JP3549169B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はX線により人体などの被検体の断層映像を得るX線CT装置に関し、特に、X線CT装置のX線検出器の構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線により患者など人体の断層映像を得るX線CT装置では、X線の発生源から放射されて被検体を通過したX線を入射部のX線検出素子で検出する。すなわち、かかる装置のX線検出素子は、X線発生源であるX線管の焦点と検出素子の中心とを結んだ線上(計測パス)に存在する被検体部分によるX線の減弱を計測することとなるが、しかしながら、被検体の他の部分からの散乱X線が入射されると、この計測に誤差を生じることになる。すなわち、散乱X線が入射することにより、その検出素子の出力は実際の値よりも大きくなり、計測パス上の被検体の減弱がみかけ上小さくなるように測定されてしまい、計測に誤差が生じることとなる。
【0003】
このような誤差が増えると、これらの計測データを使って再構成されるCT画像(断面画像)では、分解能の低下が起こってくる。特に、濃度分解能と呼ばれる低コントラスト分解能の低下が問題となってくる。その他にも、このような誤差の発生を原因としたものとして、臨床的にはリブアーチファクトと呼ばれる肋骨の内側のCT値が沈み込み、これによって画像上に黒い領域が現われたり、あるいは、肝臓の中のCT値が場所によってばらつくといったことが生じてしまう。
【0004】
従来、かかる散乱X線による悪影響を取り除くため、電離箱検出器では、添付の図9に示すように、X線管焦点と入射部とを結ぶ線と平行に、多数の高圧電極板を配置した構造のものが提案されている。かかる構造の検出器では、高圧電極板がある程度のグリッドの効果を持ち、そのため、X線管焦点の方向から入射するX線に対する感度に比較すると、斜めから入射する散乱X線に対する感度はかなり低くすることが可能になる。
【0005】
それに対し、添付図10に例示するような、いわゆる、隔壁板により仕切られたシンチレータとフォトダイオードからなる光電変換素子とを組み合わせた固体検出器では、上述のようなグリッドの効果が無いため、散乱X線による悪影響を取り除くことが出来ない。これは、図からも明らかなように、散乱X線が斜め方向から入射してきた場合、検出器を斜め方向から見込んだ時のほうが、正面から見た場合よりも、チャンネル幅が狭くなるという多少の効果はあるものの、しかしながら、X線管焦点の方向から入射するX線に対する感度と、斜めから入射する散乱X線に対する感度との差はあまりない。そのため、電離箱検出器では画像アーチファクトとしてあまり問題とならなかったレベルの散乱X線についても、かかる固体検出器では、画質の低下を生じることが多い。
【0006】
従来、かかる固体検出器における上記のような問題点は、固体検出器の入射部分に上記グリッドの効果を持つチャンネル方向のコリメータを配置することによって解決することが出来ることが、例えば、米国特許第4,338,521号などにより既に知られている。すなわち、この米国特許により知られる検出器は、シンチレータ、フォトダイオード(あるいはフォトマル)、印刷配線板、信号取り出し用コネクタ、及び、チャンネル方向コリメータなどを一体に組み合わせた検出素子モジュールを用意し、この検出素子モジュールを複数、検出器容器の内部に並べる構造のものである。かかる構造の検出素子では、固体検出素子(すなわち、シンチレータとフォトダイオード)とチャンネル方向コリメータとの間の位置合わせが正確に行えること、さらには、不良チャンネルが発生したときにはモジュール単位での交換が簡単に可能であるなどの利点が上げられる。
【0007】
しかしながら、この従来技術では、チャンネル方向コリメータも素子モジュール単位で分割されるため、部品点数が増えてしまい、そのためコストが上昇し、また、モジュール単位で検出器容器内に配置される構造であるため、検出器の制作時においては、モジュールの数だけ位置合わせをする必要がある。そのため、検出器容器の側(壁)面のモジュール保持部には、モジュールを位置合わせして固定するための、いわゆる位置決め用ピンや穴を、多数、高精度に形成しておく必要があり、かつ、これら多数のモジュールを、個別に、X線管焦点やスライス方向のコリメータに対して高い精度の位置合わせを行いながら配置して固定するという作業を必要とするという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述の従来技術によれば、特に、散乱X線による悪影響を取り除くため、固体検出器におけるグリッドの効果を持つチャンネル方向のコリメータを配置することは既に提案されているものの、しかしながら、かかるグリッド効果を有するチャンネル方向のコリメータを固体検出器と共に、高精度でかつ簡単に配置して固定するための具体的な構造は、未だ、提案されていなかった。
【0009】
ところで、一般に、固体検出器のX線検出素子は、入射してきたX線によるシンチレータでの発光や散乱が隣接チャンネルに入り込んでクロストークを生じることを防ぐために、各検出素子の間は隔壁板によって仕切られた構造を備えている。この隔壁板によって仕切られた検出素子の境界部は、構造的に、入射X線に対しての感度を持たない。一方、チャンネル方向のコリメータを固体検出素子と組み合わせた場合、入射してきたX線は、このチャンネル方向コリメータ板によって吸収され、後方へは達しない。そのため、入射X線の利用効率を考慮すると、このチャンネル方向コリメータ板は、検出素子の感度がない検出素子境界部分に配置するのが望ましく、また、このチャンネル方向コリメータは、X線検出素子のピッチと同じものを、全チャンネルにわたり精度よく位置合わせを行う必要がある。
【0010】
一方、かかるチャンネル方向コリメータ板を、全チャンネルにわたって一体物のチャンネル方向コリメータとして製造することにより、全チャンネルでの位置精度が高い物を作成することができるが、しかしながら、その組立の途中に一部でも不具合があり、精度不良のチャンネルが生じると、それにより、コリメータ全体が不良となってしまうという問題点がある。
【0011】
また、本発明の適用される円弧状のスライス方向コリメータを有する構造のCT装置用X線検出器においては、上記のチャンネル方向コリメータ板を固定するためには、溝などをスライス方向コリメータの円弧状の内周面に加工しなければならないが、上述のように、全チャンネルを一体物として作成する場合には、加工するワークの寸法、及び、加工時の回転角度も大きくなり、その加工精度を確保することが困難となってしまうという不都合がある。
【0012】
あるいは、チャンネル方向コリメータを一体物ではなく、これを幾つかに分割して複数のブロックによって構成する方法では、既述のように、コリメータ部品の加工は比較的簡単でかつ精度よく行えるが、各コリメータブロックは正確にX線管焦点を中心とした円弧上に配置する必要があり、隣接するコリメータブロックとの相対位置、角度、及び、X線検出素子との位置合わせを、これらブロックの数量分だけ行わなければならず、加えて、この位置合わせの精度によって検出器の特性が左右されるため、高精度の合わせ込みを行なわなければならない。そのため、従来では、この高精度の合わせ込みを行なうために、例えばチャンネル方向コリメータの外形に合わせ、各コリメータブロックを所定の位置に配置するための位置合わせ治具などを使用していたが、この治具のセッティングなどにも工数がかかっていた。
【0013】
また、固体検出器では、シンチレータと光電変換素子を組み合わせた検出素子が、基板上に複数配列されて多チャンネルのX線検出素子アレイが形成され、これら基板上の検出素子アレイは、X線管焦点を中心としてポリゴン(多角形)状に配置される。そのため、このポリゴン状に配置される検出素子の配置にまったく一致するように上記チャンネル方向コリメータを構成する多数のグリッド板を配置しようとすると、その構造は複雑なものとならざるを得ない。
【0014】
これに対し、チャンネル方向コリメータのグリッド板を等角度ピッチに配置することにより、チャンネル方向コリメータの構造を簡単にすることも出来るが、しかしながら、X線検出素子アレイは、検出素子間の特性のばらつきを少なくするためにも各検出素子ピッチは等間隔になっているので、このまま等角度ピッチで配列されるグリッド板と組み合わせると、検出素子とグリッド板との間で、すなわちチャンネル位置がわずかではあるがずれてしまう。このように、グリッド板と検出素子の位置がずれてしまうことは、検出器における検出特性のずれを生じさせ、特に、このずれは検出素子アレイごとの周期的な特性のずれとなるため、最終的には、得られる断層画像上にリング状のアーチファクトを発生させる原因となる。
【0015】
そこで、本発明では、上記のような従来技術における問題点に鑑み、すなわち、固体検出器において複数のグリッド板を有するチャンネル方向のコリメータを、固体検出器を構成するX線検出素子と共に高精度でかつ簡単な構造で配置して固定するための構造を提供し、もって、装置全体として安価に組み立てることが可能なCT装置用X線検出器を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、X線源と、円弧状のX線検出器を収納したX線検出器容器と、を備えて被検体の断層像を得るX線CT装置において、
X線源からのX線入射側に円弧状に配置されてスライス方向及びチャンネル方向にX線をコリメートするコリメータ手段と、このコリメータ手段でコリメートされたX線放出側に円弧状に配置されて、コリメートされた各チャンネル対応のX線を入射しこれを増倍し電気信号に変換出力するX線検出素子群と、を有するX線検出器容器を備え、
上記コリメータ手段は、複数のチャンネル毎に分割したコリメータブロックを、円弧状に配置して構成されたものとし、
この各コリメータブロックは、
チャンネル方向のコリメートを行う複数のグリッド板と、このグリッド板をスライス方向側の両端で支持する保持材と、を有するチャンネル方向コリメータブロックと、
所定の高さを有しその下部内側に段差部を持ち、この段差部に上記保持材を当接して固定させた、スライス方向コリメータブロックと、
を備えたものとする、
X線CT装置を開示する。
【0017】
更に本発明は、X線CT装置において、前記X線検出素子群は、シンチレータと光変換素子とを積層配置してなるX線検出素子を隔壁板により等間隔に分離し、これら検出素子を基板上に、複数、等間隔に配置して構成したものとし、前記検出器容器内に、複数、前記X線発生源を中心とする円弧に沿ってポリゴン状に配置して構成していることを特徴とするX線CT装置。
【0018】
更に本発明は、X線CT装置において、前記チャンネル方向コリメータグリッド板の板厚を、少なくとも前記基板上に形成した各検出素子間に配置された前記隔壁板の板厚よりも大きくしたことを特徴とするX線CT装置を開示する。
【0019】
【作用】
X線検出素子群の入射側には、スライス方向に対して斜めに入射してくる散乱線をある程度さえぎり、また中央部分に比較してチャンネル間の感度ばらつきの大きいX線検出素子群の端側に入射するX線を制限するためのスライス方向コリメータが設けられている。そこで、このX線検出素子群の入射側に設けてあるスライス方向コリメータブロックの下部にチャンネル方向コリメータブロックを組み込み一体化する構造にすることにより、チャンネル方向コリメータの相互位置・角度を簡便に精度よく合わせることが可能となる。
【0020】
すなわち、スライス方向コリメータブロックの下部内側段差部に複数のチャンネル方向コリメータブロックを当接して固定したことでコリメータブロックを構成し、これを円弧状に容器内に配置することで検出器を得る。かくして、大型で精度のよい加工機を使用することなく、チャンネル方向コリメータの構成部品を高精度で製作可能であり、また、チャンネル方向コリメータブロック間の相対位置関係も簡単にかつ正確に合わせることが出来る。これにより、X線検出素子に入射してくる大部分の散乱X線を除去し、かつ、チャンネル間特性のそろった、良好なX線検出器を作成でき、アーチファクトの無い診断能の高い良好なCT画像を得ることが可能になる。
【0021】
また、X線検出素子アレイを前記X線発生源を中心にした円弧に沿って配列することにより、前記チャンネル方向コリメータのの構造を複雑にすることなく、基板平面上に光変換素子やシンチレータを複数、隔壁板によって等間隔に分離して形成したX線検出素子アレイを、比較的簡単に位置決めすることが可能になり、さらに、前記グリッド板の板厚を厚くすることにより、グリッド板を等角度で配置して構成する、比較的簡単に制作できるチャンネル方向コリメータに対しても、グリッド板の板厚を考慮することにより、周期的な特性ずれを起こさず、等角度ピッチの比較的簡単な構造のグリッドを使用して斜入する散乱線を除去し、アーチファクトの発生を抑制することが出来る。
【0022】
すなわち、上記の検出素子アレイをポリゴン状に配置する構成によれば、検出素子アレイの端チャンネルはX線管焦点から見るとやや斜めに見込むことになり、チャンネルの開き角は中央チャンネルに比較するとやや小さくなり、検出素子アレイの端チャンネルへいくほど素子角度ピッチも小さくなる。特に、等角度ピッチのコリメータと組み合わせると、検出素子とグリッドのチャンネルのずれは、検出素子アレイの端チャンネルで最も大きくなる。そこで、このグリッド板の板厚を、この最大ずれ分を考慮して、検出素子アレイに使っている隔壁板の厚さ以上に厚くすることにより、グリッドと検出素子とのチャンネル位置ずれによる特性ずれをなくすことができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、添付の図面を参照しながら説明を行うこととする。
図2には、本発明の実施例であるX線CT装置の原理的な構造が示されており、すなわち、図に符号10で示されるX線の発生源、すなわち、X線管から放射されたX線は、例えば患者など、被検体20を通過した後、X線検出器を内蔵した検出器容器30において検出される。そして、これによって計測されたデータを使い、図示されない電子計算機などにより所定の画像処理演算を行い、もって、被検体の断面画像であるCT画像を再構成することとなる。この図からも明らかなように、この検出器容器30は、上記X線管10の焦点位置を中心にして円弧状に湾曲して形成されており、この容器内には検出素子全体が納められ、具体的には、後に詳述するシンチレータ及びフォトダイオードやそれらを支持しているプリント配線基板さらにはスライス方向コリメータなどは、この容器30内に配置されて固定されている。なお、この図の紙面上、横方向(矢印Cで示す)は、X線検出器が多数並べられていおり、チャンネル方向と呼ばれ、紙面の表裏方向(印Sで示す)は、撮影される被検体の断面の幅である、いわゆるスライス方向を示している。
【0024】
次に、図1には、上記検出器容器30の断面構造が示されている。この図からも明らかなように、被検体を透過して図面の上から下に向かってきたX線は、検出器容器30の内周面(図の上側面)上に形成されたスライス方向に幅Wの検出器入射部Eを通り、検出素子を構成するシンチレータ41に入射する。このシンチレータ41は、その入射X線の強度に応じて発光し、その光をシンチレータ41の下側に層状に接触して配置されているフォトダイオード42で受け、ここで電気信号(電流)に変換される。この変換された信号電流は、プリント配線基板43、コネクタ44、さらには、信号ケーブル45を通り、後段に接統されている図示しない増幅回路などへ送られる。
【0025】
なお、上記幅Wの検出器入射部Eは、検出器容器30の内周面上に対向して配置された一対のスライス方向コリメータ31、31によって形成される。図3には、その一方のスライス方向コリメータ31の外形が示されており、略「L」字状の断面を有し、かつ、上記検出器容器30の内周面に沿って、やはり、円弧状に湾曲して形成されている。これらのスライス方向コリメータ31、31は、X線遮蔽効率を考慮すると、タングステンやモリプデンなどのX線吸収係数の高い材質を使用して形成されるのが効果的である。
【0026】
また、上記のシンチレータ41のX線入射側には、上記のスライス方向コリメータ31、31に続いて、チャンネル方向コリメータ32が設置されており、これにより、被検体20内において散乱されて検出素子に斜め方向から入射してくる散乱X線を遮蔽する構造となっている。なお、このチャンネル方向コリメータ32は複数のブロックからなり、これら複数のブロックは、上記一対のスライス方向コリメータ31、31の検出素子側に設けられた切り欠き部による段差部33、33にはめ込むようにして位置決めされて組み込まれ、その後、ネジ34、34などで固定される構造となっている。また、図中の符号35、35は、上記チャンネル方向コリメータ32を所定の位置に配置して固定するための保持材を示している。
【0027】
このチャンネル方向コリメータ32の一つのブロックBの構造が、添付の図4に示されている。図において、検出器入射部31のスライス方向に幅Wだけ離れて互いに対向して配置された一対の保持材35、35は、金属あるいはセラミック材のように精密加工に適した材料により形成され、かつ、それぞの内側面には複数の溝36、36…が等間隔に並んで形成されている。これらの溝36、36…により、上記検出器入射部31のスライス方向の幅Wよりも広い幅W’(W’=W+α>W)の溝が形成され、これら溝36、36…には、板状のチャンネル方向のコリメータ板(グリッド板)Gが挿入され、かつ、保持材35、35の溝36、36…の側壁に接着剤などにより接着固定されている。
【0028】
すなわち、チャンネル方向コリメータ32は、検出器1台について、複数のブロックに分割されることによって構成されている。そして、チャンネル方向コリメータ32を構成するそれぞれのブロックは、上記スライス方向コリメータ31、31に形成した切り欠き部による段差部33、33に、面A及び面Bを合わせるようにして固定することにより、全ブロックの位置合わせを精度よく行うことが可能となる。すなわち、チャンネル方向コリメータ32の位置合わせは、スライス方向コリメータ31、31の切り欠き部による段差部33、33の側面を基準とすることにより、各ブロック間の上下及び円弧の中心方向の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0029】
図5は、このようにして、チャンネル方向コリメータ32の複数のブロックを配列した様子を示したものである。スライス方向コリメータ31、31は、全チャンネルの長さにわたり一体の構造であるため、切り欠き部による段差部33の円弧は、高精度での加工が可能となる。また、複数構成のチャンネル方向コリメータ32のブロックは、このスライス方向コリメータの切り欠き部による段差部33を基準とするので、やはり高精度での配置あるいは位置決めが可能となる。なお、スライス方向コリメータ31、31は、検出器容器30に固定されており、また、X線検出素子もこの検出器容器30に固定されているので、スライス方向コリメータ31、31とX線検出素子との相対位置も高精度に合わせることが出来る。
【0030】
なお、チャンネル方向コリメータ32の各ブロックを構成する一対の保持材35、35は、予め、上記スライス方向コリメータ31の切り欠き部による段差部33の湾曲面に合わせて形成されており、また、それらの対向する内側面に形成される複数の溝36、36…についても、X線管焦点位置に向かうような等角度ピッチで形成されている。このような構成によれば、得られるチャンネル方向コリメータ32のブロックは、それぞれ湾曲面の一部を構成するブロックとなり、これらブロックは、スライス方向コリメータ31、31の切り欠き部による段差部33、33に配列されることにより、簡単に、X線管焦点位置に向かうような等角度ピッチで配置されることから、かかる構成を採用することにより、取り付け精度の高いチャンネル方向コリメータ32を得ることが可能になることは明らかであろう。
【0031】
すなわち、X線管焦点を中心とする円弧状のスライス方向コリメータはX線検出素子の入射部にほば接するように設けられている。このスライス方向コリメータの内側にやはりX線管焦点を中心とする円弧状の段差を設け、この段差位置にチャンネル方向コリメータブロックのX線入射側の面を突き当てて、隣接するチャンネル方向コリメータとの間隔だけを管理してやれば、チャンネル方向コリメータブロックは自動的にX線管焦点を中心とする円弧位置に配置されることになる。このようにして、正碓に位置合わせの完了したチャンネル方向コリメータをスライス方向コリメータに組み込むことができ、最終的にはこのチャンネル方向コリメータを組み込んだスライス方向コリメータをX線検出素子と正しい位置関係になるように調整し固定することにより、チャンネル方向コリメータとX線検出索子を全チャンネルにわたり正碓な位置合わせを行うことが出来る。
【0032】
続いて、添付の図6には、上記検出器容器30内に配置されるX線検出素子の構造が示されている。この図からも明らかなように、プリント配線基板43の上には、フォトダイオード42上にシンチレータ41を積層した構造のX線検出素子が、複数、分離されて形成されている。すなわち、これらシンチレータ41とフォトダイオード42を組み合わせたX線検出素子は、基板43上に、隣接チャンネルとは隔壁板46、46…を介して等間隔に分離して配置され、これにより複数の検出素子からなる検出素子アレイ47を形成している。また、上記プリント配線基板43上の検出素子が形成されたとは反対側の面上には、信号ケーブル45を接続するためのコネクタ44が取り付けられている。
【0033】
このようなX線検出素子における検出素子アレイ47の構造において、上記隣接する複数の検出素子を分ける隔壁板46、46…には、検出素子を形成するシンチレータ41に入射したX線による発光やX線の散乱が隣接チャンネルに漏れ込むクロストークを防ぐために、例えばタングステンやモリブデンなど、X線吸収係数の高い材質の薄板が使用されている。また、シンチレータ41での発光がフォトダイオード42の受光部へ効率良く導かれるように、その表面にアルミ蒸着などを施して光反射率を高めた物を使用することがさらに望ましい。
【0034】
次に、上述のように、X線検出素子を複数並べてなる検出素子アレイ47の上記検出器容器30内での配置構造について、以下に詳細に説明する。
これらX線検出素子アレイ47、47…は、添付の図7あるいは上記の図1にも示すように、検出器容器30の中に多角形状(ポリゴン状)に配置される。なお、これらの図においても、上記のチャンネル方向コリメータ32を構成するグリッド板が符号Gで示されている。
【0035】
すなわち、X線検出素子アレイ47のX線入射面側には、斜め方向から入射してくるX線を遮蔽するためのチャンネル方向コリメータ32を構成するグリッド板Gが配置されている。また、既述のように、これらのグリッド板Gは、所定の間隔で配置されるように、その両端部分が保持部材35、35により固定されている。具体的には、保持部材35の側面にはX線管10の焦点位置が中心となるような等角度ピッチの溝36、36…が形成され、この溝36、36…の側壁をガイドとし、かつ、そこに接着剤を介してグリッド板Gを固定することにより、グリッド板Gの相互位置は精度よく配置されている。
【0036】
これらのグリッド板Gは、X線検出素子の入射X線に対する感度を最も大きくするためには、隔壁板45の位置に合うように設置する必要がある。
ところで、各X線検出素子アレイ47を構成する複数のX線検出素子は、既述のように、各検出素子アレイ47内においては、一つの平面上に等間隔に配置されている。従って、一つのX線検出素子アレイ47内での隔壁板46の位置をxとすると、このxは以下の式で表される。
x=n×p
ここで、nはチャンネル番号を、pはチャンネルピッチを表す。
【0037】
また、コリメータを構成するグリッド板Gは、等角度ピッチに配置されているので、このコリメータのグリッド板の位置x’は、以下の式で表される。
x’=r×sin(n×θ)
ここで、rはX線焦点とコリメータのグリッド板との間の距離を、nはチャンネル番号を、そして、θはコリメータ角度ピッチを表している。
【0038】
ここで、例えば、上記のX線検出素子アレイ47の中央で、チャンネル方向コリメータ32のグリッド板Gと隔壁板46とが一致するように設定した場合、図8(a)に示すように、端のチャンネルに行くに従ってコリメータを構成するグリッド板Gと検出素子の隔壁板46とのずれ量が大きくなる。図8の(b)は、その関係を示したものであり、例えばX線管焦点と検出素子間の距離を1000mm、検出素子のチャンネルピッチを1mm、そして、1つのX線検出素子アレイ47が24チャンネルで構成されている場合について計算した例である。この計算により得られるずれ量は、最大でおよそ0.01mmとなる。
【0039】
また、コリメータのグリッド板Gの板厚と隔壁板46の板厚が同じである場合には、X線管焦点の方向から見込んだときのチャンネル(X線検出素子)の有感部面の面積が、上記のずれ量だけ変わってくる。この面積の違いは、検出素子の感度や特性の違いとなって現れ、本計算例では感度差は1%程度であり、この程度の値では大きな問題とはならない範囲であるが、しかしながら、特性差としては、この1%の違いは大きく、これは画像上にアーチファクトを発生させうる大きさである。
【0040】
そこで、本実施例では、コリメータのグリッド板Gの板の厚さ(d)を、上記隔壁板45の厚さ(d0)より大きく(d>d0)、具体的には、上記グリッド板Gと隔壁板46との最大ずれ量との和(隔壁板の厚さd十最大ずれ量)以上に設定されている。これにより、X線管焦点の方向から見込んだときのチャンネルの有感部面の面積は、検出素子アレイ47上の全チャンネルにおいて同じとなり、前記のグリッド板Gと隔壁板46とのずれによる検出素子の感度・特性に与える影響を解消するすることが出来ることとなる。このコリメータのグリッド板Gの板厚が厚いほど、チャンネル位置ずれに対してのマージンが大きくなるが、このコリメータ板厚さは、同時に、検出素子の出力にも影響を与える。そこで、出力低下による画像劣化を防ぐためには、このコリメータのグリッド板の厚さは、0.2mm程度が上限である。
【0041】
上記実施例では、基準線として段差部を設けて説明したが、コリメータと検出器を性格に配置するために施すものであれば何なるマーキングであってもよい。
【0042】
以上に述べてきた実施例によるX線CT装置の改良されたX線検出器の構造の利点として、高精度のチャンネル方向コリメータを簡単な構造で構成することが出来、チャンネル方向コリメータの部分の部品点数を低減でき、チャンネル方向コリメータ相互の位置合わせは必要であるがその個数が少ないため調整にかかる時間が短時間で済み、また、位置合わせのための高精度に位置決めしたピンや穴を必要としないなどの点から、精度のよいチャンネル方向コリメータと固体検出素子を組み合わせて、安価な検出器を構成することが出来ることが挙げられる。
【0043】
【発明の効果】
以上の詳細な説明からも明らかなように、本発明によれば、特に、固体検出器を利用したX線CT装置において、チャンネル方向コリメータと共に固体検出器を構成するX線検出素子を含めて、これらを、高精度でかつ簡単な構造で配置して固定することを可能とし、さらには、かかる構造によるX線検出素子の特性のばらつきにより生じるアーチファクトなどの発生を抑制し、装置全体として安価に組み立てることが可能で、かつ、良好な断層画像が得られ、診断能を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるX線CT装置の検出器容器の断面構造の詳細を示す断面図である。
【図2】上記実施例であるX線CT装置の概略構成を示す図である。
【図3】上記検出器容器を構成するスライス方向コリメータの構造を示す一部断面を含む斜視図である。
【図4】上記検出器容器のチャンネル方向コリメータを構成するブロックの構造を示す斜視図である。
【図5】上記チャンネル方向コリメータの断面と複数のブロックを配列した構造を示す正面図である。
【図6】上記検出器容器のプリント配線基板上に形成された検出素子アレイを示す斜視図である。
【図7】上記チャンネル方向コリメータのグリッドと検出素子アレイとの配列関係を示す一部拡大断面図である。
【図8】上記チャンネル方向コリメータのグリッドと検出素子アレイとの配列関係における位置ずれを説明する図である。
【図9】従来の電離箱検出素子の構造と散乱X線との関係を説明した図である。
【図10】従来の固体検出素子の構造と散乱X線との関係を説明した図である。
【符号の説明】
10 X線発生源(X線管)
20 被検体
30 検出器容器
31 スライス方向コリメータ
32 チャンネル方向コリメータ
33 段差部
34 ネジ
35 保持材
36 溝
41 シンチレータ
42 フォトダイオード
43 プリント配線基板(基板)
44 コネクタ
45 信号ケーブル
46 隔壁板
47 検出素子アレイ
E 検出器入射部
G グリッド板(コリメータ板)
【産業上の利用分野】
本発明はX線により人体などの被検体の断層映像を得るX線CT装置に関し、特に、X線CT装置のX線検出器の構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線により患者など人体の断層映像を得るX線CT装置では、X線の発生源から放射されて被検体を通過したX線を入射部のX線検出素子で検出する。すなわち、かかる装置のX線検出素子は、X線発生源であるX線管の焦点と検出素子の中心とを結んだ線上(計測パス)に存在する被検体部分によるX線の減弱を計測することとなるが、しかしながら、被検体の他の部分からの散乱X線が入射されると、この計測に誤差を生じることになる。すなわち、散乱X線が入射することにより、その検出素子の出力は実際の値よりも大きくなり、計測パス上の被検体の減弱がみかけ上小さくなるように測定されてしまい、計測に誤差が生じることとなる。
【0003】
このような誤差が増えると、これらの計測データを使って再構成されるCT画像(断面画像)では、分解能の低下が起こってくる。特に、濃度分解能と呼ばれる低コントラスト分解能の低下が問題となってくる。その他にも、このような誤差の発生を原因としたものとして、臨床的にはリブアーチファクトと呼ばれる肋骨の内側のCT値が沈み込み、これによって画像上に黒い領域が現われたり、あるいは、肝臓の中のCT値が場所によってばらつくといったことが生じてしまう。
【0004】
従来、かかる散乱X線による悪影響を取り除くため、電離箱検出器では、添付の図9に示すように、X線管焦点と入射部とを結ぶ線と平行に、多数の高圧電極板を配置した構造のものが提案されている。かかる構造の検出器では、高圧電極板がある程度のグリッドの効果を持ち、そのため、X線管焦点の方向から入射するX線に対する感度に比較すると、斜めから入射する散乱X線に対する感度はかなり低くすることが可能になる。
【0005】
それに対し、添付図10に例示するような、いわゆる、隔壁板により仕切られたシンチレータとフォトダイオードからなる光電変換素子とを組み合わせた固体検出器では、上述のようなグリッドの効果が無いため、散乱X線による悪影響を取り除くことが出来ない。これは、図からも明らかなように、散乱X線が斜め方向から入射してきた場合、検出器を斜め方向から見込んだ時のほうが、正面から見た場合よりも、チャンネル幅が狭くなるという多少の効果はあるものの、しかしながら、X線管焦点の方向から入射するX線に対する感度と、斜めから入射する散乱X線に対する感度との差はあまりない。そのため、電離箱検出器では画像アーチファクトとしてあまり問題とならなかったレベルの散乱X線についても、かかる固体検出器では、画質の低下を生じることが多い。
【0006】
従来、かかる固体検出器における上記のような問題点は、固体検出器の入射部分に上記グリッドの効果を持つチャンネル方向のコリメータを配置することによって解決することが出来ることが、例えば、米国特許第4,338,521号などにより既に知られている。すなわち、この米国特許により知られる検出器は、シンチレータ、フォトダイオード(あるいはフォトマル)、印刷配線板、信号取り出し用コネクタ、及び、チャンネル方向コリメータなどを一体に組み合わせた検出素子モジュールを用意し、この検出素子モジュールを複数、検出器容器の内部に並べる構造のものである。かかる構造の検出素子では、固体検出素子(すなわち、シンチレータとフォトダイオード)とチャンネル方向コリメータとの間の位置合わせが正確に行えること、さらには、不良チャンネルが発生したときにはモジュール単位での交換が簡単に可能であるなどの利点が上げられる。
【0007】
しかしながら、この従来技術では、チャンネル方向コリメータも素子モジュール単位で分割されるため、部品点数が増えてしまい、そのためコストが上昇し、また、モジュール単位で検出器容器内に配置される構造であるため、検出器の制作時においては、モジュールの数だけ位置合わせをする必要がある。そのため、検出器容器の側(壁)面のモジュール保持部には、モジュールを位置合わせして固定するための、いわゆる位置決め用ピンや穴を、多数、高精度に形成しておく必要があり、かつ、これら多数のモジュールを、個別に、X線管焦点やスライス方向のコリメータに対して高い精度の位置合わせを行いながら配置して固定するという作業を必要とするという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述の従来技術によれば、特に、散乱X線による悪影響を取り除くため、固体検出器におけるグリッドの効果を持つチャンネル方向のコリメータを配置することは既に提案されているものの、しかしながら、かかるグリッド効果を有するチャンネル方向のコリメータを固体検出器と共に、高精度でかつ簡単に配置して固定するための具体的な構造は、未だ、提案されていなかった。
【0009】
ところで、一般に、固体検出器のX線検出素子は、入射してきたX線によるシンチレータでの発光や散乱が隣接チャンネルに入り込んでクロストークを生じることを防ぐために、各検出素子の間は隔壁板によって仕切られた構造を備えている。この隔壁板によって仕切られた検出素子の境界部は、構造的に、入射X線に対しての感度を持たない。一方、チャンネル方向のコリメータを固体検出素子と組み合わせた場合、入射してきたX線は、このチャンネル方向コリメータ板によって吸収され、後方へは達しない。そのため、入射X線の利用効率を考慮すると、このチャンネル方向コリメータ板は、検出素子の感度がない検出素子境界部分に配置するのが望ましく、また、このチャンネル方向コリメータは、X線検出素子のピッチと同じものを、全チャンネルにわたり精度よく位置合わせを行う必要がある。
【0010】
一方、かかるチャンネル方向コリメータ板を、全チャンネルにわたって一体物のチャンネル方向コリメータとして製造することにより、全チャンネルでの位置精度が高い物を作成することができるが、しかしながら、その組立の途中に一部でも不具合があり、精度不良のチャンネルが生じると、それにより、コリメータ全体が不良となってしまうという問題点がある。
【0011】
また、本発明の適用される円弧状のスライス方向コリメータを有する構造のCT装置用X線検出器においては、上記のチャンネル方向コリメータ板を固定するためには、溝などをスライス方向コリメータの円弧状の内周面に加工しなければならないが、上述のように、全チャンネルを一体物として作成する場合には、加工するワークの寸法、及び、加工時の回転角度も大きくなり、その加工精度を確保することが困難となってしまうという不都合がある。
【0012】
あるいは、チャンネル方向コリメータを一体物ではなく、これを幾つかに分割して複数のブロックによって構成する方法では、既述のように、コリメータ部品の加工は比較的簡単でかつ精度よく行えるが、各コリメータブロックは正確にX線管焦点を中心とした円弧上に配置する必要があり、隣接するコリメータブロックとの相対位置、角度、及び、X線検出素子との位置合わせを、これらブロックの数量分だけ行わなければならず、加えて、この位置合わせの精度によって検出器の特性が左右されるため、高精度の合わせ込みを行なわなければならない。そのため、従来では、この高精度の合わせ込みを行なうために、例えばチャンネル方向コリメータの外形に合わせ、各コリメータブロックを所定の位置に配置するための位置合わせ治具などを使用していたが、この治具のセッティングなどにも工数がかかっていた。
【0013】
また、固体検出器では、シンチレータと光電変換素子を組み合わせた検出素子が、基板上に複数配列されて多チャンネルのX線検出素子アレイが形成され、これら基板上の検出素子アレイは、X線管焦点を中心としてポリゴン(多角形)状に配置される。そのため、このポリゴン状に配置される検出素子の配置にまったく一致するように上記チャンネル方向コリメータを構成する多数のグリッド板を配置しようとすると、その構造は複雑なものとならざるを得ない。
【0014】
これに対し、チャンネル方向コリメータのグリッド板を等角度ピッチに配置することにより、チャンネル方向コリメータの構造を簡単にすることも出来るが、しかしながら、X線検出素子アレイは、検出素子間の特性のばらつきを少なくするためにも各検出素子ピッチは等間隔になっているので、このまま等角度ピッチで配列されるグリッド板と組み合わせると、検出素子とグリッド板との間で、すなわちチャンネル位置がわずかではあるがずれてしまう。このように、グリッド板と検出素子の位置がずれてしまうことは、検出器における検出特性のずれを生じさせ、特に、このずれは検出素子アレイごとの周期的な特性のずれとなるため、最終的には、得られる断層画像上にリング状のアーチファクトを発生させる原因となる。
【0015】
そこで、本発明では、上記のような従来技術における問題点に鑑み、すなわち、固体検出器において複数のグリッド板を有するチャンネル方向のコリメータを、固体検出器を構成するX線検出素子と共に高精度でかつ簡単な構造で配置して固定するための構造を提供し、もって、装置全体として安価に組み立てることが可能なCT装置用X線検出器を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、X線源と、円弧状のX線検出器を収納したX線検出器容器と、を備えて被検体の断層像を得るX線CT装置において、
X線源からのX線入射側に円弧状に配置されてスライス方向及びチャンネル方向にX線をコリメートするコリメータ手段と、このコリメータ手段でコリメートされたX線放出側に円弧状に配置されて、コリメートされた各チャンネル対応のX線を入射しこれを増倍し電気信号に変換出力するX線検出素子群と、を有するX線検出器容器を備え、
上記コリメータ手段は、複数のチャンネル毎に分割したコリメータブロックを、円弧状に配置して構成されたものとし、
この各コリメータブロックは、
チャンネル方向のコリメートを行う複数のグリッド板と、このグリッド板をスライス方向側の両端で支持する保持材と、を有するチャンネル方向コリメータブロックと、
所定の高さを有しその下部内側に段差部を持ち、この段差部に上記保持材を当接して固定させた、スライス方向コリメータブロックと、
を備えたものとする、
X線CT装置を開示する。
【0017】
更に本発明は、X線CT装置において、前記X線検出素子群は、シンチレータと光変換素子とを積層配置してなるX線検出素子を隔壁板により等間隔に分離し、これら検出素子を基板上に、複数、等間隔に配置して構成したものとし、前記検出器容器内に、複数、前記X線発生源を中心とする円弧に沿ってポリゴン状に配置して構成していることを特徴とするX線CT装置。
【0018】
更に本発明は、X線CT装置において、前記チャンネル方向コリメータグリッド板の板厚を、少なくとも前記基板上に形成した各検出素子間に配置された前記隔壁板の板厚よりも大きくしたことを特徴とするX線CT装置を開示する。
【0019】
【作用】
X線検出素子群の入射側には、スライス方向に対して斜めに入射してくる散乱線をある程度さえぎり、また中央部分に比較してチャンネル間の感度ばらつきの大きいX線検出素子群の端側に入射するX線を制限するためのスライス方向コリメータが設けられている。そこで、このX線検出素子群の入射側に設けてあるスライス方向コリメータブロックの下部にチャンネル方向コリメータブロックを組み込み一体化する構造にすることにより、チャンネル方向コリメータの相互位置・角度を簡便に精度よく合わせることが可能となる。
【0020】
すなわち、スライス方向コリメータブロックの下部内側段差部に複数のチャンネル方向コリメータブロックを当接して固定したことでコリメータブロックを構成し、これを円弧状に容器内に配置することで検出器を得る。かくして、大型で精度のよい加工機を使用することなく、チャンネル方向コリメータの構成部品を高精度で製作可能であり、また、チャンネル方向コリメータブロック間の相対位置関係も簡単にかつ正確に合わせることが出来る。これにより、X線検出素子に入射してくる大部分の散乱X線を除去し、かつ、チャンネル間特性のそろった、良好なX線検出器を作成でき、アーチファクトの無い診断能の高い良好なCT画像を得ることが可能になる。
【0021】
また、X線検出素子アレイを前記X線発生源を中心にした円弧に沿って配列することにより、前記チャンネル方向コリメータのの構造を複雑にすることなく、基板平面上に光変換素子やシンチレータを複数、隔壁板によって等間隔に分離して形成したX線検出素子アレイを、比較的簡単に位置決めすることが可能になり、さらに、前記グリッド板の板厚を厚くすることにより、グリッド板を等角度で配置して構成する、比較的簡単に制作できるチャンネル方向コリメータに対しても、グリッド板の板厚を考慮することにより、周期的な特性ずれを起こさず、等角度ピッチの比較的簡単な構造のグリッドを使用して斜入する散乱線を除去し、アーチファクトの発生を抑制することが出来る。
【0022】
すなわち、上記の検出素子アレイをポリゴン状に配置する構成によれば、検出素子アレイの端チャンネルはX線管焦点から見るとやや斜めに見込むことになり、チャンネルの開き角は中央チャンネルに比較するとやや小さくなり、検出素子アレイの端チャンネルへいくほど素子角度ピッチも小さくなる。特に、等角度ピッチのコリメータと組み合わせると、検出素子とグリッドのチャンネルのずれは、検出素子アレイの端チャンネルで最も大きくなる。そこで、このグリッド板の板厚を、この最大ずれ分を考慮して、検出素子アレイに使っている隔壁板の厚さ以上に厚くすることにより、グリッドと検出素子とのチャンネル位置ずれによる特性ずれをなくすことができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、添付の図面を参照しながら説明を行うこととする。
図2には、本発明の実施例であるX線CT装置の原理的な構造が示されており、すなわち、図に符号10で示されるX線の発生源、すなわち、X線管から放射されたX線は、例えば患者など、被検体20を通過した後、X線検出器を内蔵した検出器容器30において検出される。そして、これによって計測されたデータを使い、図示されない電子計算機などにより所定の画像処理演算を行い、もって、被検体の断面画像であるCT画像を再構成することとなる。この図からも明らかなように、この検出器容器30は、上記X線管10の焦点位置を中心にして円弧状に湾曲して形成されており、この容器内には検出素子全体が納められ、具体的には、後に詳述するシンチレータ及びフォトダイオードやそれらを支持しているプリント配線基板さらにはスライス方向コリメータなどは、この容器30内に配置されて固定されている。なお、この図の紙面上、横方向(矢印Cで示す)は、X線検出器が多数並べられていおり、チャンネル方向と呼ばれ、紙面の表裏方向(印Sで示す)は、撮影される被検体の断面の幅である、いわゆるスライス方向を示している。
【0024】
次に、図1には、上記検出器容器30の断面構造が示されている。この図からも明らかなように、被検体を透過して図面の上から下に向かってきたX線は、検出器容器30の内周面(図の上側面)上に形成されたスライス方向に幅Wの検出器入射部Eを通り、検出素子を構成するシンチレータ41に入射する。このシンチレータ41は、その入射X線の強度に応じて発光し、その光をシンチレータ41の下側に層状に接触して配置されているフォトダイオード42で受け、ここで電気信号(電流)に変換される。この変換された信号電流は、プリント配線基板43、コネクタ44、さらには、信号ケーブル45を通り、後段に接統されている図示しない増幅回路などへ送られる。
【0025】
なお、上記幅Wの検出器入射部Eは、検出器容器30の内周面上に対向して配置された一対のスライス方向コリメータ31、31によって形成される。図3には、その一方のスライス方向コリメータ31の外形が示されており、略「L」字状の断面を有し、かつ、上記検出器容器30の内周面に沿って、やはり、円弧状に湾曲して形成されている。これらのスライス方向コリメータ31、31は、X線遮蔽効率を考慮すると、タングステンやモリプデンなどのX線吸収係数の高い材質を使用して形成されるのが効果的である。
【0026】
また、上記のシンチレータ41のX線入射側には、上記のスライス方向コリメータ31、31に続いて、チャンネル方向コリメータ32が設置されており、これにより、被検体20内において散乱されて検出素子に斜め方向から入射してくる散乱X線を遮蔽する構造となっている。なお、このチャンネル方向コリメータ32は複数のブロックからなり、これら複数のブロックは、上記一対のスライス方向コリメータ31、31の検出素子側に設けられた切り欠き部による段差部33、33にはめ込むようにして位置決めされて組み込まれ、その後、ネジ34、34などで固定される構造となっている。また、図中の符号35、35は、上記チャンネル方向コリメータ32を所定の位置に配置して固定するための保持材を示している。
【0027】
このチャンネル方向コリメータ32の一つのブロックBの構造が、添付の図4に示されている。図において、検出器入射部31のスライス方向に幅Wだけ離れて互いに対向して配置された一対の保持材35、35は、金属あるいはセラミック材のように精密加工に適した材料により形成され、かつ、それぞの内側面には複数の溝36、36…が等間隔に並んで形成されている。これらの溝36、36…により、上記検出器入射部31のスライス方向の幅Wよりも広い幅W’(W’=W+α>W)の溝が形成され、これら溝36、36…には、板状のチャンネル方向のコリメータ板(グリッド板)Gが挿入され、かつ、保持材35、35の溝36、36…の側壁に接着剤などにより接着固定されている。
【0028】
すなわち、チャンネル方向コリメータ32は、検出器1台について、複数のブロックに分割されることによって構成されている。そして、チャンネル方向コリメータ32を構成するそれぞれのブロックは、上記スライス方向コリメータ31、31に形成した切り欠き部による段差部33、33に、面A及び面Bを合わせるようにして固定することにより、全ブロックの位置合わせを精度よく行うことが可能となる。すなわち、チャンネル方向コリメータ32の位置合わせは、スライス方向コリメータ31、31の切り欠き部による段差部33、33の側面を基準とすることにより、各ブロック間の上下及び円弧の中心方向の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0029】
図5は、このようにして、チャンネル方向コリメータ32の複数のブロックを配列した様子を示したものである。スライス方向コリメータ31、31は、全チャンネルの長さにわたり一体の構造であるため、切り欠き部による段差部33の円弧は、高精度での加工が可能となる。また、複数構成のチャンネル方向コリメータ32のブロックは、このスライス方向コリメータの切り欠き部による段差部33を基準とするので、やはり高精度での配置あるいは位置決めが可能となる。なお、スライス方向コリメータ31、31は、検出器容器30に固定されており、また、X線検出素子もこの検出器容器30に固定されているので、スライス方向コリメータ31、31とX線検出素子との相対位置も高精度に合わせることが出来る。
【0030】
なお、チャンネル方向コリメータ32の各ブロックを構成する一対の保持材35、35は、予め、上記スライス方向コリメータ31の切り欠き部による段差部33の湾曲面に合わせて形成されており、また、それらの対向する内側面に形成される複数の溝36、36…についても、X線管焦点位置に向かうような等角度ピッチで形成されている。このような構成によれば、得られるチャンネル方向コリメータ32のブロックは、それぞれ湾曲面の一部を構成するブロックとなり、これらブロックは、スライス方向コリメータ31、31の切り欠き部による段差部33、33に配列されることにより、簡単に、X線管焦点位置に向かうような等角度ピッチで配置されることから、かかる構成を採用することにより、取り付け精度の高いチャンネル方向コリメータ32を得ることが可能になることは明らかであろう。
【0031】
すなわち、X線管焦点を中心とする円弧状のスライス方向コリメータはX線検出素子の入射部にほば接するように設けられている。このスライス方向コリメータの内側にやはりX線管焦点を中心とする円弧状の段差を設け、この段差位置にチャンネル方向コリメータブロックのX線入射側の面を突き当てて、隣接するチャンネル方向コリメータとの間隔だけを管理してやれば、チャンネル方向コリメータブロックは自動的にX線管焦点を中心とする円弧位置に配置されることになる。このようにして、正碓に位置合わせの完了したチャンネル方向コリメータをスライス方向コリメータに組み込むことができ、最終的にはこのチャンネル方向コリメータを組み込んだスライス方向コリメータをX線検出素子と正しい位置関係になるように調整し固定することにより、チャンネル方向コリメータとX線検出索子を全チャンネルにわたり正碓な位置合わせを行うことが出来る。
【0032】
続いて、添付の図6には、上記検出器容器30内に配置されるX線検出素子の構造が示されている。この図からも明らかなように、プリント配線基板43の上には、フォトダイオード42上にシンチレータ41を積層した構造のX線検出素子が、複数、分離されて形成されている。すなわち、これらシンチレータ41とフォトダイオード42を組み合わせたX線検出素子は、基板43上に、隣接チャンネルとは隔壁板46、46…を介して等間隔に分離して配置され、これにより複数の検出素子からなる検出素子アレイ47を形成している。また、上記プリント配線基板43上の検出素子が形成されたとは反対側の面上には、信号ケーブル45を接続するためのコネクタ44が取り付けられている。
【0033】
このようなX線検出素子における検出素子アレイ47の構造において、上記隣接する複数の検出素子を分ける隔壁板46、46…には、検出素子を形成するシンチレータ41に入射したX線による発光やX線の散乱が隣接チャンネルに漏れ込むクロストークを防ぐために、例えばタングステンやモリブデンなど、X線吸収係数の高い材質の薄板が使用されている。また、シンチレータ41での発光がフォトダイオード42の受光部へ効率良く導かれるように、その表面にアルミ蒸着などを施して光反射率を高めた物を使用することがさらに望ましい。
【0034】
次に、上述のように、X線検出素子を複数並べてなる検出素子アレイ47の上記検出器容器30内での配置構造について、以下に詳細に説明する。
これらX線検出素子アレイ47、47…は、添付の図7あるいは上記の図1にも示すように、検出器容器30の中に多角形状(ポリゴン状)に配置される。なお、これらの図においても、上記のチャンネル方向コリメータ32を構成するグリッド板が符号Gで示されている。
【0035】
すなわち、X線検出素子アレイ47のX線入射面側には、斜め方向から入射してくるX線を遮蔽するためのチャンネル方向コリメータ32を構成するグリッド板Gが配置されている。また、既述のように、これらのグリッド板Gは、所定の間隔で配置されるように、その両端部分が保持部材35、35により固定されている。具体的には、保持部材35の側面にはX線管10の焦点位置が中心となるような等角度ピッチの溝36、36…が形成され、この溝36、36…の側壁をガイドとし、かつ、そこに接着剤を介してグリッド板Gを固定することにより、グリッド板Gの相互位置は精度よく配置されている。
【0036】
これらのグリッド板Gは、X線検出素子の入射X線に対する感度を最も大きくするためには、隔壁板45の位置に合うように設置する必要がある。
ところで、各X線検出素子アレイ47を構成する複数のX線検出素子は、既述のように、各検出素子アレイ47内においては、一つの平面上に等間隔に配置されている。従って、一つのX線検出素子アレイ47内での隔壁板46の位置をxとすると、このxは以下の式で表される。
x=n×p
ここで、nはチャンネル番号を、pはチャンネルピッチを表す。
【0037】
また、コリメータを構成するグリッド板Gは、等角度ピッチに配置されているので、このコリメータのグリッド板の位置x’は、以下の式で表される。
x’=r×sin(n×θ)
ここで、rはX線焦点とコリメータのグリッド板との間の距離を、nはチャンネル番号を、そして、θはコリメータ角度ピッチを表している。
【0038】
ここで、例えば、上記のX線検出素子アレイ47の中央で、チャンネル方向コリメータ32のグリッド板Gと隔壁板46とが一致するように設定した場合、図8(a)に示すように、端のチャンネルに行くに従ってコリメータを構成するグリッド板Gと検出素子の隔壁板46とのずれ量が大きくなる。図8の(b)は、その関係を示したものであり、例えばX線管焦点と検出素子間の距離を1000mm、検出素子のチャンネルピッチを1mm、そして、1つのX線検出素子アレイ47が24チャンネルで構成されている場合について計算した例である。この計算により得られるずれ量は、最大でおよそ0.01mmとなる。
【0039】
また、コリメータのグリッド板Gの板厚と隔壁板46の板厚が同じである場合には、X線管焦点の方向から見込んだときのチャンネル(X線検出素子)の有感部面の面積が、上記のずれ量だけ変わってくる。この面積の違いは、検出素子の感度や特性の違いとなって現れ、本計算例では感度差は1%程度であり、この程度の値では大きな問題とはならない範囲であるが、しかしながら、特性差としては、この1%の違いは大きく、これは画像上にアーチファクトを発生させうる大きさである。
【0040】
そこで、本実施例では、コリメータのグリッド板Gの板の厚さ(d)を、上記隔壁板45の厚さ(d0)より大きく(d>d0)、具体的には、上記グリッド板Gと隔壁板46との最大ずれ量との和(隔壁板の厚さd十最大ずれ量)以上に設定されている。これにより、X線管焦点の方向から見込んだときのチャンネルの有感部面の面積は、検出素子アレイ47上の全チャンネルにおいて同じとなり、前記のグリッド板Gと隔壁板46とのずれによる検出素子の感度・特性に与える影響を解消するすることが出来ることとなる。このコリメータのグリッド板Gの板厚が厚いほど、チャンネル位置ずれに対してのマージンが大きくなるが、このコリメータ板厚さは、同時に、検出素子の出力にも影響を与える。そこで、出力低下による画像劣化を防ぐためには、このコリメータのグリッド板の厚さは、0.2mm程度が上限である。
【0041】
上記実施例では、基準線として段差部を設けて説明したが、コリメータと検出器を性格に配置するために施すものであれば何なるマーキングであってもよい。
【0042】
以上に述べてきた実施例によるX線CT装置の改良されたX線検出器の構造の利点として、高精度のチャンネル方向コリメータを簡単な構造で構成することが出来、チャンネル方向コリメータの部分の部品点数を低減でき、チャンネル方向コリメータ相互の位置合わせは必要であるがその個数が少ないため調整にかかる時間が短時間で済み、また、位置合わせのための高精度に位置決めしたピンや穴を必要としないなどの点から、精度のよいチャンネル方向コリメータと固体検出素子を組み合わせて、安価な検出器を構成することが出来ることが挙げられる。
【0043】
【発明の効果】
以上の詳細な説明からも明らかなように、本発明によれば、特に、固体検出器を利用したX線CT装置において、チャンネル方向コリメータと共に固体検出器を構成するX線検出素子を含めて、これらを、高精度でかつ簡単な構造で配置して固定することを可能とし、さらには、かかる構造によるX線検出素子の特性のばらつきにより生じるアーチファクトなどの発生を抑制し、装置全体として安価に組み立てることが可能で、かつ、良好な断層画像が得られ、診断能を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるX線CT装置の検出器容器の断面構造の詳細を示す断面図である。
【図2】上記実施例であるX線CT装置の概略構成を示す図である。
【図3】上記検出器容器を構成するスライス方向コリメータの構造を示す一部断面を含む斜視図である。
【図4】上記検出器容器のチャンネル方向コリメータを構成するブロックの構造を示す斜視図である。
【図5】上記チャンネル方向コリメータの断面と複数のブロックを配列した構造を示す正面図である。
【図6】上記検出器容器のプリント配線基板上に形成された検出素子アレイを示す斜視図である。
【図7】上記チャンネル方向コリメータのグリッドと検出素子アレイとの配列関係を示す一部拡大断面図である。
【図8】上記チャンネル方向コリメータのグリッドと検出素子アレイとの配列関係における位置ずれを説明する図である。
【図9】従来の電離箱検出素子の構造と散乱X線との関係を説明した図である。
【図10】従来の固体検出素子の構造と散乱X線との関係を説明した図である。
【符号の説明】
10 X線発生源(X線管)
20 被検体
30 検出器容器
31 スライス方向コリメータ
32 チャンネル方向コリメータ
33 段差部
34 ネジ
35 保持材
36 溝
41 シンチレータ
42 フォトダイオード
43 プリント配線基板(基板)
44 コネクタ
45 信号ケーブル
46 隔壁板
47 検出素子アレイ
E 検出器入射部
G グリッド板(コリメータ板)
Claims (3)
- X線源と、円弧状のX線検出器を収納したX線検出器容器と、を備えて被検体の断層像を得るX線CT装置において、
X線源からのX線入射側に円弧状に配置されてスライス方向及びチャンネル方向にX線をコリメートするコリメータ手段と、このコリメータ手段でコリメートされたX線放出側に円弧状に配置されて、コリメートされた各チャンネル対応のX線を入射しこれを増倍し電気信号に変換出力するX線検出素子群と、を有するX線検出器容器を備え、
上記コリメータ手段は、複数のチャンネル毎に分割したコリメータブロックを、円弧状に配置して構成されたものとし、
この各コリメータブロックは、
チャンネル方向のコリメートを行う複数のグリッド板と、このグリッド板をスライス方向側の両端で支持する保持材と、を有するチャンネル方向コリメータブロックと、
所定の高さを有しその下部内側に段差部を持ち、この段差部に上記保持材を当接して固定させた、スライス方向コリメータブロックと、
を備えたものとする、
X線CT装置。 - 前記請求項1に記載されたX線CT装置において、前記X線検出素子群は、シンチレータと光変換素子とを積層配置してなるX線検出素子を隔壁板により等間隔に分離し、これら検出素子を基板上に、複数、等間隔に配置して構成したものとし、前記検出器容器内に、複数、前記X線発生源を中心とする円弧に沿ってポリゴン状に配置して構成していることを特徴とするX線CT装置。
- 前記請求項2に記載されたX線CT装置において、前記チャンネル方向コリメータグリッド板の板厚を、少なくとも前記基板上に形成した各検出素子間に配置された前記隔壁板の板厚よりも大きくしたことを特徴とするX線CT装置。
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