JP2004148556A - 感熱記録シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感熱記録シートが、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性が優れた感熱記録シートを提供することである。
【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料、加熱により該染料を発色させる電子受容性酸性物質及び結合剤を主成分とする感熱記録層を設け、該感熱記録層上に特定の水分散性の二層構造アクリル酸エステル共重合体を主体とする第一層目の保護層を設け、更に特定の水分散性の二層構造アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けた感熱記録シートである。該保護層の粘度が、BM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・sで円錐円板粘度計のせん断速度104/Sにおける粘度が40〜100mPa・sである保護層塗液をジェットファウンテンから感熱記録層面に塗布後、ロッドで塗工量を制御して塗工することを特徴とする感熱記録シートの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料、加熱により該染料を発色させる電子受容性酸性物質及び結合剤を主成分とする感熱記録層を設け、該感熱記録層上に特定の水分散性の二層構造アクリル酸エステル共重合体を主体とする第一層目の保護層を設け、更に特定の水分散性の二層構造アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けた感熱記録シートである。該保護層の粘度が、BM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・sで円錐円板粘度計のせん断速度104/Sにおける粘度が40〜100mPa・sである保護層塗液をジェットファウンテンから感熱記録層面に塗布後、ロッドで塗工量を制御して塗工することを特徴とする感熱記録シートの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録シートに関するものであり、更に詳しくは、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れる感熱記録シートとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録シートは一般に支持体上に通常は無色ないし淡色の電子供与性染料と電子受容性酸性物質とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、電子供与性染料と電子受容性酸性物質が瞬時に化学反応し発色画像が得られる。
【0003】
一般にこのような感熱記録シートには、比較的簡単な装置で発色画像が得られること、保守が容易であること及び騒音の発生がないこと等の利点があり、計測用記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、自動販売機等の広範囲な分野に幅広く利用されているが、それが特に商品の種類、価格、品質及び容量等を表示する商品ラベル、郵送品や宅配便に貼付する宛名等を表示するラベル等の用途に適用される場合には、発色性に加えて、感熱記録層の耐水性の改善や、高温環境下に曝された場合の地肌カブリ、日光、可塑剤、油等に対する画像安定性が通常の感熱記録シートよりも一層強く要求される。
【0004】
これらの画像安定性のうち、可塑剤、油等に対する保存安定性を改良するために、通常感熱記録層に用いられる電子供与性染料と電子受容性酸性物質を発色成分とした記録方式に代えて、芳香族イソシアネートとイミノ化合物の発色成分を使用した感熱記録方式が開示されている(例えば特許文献1〜2参照。)。しかし、ラベル用感熱記録シートとしては発色濃度、耐熱性(地肌カブリ)が十分ではない。又、感熱記録層上に水溶性高分子や水分散性高分子等を主成分とする保護層を設けて上記の欠点を改良する提案が種々なされている(例えば特許文献3〜8参照。)。
【0005】
感熱記録層の上に設ける保護層は、可塑剤、アルコール、油、水等が感熱層に接触するのを防止すると共に印字時にサーマルヘッドへのスティッキング、カス付着を防止する必要がある。更にラベル用途では保護層面に印刷して使われるため、印刷適性が必要となってくる。しかしこれらの基本特性を全て有する保護層は、得られていないのが現状である。このため、感熱記録層上に二層以上の保護層を設ける方法が提案されている。例えば、堆積した保護層の最上層に顔料を加え、サーマルヘッドのスティッキングを減らし、筆記性、耐水性、耐薬品性を持たせる方法であり、二層以上の保護層は同じ素材を使用する物と、素材を変え各保護層で機能を分離する方法が開示されており、保護層にはデンプンやポリビニルアルコール等の水溶性高分子やスチレン/ブタジエンラテックスやアクリル樹脂等の水分散性高分子等が開示されている(例えば特許文献9〜11参照。)。
【0006】
保護層の下層に水溶性高分子を使用した感熱記録シートをラベルとして使用すると、食品等に貼り水の中に長時間浸ける用途の場合、下層の水溶性高分子が水に溶けだし、上層ラベルが剥がれる問題がある。一方、スチレン/ブタジエンラテックスを用いるとスティッキングが発生し、アクリル樹脂を用いると樹脂自体が堅いため、感熱記録シートが割れる問題がある。一方、二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを感熱層の接着剤、中間層、及び保護層に用いることで記録画像の耐久性を大幅に向上させることが開示されている(例えば特許文献12〜13参照。)。このエマルジョンを保護層に用いると耐水性は向上するが、耐可塑剤性の優れたエマルジュンはインキ密着性がなく、インキ密着性の優れたエマルジョンは耐可塑剤性が不十分であり、感熱層の地肌カブリを生ずる問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−38733号公報
【特許文献2】
特開昭58−104959号公報
【特許文献3】
特開昭55−95593号公報
【特許文献4】
特開昭57−188392号公報
【特許文献5】
特開昭58−122892号公報
【特許文献6】
特開昭59−1797号公報
【特許文献7】
特開昭60−115484号公報
【特許文献8】
特開昭62−42884号公報
【特許文献9】
特開昭59−45191号公報
【特許文献10】
特開昭59−67081号公報
【特許文献11】
特開昭59−67082号公報
【特許文献12】
特開平5−69665号公報
【特許文献13】
特開平6−247049号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような欠点を改善し、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れた感熱記録シートの提供及びその製造方法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は発色感度が高く、画像保存性に優れた感熱記録シートついて鋭意検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料、加熱により該染料を発色させる電子受容性酸性物質及び結合剤を主成分とする感熱記録層を設け、該感熱記録層上に水分散性の結合剤を主成分とする第一層目の保護層、及び水分散性の結合剤を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層をこの順に設けた感熱記録シートにおいて、該保護層の何れもが水分散性の結合剤として二層構造アクリル酸エステル共重合体を主体とし、第一層目の保護層は、核がアクリルニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合の二重構造アクリル酸エステル共重合体(以下、「樹脂A」と記載)であり、第二層目の保護層は、核がスチレンを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である二重構造アクリル酸エステル共重合体(以下、「樹脂B」と記載)であることを特徴とする感熱記録シートであり、該第一層目の保護層が基本的に顔料を含有せず、第二層目の保護層が、全固形分の70〜95質量%が水分散性の結合剤であり、該結合剤に対して5〜30質量%が顔料である感熱記録シートである。また、第一層目の保護層用塗液、および第二層目保護層用塗液の少なくとも何れかの塗液が、BM粘度計の60rpmでの粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sであり、該塗液をジェットファウンテンにより感熱記録層面に塗布後、ロッドにより塗工量を制御して塗工する感熱記録シートの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持体上に感熱記録層を設け、該感熱記録層上に水分散性の結合剤を主成分とする第一層目の保護層、及び水分散性の結合剤を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けた感熱記録シートにおいて、該保護層の何れもが含有する水分散性の結合剤の主体として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体を含有する感熱記録シートである。ここで、本発明での「主成分」とは構成する成分の中で主となる成分であり、一般的には全体の30質量%程度以上含有することを意味し、「主体」とは全体の中で最も多い成分の一つを意味し、2成分の場合では全体の50質量%程度以上含有することを意味する。
【0011】
本発明の第一層目の保護層は水分散性の結合剤として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体が主成分で、顔料の含有量が全固形分の5質量%以下であり、特に顔料を含有しないほうが好ましい。本発明で「第一層目の保護層が基本的に顔料を含有せず」とは第一層目の保護層用塗液が顔料を含有していないが、上層の保護層が含有している顔料の沈降や、下層の感熱記録層表面の顔料が第一層目の保護層に突出しているために一見顔料を含有している場合も含めることを意味する。第一層目の保護層は、主として耐薬品、耐可塑剤、耐水性等の機能を持たせている。このため、顔料を多く添加するとこれらの機能が損なわれるため、保護層の厚さを厚くする必要があり、これによって感熱面への熱伝導性が低下し、十分な印字品位が得られない。本発明の第二層目の保護層には水分散性の結合剤として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体が主成分で、顔料を添加するが、一般的な顔料の固形分含有量は結合剤に対して3〜60質量%、好ましくは5〜30質量%である。この範囲により保護層の皮膜性、耐薬品や可塑剤等の浸透防止効果が良好で、スティッキング、カスの発生が防止される。また第一保護層及び第二保護層共に、耐水性を向上させるために結合剤との併用で、架橋剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤を用いても良い。保護層による薬品や可塑剤の浸透防止効果及びバリアー性効果を最適とし、発色感度を良好とするためには、第一層の保護層の塗工量は1〜3g/m2とし、第二層目の保護層の塗工量は1〜2g/m2が好ましい。
【0012】
本発明の保護層中に含有される水分散性の結合剤としては、第一層目の保護層は二層構造アクリル酸エステル共重合体の核がアクリロニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である樹脂A(例えば三井科学製、OM1050)である。一方第二層目の保護層は二層構造アクリル酸エステル共重合体の核がスチレンを必須成分とするアクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である樹脂B(例えば三井化学製、OM3446−1、およびOM3096)である。
【0013】
本発明の保護層に使用する樹脂A、及び樹脂Bで使用可能なモノマー成分としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸;スチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミドおよびメタクリルアミドの誘導体;ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等、更にジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられ、何れも核、外層を形成することのできる共重合体用モノマーであるが、特に好ましくは二層構造アクリル酸エステル共重合体の核が、アクリロニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする樹脂Aや、二層構造アクリル酸エステル共重合体の核が、スチレンを必須成分とするアクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする樹脂Bである。樹脂Aの核と外層の必須成分であるアクリロニトリルとメタクリル酸アミドの比はモル比で1:99〜80:20が好ましく、特に好ましくは10:90〜60:40である。樹脂Bの核と外層の必須成分であるスチレンとメタクリル酸アミドの比はモル比で1:99〜80:20が好ましく、特に好ましくは10:90〜60:40である。本発明に使用する樹脂Aおよび樹脂Bは公知の重合法により得られるが、好ましくはラジカル重合法である水系媒体中でレドックス触媒を用いてエマルジョン化する。
【0014】
該保護層の樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単独で使用すると、樹脂Aの場合、優れた耐可塑剤性と耐水性を示すが、インキ密着性が劣る。一方、樹脂Bの場合、インキ密着性と耐水性は優れているが、耐可塑剤性が劣る。保護層の下層に樹脂Aを、上層に樹脂Bと顔料を使用することでインキ密着性と可塑剤性が良好で、感熱記録時のスティッキングも良好となる。
【0015】
本発明の第二層目の保護層に用いる顔料としては、無機のものとして、カオリン、シリカ、クレー、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウムが挙げられ、有機のものとして、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。その添加量が少ないとスティッキングやカス付着が発生しやすく、添加量が多すぎると薬品等の浸入を十分に防ぐことができない。このため、顔料の添加量は第二層目の保護層の結合剤固形分の3〜60質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲内で使用する。どちらの保護層にも、更に、疎水性高分子と反応して耐水化させるホルムアルデヒド、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、塩化アンモニウム等の耐水化剤や、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、パラフィンワックス、マイクロクリスタルワックス、カルナウバワックス等の滑剤、消泡剤、界面活性剤等を本発明の効果を損なわない範囲で添加出来る。
【0016】
本発明では、特に、第一層目の保護層用塗液、および第二層目の保護層用塗液の少なくとも何れかの塗液が、BM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sであり、該塗液をジェットファウンテンにより感熱記録層面に塗布後、ロッドにより塗工量を制御して塗工することが好ましい。該BM粘度計での粘度が100mPa・s未満であると、ジェットファウンテンからの塗液の供給が不均一になりやすく、感熱記録層への保護層塗液の浸透も多くなり、感度が低下しやすい。又、該円錐円板粘度計の粘度が20mPa・sより小さいと塗工量が多い場合に調整しにくくなる。
【0017】
一方、少なくとも保護層用塗液のBM粘度計の60rpmにおける粘度が3000mPa・sを超えるか円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20mPa・sより小さいとジェットファウンテン、およびロッドでの塗工量の制御が難しくなり、均一な保護層を形成しにくくなる。本発明での塗液の粘度は、塗工時の温度での粘度であり、好ましい粘度範囲にするために温度調整、および塗工直前での塗液撹拌を行うことが好ましく出来る。
【0018】
塗工機は給液システムと塗工量調整システム、または塗工量調整システムからなっている。給液システムは、一般的にはチャンバー方式、ロール方式、ジットファウンテン方式の3方式に分類できる。チャンバー方式は、ブレードとそれに対向するせき板の間に塗液を供給して塗工する方式であり、チャンバーに供給された塗液の一部が紙に付着するが、大部分はせき板と紙との隙間から流出する。このため高速塗工では紙に引きずられる塗液とブレードでかき落とされる塗液が供給される塗液とぶつかり合い、乱流(渦)を発生しチャンバー内部の圧力が不安定になり、塗布むらを発生させやすい。ロール方式は、カラーパンの内部にアプリケーターロールを入れ、このロールを回転させカラーパンに供給された塗液をかき上げ紙に塗工する。しかし高速塗工になると紙とアプリケーターロールが接近する部分で塗液の流れが乱流となり、液圧が不安定となるため浸透むらによる塗布むらを発生させやすい。一方、本発明のジエットファウンテン方式は、1〜2mm程度のスリット式のノズルから塗液を吹き出し紙に衝突させて塗工する方式である。この時吹き出された塗液は全て紙に塗布され、落下したり渦を巻いたりせずに塗液が安定した状態で紙に塗工されるため特に本発明の塗液により均一な塗工面が得られやすいので好ましい。特にBM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sである塗液がジットファウンテン方式の給液システムでは好ましい。
【0019】
本発明の感熱記録層、および保護層の塗工に用いられる塗工量調整システムは、エアナイフ、グラビア、ロール、ロッド、エクストルージョンバー、カーテン、ダイ、リップ、ブレード等の一般の塗工紙等で使用される方式が利用されるが、特に本発明での感熱記録層の比較的均一な面への保護層の塗工にはジェットファウンテン給液システムとロッド塗工量調整システムとの組み合わせが好ましい。ロッドシステムではロッドを用いて平滑化と塗工量調整を行う方式であり、用いるロッドには、平滑な丸棒、ワイヤーを巻いた棒、及び溝を彫った棒の3種類の何れかが用いられるが、本発明では特に平滑な丸棒であるプレーンロッドが均一な塗工面質が得られるので好ましく用いられる。
【0020】
本発明に用いられる支持体としては、木材パルプを主成分とした紙等の親水性の支持体が特に好ましく、合成紙、金属箔、ポリエチレン等によるラミネート紙、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、等を単独、或は組み合わせたシートも支持体として用いることができる。
【0021】
本発明に用いられる感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ロイコ染料、電子受容性酸性物質、必要により増感剤、保存性改良剤などを共に、あるいは別々にボールミル、アトライター、サンドミルなどの撹拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように微粉砕した後、水性結合剤を添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体の一方の面に塗布乾燥して形成されるが、乾燥後の塗工量は通常2〜8g/m2、特に4〜6g/m2が好ましい。更に、感熱記録層の表面をスーパーカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー等により平滑化処理することにより、記録濃度、感度を向上させることもできる。
【0022】
本発明に用いられる発色性染料は、電子受容性酸性物質と加熱下に反応して発色することのできる無色ないし淡色の電子供与性染料が使用できる。例えば、2,2ビス{4−〔6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミド〕フェニル}プロパン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(メタトリフルオロメチル)アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,Nジブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のフルオラン系染料があり、これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。
【0023】
本発明の感熱記録層に用いられる電子受容性酸性物質としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4’−ビス(N−p−トルエンスルホニルアミノカボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SO2NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−pメトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0024】
本発明の感熱記録層には、記録像の保存安定性を高めるために保存性改良剤、および記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。保存性改良剤としては、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2メチル−4ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2メチル−4ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0025】
増感剤としては、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニール、p−トリルビフェニールエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
【0026】
本発明の感熱記録層に用いる結合剤としては、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素ポリビニルアルコール、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス、スチレン−ブタジエン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0027】
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、これらの助剤として、カオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素−ホルマリン樹脂フイラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、消泡剤、着色染料等が挙げられる。
【0028】
更に、発色感度と記録画質を高めるために支持体と感熱記録層の間に吸油性顔料または中空粒子を主成分とした下塗層を設けたり、各種層を形成した後にスーパーカレンダーによる平滑化処理を施すことなどもできる。また、裏面からの可塑剤や油等の影響をなくすために、結合剤や、結合剤と白色顔料からなる裏塗り層を感熱記録シートの裏面に設けて保存性を一層高めることもできる。
【0029】
下塗層を設ける場合には、その塗工量が少なすぎるとその効果が小さく、多すぎると紙の強度が弱くなり経済的でもないので、通常3〜20g/m2、特に5〜10g/m2とする。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部、及び%は質量部、及び質量%を示す。
【0031】
実施例1
[下塗り層塗液の作成]
アンシレックス(エンゲルハード製、焼成カオリン) 100部
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 4部
48%スチレン−ブタジェン系ラテックス 40部
20%リン酸エステル変成澱粉水溶液 30部
以上の配合に水を加えて撹拌し、固形分濃度40%の下塗り層塗液を作成した。55g/m2の基紙にブレードコーターで乾燥塗布量10g/m2になるよう塗抹乾燥し、下塗層を設けた支持体を得た。
【0032】
[分散液の作成]
(A)液
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フル
オラン 100部
10%スルホン化変性PVA水溶液 80部
水 100部
A液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が0.8μmとなるまで粉砕した。
(B)液
ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン 50部
2−ベンジルオキシナフタレン 70部
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン 20部
10%スルホン化変性PVA水溶液 70部
水 160部
B液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が1μmとなるまで粉砕した。
(C)液
軽質炭酸カルシウム 10部
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 1部
水 14部
C液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が2μmの顔料分散液を得た。
【0033】
[感熱記録層塗液の調整]
次の配合で感熱記録層塗液を調整した。
(C)液 25部
(B)液 75部
10%ポリビニルアルコール水溶液 100部
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
(A)液 18部
水 20部
この感熱記録層塗液を用いて、上記下塗層を設けた支持体にエアナイフコーターにて乾燥塗布量5g/m2になるよう塗抹乾燥し、感熱記録層とした。
【0034】
[保護層塗液(D)の作成]
次の配合で第一層目の保護層塗液(D)を調整した。
この保護層塗液を用いて、上記感熱記録層にジェットファウンテンにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量1.5g/m2になるよう塗抹乾燥し、第一層の保護層を形成した。
[保護層塗液(E)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(E)を調整した。
この保護層塗液(E)を用いて、上記の保護層塗液(D)で第一層目の保護層を設けた該感熱記録層上にジェットファウンテンにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥し、第二層目の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。保護層塗液(D)および(E)の塗工時の温度は25℃に調整した。以下の実施例、比較例の保護層塗液の塗工時温度も記載の無い場合は同様の温度とした。
【0035】
実施例2
[保護層塗液(F)の作成]
次の配合で第一層目の保護層塗液(F)を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM1050)
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 0.4部
実施例1で、第一層目の保護層塗液を(F)に換え、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥した以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0036】
実施例3
[保護層塗液(G)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(G)を調整した。
実施例1で、第二層目の保護層塗液を(G)に換えた以外は実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0037】
実施例4
[保護層塗液(H)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(H)を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM3446−1)
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527) 10部
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 8部
実施例2で、第二層目の保護層塗液を(H)に換え、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥した以外は実施例2と同様にして感熱記録シートを得た。
【0038】
実施例5
実施例1の第二層目の保護層塗液(E)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を3部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0039】
実施例6
実施例1の第二層目の保護層塗液(E)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を20部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0040】
実施例7
実施例2の第一層目の保護層塗液(F)に水20部を加えた塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0041】
実施例8
実施例4の第二層目の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を50部とした以外は、実施例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0042】
比較例1
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、ジェットファウンテンにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥して単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0043】
比較例2
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、ジェットファウンテンにて塗布後ブレードコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥し、単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0044】
比較例3
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、カラーロールにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥し、単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0045】
比較例4
実施例4で、第一層の保護層塗液として10%ポリビニルアルコール(完全ケン化重合度1000)水溶液を用いて、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.5g/m2になるよう塗抹乾燥し、第一層の保護層を形成した以外は実施例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0046】
比較例5
[保護層塗液(I)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM1050)
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527) 10部
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 8部
比較例4の第二層目の保護層塗液を(I)に変えた以外は、比較例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0047】
比較例6
実施例4の第二層目の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を50部とした塗液を第2層目の保護層塗液に用いた以外は、比較例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0048】
比較例7
実施例4の第二層の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を0部とした塗液を第2層目の保護層塗液に用いた以外は、比較例4と同様にして、感熱記録シートを得た。
【0049】
以上、実施例1〜8、比較例1〜7で得られた感熱記録シートを以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。表2は、実施例、および比較例で使用した保護層塗液のBM粘度計の60rpmでの粘度、円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度を示す。尚、粘度の測定温度は、塗工時の塗液温度の25℃で測定した。
【0050】
「発色性」
大倉電機製発色テスト機でヘッド抵抗2800オームの熱ヘッドを用い、パルス巾1.2msecで発色させて濃度をマクベス型反射濃度計で測定した。数字の大きい程濃度が高い。実用上1.20以上あれば問題ない。
【0051】
「白色度」
JIS P8123に準じて記録面の白色度を測定した。数字の大きい程白色度が高い。実用上80%以上あれば問題ない。
【0052】
「耐可塑剤性」
印字した感熱記録シートの上にジオクチルフタレートを30%含有した塩化ビニルシートを重ね合わせ40℃乾燥機中に24時間放置し、処理後の発色部の濃度低下を目視で評価した。評価基準は次の様にした。
○:殆ど濃度低下がない。
△:やや濃度低下あるが、使用可能。
×:濃度低下大。
【0053】
「スティッキング」
市販のラベル発行機(IP21EX:石田衡器製)を用い、ヘッドテストパターにて記録を行い、印字サンプルの白飛びを下記の判定基準で評価した。
○:白飛び発生なし。
△:白飛びが若干発生(実用上は使用可能)。
×:極めて白飛びが多い。
【0054】
「塗りムラ」
感熱記録シートの保護層上からエチルアルコールを滴下し、1分後、過剰のエチルアルコールをふき取り、感熱記録層の発色度合いから保護層の塗りムラを目視で評価した。
○:ほとんど発色がない。
○△:若干発色部分がある。
△:若干発色が大きい部分もあるが、使用可能。
×:発色が大きい部分が多い。
【0055】
「水剥がれ」
感熱記録シートを水に浸け、24時間放置後塗層剥がれの有無を評価した。
○:剥がれない。
×:剥がれが発生。
【0056】
「インキ密着性」
UV硬化型インキ(T&K TOKA製ベストキュアー金赤)を0.2cc取り、RIテスター(石川島産業機械(株)製MR1−1型)で2分間インキを練り、本発明の各サンプルの感熱記録面にベタ印刷を行った。印刷後、印刷面に2KWのUV灯を速度10m/分のスピードで通してインキを硬化させた。印刷面にセロテープを貼り、その後手でセロテープを剥がしてインキの剥離面の有無を目視観察により評価した。
○:剥がれの発生がない。
△:若干インキの剥がれあり。
×:インキが剥がれている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
注1)60rpmでの粘度
注2)せん断速度104/sでの粘度
【0059】
表1より次のことが評価される。感熱記録層の上に水分散性の二層構造アクリル酸エステル(樹脂A)を主成分とする第一層目の保護層を設け、同じく水分散性の二層構造アクリル酸エステル(樹脂B)を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けることにより発色感度が高く、画像保存性、耐水漬け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れた感熱記録シートが得られる。樹脂Bと顔料の比率は、樹脂Bに対して5〜30質量%で、発色感度、画像保存性、機器マッチング性のバランスが取れる。更に表2より、BM粘度計の60rpmでの粘度が100〜3000Pa・sで、円錐円板粘度計のせん断速度104/Sでの粘度が20〜100mPa・sに調整した塗液をジエットファウンテンにより感熱層に塗布後ロッドにより塗工量制御することで、より均一な保護層が得られるためより画像保存性に優れた感熱記録シートが得られる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は感熱記録シートにおいて、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性が優れた感熱記録シートを提供する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録シートに関するものであり、更に詳しくは、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れる感熱記録シートとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録シートは一般に支持体上に通常は無色ないし淡色の電子供与性染料と電子受容性酸性物質とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、電子供与性染料と電子受容性酸性物質が瞬時に化学反応し発色画像が得られる。
【0003】
一般にこのような感熱記録シートには、比較的簡単な装置で発色画像が得られること、保守が容易であること及び騒音の発生がないこと等の利点があり、計測用記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、自動販売機等の広範囲な分野に幅広く利用されているが、それが特に商品の種類、価格、品質及び容量等を表示する商品ラベル、郵送品や宅配便に貼付する宛名等を表示するラベル等の用途に適用される場合には、発色性に加えて、感熱記録層の耐水性の改善や、高温環境下に曝された場合の地肌カブリ、日光、可塑剤、油等に対する画像安定性が通常の感熱記録シートよりも一層強く要求される。
【0004】
これらの画像安定性のうち、可塑剤、油等に対する保存安定性を改良するために、通常感熱記録層に用いられる電子供与性染料と電子受容性酸性物質を発色成分とした記録方式に代えて、芳香族イソシアネートとイミノ化合物の発色成分を使用した感熱記録方式が開示されている(例えば特許文献1〜2参照。)。しかし、ラベル用感熱記録シートとしては発色濃度、耐熱性(地肌カブリ)が十分ではない。又、感熱記録層上に水溶性高分子や水分散性高分子等を主成分とする保護層を設けて上記の欠点を改良する提案が種々なされている(例えば特許文献3〜8参照。)。
【0005】
感熱記録層の上に設ける保護層は、可塑剤、アルコール、油、水等が感熱層に接触するのを防止すると共に印字時にサーマルヘッドへのスティッキング、カス付着を防止する必要がある。更にラベル用途では保護層面に印刷して使われるため、印刷適性が必要となってくる。しかしこれらの基本特性を全て有する保護層は、得られていないのが現状である。このため、感熱記録層上に二層以上の保護層を設ける方法が提案されている。例えば、堆積した保護層の最上層に顔料を加え、サーマルヘッドのスティッキングを減らし、筆記性、耐水性、耐薬品性を持たせる方法であり、二層以上の保護層は同じ素材を使用する物と、素材を変え各保護層で機能を分離する方法が開示されており、保護層にはデンプンやポリビニルアルコール等の水溶性高分子やスチレン/ブタジエンラテックスやアクリル樹脂等の水分散性高分子等が開示されている(例えば特許文献9〜11参照。)。
【0006】
保護層の下層に水溶性高分子を使用した感熱記録シートをラベルとして使用すると、食品等に貼り水の中に長時間浸ける用途の場合、下層の水溶性高分子が水に溶けだし、上層ラベルが剥がれる問題がある。一方、スチレン/ブタジエンラテックスを用いるとスティッキングが発生し、アクリル樹脂を用いると樹脂自体が堅いため、感熱記録シートが割れる問題がある。一方、二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを感熱層の接着剤、中間層、及び保護層に用いることで記録画像の耐久性を大幅に向上させることが開示されている(例えば特許文献12〜13参照。)。このエマルジョンを保護層に用いると耐水性は向上するが、耐可塑剤性の優れたエマルジュンはインキ密着性がなく、インキ密着性の優れたエマルジョンは耐可塑剤性が不十分であり、感熱層の地肌カブリを生ずる問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−38733号公報
【特許文献2】
特開昭58−104959号公報
【特許文献3】
特開昭55−95593号公報
【特許文献4】
特開昭57−188392号公報
【特許文献5】
特開昭58−122892号公報
【特許文献6】
特開昭59−1797号公報
【特許文献7】
特開昭60−115484号公報
【特許文献8】
特開昭62−42884号公報
【特許文献9】
特開昭59−45191号公報
【特許文献10】
特開昭59−67081号公報
【特許文献11】
特開昭59−67082号公報
【特許文献12】
特開平5−69665号公報
【特許文献13】
特開平6−247049号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような欠点を改善し、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れた感熱記録シートの提供及びその製造方法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は発色感度が高く、画像保存性に優れた感熱記録シートついて鋭意検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料、加熱により該染料を発色させる電子受容性酸性物質及び結合剤を主成分とする感熱記録層を設け、該感熱記録層上に水分散性の結合剤を主成分とする第一層目の保護層、及び水分散性の結合剤を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層をこの順に設けた感熱記録シートにおいて、該保護層の何れもが水分散性の結合剤として二層構造アクリル酸エステル共重合体を主体とし、第一層目の保護層は、核がアクリルニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合の二重構造アクリル酸エステル共重合体(以下、「樹脂A」と記載)であり、第二層目の保護層は、核がスチレンを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である二重構造アクリル酸エステル共重合体(以下、「樹脂B」と記載)であることを特徴とする感熱記録シートであり、該第一層目の保護層が基本的に顔料を含有せず、第二層目の保護層が、全固形分の70〜95質量%が水分散性の結合剤であり、該結合剤に対して5〜30質量%が顔料である感熱記録シートである。また、第一層目の保護層用塗液、および第二層目保護層用塗液の少なくとも何れかの塗液が、BM粘度計の60rpmでの粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sであり、該塗液をジェットファウンテンにより感熱記録層面に塗布後、ロッドにより塗工量を制御して塗工する感熱記録シートの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持体上に感熱記録層を設け、該感熱記録層上に水分散性の結合剤を主成分とする第一層目の保護層、及び水分散性の結合剤を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けた感熱記録シートにおいて、該保護層の何れもが含有する水分散性の結合剤の主体として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体を含有する感熱記録シートである。ここで、本発明での「主成分」とは構成する成分の中で主となる成分であり、一般的には全体の30質量%程度以上含有することを意味し、「主体」とは全体の中で最も多い成分の一つを意味し、2成分の場合では全体の50質量%程度以上含有することを意味する。
【0011】
本発明の第一層目の保護層は水分散性の結合剤として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体が主成分で、顔料の含有量が全固形分の5質量%以下であり、特に顔料を含有しないほうが好ましい。本発明で「第一層目の保護層が基本的に顔料を含有せず」とは第一層目の保護層用塗液が顔料を含有していないが、上層の保護層が含有している顔料の沈降や、下層の感熱記録層表面の顔料が第一層目の保護層に突出しているために一見顔料を含有している場合も含めることを意味する。第一層目の保護層は、主として耐薬品、耐可塑剤、耐水性等の機能を持たせている。このため、顔料を多く添加するとこれらの機能が損なわれるため、保護層の厚さを厚くする必要があり、これによって感熱面への熱伝導性が低下し、十分な印字品位が得られない。本発明の第二層目の保護層には水分散性の結合剤として特定の二層構造アクリル酸エステル共重合体が主成分で、顔料を添加するが、一般的な顔料の固形分含有量は結合剤に対して3〜60質量%、好ましくは5〜30質量%である。この範囲により保護層の皮膜性、耐薬品や可塑剤等の浸透防止効果が良好で、スティッキング、カスの発生が防止される。また第一保護層及び第二保護層共に、耐水性を向上させるために結合剤との併用で、架橋剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤を用いても良い。保護層による薬品や可塑剤の浸透防止効果及びバリアー性効果を最適とし、発色感度を良好とするためには、第一層の保護層の塗工量は1〜3g/m2とし、第二層目の保護層の塗工量は1〜2g/m2が好ましい。
【0012】
本発明の保護層中に含有される水分散性の結合剤としては、第一層目の保護層は二層構造アクリル酸エステル共重合体の核がアクリロニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である樹脂A(例えば三井科学製、OM1050)である。一方第二層目の保護層は二層構造アクリル酸エステル共重合体の核がスチレンを必須成分とするアクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である樹脂B(例えば三井化学製、OM3446−1、およびOM3096)である。
【0013】
本発明の保護層に使用する樹脂A、及び樹脂Bで使用可能なモノマー成分としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸;スチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミドおよびメタクリルアミドの誘導体;ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等、更にジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられ、何れも核、外層を形成することのできる共重合体用モノマーであるが、特に好ましくは二層構造アクリル酸エステル共重合体の核が、アクリロニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする樹脂Aや、二層構造アクリル酸エステル共重合体の核が、スチレンを必須成分とするアクリル酸エステル共重合体であり、外層はメタクリル酸アミドを必須成分とする樹脂Bである。樹脂Aの核と外層の必須成分であるアクリロニトリルとメタクリル酸アミドの比はモル比で1:99〜80:20が好ましく、特に好ましくは10:90〜60:40である。樹脂Bの核と外層の必須成分であるスチレンとメタクリル酸アミドの比はモル比で1:99〜80:20が好ましく、特に好ましくは10:90〜60:40である。本発明に使用する樹脂Aおよび樹脂Bは公知の重合法により得られるが、好ましくはラジカル重合法である水系媒体中でレドックス触媒を用いてエマルジョン化する。
【0014】
該保護層の樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単独で使用すると、樹脂Aの場合、優れた耐可塑剤性と耐水性を示すが、インキ密着性が劣る。一方、樹脂Bの場合、インキ密着性と耐水性は優れているが、耐可塑剤性が劣る。保護層の下層に樹脂Aを、上層に樹脂Bと顔料を使用することでインキ密着性と可塑剤性が良好で、感熱記録時のスティッキングも良好となる。
【0015】
本発明の第二層目の保護層に用いる顔料としては、無機のものとして、カオリン、シリカ、クレー、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウムが挙げられ、有機のものとして、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。その添加量が少ないとスティッキングやカス付着が発生しやすく、添加量が多すぎると薬品等の浸入を十分に防ぐことができない。このため、顔料の添加量は第二層目の保護層の結合剤固形分の3〜60質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲内で使用する。どちらの保護層にも、更に、疎水性高分子と反応して耐水化させるホルムアルデヒド、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、塩化アンモニウム等の耐水化剤や、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、パラフィンワックス、マイクロクリスタルワックス、カルナウバワックス等の滑剤、消泡剤、界面活性剤等を本発明の効果を損なわない範囲で添加出来る。
【0016】
本発明では、特に、第一層目の保護層用塗液、および第二層目の保護層用塗液の少なくとも何れかの塗液が、BM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sであり、該塗液をジェットファウンテンにより感熱記録層面に塗布後、ロッドにより塗工量を制御して塗工することが好ましい。該BM粘度計での粘度が100mPa・s未満であると、ジェットファウンテンからの塗液の供給が不均一になりやすく、感熱記録層への保護層塗液の浸透も多くなり、感度が低下しやすい。又、該円錐円板粘度計の粘度が20mPa・sより小さいと塗工量が多い場合に調整しにくくなる。
【0017】
一方、少なくとも保護層用塗液のBM粘度計の60rpmにおける粘度が3000mPa・sを超えるか円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20mPa・sより小さいとジェットファウンテン、およびロッドでの塗工量の制御が難しくなり、均一な保護層を形成しにくくなる。本発明での塗液の粘度は、塗工時の温度での粘度であり、好ましい粘度範囲にするために温度調整、および塗工直前での塗液撹拌を行うことが好ましく出来る。
【0018】
塗工機は給液システムと塗工量調整システム、または塗工量調整システムからなっている。給液システムは、一般的にはチャンバー方式、ロール方式、ジットファウンテン方式の3方式に分類できる。チャンバー方式は、ブレードとそれに対向するせき板の間に塗液を供給して塗工する方式であり、チャンバーに供給された塗液の一部が紙に付着するが、大部分はせき板と紙との隙間から流出する。このため高速塗工では紙に引きずられる塗液とブレードでかき落とされる塗液が供給される塗液とぶつかり合い、乱流(渦)を発生しチャンバー内部の圧力が不安定になり、塗布むらを発生させやすい。ロール方式は、カラーパンの内部にアプリケーターロールを入れ、このロールを回転させカラーパンに供給された塗液をかき上げ紙に塗工する。しかし高速塗工になると紙とアプリケーターロールが接近する部分で塗液の流れが乱流となり、液圧が不安定となるため浸透むらによる塗布むらを発生させやすい。一方、本発明のジエットファウンテン方式は、1〜2mm程度のスリット式のノズルから塗液を吹き出し紙に衝突させて塗工する方式である。この時吹き出された塗液は全て紙に塗布され、落下したり渦を巻いたりせずに塗液が安定した状態で紙に塗工されるため特に本発明の塗液により均一な塗工面が得られやすいので好ましい。特にBM粘度計の60rpmにおける粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sである塗液がジットファウンテン方式の給液システムでは好ましい。
【0019】
本発明の感熱記録層、および保護層の塗工に用いられる塗工量調整システムは、エアナイフ、グラビア、ロール、ロッド、エクストルージョンバー、カーテン、ダイ、リップ、ブレード等の一般の塗工紙等で使用される方式が利用されるが、特に本発明での感熱記録層の比較的均一な面への保護層の塗工にはジェットファウンテン給液システムとロッド塗工量調整システムとの組み合わせが好ましい。ロッドシステムではロッドを用いて平滑化と塗工量調整を行う方式であり、用いるロッドには、平滑な丸棒、ワイヤーを巻いた棒、及び溝を彫った棒の3種類の何れかが用いられるが、本発明では特に平滑な丸棒であるプレーンロッドが均一な塗工面質が得られるので好ましく用いられる。
【0020】
本発明に用いられる支持体としては、木材パルプを主成分とした紙等の親水性の支持体が特に好ましく、合成紙、金属箔、ポリエチレン等によるラミネート紙、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、等を単独、或は組み合わせたシートも支持体として用いることができる。
【0021】
本発明に用いられる感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ロイコ染料、電子受容性酸性物質、必要により増感剤、保存性改良剤などを共に、あるいは別々にボールミル、アトライター、サンドミルなどの撹拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように微粉砕した後、水性結合剤を添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体の一方の面に塗布乾燥して形成されるが、乾燥後の塗工量は通常2〜8g/m2、特に4〜6g/m2が好ましい。更に、感熱記録層の表面をスーパーカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー等により平滑化処理することにより、記録濃度、感度を向上させることもできる。
【0022】
本発明に用いられる発色性染料は、電子受容性酸性物質と加熱下に反応して発色することのできる無色ないし淡色の電子供与性染料が使用できる。例えば、2,2ビス{4−〔6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミド〕フェニル}プロパン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−〔N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(メタトリフルオロメチル)アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,Nジブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のフルオラン系染料があり、これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。
【0023】
本発明の感熱記録層に用いられる電子受容性酸性物質としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4’−ビス(N−p−トルエンスルホニルアミノカボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SO2NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−pメトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0024】
本発明の感熱記録層には、記録像の保存安定性を高めるために保存性改良剤、および記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。保存性改良剤としては、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2メチル−4ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2メチル−4ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0025】
増感剤としては、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニール、p−トリルビフェニールエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
【0026】
本発明の感熱記録層に用いる結合剤としては、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素ポリビニルアルコール、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス、スチレン−ブタジエン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0027】
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、これらの助剤として、カオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素−ホルマリン樹脂フイラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、消泡剤、着色染料等が挙げられる。
【0028】
更に、発色感度と記録画質を高めるために支持体と感熱記録層の間に吸油性顔料または中空粒子を主成分とした下塗層を設けたり、各種層を形成した後にスーパーカレンダーによる平滑化処理を施すことなどもできる。また、裏面からの可塑剤や油等の影響をなくすために、結合剤や、結合剤と白色顔料からなる裏塗り層を感熱記録シートの裏面に設けて保存性を一層高めることもできる。
【0029】
下塗層を設ける場合には、その塗工量が少なすぎるとその効果が小さく、多すぎると紙の強度が弱くなり経済的でもないので、通常3〜20g/m2、特に5〜10g/m2とする。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部、及び%は質量部、及び質量%を示す。
【0031】
実施例1
[下塗り層塗液の作成]
アンシレックス(エンゲルハード製、焼成カオリン) 100部
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 4部
48%スチレン−ブタジェン系ラテックス 40部
20%リン酸エステル変成澱粉水溶液 30部
以上の配合に水を加えて撹拌し、固形分濃度40%の下塗り層塗液を作成した。55g/m2の基紙にブレードコーターで乾燥塗布量10g/m2になるよう塗抹乾燥し、下塗層を設けた支持体を得た。
【0032】
[分散液の作成]
(A)液
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フル
オラン 100部
10%スルホン化変性PVA水溶液 80部
水 100部
A液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が0.8μmとなるまで粉砕した。
(B)液
ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン 50部
2−ベンジルオキシナフタレン 70部
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン 20部
10%スルホン化変性PVA水溶液 70部
水 160部
B液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が1μmとなるまで粉砕した。
(C)液
軽質炭酸カルシウム 10部
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 1部
水 14部
C液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製)を用いて体積平均粒子径が2μmの顔料分散液を得た。
【0033】
[感熱記録層塗液の調整]
次の配合で感熱記録層塗液を調整した。
(C)液 25部
(B)液 75部
10%ポリビニルアルコール水溶液 100部
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
(A)液 18部
水 20部
この感熱記録層塗液を用いて、上記下塗層を設けた支持体にエアナイフコーターにて乾燥塗布量5g/m2になるよう塗抹乾燥し、感熱記録層とした。
【0034】
[保護層塗液(D)の作成]
次の配合で第一層目の保護層塗液(D)を調整した。
この保護層塗液を用いて、上記感熱記録層にジェットファウンテンにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量1.5g/m2になるよう塗抹乾燥し、第一層の保護層を形成した。
[保護層塗液(E)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(E)を調整した。
この保護層塗液(E)を用いて、上記の保護層塗液(D)で第一層目の保護層を設けた該感熱記録層上にジェットファウンテンにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥し、第二層目の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。保護層塗液(D)および(E)の塗工時の温度は25℃に調整した。以下の実施例、比較例の保護層塗液の塗工時温度も記載の無い場合は同様の温度とした。
【0035】
実施例2
[保護層塗液(F)の作成]
次の配合で第一層目の保護層塗液(F)を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM1050)
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 0.4部
実施例1で、第一層目の保護層塗液を(F)に換え、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥した以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0036】
実施例3
[保護層塗液(G)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(G)を調整した。
実施例1で、第二層目の保護層塗液を(G)に換えた以外は実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0037】
実施例4
[保護層塗液(H)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液(H)を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM3446−1)
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527) 10部
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 8部
実施例2で、第二層目の保護層塗液を(H)に換え、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.2g/m2になるよう塗抹乾燥した以外は実施例2と同様にして感熱記録シートを得た。
【0038】
実施例5
実施例1の第二層目の保護層塗液(E)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を3部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0039】
実施例6
実施例1の第二層目の保護層塗液(E)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を20部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0040】
実施例7
実施例2の第一層目の保護層塗液(F)に水20部を加えた塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0041】
実施例8
実施例4の第二層目の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を50部とした以外は、実施例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0042】
比較例1
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、ジェットファウンテンにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥して単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0043】
比較例2
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、ジェットファウンテンにて塗布後ブレードコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥し、単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0044】
比較例3
実施例1の保護層塗液(E)を用いて、実施例1と同様にして下塗り層、感熱記録層を順次設けた該感熱記録層に、カラーロールにて塗布後プレーンロッドコーターにて乾燥塗布量2.7g/m2になるよう塗抹乾燥し、単層の保護層を設け、スーパーカレンダーでベック平滑度で600〜800秒になるように平滑化処理を行い、感熱記録シートを得た。
【0045】
比較例4
実施例4で、第一層の保護層塗液として10%ポリビニルアルコール(完全ケン化重合度1000)水溶液を用いて、カラーロールにて塗布後エアナイフコーターにて乾燥塗布量1.5g/m2になるよう塗抹乾燥し、第一層の保護層を形成した以外は実施例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0046】
比較例5
[保護層塗液(I)の作成]
次の配合で第二層目の保護層塗液を調整した。
20%二層構造アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 100部
(三井化学製、OM1050)
50%ステアリン酸亜鉛エマルジョン 8部
20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527) 10部
25%ポリアミド−エピクロロヒドリン架橋剤 8部
比較例4の第二層目の保護層塗液を(I)に変えた以外は、比較例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0047】
比較例6
実施例4の第二層目の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を50部とした塗液を第2層目の保護層塗液に用いた以外は、比較例4と同様にして感熱記録シートを得た。
【0048】
比較例7
実施例4の第二層の保護層塗液(H)の20%シリカ(水沢化学工業製、ミズカシルP527)10部を0部とした塗液を第2層目の保護層塗液に用いた以外は、比較例4と同様にして、感熱記録シートを得た。
【0049】
以上、実施例1〜8、比較例1〜7で得られた感熱記録シートを以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。表2は、実施例、および比較例で使用した保護層塗液のBM粘度計の60rpmでの粘度、円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度を示す。尚、粘度の測定温度は、塗工時の塗液温度の25℃で測定した。
【0050】
「発色性」
大倉電機製発色テスト機でヘッド抵抗2800オームの熱ヘッドを用い、パルス巾1.2msecで発色させて濃度をマクベス型反射濃度計で測定した。数字の大きい程濃度が高い。実用上1.20以上あれば問題ない。
【0051】
「白色度」
JIS P8123に準じて記録面の白色度を測定した。数字の大きい程白色度が高い。実用上80%以上あれば問題ない。
【0052】
「耐可塑剤性」
印字した感熱記録シートの上にジオクチルフタレートを30%含有した塩化ビニルシートを重ね合わせ40℃乾燥機中に24時間放置し、処理後の発色部の濃度低下を目視で評価した。評価基準は次の様にした。
○:殆ど濃度低下がない。
△:やや濃度低下あるが、使用可能。
×:濃度低下大。
【0053】
「スティッキング」
市販のラベル発行機(IP21EX:石田衡器製)を用い、ヘッドテストパターにて記録を行い、印字サンプルの白飛びを下記の判定基準で評価した。
○:白飛び発生なし。
△:白飛びが若干発生(実用上は使用可能)。
×:極めて白飛びが多い。
【0054】
「塗りムラ」
感熱記録シートの保護層上からエチルアルコールを滴下し、1分後、過剰のエチルアルコールをふき取り、感熱記録層の発色度合いから保護層の塗りムラを目視で評価した。
○:ほとんど発色がない。
○△:若干発色部分がある。
△:若干発色が大きい部分もあるが、使用可能。
×:発色が大きい部分が多い。
【0055】
「水剥がれ」
感熱記録シートを水に浸け、24時間放置後塗層剥がれの有無を評価した。
○:剥がれない。
×:剥がれが発生。
【0056】
「インキ密着性」
UV硬化型インキ(T&K TOKA製ベストキュアー金赤)を0.2cc取り、RIテスター(石川島産業機械(株)製MR1−1型)で2分間インキを練り、本発明の各サンプルの感熱記録面にベタ印刷を行った。印刷後、印刷面に2KWのUV灯を速度10m/分のスピードで通してインキを硬化させた。印刷面にセロテープを貼り、その後手でセロテープを剥がしてインキの剥離面の有無を目視観察により評価した。
○:剥がれの発生がない。
△:若干インキの剥がれあり。
×:インキが剥がれている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
注1)60rpmでの粘度
注2)せん断速度104/sでの粘度
【0059】
表1より次のことが評価される。感熱記録層の上に水分散性の二層構造アクリル酸エステル(樹脂A)を主成分とする第一層目の保護層を設け、同じく水分散性の二層構造アクリル酸エステル(樹脂B)を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層を設けることにより発色感度が高く、画像保存性、耐水漬け耐性、機器マッチング性、インキ密着性に優れた感熱記録シートが得られる。樹脂Bと顔料の比率は、樹脂Bに対して5〜30質量%で、発色感度、画像保存性、機器マッチング性のバランスが取れる。更に表2より、BM粘度計の60rpmでの粘度が100〜3000Pa・sで、円錐円板粘度計のせん断速度104/Sでの粘度が20〜100mPa・sに調整した塗液をジエットファウンテンにより感熱層に塗布後ロッドにより塗工量制御することで、より均一な保護層が得られるためより画像保存性に優れた感熱記録シートが得られる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は感熱記録シートにおいて、発色感度が高く、画像保存性、耐水浸け耐性、機器マッチング性、インキ密着性が優れた感熱記録シートを提供する。
Claims (3)
- 支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料、加熱により該染料を発色させる電子受容性酸性物質及び結合剤を主成分とする感熱記録層を設け、該感熱記録層上に水分散性の結合剤を主成分とする第一層目の保護層、及び水分散性の結合剤を主成分とし、顔料を含有する第二層目の保護層をこの順に設けた感熱記録シートにおいて、該保護層の何れもが水分散性の結合剤として二層構造アクリル酸エステル共重合体を主体とし、第一層目の保護層は、核がアクリルニトリルを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合の二重構造アクリル酸エステル共重合体(樹脂A)であり、第二層目の保護層は、核がスチレンを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体で、外層がメタクリル酸アミドを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体である二重構造アクリル酸エステル共重合体(樹脂B)であることを特徴とする感熱記録シート。
- 該第一層目の保護層が基本的に顔料を含有せず、第二層目
の保護層が、全固形分の70〜95質量%が水分散性の結合剤であり、該結合剤に対して5〜30質量%が顔料であることを特徴とする請求項1記載の感熱記録シート。 - 請求項1または2記載の感熱記録シートの製造方法であり、第一層目の保護層用塗液、および第二層目の保護層用塗液の少なくとも何れかの塗液が、BM粘度計の60rpmでの粘度が100〜3000mPa・s、且つ円錐円板粘度計のせん断速度104/sでの粘度が20〜100mPa・sであり、該塗液をジェットファウンテンにより感熱記録層面に塗布後、ロッドにより塗工量を制御して塗工することを特徴とする感熱記録シートの製造方法。
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JP2002313663A JP2004148556A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 感熱記録シート及びその製造方法 |
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JP2009155746A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Oji Paper Co Ltd | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 |
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2002
- 2002-10-29 JP JP2002313663A patent/JP2004148556A/ja active Pending
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