<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態の説明に用いる外観図、断面図、説明図は、本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。
図1は、本実施形態のX線CT装置の概略図である。本図に示すように、本実施形態のX線CT装置10は、X線源100、X線検出器104、信号収集装置109、中央処理装置105、表示装置106、入力装置107、制御装置108、回転台101、及び寝台天板103を備える。X線検出器104は、X線源100を略中心とした円弧状に複数配置され、X線源100と共に回転台101に搭載される。なお、本明細書では、X線源100及び回転台101の回転方向をチャネル方向112、回転方向に垂直な方向をスライス方向111と呼ぶ。
図1では、説明を簡単にするために、チャネル方向112にX線検出器104を8個備える場合を例示する。実際のX線CT装置では、X線検出器104は、例えば、チャネル方向112に40個程度備える。また、X線検出器104の前面には散乱X線コリメータ120(ここでは、不図示。後述の図2参照。)が設置される。散乱X線コリメータ120は、X線源100から照射されたX線のうち、被写体102などで散乱されたX線が、X線検出器104に入射するのを防ぐ。
中央処理装置105は、本実施形態のX線CT装置10全体の動作を制御する。入力装置107を介して撮影開始の指示を受け付けると、制御装置108は、中央処理装置105からの指示に従って、X線源100からのX線の照射及びX線検出器104での読み出しの同期制御、及び、回転台101の回転制御を行う。X線源100は、制御装置108からの指示に従って、扇状のX線を寝台天板103に載った被写体102に向けて照射する。X線検出器104は、被写体102を透過したX線を検出し、電気信号に変換する。信号収集装置109は、上記電気信号を収集し、デジタル信号に変換し、ローデータを生成する。
また、中央処理装置105は、ローデータから投影データを生成し、投影データに対して画像処理を行い、被写体102のX線吸収係数分布の断面像(再構成像)を生成する。表示装置106は、生成された再構成像を表示する。なお、本実施形態では、回転台101を回転方向112に回転させ、被写体102に対するX線の照射角度を変化させて上記のX線の照射を繰り返し、被写体102の360度分の投影データを生成可能なローデータを収集する。このローデータの収集は、一定回転角度毎、例えば、0.4度毎に行う。なお、ある回転角度で取得されたローデータをビューと呼ぶ。
次に、図2及び図3を用いて、X線検出器104の構造を説明する。図2は、本実施形態のX線検出器104の外観の一例を説明するための外観図である。また、図3は、X線検出器104の断面構造の一例を説明するための図であり、図2の位置1000での断面図である。
図2に示すように本実施形態のX線検出器104は、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、光電変換基板(半導体基板)140、及び配線基板150を備える。散乱X線コリメータ120とシンチレータ素子基板130との間は接着剤129で、シンチレータ素子基板130と光電変換基板140との間は接着剤139で、光電変換基板140と配線基板150との間は接着剤149で、それぞれ接着されている。X線検出器104は、取り付け穴159を用いて検出器固定台(図示せず)に複数固定されて、図1に示した円弧状に配置される。
散乱X線コリメータ120は、被写体102で散乱したX線がシンチレータ素子に入射するのを遮蔽するもので、チャネル方向112及びスライス方向111の両方向にそれぞれ平行に配置される、例えばタングステンやモリブデンなどの金属板121により構成される。これらの金属板121は、金属板支持板122にて保持される。シンチレータ素子基板130は、マトリックス状に配置されてX線を検出すると光を発するシンチレータ素子131を備える。シンチレータ素子131の間、シンチレータ素子基板130の上面(X線が入射する面)及び側面は、シンチレータ素子131で生じた蛍光を反射する光反射剤132により覆われる。光電変換基板140は、シンチレータ素子基板130に面する表面に、当該シンチレータ素子131に対向して配置される光電変換素子141を備える。光電変換素子141からの電気信号は、貫通配線146を通して背面(配線基板150側の面)に設けられた電極パッド151に導かれる。
光電変換素子141とシンチレータ素子131とは、X線を検出して電気信号を生じるX線検出素子161(不図示)を構成する。このX線検出素子161は、散乱X線コリメータ120の金属板121の間に配置される。なお、光電変換基板140とシンチレータ素子基板130とを接着する接着剤139は、シンチレータ素子131で生じた光に対して透明であり、シンチレータ素子131と光電変換素子141とを光学的に接続する。以上の構成を有するため、X線源100から照射されたX線のうち、被写体102で散乱したX線はX線検出素子161に入射する前に散乱X線コリメータ120で除去され、被写体102を透過したX線はX線検出素子161で検出され、電気信号に変換される。なお、1のX線検出素子161毎にスライス方向111に1スライス及びチャネル方向に1チャネル分のX線を検出する。
図2及び図3に示すように、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、及び光電変換基板140は一体となって1つの検出器モジュール400を構成する。すなわち、本実施形態のX線検出器104は、スライス方向111に隣接して配置される複数の検出器モジュール400が、配線基板150の上に搭載されて構成される。配線基板150は、図3に示すように、光電変換基板140の電極パッド151と電気的に接続するための電極パッド152と、光電変換素子141からの電気信号を外部に出力するためのコネクタ153とが配線(不図示)で接続される。
ここでは、一例として、検出器モジュール400が2つの場合を例に挙げて、以下説明する。両者を区別する必要がある場合は、2つの検出器モジュール400にそれぞれ1、2の検出器モジュール番号を付す。また、各検出器モジュール400を構成する各要素についても同様で、区別する必要がある場合は、これらの検出器モジュール番号を符号の後に付加して記す。例えば、散乱X線コリメータ120の場合、120−1、120−2と記す。また、マトリックス状に配置された各X線検出素子161のスライス方向111の段数をスライス数、チャネル方向112の列数をチャネル数と呼ぶ。また、本実施形態では、一例として、1の検出器モジュール400内ではX線検出素子161が、スライス方向111に等間隔に配置される場合を例にあげて説明する。
次に図4から図6を用いて、本実施形態のX線検出器104の作製手順の一例を説明する。ただし、以下に示す作製手順は一例であり、これに限定されない。本実施形態では、まず、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、光電変換基板140、及び配線基板150をそれぞれ作製し、これらを用いて各検出器モジュール400を作製し、作製した検出器モジュール400を配線基板150に搭載し、X線検出器104を作製する。
散乱X線コリメータ120は、例えば、図4に示す形状の金属板121を、図5に示す形状の金属板支持板122に搭載し、作製する。金属板121は、例えばモリブデンやタングステン製であり、くぼみ123を有する。ここで、図4は、チャネル数が6でスライス数が4(6チャネル4スライス)のX線検出器モジュール400の、スライス方向111に平行に配置される金属板121の例であり、くぼみ123を7個備える例である。なお、くぼみ123の数は、X線検出器モジュール400のチャネル数及びスライス数により決定する。例えば、X線検出器モジュール400のチャネル方向112に平行配置される金属板121では、くぼみ123の数は5個である。金属板支持板122は、X線の透過率が良く、X線によって変質し難い樹脂、例えばポリエチレンやアクリル製が望ましく、図5に示す溝124を有する。組み立ての際は、まず、チャネル方向112に平行に並べる、チャネル方向用金属板121のくぼみ123を上向きにした状態で、チャネル方向用金属板121を溝124に入れながら、チャネル方向112に平行に並べる。このとき溝124には予め接着剤を塗っておく。次に、スライス方向用金属板121を溝124に入れながら、スライス方向111に平行に並べていく。このときスライス方向用金属板121のくぼみ123は下向きにし、既に入れたチャネル方向用金属板121のくぼみ123とかみ合うようにする。次に、これらの金属板121の交差する部分にも接着剤を塗り、固めることで散乱X線コリメータ120を作製する。なお、以上の作製手順は一例であり、これに限定されない。
シンチレータ素子基板130は、例えばGSO(Ce添加Gd2SiO5単結晶)、LSO(Ce添加Lu2SiO5単結晶)、BGO(Bi4Ge3O12)、CWO(CdWO4)などの材料で製造されたシンチレータ板を、チャネル方向とスライス方向とに切り分け、その間、上面、及び側面に反射材132を取り付け、作製する。
光電変換基板140は、例えば結晶シリコンなどの半導体基板上の一方の面(表面)に光電変換素子141を配し、他方の面(背面)に電極パッド151を形成し、作製する。更に、表面から背面に貫く貫通配線146を形成する。光電変換素子141は、例えばPIN型やPN型のフォトダイオードであり、汎用のプロセスを用いて作成する。また大きな受光面積が実現するため、例えばシリコンに電極、P層、N層、I層を縦積みした構造とする。電極パッド151は、例えば蒸着にて作製する。貫通配線146は、まず半導体基板に、エッチングなどで貫通穴を生成し、次にCVD法や熱酸化法などで貫通穴に絶縁層を形成し、CVD法、スパッタ法、ナノ金属粒子の埋め込みなどにより作製する。
配線基板150は、例えばプリント配線基板、セラミック基板、アルミ基板、テフロン(登録商標)基板などの基板に、電極パッド152及び配線を、例えば蒸着法にて作製し、更にコネクタ153を、例えばはんだにて接着する。
以上のように作製した各基板を組み上げ、X線検出器104を作製する工程を説明する。図6(a)〜(c)は、X線検出器104を作製する工程の一例を示す図である。まず、図6(a)に示すように、シンチレータ素子基板130と光電変換基板140とを、接着剤139で接着し、X線検出素子基板160を作製する(工程1)。なお、このとき、シンチレータ素子基板130の端部を、光電変換基板140が有するマーカ142に合わせる。なお、X線検出器104(検出器モジュール400)作製時にマーカ142に合わせたシンチレータ素子基板130の端部は、後述する位置補正処理において、基準位置となる。
次に、図6(b)に示すように、工程1で作製したX線検出素子基板160に散乱X線コリメータ120を接着剤129で接着し、検出器モジュール400を作製する(工程2)。ここでは、シンチレータ素子基板130を光電変換基板140のマーカ142に位置合わせした端部144において、散乱X線コリメータ120の端部とシンチレータ素子基板130の端部とを合わせる。
そして、図6(c)に示すように、2つの検出器モジュール400を配線基板150に搭載する(工程3)。このとき、各検出器モジュール400-1及び400-2の作製において、工程2で位置合わせをした端部144と反対側の端部同士を隣接させるよう、搭載する。また、光電変換基板140の端部は、配線基板150が有するマーカ143に合わせる。なお、各検出器モジュール400-1及び400-2と配線基板150とは、接着剤149で接着すると共に、電極パッド151と電極パッド152とを、例えば、はんだボールなどを用いて電気的に接続する。
本実施形態では、以上の工程に従ってX線検出器104を作製する。従って、検出器モジュール400の端部に特別な処理を施す工程がないため、例えば、検出器モジュール400内での光反射材132の厚さ201と検出器モジュール400端部での光反射材132の厚さ202とを一致させ、端部でのシンチレータ素子131の幅206と端部以外でのシンチレータ素子131の幅205とも一致させて作製することができる。ただし、検出器モジュール400間には隙間401が存在する。ここで、厚さ201は、検出器モジュール400内でのシンチレータ素子131間の距離203でもあり、また、厚さ202は、シンチレータ素子131から検出器モジュール400端部までの距離204でもある。以下、本実施形態では、端部のシンチレータ素子131(X線検出素子161)と検出器モジュール400の端部との距離204と、検出器モジュール400内でのシンチレータ素子131(X線検出素子161)間の距離201とが等しい場合を例にあげて説明する。従って、本実施形態では、検出器モジュール400-1と400-2とにまたがって隣接するX線検出素子161の中心211間の距離(モジュール間素子間距離)213は、検出器モジュール400内で隣接するX線検出素子161の中心間の距離(モジュール内素子間距離)212に比べて、光反射材132の厚さ202と隙間401分広い。
また、本実施形態のX線検出器104では、各検出器モジュール400において、他の検出器モジュール400と隣接する面と反対側の面に、作製時の基準位置、すなわち、マーカ142及びマーカ143が設けられる。従って、検出器モジュール400の隣接面と反対の端部に近いX線検出素子161ほど、精度良く位置を決定できる。以下、本実施形態では、2つの検出器モジュール400が互いに隣接する側の面を隣接面と呼ぶ。
次に、以上のように製造され、構成されるX線検出器104で検出した電気信号を信号収集装置109がデジタル信号に変換して得たローデータに対し、中央処理装置105が施すデータ処理について説明する。なお、本実施形態では、図7(a)は、本実施形態の中央処理装置105の機能ブロック図である。図7(b)は、中央処理装置105におけるデータの処理の流れを説明するための図である。本実施形態のX線CT装置10の中央処理装置105は、上述のように、ローデータから投影データを生成し、投影データに対して画像処理を行い再構成像を生成する。このため、図7(a)に示すように、ローデータから投影データを生成する補正部510と、投影データから再構成像を生成する再構成部520とを備える。また、補正部510が補正処理を施すために必要な補正用データを記憶する補正用データ記憶部530を備える。
中央処理装置105は、CPUとメモリと記憶装置とを備える情報処理装置で構成され、補正部510及び再構成部520は、記憶装置に格納されたプログラムを、CPUがメモリにロードして実行することにより実現される。なお、補正用データ記憶部530は記憶装置に構成される。
図7(b)において、実線701は実計測時のデータの流れを示し、点線702は、補正用のデータの流れを示す。本図に示すように、信号収集装置109で生成されたローデータは、中央処理装置105に転送される。中央処理装置105では、補正部510が補正用データを用いてローデータに対し補正処理を行い、投影データを作成する。ローデータ、補正用データ及び補正処理の詳細については後述する。その後、再構成部520が、投影データに対し、コンボルーション(畳み込み)やバックプロジェクション(逆投影)等の処理を行い、再構成像を生成する。生成された再構成像は、表示装置106に表示される。
補正部510では、各X線検出素子161で取得したローデータに各種の補正を施し、投影データを生成する。本実施形態では、上述のように、検出器モジュール400間に隙間401があるため、各X線検出素子161の位置は、隙間なくタイリングされて構成されたX線検出器104で想定されるスライス位置(投影データ点)からずれる。本実施形態の補正部510では、ローデータからこのずれを補正した位置での出力値を推定する。
このため、補正部510は、各検出器モジュール400の所定の倍率だけ大きな検出器モジュールがスライス方向に隙間なくタイリングされた場合に想定されるスライス位置を決定する位置決定部511と、位置決定部511で決定された位置のデータの出力値を推定するデータ推定部512とを備える。すなわち、本実施形態では、位置決定部511で決定したスライス位置に実際にローデータを取得したスライス位置を補正し、補正したスライス位置での出力値を推定する。このため、以下、本明細書では、位置決定部511によるスライス位置の決定及びデータ推定部512による出力値の推定を合わせて、位置補正処理と呼ぶ。
また、各検出器モジュール400がスライス方向に隙間なくタイリングされた場合に想定されるスライス位置を、正規のスライス位置と呼び、実際にデータを取得したスライス位置を実スライス位置と呼ぶ。ここで所定倍率とは、例えば隙間を介した検出器モジュール400にそれぞれ設けられた基準位置と、所定倍された後に検出器モジュールが隙間無く配置されたときの基準位置とが一致する倍率である。なお、所定倍率は1倍を含み、検出器モジュール400の所定倍率だけ大きな検出器モジュールが、検出器モジュール400と同じサイズでも良い。
なお、補正部510は、補正処理において用いる補正データを生成するためのデータを取得する補正データ取得部513をさらに備える。補正部510が補正処理において用いる補正用データは、補正データ取得部513が補正用データ作成のための被写体102を撮影し、取得したローデータに対し、補正部510が必要な処理を行い、生成される。生成された補正用データは、補正用データ記憶部530に保存される。補正用データ作成のための撮影は、実計測に先立ち行われる。補正用データの詳細については後述する。
位置決定部511は、上述のように検出器モジュール400を作製する際、基準とした位置と、作製された検出器モジュール400のモジュール内素子間距離212と、検出器モジュール400間の隙間401と、スライス数とを用い、正規のスライス位置を算出する。位置決定部511が正規のスライス位置を算出する際に用いるこれらの情報は、補正用データ記憶部530にX線検出器104作製時に保持される。本実施形態のX線検出器104では、各検出器モジュール400内でモジュール内素子間距離212が等しいので、正規のスライス位置は、基準位置間で各スライスが等間隔となるものである。これは、例えば、各間隔に、隙間401を各間隔の比率を保ち分配し、算出することにより実現できる。各間隔とは、基準位置と隣接するX線検出素子161との間隔、モジュール内の隣接するX線検出素子161の間隔、隙間と隣接するX線検出素子161との間隔である。
また、本実施形態のデータ推定部512は、正規のスライス位置に隣接する2つの実スライス位置のローデータから、補間により各正規のスライス位置の出力値を算出する。
以下、具体例により、本実施形態の位置決定部511及びデータ推定部512の処理を説明する。図8は、本実施形態の位置決定部511による正規のスライス位置の算出処理及びデータ推定部512による位置補正処理を説明するための図である。ここで、横軸は、あるチャネルにおけるスライス方向111の位置を、縦軸は、X線検出素子161の出力値から得たローデータの値(出力)を示す。図8(a)は、位置補正前の各X線検出素子161に対応する実スライス位置と出力値であり、それぞれ点線421及び白丸422で示す。図8(b)は、位置補正後の正規のスライス位置と出力値であり、それぞれ点線423と黒丸424とで示す。なお、ここでは、スライス毎に、スライス方向111に番号を付し、第n(n=1、2、...、8)番目のスライスの実スライス位置421をX(n)、そのローデータの値をP(n)と表し、第n(n=1、2、...、8)番目のスライスの正規のスライス位置423をX’(n)、その出力値をP’(n)と表す。
ここでは、n=1〜4が検出器モジュール400-1の各X線検出素子161であり、n=5〜8が検出器モジュール400-2のX線検出素子161である。そして、隙間401が検出器モジュール400-1及び検出器モジュール400-2間の隙間である。ここで、この隙間のスライス方向の長さ(幅)をD、モジュール内素子間距離212のスライス方向の長さ(間隔)をLとする。なお、この隙間401の幅Dは、X線検出器104毎に事前に計測され、隙間値データ902(後述)として補正用データ記憶部530に保存される。この隙間401の幅Dの計測は、例えば顕微鏡で光学的に行う。また、スライス方向111に傾斜を有するファントムを撮影して得た、スライス方向111に所定の変化を示す出力データから算出しても良い。
また、本実施形態では、正規のスライス位置算出に用いる基準位置411及び412として、本図に示すように、それぞれ検出器モジュール400-1、400-2の端部であり、X線検出器104(検出器モジュール400)の作製時の基準位置とした位置を用いる。すなわち、基準位置411及び412と最も基準位置411及び412に近いX線検出素子161とのそれぞれの距離はL/2である。このとき、図8(a)に示す各実スライス位置X(n)は、一方の基準位置のスライス方向の位置座標をX0とすると、以下の式(1)で表される。
一方、図8(b)に示す、各正規のスライス位置X’(n)は、上記隙間401無しに、例えば、等間隔に配置したものである。上述のように、例えば、隙間401の幅Dを、全間隔に、その比率を維持し、分配することにより実現できる。従って、図8(b)の各スライス位置間隔L’は、L+D/Mとなり、正規のスライス位置X’(n)は、以下の式(2)で表される。なお、Mは、基準位置411と基準位置412との間のX線検出素子161の数(スライス数)であり、図8(b)では、8である。
データ推定部512は、式(2)で求めた正規のスライス位置X’(n)における出力値P’(n)(n=1、2、...、8)を推定する。推定は、例えば多項式の補間関数を用いて、隣接する実スライス位置の出力値から算出する。例えば、1次の多項式の場合、以下の式(3)に示す多項式により出力値P’(n)を計算する。
次に図9を用いて、補正部510による補正処理の詳細を説明する。図9は補正処理と再構成部520による再構成処理を含む、本実施形態の中央処理装置105によるデータ処理の流れの一例を説明するための説明図である。本実施形態の補正部510は、上記位置補正処理に加え、オフセット補正処理、リファレンス補正処理、感度補正処理、ファントムキャリブレーションを行う。以下、各処理の詳細、必要な補正用データ203の取得の詳細とあわせ、説明する。
信号収集装置109が再構成像生成に必要な全てのローデータ910の収集を終えると、補正部510は、補正処理を開始する。ただしこれは一例であり、本実施例を限定するものではない。例えば、ローデータの収集中に、取得されたローデータの補正処理を開始しても良い。補正処理ではまず、オフセット補正処理を行う(ステップS801)。オフセット補正処理では、光電変換素子141及び読み出し回路のリーク電流などによって生じる出力レベルのずれを補正する。オフセット補正処理は、実計測で得られたローデータから予め取得したオフセット値データ901を減算することにより行う。なお、オフセット値データ901は、補正データ取得部513により、例えば、実計測の直前に、X線を照射せずにローデータを取得する計測を行い、取得したローデータの平均をとることにより生成され、補正用データ記憶部530に格納される。
オフセット補正処理の後、補正部510は、隙間値データ902を用い、位置補正処理を行う(ステップS802)。位置補正処理では、オフセット補正後のローデータに対し、上述の手法で、正規のスライス位置を決定し、正規のスライス位置の出力値を算出する。
正規のスライス位置における出力値に対し、補正部510は、リファレンス補正処理を行う(ステップS803)。リファレンス補正処理は、時間的なX線強度の変動を補正するもので、実計測データを、被写体102を透過しないX線量(X線強度パラメータ)によって除することにより、スライス毎のX線の強度変動の影響を取り除く。
X線強度パラメータは、実計測時に、例えば、図1に示す円弧状に並ぶX線検出器104の中で、チャネル方向端部に位置する複数のX線検出素子161にて取得したローデータを用い生成する。すなわち、スライス毎に取得したローデータに対し、実計測データと同様の補正処理を行い、チャネル方向に加算し、スライス毎のX線強度パラメータとする。リファレンス補正処理は、全ビューについて、ビュー単位で、スライス毎に行う。
なお、ここでは、X線強度パラメータを、実計測時に用いるX線検出素子161で取得したローデータを用いて算出しているが、これに限られない。例えば、X線強度パラメータ算出用ローデータを取得するためのX線検出素子161を、実計測に用いるX線検出素子とは独立して備えるよう構成してもよい。
リファレンス補正処理後の出力値に対し、補正部510は、感度補正を行う(ステップS804)。感度補正では、X線CT装置10におけるX線分布の位置的な違いや、X線検出素子161毎の感度の違いを補正する。実計測データを、予め取得した感度データ903で除することにより、X線に対する出力の割合(感度)のばらつきを、X線検出素子161毎に補正する。
感度データ903は、補正データ取得部513により、実計測に先立って行われる感度データ取得計測で得たローデータ911から生成される。図10は、補正データ取得部513による感度データ生成手順を説明するための図である。本図に示すように、まず、被写体102を置かず、ローデータ911を取得する(ステップS1001)。そして、取得したローデータ911に対し、補正部510により、補正対象となる実計測データと同等の補正を行う(ステップS1002)。ここでは、補正対象となる実計測データに対し、感度補正を行う前に、オフセット補正処理、位置補正処理、及びリファレンス補正処理が行われているため、感度データを生成するために取得したローデータ911に対しても、同様に、オフセット補正処理、位置補正処理及びリファレンス補正処理を行う。その後、補正データ取得部513は、チャネル及びスライス毎の補正後の各データについて、ビュー方向に加算平均を算出し、感度データ903を生成する(ステップS1003)。補正データ取得部513は、得られた感度データ903を、補正用データ記憶部530に記憶する。
感度補正後、補正部510は、ファントムキャリブレーションを行う(ステップS805)。ファントムキャリブレーションでは、X線が被写体を透過することで生じるビームハードニングによるX線吸収係数の変化を補正するもので、計測により得たローデータに、変換係数から算出した変換率を乗じる。ファントムキャリブレーションにより、再構成像の定量性が向上し、アーチファクトが低減または除去される。ファントムキャリブレーションに用いられる変換係数904は、補正データ取得部513により予め生成され、補正用データ記憶部530に記憶される。
ここで、変換係数の生成について説明する。変換係数は、X線の吸収量に応じた、ビームハードニングを考慮しない場合に対する考慮した場合のX線吸収率の比である変換率を透過距離毎に算出するためのものであり、実計測に先立って行われる変換係数取得計測により得られたローデータ912から算出される。図11は、本実施形態の補正データ取得部513による変換係数算出の手順を説明するための図である。透過距離によるX線吸収係数の変化を計測するため、補正データ取得部513は、X線の透過距離の異なる複数のファントムを用いて計測を行い、それぞれローデータ912を得る(ステップS1101)。X線透過距離の異なる複数のファントムには、例えば、一様な材質の円柱状の形状で、それぞれ直径の異なるものを用いる。次に、取得したローデータ912に対し、補正部510により、ファントムキャリブレーションを施す実計測データと同等の補正を行い、透過距離毎の投影データ921を得る(ステップS1102)。ここでは、ファントムキャリブレーションを施す実計測データに対し、ファントムキャリブレーション前に、オフセット補正処理、位置補正処理、リファレンス補正処理及び感度補正処理が行われているため、取得したローデータに対しても、同様に、オフセット補正処理、位置補正処理、リファレンス補正処理及び感度補正処理を行う。
次に、補正データ取得部513は、ビームハードニングが生じない場合の各ファントムの投影データ922を計算する。投影データ922は、シミュレータ300を用い、X線吸収係数値310から周知の吸収率計算320を行い、算出する。ここでは、チャネル方向の吸収係数分布を計算する。補正データ取得部513は、ファントムの撮影から得た透過距離毎の投影データ921と、計算により得た投影データ922との比を計算し、透過距離毎の変換率として算出する(ステップS1103)。そして、計測した透過距離毎の変換率に対し、例えば、多項式近似を行い、透過距離を変数とする変換係数関数と変換係数904を算出する(ステップS1104)。得られた透過距離毎の変換係数904及び変換係数関数は、補正用データ記憶部530に記憶される。
なお、上記の変換係数算出においては、円柱状のファントムを用いているため、算出した分布を全てのスライスで共通に用いることができる。ただしファントムの形状はこれに限られない。例えば、円錐形のファントムであっても良い。この場合、円錐の回転軸をスライス方向111に平行に配置し、計測を行う。この場合は、各スライスで形状(断面の直径)が異なるため、吸収係数分布をスライス毎に計算する。
なお、円柱状のファントムのようにスライス方向111で透過距離が変化しない形状の場合は、位置補正処理の有無の影響は小さい。一方、円錐形のようにスライス方向で透過距離が変化する形状のファントムを用いる場合は、位置補正処理の有無の影響が大きい。従って、図11に示す、計算による投影データ922を求める際の吸収率計算320において、隙間401を考慮する必要がある。すなわち、ファントムが円錐形の場合、各スライス位置で撮影する面の形状はいずれも円となるが、その半径が隙間401によって変化する。従って、正規のスライス位置における半径を用い、計算による投影データ922を算出する。
以上の手順で、補正部510によりローデータ910に対して補正を行い、正規のスライス位置(投影データ点)における出力値である投影データ920が生成される。生成された投影データ920に対し、再構成部520が上述の再構成処理を行い、再構成像930を生成する。
上述したように、本実施形態の位置補正処理では、検出器モジュール400-1及び400-2それぞれの端部である基準位置411と基準位置412とを基準とし、その間で正規のスライス位置を計算し、当該位置における出力値Pを隣接値から推定する。例えば、本実施形態では、X線検出器104において、両端部間で等間隔に配置されたスライス位置における出力値を得ることができる。また、全ての正規のスライス位置X’(n)(n=1、2、...、8)は、実スライス位置X(n)とX(n+1)との間、または、X(n−1)とX(n)との間、のいずれかに位置することとなる。そのため、本実施形態では、正規のスライス位置X’(n)の出力値P’(n)は、外挿を行わずに内挿にて、実スライス位置の出力値P(n)から算出することができる。従って、精度良く推定ができる。
また、本実施形態では、位置補正の基準に、X線検出器104の作製時の基準位置を用いるため、高い精度の補正を実現することができる。
従って、本実施形態によれば、X線検出器104をスライス方向に1の検出器モジュール400で構成した場合と同様のスライス間隔の投影データを高い精度で得ることができる。このような投影データから画像を再構成するため、本実施形態によれば、アーチファクトを除去または低減した再構成像を実現できる。
本実施形態によれば、ローデータから投影データを生成する際、補正部510が上述のように位置補正処理を行うため、X線検出器104の製造にあたり、検出器モジュール400間に隙間401があったとしても、再構成像のアーチファクトを低減できる。従って、X線検出器104及びそれを構成する検出器モジュール400それぞれの作製に高い精度が要求されず、制約も減るため、作製が容易になる。また、X線検出器104の製造にあたり、検出器モジュール400のタイリング精度も要求されないため、この点においても作製が容易になる。そして、作製が容易になるため、製造コストも低減する。
さらに、検出器モジュール400の端部に特殊な処理を施す必要がないため、端部での機械的安定性が向上し、端部でのX線検出素子161の受光効率、暗電流特性、光電変換効率、X線利用効率、光の集効率、散乱線除去効率などの特性が劣化することがない。
具体的には、本実施形態では、製造時に、検出器モジュール400の間でX線検出素子161が検出器モジュール400内と同じ間隔を有するよう工夫する必要がない。本実施形態では、複数の検出器モジュール400は、スライス方向111に、隙間401を介して配置される。すなわち、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とにまたがって隣接したX線検出素子の中心211間の距離213は、検出器モジュール400内でのX線検出素子の中心211間の距離212に比べて広く作製できる。このような構造には、以下のようなメリットがある。
まず、充分な幅の隙間401が実現できることで、一方の検出器モジュール400-1が、他方の検出器モジュール400-2に隣接する面に凹凸やゆがみを有する場合でも、隙間401を遊びとして用いることができるため、2つの検出器モジュール400-1、400-2を、位置ずれを起こさずに精度良く搭載できる。同様に、検出器モジュール400を構成する、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、光電変換基板140それぞれが、凹凸やゆがみを有する場合であっても、2つの検出器モジュール400-1、400-2を、位置ずれを起こさずに精度良く搭載できる。従って、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、光電変換基板140の製造や検出器モジュール400の組み立てを高精度で行う必要は無く、安価に容易に、タイリングにてX線検出器104を実現できる。
またシンチレータ素子基板130において、充分な厚さの反射材132を実現できる。従来は、モジュール間素子間距離213をモジュール内素子間距離212と同じにするために、検出器モジュール400の端部の反射材132の厚さ202は、検出器モジュール400内での反射材132の厚さ201の半分以下にする必要があった。更に、シンチレータ素子基板130−1と130−2とをすき間無く隣接配置することは実質的に不可能なため、厚さ202は厚さ201の半分未満とする必要があった。しかし、本実施形態のX線検出器104では、厚さ202を厚さ201の半分以上や同じといった充分な厚さを実現できる。従って、反射材132の厚さが不十分であるために端部のX線検出素子で発した光が端部のすき間から外部に逃げて感度が低下することを避けることができる。
また、本実施形態によれば、シンチレータ素子基板130において、端部でのシンチレータ素子131の幅206を、他の位置でのシンチレータ素子131の幅205より狭くする必要がない。また、光電変換基板140において、端部での光電変換素子141の幅を他の位置での光電変換素子141の幅より狭くする必要がない。従って、X線や光の検出面積の低下によるX線利用効率や光集効率の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、モジュール間素子間隔213をモジュール内素子間隔212と一致させる必要がないため、光電変換基板140において、一方の検出器モジュール400-1の他方の検出器モジュール400-2の隣接面に最も近い端部のX線検出素子161の光電変換素子141を、端部から充分に離した位置に、他の素子と同じ大きさで実現できる。これまで、モジュール間素子間距離213をモジュール内素子間距離212と同じにし、かつ、端部でのシンチレータ素子131の幅206を他の位置でのシンチレータ素子131の幅205と同じにするために、シンチレータ素子131から端部までの距離204は、検出器モジュール400でのシンチレータ素子131間の距離203の半分以下にする必要があった。更に、光電変換基板140−1と140−2とをすき間無く隣接配置することは実質的に不可能なため、距離204は距離203の半分未満とする必要があった。しかし、光電変換基板140の端部には、加工によるクラックなどが生じることがあり、端部の光電変換素子141は、他の位置の光電変換素子141に比べて、暗電流が多い、光電変換効率が小さい、またこれらの物理特性がばらつくといったことがあり、更に歩留まりが低下していた。しかし、本実施形態のX線検出器104によれば、充分に光電変換基板140の端部から離した位置に光電変換素子141を作製できるため、これらの問題が解決できる。
また、散乱X線コリメータ120において、端部の金属板121の厚さを、それ以外の位置と同様にすることが可能となるため、散乱線除去効率の低下を防止できる。また、必要に応じて端部にはみ出して金属板121を支持する構造が実現できるため、散乱X線コリメータ板支持の安定性を向上できる。
以上のようなメリットを実現するために、隙間401の幅Dは、検出器モジュール400や構成基板の加工、作製、組み立ての精度を考えて決定することが望ましく、例えば、50μm以上の幅を有することが望ましい。また、位置補正の要求精度及び要求される分解能を考慮し、例えば、モジュール内素子間距離の50%以下にすることが望ましい。
なお、本実施形態では、図2と図3とに示すように、6チャネル4スライスのX線検出素子161を有する検出器モジュール400を2つタイリングして、6チャネル8スライスのX線検出器104を実現しているが、これらのチャネル数、スライス数、検出器モジュール400は一例であり、これに限られない。例えば、3つ以上の検出器モジュール400をスライス方向にタイリングして構成してもよい。
この場合、位置決定部511では、予め定められた2つの基準位置内で、各スライス位置間隔が等間隔になるよう正規のスライス位置を決定する。例えば、各検出器モジュール400間の隙間の合計を、全間隔にそれぞれの比率を維持しながら配分し、正規のスライス位置を決定する。なお基準位置としては、スライス方向の両端に配置される2つの検出器モジュール400の作製時の基準位置を用いる。また、データ推定部512が推定する中間の検出器モジュール400の出力値P’(n)は、上記式(3)の上の式で計算できる。
また、スライス方向の検出器モジュール400が3つ以上の場合、その隙間401の幅Dを示す隙間値データ902は、検出器モジュール400間の隙間401毎に対応づけて、補正用データ記憶部530に格納する。ただし、これに限られない。例えば、全検出器モジュール400において、隙間401の幅Dを一定とし、1の情報のみ保持するよう構成してもよい。また、一部の検出器モジュール400で一定とし、一定と設定した検出器モジュール400に関しては、1の情報のみ保持するよう構成してもよい。例えば、隙間401の幅Dのばらつきが少ない場合や、隙間401の幅Dの絶対値が小さい場合など、一定として扱う。また、隙間値データ902は、チャネル毎に有するよう構成してもよい。例えば、チャネル毎に隙間401の幅Dが異なる場合、精度良く位置補正を行うことができる。
また、保持する情報は、隙間401の幅Dの値ではなく、位置情報であってもよい。具体的には、例えば、検出器モジュール400-1及び検出器モジュール400-2の中心や端部などの位置、検出器モジュール400-1及び検出器モジュール400-2の、列毎の中心や端部などの位置、特定のX線検出素子161の位置、X線検出素子161群の中心位置など、さまざまな位置の情報であってよい。
本実施形態では、検出器モジュール400の、隣接する検出器モジュール400との隣接面と反対の端部を基準位置として、X線検出器104の作製及び補正部510の位置補正処理を行っている。しかし、基準位置はこれに限られない。基準位置は、X線モジュール400のスライス方向のどこであっても良い。このとき、隣接する基準位置間にあるX線検出素子161の位置補正処理後のスライス位置X’(n)は、1の基準位置の座標をX0、基準位置間の素子数をMとすると、前記と同様に式(1)で計算できる。
この場合、基準位置間のスライスに対して位置補正処理を行うと、得られる正規のスライス位置どうしの間隔は、基準位置間のスライスとそれ以外で異なる。従って、基準位置411と基準位置412とは、両基準位置間に多くのスライスを挟む位置に設けることが望ましい。すき間がスライス間隔に対して比較的狭い場合や、1の検出器モジュール400内のスライス数が多く、基準位置411と基準位置412との間に多くのスライスを設けることができる場合は、スライス間隔の違いは小さいため、問題とならない。例えば、スライス間隔Lが1mm、すき間Dが0.1mmであり、検出器モジュール400のスライス数Mが32の場合で、基準位置411及び412をそれぞれ検出器モジュール400-1及び400-2の中心に設ける。このとき、基準位置外と基準位置内とのスライス間隔の違いは式(1)から約3μmとなる。これは、スライス間隔L1mmに対して充分小さく、無視できる。
さらに、基準位置を、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とで、異なる位置に設けても良い。いずれの位置に基準位置を設ける場合であっても、X線検出器104作製時は、例えば、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、光電変換基板140、及び配線基板150それぞれの基準位置付近にマーカを付し、これを基準にX線検出器104を組み上げる。
また、本実施形態では、位置補正において、1次の多項式を用いて補正後の出力値P’(n)を推定する場合を例示しているが、出力値P’(n)の推定に用いる関数は、これに限られない。例えば、2次の多項式を用いてもよく、この場合、P’(n)はX(n−1)、X(n)、X(n+1)の出力値から、式(4)に従って推定できる。
また、さらに高次の多項式、三角関数、対数関数、指数関数などの他の関数を用いてもよい。また、スプライン法などの手法で補間関数を決定し、出力値P’(n)を推定してもよい。また、隣接するX線検出素子161の出力値のみならず、離れたX線検出素子161の出力値も用い、例えば、最小2乗法で補間関数を決定し、出力値P’(n)を推定してもよい。
また、各補正処理の順序もこれに限られない。本実施形態では、図9に示すように、位置補正処理をオフセット補正処理とリファレンス補正処理との間で行う場合を例にあげて説明したが、これに限られない。例えば、図12に示すように位置補正処理(ステップS802’)を、リファレンス補正処理(ステップS803’)と感度補正処理(ステップS804)との間で行うよう構成してもよい。これは、X線源100から照射されるX線の、スライス方向111の強度分布の違いが小さい場合、各X線検出器104のすき間のばらつきが小さい場合などに適用できる。なお、この場合、リファレンス補正処理(ステップS803’)において、X線強度パラメータ算出時に、位置補正を行わなくて良いため、計算量が低減でき、補正処理を高速化できる。
また、図13に示すように、位置補正処理(ステップS802’’)を、感度補正処理(ステップS804’)とファントムキャリブレーション(ステップS805)との間に行うよう構成してもよい。なお、この場合、感度補正処理(ステップS804’)を位置補正処理(ステップS802’’)の前に行うため、感度補正で用いる感度データ903は、位置補正を行わずに算出する。
また、図14に示すように位置補正処理(ステップS802’’’)を、ファントムキャリブレーション(ステップS805’)の後に行うよう構成してもよい。この場合も、感度補正処理(ステップS804’)が位置補正処理(ステップS802''')の前に行われるため、感度補正処理(ステップS804’)で用いる感度データは、位置補正を行わずに算出する。また、変換係数904も、同様に、算出時に位置補正を行わない。
なお、瞬間的にスライス方向に一様でないX線分布を有する場合は、図9に示すように、リファレンス補正処理の前に位置補正処理を行うことが望ましい。これにより、リファレンス補正処理において、X線強度パラメータデータを計測するX線検出器104が、他のX線検出器104と異なる隙間401の幅Dを有する場合であっても、高精度にリファレンス補正を実現できる。
この理由を、図15を用いて説明する。図15はリファレンス補正処理の前に位置補正処理を行う利点を説明するための図である。図15(a)は、位置補正処理及びリファレンス補正処理の実施前の出力値を、図15(b)には補正後の出力値を、それぞれ示す。図15(a)において、横軸は、実計測時を行うX線検出器104のX線検出素子161のスライス方向111の位置であり、それぞれ点線421で示す。その出力値は実線白丸422で示す。また、点線425は、リファレンス補正処理においてX線強度パラメータデータを取得するX線検出器104のX線検出素子161のスライス方向111の位置であり、その出力値は点線白丸426で示す。ここでは、X線強度パラメータデータを取得するX線検出器104の方が広いすき間を有するものとする。従って、点線425より点線421が等間隔に近い。
X線の強度が、スライス方向111に、瞬間的に直線427のような分布を持つとき、実線白丸422と点線白丸426とで示されるように、X線をサンプリングする位置(実スライス位置)が異なるため、X線検出器104により出力値に違いが生じる。この状態でリファレンス補正処理を行い、その後に位置補正処理を行うと、位置の違いによる出力値の違いが残り、図15(b)に白丸428で示すように、スライス毎に異なる結果となる。一方、本実施形態のように、図15(a)の状態で先に位置補正処理を行うと、スライス位置は正規のスライス位置となり同じとなるため、出力値もほぼ同一となる。そして、位置補正後のデータにリファレンス補正処理を行うと、図15(b)の黒丸424で示すように、どのスライスの出力値もほぼ同一の値となり、リファレンス補正が効果的になされることがわかる。以上のように、位置補正をリファレンス補正の前に行うことで、瞬間的にスライス方向に一様でないX線分布を有する場合でも、精度良く補正することができる。
なお、補正部510が行う各補正処理は、必ずしも全てを行わなくてもよい。例えば、光電変換素子141及び読み出し回路からのリーク電流などが少なく、オフセットのレベルが小さい場合、オフセット補正処理は行わなくても良い。また、例えば、X線の時間変動が小さい場合、リファレンス補正処理は行わなくても良い。また、例えば、X線の照射分布が一様で、X線検出素子161の感度のばらつきが小さい場合、感度補正処理は行わなくても良い。また、ビームハードニングの影響が小さい被写体102を撮影する場合、照射X線のスペクトルが単色に近い場合、吸収係数に高い定量性が求められない計測の場合等は、ファントムキャリブレーションを行わなくても良い。また、上記オフセット補正処理、リファレンス補正処理、感度補正処理、ファントムキャリブレーションの各補正処理は、本実施形態に記載した以外の手法で行ってもよく、同様の効果が得られれば、その手法は問わない。さらに、ローデータの補正に関し、上記以外の補正処理をさらに行うよう構成してもよい。
さらに、上記実施形態では、位置補正処理を、補正部510で、他の補正処理の中で行うよう構成しているが、これに限られない。例えば、再構成部520が行うよう構成してもよい。この場合の処理の流れを図16に示す。本図に示すように、補正部510においては、オフセット補正処理(ステップS801)とリファレンス補正処理(ステップS803’)と感度補正処理(ステップS804’)とファントムキャリブレーション(ステップS805’)とを行い投影データ923を生成する。得られた投影データ923に対し、再構成部520において、位置補正を行いながら、再構成像を生成する(再構成処理)。本構成は、例えば、ヘリカルスキャンにて、投影データを推定する際に有効である。これを、図17を用いて説明する。
図17は、ヘリカルスキャンを行った際に得られるスキャンダイヤグラムであり、縦軸が被写体102に対する回転台101の回転角度、横軸が被写体102の回転軸方向(スライス方向111))の位置を表す。ここでは、X線検出器104のスライス数が8の場合を例示する。また、第m(m=1、2、...、8)番目のスライスの実データの取得位置(実スライス位置)を471−mと記す。
図17に示すように、取得した実データから、例えば、位置470の再構成像は、図中で位置470に交差する複数のスライスの実データを用いる。再構成像を得る位置が、位置475のように、信号取得を行っていない位置の場合には、同一角度で撮影した近傍の複数のスライスの信号から、位置475での信号を推定する。ここでは、例えば、第2スライス471−2の位置476で得た信号と、第3スライス471−3の位置477で得た信号とから、線形補間により推定する。同様に、位置474においても信号を推定する必要がある。例えば、第4スライス471−4の位置472で得た信号と、第5スライス471−5の位置473で得た信号とから、線形補間により推定する。このとき、隙間値データ902を用い、隙間401の幅Dを考慮した座標にて推定を行うことにより、位置補正を行う。上記推定方法は一例であり、これに限られない。例えば、3スライス以上の信号を用いて、推定を行っても良い。この際、2次以上の多項式の補間関数を用いて推定してもよい。また、フィッティング関数を決定し、これを基に推定するよう構成してもよい。
また、本実施形態では、光電変換基板140は、自身が有する貫通配線146を介して、自身の背面にて配線基板150と電気的に接続を行うよう構成している。このとき、検出器モジュール400と配線基板150とを、電極パッド151と電極パッド152とをボールはんだにて電気的に接続すると共に、接着剤149で接着することで固定している。しかし、電気的接続は、これに限られない。例えば、図18に示すように、光電変換基板140の表面に配線を行い、その端部に電極パッド154を配し、配線基板150に設けられた電極パッド156にボンディングワイヤ155等で電気的に接続するよう構成してもよい。このとき、同図に示すように、電極パッド156及び電極パッド154を隙間401内に設け、隙間401内でボンディングワイヤ155により接続する。このように構成することにより、特に3つ以上の検出器モジュール400のタイリングが容易になる。
また、本実施形態では、検出器モジュール400作製時の、散乱X線コリメータ120、シンチレータ素子基板130、及び光電変換基板140の位置合わせにおいて、その一部をこれらの基板の端部を用いて行うが、これに限られない。それぞれの位置合わせにおいて、基準位置を示すマーカ等を備え、当該マーカを用いて位置合わせを行うよう構成してもよい。
さらに、本実施形態では、シンチレータ素子基板130と光電変換基板140との位置合わせ及び光電変換基板140と配線基板150との位置合わせは、それぞれマーカ142、143を用いて行う。しかし、これらの位置合わせは、これに限られない。例えば、図19に示すように、光電変換基板140とシンチレータ素子基板130との端部を位置調整用治具145に押し当てることにより、両者を所望の位置に配置するよう構成してもよい。光電変換基板140と配線基板150との位置合わせの際も同様である。なお、上述のマーカを用いた位置合わせの手法を、散乱X線コリメータ120をシンチレータ素子基板130に搭載する際に用いてもよい。
また、本実施形態では、散乱X線コリメータ120は、チャネル方向112とスライス方向111との両方向に設けているが、これに限られない。例えば、チャネル方向112とスライス方向111とのいずれか一方だけに設けてもよい。また、X線検出器104は、散乱X線コリメータ120を具備しなくてもよい。
また、本実施形態では、散乱X線コリメータ120の金属板支持板122は、シンチレータ素子基板130に面する面に設けられているが、これに限られない。例えば、その反対の面、すなわち、散乱X線コリメータ120にX線が入射する面に設けられても良い。また、金属板支持板122がシンチレータ素子基板130の一部であっても良く、例えばシンチレータ素子基板130の上面に溝が設けられた構造であっても良い。
また、本実施形態では、X線検出器104として、X線をシンチレータ素子131にて光に変換した後に光電変換素子141で電気信号に変換する間接変換型のものを例にあげて説明した。しかし、これに限られない。例えばシンチレータ素子基板130を具備せず、光電変換基板140にてX線を直接電気信号に変換する直接変換型のX線検出器であっても良い。
また、本実施形態では、光電変換基板140が結晶シリコンの場合を例にあげて説明したが、これに限られない。光電変換基板140の材料としては、光電変換材料であればよく、例えば、ゲルマニウム、カドミテルル、カドミジンクテルル、ヨウ化鉛、ポリシリコン、アモルファスシリコンなどであってもよい。
また、本実施形態では、シンチレータ素子131間に反射材132を設けるが、これに限られない。例えば、金属板などの反射板を搭載してもよい。また、金属板と、その両面に反射材132を設けたものをシンチレータ素子131間に設けてもよい。また、スライス方向やチャネル方向の一方に反射材132を、他方に金属板を設けるよう構成してもよい。また、スライス方向及びチャネル方向のいずれか一方のみ、反射材132及び金属板の少なくとも1つが設けられ他方のシンチレータ素子131は切断されずに繋がっていても良い。また、シンチレータ素子基板130は、分割されず、1枚のシンチレータ板で実現されていてもよい。
また、本実施形態では、X線検出器104において、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とが平行に配置される場合を例にあげて説明しているが、両者の配置はこれに限られない。例えば、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とが、図20に示すように、スライス方向111に所定の角度θで付き合わされた構造であってもよい。ここで図20は、図2の位置1000における断面図である。また配線基板150が段差を有し、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2のX線源100までの距離が異なるように配置される構造であってもよい。
本実施形態では、検出器モジュール400内で各X線検出素子161は等間隔に配置されている場合を例にあげて説明した。しかし、検出器モジュール400内でのX線検出素子161の配置は不等間隔であってもよい。この場合、正規のスライス位置どうしの間隔が、隙間401を除いた実スライス位置の間隔と同じ比率となるよう、各隙間401の幅Dを配分する。
このようなX線検出器104’の一例を図21に示す。ここで、図21は、X線検出器104’の受光面を、X線入射方向からみた図であり、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とが隙間401を介して隣接している。スライス方向111に対して、X線検出素子161は領域431と領域432とで幅が異なり、ここでは、領域432のX線検出素子161は領域431の半分である場合を例示する。
例えば、端部411と端部412とを基準位置にとる。このときの実スライス位置及び出力を図22(a)に、正規のスライス位置と出力を図22(b)に示す。ここで、反射材132の厚さが一定の場合、図21における領域432のX線検出素子161のスライス間隔をLとすると、検出器モジュール400-1において、図22に示す端部411から第1スライスまでの距離441はL、第1と第2スライスの距離442は2L、第2と第3スライスの距離443は1.5L、第3と第4スライスの距離444はL、第4スライスと隙間401側の端部までの距離445は0.5Lとなる。検出器モジュール400-2は、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2との境界面を介して対称であり、端部412を基準として同様の配置である。
このとき、正規のスライス位置X’(n)は、隙間401の幅Dを含めた基準位置411と基準位置412との間の距離を、隙間401を除いた場合の各スライス間の距離の比率を保って再配分することにより得る。すなわち、各距離において、Lを、L+D/12に置き換える。従って、端部411から第1スライスまでの距離451と、端部412から第8スライスまでの距離459は(L+D/12)、第1と第2スライスの距離452と、第8と第7スライスの距離458は2×(L+D/12)、第2と第3スライスの距離453と、第7と第6スライスの距離457は1.5×(L+D/12)、第3と第4スライスの距離454と、第4と第5スライスの距離455と、第5と第6スライスの距離456とは(L+D/12)となる位置が正規のスライス位置となる。
なお、図21に示すX線検出器104において、例えば、領域431と領域432との切れ目である位置414と位置415とを基準位置にとっても良い。このとき、同様に基準位置414と基準位置415との間の領域433で、隙間401の幅Dを同比率で配分し、正規のスライス位置X’(n)とする。従ってX’(n)は、距離451と距離459とはL、距離452と距離458とは2Lであり、補正前と同じである。一方、距離453と距離457とは(1.5L+D/8)、距離454と距離455と距離456が(L+D/4)となる位置に決まる。
なお、本実施形態のX線CT装置10は、スライス方向111のX線照射範囲を変更して撮影を行う機能をさらに備えるよう構成してもよい。このような機能を有することで、被写体102の撮影範囲が狭い場合、その範囲に限定してX線を照射して画像を得ることができ、不要な被曝を抑えることができる。具体的には、例えば、全スライスにX線を照射して画像を取得する8スライスモードに加え、2スライスのみにX線を照射して画像を取得する2スライスモード及び4スライスのみにX線を照射して画像を取得する4スライスモードを、ユーザの選択により実行する機能を備える。これらの撮影時のX線照射範囲を、図23を用いて説明する。ここで、図23はX線検出器104の受光面を、X線入射方向からみた図である。検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2とが隙間401を介して隣接して配置され、6チャネル8スライス分のX線検出素子161が2次元的に配置される。
X線照射範囲は、例えば8スライスモードの場合は図23に示す領域463、4スライスモードの場合は領域462、2スライスモードの場合は領域461の範囲である。この照射範囲を実現するために、X線源100はそのX線照射口に照射野を変更する照射野変更部(図示せず)を、入力装置107はスライスモードの選択を受け付ける機能を、中央処理装置105は、受け付けた選択に応じて制御装置108を動作させる機能を、制御装置108は中央処理装置105からの指示に従ってX線源100の照射野変更部を動作させる機能を、それぞれ備える。撮影者が入力装置107を介してスライスモードを選択すると、入力装置107は選択を受け付け、中央処理装置105及び制御装置108を介して照射野変更部はその指示を受け、X線照射野を変更する。X線照射野の変更の指示を受け付けた後、入力装置107を介してX線照射の指示を受け付けると、X線源100は、先に指定されたX線照射領域にX線を照射する。信号収集装置109は、照射された範囲のX線検出素子161から投影データを取得する。
ただし、これらのスライスモードの個数やそのスライス数は一例であり、これに限られない。また、X線照射範囲も一例であり、これに限られない。例えば、図24に示すようなX線照射範囲でも構わない。すなわち、所望の撮影スライス数が1の検出器モジュール400が備えるスライス方向のX線検出素子数以下の場合、一方の検出器モジュール400のX線検出素子161のみを用いるよう構成してもよい。具体的には、図23では、全スライスモードで検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2との両方を用いるのに対し、図24では、2スライスモードと4スライスモードとでは、一方の検出器モジュール400のみを用いる。このように、一方の検出器モジュール400のみを用いることで、隙間401を含まない撮影範囲の設定が可能となる。従って、複数の検出器モジュール400を用いる場合よりも、スライス幅分X線照射範囲を狭くすることができる。また、隙間401に照射されるX線は、画像の再構成に使用されないので、隙間401を含まないよう照射範囲を設定することにより、使用されないX線を減らすことができ、X線の利用効率が向上する。これは、特に、2スライスモードなどの狭いスライスモードで顕著に向上する。
なお、上記のX線照射範囲は一例であり、これに限られない。例えば2スライスモードにて、検出器モジュール400-1または検出器モジュール400-2のいずれかの中心の2スライスをX線照射範囲と設定してもよい。また、図24の領域464を2スライスモードのX線照射範囲としても良い。特に、X線照射範囲は、検出器モジュール400作製時の基準位置の近くに設けることが好ましい。基準位置の近くにX線照射範囲を設けることで、検出器モジュール400毎のX線検出素子161の位置ずれを小さくすることができる。
また、図24では、検出器モジュール400-1にX線照射範囲を設定する場合を例示しているが、検出器モジュール400-2にX線照射範囲を設定してもよい。また、2スライスモードは検出器モジュール400-1に、4スライスモードは検出器モジュール400-2にというように、スライスモードによってX線照射範囲を異なる検出器モジュール400に設定するよう構成してもよい。
さらに、スライスモードによって隙間401を含まない撮影範囲の設定が可能なように構成する場合、設定するスライスモードに応じて、位置補正処理を行わないよう構成してもよい。例えば、予め、スライスモードに応じて位置補正処理の有無を登録しておき、補正部510が登録情報に従って、自動的に位置補正処理の有無を判断して処理を行うよう構成してもよい。また、ユーザが必要に応じて、位置補正処理の有無を指示するようにし、それに従って、補正部510が位置補正の有無を判断して処理を行うよう構成してもよい。スライスモードに応じて補正部510において、位置補正処理を行わないよう構成することにより、位置補正処理を行わない場合、補正処理の処理時間を短縮することができる。
なお、上記実施形態では、複数の検出器モジュール400は、スライス方向111に全て同じスライス数(X線検出素子数)である場合を例にあげて説明したが、スライス数の異なる複数の検出器モジュール400を配置するよう構成してもよい。例えば、2スライスの検出器モジュール400-1と、4スライスの検出器モジュール400-2と、2スライスの検出器モジュール400-3とをこの順にスライス方向に配置する。そして、2スライスモード及び4スライスモードのX線照射範囲を、検出器モジュール400-2の内部の2スライス、4スライスの範囲となるよう設定する。なお、各検出器モジュール400のスライス数は一例でありこれに限られない。
また狭いスライスモードにおいて、隙間401を含まないようにX線照射範囲に設ける別の方法として、奇数個の検出器モジュール400を配置し、X線照射範囲毎に中心スライスを変えないよう構成してもよい。ここで中央スライスとは、X線検出器104のスライス方向の中心位置であり、実際のX線検出器104のスライスと一致しなくても良い。すなわち整数でなくても良い。例えば12スライスのX線検出器104では、6スライス目と7スライス目の間の6.5スライス目が中央スライスとなる。
このような配置では、例えば同じ大きさの検出器モジュール400を配置するとき、中央スライスを変えなくとも、1つの検出器モジュール400が有するスライス数以下のスライスモードで、中央に配置した1つの検出器モジュール400で撮影が可能となる。例えば、4スライスの検出器モジュール400を3つタイリングすることで12スライスのX線検出器104を実現する場合おいて、2スライスモードと4スライスモードのX線照射範囲は、真ん中の検出器モジュール400のみで撮影できる。
また異なるサイズの検出器モジュール400を配置するとき、最も大きな検出器モジュール400を、中心スライスに配置するのが好ましい。これにより隙間401を中心スライスから最も離した構造が実現でき、狭いスライスモードにおいて中央スライスを変えなくとも、中央に配置した1つの検出器モジュール400で撮影が可能となる。例えば、スライス順に2スライス、6スライス、4スライスの、合計3つの検出器モジュール400をタイリングすることで12スライスのX線検出器104を構成する場合、中央スライスに最も近い隙間401は8スライス目と9スライス目の間に位置し、2スライスモード(6スライス目と7スライス目を使用)と4スライスモード(5スライス目から8スライス目を使用)のX線照射範囲は、真ん中の6スライスの検出器モジュール400のみで撮影できる。
以上のX線検出器104や検出器モジュール400のスライス数は一例であり、これに限られず、さまざまなスライス数が可能である。また、検出器モジュール400数も、奇数であればよい。さらに、奇数個の検出器モジュール400それぞれのスライス数が異なってもよい。
さらに、本実施形態のX線CT装置10は、再構成像のスライス厚を変更する機能をさらに備えるよう構成してもよい。本機能を備えることにより、例えば、1スライスで実現する再構成像のスライス厚が0.5mmであるとき、2スライス分の1mm厚、4スライス分の2mm厚、8スライス分の4mm厚などの再構成像のスライス厚を得ることができる。ただしこれらのスライス厚やそのスライス数は一例であり、これに限られない。
図25及び図26は、再構成像のスライス厚を変更するための処理の流れの一例を説明するための図である。スライス厚を変更する機能を有する場合、補正部510は、さらに、スライス加算部を備える。スライス加算部は、上記補正部510での全補正処理を終えた後のデータであって、同一チャネル位置のスライス方向に連続したデータを、所定数加算し、投影データ924を作成する。加算数は、例えば、ユーザから指示を受け付ける、または、予め設定し、補正用データ記憶部530に保持する。図25に、補正部510での補正処理としてファントムキャリブレーションを最後に行う図9に示す場合を例示する。
本図に示すように、補正部510は、図9と同様にファントムキャリブレーションまでの処理を行う(ステップS801〜ステップS805)。その後、スライス加算部が、スライス加算処理を行う(ステップS2501)。得られた投影データ924に対し、再構成部520は再構成処理を行い(ステップS806)、再構成像931を得る。
上述のように、X線CT装置10において1スライスで実現する再構成像のスライス厚が0.5mmの場合、1mm厚のスライスの再構成像を作成する場合、スライス加算部180は、例えば、検出器モジュール400の1スライス目と2スライス目、3スライス目と4スライス目、5スライス目と6スライス目、7スライス目と8スライス目の、同一チャネル位置のX線検出素子161のデータをそれぞれ加算する。同様に、2mm厚の再構成像を作成する場合、スライス加算部180は、例えば、検出器モジュール400の1スライス目から4スライス目、5スライス目から8スライス目の、同一チャネル位置のX線検出素子161のデータをそれぞれ加算する。同様に、4mm厚の再構成像を作成する場合、スライス加算部180にて、例えば、検出器モジュール400の1スライス目から8スライス目の全スライスに関し、同一チャネル位置のX線検出素子161のデータを加算する。ただし、これらのスライスの組み合わせは一例であり、これに限られない。
また、補正部510の各部による各種補正処理の中で、スライス加算部によるスライス加算処理の実行タイミングは問わない。ただし、位置補正の精度を保つため、位置補正処理の後に行うことが望ましい。これは、スライス加算処理では、スライス方向でのデータの点数が少なくなるとともに、データの有する高い空間周波数の情報が失われるためである。
また、スライス加算部は、補正部510ではなく、再構成部520が備えるよう構成してもよい。図26にこのときの処理フローを示す。ここでは、投影データ920を得るまでの補正処理は、図9に示すものを行う場合を例示する。再構成像を作成後、スライス加算処理を行う。投影データに対し、再構成部520が再構成処理を行い(ステップS806)、その後、スライス毎の再構成像を加算、平均することにより(ステップS2601)、異なるスライス厚の再構成像931を得る。
<<第二の実施形態>>
本発明を適用する第二の実施形態について説明する。本実施形態のX線CT装置10は、基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。また、有する機能も基本的に第一の実施形態と同様である。だだし、本実施形態では、X線検出器104は、スライス方向111に3つ以上の検出器モジュール400を備える。以下、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
ここでは、一例として3つの検出器モジュール400-1、400-2、400-3を備える場合を例にあげて説明する。以後、本実施形態では、これらの検出器モジュールを特に区別する必要がない場合は、検出器モジュール400で代表する。
図27は、本実施形態のX線検出器104の構造の一例を示す図である。ここで、図27は、図2の位置1000での断面図である。図27に示すように、本実施形態のX線検出器104は、配線基板150上に、検出器モジュール400-1、400-2、400-3が、隙間401-1、401-2を介して搭載される。
本実施形態においても、補正部510は、位置決定部511’(不図示)を備え、予め定められた2つの基準位置間で、隙間分の距離を、各間隔に、それぞれの比率を維持しながら配分することにより、正規のスライス位置を算出する。ここで、位置補正処理の前後でのスライス位置と出力の一例を図28に示す。図28(a)が位置補正処理前、図28(b)が位置補正処理後のスライス位置と当該位置における出力である。
本実施形態のX線検出器104は、各検出器モジュール400の中心に基準位置411、412、413を設定する。すなわち、各検出器モジュール400-1、400-2、400-3は、これらの基準位置411、412、413を基準として作製する。位置決定部511’は、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2との間で、隙間401-1の幅D1を、各間隔に、その比率を保って配分する。また、検出器モジュール400-2と検出器モジュール400-3との間でも同様の処理を行う。例えば、検出器モジュール400において、X線検出素子161が等間隔に配置されている場合、基準位置411と412との間481のスライス間隔483は等間隔となり、基準位置412と413との間482のスライス間隔484も等間隔となる。そして、配分に従って、それぞれ正規の各スライス位置X’(n)を求める。
例えば、検出器モジュール400-1と検出器モジュール400-2との間において、基準位置411と基準位置412の間のX線検出素子161の数をM1、隙間401-1の幅をD1、X線検出素子161の間隔をL、位置411のスライス方向の位置をX1とすると、この間の正規のスライス位置X’(n)は以下の式(5)により求められる。なお、ここでは、X線検出素子161の間隔Lは、各検出器モジュール400内及び検出器モジュール400毎で等しい。
同様に、検出器モジュール400-2と検出器モジュール400-3との間において、位置412と位置413の間のX線検出素子161の数をM2、隙間401-2の幅をD2、X線検出素子161の間隔をL、位置412のチャネル位置をX2としたとき、この間の正規のスライス位置X’(n)は以下の式(6)により求められる。なお、ここでも、X線検出素子161の間隔Lは、各検出器モジュール400内及び検出器モジュール400毎で等しい。
なお、この場合、基準位置411と基準位置412との間以外の位置の正規のスライス位置X’(n)として決定される位置は、実スライスX(n)と等しい。このため、本実施形態の手法によれば、正規のスライス位置どうしの間隔は、位置411と位置413との間のスライスとそれ以外で異なる。また、隙間401-1の幅D1と隙間401-2との幅D2とが異なるとき、基準位置411と基準位置412の間と基準位置412と基準位置413との間のスライスでも、スライス間隔が異なる。しかし、先に記したように、隙間401の幅がスライス間隔に対して比較的狭い場合や、検出器モジュール400のスライス数が多く、基準位置411と基準位置413との間に多くのスライス数を設けることができる場合は、スライス間隔の違いは小さく、問題とならない。
本実施形態のデータ推定部512は、上記式(5)及び式(6)を用いて決定した各スライス位置で第一の実施形態と同様の手法でデータ推定を行う。本実施形態の補正部510は、位置補正処理に加え、第一の実施形態と同様の各種の補正処理を必要に応じて行い、投影データ920を生成する。本実施形態においても、再構成部520において、得られた投影データ920から再構成像を生成する。
以上説明したように、本実施形態によれば、検出器モジュール400が3個以上の場合でも、第一の実施形態と同様に位置補正を行うことができる。従って、上述のように、隙間401の幅がスライス間隔に対して比較的狭い場合や、検出器モジュール400のスライス数が多く、基準位置411と基準位置413との間に多くのスライス数を設けることができる場合は、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、検出器モジュール400毎に基準位置を設けているため、3つ以上の検出器モジュール400をタイリングする場合でも、隣り合う基準位置間毎に、その間のすき間値データ902を用いて等間隔のデータを推定することができる。これにより、作製精度や計測精度の誤差の蓄積によるデータ推定精度の低下を防ぐことができる。すなわち本実施形態によれば、例えば、第1、第2、第3の検出器モジュールがタイリングされるとき、第1と第2の検出器モジュール間でのデータ推定は、その間のすき間やX線検出素子幅の作製精度や計測精度で決定され、第2と第3の検出器モジュール間のすき間や、第3の検出器モジュールのX線検出素子の幅の作製精度や計測精度には影響されない。
なお、本実施形態では、スライス方向111に搭載される検出器モジュール400の数が3個の場合を例にあげて説明したが、4個以上であっても同様に処理可能である。
また、本実施形態では、基準位置を、各検出器モジュール400の中心としているが、基準位置はこれに限られない。基準位置は、各検出器モジュール400において、如何なる場所であってもよい。また、基準位置を、検出器モジュール400毎に、異なる位置に設けても良い。
なお、各検出器モジュール400間の隙間の幅が異なる場合であっても、基準位置間の全スライスについて、同一のスライス間隔となるよう正規のスライス位置を決定するよう構成してもよい。この場合の、位置決定部511によるスライス間隔の決定手法を、図29を用いて説明する。図29(a)は、位置補正処理の前、図29(b)は、位置補正後を示す。また図29(a)に示すX線検出素子161の間隔は、各検出器モジュール400内及び検出器モジュール400毎で等しい。以下では、3つの検出器モジュール400-1、400-2、400-3を備える場合を例にあげて説明する。
図29に示すように、ここでは、X線検出器104は、スライス方向111に関し、両端部に配置される検出器モジュール400、すなわち、検出器モジュール400-1、400-3では、それぞれの検出器モジュール400-1及び400-3の、他の検出器モジュール400に面していない側の端部のスライス位置を、それぞれ基準位置411、及び413とする。また、その他の検出器モジュール(ここでは、検出器モジュール400-2)の基準位置412は、各基準位置間のスライス数に対するすき間の幅が、各検出器モジュール400で同一になるようにとる。
例えば、基準位置411と基準位置412との間のスライス数をM1、基準位置412と基準位置413との間のスライス数をM2、隙間401-1の幅の設計値をD1、隙間401-2の幅の設計値をD2とすると、式(7)を満たすように、基準位置412を設定する。ここでM1、M2は整数である必要はなく、基準位置412はスライス間に設けられても良い。
ここで、各検出器モジュール400は、同一の構成を有するものとし、例えば、補正前のX線検出素子161のスライス間隔をL、スライス数をNとする。式(7)を用いて、位置基準412の位置を算出すると、検出器モジュール400-1に隣接する端部から
基準位置412の距離485までの長さHは式(8)により計算できる。
従って、式(8)より、
基準位置412を検出器モジュール400-2内に実現するためには、すき間の幅D1、D2は0.5D2≦D1≦D2の範囲でなければならない。
例えば、X線検出器104の設計値が、隙間401-1の幅D1が0.1mm、隙間401-2の幅D2が0.15mm、各検出器モジュール400のスライス数Nが32スライス、補正前のX線検出素子161の間隔Lが1mmの場合、距離Hは6.4mmと算出される。従って、この場合、検出器モジュール400-2の基準位置412は、検出器モジュール400-1に隣接する端部から6.4mmのところに設ける。
このように基準位置を設ける場合、補正部510による位置補正処理時は、隙間401-1及び401-2の隙間値データ902として、設計値を用いてもよいし、第一の実施形態と同様に、実測値を用いてもよい。
更に、図29には、X線検出素子161の間隔が各検出器モジュール400内及び検出器モジュール400毎で等しい場合を例示しているが、本方法はこれに限るものではない。例えばX線検出素子161の間隔が、各検出器モジュール400内で異なる場合や、検出器モジュール400毎に異なる場合でも適用できる。このとき各基準位置間のスライス数に対するすき間の幅を、各検出器モジュール400で同一とするためには、隣り合う基準位置411と基準位置412との距離と、隣り合う基準位置413と基準位置412との距離との比を、隙間401-1の幅の設計値D1と隙間401-2の幅の設計値D2との比に等しくなるように、基準位置412をとれば良い。すなわち基準位置411と基準位置412との距離をL1、基準位置413と基準位置412との距離をL2とするとき、式(9)を満たせば良い。また式(9)は、X線検出素子161の間隔が一定の条件の際には、式(7)と同じになることが分かる。
上記手法を用いることで、3個以上の検出器モジュール400においても、作製精度や計測精度の誤差の蓄積による推定精度の低下を招くことなく、検出器モジュール400を隙間無くタイリングした場合と略同等のスライス位置を実現できる。
なお、本手法において、スライス方向両端部に配置される検出器モジュール400-1及び400-3の基準位置411及び413は、それぞれ、両端のスライス位置に設定しているが、これに限られない。基準位置411と基準位置412との間のスライス数をM1、基準位置412と基準位置413との間のスライス数をM2、隙間401-1の幅の設計値をD1、隙間401-2の幅の設計値をD2とした場合、式(9)を満たすように、基準位置412を設定できればよい。
また、スライス方向に配置される検出器モジュールの数も3つに限られず、4つ以上であってもよい。この場合、i番目(iは4以上の自然数)の検出器モジュール400−iの基準位置とi+1番目の検出器モジュール400−(i+1)の基準位置との間のスライス数をMi、検出器モジュール400−iと検出器モジュール400−(i+1)との間の隙間の幅をDiとすると、各基準位置は、Di/Miが、一定となるよう設定すればよい。
なお、本実施形態においても、第一の実施形態で適用可能な種々の変形例を適用可能である。
上記各実施形態では、医療用のX線CT装置を例にあげて説明している。しかし、これに限られない。X線検出器104と補正部510とを搭載したあらゆるCT装置に適用できる。例えば、非破壊検査用のCT装置、X線コーンビームCT装置、デュアルエネルギーCT装置などであってもよい。
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の段階では、その要旨を逸脱しない範囲でさまざまに変形して実施することが可能である。更に、上記各実施形態にはさまざまな段階が含まれており、開示される複数の構成要素における適宜な組み合わせにより、さまざまな発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が、削除されても良い。
以上説明したように、上記各実施形態のX線CT装置によれば、X線検出器104を密に並べるために生じるX線検出器104の特性劣化や、X線検出器104の製造や設置の際に生じるX線検出素子の位置ずれに起因して生じる再構成像でのアーチファクトを投影データに対する補正によって低減または除去できる。また、X線検出器104を並べる作業性を向上でき、X線検出器104のタイリングを安価で容易に行うことができる。
従って、X線検出器104の端部のX線検出素子161の光電変換素子141やシンチレータ素子131を小さくしたり、隔離板や反射層を薄くすることなく検出器モジュール400をタイリングすることができ、先に記したような、受光効率やX線利用効率の低下、光の集効率の低下、これらのばらつきの増大などを抑えながら、X線検出素子161を1の検出器モジュール400で構成した場合と同様の信号を得ることができる。
また、光電変換素子141と光電変換基板140の端部との間に、必要に応じてスペースを設けることが可能となるため、端部の加工でできたクラックなどを避けた領域に光電変換素子141を配置できる。これにより、端部での光電変換素子141の暗電流特性や光電変換効率を向上させ、それらのばらつきを低減できる。
また、散乱X線コリメータ120を搭載する場合、散乱X線コリメータ120を構成する金属板121を薄くする必要は無い。充分な厚さの金属板121を使用でき、散乱線除去効率の低下を防ぐことができる。また必要に応じた幅に検出器モジュール400間の隙間401を設定することができるため、金属板121を安定して支持できる。
また、上記各実施形態のX線CT装置10は、X線検出器104の作製において、検出器モジュール400の中央、隣接面と反対側の端部等に設定される基準位置に、検出器モジュール400の設置位置を決定する位置合わせ手段を具備すると共に、必要に応じた幅の隙間401を検出器モジュール400間に設ける。このような構造により、隣接面の面する検出器モジュール400の端部の状態に依存せずに、位置合わせ手段で検出器モジュール400の位置を決定できるため、精度の良い検出器モジュール400の位置決定ができる。ここで、検出器モジュール400の端部の状態とは、例えば半導体基板、シンチレータ基板、コリメータの平坦度や直線性、作製寸法のばらつき、凹凸の有無などである。
以上説明したように、上記各実施形態によれば、X線検出器を密に並べるために生じるX線検出器の特性劣化や、X線検出器の製造や設置の際に生じるX線検出素子の位置ずれに起因して生じる再構成像でのアーチファクトを、投影データに対する補正によって低減または除去すること、X線検出器を並べる作業性を向上すること、X線検出器のタイリングを安価で用意に行うことが可能なX線CT装置を提供することができる。