JP5313938B2 - 自動変速機の制御方法および制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機の制御方法および制御装置に係り、特に、自動車に用いる歯車式変速機の制御に好適な自動変速機の制御方法および制御装置に関する。
手動変速機の自動車は、トルクコンバータを用いた変速機を搭載するものに比べ燃費がすぐれている。しかし、発進時のクラッチとアクセルの連携操作や、変速時のクラッチとギアチェンジの連携操作が煩わしいものとなっている。
これらを解決すべく、手動変速機に用いられる歯車式変速機を用いてクラッチとギアチェンジ操作を自動化したシステムとして自動化マニュアルトランスミッション(以下、「自動MT」と称する)が開発されている。また、変速機への入力トルクを伝達する2つのクラッチを設け、2つのクラッチによって交互に駆動トルクを伝達する、ツインクラッチ式自動MTも知られている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
このような自動MTにおいては、ギアチェンジ操作を行うための機構として、手動変速機と同様、変速機の内部に同期噛合い機構が設けられている。
同期噛合い機構は、スリーブと、キーと、ハブと、リングとを備えている。スリーブは、変速機の入力軸もしくは出力軸と一体的に回転するハブに対してスプライン嵌合されており、スリーブに押付け荷重が加わると、キーがスリーブとともに移動し、その端面でリングを遊転ギアのコーン部に押し付け、リングと遊転ギアのコーン面に摩擦が働き始め、スリーブの更なる移動により、キーとの噛合が外れると、スリーブが直接リングを押し、リングと遊転ギア間のコーン面に摩擦が働くことによって、遊転ギアの回転がスリーブの回転と一致(同期)する。回転が同期すると、リングは回転自在になり、スリーブの移動を妨げなくなる。その結果、スリーブはリングを通過して遊転ギアの噛合い歯に完全に噛み合い、所定の変速段を実現する。
しかし、スリーブを遊転ギアに噛合わせ、所定の変速段を実現するために、スリーブに押付け荷重を印加して、スリーブをリングに押付ける際、スリーブの押付け荷重が過大となると、スリーブが急速に移動し、リングと遊転ギアのコーン面が衝突し、ショックや音が生じて運転者に不快感を与える可能性がある。
そこで、スリーブの目標位置を設定し、噛合い動作を開始してから所定のストロークまではスリーブの目標位置を比較的緩やかに増加させ、所定ストロークから噛合い完了まではスリーブの目標位置を比較的急激に増加させることで、スリーブの移動速度過大によるショックを抑制するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−234654号公報 特開2001−295898号公報 特開2003−262237号公報
しかしながら、特許文献3に記載のように、スリーブの目標位置を緩やかに増加させた場合、スリーブを遊転ギアに噛合わせ、所定の変速段を実現するまでの所要時間が長くなり、変速所要時間が長くなる。特に、運転者に加速意志がある場合は、変速所要時間は短いことが望ましく、可能な限り短時間でスリーブををリングに押付け、回転を同期させて遊転ギアに噛合わせ、所定の変速段を実現することが望まれている。
本発明の目的は、スリーブに押付け荷重を印加して、スリーブをリングに押付ける際、運転者に加速意志がある場合は、可能な限り短時間でスリーブを移動せしめてスリーブをリングに押付けることにより、運転者の意志に応じた変速の可能な自動変速機の制御方法および制御装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、駆動力源からのトルクを受けて回転する少なくとも一つの入力軸と、車両の駆動軸にトルクを出力する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸の間で回転を伝達する複数の遊転ギアと、前記複数の遊転ギアを前記入力軸若しくは前記出力軸に係合して変速段を実現する複数の同期噛合い機構と、電気的に動作する作動装置と、前記作動装置と前記同期噛合い機構のスリーブを連結する連結機構とを有し、前記同期噛合い機構は、前記入力軸または前記出力軸と一体的に回転する複数のハブと、これらのハブにそれぞれ設けられ、前記ハブと一体的に回転するとともに前記ハブに対して軸方向に移動可能である複数のスリーブと、前記ハブと前記遊転ギアの間にそれぞれ備えられたリングと、からなり、前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけることによって移動し、前記スリーブを前記リングに押付けることによって前記リングが前記遊転ギアに押付けられ、前記リングと前記遊転ギアとの間で摩擦力が発生することによって前記スリーブと前記遊転ギアの回転が同期し、前記スリーブと前記遊転ギアが噛合うことで所定の変速段を実現する、自動変速機に用いられ、該自動変速機を制御する制御方法であって、前記作動装置によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけて前記同期噛合い機構の噛合いを行う際に、車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段を用いて検出または推定した車両の前後加速度に応じて、前記検出または推定した車両の前後加速度が大きくなるにつれて、前記スリーブの移動速度を速くするように、前記スリーブの移動速度を調節するようにしたものである。
かかる方法により、スリーブに押付け荷重を印加して、スリーブをリングに押付ける際、運転者に加速意志がある場合は、可能な限り短時間でスリーブを移動せしめてスリーブをリングに押付けることにより、運転者の意志に応じた変速が可能となる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記車両の前後加速度によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつける荷重を設定し、フィードフォワード制御するようにしたものである。
(3)上記(1)において、好ましくは、前記自動変速機は、前記スリーブの位置を検出する位置検出機構を備え、前記スリーブの目標位置を設定し、前記位置検出機構により検出される前記スリーブの位置が目標位置に追従するように前記スリーブの押付け荷重をフィードバック制御するようにしたものである。
(4)上記(3)において、好ましくは、車両の前後加速度によって前記フィードバック制御の制御パラメータを設定するようにしたものである。
(5)上記(3)において、好ましくは、前記車両の前後加速度によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけるフィードフォワード荷重を設定し、前記フィードバック制御による荷重と、前記フィードフォワード荷重とから、前記作動装置を制御するようにしたものである。
(6)上記(3)において、好ましくは、車両の前後加速度によって前記スリーブの目標位置を調節するようにしたものである。
(7)また、上記目的を達成するために、本発明は、駆動力源からのトルクを受けて回転する少なくとも一つの入力軸と、車両の駆動軸にトルクを出力する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸の間で回転を伝達する複数の遊転ギアと、前記複数の遊転ギアを前記入力軸若しくは前記出力軸に係合して変速段を実現する複数の同期噛合い機構と、電気的に動作する作動装置と、前記作動装置と前記同期噛合い機構のスリーブを連結する連結機構と、車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段とを有し、
前記同期噛合い機構は、前記入力軸または前記出力軸と一体的に回転する複数のハブと、これらのハブにそれぞれ設けられ、前記ハブと一体的に回転するとともに前記ハブに対して軸方向に移動可能である複数のスリーブと、前記ハブと前記遊転ギアの間にそれぞれ備えられたリングと、からなり、前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけることによって移動し、前記スリーブを前記リングに押付けることによって前記リングが前記遊転ギアに押付けられ、前記リングと前記遊転ギアとの間で摩擦力が発生することによって前記スリーブと前記遊転ギアの回転が同期し、前記スリーブと前記遊転ギアが噛合うことで所定の変速段を実現する、自動変速機に用いられ、該自動変速機を制御する制御装置であって、前記作動装置によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけて前記同期噛合い機構の噛合いを行う際に、前記車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段を用いて検出または推定した車両の前後加速度に応じて、前記検出または推定した車両の前後加速度が大きくなるにつれて、前記スリーブの移動速度を速くするように、前記スリーブの移動速度を調節する制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、スリーブに押付け荷重を印加して、スリーブをリングに押付ける際、運転者に加速意志がある場合は、可能な限り短時間でスリーブを移動せしめてスリーブをリングに押付けることにより、運転者の意志に応じた変速が可能となる。
本発明によれば、スリーブに押付け荷重を印加して、スリーブをリングに押付ける際、運転者に加速意志がある場合は、可能な限り短時間でスリーブを移動せしめてスリーブをリングに押付けることにより、運転者の意志に応じた変速が可能となる。
本発明の一実施形態による自動変速機の構成を示すスケルトン図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置によって制御される変速機に用いられる同期噛合い機構の拡大断面図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置に用いられる変速機制御ユニットと、エンジン制御ユニットの入出力信号関係を示すブロック線図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置の制御内容の概略を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードフォワード荷重演算の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードフォワード荷重演算に用いる関数の説明図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置における目標シフト位置演算の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置における目標シフト位置演算に用いる関数の説明図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードバック荷重演算の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードバック荷重演算に用いる関数の説明図である。 本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置のシフト制御例を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による自動車の制御装置によって制御される自動車システムの構成を示すスケルトン図である。
以下、図1〜図12を用いて、本発明の一実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による自動車の制御装置によって制御される自動車システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による自動車の制御装置によって制御される自動車システムの第1の構成を示すスケルトン図である。
図1に示す自動車システムは、自動変速機として、自動化したマニュアル・トランスミッション(自動MT)を適用している。
駆動力源であるエンジン7では、吸気管(図示しない)に設けられたスロットル10により吸入空気量が制御され、吸入空気量に見合う燃料量が燃料噴射装置(図示しない)から噴射される。また、吸入空気量および燃料量から決定される空燃比、エンジン回転数などの信号から点火時期が決定され、点火装置(図示しない)により点火される。燃料噴射装置には、燃料が吸気ポートに噴射される吸気ポート方式あるいはシリンダ内に直接噴射される筒内噴射方式があるが、エンジンに要求される運転域(エンジントルク、エンジン回転数で決定される領域)を比較して燃費が低減でき、かつ排気性能が良い方式のエンジンを選択することが望ましい。駆動力源としては、ガソリンエンジンのみならず、ディーゼルエンジンや天然ガスエンジンでもよい。
エンジン7と入力軸41の間には発進クラッチ8が介装され、発進クラッチ8の位置を制御することにより発進クラッチ8の押付け力を調節することが可能であり、エンジン7から入力軸41へ動力を伝達することができる。また、発進クラッチ8を解放することにより、エンジン7から入力軸41への動力伝達を遮断することができる。一般に、発進クラッチ8には乾式単板方式の摩擦クラッチが用いられ、発進クラッチ8の押付け力を調整することによりエンジン7から入力軸41へ伝達するトルクを調節することが可能である。発進クラッチ8の発進アクチュエータ61は、モータ(図示せず)とモータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成されており、パワートレーン制御ユニット100によって、発進アクチュエータ61に設けられたモータ(図示しない)の電流を制御することで、発進クラッチ8の押付け力が制御される。また、発進クラッチ8には、湿式多板方式の摩擦クラッチや電磁クラッチなど、伝達するトルクを調節可能なクラッチならば何れも適用可能である。発進クラッチ8は、通常のマニュアル・トランスミッションを搭載した車両において一般的に用いられており、発進クラッチ8を徐々に押し付けていくことにより車両を発進させることができる。
また、パワートレーン制御ユニット100によって、セレクトアクチュエータ63に設けられたモータ(図示しない)の電流を制御することで、シフト/セレクト機構24に設けられたコントロールアーム(図示しない)のストローク位置(セレクト位置)を制御し、スリーブ21,スリーブ22,スリーブ23のいずれを移動するか選択している。
また、パワートレーン制御ユニット100によって、シフトアクチュエータ62に設けられたモータ(図示しない)の電流を制御することで、シフト/セレクト機構24に設けられたコントロールアーム(図示しない)の回転力、回転位置を制御し、セレクトアクチュエータ63によって選択された、スリーブ21,スリーブ22,スリーブ23のいずれかを動作させる荷重またはストローク位置(シフト位置)を制御できるようになっている。
入力軸41には、ギア1,ギア4が固定されており、出力軸42に対して回転自在に取り付けられたギア11,ギア14と、それぞれ噛合している。また、ギア2,ギア3,ギア5およびギア6が、入力軸41に対して回転自在に取り付けられており、出力軸42に固定されたギア12,ギア13,ギア15およびギア16とそれぞれ噛合している。
入力軸41には、入力軸回転数センサ31が取り付けられており、入力軸回転数の検出が可能である。出力軸42には、出力軸回転数センサ32が取り付けられており、出力軸回転数の検出が可能である。
次に、スリーブ、同期装置から成る同期噛み合い式クラッチについて説明する。
同期噛み合い式クラッチは、通常のマニュアル・トランスミッションを搭載した車両において一般的に用いられており、この同期装置によってギア切換時における回転同期が可能であり、変速操作を容易にすることができる。
まず、スリーブ21および同期装置51,同期装置54から成る同期噛み合い式クラッチについて説明する。
出力軸42には、ギア11およびギア14と出力軸42と直結するスリーブ21が設けられており、ギア11およびギア14のトルクを出力軸42に伝達するためには、スリーブ21を出力軸42の軸方向へ移動させ、ギア11あるいはギア14とスリーブ21とを直結する必要がある。また、ギア11とスリーブ21の間には同期装置51が設けられており、スリーブ21を同期装置51に押付けることにより、ギア11と同期装置51との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア11から同期装置51を介してスリーブ21へのトルク伝達が行われ、スリーブ21の回転数にギア11の回転数が同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ21はギア11に直結する。同様に、ギア14とスリーブ21の間には同期装置54が設けられており、スリーブ21を同期装置54に押付けることにより、ギア14と同期装置54との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア14から同期装置54を介してスリーブ21へトルク伝達が行われ、スリーブ21の回転数にギア14の回転数が同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ21はギア14に直結する。
次に、スリーブ22および同期装置52、同期装置55から成る同期噛み合い式クラッチについて説明する。
入力軸41には、ギア2およびギア5と入力軸41と直結するスリーブ22が設けられており、入力軸41のトルクをギア2およびギア5に伝達するためには、スリーブ22を入力軸41の軸方向へ移動させ、ギア2あるいはギア5とスリーブ22とを直結する必要がある。また、ギア2とスリーブ22の間には同期装置52が設けられており、スリーブ22を同期装置52に押付けることにより、同期装置52とギア2との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ22から同期装置52を介してギア2へトルク伝達が行われ、スリーブ22の回転数がギア2の回転数に同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ22はギア2に直結する。同様に、ギア5とスリーブ22の間には同期装置55が設けられており、スリーブ22を同期装置55に押付けることにより、同期装置52とギア5との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ22から同期装置52を介してギア5へトルク伝達が行われ、スリーブ22の回転数がギア5の回転数に同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ22はギア5に直結する。
次に、スリーブ23および同期装置53、同期装置56から成る同期噛み合い式クラッチについて説明する。
入力軸41には、ギア3およびギア6と入力軸41と直結するスリーブ23が設けられており、入力軸41のトルクをギア3およびギア6に伝達するためには、スリーブ23を入力軸41の軸方向へ移動させ、ギア3あるいはギア6とスリーブ23とを直結する必要がある。また、ギア3とスリーブ23の間には同期装置53が設けられており、スリーブ23を同期装置53に押付けることにより、同期装置53とギア3との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ23から同期装置53を介してギア3へのトルク伝達が行われ、スリーブ23の回転数がギア3の回転数に同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ23はギア3に直結する。同様に、ギア6とスリーブ23の間には同期装置56が設けられており、スリーブ23を同期装置56に押付けることにより、同期装置56とギア6との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ23から同期装置56を介してギア6へのトルク伝達が行われ、スリーブ23の回転数がギア6の回転数に同期される。回転数同期が終了すると、スリーブ23はギア6に直結する。
このように、入力軸41の回転トルクを出力軸42へ伝達するためには、スリーブ21、またはスリーブ22、またはスリーブ23のいずれかを選択し、シフト/セレクト機構24を動作させることによって、スリーブ21、またはスリーブ22、またはスリーブ23のいずれかをギア11、またはギア14、またはギア2、またはギア5、またはギア3、またはギア6に直結させ、入力軸41の回転トルクを出力軸42へ伝達することができる。
エンジン7は、エンジン制御ユニット101によって制御される。
なお、本実施形態では、発進アクチュエータ61およびセレクトアクチュエータ62、シフトアクチュエータ63としてモータとメカ機構を組み合せたものを使用しているが、電磁弁等を用いた油圧アクチュエータを採用しても良い。
次に、図2を用いて、本実施形態による自動変速機の制御装置によって制御される変速機に用いられる同期噛合い機構の詳細構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置によって制御される変速機に用いられる同期噛合い機構の拡大断面図である。図2は、図1におけるスリーブ21、変速機出力軸42、ギア11の部分を抜粋して拡大して示している。
スリーブ21は、スリーブ21aと、キー21bと、ハブ21cと、リング21dとを備えている。スリーブ21aは、出力軸42と一体的に回転するハブ21cに対してスプライン嵌合されている。スリーブ21aに押付け荷重が加わると、キー21bがスリーブ21aとともに移動し、その端面でリング21dを遊転ギアであるギア11のコーン部に押し付け、リング21dとギア11間のコーン面に摩擦が働き始める。
スリーブ21aの更なる移動により、キー21bとの噛合が外れると、スリーブ21aが直接リング21dを押す。すると、リング21dとギア11間のコーン面に摩擦が働くことによって、ギア1の回転がスリーブ21aの回転と一致(同期)する。
すると、リング21dは回転自在になり、スリーブ21aの移動を妨げなくなる。その結果、スリーブ21aはリング21dを通過してギア11のドグ歯11aに完全に噛み合い、シフト動作が完了する。
本実施形態では、同期噛合い機構のコーン面が一つであるシングルコーンタイプを用いているが、コーン面が二つあるダブルコーンタイプ、三つあるトリプルコーンタイプなどがあり、少ない押付け荷重で大きなトルクを伝達可能なように複数のコーン面のある大容量のものを用いるのが有利である。また本実施形態では、同期噛合い機構には、イナーシャロックキー式を用いているが、他にもピン式、サーボ式など種々あり、いずれの方式を用いても構成可能である。
次に、図3を用いて、本実施形態による自動車の制御装置の入出力信号について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による自動車の制御装置の入出力信号を示すブロック図である。
図3は、パワートレーン制御ユニット100とエンジン制御ユニット101との入出力関係を示している。
パワートレーン制御ユニット100は、入力部100iと、出力部100oと、コンピュータ100cを備えたコントロールユニットとして構成される。同様に、エンジン制御ユニット101も、入力部101iと、出力部101oと、コンピュータ101cを備えたコントロールユニットとして構成される。
パワートレーン制御ユニット100からエンジン制御ユニット101に、通信手段103を用いてエンジントルク指令値TTEが送信され、エンジン制御ユニット101はエンジントルク指令値TTEを実現するように、エンジン7の吸入空気量,燃料量,点火時期等(図示しない)を制御する。また、エンジン制御ユニット101内には、変速機への入力トルクとなるエンジントルクの検出手段(図示しない)が備えられ、エンジン制御ユニット101によってエンジン7の回転数NE,エンジン7が発生したエンジントルクTEを検出し、通信手段103を用いてパワートレーン制御ユニット100に送信する。エンジントルク検出手段には、トルクセンサを用いるか、またはインジェクタの噴射パルス幅や吸気管内の圧力とエンジン回転数等など、エンジンのパラメータによる推定手段としても良い。
また、パワートレーン制御ユニット100には、入力軸回転数センサ31,出力軸回転数センサ32から、入力軸回転数NI,出力軸回転数NOがそれぞれ入力され、アクセル開度センサ33からアクセルペダル踏み込み量APSが入力される。
また、パワートレーン制御ユニット100には、クラッチ位置センサ61aから発進クラッチの位置を示す発進クラッチ位置RPCLHと、シフト位置センサ37からシフト位置(ストローク位置)RPSFTが入力される。
また、パワートレーン制御ユニット100には、勾配センサ38から車両前後方向の傾斜を示す勾配INCが入力される。勾配INCは、車両の前方より車両の後方が低いとき、すなわち上り勾配のとき、正の値となり、車両の前方より車両の後方が高いとき、すなわち下り勾配のとき、負の値となる。
また、パワートレーン制御ユニット100には、前後G(加速度)センサ39から車両前後方向の加速度を示す前後加速度GSENBFが入力される。前後加速度GSENBFは、車両が加速しているとき、正の値となり、車両が減速しているとき、負の値となる。前後Gセンサ39は、運転者の加速意志の有無を判定するために用いられる。なお、出力軸回転数センサ32によって検出された出力軸回転数NOの微分値により、前後加速度を推定て、運転者の加速意志の有無を判定することもできる。
パワートレーン制御ユニット100は、アクセルペダルを踏み込んだときは運転者に発進、加速の意志があると判断し、運転者の意図を実現するように、エンジントルク指令値TTEを設定する。
また、パワートレーン制御ユニット100は、所望の発進クラッチ位置を実現するために、発進クラッチアクチュエータ61の発進クラッチモータ61bへ印加する電圧V1_sta,V2_staを調整することで、クラッチモータ61bの電流を制御し、発進クラッチ8を係合、解放する。
また、パワートレーン制御ユニット100は、所望のセレクト位置を実現するために、セレクトアクチュエータ63のセレクトモータ63bへ印加する電圧V1_sel,V2_selを調整することで、セレクトモータ63bの電流を制御し、スリーブ21,スリーブ22,スリーブ23のいずれを噛合させるかを選択する。
また、パワートレーン制御ユニット100は、所望のシフト荷重もしくはシフト位置を実現するために、シフトアクチュエータ62のシフトモータ62bへ印加する電圧V1_sft,V2_sftを調整することで、シフトモータ62bの電流を制御し、スリーブ21,スリーブ22,スリーブ23のいずれかの噛合・解放を行う。
なお、パワートレーン制御ユニット100には、電流検出回路(図示しない)が設けられており、各モータの電流が目標電流に追従するよう電圧出力を変更して、各モータの回転トルクを制御している。
またここで、各アクチュエータに備えられるモータは、磁石が固定されて巻線が回転される、いわゆる直流モータによって構成されているが、巻線が固定して磁石が回転される、いわゆる永久磁石同期モータでも良く、種々のモータが適用可能である。
次に、図4〜図10を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による具体的な制御内容について説明する。
最初に、図4を用いて、本実施形態による自動変速機の制御装置の全体の制御内容の概略について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置の全体の制御内容の概略を示すフローチャートである。
図4の制御フローは、ステップ401(フィードフォワード荷重演算)と、ステップ402(目標シフト位置演算)と、ステップ403(フィードバック荷重演算)と、ステップ404(目標シフト荷重演算)と、から構成される。
図4の内容は、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ401〜404の処理は、変速機制御ユニット100によって実行される。
ステップ401(フィードフォワード荷重演算)の詳細は図5および図6に、ステップ402(目標シフト位置演算)の詳細は図7および図8に、ステップ403(フィードバック荷重演算)の詳細は図9および図10にてそれぞれ説明する。
ステップ404では、ステップ401(フィードフォワード荷重演算)によって算出するフィードフォワード荷重TFSFTFFと、ステップ403(フィードバック荷重演算)によって算出するフィードバック荷重TFSFTFBを加算することによって、目標シフト荷重TFSFTを算出する。
変速機制御ユニット100は、ステップ404によって設定された目標シフト荷重TFSFTを実現するよう、シフトモータ62bへ印加する電圧V1_sft、V2_sftを出力する。
なお、本実施例においては、シフト位置は中立位置(ニュートラル)を0として、1速または3速または5速側を負、2速または4速また6速または後進側を正で定義している。また、1速または3速または5速のいずれかを締結するようにスリーブを制御する場合のシフト荷重の符号を負、2速または4速または6速または後進のいずれかを締結するようにスリーブを制御する場合のシフト荷重の符号を正で定義している。
次に、図5及び図6を用いて、図4のステップ401(フィードフォワード荷重演算)の詳細について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードフォワード荷重演算の制御内容を示すフローチャートである。図6は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードフォワード荷重演算に用いる関数の説明図である。
図5のステップ501において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの締結が必要であるか否かを判定し、ギア締結動作を行わない場合はステップ504へ進み、フィードフォワード荷重TFSFTFFを0として終了する。ギア締結動作を実行する場合はステップ502へ進む。
次に、ステップ502において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギア締結動作が完了しているか否かを判定し、ギア締結が完了している場合はステップ504へ進み、フィードフォワード荷重TFSFTFFを0として終了する。ギア締結動作が完了していない場合はステップ503へ進む。
ステップ503において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかであるか否かを判定し、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかである場合はステップ505へ進み、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれでもない場合はステップ506へ進む。
締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかである場合はステップ505において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|を入力とした関数tg135によって加速度補正値CGSENを設定する。また、アクセルペダル踏みこみ量APSおよびギア締結動作の経過時間TMRONを入力とした関数fbase135によってシフト締結荷重基本値TFSFTFFBを設定する。さらに、シフト締結荷重基本値TFSFTFFBと加速度補正値CGSENを乗算することでフィードフォワード荷重TFSFTFFとして算出して終了する。
ここで、関数tg135は、図6(A)に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
また、関数fbase135は、図6(B)に示すように、ギア締結動作の経過時間TMRONが小さい(ギア締結動作を開始直後)は比較的小さい値とし、ギア締結動作の経過時間TMRONが大きくなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかである場合は,すなわち、2速または4速または6速の場合は、ステップ506において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|を入力とした関数tg246によって加速度補正値CGSENを設定する。また、アクセルペダル踏みこみ量APSおよびギア締結動作の経過時間TMRONを入力とした関数fbase246によってシフト締結荷重基本値TFSFTFFBを設定する。さらに、シフト締結荷重基本値TFSFTFFBと加速度補正値CGSENを乗算することでフィードフォワード荷重TFSFTFFとして算出して終了する。
ここで、関数tg246は、図6(C)に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
また、関数fbase246は、図6(D)に示すように、ギア締結動作の経過時間TMRONが小さい(ギア締結動作を開始直後)は比較的小さい値とし、ギア締結動作の経過時間TMRONが大きくなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
なお、図6(B),(D)において、前述したように、1速または3速または5速のいずれかを締結するようにスリーブを制御する場合のシフト荷重の符号を負、2速または4速または6速または後進のいずれかを締結するようにスリーブを制御する場合のシフト荷重の符号を正で定義している。
以上のように構成することで、前後加速度が小さいときは、フィードフォワード荷重TFSFTFFは比較的小さな値で、前後加速度が大きくなるにつれてフィードフォワード荷重TFSFTFFが大きな値となるため、運転者に加減速の意思が無い場合は、噛合い位置での締結ショックと噛合い音を低減し、運転者に加減速の意思が有る場合は、運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
なお、本実施例においては、ステップ503において、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかであるか否かの判定を行い、判定にしたがってステップ505、またはステップ506のいずれかを実行するように構成しているが、ステップ503の判定内容を締結ギア位置を判定する内容とし、ステップ505、ステップ506を締結するギア位置に応じて細分化し、締結するギア位置に応じてフィードフォワード荷重TFSFTFFを算出するように構成しても良い。またさらには、レンジ位置が非駆動レンジ(Pレンジ、Nレンジ)から駆動レンジ(Rレンジ、Dレンジ等)に切り替えたシーン(レンジセレクト時)や、駆動レンジの中でも、Dレンジの場合や、所謂マニュアルモードの場合等の状況に応じて細分化するようにステップ503やステップ505、またはステップ506を構成しても良い。
次に、図7及び図8を用いて、図4のステップ402(目標シフト位置演算)の詳細について説明する。
図7は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置における目標シフト位置演算の制御内容を示すフローチャートである。図8は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置における目標シフト位置演算に用いる関数の説明図である。
ステップ701において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、休止状態か否か(ギアの締結/解放動作が必要であるか否か)の判定を行い、休止状態である場合(ギアの締結/解放動作を実行しない場合)はステップ712へ進み、目標シフト位置TPSFTにシフト位置RPSFTを代入して終了する。休止状態ではない場合はステップ702に進む。
ステップ702において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの操作が解放動作であるか否かの判定を行い、解放動作である場合はステップ713に進み、解放動作時の目標シフト位置TPSFT算出処理を実行して終了する。解放動作ではない場合(締結動作の場合)はステップ703へ進む。
ステップ703において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの締結動作を開始した時点のシフト位置RPSFTを、締結開始時位置RPSFT_STとして算出する。締結開始時位置RPSFT_STの更新はギアの締結動作を開始した時点の1回のみ行い、それ以降は更新しない。
ステップ704において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、同期噛合い機構のスリーブがリングを押し、リングと遊転ギアのコーン面に摩擦が働くシフト位置(ボーク位置)の目標値tTPBALKを設定する。目標当接位置tTPBALKは、ギア(1速〜5速ギア、後進ギア)毎にそれぞれ設定することが望ましく、またさらにはボーク位置の学習機能を備え、学習によって随時更新することが望ましい。なお、目標当接位置tTPBALKは、実際のボーク位置よりも噛合い位置よりに設定することが望ましい。
ステップ705において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの締結動作を開始してから、目標ボーク位置まで、目標シフト位置を移動させる目標移動時間基本値tTMBALKBを設定する。目標移動時間基本値tTMBALKBは、ギア(1速〜5速ギア、後進ギア)毎にそれぞれ設定することが望ましく、またさらには、シフトモータ62bの温度等、シフトアクチュエータ62の状態に応じて調整することが望ましい。シフトアクチュエータ62を油圧アクチュエータで構成する場合は油温によって調整することが望ましい。また、締結開始時位置RPSFT_STと、目標当接位置tTPBALKの差分によって調整することが望ましい。また、車両の運転状態に応じて、応答性重視や、ショック低減重視のような調整が可能なように、駆動力源であるエンジン7のトルク、もしくはアクセルペダル踏み込み量APSによっても調整可能な構成とすることが望ましい。
ステップ706において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ステップ705の目標移動時間基本値tTMBALKBと、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|を入力とした関数tCGBALKから目標移動時間補正値CGBALKと目標移動時間補正値CGBALKを乗算することで、目標移動時間TMBALKを算出する。
ここで、関数tCGBALKは、図8に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
従って、前後加速度が小さいときは、目標移動時間TMBALKは比較的小さな値で、前後加速度が大きくなるにつれて目標移動時間TMBALKが大きな値となるため、運転者に加減速の意思が無い場合は、噛合い位置での締結ショックと噛合い音を低減し、運転者に加減速の意思が有る場合は、運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
ステップ707において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの締結動作を開始してからの経過時間tを算出する。締結経過時間tは、ステップ708での演算のため、上限を目標移動時間tTMbalkで制限する。
ステップ708において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、目標シフト位置の基本値TPSFT0を算出する。ステップ708では、ステップ703からステップ707にて算出した各パラメータを用いて、目標シフト位置の基本値TPSFT0が、締結開始時位置RPSFT_STから目標当接位置tTPBALKまで、目標移動時間TMBALKで変化するように算出する。具体的には、TPSFT0=RPSFT_ST×(TMBALK−t)÷TMBALK+tTPBALK×t÷TMBALKとして算出する。このように構成することで、図7の処理が、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cによって、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行されることで、ギアの締結動作を開始した後に、目標シフト位置基本値TPSFT0が、締結開始時位置RPSFT_STから目標当接位置tTPBALKまで、目標移動時間TMBALKで変化する。
ステップ709において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかであるか否かの判定を行い、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれかである場合はステップ710へ進み、締結するギアの位置が1速または3速または5速のいずれでもない場合はステップ711へ進む。
ステップ710において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、目標シフト位置基本値TPSFT0と、シフト位置RPSFTのうち大きい値を目標シフト位置TPSFTとして算出して終了する。
ステップ711において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、目標シフト位置基本値TPSFT0と、シフト位置RPSFTのうち小さい値を目標シフト位置TPSFTとして算出して終了する。
なお、本実施例においては、ステップ710、ステップ711にて目標シフト位置基本値TPSFT0と、シフト位置RPSFTの大小に応じて目標シフト位置TPSFTを算出する構成としているが、目標とする噛合い位置を設定し、同期噛合い機構のスリーブと遊転ギアの回転が一致(同期)したことを判定する同期完了判定を設け、同期完了判定した後に、目標シフト位置TPSFTを目標シフト位置基本値TPSFT0から目標噛合い位置まで速やかに変化させるように構成しても良い。
次に、図9及び図10を用いて、図4のステップ403(フィードバック荷重演算)の詳細について説明する。
図9は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードバック荷重演算の制御内容を示すフローチャートである。図10は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置におけるフィードバック荷重演算に用いる関数の説明図である。
ステップ901において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、休止状態か否か(ギアの締結/解放動作が必要であるか否か)の判定を行い、休止状態である場合(ギアの締結/解放動作を実行しない場合)はステップ909へ進み、フィードバック荷重TFSFTFBを0とするとともに、位置偏差積分値EPSFTIを0として終了する。休止状態ではない場合はステップ902に進む。
ステップ902において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ギアの操作が解放動作であるか否かの判定を行い、解放動作である場合はステップ910に進み、解放動作時のフィードバック荷重TFSFTFB算出処理を実行して終了する。解放動作ではない場合(締結動作の場合)はステップ903へ進む。
ステップ903において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、シフト位置をフィードバック制御するための比例ゲイン基本値KPSFTB、積分ゲイン基本値KISFTB、微分ゲイン基本値KDSFTBを算出する。比例ゲイン基本値KPSFTB、積分ゲイン基本値KISFTB、微分ゲイン基本値KDSFTBはシフト位置RPSFTによって調整可能な構成とすることが望ましく、特に微分補正ゲイン基本値KDSFTBは、シフト位置RPSFTが噛合い位置に近づくにつれて小さい値となるように設定することが望ましい。なお、比例ゲイン基本値KPSFTB、積分ゲイン基本値KISFTB、微分ゲイン基本値KDSFTBは、車両の運転状態に応じて、応答性重視や、ショック低減重視のような調整が可能なように、駆動力源であるエンジン7のトルク、もしくはアクセルペダル踏み込み量APSによっても調整可能な構成とすることが望ましい。またさらには、レンジ位置が非駆動レンジ(Pレンジ、Nレンジ)から駆動レンジ(Rレンジ、Dレンジ等)に切り替えたシーン(レンジセレクト時)や、駆動レンジの中でも、Dレンジの場合や、所謂マニュアルモードの場合等の状況に応じて細分化するよう構成しても良い。
ステップ904において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|を入力とした関数tCGKP、関数tCGKI、関数tCGKDによって、比例ゲイン補正値CGKP、積分ゲイン補正値CGKI、微分ゲイン補正値CGKDを設定する。さらに、ステップ903で算出した比例ゲイン基本値KPSFTBと積分ゲイン基本値KISFTBと微分ゲイン基本値KDSFTBにそれぞれ比例ゲイン補正値CGKP、積分ゲイン補正値CGKI、微分ゲイン補正値CGKDを乗算することで比例ゲインKPSFT、積分ゲインKISFT、微分ゲインKDSFTを算出する。
ここで、関数tCGKPは、図10(A)に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
また、関数tCGKIは、図10(B)に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
また、関数tCGKDは、図10(C)に示すように、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が小さいほど小さい値とし、前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|が大きいなるにつれて除々に大きな値となるように設定することが望ましい。
従って、前後加速度が小さいときは、比例ゲイン補正値CGKP、積分ゲイン補正値CGKI、微分ゲイン補正値CGKDは比較的小さな値で、前後加速度が大きくなるにつれて比例ゲイン補正値CGKP、積分ゲイン補正値CGKI、微分ゲイン補正値CGKDが大きな値となるため、運転者に加減速の意思が無い場合は、噛合い位置での締結ショックと噛合い音を低減し、運転者に加減速の意思が有る場合は、運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
ステップ905において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、目標シフト位置TPSFTとシフト位置RPSFTの偏差EPSFT、位置偏差EPSFTを元に算出する位置偏差積分値EPSFTI、位置偏差微分値EPSFTDを算出する。
ステップ906において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、ステップ904で設定したゲインと、ステップ905の算出結果を用いて、比例補正値DPSFT、積分補正値DISFT、微分補正値DDSFTを算出する。具体的には、比例補正値DPSFT=偏差EPSFT×比例ゲインKPSFT、積分補正値DISFT=位置偏差積分値EPSFTI×積分ゲインKISFT、微分補正値DDSFT=位置偏差微分値EPSFTD×微分ゲインKDSFTとして算出する。
ステップ907において、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cは、比例補正値DPSFT、積分補正値DISFT、微分補正値DDSFTから、フィードバック補正値DPSFTFBを算出し、ステップ908にて、フィードバック補正値DPSFTFBに変換係数αを乗算することによってフィードバック荷重TFSFTFBを算出する。
なお、本実施例では、比例ゲインKPSFT、積分ゲインKISFT、微分ゲインKDSFTを前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|に応じて補正する構成としているが、フィードバック補正値DPSFTFBを前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|で補正しても良く、フィードバック荷重TFSFTFBを前後加速度GSENBFの絶対値|GSENBF|で補正しても良い。
次に、図11を用いて、本実施形態による自動変速機の制御装置のシフト制御例について説明する。
図11は、本発明の一実施形態による自動変速機の制御装置のシフト制御例を示すタイムチャートである。
図11において、図11(A)〜図11(E)の横軸は、時間を示している。図11(A)は、車両前後加速度を示している。実線は加速状態であることを示し、破線は非加速状態であることを示している。図11(B)は、目標とするギア位置を示している。1stは1速、2ndは2速、3rdは3速である。図11(C)は、スリーブ21の押付け荷重の目標値である目標シフト荷重TFSFTを示している。
図11(D)は、第1速段と第2速段を選択できるスリーブ21のストローク位置である、目標シフト位置TPSFT、及びシフト位置RPSFTを示している。0(N)は中立(ニュートラル)、1stは1速の噛合い位置、2ndは2速の噛合い位置である。図11(E)は、シフトアクチュエータ62のシフトモータ62bの電流を示している。
最初に、図11を用いて、運転者がアクセルペダルを踏み込んでおり、加速状態である場合のシフト制御内容について説明する。図11(A)に示す車両前後加速度は、実線で示す加速状態である。これに対して、図11(C)のシフト荷重は実線で示すように変化し、図11(D)のシフト位置は実線で示すように変化し、図11(E)のシフト電流は実線で示すように変化する。
時刻t1以前では、図11(B)に示すように、目標ギア位置が1st(1速)であり、目標シフト位置TPSFT、シフト位置RPSFTは1st(1速)の位置であり、1st(1速)に保たれている。このとき、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTは0であり、その結果、図11(E)に示すように、シフト電流も0である。
時刻t1にて、変速機制御ユニット100によって目標ギア位置が1st(1速)から2nd(2速)となると、図5のステップ506が実行され、フィードフォワード荷重TFSFTFFが演算される。このとき、また、図7のステップ713の処理によって、図11(D)の点線に示すように、目標シフト位置TPSFTが1st(1速)から0(N)まで変化する。また、図9のステップ910によってフィードバック荷重TFSFTFBが演算され、時刻t2にてシフト解放制御が完了する。
時刻t2では、図5のステップ506が実行され、図6(C)、(D)の設定によって前後加速度で調整されたフィードフォワード荷重TFSFTFFが演算される。また、図7のステップ703からステップ711の処理と図8(A)の設定によって、図11(D)の点線に示すように、目標シフト位置TPSFTが0(N)から、図7のステップ704で設定された2速側の目標当接位置まで変化する。また、図9のステップ903からステップ908の処理と図10(A)、(B)、(C)の設定によって前後加速度で調整されたフィードバック荷重TFSFTFBが演算され、時刻t2付近では、目標シフト位置TPSFTとシフト位置RPSFTの偏差によってフィードバック荷重TFSFTFBはやや大きな値となり、その後、目標当接位置に留まっている目標シフト位置TPSFTにシフト位置RPSFTが近づくにつれて、図9のステップ906によって、シフト位置RPSFTの移動速度を低下させるようにフィードバック荷重TFSFTFBが小さい値となり、その結果、図11(C)の目標シフト荷重TFSFTは、時刻t2付近では、シフト位置RPSFTを素早く移動させるように大きな値をとり、時刻t3に近づくにつれてシフト位置RPSFTの移動速度が小さくなるように小さい値となり、シフト位置RPSFTはボーク位置までスムーズに移動する。
時刻t3以降は、図5のステップ506、図6(C)、(D)の設定によって、除々にフィードフォワード荷重TFSFTFFが増大し、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTも除々に増大する。その結果、図9(E)に示すように、シフト電流も除々に増大し、時刻t4にて、スリーブ21とギア14の回転が一致(同期)する。
時刻t4以降は、図5のステップ506、図6(C)、(D)の設定によって、フィードフォワード荷重TFSFTFFを設定し、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTが設定され、時刻t5にて、図5のステップ502、および図7のステップ701、および図9のステップ901によって、ギアの締結動作が完了したと判定され、図11(C)に示すように、シフト荷重=0、図11(E)に示すように、シフト電流=0となる。
次に、図11を用いて、運転者がアクセルペダルをあまり踏み込んでおらず、非加速状態である場合のシフト制御内容について説明する。図11(A)に示す車両前後加速度は、破線で示す非加速状態である。これに対して、図11(C)のシフト荷重は破線で示すように変化し、図11(D)のシフト位置は破線で示すように変化し、図11(E)のシフト電流は破線で示すように変化する。
時刻t1以前では、図11(B)に示すように、目標ギア位置が1st(1速)であり、目標シフト位置TPSFT、シフト位置RPSFTは1st(1速)の位置であり、1st(1速)に保たれている。このとき、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTは0であり、その結果、図11(E)に示すように、シフト電流も0である。
時刻t1にて、変速機制御ユニット100によって目標ギア位置が1st(1速)から2nd(2速)となると、図5のステップ506が実行され、フィードフォワード荷重TFSFTFFが演算される。また、図7のステップ713の処理によって、図11(D)の一点鎖線に示すように、目標シフト位置TPSFTが1st(1速)から0(N)まで変化する。ここで、図7のステップ706により、目標移動時間TMBALKも前後加速度に応じて長めに設定されるため、一点鎖線に示す目標シフト位置TPSFTも、点線で示す加速状態の目標シフト位置TPSFTへの変化よりも緩やかに目標シフト位置TPSFTを替えるように設定され、その結果、目標シフト位置TPSFTに追従するように制御されるスフト位置に変化も非加速状態では緩やかになる。また、図9のステップ910によってフィードバック荷重TFSFTFBが演算され、時刻t2’にてシフト解放制御が完了する。
時刻t2’では、図5のステップ506が実行され、図6(C)、(D)の設定によって前後加速度で調整されたフィードフォワード荷重TFSFTFFが演算される。フィードフォワード荷重TFSFTFFの絶対値は、加速状態に比べて小さく設定されている。また、図7のステップ703からステップ711の処理と図8(A)の設定によって、図11(D)の一点鎖線に示すように、目標シフト位置TPSFTが0(N)から、図7のステップ704で設定された2速側の目標当接位置まで変化する。また、図9のステップ903からステップ908の処理と図10(A)、(B)、(C)の設定によって前後加速度で調整されたフィードバック荷重TFSFTFBが演算され、時刻t2’付近では、目標シフト位置TPSFTとシフト位置RPSFTの偏差によってフィードバック荷重TFSFTFBはやや大きな値となり、その後、目標当接位置に留まっている目標シフト位置TPSFTにシフト位置RPSFTが近づくにつれて、図9のステップ906によって、シフト位置RPSFTの移動速度を低下させるようにフィードバック荷重TFSFTFBが小さい値となり、その結果、図11(C)の目標シフト荷重TFSFTは、時刻t2’付近では、シフト位置RPSFTを素早く移動させるように大きな値をとり、時刻t3’に近づくにつれてシフト位置RPSFTの移動速度が小さくなるように小さい値となり、シフト位置RPSFTはボーク位置までスムーズに移動する。
時刻t3’以降は、図5のステップ506、図6(C)、(D)の設定によって、除々にフィードフォワード荷重TFSFTFFが増大し、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTも除々に増大する。その結果、図9(E)に示すように、シフト電流も除々に増大し、時刻t4’にて、スリーブ21とギア14の回転が一致(同期)する。
時刻t4’以降は、図5のステップ506、図6(C)、(D)の設定によって、フィードフォワード荷重TFSFTFFを設定し、図11(C)に示すように、目標シフト荷重TFSFTが設定され、時刻t5’にて、図5のステップ502、および図7のステップ701、および図9のステップ901によって、ギアの締結動作が完了したと判定され、図11(C)に示すように、シフト荷重=0、図11(E)に示すように、シフト電流=0となる。
以上のように構成することで、図11(D)に示すように、シフト位置RPSFTが、中立位置0(N)からスリーブ21とギア14の回転が一致(同期)する時刻t2からt4の期間において、シフト荷重を前後加速度により調節する。すなわち、運転者に加減速の意思が無い場合は、図11(C)に示すシフト荷重が小さめに設定され、図11(D)に示す目標シフト位置まで変位する目標移動時間も長めに設定されるので、噛合い位置での締結ショックと噛合い音を低減する。また、運転者に加減速の意思が有る場合は、図11(C)に示すシフト荷重が大きめに設定され、図11(D)に示す目標シフト位置まで変位する目標移動時間は短めに設定されるので、運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
次に、図12を用いて、本実施形態による自動車の制御装置によって制御される自動車システムの第2の構成について説明する。
図12は、本発明の一実施形態による自動車の制御装置によって制御される自動車システムの構成を示すスケルトン図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
自動変速機51は、第1クラッチ1208、第2クラッチ1209、第1入力軸1241、第2入力軸1242、出力軸1243、第1ドライブギア1201、第2ドライブギア1202、第3ドライブギア1203、第4ドライブギア1204、第5ドライブギア1205、第1ドリブンギア1211、第2ドリブンギア1212、第3ドリブンギア1213、第4ドリブンギア1214、第5ドリブンギア1215、第1噛合い伝達機構1221、第2噛合い伝達機構1222、第3噛合い伝達機構1223、回転センサ31、回転センサ32、回転センサ33を備えている。
本構成例が、図1に図示の構成例と異なる点は、図1に図示の構成例が入力軸クラッチ8の係合によってエンジン7のトルクを変速機入力軸41に伝達するように構成されているのに対し、本構成例がツインクラッチで構成している点である。
すなわち、第1クラッチ1208の係合によって、エンジン7のトルクを第1入力軸1241に伝達し、また第2クラッチ1209の係合によって、エンジン7のトルクを第2入力軸1242に伝達する。第2入力軸1242は中空になっており、第1入力軸1241は、第2入力軸1242の中空部分を貫通し、第2入力軸1242に対し回転方向への相対運動が可能な構成となっている。
第1クラッチ1208の係合、解放は、電磁弁105aによって制御する油圧によって行われ、第2クラッチ1209の係合、解放は、電磁弁105bによって制御する油圧によって行われる。
また、第1入力軸1241の回転数を検出する手段として、センサ31が設けられており、第2入力軸1242の回転数を検出する手段として、センサ33が設けられている。
一方、出力軸1243には、第1ドリブンギア1211、第2ドリブンギア1212、第3ドリブンギア1213、第4ドリブンギア1214、第5ドリブンギア1215が設けられている。第1ドリブンギア1211、第2ドリブンギア1212、第3ドリブンギア1213、第4ドリブンギア1214、第5ドリブンギア1215は出力軸1243に対して回転自在に設けられている。
また、出力軸1243の回転数を検出する手段として、センサ32が設けられている。
また、第1ドリブンギア1211と第3ドリブンギア1213の間には、第1ドリブンギア1211を出力軸1243に係合させたり、第3ドリブンギア1613を出力軸1243に係合させる、第1噛合い伝達機構1221が設けられている。
また、第2ドリブンギア1212と第4ドリブンギア1214の間には、第2ドライブギア1212を出力軸1243に係合させたり、第4ドリブンギア1214を出力軸1243に係合させる、第3噛合い伝達機構1223が設けられている。
また、第5ドリブンギア1215には、第5ドリブンギア1215を出力軸1243に係合させる、第2噛合い伝達機構1222が設けられている。
ここで、前記噛合い伝達機構1221、1222、1223は、摩擦伝達機構を備え、摩擦面を押しつけることによって回転数を同期させて噛合いを行う同期噛合い式を用いることが望ましい。
シフトアクチュエータ73によって、第1噛合い伝達機構1221の位置を移動し、第1ドリブンギア1211または、第3ドリブンギア1213と係合させることで、第2入力軸1242の回転トルクを、第1噛合い伝達機構1221を介して出力軸1243へと伝達することができる。
また、シフトアクチュエータ75によって、第3噛合い伝達機構1223の位置を移動し、第2ドリブンギア1212または、第4ドリブンギア1214と係合させることで、第1入力軸1241の回転トルクを、第3噛合い伝達機構1223を介して出力軸1243へと伝達することができる。
また、シフトアクチュエータ74によって、第2噛合い伝達機構1222の位置を移動し、第5ドリブンギア1215と係合させることで、第2入力軸1242の回転トルクを、第2噛合い伝達機構1222を介して出力軸1243へと伝達することができる。
また、制御装置であるパワートレーン制御ユニット201によって油圧機構105に設けられた電磁弁105aの電流を制御することで、前記第1クラッチ1208内に設けられたプレッシャプレート(図示しない)を制御し、前記第1クラッチ1208の伝達トルクの制御を行っている。すなわち、油圧機構105、電磁弁105aが前記第1クラッチ1208を作動させる作動機構として構成されている。
また、パワートレーン制御ユニット201によって油圧機構105に設けられた電磁弁105bの電流を制御することで、前記第2クラッチ1209内に設けられたプレッシャプレート1209c(図示しない)を制御し、前記第2クラッチ1209の伝達トルクの制御を行っている。すなわち、油圧機構105、電磁弁105bが前記第2クラッチ1209を作動させる作動機構として構成されている。
また、パワートレーン制御ユニット201によって、油圧機構105に設けられた電磁弁105c、105dの電流を制御することで、シフトアクチュエータ73に設けられた油圧ピストン(図示しない)を介して、第1噛合い伝達機構1221の荷重またはストローク位置(第一シフト位置)を制御できるようになっている。なお、シフトアクチュエータ73には第一シフト位置を計測する位置センサ(図示しない)が設けられている。
また、パワートレーン制御ユニット201によって、油圧機構105に設けられた電磁弁105e、105fの電流を制御することで、シフトアクチュエータ74に設けられた油圧ピストン(図示しない)を介して、第2噛合い伝達機構1222の荷重またはストローク位置(第二シフト位置)を制御できるようになっている。なお、シフトアクチュエータ74には第二シフト位置を計測する位置センサ(図示しない)が設けられている。
また、パワートレーン制御ユニット201によって、油圧機構105に設けられた電磁弁105g、105hの電流を制御することで、シフトアクチュエータ75に設けられた油圧ピストン(図示しない)を介して、第3噛合い伝達機構1223の荷重またはストローク位置(第三シフト位置)を制御できるようになっている。なお、シフトアクチュエータ75には第三シフト位置を計測する位置センサ(図示しない)が設けられている。
また、変速機51には、変速機51内部の潤滑油の温度を計測する油温センサ(図示しない)が設けられている。なお、潤滑油温センサは、クラッチの冷却流路(クラッチ冷却直前の流路)に設けることが望ましい。
また、第1クラッチ1208、第2クラッチ1209の摩擦面の温度を間接的に計測するため、第1クラッチ1208、第2クラッチ1209の周囲の潤滑油の温度を計測する油温センサ(図示しない)が設けられている。
前記パワートレーン制御ユニット201、エンジン制御ユニット101は、通信手段103によって相互に情報を送受信する。
なお、本実施例においては、摩擦伝達機構である第1クラッチ1208、第2クラッチ1209を湿式多板クラッチで構成しているが、乾式単板クラッチで構成しても良く、摩擦面の押付けによって動力を伝達する種々の摩擦伝達機構に適用可能である。
図13に示す構成においても、シフト荷重を前後加速度により調節することで、運転者に加減速の意思が無い場合は、噛合い位置での締結ショックと噛合い音を低減し、運転者に加減速の意思が有る場合は、運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、スリーブを遊転ギア側へ押しつけて同期噛合い機構の噛合いを行う際は、加速度によりスリーブの移動速度を調整することで、運転者に加減速の意思が無い場合は、スリーブの移動速度過大による締結ショックと噛合い音を低減し、運転者に加減速の意思が有る場合は、スリーブの移動速度を速めることで運転者の意志を満たす短時間での変速が可能となる。
1,11…ギア(1速)
4,14…ギア(2速)
2,12…ギア(3速)
5,15…ギア(4速)
3,13…ギア(5速)
6,16…ギア(6速)
7…エンジン
8…発進クラッチ
10…スロットル
21…スリーブ(1速−2速)
22…スリーブ(3速−4速)
23…スリーブ(5速−6速)
24…シフト/セレクト機構
31…入力軸回転数センサ
32…出力軸回転数センサ
41…入力軸
42…出力軸
50,51…自動変速機
51…同期装置(1速)
52…同期装置(3速)
53…同期装置(5速)
54…同期装置(2速)
55…同期装置(4速)
56…同期装置(6速)
61…発進アクチュエータ
62…シフトアクチュエータ
63…セレクトアクチュエータ
100,201…パワートレーン制御ユニット
101…エンジン制御ユニット
103…通信手段
1201,1211…ギア(1速)
1202,1212…ギア(2速)
1203,1213…ギア(3速)
1204,1214…ギア(4速)
1205,1215…ギア(5速)
1208…第1クラッチ
1209…第2クラッチ
1221…スリーブ(1速−3速)
1222…スリーブ(5速)
1223…スリーブ(2速−4速)
1241…第1入力軸
1242…第2入力軸
1243…出力軸

Claims (7)

  1. 駆動力源からのトルクを受けて回転する少なくとも一つの入力軸と、車両の駆動軸にトルクを出力する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸の間で回転を伝達する複数の遊転ギアと、前記複数の遊転ギアを前記入力軸若しくは前記出力軸に係合して変速段を実現する複数の同期噛合い機構と、電気的に動作する作動装置と、前記作動装置と前記同期噛合い機構のスリーブを連結する連結機構とを有し、
    前記同期噛合い機構は、前記入力軸または前記出力軸と一体的に回転する複数のハブと、これらのハブにそれぞれ設けられ、前記ハブと一体的に回転するとともに前記ハブに対して軸方向に移動可能である複数のスリーブと、前記ハブと前記遊転ギアの間にそれぞれ備えられたリングと、からなり、
    前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけることによって移動し、前記スリーブを前記リングに押付けることによって前記リングが前記遊転ギアに押付けられ、前記リングと前記遊転ギアとの間で摩擦力が発生することによって前記スリーブと前記遊転ギアの回転が同期し、前記スリーブと前記遊転ギアが噛合うことで所定の変速段を実現する、自動変速機に用いられ、
    該自動変速機を制御する制御方法であって、
    前記作動装置によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけて前記同期噛合い機構の噛合いを行う際に、車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段を用いて検出または推定した車両の前後加速度に応じて、前記検出または推定した車両の前後加速度が大きくなるにつれて、前記スリーブの移動速度を速くするように、前記スリーブの移動速度を調節することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  2. 請求項1記載の自動変速機の制御方法において、
    前記車両の前後加速度によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつける荷重を設定し、フィードフォワード制御することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  3. 請求項1記載の自動変速機の制御方法において、
    前記自動変速機は、前記スリーブの位置を検出する位置検出機構を備え、
    前記スリーブの目標位置を設定し、前記位置検出機構により検出される前記スリーブの位置が目標位置に追従するように前記スリーブの押付け荷重をフィードバック制御することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  4. 請求項3記載の自動変速機の制御方法において、
    車両の前後加速度によって前記フィードバック制御の制御パラメータを設定することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  5. 請求項3記載の自動変速機の制御方法において、
    前記車両の前後加速度によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけるフィードフォワード荷重を設定し、前記フィードバック制御による荷重と、前記フィードフォワード荷重とから、前記作動装置を制御することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  6. 請求項3記載の自動変速機の制御方法において、
    車両の前後加速度によって前記スリーブの目標位置を調節することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  7. 駆動力源からのトルクを受けて回転する少なくとも一つの入力軸と、車両の駆動軸にトルクを出力する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸の間で回転を伝達する複数の遊転ギアと、前記複数の遊転ギアを前記入力軸若しくは前記出力軸に係合して変速段を実現する複数の同期噛合い機構と、電気的に動作する作動装置と、前記作動装置と前記同期噛合い機構のスリーブを連結する連結機構と、車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段とを有し、
    前記同期噛合い機構は、前記入力軸または前記出力軸と一体的に回転する複数のハブと、これらのハブにそれぞれ設けられ、前記ハブと一体的に回転するとともに前記ハブに対して軸方向に移動可能である複数のスリーブと、前記ハブと前記遊転ギアの間にそれぞれ備えられたリングと、からなり、
    前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけることによって移動し、前記スリーブを前記リングに押付けることによって前記リングが前記遊転ギアに押付けられ、前記リングと前記遊転ギアとの間で摩擦力が発生することによって前記スリーブと前記遊転ギアの回転が同期し、前記スリーブと前記遊転ギアが噛合うことで所定の変速段を実現する、自動変速機に用いられ、
    該自動変速機を制御する制御装置であって、
    前記作動装置によって前記スリーブを前記遊転ギア側へ押しつけて前記同期噛合い機構の噛合いを行う際に、前記車両の前後方向の加速度を検出又は推定する手段を用いて検出または推定した車両の前後加速度に応じて、前記検出または推定した車両の前後加速度が大きくなるにつれて、前記スリーブの移動速度を速くするように、前記スリーブの移動速度を調節する制御手段を備えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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