JP2013234400A - 塗工紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 加熱された金属ロールを有するカレンダー装置によって予め平坦化処理された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を1400m/分以上の速度でジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて塗工する塗工紙の製造方法において、該カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する該ジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長が200〜500mmであることを特徴とする塗工紙の製造方法。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、塗工紙の高品質化、高速塗工化に伴い、ブレードコーターによる製造時の問題点が従来以上に顕在化するようになっている。
前者の発生原因を解決する方法としては、塗工液の循環ライン中に、濾過速度を損なわない程度に網目を細かくしたスクリーン装置を並列または直列に導入することが一般に採用されている。
後者の発生原因を解決する方法としては、例えば、特許文献1には、原紙に塗工液を供給してからブレードで余剰分を掻き落とすまでの時間を短くする方法が開示されており、具体的には、該時間を0.0005〜0.015秒(アプリケーターによる塗工液噴射地点からブレード先端までの距離、すなわちドウェル長に換算して0〜160mm)とすることが開示されている。
さらにまた、特許文献2には、ジェットファウンテン式ブレードコーターにおいて、原紙に供給された塗工液が必要以上に脱水されて流動性が悪化しないよう、ドウェル長を1700mmまでの範囲内とすることが開示されている。
また、特許文献2に開示された方法について本発明者らが確認したところ、特定の原紙面を塗工する場合、特許文献2に開示されるドウェル長の範囲のうち、特定の範囲においてストリークが多発するという問題が新たに確認された。
塗工紙の製造において、塗工紙の高品質化の要請から、塗工工程の前段階で、予め原紙に対してカレンダー装置によって平坦化処理を施すことが行われている。該平坦化処理によって、原紙の平滑度が向上するとともに、原紙の幅方向の厚みプロファイルが改善される。該カレンダー装置としては、金属ロール/金属ロールの組み合わせから構成されるハードニップカレンダー、金属ロール/弾性ロールの組み合わせから構成されるソフトカレンダー等が使用される。ハードニップカレンダー、ソフトカレンダーのいずれも、一方の金属ロールは加熱ロールであり、原紙の面のうち、カレンダーの加熱された金属ロールと接した面は、高温に加熱された鏡面ロールの作用によって、加熱されていない他方のロールと接した面と比して表面の平滑性が一層向上することになる。
斯かるカレンダー装置の加熱された金属ロールと接した原紙の面を、ジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて特許文献2に開示されるドウェル長の範囲のうち特定の範囲で塗工すると、塗工液の不均一な脱水によって生成した凝集物が、ブレード刃先と原紙との密着性の高さに起因して、ブレード刃先と原紙との間から瞬時に抜けることなく長い時間滞留し、加熱されていない他方のロールと接した原紙の面を塗工した場合と比してストリークが多発してしまうという問題が生じた。
[1]加熱された金属ロールを有するカレンダー装置によって予め平坦化処理された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を1400m/分以上の速度でジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて塗工する塗工紙の製造方法において、該カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する該ジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長が200〜500mmであることを特徴とする塗工紙の製造方法。
[2]前記カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する前記ジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長が250〜450mmであることを特徴とする[1]に記載の塗工紙の製造方法。
[3]前記カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面への塗工が、前記カレンダー装置の加熱された金属ロール以外のロールに接した原紙の面への塗工に先立って行われることを特徴とする[1]または[2]に記載の塗工紙の製造方法。
本発明に使用する原紙としては、特に限定するものではなく、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、TMP等)、古紙パルプ(DIP等)の1種類以上が適宣混合され、紙料の調製が行われるが、機械パルプを配合する際は、全原料パルプ100質量%に対し20質量%以下とすることが好ましい。機械パルプの配合割合が20質量%を超えると、ブレードコーターでの塗工時にストリークが発生しやすくなるおそれがあるためである。
紙料中には必要に応じてホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等の填料を添加し、さらに必要に応じて紙力増強剤、歩留り向上剤、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤などの内添サイズ剤、耐水化剤、紫外線防止剤などの一般に公知公用の抄紙用薬品が添加される。
本発明に使用する原紙は、ブレードコーターでの塗工前に予めカレンダー装置によって平坦化処理が施される。該平坦化処理により、ブレードコーターでの塗工後の平滑性、幅方向の紙厚プロファイルが向上する。
ハードニップカレンダーは、金属ロールのみから成る組み合わせで構成される。一般に、2ロール1スタックのハードニップカレンダーのトップ側の金属ロールは熱媒オイル、電磁誘導コイル等の従来公知の加熱機構によりロール表面を高温加熱される加熱ロールであり、ボトム側のロールは油圧制御可能なコントロールド・クラウン・ロール(CCロール)である。
ソフトカレンダーは、金属ロールと弾性ロールから成る組み合わせで構成される。ソフトカレンダーの金属ロールは熱媒オイル、電磁誘導コイル等の従来公知の加熱機構によりロール表面を高温加熱される加熱ロールであり、弾性ロールは繊維系や樹脂系の材質から成るロールである。2ロール1スタックのソフトカレンダーを使用する場合、ロール配置に限定はなく、加熱された金属ロールがトップ側のロールであっても、ボトム側のロールであっても構わない。
本発明に使用する塗工液は、顔料と接着剤を主成分とし、その他必要に応じて各種助剤を添加する。
本発明において、顔料は特に限定されるものでなく、塗工紙の分野で使用される顔料、例えば、カオリン、タルク、クレー、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、カイソウ土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料の他、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子などの有機顔料等、一般の塗工用として知られている顔料を使用することができ、必要に応じて1種あるいは2種以上を適宜選択して使用する。
本発明において、接着剤についても特に限定されるものではなく、塗工紙の分野で使用される接着剤、例えば水溶性接着剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを、また分散液系の接着剤として、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種類あるいは2種類以上を適宜選択して使用する。
本発明において、助剤についても特に限定されるものではなく、分散剤、消泡剤、防腐剤、粘性改良剤、着色剤、潤滑剤、耐水化剤、pH調製剤等の中から、1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。
本発明では、加熱された金属ロールを有するカレンダー装置によって予め平坦化処理された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を1400m/分以上の速度でジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて塗工する。ジェットファウンテン式ブレードコーターは、ブレードコーターの特徴である光沢性や平滑性に優れるという利点を当然有し、かつ塗工速度1400m/分以上における塗工液の高速供給性、塗工面の幅方向均一性の点で優れる。
ジェットファウンテン式ブレードコーターとしては、Voith IHI Paper Technology社(VIPT社)のバリドウェルブレードコーター、Metso社のOptiCoat Jet(登録商標)等、高速塗工において広く用いられている装置を使用することができる。
ドウェル長とは、アプリケーターによって噴射された塗工液の原紙上の着地点から、余剰塗工液を掻き落とすブレード先端までの長さである。
本発明において、カレンダー装置によって予め平坦化処理された原紙の面のうち、カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工するジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長は200〜500mmであり、より好ましくは250〜450mmであり、さらに好ましくは280〜400mmである。
カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する際のドウェル長が500mmを超えると、塗工液の不均一な脱水によって生成した凝集物が、ブレード刃先と原紙との密着性の高さに起因して、ブレード刃先と原紙との間から瞬時に抜けることなく長い時間滞留し、ストリークが多発するおそれがある。また、ブレードで塗工液を掻き取る前に、原紙中への塗工液が不均一に浸み込んでしまう影響が出るため、塗工面の平滑性が低下するおそれがある。
ブレード(コーティングブレード)は、剛直なブレードを用いるベントブレードと、屈曲可能なブレードを用いるベベルブレードとに大別され、本発明はいずれのブレードも使用することができるが、1400m/分以上の高速塗工時の塗工量調整に優れるべベルブレードを使用することが好ましい。
ベベルブレードを使用する場合、ブレード刃先の角度については特に限定しないが、高速塗工において所望とする塗工量を得られ易いという点から、10〜50°が好ましく、20〜40°がより好ましい。
また、該材質のブレードを母材とし、全面あるいはべベル面の一部等を被覆材によって被覆したブレードを使用することも可能であり、被覆材としては、例えば、クロムメッキ、合金メッキ、酸化物系セラミック、炭化物系セラミック等を適宜選択することができるが、本発明では、ストリーク抑制効果があり、かつ優れた塗工面感を得られることから、少なくともべベル面がクロムメッキ又は炭化物系セラミックで被覆されたブレードを使用することが好ましい。
本発明において、塗工液の塗工量としては、1度の塗工で原紙片面当りの乾燥固形量として3〜20g/m2の範囲で塗工される。
ブレードコーターでは、1機のブレードコーター装置によって原紙の片面のみ塗工される。したがって、例えば、ブレードコーターによって原紙の両面を片面当り1層ずつ塗工するためにはブレードコーター装置が2機必要となり、製造工程としては、原紙の一方の面を第1のブレードコーターによって塗工した後、第1の乾燥装置によって乾燥し、次いで原紙の他方の面を第2のブレードコーターによって塗工した後、第2の乾燥装置によって乾燥することになる。
(原紙の作製)
LBKP70%(フリーネス500ml)、NBKP20%(フリーネス400ml)、DIP10%(フリーネス200ml)から成るパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム0.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK100、王子コーンスターチ社製)0.5%、AKD型サイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学工業社製)0.1%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、荒川化学工業社製)0.2%を順次添加し、紙料を調製した。
得られた紙料を下流側に傾斜配置された上向きヘッドボックスから噴出し、抄紙速度1500m/分で運転するギャップフォーマー式抄紙機にて紙層を形成後、2基のタンデムシュープレスで搾水、多筒式ドライヤーで乾燥した。次いで、ロッドメタリングサイズプレスコーターを用いて澱粉サイズ液(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)を片面当り0.6g/m2(固形分)となるように原紙の両面に塗布後、多筒式ドライヤー(アフタードライヤー)で乾燥した。次いで、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成される2ロール1スタックのソフトカレンダー装置を用いて、ニップ線圧20kN/m、金属ロール表面温度70℃の条件で原紙を平坦化処理し、坪量46g/m2の原紙を作製した。
以下、便宜上、ソフトカレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙面を原紙面A、弾性ロールに接した原紙面を原紙面Bと呼ぶ。
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50,東亜合成社製)を分散するカオリン100部に対して0.1部添加した水溶液に、微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、BASF社製)30部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123CS、奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)30部を添加し、コーレス分散機で分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースA、前出)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000H、JSR社製)10部、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が60%の塗工液を調製した。
上記で得た坪量46g/m2の原紙上に、上記で得られた塗工液を塗工速度1500m/分でジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて片面当りの乾燥塗工量が9g/m2となるように片面当り1層ずつ、両面塗工した。
このときの塗工順序は原紙面B、原紙面Aの順であり、原紙面A塗工時のドゥエル長は220mmとした。
かくして得られた塗工紙を、金属ロールと弾性ロールから成るマルチニップカレンダーを用いて、7ニップ、ニップ線圧200kN/m、金属ロール表面温度150℃の条件で平坦化仕上げを行い、坪量64g/m2の塗工紙を得た。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を270mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を330mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、塗工順序を原紙面A、原紙面Bの順とし、原紙面A塗工時のドウェル長を330mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を480mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を50mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を150mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を550mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例1において、原紙面A塗工時のドウェル長を650mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
塗工ラインに設置されたストリーク検出器(商品名:SmartView、コグネックス社製)を用いて、原紙面Aを塗工した面に検出された50m以上のストリーク本数をカウントした。
カウントしたストリーク本数は、塗工紙の長さ10000m当りのストリーク本数(以下、ストリーク10R率と呼ぶ)に換算して評価した。
RI印刷機(明製作所製)で、印刷インキ(商品名:Values−G墨Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用して印刷を行い、原紙面Aを塗工した面のインキ転写均一性(印刷平滑性)を以下のように4段階評価した。
◎:印刷平滑性が特に優れる
○:印刷平滑性が優れる
△:印刷平滑性が劣る
×:印刷平滑性が特に劣る
原紙面Aを塗工するジェットファウンテン式ブレードコーターのアプリケーターリップ部について、塗工開始から6時間後の汚れ状態を観察し、以下のように4段階評価した。
◎:リップ部の汚れが確認されない
○:リップ部の汚れが塗工幅方向の一部に少量確認された
△:リップ部の汚れが塗工幅方向の全域に亘って少量確認された
×:リップ部の汚れが塗工幅方向の全域に亘って多量に確認された
2 コーティングブレード
3 原紙
3a 原紙の走行方向
4 バッキングロール
5 塗工液
L ドウェル長(円弧の長さ)
Claims (3)
- 加熱された金属ロールを有するカレンダー装置によって予め平坦化処理された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を1400m/分以上の速度でジェットファウンテン式ブレードコーターを用いて塗工する塗工紙の製造方法において、該カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する該ジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長が200〜500mmであることを特徴とする塗工紙の製造方法。
- 前記カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面を塗工する前記ジェットファウンテン式ブレードコーターのドウェル長が250〜450mmであることを特徴とする請求項1に記載の塗工紙の製造方法。
- 前記カレンダー装置の加熱された金属ロールに接した原紙の面への塗工が、前記カレンダー装置の加熱された金属ロール以外のロールに接した原紙の面への塗工に先立って行われることを特徴とする請求項1または2に記載の塗工紙の製造方法。
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