滑度測定を行い、その平均を求めた。
(印刷平滑性、およびインキ着肉性)
印刷平滑性、およびインキ着肉ムラは、RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:Values−G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用してRI印刷機にて、各塗工紙の表面に印刷を行い、塗工紙のインキ転写面を肉眼で観察し、転写したインキ濃度の均一性(印刷平滑性)と、転写したインキ濃度(インキ着肉性)を4段階評価した。
◎:印刷平滑性、インキ着肉性が特に優れる。
○:印刷平滑性、インキ着肉性が優れる。
△:印刷平滑性、インキ着肉性がやや劣る。
×:印刷平滑性、インキ着肉性が劣る。

[表1]
Figure 0005315687

[表2]
Figure 0005315687

[表3]
Figure 0005315687
[塗工白板紙・下塗り層の塗工]、[塗工白板紙・上塗り層の塗工]および[一般的な印刷用塗工紙の塗工]の評価結果は以下の通りである。
[塗工白板紙・下塗り層の塗工]
実施例1〜4において、ロッド塗工方式に用いるロッドに、本発明で規定する範囲の直径を有するものを用いることにより、原紙を被覆するのに十分な塗工量が得られ、塗工欠陥発生を抑制し、白色ムラに優れる下塗り層塗工紙が得られた。また、ロッドの更なる大径化は、塗工欠陥の抑制にも有効であった(実施例2)。ハイシェア粘度が高い塗工液を用いることにより、塗工量増量効果は更に助長された(実施例4)。
比較例1は、ロッド径が小さく塗工量付着性が劣り、白色ムラに関し満足なものが得られず、塗工欠陥も発生した。
比較例2は、ロッド径が大きすぎ、塗工層表面がロッドに荒らされ、白色ムラに関し満足なものが得られなかった。
比較例3は、ハイシェア粘度が低いため塗工量付着性が劣り、白色ムラに関し満足なものが得られなかった。
比較例4は、原紙の凹凸に沿った塗工層を形成することができず、白色ムラに関し満足なものが得られず、塗工欠陥も発生した。
[塗工白板紙・上塗り層の塗工]
実施例1〜4において、ロッド塗工方式に用いるロッドに、本発明で規定する範囲の直径を有するものを1層以上の塗工に使用することにより、原紙を被覆するのに十分な塗工量が得られ、各品質項目に満足なものが得られた。また、全層に本発明のロッド塗工方式を用いることにより、白色ムラ、印刷平滑性に関し更なる向上効果が認められた(実施例3)。
比較例1は、ロッド塗工を施した下塗り層の塗工量が少なく、満足な品質が得られなかった。
比較例2は、下塗り層のロッド径が大きすぎ、塗工層表面がロッドに荒らされ、満足な品質が得られなかった。
比較例3は、ハイシェア粘度が低いため下塗り層の塗工量が少なく、満足な品質が得られなかった。
比較例4は、原紙の凹凸に沿った塗工層を形成することができず、白色ムラ、印刷平滑性に関し満足なものが得られなかった。
[一般的な印刷用塗工紙の塗工]
実施例5および6において、ロッド塗工方式に用いるロッドに、本発明で規定する範囲の直径を有するものを用いることにより、原紙を被覆するのに十分な塗工量が得られ、各品質項目に満足なものが得られた。
比較例5は、ロッド径が小さく塗工量付着性が劣り、満足な品質が得られなかった。
比較例6は、原紙の凹凸に沿った塗工層を形成することができず、印刷平滑性がやや劣った。
ロッド塗工方式の一般的な構成図 ロッド塗工方式における塗工計量部の一例の側面図
符号の説明
1 バッキングロール
2 塗工液供給装置
3 塗工計量部
4 コーターヘッド
S 原紙
C 塗工液
A 原紙走行方向
S 原紙
R ロッド
H ロッドホルダー
P ロッドホルダー支持板
T エアーチューブ
J 冷却水用溝
B ロッド回転方向

Claims (5)

  1. 顔料とバインダを主成分とする塗工液を原紙の少なくとも片面に1層以上塗工する塗工紙の製造方法において、剪断速度が9.0×10/sにおけるハイシェア粘度が35mPa・s以上、110mPa・s以下である塗工液を原紙上に供給し、ロッドの直径が15mmφ以上、40mmφ以下であるロッドによって該塗工液を原紙上から直接的に掻き落とすロッド塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
  2. 前記原紙上の塗工層の内、少なくとも1層以上を請求項1に記載の方法で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
  3. 前記ロッドの直径が20mmφ以上、35mmφ以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗工紙の製造方法。
  4. 前記原紙が1層抄きまたは多層抄き原紙であり、且つ塗工紙の米坪が30g/m以上、700g/m以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の塗工紙の製造方法。
  5. 前記原紙が2層以上の多層抄き原紙であり、且つ塗工紙の米坪が150g/m以上、700g/m以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の塗工白板紙の製造方法。
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