JP5315525B2 - X線検出器 - Google Patents
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Description
直接型X線検出器は、X線を直接電気信号に変換する検出素子を2次元的に配列した検出素子アレイと、検出素子アレイが搭載された基板とから構成されている。
間接型X線検出器は、検出素子がX線を光に変換するシンチレータと、光を電流に変換する光電変換素子とが光学的に結合されて構成されている。
また被検体を透過したX線がX線検出器へ入射する際、X線検出面に垂直に入射するX線以外のX線(以下散乱X線という)がX線入射面に直接入射すると、X線検出器の出力が大きくなって計測パス上の被検体のX線減衰量が実際より小さくなるように計測され、その結果散乱X線を含んだデータにより再構成されたCT画像は画質が劣化する。
このためX線検出器を構成する検出素子アレイの上面には、チャンネル方向にほぼ等間隔に設けられ、かつスライス方向に平行するよう複数枚のコリメータ板が設けられていて、これらコリメータ板により散乱X線がX線入射面に直接入射するのを防止している。
特許文献1に記載されたX線CT用固体検出器は、シンチレータアレイと光電変換アレイが基板に搭載された検出器ブロックと、複数のコリメータ板が支持体に固着されたコリメータ装置より構成されている。
そして検出器ブロックの基板の中心線に、シンチレータアレイと光電変換アレイの中心線を合わせ基板上に両者を固着し、その中心線上にコリメータ板の片面と位置決めブロックの基準面が当接するよう基板上位置決めブロックを基板上に固着している。
これによって位置決めブロックとコリメータ板の間に隙間が生じないようにコリメータ板と検出器ブロックを配設できるので、隙間によるバラツキ誤差を発生させず、CT画像上に悪影響を与えない等の効果を有している。
検出素子がスライス方向へ多数配列されると、検出素子アレイのスライス方向の長さが長くなるため、各検出素子の間に配置されたコリメータ板の長さもスライス方向の長さに比例して長くなり、前記特許文献1に記載されたコリメータ装置のように、各コリメータ板の両端を支持体により支持した構造では、次のような問題が生じる。
すなわち、X線CT装置に使用するX線検出器は、被検体を挟んで対向するよう回転板に設置されていて、回転体の回転とともに被検体を中心に高速で回転されるが、両端部のみが支持体により支持された引用文献1に記載のコリメータ装置では、コリメータ板の長さが長くなると、X線検出器に作用する遠心力等によりコリメータ板が変形し、その結果計測誤差が発生してCT画像上にアーチファクトとして現れ、X線CT装置の診断能を著しく低下させる問題が発生する。
本発明は、かかる問題を改善するためになされたもので、遠心力等によりコリメータ板が変形するのを防止したX線検出器を提供することを目的とするものである。
その結果アーチファクト等に影響されることのない鮮明なX線スライス画像が容易に得られるようになり、X線CT装置の診断能を向上させることができる。
図1に示すマルチスライス型X線CT装置のガントリ1は、中央部に円形の開口部1aを備え、この開口部1aの中心部に、被検体2を寝かせる寝台1bが水平に設置されている。
ガントリ1内には、被検体2を中心に回転する円板状の回転体5が設けられていて、この回転体5に、被検体2を挟んで対向するようX線管3とX線検出器本体4が配置されている。
そして回転体5の回転とともに、X線管3より被検体2へほぼ扇状にX線6が照射され、被検体2を透過したX線6は、X線検出器本体4により受光される。
シンチレータアレイ7は、被検体2のスライス方向と直交するチャンネル方向に多数のシンチレータ素子7aが配列されたシンチレータ素子列を、スライス方向に例えば64列設けることにより構成されている。
光電変換素子アレイ8も同様に、チャンネル方向に多数の光電変換素子8aが配列された光電変換素子列を、チャンネル方向に例えば64列設けた構成となっていて、シンチレータアレイ7の各シンチレータ素子7aと光電変換素子アレイ8の各光電変換素子8aを積層することにより、互いに光学的に結合された状態で基板9に搭載されている。
このため構成部品の歩留まりや組み立ての容易化を考慮して、X線検出器本体4を予め複数のX線検出モジュール10に分割して製造し、これらX線検出モジュール10を精度よく接合して、一体構造のX線検出器本体4を製作してもよい。
各X線検出モジュールの間に、コリメータ板支持手段12の中間支持部材12aを図3に示すようにチャンネル方向に介在させて、各X線検出モジュール10の間が接着剤により接合されている。
なお接着剤としては、X線6の減衰が少ない例えば透明エポキシ樹脂系のものを使用している。
コリメータ支持手段12の中間支持部材12aには、X線による劣化が少なく、かつX線吸収量が少ない、例えば厚さが最大でも数100ミクロン程度のエポキシ樹脂系フィルムが使用されている。
各スリット12bは、シンチレータアレイ7の各シンチレータ素子7a間に位置するようダイサー加工等の手段により精度よく形成されていて、これらスリット12bに上方からコリメータ板14のほぼ中間部が嵌入されている。
コリメータ板14のほぼ中間部とスリット12bの間は、例えば透明エポキシ樹脂系接着剤により接着されていて、X線CT装置の稼動中に遠心力が作用しても、スリット12bより各コリメータ板14の中間部が抜け出さないようになっている。
コリメータ板14の高さは、中間支持部材12aの高さよりやや高く、かつ長さはX線検出器本体4のスライス方向の長さとほぼ同じに形成されていて、各コリメータ板14の両端部は、コリメータ支持手段12の端部支持部材12cにより支持されている。
端部支持部材12cは、図4に示すように基板9の両端側上面に固着されていて、中間支持部材12aの側面とほぼ同形状の側面を有している。
端部支持部材12cの互いに対向する側面に、中間支持部材12aに形成されたスリット12bと同配列となるようスリット12dが、ダイサー加工等の手段により精度よく形成されていて、これらスリット12dに各コリメータ板14の両端部が上方より嵌合されている。
各コリメータ板14の両端部とスリット12dの間は、例えば透明エポキシ樹脂系接着剤により接着されていて、X線CT装置の稼動中に遠心力が作用してもスリット12dより各コリメータ板14の両端部が抜け出さないようになっている。
X線検出器本体4は、前述したように複数のX線検出モジュール10に分割された状態で製作された後、各X線検出モジュール10を接着剤で接合して一体構造のX線検出器本体4とされる。
複数のX線検出モジュール10をスライス方向へ接合する際、スライス方向のほぼ中間位置にコリメータ板支持手段12の中間支持部材12aを介在させた状態で、各X線検出モジュール10を接合し、スライス方向の両端側には、コリメータ板支持手段12の両端支持部材12cを基板9上に固着する。
コリメータ板支持手段12の中間支持部材12a及び両端支持部材12cには、ダイサー加工等の手段によりX線管4の焦点Oを中心とする放射方向にスリット12d,12bが精度よく形成されているため、コリメータ板14を各スリット12d,12bへ嵌挿することにより、X線検出器本体4に対しコリメータ板14を精度よく組み立てることができる。
回転体5の中心に位置させた被検体2をマルチスライスして、X線スライス画像を得るに当り、まず図示しない操作手段よりスライス幅を設定し、X線CT装置の運転を開始する。
X線CT装置の運転開始とともに回転体5が回転を開始し、同時にX線管3より被検体2に向けてX線6が照射される。
被検体2には図1に示すように、X線が照射されて、被検体2がX線6によりスライスされると共に、被検体2を透過したX線6は、被検体2を挟んでX線管3と対向するように設けられたX線検出器本体4に達する。
シンチレータアレイ7の各シンチレータ素子7aに受光されたX線6は、光に変換された後、シンチレータアレイ7と光学的に結合された光電変換アレイ8の各光電変換素子8aによりX線強度に比例した電気信号に変換されて図示しない画像処理手段へと出力され、画像処理手段により画像が再構成されて、マルチスライスされた被検体2のX線スライス画像が得られるようになる。
特にマルチスライス型X線CT装置に設置されたX線検出器本体4は、スライス方向の長さが長く、これに合わせて製作されたコリメータ板14の長さも長いため、コリメータ板14に遠心力が作用すると、金属薄板により形成されたコリメータ板14は、遠心力により変形しようとする。
しかしコリメータ板14のほぼ中間部がコリメータ板支持手段12の中間支持部材12aにより、そして両端部が両端支持部材12cにより強固に支持されているため、コリメータ板14に大きな遠心力が作用してもコリメータ板14が撓んだり、変形することがない。
これによって計測誤差が発生してCT画像上にアーチファクトとして現れ、X線CT装置の診断能を著しく低下させるという従来の問題を解消することができる。
これを防止するため、ソフトにより補正する方法を、図5を参照して説明する。
いまX線検出モジュール10の内部センサピッチをAmm、X線検出モジュール10の端部間センサピッチを(A+d)mm、X線検出モジュール10のスライス方向のセンサ列数をN列とする。
そして画像処理手段により画像を再構成する際に、X線検出モジュール10内のセンサピッチを[A+d/(N−1)]mmと補間することにより、スライス方向のセンサピッチが全て等間隔となるデータに補正されるため、画像の再構築が問題なく行えるようになる。
なお前記実施の形態では、X線検出モジュール10の間に中間支持部材12aを1個所設けた場合について説明したが、X線検出モジュール10をスライス方向へ接合する際、複数個所に中間支持部材12aを設けるようにしてもよい。
またシンチレータアレイ7と光電変換アレイ8を光学的に結合する方法としては、透明エポキシ樹脂系の接着剤を使用して接合する方法を採用するが、シンチレータアレイ7の表面積が光電変換アレイ8の表面積より小さい場合、シンチレータアレイ7の接合部に接着剤の一部がはみ出すことがある。
すなわちX線検出モジュール10をスライス方向へ結合する際、シンチレータアレイ7の間にはみ出した接着剤を除去せずに、そのまま硬化させる。
そして接着剤が硬化したところで各シンチレータ素子7a間にダイサー加工等の手段でスリットを形成し、これらスリットにコリメータ板14のほぼ中間部を挿入して、別の接着剤により固着する。
何れの方法でも前記実施の形態と同様に、X線検出器本体4に遠心力が作用しても、コリメータ板14が撓んだり変形するのを防止することができる。
また何れの変形例の場合も、シンチレータアレイ7の間にはみ出した接着剤13の厚みによりX線検出モジュール10の端部間ピッチがX線検出モジュールの内部センサピッチと異なることがあるが、前記実施の形態と同様な方法で補正することにより、画像処理手段が画像を再構築する際発生する問題を解消することができる。
また別の変形例として、前記実施の形態及び各変形例によりX線検出器本体4にコリメータ板14を組み込んだ後、各コリメータ板14の間に、X線の減衰が少ない例えば透明エポキシ樹脂系接着剤を流し込んで、X線検出器本体4と一体となるようコリメータ板14全体をモールドするようにしてもよい。
さらに前記実施の形態では、間接型X線検出器の例について説明したが、直接型X線検出器に対して適用可能であることはいうまでもない。
2 被検体
3 X線管
4 X線検出器本体
5 回転体
6 X線
7 シンチレータアレイ
7a シンチレータ素子
8 光電変換アレイ
8a 光電変換素子
9 基板
10 X線検出モジュール
12 コリメータ板支持手段
12a 中間支持部材
12c 両端支持部材
Claims (3)
- 被検体を透過したX線を電気信号に変換する検出素子がスライス方向及び前記スライス方向に直交するチャンネル方向に複数配列された検出素子アレイと、前記検出素子アレイが搭載された基板とにより積層構造のX線検出器本体を構成すると共に、前記X線検出器本体のX線入射面側に、散乱X線の入射を防止する複数枚のコリメータ板を、前記スライス方向と平行するように設けたX線検出器であって、
前記コリメータ板の両端部と、少なくともほぼ中間部を支持するコリメータ板支持手段を備え、
前記コリメータ板支持手段は、前記コリメータ板の両端を支持する両端支持部材と、前記コリメータ板のほぼ中間部を支持すべく、X線吸収量が前記コリメータ板よりも少ない材質からなる中間支持部材とから構成され、かつ前記両端部支持部材及び前記中間支持部材に複数のスリットを形成すると共に、前記各スリットに前記コリメータ板の両端部とほぼ中間部を嵌着することにより、前記コリメータ板支持手段により前記コリメータ板を支持してなることを特徴とするX線検出器。 - 前記X線検出器本体を、スライス方向に複数分割されたX線検出モジュールにより形成し、前記X線検出モジュールの間に前記中間支持部材を介在させて前記コリメータ板のほぼ中間部を支持してなる請求項1に記載のX線検出器。
- 前記中間支持部材はエポキシ樹脂系フィルムからなると共に、前記スリットは前記被検体にX線を照射するX線管の焦点を中心とする放射方向に形成されている請求項1または2に記載のX線検出器。
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